JP3739595B2 - 無機質板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、無機質板の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、内装材、外装材等の建材として有用なセメント系無機質板を、骨材の使用量を抑えて、外観性、そして物性においても良好なものとして提供することのできる新しい製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、内装材、外装材等の建材として、セメントと補強繊維とを主成分とした抄造シートや押出しシートから成形硬化して得た無機質板が知られている。
また、これらの無機質板の製造法としては、より自然観のあるものとするために、表面に骨材を混合したセメント系成形材料を散布し、次いで加圧成形して表面の所定位置に凹凸模様を形成するようにした方法が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の骨材を混合したセメント成形材料を抄造シート上に散布する等の方法においては骨材の使用量が多く、生産コストの負担が大きいという問題があった。ただ、より自然な外観を与えるためにはどうしても骨材量が多くなるという矛盾があった。
【0004】
しかもまた、従来の製造方法においては、使用する骨材が増えるとともに、強度、耐凍害性等の無機質板にとって欠かせない諸物性を確保するのが難しいという問題があった。
また一方、押出しシートから自然外観性のある無機質板を製造する方法として押出しシート上に骨材を散布して成形することが検討されているが、この方法の場合には、骨材が脱落したり、所定の表面位置に配設されずにランダムに散らばってしまうという不都合があった。このため、外観性の確保が難しいという問題があった。
【0005】
そこでこの出願の発明は、以上のとおりの従来の無機質製造に係わる問題点を解消し、抄造シートからの製造においては多量の骨材を使用することによるコスト負担や物性の確保が難しいという問題を解消し、また押出しシートからの製造においては、骨材が脱落したり、ランダムに散らばってしまうという問題を解消し、両者いずれの場合にも、より自然感のある外観性にも優れた無機質板を製造することを可能とする改善された新しい製造方法を提供することを課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この出願の発明は、上記のとおりの課題を解決するものとして、第1には、セメントと補強繊維を主成分とする抄造シート上に、セメントと補強繊維を主成分とする半乾式のセメント成形材料をその最低必要散布量が次式
y=125x+1000z−125
(ここで、yは、最低必要散布量(g/m2)を、xは、後工程で散布される散布用骨材の粒度(mm)を、zは、成形材料の嵩比重(g/cm3)を示す)
に従うものとして散布し、さらにその後異なる粒度の散布用骨材を後工程として散布し、次いで加圧成形することを特徴とする無機質板の製造方法を提供する。
【0007】
そして、この第1の発明に関連して、この出願の発明は、第2には、散布用骨材を散布した後に散水し、次いで加圧成形する製造方法を、第3には、抄造シートは、含水率が50〜120%であるものとする製造方法を、第4には、セメント成形材料は、そのミキサー後の嵩比重が0.5g/cm3以下であるものとする製造方法を、第5には、散布用骨材は、その粒度が4.0mm以下であるものとする製造方法を、第6には、散布用骨材は、天然色もしくは人工着色した1種以上の色調のものとする製造方法を、第7には、散水は、20g/m2〜220g/m2で行う製造方法を提供する。
【0008】
また、この出願の発明は、以上のとおりの第1ないし第7のいずれかの発明の製造方法について、第8には、抄造シート上に散布する半乾式のセメント成形材料には混合用骨材を混合して散布する無機質板の製造方法を、第9には、セメント成形材料に混合する混合用骨材の粒度は3mm以下とする製造方法を、第10には、混合用骨材は、その割合が20体積%以下とする製造方法も提供する。
【0009】
さらにまた、この出願の発明は、第11には、セメントと補強繊維を主成分として押出しシートの成形時弾性限界応力を0.095N/mm2以下とした押出しシート上に異なる粒度の骨材を散布し、次いで金型との間のエアーを抜きながら振動を加えて加圧成形することを特徴とする無機質板の製造方法を提供し、この方法に関連して、第12には、散布する骨材の粒度を4.0mm以下とする製造方法を、第13には、骨材は、天然色もしくは人工着色した1種以上の色調のものとする製造方法を、第14には、骨材の散布前に、押出しシートの骨材散布面には、骨材の最大粒径に相当する凹凸を形成する製造方法を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
この出願の発明は、上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について説明する。
まず、この出願の発明の抄造シートからの無機質板の製造方法においては、長網式、丸網式の各種の抄造法により抄造されたシートが基材として用いられる。この場合の抄造には、セメント系の水性スラリーが原料組成物として用いられるが、この原料組成物としては、一般的には、水硬性のセメント成分が30〜95重量%、シリカ、珪石粉、フライアッシュ等の充填材が2〜60重量%、パルプ等の補強繊維が3〜10重量%を占める固形分からなるものとし、この固形分100重量部に対し、水40〜100重量部程度の割合としたスラリーが考慮される。なお、セメント成分は、普通ポルトランドセメントをはじめ、高炉セメント等の、適宜に組成調整されたものであってもよい。補強繊維のパルプについても同様に、針葉樹パルプ、広葉樹パルプ、あるいはその混合物等であってよい。
【0011】
抄造により形成される抄造シートには、セメント成形材料が散布されることになる。この場合の抄造シートの含水率は50〜120重量%とするのが適当である。含水率が50%未満の場合には、その上に散布するセメント成形材料とのなじみが良好でなく、層間密着性が充分なものとなりにくい。また、含水率が120%を超える場合には、抄造シートが基材としての性格を失って、多層構造による特性向上や、無機質板としての外観性が良好なものになりにくい。
【0012】
抄造シート上に散布するセメント成形材料は半乾式のものである。一般的には、前記と同様の水硬性のセメント成分30〜95重量%、充填材2〜60重量%、補強繊維3〜10重量%からなる固形分に水が配合され、ミキサー混合されたものとすることができる。充填材としては、タルク等の軽量骨材を用いてもよい。ミキサー後の嵩比重は、0.5g/cm3 以下とするのが適当である。さらに好ましくは、0.2〜0.45g/cm3 の嵩比重とする。0.5g/cm3 を超えてより大きな嵩比重の場合には、抄造シートとの層間密着による一体化が難しくなり、また、後工程で散布する骨材による外観性が得られにくくなり、結局のところ、無機質板としての自然外観性を得るためには多量の骨材が必要とされ、このことは無機質板の特性を損う原因となる。
【0013】
このようなセメント成形材料の散布については、各種の手段が採用されてよく、また、その散布量については、セメント成形材料の嵩比重の大きさと、後工程として散布される骨材の最大粒径との関係により適宜とされる。一般的には、この散布量は、前記のとおりの関係式
y=125x+1000z−125
y:セメント成形材料の最低必要散布量(g/m2 )
x:散布される骨材の最大粒度(mm)
z:セメント成形材料の嵩比重(g/cm2 )
に従うものとするのが適当である。たとえば、図1は、この関係式に従って、嵩比重0.2g/cm2 〜0.4g/cm3 の場合の最低必要散布量(y)と骨材粒度(x)との関係を示したものである。たとえば骨材最大粒度が2mmの場合には、セメント成形材料の嵩比重が0.2g/cm3 であれば、その最低必要散布量は約340g/m2 であり、また、嵩比重が0.4g/cm3 であれば約530g/m2 であることになる。散布量が以上のような最低必要散布量の場合には、無機質板の表面は、加圧成形後に自然性のある外観を得ることは難しくなる。また、実際には、散布量は、この最低必要散布量を上まわる量であればよく、最小量の骨材の散布によって良好な自然外観性と、必要とされる強度や耐凍害性等の物性を無機質板に与えるためには、前記のとおりの最低必要散布量以上のセメント成形材料を散布すればよい。もちろん当然のことであるが、過剰な散布は必要ではない。セメント成形材料を散布した後には、この発明の方法においては、異なる粒度の骨材が散布されることになる。
【0014】
この場合の骨材は、その粒度が4.0mm以下であることが適当である。4.0mmを超えて大きい場合には、無機質板の表面外観性とともに、必要とされる諸物性が損われることになる。
なお、骨材そのものは素材について特に限定されることはなく、たとえば天然石、天然結晶、セラミックス、磁器材、ガラス、金属、それらの複合材等の各種であってよい。その形状についても同様で、球状だけでなく、角状、ペレット状、破砕片状、切片状等の各種でよい。そして骨材の色調も、天然色、あるいは人工着色したものの1種以上であってよい。
【0015】
骨材を散布した後には、加圧成形に先立って散水するようにしてもよい。この散水は、加圧成形において散布された骨材の配置位置を安定化し、抄造シート、セメント成形材料、そして骨材の相互のなじみを良くするのに効果的である。散水量は、一般的には20g/m2 〜220g/m2 とするのが適当である。より好ましくは、散水量は、80g/m2 〜160g/m2 である。
【0016】
図2および図3は、以上のとおりのこの発明の無機質板の製造と、従来の方法とを例示した工程図であるが、この発明の方法(図2)においては、抄造シート(1)の上にまず半乾式のセメント成形材料(2)が散布され、次いで骨材(3)がその上に散布される。そして望ましくは散水した後に、プレス金型(4)により加圧成形し、所定の表面模様を有し、異なる粒度の骨材の散布により自然外観性に優れ、かつ、物性面においても優れた無機質板(5)を得る。
【0017】
一方、従来の方法(図3)では、抄造シート(1)の上に、セメント成形材料と骨材との混合物(6)が散布されることになる。このため、従来では自然外観性を得るために多量の骨材の使用が必要とされ、このことが、生産コストを大きくし、かつ無機質板の特性の向上を難しくしていたのである。
なお、実際の製造工程においては、図示することを省略しているが、加圧成形されて得られた成形体は、常温またはオートクレーブ、もしくはその両者により養生して硬化させ、最終の製品無機質板とする。なお、必要であれば、硬化させた成形体に対しては、透明あるいは半透明等の、エマルジョン系や溶剤系の塗料を用いて塗装を施してもよい。
【0018】
そして、この発明の以上のとおりの抄造シートからの無機質板の製造方法においては、抄造シートに対して散布するセメント成形材料に骨材を混合しておいてもよい。つまり、骨材を混合したセメント成形材料を抄造シート上に散布し、その後、さらに前記のとおりの骨材散布を行ってもよい。こうすることによって、骨材散布にともなう自然外観性はさらに良好になり、物性面の向上も見込まれることになる。
【0019】
この場合、セメント成形材料に混合される骨材としては、その粒度が3mm以下であることが適当である。一般的には、最大粒度が、最上層として散布される骨材よりも小さいことが適当である。また、セメント成形材料への混合は、20体積%以下であることが望ましい。20体積%を超える場合には、この発明の所期目的の達成、すなわち、骨材の使用量を抑え、しかも自然外観性に富み、かつ無機質板としての強度や耐凍害性等の物性が良好な無機質板を得るとのことが難しくなるからである。
【0020】
次にこの発明の押出しシートからの無機質板の製造方法について説明すると、この方法は、セメントと補強繊維とを主成分とする押出しシート上に異なる粒度の骨材を散布し、次いで金型との間のエアーを抜きながら加圧成形することを特徴としている。
この方法によって、従来のように骨材が脱落してしまうことや、骨材が所定の表面位置に配設されずにランダムに散らばってしまうという不都合を生じさせることなく、押出しシートに確実に骨材を埋め込み固定し、自然外観性の良好な無機質板を提供することが可能となる。
【0021】
この方法においては、セメントや補強繊維等の固形成分については抄造法の場合と同様もしくはこれに類似した組成とすることができるが、押出しシートとするためには、配合する水の量は抄造法のスラリーに比べてはるかに少なくてよく、適宜に増粘剤を添加して混練物とする。
押出し成形されたシートについては、その成形時の弾性限界応力は0.095N/mm2 以下とすることが好ましい。粘度が0.095N/mm2 を超えて大きな場合には、骨材を押出しシートに埋め込み可能とすることが難しくなるからである。
【0022】
散布する骨材は前記同様に各種のものでよく、その最大粒度を4.0mm以下とし、天然色もしくは人工着色した1種以上の色調のものとすることができる。
骨材粒度が4.0mmよりも大きい場合には、透水や、基材としての押出しシート成形体の破断の原因となりやすい。
そして、この発明の方法では、骨材の散布前に、押出しシートの骨材散布面に、骨材の最大粒径に相当する凹凸を形成しておくことが有効でもある。この凹凸は、骨材の埋め込み位置を定めることを容易とし、また、養生硬化後の骨材の脱落を効果的に防止することができる。
【0023】
骨材の散布後に行う加圧成形では、より具体的には、骨材を散布した被成形材料の外周を囲むように外枠を設け、上方から模様付きの金型を押し下げ、この金型と被成形材料との間のエアーを抜きながら成形し、成形の完了後には、外枠を離型した後に、エアーブローしながら金型から成形体を脱型するのが適当である。
【0024】
被成形材料の外周を囲む外枠の内面には抜き勾配を設けておくことが好ましい。
被成形材料と金型との間のエアーを抜きながらの加圧成形は、押出し成形によって中空品を形成した場合に、中空穴の内圧を抜くことを可能としてもいる。
このようなエアー抜き、あるいは離型時のエアーブローを行うためには、たとえば金型の模様面にまで貫通する通気穴を金型に設けておくことが考慮される。あるいはまた、金型は、通気性の金属によって構成することも考慮される。エアー抜きは、金型が被成形材料に接触してから行うのが好ましい。
【0025】
良好な成形と、離型をより容易にするための手段としては、金型を振動させてもよい。振動は、成形においては、金型が被成形材料に接触し、金型が加圧状態で下方に移動してからかけるのが好ましい。このような振動は、被成形材料のエッジ部への骨材の埋め込みを効果的なものとする。直圧プレスではこのようなエッジ部での骨材の埋め込みが難しいのである。また、離型のためには、金型の内部から模様凹凸面に離型油を供給するようにしてもよい。
【0026】
以上のとおりの異なる粒度の骨材を用いたこの発明の方法により、住宅用壁材や天井材等の建材として、表面に凹凸模様を有し、しかも自然石調の外観をもつ無機質板が提供されることになる。
そこで以下に実施例を示し、さらに詳しくこの発明の実施の形態について説明する。
【0027】
【実施例】
(実施例1〜4)(比較例1)
▲1▼ 固形分として、セメント40重量%、珪石50重量%、フライアッシュ5重量%、広葉樹パルプ5重量%を含有する水性スラリーを抄造し、脱水プレス後の厚みが12mmで、含水率が50〜120%の、表1のとおりの各種の抄造シート(A)を作製した。
【0028】
▲2▼ 実施例1〜4においては、次の組成のセメント成形材料(B)を調製した。
セメント 45重量%
珪石粉 50重量%
広葉樹パルプ 5重量%
水 15重量%(全固形分に対して)
このもののミキサー後嵩比重は0.3g/cm3 とした。
【0029】
このセメント成形材料(B)は、表1に示したように、前記の抄造シート(A)の上に3333g/m2 散布した。
次いで、表1に示したように各種の最大粒度(mm)の珪砂の着色骨材(C)を167g/m2 の割合で散布して、10kgf/cm2 の圧力で加圧成形した。
【0030】
なお、骨材は、最大粒度以下の大きさの、異なる粒径からなるものとした。
一方、比較例1においては、2889g/m2 の割合でセメント成形材料を散布しただけに止め、骨材は散布しなかった。
そして、実施例1〜4および比較例1のいずれの場合も、40℃の温度で48時間、並びにオートクレーブにおいて160℃の温度で6時間養生し、60℃、湿度20%で72時間恒量した。
【0031】
▲3▼ 製造された各々の無機質板について、減水高さ(7時間)、平面引張り強度、比重、耐凍害性等の物性について評価し、また外観性も目視評価した。
無機質板の物性は、表1に示したように、実施例1〜4のものはいずれも優れていたが、骨材を散布しない比較例1の場合には、減水高さが大きく、引張り強度、耐凍害性がともに劣っていた。
【0032】
また、実施例1〜4のものは、自然外観性に優れていたが、比較例1のものは、セメント外観を有し、好ましいものではなかった。
【0033】
【表1】
【0034】
(実施例5〜9)(比較例2〜3)
▲1▼ 前記の実施例1〜4並びに比較例1と同様の抄造シート(A)を用意した。
▲2▼ 実施例5〜9においては、骨材を混合した次の組成のセメント成形材料(B)を調製した。
【0035】
セメント 40重量%
珪石粉 50重量%
骨材(パーライト) 14〜20体積%
パルプ繊維 5重量%
以上の組成の混合物をミキサーで攪拌し、固形分量に対し15重量%の水を与えた。
【0036】
骨材としてのパーライトの平均粒度は表2のとおり1mmもしくは3mmで、比重1.7のものを用いた。
セメント成形材料(B)の嵩比重は0.3であった。このセメント成形材料(B)を前記の抄造シート(A)上に表2の散布量として散布した。実施例5〜8の散布量に対し、実施例の散布量はその1/10の333g/m2 とした。
【0037】
次いで、表2に示した最大限度の着色骨材(C)をその上に散布した。この着色骨材(C)の個々の粒子の大きさは均一でなく、全体として異なる粒度からなるものとした。
骨材(C)の散布に、10kgf/cm2 の圧力で加圧成形した。
一方、比較例2においては、前記同様の、骨材を混合したセメント成形材料(B)を散布するに止め、骨材(C)は散布しなかった。また、比較例3においては、骨材(C)は散布したが、骨材を混合したセメント成形材料(B)は散布しなかった。
【0038】
そして、実施例5〜9並びに比較例2〜3のいずれの場合にも、養生は次の条件において行った。
・40℃、48時間、その後オートクレーブで160℃で6時間養生した。
・また、60℃、湿度20%で72時間恒量した。
▲3▼ 製造された無機質板について、物性と、外観性を評価した。物性については表2にその結果を示した。
【0039】
実施例5〜9の無機質板は、優れた物性を示しているが、前記の骨材(C)を散布しない比較例2の場合には、強度の点において劣り、また、セメント成形材料(B)を散布しない比較例3の場合には、減水高さが大きく、強度、耐凍害性の点においても劣ることが確認された。
そして外観の目視評価によると、実施例5〜9のものは自然外観性に優れていたが、比較例2〜3のものは、人工的で、どうしても見劣りしていることが明らかであった。
【0040】
【表2】
【0041】
(実施例10〜13)(比較例4〜6)
▲1▼ 次の組成の原料を水と混練し、21mm厚の押出しシート(A)に押出し成形した。
セメント 83重量%
珪石 10重量%
増粘剤 2重量%
パルプ繊維 5重量%
この押出しシート(A)については、表3のとおり、含水率および粘度が異なるものとして作製した。
【0042】
▲2▼ 次いで、この押出しシート(A)には、表3に示した骨材最大粒度と比重の、珪砂の着色骨材(B)を散布し、その後、表3の条件で、金型と骨材散布した被成形材料との間のエアー抜きを行いながら、また金型に振動を加えながら、10kgf/cm2 の圧力で加圧成形した。
なお、比較例4においてはエアー抜き(サクション)を行っておらず、また、比較例5においては振動を加えていない。
【0043】
成形により得られた成形体は、40℃の温度で48時間、オートクレーブにおいて160℃の温度で6時間養生を行い、60℃の温度、湿度20%で72時間恒量した。
▲3▼ 硬化成形体としての無機質板について、その物性と外観性を評価した。その結果を表3に示した。
【0044】
実施例10〜13と比較例4との対比より明らかなように、異なる粒度の骨材(B)を散布した後に金型と被成形材料との間のエアー抜き(サクション)を行っての加圧成形(実施例10〜13)により、骨材の埋め込み外観をはじめ、減水高さ、耐凍害性の特性にも優れた無機質板が得られるのに対し、エアー抜き(サクション)を行わずに成形した場合(比較例4)には、骨材埋め込みの外観性に劣り、特性も悪いことが確認された。
【0045】
また、実施例10〜13と比較例5〜6の対比からは、金型に振動を加えて成形すること、並びに粘度(成形時弾性限界応力)は、0.095N/mm2 以下とするのが好ましいことが判明した。
そして、実施例10〜13の無機質板の場合には、骨材による自然外観性に優れていることが確認された。
【0046】
【表3】
【0047】
【発明の効果】
以上詳しく説明したとおり、この出願の発明によって、従来技術の問題点を解消し、抄造シートからの製造においては多量の骨材を使用することによるコスト負担や物性の確保が難しいという問題を解消し、また押出しシートからの製造においては、骨材が脱落したり、ランダムに散らばってしまうという問題を解消し、両者いずれの場合にも、より自然感のある外観性に優れた無機質板を製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の方法におけるセメント成形材料の嵩比重と骨材粒度、並びに最低必要散布量との関係を例示した図である。
【図2】この発明の方法を例示した工程斜視図である。
【図3】従来の方法を示した工程斜視図である。
【符号の説明】
1 抄造シート
2 セメント成形材料
2 骨材
4 プレス金型
5 無機質板
6 セメント成形材料と骨材との混合物
Claims (14)
- セメントと補強繊維を主成分とする抄造シート上に、セメントと補強繊維を主成分とする半乾式のセメント成形材料をその最低必要散布量が次式
y=125x+1000z−125
(ここで、yは、最低必要散布量(g/m2)を、xは、後工程で散布される散布用骨材の粒度(mm)を、zは、成形材料の嵩比重(g/cm3)を示す)
に従うものとして散布し、さらにその後異なる粒度の散布用骨材を後工程として散布し、次いで加圧成形することを特徴とする無機質板の製造方法。 - 散布用骨材を散布した後に散水し、次いで加圧成形する請求項1の製造方法。
- 抄造シートは、含水率が50〜120%である請求項1または2の製造方法。
- セメント成形材料は、そのミキサー後の嵩比重が0.5g/cm3以下
である請求項1ないし3のいずれかの製造方法。 - 散布用骨材は、その粒度が4.0mm以下である請求項1ないし4のいずれかの製造方法。
- 散布用骨材は、天然色もしくは人工着色した1種以上の色調のものである請求項1ないし5のいずれかの製造方法。
- 散水は、20g/m2〜220g/m2で行う請求項2の製造方法。
- 請求項1ないし7のいずれかの製造方法において、抄造シート上に散布する半乾式のセメント成形材料には混合用骨材を混合して散布する無機質板の製造方法。
- セメント成形材料に混合する混合用骨材の粒度は3mm以下である請求項8の製造方法。
- 混合用骨材は、その割合が20体積%以下とする請求項8または9の製造方法。
- セメントと補強繊維を主成分として押出しシートの成形時弾性限界応力を0.095N/mm2以下とした押出しシート上に異なる粒度の骨材を散布し、次いで金型との間のエアーを抜きながら振動を加えて加圧成形することを特徴とする無機質板の製造方法。
- 散布する骨材の粒度を4.0mm以下とする請求項11の製造方法。
- 骨材は、天然色もしくは人工着色した1種以上の色調のものである請求項11または12の製造方法。
- 骨材の散布前に、押出しシートの骨材散布面には、骨材の最大粒径に相当する凹凸を形成する請求項11ないし13のいずれかの製造方法。
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