JP3738560B2 - ポリエステルの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はポリエチレンナフタレート(以下、PENと称す。)の製造方法に関し、詳しくは、PEN樹脂の回収品をPENの合成工程に循環して再利用できる方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性ポリマーフィルムは、包装用フィルム、製版基板、印刷用フィルム、ラミネートフィルム、写真用支持体(例えば映画用フィルム、X線フィルムなど)、磁気記録媒体あるいは光ディスク等の支持体として広く使用されている。
【0003】
例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと称す。)に代表されるポリエステル系樹脂のフィルムは、寸法安定性、機械的強度、透明性等の特性に優れていることから、特に繊維、フィルム、シート、ボトル等の成形用材料写真用支持体、磁気記録媒体の支持体として使用されている。PETの製造方法としては、例えば特開平7−207009号公報にて特定の予測モデルにより、最終重合反応器の真空度を制御しながら重合を行う製造方法が提案されている。
【0004】
またPETは特に写真分野においても従来からレントゲンフィルム、リスフィルム等のシート状画像形成感光材料の支持体として多く利用されているが、そのシートを製造する際に発生する規格外品やシート長手方向の両端部分(以下、耳と称す。)を切り落とした屑は細かく裁断したり、再度溶融押出しを行ってペレット状に加工した後、いわゆる回収品として新品のPETに混合されることによりリサイクルされ、使用されてきた。
【0005】
これに対して、さらに高い強度を有するポリエチレンナフタレート樹脂は、電気部品、磁気記録材料用支持体、ボトル用原料、各種フィルム用原料などとして用途開発が進められて来ているが、特に近年PENの優れた物性を応用して商品化されたAPS(Advanced Photo System:新写真システム、たとえば「写真工業」1996年3月号 P.27〜P.30参照)のように高品質が要求されるフィルムにおいては、従来PETで行われていた回収手法を取ることが工業的に困難であることが分かってきた。即ち拡大倍率が大きく、画像上のわずかな欠陥が商品価値を著しく損なう製品については、フィルム内の異物が光を遮蔽することによる画像の白抜け等のトラブル等は許容できない状況である。
【0006】
従来の35mmネガフィルムなどはセルローストリアセテート(以下、TACと称す。)フィルムが用いられており、このTACは溶剤に溶かすことが出来るため常温で低粘度に調製した溶液をろ過することが出来、その結果、画像の欠陥となる微小な異物の除去を比較的簡単に行うことが出来る。しかし、PENは溶剤に溶解することが出来ないため、加熱溶融しなければならず、280℃〜300℃程度の溶融温度で5000poise〜7000poiseの高粘度を示すポリマーを熱劣化を進行させないように短時間でろ過することが重要な課題である。
【0007】
この点に関して、フィルムを製造する際、全てバージン原料を用いれば異物の混入がコントロールできるため、ポリマーフィルターのろ過面積が比較的小さい、即ち滞留による劣化の少ない高精度ろ過が可能であるが、異物の多い回収品を混合するとポリマーフィルターの寿命が著しく短くなり、生産性が損なわれる問題がある。これを改善するためにフィルター寿命を長くすべく、ろ過面積を増やすことは直ちに滞留時間の増加になり、ポリマーの熱劣化を促進する。それに加えて、既に1回溶融成形工程を経て熱履歴を受けている回収品を再度溶融する際の熱劣化が懸念される。
【0008】
このような状況でも、PEN樹脂の回収品を写真用途以外の、例えば包装用フィルムや成形品などに加工してリサイクルすることは容易であるが、低いグレードへのリサイクルは商品価値が下がることから商業的に不利であり、また、昨今の環境保全に対する世界的な流れに対応しようとすれば、同一製品のなかでリサイクルに関して閉ループを形成することが望ましく、系外へ廃棄物、副生物を出すことなしに、自社内で完全リサイクル出来ることが切望されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、PEN樹脂の回収品を再利用する際、分子量の低下、異物の増大等、PENの品質を損なうことなく、又、PEN合成工程のうち特にハンドリングの困難なポリマーフィルターでの差圧上昇、寿命低下、切り換えロス増大、滞留によるゲルやコゲの増加等を抑制して、高品質が要求される写真用途にリサイクルできる方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、2,6ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステルを主とするエステル形成性誘導体とエチレングリコールを主とするジオール化合物をエステル交換反応させてポリエチレンナフタレートを製造する際に、該エステル交換反応による副生メタノールの留出が始まる前に回収ポリエチレンナフタレート樹脂を添加することを特徴とするポリエチレンナフタレートの製造方法によって達成された。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明において使用される回収ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂はナフタレンジカルボン酸を主たる酸成分とし、エチレングリコール(EG)を主たるグリコール成分とするものである。回収PEN樹脂の添加量は製造されるPEN(回収PENを含む。)の5重量%以上、好ましくは10重量%以上であり、50重量%以下、好ましくは30重量%以下が望ましい。
【0012】
エステル成形性誘導体として使用される多塩基酸はナフタレンジカルボン酸、例えば、2,6ナフタレンジカルボン酸、2,7ナフタレンジカルボン酸、1,5ナフタレンジカルボン酸、これらの低級アルキルエステル等を主とするものであるが、この中でも2,6ナフタレンジカルボン酸ジメチルが好ましい。このナフタレンジカルボン酸は全多塩基酸の80モル%以上であることが望ましい。他の多塩基酸としては、イソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸、ジフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸およびその誘導体、低級アルキルエステル(低級アルキルとしては、メチル、エチル、プロピルまたはブチルが好ましく特にメチルエステルが好ましい)、シクロプロパンジカルボン酸、シクロブタンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの脂環族ジカルボン酸およびその誘導体、低級アルキルエステル(好ましいアルキルは上記と同じ)、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸およびその誘導体、低級アルキルエステル(好ましいアルキルは上記と同じ)などを使用することができる。
【0013】
ジオール化合物として使用されるグリコールは、エチレングリコールを主とするものであり、全グリコール中の少なくとも80モル%、特に90モル%以上であることが好ましい。エチレングリコール以外の成分としては、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ジエチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチレングリコール、p−キシレングリコール、1,4シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、p,p'ジフェノキシスルフォン、1,4ビス(βヒドロキシエトキシ)ベンゼン、2,2ビス(p−βヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ポリアルキレン(例、エチレン、プロピレン)グリコール、及びpフェニレンビス(ジメチロールシクロヘキサン)等を使用することができる。
【0014】
多塩基酸とグリコールのモル比は多塩基酸のカルボキシル基(エステル等アルコール性水酸基と反応しうる誘導体基を含む。)とグリコールのアルコール性水酸基との比で1:1.7〜1:3.0程度、好ましくは1:2.1〜1:2.4程度が適当である。
【0015】
本発明のポリエステル樹脂の製造における、エステル化反応、エステル交換反応、重縮合にはそれぞれ公知の触媒を使用することが出来る。
【0016】
エステル化反応の促進のため、またはエステル交換のためには下記の触媒を用いることもできる。例えば酢酸マンガン、酢酸コバルト、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸カドミウム、酢酸亜鉛、酢酸鉛、酸化マグネシウム、酸化鉛、及びそれらの混合物などが使用出来る。触媒の使用量は30〜100ppm程度が適当である。
【0017】
エステル交換反応は150〜260℃程度、好ましくは190〜230℃程度で0.5〜4時間程度保持することによって行わせることができる。その間反応を均一に進行させるために適宜攪拌を行う。エステル交換反応の開始によってメタノールが留出してくる。本発明では回収PEN樹脂をこのメタノールの留出が始まる前に添加する。メタノール蒸気が発生すると回収PEN樹脂の投入がハンドリング上困難になり、メタノールの留出は原料が反応していることを意味するエチレングリコールが反応して消費されてしまうと解重合が進みにくくなるという反応量の問題に対処するのがその理由である。回収PEN樹脂の添加は厳密にメタノールの留出前でなくとも、例えばエステル交換反応が多少、例えば2割程度進行した時点まででもよい。添加した回収PEN樹脂はこのエステル交換反応が行われている間に解重合し、液化する。
【0018】
このエステル交換反応によって1量体〜4量体程度のオリゴマーが主に生成する。この反応液を次に重縮合反応させるが、その前にフィルターで濾過しておくことが好ましい。最終的に得られるポリマーは写真用途であれば、光学的に画像の欠陥となる異物を除去するため、フィルターは直径5ミクロン程度以上の懸濁物の通過を阻止しうる程度のものが好ましい。
【0019】
次いで、反応液を重縮合反応槽に移して重縮合反応を行う。この重縮合反応の触媒には、例えば三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、三弗化アンチモン、硫化アンチモン、アンチモントリブチレート、アンチモンエチレングリコラート、アンチモン酸カリウム、酢酸アンチモン、三塩化アンチモン、二酸化ゲルマニウム、三酸化ゲルマニウム、酢酸マンガン、酢酸亜鉛、酢酸鉛、安息香酸塩、チタンアルコキシド、チタン酸のアルカリ金属塩、それらの混合物などが使用できる。触媒の使用量は100〜300ppm程度が適当である。
【0020】
重縮合反応は230〜300℃程度、好ましくは230〜280℃程度で1〜5時間保持することによって行う。圧力は副生物の生成速度を見ながら徐々に減圧し、最終的に1torr以下とする方法が一般的であるが、減圧せずにN2ガス等不活性気体を流入させて反応を促進する方法でもよい。
【0021】
反応装置は連続式反応装置、回分式反応装置のいずれであってもよい。
【0022】
本発明のPEN樹脂には目的に応じて、適宜、他の金属化合物や含窒素塩基性化合物、酸化防止剤、滑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、顔料、染料、遮光剤、フィラー類等を添加してもよい。これらは重縮合反応工程あるいはその前後において添加できる。
【0023】
以下の実施例、比較例におけるPENの分析方法を示す。
[極限粘度(IV)の測定]
得られたPENフィルムをフェノールと1,2,2テトラクロルエタン(重量比で3:2)の混合溶媒に溶解し、ウベローデ粘度計で25℃にて測定した。
【0024】
[フィルム内異物の測定]
二軸配向PENフィルムの任意の5mm角について、偏光光学顕微鏡(40倍)で異物周囲のボイド部分の偏光が確認出来るものをピックアップしカウントする。更にこれらを高倍率で、偏光板を外した状態で、色と長軸長さを計測した。
【0025】
この作業を1セットとし異物の量に応じて5〜20セット行った。
【0026】
図1に以下の実施例、比較例で用いた回分式製造装置の構成を示す。この装置は従来、テレフタル酸とエチレングリコールを原料とするポリエチレンテレフタレート等のいわゆる直重反応に使用されていたものを一部改造して用いた。
【0027】
この装置はエステル交換反応槽3と重縮合反応槽9よりなっている。エステル交換反応槽3にはモーター1aの駆動により変減速機2aを介して回転するパドル形攪拌翼4が取付けられ、さらに蒸留塔5が頂部に接続されている。蒸留塔5からは熱交換器6を経て留出液を受ける貯槽7が接続されている。
【0028】
エステル交換反応槽3の底部からはオリゴマーフィルター8に配管接続され、そこからさらに重縮合反応槽9の頂部に接続されている。
【0029】
重縮合反応槽9にもモーター1b、変減速機2bにより回転する2重螺旋形攪拌翼10が取付けられている。また、底部からはダイヘッド11に配管され、さらに冷却水槽12、カッター14が配設されている。
【0030】
エステル交換反応槽3および重縮合反応槽9にはいずれも加熱装置が付設されている。
【0031】
多塩基酸、グリコール、回収PEN樹脂、触媒等がエステル交換反応槽3に仕込まれ、加熱、攪拌することによってエステル交換反応が進行する。それに伴って発生する蒸気は蒸留塔5に入りエチレングリコール等は反応槽3に戻されるがメタノールは熱交換器6で冷却液化して貯槽7に溜まる。反応終了後、反応液はオリゴマーフィルター8で濾過されて重縮合反応槽9に入る。そこで、重縮合反応用の触媒が添加され、加熱、減圧、攪拌されて重縮合反応が進行する。反応終了後、槽内の溶融ポリマーはダイヘッド11からストランド状に押出されて冷却水槽12内で固化し、カッター14で切断されてペレット15になる。
【0032】
図2に、実施例および比較例で使用された、このペレットからシートを作製する溶融押出し装置の構成を示す。
【0033】
この装置は、ペレットのドライヤー付ホッパー21、溶融押出機22、フィルターエレメント26を内蔵しているフィルターハウジング25、ダイヘッド27、キャスティングドラム28およびニップローラー31からなっている。フィルターハウジング25の入口側および出口側にはそれぞれ圧力センサー23,24が取付けられている。キャスティングドラム28には静電印加電極29と耳抑えキャストローラー30が設けられている。
【0034】
上記溶融押出装置でPENペレットは減圧下、160℃で10時間乾燥した後、295℃に設定した押出し機22で押出され、3ミクロン球形粒子を100%捕集するステンレス製のポリマーフィルター26を通して80℃の回転ドラム28上にシート状に成形され、無定形シートとなる。その後このシートは縦延伸装置(図示せず)、横延伸装置(図示せず)を経て二軸配向PENフィルムとなる。
【0035】
縦延伸は押出したシートを加熱しながら周速度の異なる2組以上のニップローラー間を通過させることにより行うことが出来る。又、始めに横延伸を行った後に縦延伸を行うことも出来る。延伸倍率や延伸温度条件等によっては、始めに横延伸を行った後に縦延伸を行う方法が、厚みむらの少ないより均一な延伸フィルムを製膜することが出来る。
【0036】
【実施例】
比較例1
(PENの製造)
エステル交換反応槽に2,6ナフタレンジカルボン酸ジメチル(NDCMと称す。)123部、エチレングリコール(EGと称す。)80部を投入し、攪拌しながらエステル交換触媒として酢酸マンガン四水和物をポリマーの理論生成量に対して0.036部添加した後、更に攪拌しながら反応槽内を200℃まで加熱した。反応によって副生するメタノールを留出液貯槽に抜き出しながら反応槽内温度をしだいに上昇させて235℃とした。
【0037】
反応槽内を235℃に保ちメタノールの副生が終了したことを確認した後、蒸留塔の還流温度を200℃に設定し余剰EGを留出液貯槽に抜き出した。
【0038】
このような処理の後、反応生成物を5ミクロン球形粒子を100%捕集するステンレス製フィルターを通して重縮合反応槽に移し、トリメチル燐酸0.037部及び二酸化ゲルマニウム0.020部を添加した。
【0039】
重縮合槽外面に備えられた熱媒油ジャケットの温度を255℃から毎分5℃ずつ285℃迄上昇させながら、槽内をゆっくり減圧し、0.3torrとした。この状態を保ちながら約2時間重縮合反応を行い、攪拌翼に備えられたトルク計の指示値等を用いてポリマー粘度を計算し、6000poiseになったところでポリマーを重縮合槽から窒素圧力によって押出し、ダイヘッド、冷却水槽、カッターを通してペレットとした。
【0040】
(PENフィルムの製造)
上記製造方法にて得られたPENポリマーペレットを減圧下、160℃で10時間乾燥した後、295℃に設定した押出し機を用いて3ミクロン球形粒子を100%捕集するステンレス製のポリマーフィルターとダイヘッドを通して80℃の回転ドラム(キャスティングドラムと称す。)上にシート状に押出し、厚さ900ミクロンの無定形シートを得た。このシートを表面温度120℃で縦方向(長軸方向)に2.8倍に延伸し、ついで145℃で横方向に3.3倍に延伸した後、255℃で2秒間熱固定処理を行って厚さ90ミクロンの二軸配向PENフィルムを作成した。
【0041】
実施例1
(PENの製造)
エステル交換反応槽にNDCM96部、EG71部、更に写真用ネガフィルムとして用いた厚さ90ミクロンのPENフィルムをアルカリ水溶液にて表面の感光層などの塗布層を除去し、洗浄乾燥後細かく粉砕したフレーク41部を投入し、攪拌しながらエステル交換触媒として酢酸マンガン四水和物0.036部を添加した後、更に攪拌しながら反応槽内を200℃まで加熱した。反応によって副生するメタノールを留出液貯槽に抜き出しながら反応槽内温度をしだいに上昇させて235℃とした。
【0042】
反応槽内を235℃に保ちメタノールの副生が終了したことを確認した後、蒸留塔の還流温度を200℃に設定し余剰EGを留出液貯槽に抜き出した。
【0043】
このような処理の後、反応生成物を5ミクロン球形粒子を100%捕集するステンレス製フィルターを通して重縮合反応槽に移し、トリメチル燐酸0.037部及び二酸化ゲルマニウム0.020部を添加した。
【0044】
重縮合槽外面に備えられた熱媒油ジャケットの温度を255℃から毎分5℃ずつ285℃迄上昇させながら、槽内をゆっくり減圧し、0.3torrとした。この状態を保ちながら約2時間重縮合反応を行い、攪拌翼に備えられたトルク計の指示値等を用いてポリマー粘度を計算し、6000poiseになったところでポリマーを重縮合槽から窒素圧力によって押出し、ダイヘッド、冷却水槽、カッターを通してペレットとした。
【0045】
(PENフィルムの製造)
比較例1と同じ方法で厚さ90ミクロンの二軸配向PENフィルムを作成した。
【0046】
比較例2
(PENの製造)
比較例1と同じ方法でペレットを製造した。
【0047】
(PENフィルムの製造)
比較例1の製造方法にて得られたPENポリマーペレット70部と実施例1で用いた厚さ90ミクロンのPENフィルムをアルカリ水溶液にて表面の感光層などの塗布層を除去し、洗浄乾燥後細かく粉砕したフレーク30部を混合し減圧下、160℃で10時間乾燥した後、295℃に設定した押出し機を用いて3ミクロン球形粒子を100%捕集するステンレス製のポリマーフィルターを通して80℃の回転ドラム上にシート状に押出し、厚さ900ミクロンの無定形(無配向)シートを得た。このシートを120℃で縦方向(長軸方向)に2.8倍に延伸し、ついで145℃で横方向に3.3倍に延伸した後、255℃で2秒間熱固定処理を行って厚さ90ミクロンの二軸配向PENフィルムを作成した。
【0048】
以上の結果を表1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
【発明の効果】
本発明はPENの製造方法に関し、詳しくは、PEN回収品を再利用する際、分子量の低下、異物の増大等、PENの品質を損なうことなく又、PEN合成工程のうち特にハンドリングの困難なポリマーフィルターでの差圧上昇、寿命低下、切り換えロス増大、滞留によるゲルやコゲの増加等を抑制して、高品質が要求される写真用途にリサイクルする工業的に有利な方法に関するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例および比較例で使用したPEN製造装置の構成の概略を示す図である。
【図2】 本発明の実施例および比較例で使用した上記製造装置で製造されたペレットからシートを作製する溶融押出装置の構成の概略を示す図である。
【符号の説明】
1a,1b.モーター
2a,2b.変減速機
3.エステル交換反応槽
4.パドル形攪拌翼
5.蒸留塔
6.熱交換器(冷却器)
7.留出液貯槽
8.オリゴマーフィルター
9.重縮合反応槽
10.2重螺旋形攪拌翼
11.ダイヘッド
12.冷却水槽
13.冷却されたポリマーストランド
14.カッター
15.ポリマーペレット
21.ペレットのドライヤー付きホッパー
22.溶融押出し機
23.フィルター入口圧力センサ
24.フィルター出口圧力センサ
25.フィルターハウジング
26.フィルターエレメント
27.ダイヘッド
28.キャスティングドラム
29.静電印加電極
30.耳抑えキャストローラー
31.ニップローラー
32.無定形シート
Claims (3)
- 2,6ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステルを主とするエステル形成性誘導体とエチレングリコールを主とするジオール化合物をエステル交換反応させてポリエチレンナフタレートを製造する際に、該エステル交換反応による副生メタノールの留出が始まる前に回収ポリエチレンナフタレート樹脂を添加することを特徴とするポリエチレンナフタレートの製造方法。
- 請求項1において、回収ポリエチレンナフタレート樹脂の添加量が、製造されるポリエチレンナフタレートに対して5重量%以上50重量%以下であることを特徴とするポリエチレンナフタレートの製造方法。
- エステル交換反応後の反応液を、重縮合を開始する前に5ミクロン以下の目開きのフィルターでろ過することを特徴とする請求項1のポリエチレンナフタレートの製造方法。
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