JP4294310B2 - 軽量気泡コンクリートパネルの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面に化粧が施された軽量気泡コンクリートパネル(以下ALCパネルと呼ぶ)及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ALCパネルは、補強鉄筋等を内在させて補強した軽量な既製パネルであり、例えば幅60センチ、長さ数メートルの大きなパネルとして知られている。このALCパネルは、経済性、軽量性、耐火断熱性、加工性に優れているという特性を有しており、建築業界において個人住宅、店舗付住宅、ビルディングの屋根、床、外壁及び間仕切り材等として多用されている。
【0003】
しかし、ALCパネルはこのように諸性質の優れた材料であるが、生産効率上、一般にフラットな平面を持ったパネルとして生産される為、外壁材として使用する場合、意匠性に乏しい。またALCパネルは、素材自体が吸水性を有している、製造の際石灰質原料を使用している等の理由から、施工現場において、美装、防水処理、耐酸等を目的に塗装が行われているのが一般的である。
そこで従来からこれらの課題を克服するために、ALCパネル表面にデザイン溝を形成する方法(特許文献1:特開昭58−160106号公報、特許文献2:特開昭59−167203号公報)、ショットブラスト法によりALCパネル表面に凹部を形成する方法(特許文献3:特開昭63−25284号公報)、等が提案されている。しかし、これらの技術で得られる意匠は機械的で画一的なものに限定されること、建物の外壁として使用する場合、施工現場で塗装が必要となる、等の課題を抱えている。
【0004】
また、二色の色分けされた着色壁板を製造する方法(特許文献4:特開昭55−75978号公報、特許文献5:特開平2−252674公報)が提案されているが、何れも凹部の刻設方法が切削手段によるものであるため、得られる意匠がブロック調、縞模様状等の単調なものに限定されてしまう、等の外観上の課題がある。
さらに、ALCパネル表面にALCとの密着性が良好で、かつ、膨張、収縮係数が類似のモルタル組成物のスラリーを塗布し、表面硬化後に表面を研磨する方法(特許文献6:特開平11−278962号公報)が提案されているが、得られるALCパネルが平滑なものに限定されること、施工の際防水性能を付与するためシラー処理等を行う必要がある、といった課題を抱えている。
【0005】
【特許文献1】
特開昭58−160106号公報
【特許文献2】
特開昭59−167203号公報
【特許文献3】
特開昭63−25284号公報
【特許文献4】
特開昭55−75978号公報
【特許文献5】
特開平2−252674公報
【特許文献6】
特開平11−278962号公報
【0006】
【本発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の課題を解決する為に創案されたもので、意匠性、防水性能、耐久性に優れるALCパネル表面に、化粧層が積層された化粧ALCパネルの製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は上記の課題を達成したものであり、それは次の通りである。
(1) ALCパネル表面に、ポルトランドセメント100重量部に対して、骨材140〜1000重量部の混合粉体原料と、ノニオン系分散剤によりエマルジョン化したアクリルラテックスの固形分換算重量10〜40重量部とからなる色の異なるモルタル組成物を二層以上塗布した後、該モルタル組成物の少なくとも一層以上を圧縮強度0.2〜10kg/cm2の半硬化状態で気流、水流、押圧、彫塑、引っ掻きの物理的手段で表面加工し、化粧層として積層させることを特徴とした軽量気泡コンクリートパネルの製造方法。
(2) (1)記載のモルタル組成物に、さらに、粉体着色顔料0.1〜20重量部を加えることを特徴とする請求項1記載の軽量気泡コンクリートパネルの製造方法。
【0008】
以下、本発明について詳細に説明する。
まず、本発明の例を図1〜図10に示す。
本発明の下地に用いるALCパネル1とは、次のような製造方法によって得られたものをいう。
例えば、石灰質原料、珪酸質原料に水、発泡剤等が加えられたモルタルスラリーを補強鉄筋が多数配置された型枠に注入し、気泡を含む型枠状の大きなブロックを、硬化途中の半硬化状態でピアノ線を用いて切断し、オートクレーブ養生したものである。
【0009】
本発明でいうALCパネル1とは、大きさや形状はどのようなものも含み、補強鉄筋の形状や切削加工によって所定の形状に切断されたもの、建物の外壁材、間仕切り材として使用されるフラットパネル、外壁の出隅部及び入り隅部に利用されるL字型、R型のコーナーパネル、該パネル表面にデザイン溝がないもの、及びデザイン溝があるもの、等があげられる。
本発明で用いるモルタル組成物2としては、ポルトランドセメント、骨材、ノニオン系分散剤によりエマルジョン化したアクリルラテックス、及び粉体着色顔料から成る組成物に適量の水を添加したものが好ましいがこれに限られるものではない。
【0010】
骨材としては、下地として用いるALCパネル1の物性値に適したものにするのが一般的であるが、例えば、シリカ粉体、炭酸カルシウム、ALC粉末、珪砂、黒曜石パーライト、粘土鉱物、等が良く、好ましくは、ALC粉末、黒曜石パーライトを使用するのが良い。骨材の粒径は、1.2mm以下のものが好ましく、1.2mmより大きい場合には、後述する塗布方法に悪影響を与える。
骨材の添加量は140〜1000重量部が好ましく、140重量部より少ない場合は、硬化、乾燥収縮が大きくなるためモルタル組成物表面に亀裂が発生しやすく、1000重量部より多い場合には、ALC並みの強度が得られない。
【0011】
アクリルラテックスエマルジョンは、ノニオン系分散剤でエマルジョン化したアクリルラテックスが適しており、同じアクリルラテックスエマルジョンでも、例えばカルボン酸などを官能基に持つアニオン系分散剤でエマルジョン化したアクリルラテックスを用いると、セメント中のカルシウムイオンが減少し、硬化遅延を起こし、亀裂等が発生する。
ノニオン系分散剤でエマルジョン化したアクリルラテックス量が、固形分換算で40重量部より多い場合には、セメントの水和に支障が生じ、硬化時間が著しく長くなってしまう。固形分換算で10重量部より少ないとALCとの付着性が著しく低下し、またモルタル組成物自体に充分な防水性能が得られない。
【0012】
アクリルラテックスの量は、ポルトランドセメント100重量部に対して35重量部以下が好ましく、全固形分に対して5重量%以上の添加量が好ましい。ポルトランドセメントに対して35重量部を越えるとセメントの水和に支障を生じ、硬化形成時間が著しく長くなってしまう。全固形分に対して5重量%を下回ると、防水性能、軽量気泡コンクリートとの付着性能が低下してしまう。
【0013】
着色顔料としては、ベンガラ、ニッケルチタンイエロー、黄色酸化鉄、黄鉛、群青、紺青、コバルトブルー、カーボンブラック、酸化チタン、コバルト緑等の無機粉体顔料が使用できる。他にペースト顔料の使用も可能であるが、粉体顔料を分散させるために使用する界面活性剤の種類によっては、セメントの硬化遅延を起こすおそれがあるため、粉体顔料の使用が好ましく、さらに好ましくは耐候性の優れる無機粉体顔料の使用が良い。
着色顔料の添加量は、0.1〜20重量部が好ましく、この範囲で優れた着色効果を奏する。
【0014】
また、該モルタル組成物をALCパネルに塗布した後、垂れが発生する場合は、該モルタル組成物に増粘性を付与するのが良く、例えば、メチルセルロース等を少量添加するのが良い。
また、モルタル組成物2の塗布方法は、こて塗り、流し込み、塗装用スプレー、万能ガン、等で行うが、ALCパネルの意匠性、生産性、製造コスト等から決定するのが一般的である。モルタル組成物の粘度が高く、人手による作業で塗布する場合は、こて塗りが良く、塗料粘度が低く、機械で塗布出来るモルタル組成物を使用する場合は、流し込みやスプレー塗布を選択するのが良い。
【0015】
本発明の加工とは、該モルタル組成物が半硬化の時期に、気流、水流、押圧、彫塑、引っ掻き、等の物理的手段により施すものであり、主に得ようとする化粧層の形状によって選択される。
例えば、任意の形状の化粧層を得る場合は、押圧、彫塑が適している。押圧は、図5に示すような任意の形状の意匠ローラー10等を用い、該モルタル組成物2に圧縮力を与えて加工する。彫塑は、図7に示すような意匠型枠14等を用いて任意の形状にしておいた該モルタル組成物2をALCパネル表面1に貼付して加工する。
【0016】
なだらかな自然な凹凸模様を付与する場合は、気流、水流が適している。気流は、図1に示すような噴出ノズル5等を連結させた用具で空気等の気体を噴出させ、該モルタル組成物2に直接衝突させて表面加工する。また、水流は、図3に示すような噴出ノズル8等を連結させた用具で水を噴出させ、該モルタル組成物2に散水または衝突させて表面加工する。
スクラッチ模様を得る場合は、引っ掻きによる表面加工が適しており、該モルタル組成物2を図9に示すような突起部が列設された引っ掻き用具16等で引っ掻くことにより表面加工出来る。
【0017】
本発明でいうモルタル組成物2の圧縮強度とは、ALCパネル1の表面に塗布した後、硬化を開始してから完了するまでの途中の時期に測定し得られる物性値であり、その最適値は該モルタル組成物2の加工方法、化粧層の形状、生産性、製造コスト等により定まる。
例えば、気流により凹凸模様を得る場合は、該モルタル組成物2の圧縮強度が0.2〜1.0kg/cm2の時期に実施するのが良いが、好ましくは0.3〜0.6kg/cm2の範囲で実施するのが良い。これは、0.3kg/cm2未満だと、該モルタル組成物がALCパネル周辺で飛散し易くなり、また、0.6kg/cm2を超えると、大量の気流が必要となり、生産効率低下、製造コストのアップが発生するためである。
【0018】
水流により凹凸模様を得る場合は、該モルタル組成物2の圧縮強度が0.2〜10kg/cm2の時期に実施するのが良いが、好ましくは2〜5kg/cm2の範囲で実施するのが良い。これは、2kg/cm2未満だと、水流により該モルタル組成物がすぐに流動性を持ち、凹凸模様の形成が困難になるためであり、また、5kg/cm2を超えると、大量の水流が必要となり、生産効率低下、製造コストのアップが発生するためである。
押圧により化粧層を形成させる場合は、0.2〜10kg/cm2の時期に実施するのが良いが、好ましくは0.5〜5kg/cm2の範囲で実施するのが良い。これは、0.2kg/cm2未満だと、該モルタル組成物2が軟らか過ぎて加工後に型崩れを起こす恐れがあり、また、5kg/cm2を超えると、必要とする押圧が大きくなり、加工性が低下するためである。
【0019】
彫塑により化粧層を形成させる場合は、0.2〜3kg/cm2の時期に実施するのが良いが、好ましくは0.5〜2kg/cm2の範囲で実施するのが良い。これは、0.5kg/cm2未満だと、成型した該モルタル組成物2が軟らかすぎて変形し易くなるためであり、また、2kg/cm2を超えると、該モルタル組成物が固すぎて成型し難くなるためである。
引っ掻きにより化粧層を形成させる場合は、0.2〜5kg/cm2の時期に実施するのが良いが、好ましくは0.5〜3kg/cm2の範囲で実施するのが良い。これは、0.5kg/cm2未満だと、成型した該モルタル組成物が軟らかすぎて引っ掻き跡が元の形状に戻り易くなるためであり、また、3kg/cm2を超えると、該モルタル組成物2が固すぎて引っ掻き跡が形成され難いためである。
【0020】
本発明は、ALCパネル表面に、モルタル組成物を二層以上塗布した後、該モルタル組成物の少なくとも一層以上を半硬化状態で気流、水流、押圧、彫塑、引っ掻き、等の物理的手段で加工し化粧層として積層させるALCパネルの製造方法であるため、従来のALCパネルには無い意匠性、防水性能、耐久性を有しており、また、従来のALC製造方法では達成できなかった課題を克服した製造方法と言える。
【0021】
【発明の実施の形態】
次に、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。
ALCパネルの、面積の大きい一面に対してモルタル組成物を塗布し、該モルタル組成物の圧縮強度が所定の値に達した時に任意の表面加工を行い、作製サンプルの意匠性評価を実施した。
尚、モルタル組成物はALC表面に総塗布量が8kg/m2となるように数回に分けて万能ガンで吹き付けた。
【0022】
【実施例1】
図1に示すようなALCパネル1に、普通ポルトランドセメント100重量部、ALC粉末40重量部、黒曜石パーライト100重量部、ノニオン系分散剤によりエマルジョン化したアクリルラテックス30重量部(固形分換算)、ベンガラ5重量部、メチルセルロース1重量部、適量の水から成るモルタル組成物2−aを塗布した後、次いで該モルタル組成物2−a中の着色顔料をニッケルチタンイエロー10重量部に置き換えたモルタル組成2−bを塗布し、2−a、2−bの圧縮強度がそれぞれ、0.3kg/cm2、0.5kg/cm2の時期に、図1に示した用具で該モルタル組成物2−a、2−bに気流6を衝突させることにより、自然な凹凸模様を有する化粧層が積層されたALCパネル図2を得ることが出来た。
その結果、化粧層が二色から成る岩肌調の意匠性を有していることを確認した。
【0023】
【実施例2】
図3に示すようなALCパネル1に、普通ポルトランドセメント100重量部、ALC粉末40重量部、黒曜石パーライト100重量部、ノニオン系分散剤によりエマルジョン化したアクリルラテックス30重量部(固形分換算)、ベンガラ5重量部、メチルセルロース1重量部、適量の水から成るモルタル組成物モルタル組成物2−aを塗布した後、次いで該モルタル組成物2−a中の着色顔料をニッケルチタンイエロー5重量部に置き換えたモルタル組成2−bを塗布し、次いで該モルタル組成物2−a中の着色顔料をカーボンブラック5重量部に置き換えたモルタル組成2−cを塗布し、中層、上層となる2−b、2−cの圧縮強度がそれぞれ、6.0kg/cm2、5.0kg/cm2の時期に、図3に示した用具で該モルタル組成物2−b、2−cに水流9を衝突させることにより、自然な凹凸模様を有する化粧層が積層されたALCパネル図4を得ることが出来た。
その結果、化粧層が三色から成る砂岩調の意匠性を有していることを確認した。
【0024】
【実施例3】
図5に示すようなALCパネル1に、普通ポルトランドセメント100重量部、ALC粉末40重量部、黒曜石パーライト100重量部、ノニオン系分散剤によりエマルジョン化したアクリルラテックス30重量部(固形分換算)、ベンガラ5重量部、メチルセルロース1重量部、適量の水から成るモルタル組成物2−aを塗布した後、次いで該モルタル組成物2−a中の着色顔料を酸化チタン10重量部に置き換えたモルタル組成2−bを塗布し、次いで該モルタル組成物2−a中の着色顔料をニッケルチタンイエロー5重量部に置き換えたモルタル組成2−cを塗布し、中層、下層となる2−a、2−bの圧縮強度がそれぞれ、3.0kg/cm2、2.0kg/cm2の時期に、図5に示した意匠ローラー10で該モルタル組成物2−a、2−bを押圧させることにより、自然な凹凸模様を有する化粧層が積層されたALCパネル図6を得ることが出来た。
その結果、化粧層が上層色、下層色、及び上下層の混合色から成る自然な砂岩調の意匠性を有していることを確認した。
【0025】
【実施例4】
図7に示すようなALCパネル1に、普通ポルトランドセメント100重量部、ALC粉末40重量部、黒曜石パーライト100重量部、ノニオン系分散剤によりエマルジョン化したアクリルラテックス30重量部(固形分換算)、ベンガラ5重量部、メチルセルロース1重量部、適量の水から成るモルタル組成物2−aを塗布した後、該モルタル組成物2−a中の着色顔料を酸化チタン10重量部に置き換えたモルタル組成2−bを、圧縮強度が1.0kg/cm2の時期に図7に示すような意匠型枠14を用いて予め成型しておき、次いで成型後の該モルタル組成物2を、該モルタル組成物の2−a上に貼付することにより、色の異なる二層の化粧層から成るALCパネル図8が得られた。
その結果、化粧層が下地と異なる色の石が貼られたような自然な意匠性を有していることを確認した。
【0026】
【実施例5】
図9に示すようなALCパネル1に、普通ポルトランドセメント100重量部、ALC粉末40重量部、黒曜石パーライト100重量部、ノニオン系分散剤によりエマルジョン化したアクリルラテックス30重量部(固形分換算)、ベンガラ5重量部、メチルセルロース1重量部、適量の水から成るモルタル組成物2−aを塗布した後、次いで該モルタル組成物2−a中の着色顔料をカーボンブラック10重量部に置き換えたモルタル組成2−bを塗布し、該モルタル組成物2−a、2−bの圧縮強度がそれぞれ、2.0kg/cm2、1.0kg/cm2の時期に、図9に示した引っ掻き用具16で引っ掻き加工することにより、ささくれ状のキズが入った化粧層が積層されたALCパネル図10を得ることが出来た。
その結果、化粧層がスクラッチ模様風の意匠性を有していることを確認した。
【0027】
【比較例1】
図1に示すようなALCパネル1に、普通ポルトランドセメント100重量部、ALC粉末40重量部、黒曜石パーライト100重量部、ノニオン系分散剤によりエマルジョン化したアクリルラテックス30重量部(固形分換算)、ベンガラ5重量部、メチルセルロース1重量部、適量の水、から成るモルタル組成物2−aを塗布した後、次いで該モルタル組成物2−a中の着色顔料をニッケルチタンイエロー10重量部に置き換えたモルタル組成2−bを塗布し、2−a、2−bの圧縮強度がそれぞれ、0.02kg/cm2、0.03kg/cm2の時期に、図1に示した用具で該モルタル組成物2−a、
2−bに気流6を衝突させた。
その結果、該モルタル組成物2−a、2−bがALCパネル1の周辺に飛散し、目的とする形状の化粧層は得られなかった。
【0028】
【比較例2】
図5に示すようなALCパネル1に、普通ポルトランドセメント100重量部、ALC粉末40重量部、黒曜石パーライト100重量部、ノニオン系分散剤によりエマルジョン化したアクリルラテックス30重量部(固形分換算)、ベンガラ5重量部、メチルセルロース1重量部、適量の水から成るモルタル組成物2−aを塗布した後、次いで該モルタル組成物2−a中の着色顔料を酸化チタン10重量部に置き換えたモルタル組成2−bを塗布し、次いで該モルタル組成物2−a中の着色顔料をニッケルチタンイエロー5重量部に置き換えたモルタル組成2−cを塗布し、中層、下層となる2−a、2−bの圧縮強度がそれぞれ、0.02kg/cm2、0.03kg/cm2の時期に、図5に示した意匠ローラー10で該モルタル組成物2−a、2−bを押圧させた。
その結果、押圧後のモルタル組成物2−a、2−b、2−cは変形し、目的とする形状の化粧層は得られなかった。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、ALCパネル表面に、表面加工されたモルタル組成物が化粧層として積層されているため、意匠性、防水性能、及び耐久性に優れたALCパネルを得るための製造方法を提供することが出来、また、最終仕上げパネルとして施工出来るため、通常施工現場で行われている塗装等の施工を省略することが出来、工期短縮、作業性向上を図ることが出来る。
以上から、本発明は、従来のALCパネル、及びALCパネル製造技術が抱えていた課題の全てを解決しており、差別化、個性化、高付加価値化等の近年の建築市場ニーズに十分対応し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】半硬化状態のモルタル組成物を気流により表面加工している様子を表す断面図である。
【図2】実施例1の方法で表面加工したALCパネルの断面図である。
【図3】半硬化状態のモルタル組成物を水流により表面加工している様子を表す断面図である。
【図4】実施例2の方法で表面加工したALCパネルの断面図である。
【図5】半硬化状態のモルタル組成物を押圧により表面加工している様子を表す断面図である。
【図6】実施例3の方法で表面加工したALCパネルの断面図である。
【図7】半硬化状態のモルタル組成物を彫塑により表面加工している様子を表す断面図である。
【図8】実施例4の方法で表面加工したALCパネルの断面図である。
【図9】半硬化状態のモルタル組成物表面を引っ掻き加工している様子を表す断面図である。
【図10】実施例5の方法で表面加工したALCパネルの断面図である。
【符号の説明】
1 ALCパネル
2 モルタル組成物
3 凹凸部
4 送気ホース
5 噴出ノズル(気体用)
6 気流
7 送液ホース
8 噴出ノズル(液体用)
9 水流
10 意匠ローラー
11 意匠ローラーの回転方向
12 意匠ローラーの加圧方向
13 意匠ローラーの進行方向
14 意匠型枠
15 意匠型枠の加圧方向
16 引っ掻き用具
17 ささくれ状のキズ
Claims (2)
- 軽量気泡コンクリートパネル表面に、ポルトランドセメント100重量部に対して、骨材140〜1000重量部の混合粉体原料と、ノニオン系分散剤によりエマルジョン化したアクリルラテックスの固形分換算重量10〜40重量部とからなる色の異なるモルタル組成物を二層以上塗布した後、該モルタル組成物の少なくとも一層以上を圧縮強度0.2〜10kg/cm2の半硬化状態で気流、水流、押圧、彫塑、引っ掻きの物理的手段で表面加工し、化粧層として積層させることを特徴とする軽量気泡コンクリートパネルの製造方法。
- 請求項1記載のモルタル組成物に、さらに、粉体着色顔料0.1〜20重量部を加えることを特徴とする請求項1記載の軽量気泡コンクリートパネルの製造方法。
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