JP3740778B2 - 板用異速圧延機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、板用異速圧延機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
金属の板圧延では、圧延材(金属板)の幅方向板厚を可能な限り均一に圧延することが重要であるが、一般的に、上下一対の圧延ロールにより挟まれて圧延される圧延材は、その幅方向端部において急激に板厚が減少するエッジドロップを生じ、また、その内側においては幅方向中央部に向かって板厚が増加するクラウンを生じる。
【0003】
前記エッジドロップは、圧延ロールの表面が圧延材により弾性へこみ変形することに起因して発生し、また、前記クラウンは、圧延ロール全体が圧延力によって撓むことに起因して発生するものであり、このようなエッジドロップやクラウンの発生を抑制する為の一手段としては、上下の圧延ロールを異なる周速で駆動するようにした異速圧延機が従来より知られている。
【0004】
斯かる異速圧延機によれば、圧下による圧縮力に板の上下面で互いに逆方向に働く摩擦剪断力を付加することができるので、これまでと同圧下率の圧延を比較的少ない圧延力で実現することができ、これにより、圧延ロールの表面に発生する弾性へこみ変形や圧延ロール全体の撓み変形を小さくしてエッジドロップやクラウンの発生を少なくすることが可能となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来において提案されている異速圧延機では、軸方向に一様な径とした円筒型の圧延ロールを用いていた為、圧延材に作用する圧延力の幅方向分布を変えることができず、圧延力を必要な圧下率が得られる範囲内で小さくして圧延力の分布のレベルを全体的に下げることでしか対応できなかった為、エッジドロップやクラウンの発生を少なくするといっても自ずから限界があり、十分な成果を得るまでには至らなかった。
【0006】
本発明は上述の実情に鑑みてなしたもので、圧延材に作用する圧延力を幅方向に異なる分布とし且つその分布パターンを圧延中に簡単に調整し得るようにした板用異速圧延機を提供し、従来の異速圧延機と比較してエッジドロップやクラウンの発生を大幅に低減し得るようにすることを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、一対の圧延ロールの圧延胴部分における相互のロール径の和が軸方向の各位置で略一定となり且つ前記各圧延ロールの夫々が左右対称形となるよう前記各圧延胴部分に径差を付し、前記各圧延ロールの回転数比を変更して圧延力の分布パターンを調整し、板状の圧延材を圧延するよう構成したことを特徴とする板用異速圧延機、に係るものである。
【0008】
このようにすれば、各圧延ロールの圧延胴部分における相互のロール径比が軸方向に異なる分布(一様でない分布)となり、各圧延ロールを回転した場合に、各圧延ロールの圧延胴部分における相互の周速比が軸方向に異なる分布となるので、各圧延ロール間で圧延材を圧延する際に圧延力を幅方向に異なる分布として作用させることが可能となる。
【0009】
しかも、圧延材の幅方向における圧延力の分布パターンは、各圧延ロールの相互の回転数比を変更することにより圧延中に簡単に調整することが可能であり、例えば、圧延力が圧延材の幅方向端部付近で相対的に大きくなり且つ幅方向中央部付近で相対的に小さくなるように分布パターンを調整すれば、エッジドロップ及びクラウンの発生を低減することが可能となる。
【0010】
即ち、一般的に、圧延材の幅方向における圧延力が大きく作用するところでは、圧延ロール側の弾性へこみ変形が大きくなってロールギャップが拡張することにより圧延材の板厚が増加するのに対し、圧延材の幅方向における圧延力が小さく作用するところでは、圧延ロール側の弾性へこみ変形が小さくなってロールギャップが縮小することにより圧延材の板厚が減少するので、圧延力が圧延材の幅方向端部付近で相対的に大きくなるようにすればエッジドロップが低減され、また、圧延力が圧延材の幅方向中央部付近で相対的に小さくなるようにすればクラウンが低減されることになる。
【0011】
ただし、実際の圧延においては、クラウンの発生よりもエッジドロップの発生が深刻である場合、或いは逆に、エッジドロップの発生よりもクラウンの発生が深刻である場合、更には、クラウンやエッジドロップの対策に加えて圧延材の形状制御も同時に行いたい場合等といった様々なケースがあり、しかも、圧延開始から時間が経過するにつれて各圧延ロールの幅方向中央部付近が熱膨張して拡径する等の経時的な変化も加味しなければならないので、夫々のケースや状況変化に応じて圧延力の分布パターンを調整する必要があることは勿論である。
【0012】
また、各圧延ロールの回転数比を変更するにあたり、本発明では、各圧延ロールの回転数比を1.0(同じ回転数)とした場合でもロール径比に起因した異速圧延による圧延力の低減効果を期待することができるが、各圧延ロールの回転数比を1.0から変更することにより異速圧延による圧延力の低減効果を更に高めれば、同圧下率の圧延を行うのに必要な圧延力のレベルを全体的に下げることが可能となるので、このような異速圧延による圧延力の低減効果が付加的に作用することによってもエッジドロップやクラウンの発生を低減する効果が高められることになる。
【0013】
本発明の板用異速圧延機に用いる圧延ロールの圧延胴部分に径差を付すにあたっては、例えば、一方の圧延ロールの圧延胴部分をロールセンターが最大径となり且つ該ロールセンターから両側のロール端に向け徐々に縮径するよう形成し、他方の圧延ロールの圧延胴部分をロールセンターが最小径となり且つ該ロールセンターから両側のロール端に向け徐々に拡径するよう形成することが可能である。
【0014】
また、本発明の板用異速圧延機においては、各圧延ロールの圧延胴部分におけるロールセンター周辺領域を径変化のない平行部となるよう夫々形成し、前記各圧延ロールに対して平行部を支持する控ロールを夫々備えるようにしても良い。
【0015】
このようにすれば、ロールセンター周辺領域に形成した平行部を控ロールにより支持して圧延を行うことが可能となるので、各圧延ロールを小径化して同圧下率の圧延を行うのに必要な圧延力のレベルを一層下げることが可能となり、しかも、各圧延ロールに対しロールベンディング等の手段も採用し易くなる。
【0016】
更に、各圧延ロールの圧延胴部分におけるロールセンター周辺領域を径変化のない平行部となるよう夫々形成した場合においては、一方の圧延ロールの圧延胴部分における平行部の外側を両側のロール端に向け徐々に拡径するよう形成し、他方の圧延ロールの圧延胴部分における平行部の外側を両側のロール端に向け徐々に縮径するよう形成しても良く、また、一方の圧延ロールの圧延胴部分における平行部の外側を両側のロール端に向け徐々に拡径してロール端周辺領域で径変化のない平行部となるよう形成し、他方の圧延ロールの圧延胴部分における平行部の外側を両側のロール端に向け徐々に縮径してロール端周辺領域で径変化のない平行部となるよう形成しても良い。
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0021】
図1〜図6は本発明の板用異速圧延機の第一の実施の形態を示すもので、図1に示す如く、圧延材1を挟んで圧延する為の上下一対の圧延ロール2,3が、その軸方向両端部をロールチョック4により回動自在に軸支されてハウジング5内に支持されており、また、前記各圧延ロール2,3の一端部(図1における右側端部)には、ユニバーサルカップリング6及びスピンドル7を介して別個の回転駆動装置8,8が夫々連結され、該各回転駆動装置8,8により各圧延ロール2,3の回転数比を任意に変更し得るようにしてある。
【0022】
図2に拡大して示す如く、前記各圧延ロール2,3の圧延胴部分2a,3aには、該各圧延胴部分2a,3aにおける相互のロール径の和が軸方向の各位置で略一定となり且つ前記各圧延ロール2,3の夫々が左右対称形となるよう径差が付されており、特に本形態例においては、上方の圧延ロール2の圧延胴部分2aがロールセンターを最大径とし且つ該ロールセンターから両側のロール端に向け徐々に縮径するよう形成されており、下方の圧延ロール3の圧延胴部分3aがロールセンターを最小径とし且つ該ロールセンターから両側のロール端に向け徐々に拡径するよう形成されている。
【0023】
而して、各圧延ロール2,3の圧延胴部分2a,3aにおける相互のロール径比が軸方向に異なる分布(一様でない分布)となり、例えば、本形態例の場合には、図3に示す如きロール径比の分布が成される。
【0024】
このような各圧延ロール2,3を回転した場合、該各圧延ロール2,3の圧延胴部分2a,3aにおける相互の周速比は軸方向に異なる分布となり、具体的には、図4に示す如く、各圧延ロール2,3の回転数比(上方の圧延ロール2の回転数/下方の圧延ロール3の回転数)が1.25の場合、1.0の場合、0.8の場合の夫々でA1、B1、C1で示すような結果となる。
【0025】
更に、上方の圧延ロール2の軸方向の各位置における周速をV1、下方の圧延ロール3の軸方向の各位置における周速をV2とした場合に、
【数1】
V1/V2≧1の条件でX=V1/V2−1.0
として求まり、
【数2】
V1/V2<1の条件でX=1/(V1/V2)−1.0
として求まる異速率Xを、図4に示した周速比の分布について求めると、図5に示す如く、各圧延ロール2,3の回転数比が1.25の場合、1.0の場合、0.8の場合の夫々でA2、B2、C2で示すような結果となる。
【0026】
この異速率Xの分布パターンは、圧延材1の幅方向(圧延ロール2,3の軸方向)における圧延力の分布パターンと大きく関連しており、異速率Xの高いところで圧延力が小さくなり、異速率Xの低いところで圧延力が大きくなる傾向となるのであり、圧延材1の幅方向における圧延力の分布パターンは、図6に示す如く、各圧延ロール2,3の回転数比が1.25の場合、1.0の場合、0.8の場合の夫々でA3、B3、C3で示すような結果となる。
【0027】
従って、本形態例によれば、各圧延ロール2,3間で圧延材1を圧延する際に圧延力を幅方向に異なる分布として作用させることが可能となり、しかも、圧延材1の幅方向における圧延力の分布パターンは、各圧延ロール2,3の相互の回転数比を変更することにより圧延中に簡単に調整することが可能となるのである。
【0028】
例えば、図6中においてA3で示す如く、圧延力が圧延材1の幅方向端部付近(圧延ロール2,3のロール端付近)で相対的に大きくなり且つ幅方向中央部付近(圧延ロール2,3のロールセンター付近)で相対的に小さくなるように分布パターンを回転数比で調整すれば、エッジドロップ及びクラウンの発生を低減することが可能となる。
【0029】
即ち、一般的に、圧延材1の幅方向における圧延力が大きく作用するところでは、圧延ロール2,3側の弾性へこみ変形が大きくなってロールギャップが拡張することにより圧延材1の板厚が増加するのに対し、圧延材1の幅方向における圧延力が小さく作用するところでは、圧延ロール2,3側の弾性へこみ変形が小さくなってロールギャップが縮小することにより圧延材1の板厚が減少するので、圧延力が圧延材1の幅方向端部付近で相対的に大きくなるようにすればエッジドロップが低減され、また、圧延力が圧延材1の幅方向中央部付近で相対的に小さくなるようにすればクラウンが低減されることになる。
【0030】
ただし、実際の圧延においては、クラウンの発生よりもエッジドロップの発生が深刻である場合、或いは逆に、エッジドロップの発生よりもクラウンの発生が深刻である場合、更には、クラウンやエッジドロップの対策に加えて圧延材1の形状制御も同時に行いたい場合等といった様々なケースがあり、しかも、圧延開始から時間が経過するにつれて各圧延ロール2,3のロールセンター付近が熱膨張して拡径する等の経時的な変化も加味しなければならないので、夫々のケースや状況変化に応じて圧延力の分布パターンを調整する必要があることは勿論であり、必ずしも図6中にA3で示す圧延力の分布パターンが常に最適であるというわけではない。
【0031】
例えば、図6中にB3で示す圧延力の分布パターンによれば、圧延材1の幅方向中央部と端部との中間位置で局所的に板厚が薄くなり平坦度が悪くなって形状不良が生じている場合に有効となり、図6中にC3で示す圧延力の分布パターンによれば、各圧延ロール2,3のロールセンター付近が熱膨張して拡径しているような場合に有効となるのであり、エッジドロップやクラウンの発生を低減する効果が損なわれない範囲内で各圧延ロール2,3の回転数比を変更して圧延力の分布パターンを調整することは、形状不良や圧延ロール2,3の熱変形等を考慮する上で意義のあることである。
【0032】
また、各圧延ロール2,3の回転数比を変更するにあたり、本形態例においては、各圧延ロール2,3の回転数比を1.0(同じ回転数)とした場合でもロール径比に起因した異速圧延による圧延力の低減効果を期待することができるが、各圧延ロール2,3の回転数比を1.0から変更することにより異速圧延による圧延力の低減効果を更に高めれば、同圧下率の圧延を行うのに必要な圧延力のレベルを全体的に下げることが可能となるので、このような異速圧延による圧延力の低減効果が付加的に作用することによってもエッジドロップやクラウンの発生を低減する効果が高められることになる。
【0033】
図7〜図12は本発明の第二の実施の形態を示すもので、各圧延ロール2,3の圧延胴部分2a,3aにおけるロールセンター周辺領域を径変化のない平行部となるよう夫々形成し、前記各圧延ロール2,3に対して平行部を支持する控ロール9,10を夫々備えたものであり、特に本形態例においては、図8に拡大して示す如く、上方の圧延ロール2の圧延胴部分2aにおける平行部の外側を両側のロール端に向け徐々に拡径するよう形成し、下方の圧延ロール3の圧延胴部分2aにおける平行部の外側を両側のロール端に向け徐々に縮径するよう形成してある。
【0034】
このようにすれば、ロールセンター周辺領域に形成した平行部を控ロール9,10により支持して圧延を行うことが可能となるので、各圧延ロール2,3を小径化して同圧下率の圧延を行うのに必要な圧延力のレベルを一層下げることが可能となり、しかも、各圧延ロール2,3に対しロールベンディング等の手段も採用し易くなる。
【0035】
尚、図7においては、各圧延ロール2,3の形状を判り易くする為に、各控ロール9,10の径に対する各圧延ロール2,3の径の比率を大きめに図示してあるが、実際には、図示以上に各圧延ロール2,3を小径化することが可能である。
【0036】
本形態例の場合には、図9に示す如きロール径比の分布が成され、各圧延ロール2,3を回転すると、該各圧延ロール2,3の圧延胴部分2a,3aにおける相互の周速比は軸方向に異なる分布となり、具体的には、図10に示す如く、各圧延ロール2,3の回転数比が1.2の場合、1.0の場合、0.8の場合、0.6の場合の夫々でA1、B1、C1、D1で示すような結果となる。
【0037】
更に、図10に示した周速比の分布について異速率Xを求めると、図11に示す如く、各圧延ロール2,3の回転数比が1.2の場合、1.0の場合、0.8の場合、0.6の場合の夫々でA2、B2、C2、D2で示すような結果となる。
【0038】
而して、圧延材1の幅方向における圧延力の分布パターンは、図12に示す如く、各圧延ロール2,3の回転数比が1.2の場合、1.0の場合、0.8の場合、0.6の場合の夫々でA3、B3、C3、D3で示すような結果となる。
【0039】
また、図13〜図17は本発明の第三の実施の形態を示すもので、前述した図7の形態例における各圧延ロール2,3のロール端周辺領域にも平行部が形成されるようにしたものであり、より具体的には、上方の圧延ロール2の圧延胴部分2aにおける平行部の外側を両側のロール端に向け徐々に拡径してロール端周辺領域で径変化のない平行部となるよう形成し、下方の圧延ロール3の圧延胴部分3aにおける平行部の外側を両側のロール端に向け徐々に縮径してロール端周辺領域で径変化のない平行部となるよう形成したものである。
【0040】
本形態例の場合には、図14に示す如きロール径比の分布が成され、各圧延ロール2,3を回転すると、該各圧延ロール2,3の圧延胴部分2a,3aにおける相互の周速比は軸方向に異なる分布となり、具体的には、図15に示す如く、各圧延ロール2,3の回転数比が1.2の場合、1.0の場合、0.8の場合、0.6の場合の夫々でA1、B1、C1、D1で示すような結果となる。
【0041】
更に、図15に示した周速比の分布について異速率Xを求めると、図16に示す如く、各圧延ロール2,3の回転数比が1.2の場合、1.0の場合、0.8の場合、0.6の場合の夫々でA2、B2、C2、D2で示すような結果となる。
【0042】
而して、圧延材1の幅方向における圧延力の分布パターンは、図17に示す如く、各圧延ロール2,3の回転数比が1.2の場合、1.0の場合、0.8の場合、0.6の場合の夫々でA3、B3、C3、D3で示すような結果となる。
【0043】
以上に代表的な三つの形態例を示して説明したように、一対の圧延ロール2,3の圧延胴部分2a,3aにおける相互のロール径の和が軸方向の各位置で略一定となり且つ前記各圧延ロール2,3の夫々が左右対称形となるよう前記各圧延胴部分2a,3aに径差を付し、前記各圧延ロール2,3の回転数比を変更し得るようにすれば、圧延材1に作用する圧延力を幅方向に異なる分布とし且つその分布パターンを各圧延ロール2,3の回転数比を変更することにより圧延中に簡単に調整し、エッジドロップ及びクラウンの発生を低減するのに適した圧延力の分布パターンを与えて圧延を行うことができ、しかも、各圧延ロール2,3の回転数比を1.0から変更するほど通常の異速圧延による圧延力の低減効果を効かせて圧延に必要な圧延力のレベルを全体的に下げることができるので、従来の異速圧延機と比較してエッジドロップやクラウンの発生を大幅に低減することができる。
【0044】
図18は、本発明の第四の実施の形態であり、前記第一の実施の形態の変形例である。
【0045】
本形態例では、対を成す圧延ロール2,3の圧延胴部分2a,3aにおける、径差が付けられている部分の間に、軽荷重付与時に非接触状態となり圧延荷重付与時に接触状態となる、僅少間隙部20を形成するようにする。
【0046】
尚、僅少間隙部20は、ミリオーダー以下の極く僅かな程度のものとし、対応する各部のロール径の和が略一定となるという範囲を逸脱するようなものではない。
【0047】
より具体的には、図18の圧延ロール2の圧延胴部分2aは、ロールセンターからロール端へ向かう縮径部のみによって構成されており、又、圧延ロール3の圧延胴部分3aは、ロールセンターからロール端へ向かう拡径部のみによって構成されているが、両者間に、ロールセンターからロール端へ向かって徐々に拡がる僅少間隙部20を形成するようにする。
【0048】
ロール交換又は組替え時や圧延機のゲージ調整時などには、定格圧延荷重の1〜10%程度の軽荷重を掛けつつ、圧延ロール2,3の圧延胴部分2a,3aを接触状態で回転させて(いわゆるキスローリング)、ロールギャップ調整を行うことにより、圧延装置やロール軸受部のガタを吸収できるようにする、いわゆるゼロイング又はゼロ点調整を行う必要があるが、本発明のように、圧延ロール2,3の圧延胴部分2a,3aが幅方向に対し異周速で回転されるようになっている場合、ゼロイングの時に、径差によって周速差が生じる部分で圧延ロール2,3間に接触滑りを生じ、その結果、圧延機に振動や焼き付きなどを発生するおそれがあるが、本発明のように、縮径部と拡径部との間に、ロールセンターからロール端へ向かって徐々に拡がる僅少間隙部20を形成することにより、ゼロイングのための軽荷重が掛けられた時には、径差により周速差が生じる部分は僅少間隙部20によって非接触状態となるので、ゼロイングによる振動や焼き付きなどの発生を防止することが可能となる。
【0049】
反対に、定格圧延荷重のような大荷重が掛けられた時には、径差により周速差が生じる部分は、大荷重によって僅少間隙部20の影響を無視できるようになるので、支障なく圧延を行わせることが可能である。
【0050】
上記以外については、前記第一の実施の形態と同様の構成を備えており、同様の作用・効果を得ることができる。
【0051】
図19は、本発明の第五の実施の形態であり、前記第二の実施の形態の変形例である。
【0052】
本形態例では、対を成す圧延ロール2,3の圧延胴部分2a,3aにおける、径差が付けられている部分の間に、軽荷重付与時に非接触状態となり圧延荷重付与時に接触状態となる、僅少間隙部20を形成するようにする。
【0053】
尚、僅少間隙部20は、ミリオーダー以下の極く僅かな程度のものとし、対応する各部のロール径の和が略一定となるという範囲を逸脱するようなものではない。
【0054】
より具体的には、図19の圧延ロール2の圧延胴部分2aは、ロールセンターに平行部を備え、ロール端に拡径部を備えた構成とされており、又、圧延ロール3の圧延胴部分3aは、ロールセンターに圧延ロール2の平行部と同径の平行部を備え、ロール端に縮径部を備えた構成とされているが、両圧延ロール2,3の拡径部と縮径部との間に、ロール端へ向かって徐々に拡がる僅少間隙部20を形成するようにする。
【0055】
ロール交換又は組替え時や圧延機のゲージ調整時などには、定格圧延荷重の1〜10%程度の軽荷重を掛けつつ、圧延ロール2,3の圧延胴部分2a,3aを接触状態で回転させて(いわゆるキスローリング)、ロールギャップ調整を行うことにより、圧延装置やロール軸受部のガタを吸収できるようにする、いわゆるゼロイング又はゼロ点調整を行う必要があるが、本発明のように、圧延ロール2,3の圧延胴部分2a,3aが部分的に幅方向に対し異周速で回転されるようになっている場合、ゼロイングの時に、径差によって周速差が生じる部分で圧延ロール2,3間に接触滑りを生じ、その結果、圧延機に振動や焼き付きなどを発生するおそれがあるが、本発明のように、縮径部と拡径部との間に、ロール端へ向かって徐々に拡がる僅少間隙部20を形成することにより、ゼロイングのための軽荷重が掛けられた時には、径差により周速差が生じる部分は僅少間隙部20によって非接触状態となるので、ゼロイングによる振動や焼き付きなどの発生を防止することが可能となる。
【0056】
反対に、定格圧延荷重のような大荷重が掛けられた時には、径差により周速差が生じる部分は、大荷重によって僅少間隙部20の影響を無視できるようになるので、支障なく圧延を行わせることが可能である。
【0057】
上記以外については、前記第二の実施の形態と同様の構成を備えており、同様の作用・効果を得ることができる。
【0058】
図20は、本発明の第六の実施の形態であり、前記第三の実施の形態の変形例である。
【0059】
本形態例では、対を成す圧延ロール2,3の圧延胴部分2a,3aにおける、径差が付けられている部分の間に、軽荷重付与時に非接触状態となり圧延荷重付与時に接触状態となる、僅少間隙部20を形成するようにする。
【0060】
尚、僅少間隙部20は、ミリオーダー以下の極く僅かな程度のものとし、対応する各部のロール径の和が略一定となるという範囲を逸脱するようなものではない。
【0061】
より具体的には、図20の圧延ロール2の圧延胴部分2aは、ロールセンターに平行部を備え、ロール端に拡径部と大径平行部を備えた構成とされており、又、圧延ロール3の圧延胴部分3aは、ロールセンターに圧延ロール2の平行部と同径の平行部を備え、ロール端に縮径部と小径平行部を備えた構成とされているが、両圧延ロール2,3の拡径部と縮径部との間に、ロール端へ向かって徐々に拡がる僅少間隙部20を形成し、及び、大径平行部と小径平行部との間に、僅少間隙部20に続くと共に一定の僅少間隙部21を形成するようにする。
【0062】
ロール交換又は組替え時や圧延機のゲージ調整時などには、定格圧延荷重の1〜10%程度の軽荷重を掛けつつ、圧延ロール2,3の圧延胴部分2a,3aを接触状態で回転させて(いわゆるキスローリング)、ロールギャップ調整を行うことにより、圧延装置やロール軸受部のガタを吸収できるようにする、いわゆるゼロイング又はゼロ点調整を行う必要があるが、本発明のように、圧延ロール2,3の圧延胴部分2a,3aが部分的に幅方向に対し異周速で回転されるようになっている場合、ゼロイングの時に、径差によって周速差が生じる部分で圧延ロール2,3間に接触滑りを生じ、その結果、圧延機に振動や焼き付きなどを発生するおそれがあるが、本発明のように、縮径部と拡径部との間に、及び、大径平行部と小径平行部との間に、ロール端へ向かって徐々に拡がる僅少間隙部20及びその後一定となる僅少間隙部21を形成することにより、ゼロイングのための軽荷重が掛けられた時には、径差により周速差が生じる部分は僅少間隙部20,21によって非接触状態となるので、ゼロイングによる振動や焼き付きなどの発生を防止することが可能となる。
【0063】
反対に、定格圧延荷重のような大荷重が掛けられた時には、径差により周速差が生じる部分は、大荷重によって僅少間隙部20,21の影響を無視できるようになるので、支障なく圧延を行わせることが可能である。
【0064】
上記以外については、前記第三の実施の形態と同様の構成を備えており、同様の作用・効果を得ることができる。
【0065】
尚、本発明の板用異速圧延機は、上述の形態例にのみ限定されるものではなく、基本的にはエッジドロップやクラウンの発生を低減する目的で使用するのが好ましいが、圧延材の形状制御を主たる目的として使用することも可能であること、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0066】
【発明の効果】
上記した本発明の板用異速圧延機によれば、圧延材に作用する圧延力を幅方向に異なる分布とし且つその分布パターンを各圧延ロールの回転数比を変更することにより圧延中に簡単に調整し、エッジドロップ及びクラウンの発生を低減するのに適した圧延力の分布パターンを与えて圧延を行うことができ、しかも、各圧延ロールの回転数比を1.0から変更するほど通常の異速圧延による圧延力の低減効果を効かせて圧延に必要な圧延力のレベルを全体的に下げることができるので、従来の異速圧延機と比較してエッジドロップやクラウンの発生を大幅に低減することができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第一の実施の形態を示す概略図である。
【図2】 図1の各圧延ロールにおける圧延胴部分の拡大図である。
【図3】 図2の各圧延胴部分の相互のロール径比の分布を示すグラフである。
【図4】 図2の各圧延胴部分の相互のロール周速比の分布を示すグラフである。
【図5】 図4の周速比の分布に関連する異速率の分布を示すグラフである。
【図6】 図5の異速率に関連する圧延力の分布を示すグラフである。
【図7】 本発明の第二の実施の形態を示す概略図である。
【図8】 図7の各圧延ロールにおける圧延胴部分の拡大図である。
【図9】 図8の各圧延胴部分の相互のロール径比の分布を示すグラフである。
【図10】 図8の各圧延胴部分の相互のロール周速比の分布を示すグラフである。
【図11】 図10の周速比の分布に関連する異速率の分布を示すグラフである。
【図12】 図11の異速率の分布に関連する圧延力の分布を示すグラフである。
【図13】 本発明の第三の実施の形態を示す概略図である。
【図14】 図13の各圧延胴部分の相互のロール径比の分布を示すグラフである。
【図15】 図13の各圧延胴部分の相互のロール周速比の分布を示すグラフである。
【図16】 図15の周速比の分布に関連する異速率の分布を示すグラフである。
【図17】 図16の異速比に関連する圧延力の分布を示すグラフである。
【図18】 本発明の第四の実施の形態を示す概略図である。
【図19】 本発明の第五の実施の形態を示す概略図である。
【図20】 本発明の第六の実施の形態を示す概略図である。
【符号の説明】
1 圧延材
2 圧延ロール
2a 圧延胴部分
3 圧延ロール
3a 圧延胴部分
9 控ロール
10 控ロール
20,21 僅少間隙部
Claims (5)
- 一対の圧延ロールの圧延胴部分における相互のロール径の和が軸方向の各位置で略一定となり且つ前記各圧延ロールの夫々が左右対称形となるよう前記各圧延胴部分に径差を付し、前記各圧延ロールの回転数比を変更して圧延力の分布パターンを調整し、板状の圧延材を圧延するよう構成したことを特徴とする板用異速圧延機。
- 一方の圧延ロールの圧延胴部分をロールセンターが最大径となり且つ該ロールセンターから両側のロール端に向け徐々に縮径するよう形成し、他方の圧延ロールの圧延胴部分をロールセンターが最小径となり且つ該ロールセンターから両側のロール端に向け徐々に拡径するよう形成したことを特徴とする請求項1に記載の板用異速圧延機。
- 各圧延ロールの圧延胴部分におけるロールセンター周辺領域を径変化のない平行部となるよう夫々形成し、前記各圧延ロールに対して平行部を支持する控ロールを夫々備えたことを特徴とする請求項1に記載の板用異速圧延機。
- 一方の圧延ロールの圧延胴部分における平行部の外側を両側のロール端に向け徐々に拡径するよう形成し、他方の圧延ロールの圧延胴部分における平行部の外側を両側のロール端に向け徐々に縮径するよう形成したことを特徴とする請求項3に記載の板用異速圧延機。
- 一方の圧延ロールの圧延胴部分における平行部の外側を両側のロール端に向け徐々に拡径してロール端周辺領域で径変化のない平行部となるよう形成し、他方の圧延ロールの圧延胴部分における平行部の外側を両側のロール端に向け徐々に縮径してロール端周辺領域で径変化のない平行部となるよう形成したことを特徴とする請求項3に記載の板用異速圧延機。
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