JP3738538B2 - 車輪固定装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は車輪固定装置に関し、特にシャシーダイナモメータ(Chassis Dynamometer)用の車輪固定装置に適用して有用なものである。
【0002】
【従来の技術】
シャシーダイナモメータは、ローラ上に車両の駆動輪を乗せ、道路の代わり走行させて車両の動的試験を行うものであり、ローラ軸には実際の道路走行時と同じ負荷(走行抵抗)を与えて各種の測定を行うことができるものである。
【0003】
図6はかかるシャシーダイナモメータの一例を示す要部構成図、図7は前記シャシーダイナモメータに備えた従来の車輪固定装置の拡大側面図である。
【0004】
図6に示すように、図中左側にはローラ1が配置されており、このローラ1は増速機2の軸端にはめ込まれている。また、増速機2の出力軸側には、フライホイール4と、負荷装置である直流ダイナモメータ5とが結合されている。図中の3はタイヤ冷却ファン、11はエンジン冷却ファンである。
【0005】
そして、車両6の駆動輪7はローラ1上に乗せられる一方、従動輪8はストッパ9,10等からなる車輪固定装置によって固定されている。即ち、図7に示すように、従来の車輪固定装置は一対のストッパ9,10と、チェーン12と、ラチェット13とを有している。ストッパ9,10は、側面視が三角形状のものであり、それぞれの傾斜面9a,10aが、従動輪8の外周面の前後両側にそれぞれ当接されている。チェーン12は、従動輪8の外周面の上側に巻回されると共に、一端側がストッパ9に固定され、他端側がラチェット13に結合されている。ラチェット13は、一方が前述のようにチェーン12の他端側に結合されると共に、他方が棒状部材15を介して、ストッパ10に突設された突起14に掛止されている。
【0006】
従って、この車輪固定装置は次のような手順で従動輪8に装着される。
【0007】
まず、ストッパ9,10を従動輪8の外周面の前後両側にそれぞれ当接させる。その後、チェーン12を従動輪8の外周面の上側に巻回すると共に、ラチェット13の他方の棒状部材15をストッパ10の突起14に掛止させる。そして、ラチェット13のラチェットレバー13aを操作することにより、チェーン12の長さを短くして、従動輪8を上下に締め付ける。かくして、従動輪8は車輪固定装置によって固定される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の車輪固定装置では、ストッパ9,10を従動輪8に当接させた後にラチェットレバー13aを操作してチェーン12による従動輪8の締め付けを行うため、即ち、従動輪8に対するストッパ9,10の当接とチェーン12の締め付けとを、順次、個別に行うため、装着に手間がかかる。
【0009】
また、従動輪8の外周面に対するストッパ9,10の当たりが緩いため、試験中、ストッパ9,10と従動輪8の外周面との間に隙間が生じて、車両6が振動してしまう。
【0010】
更に、ストッパ10の突起14がタイヤフェンダ16に向かって突設されているため、従動輪とタイヤフェンダとの間隔が比較的狭い車両の場合には、突起14がタイヤフェンダと干渉してしまい、上記従来の車輪固定装置を使用することはできない。
【0011】
従って本発明は上記従来技術に鑑み、車輪に対するストッパの強固な当接とチェーンの締め付けとを同時に行うことができ、また、車輪とタイヤフェンダとの間隔が比較的狭くてもタイヤフェンダと干渉することがない車輪固定装置を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する第1発明の車輪固定装置は、車輪外周面の前後両側にそれぞれ当接される共に前記車輪の前後方向に移動可能な一対のストッパと、
前記車輪外周面の上側に巻回されると共に、一端側が前記一対のストッパのうちの何れか一方のストッパに結合され、他端側が前記一対のストッパのうちの何れか他方のストッパに設けた案内手段によってこの他方のストッパから前記一方のストッパ方向へと案内されるチェーンと、
このチェーンの他端側に一方が結合されると共に、他方が前記一方のストッパに結合されるラチェットとを有することを特徴とする。
【0013】
従って、この第1発明の車輪固定装置によれば、ラチェットによってチェーンの長さを短くすると、チェーンによって車輪が上下に締め付けられるのと同時に、一対のストッパがチェーンにより車輪の前後方向に移動されて相互に近づき、車輪外周面の前後両側に強固に当接する。
【0014】
また、第2発明の車輪固定装置は、第1発明の車輪固定装置において、
前記案内手段は、前記他方のストッパ内にあって、前記チェーンの他端側を上下方向から前記車輪外周面の幅方向へと方向転換せしめる第1案内部材と、前記他方のストッパの側部にあって、前記チェーンの他端側を前記幅方向から前記車輪の前後方向へと方向転換せしめる第2案内部材とを備えてなるものであることを特徴とする。
【0015】
従って、この第2発明の車輪固定装置によれば、第1案内部材と第2案内部材とがストッパの内部と側部とに設けられており、ストッパにはタイヤフェンダと干渉するような突起がないため、車輪とタイヤフェンダとの間隔が比較的狭い車両であっても、タイヤフェンダと干渉する虞はない。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0017】
図1(a)は本発明の実施の形態に係る車輪固定装置の側面図、図1(b)は前記車輪固定装置の平面図、図2は前記車輪固定装置のストッパを抽出して示す拡大斜視図である。
【0018】
図1に示すように、本実施の形態に係る車輪固定装置は、シャシーダイナモメータの車輪固定装置であって、一対のストッパ21,22と、チェーン20と、ラチェット23とを有している。
【0019】
ストッパ21,22は、側面視が三角形状のものであり、それぞれの傾斜面21a,22aが、従動輪8の外周面の前後両側にそれぞれ当接されている。チェーン20は、従動輪8の外周面の上側に巻回されると共に、一端側が車両後側のストッパ21に固定され、他端側が車両前側のストッパ22に設けられた案内手段(詳細後述)によりこのストッパ22からストッパ21の方向へと案内されてラチェット23の一方に結合されている。ラチェット23は、一方が前述のようにチェーン20の他端側に結合されると共に、他方が棒状部材31を介して、ストッパ21の側面に回転自在に結合されている。
【0020】
また、ストッパ21,22は、ベース板26,27に固定されており、ベース板26,27の基端部は、従動輪8の前後方向に延びるレール30上を移動可能に設けられた移動板28,29に固定されている。従って、ストッパ21,22は、レール30に沿って前記前後方向に移動することができる(図1中の矢印C,D参照)。
【0021】
図1及び図2に示すように、前記案内手段は第1滑車24と、第2滑車25とを備えてなるものである。第1滑車24は、ストッパ22内に水平軸回りに回転自在に設けられており、チェーン20の他端側を上下方向から従動輪8の外周面の幅方向(図2中の矢印A方向)へと方向転換せしめる。第2滑車25は、ストッパ22の側面側に鉛直軸回りに回転自在に設けられており、ストッパ22に形成された穴22bから外側に出てきたチェーン20の他端側を、前記幅方向から前記前後方向(図2中の矢印B方向)へと方向転換せしめる。
【0022】
従って、この車輪固定装置は次のようにして従動輪8に装着される。
【0023】
即ち、チェーン20を従動輪8の外周面の上側に巻回させ、この状態で、ラチェット23のラチェットレバー23aを操作して、チェーン20の長さを短くする。その結果、チェーン20によって従動輪8が上下に締め付けられるのと同時に、図1中の矢印C,Dのように、ストッパ21,22がチェーン20によりレール30に沿い従動輪8の前後方向に移動されて相互に近づき、従動輪8の外周面の前後両側に強固に当接する。
【0024】
つまり、本実施の形態に係る車輪固定装置によれば、従動輪8に対するストッパ21,22の強固な当接とチェーン20の締め付けとを同時に行うことができるため、手間がかからず容易に装着することができる。また、ストッパ21,22を従動輪8の外周面に強固に当接させることができるため、試験中にストッパ21,22と従動輪8の外周面との間に隙間が生じて車両が振動してしまう虞はない。
【0025】
更に、第1滑車24と第2滑車25とがストッパ22の内部と側面側とに設けられており、ストッパ22にはタイヤフェンダと干渉するような突起がないため、従動輪とタイヤフェンダとの間隔が比較的狭い車両であっても、タイヤフェンダと干渉することなく、装着することができる。
【0026】
なお、上記ではラチェット23の他方が棒状部材31を介してストッパ21に結合されているが、これに限定するものではなく、他の結合手段によってストッパ21に結合するようにしてもよい。例えば、図3に示すように、先端部にフック36を備えた棒状部材35をラチェット23の他方に結合し、フック36をストッパ21の側面に設けた突起37に掛止するようにしてもよく、また、図4に示すように、先端部に輪39が形成されたチェーン38をラチェット23の他方に結合し、輪39をストッパ21の側面に設けたフック40に掛止するようにしてもよい。
【0027】
また、上記ではチェーン20の案内手段として第1滑車24と第2滑車25とをストッパ22に設けているが、これに限定するものではなく、チェーン20をストッパ22からストッパ21の方向に案内することができる構成であればよい。例えば、図5に示すように、第1滑車24と第2滑車25とに代えて、第1金具41と第2金具42とを設けてもよい。第1金具41はストッパ22内に設けられており、下側に凹面41aを有している。第2金具42はストッパ22の側面に設けられており、右側に凹面42aを有している。従って、チェーン20は第1金具41と第2金具42の凹面41a,42b上を滑るようにして、ストッパ22からストッパ21へと案内される。
【0028】
また、上記ではストッパ22に案内手段を設けてチェーン20をストッパ22からストッパ21の方向へ案内するようにしているが、これに限定するものではなく、ストッパ21に案内手段を設けてチェーン20をストッパ21からストッパ22の方向へ案内するようにしてもよい。
【0029】
【発明の効果】
以上、発明の実施の形態と共に具体的に説明したように、第1発明の車輪固定装置によれば、ラチェットによってチェーンの長さを短くすると、チェーンによって車輪が上下に締め付けられるのと同時に、一対のストッパがチェーンにより車輪の前後方向に移動されて相互に近づき、車輪外周面の前後両側に強固に当接する。即ち、車輪に対するストッパの強固な当接とチェーンの締め付けとを同時に行うことができ、手間がかからず容易に装着することができる。また、ストッパを車輪外周面に強固に当接させることができるため、試験中にストッパと車輪の外周面との間に隙間が生じて車両が振動してしまう虞はない。
【0030】
また、第2発明の車輪固定装置によれば、第1案内部材と第2案内部材とがストッパの内部と側部とに設けられており、ストッパにはタイヤフェンダと干渉するような突起がないため、車輪とタイヤフェンダとの間隔が比較的狭い車両であっても、タイヤフェンダと干渉することなく、装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の実施の形態に係る車輪固定装置の側面図、(b)は前記車輪固定装置の平面図である。
【図2】前記車輪固定装置のストッパを抽出して示す拡大斜視図である。
【図3】前記車輪固定装置のラチェットの他の結合手段を示す斜視図である。
【図4】前記車輪固定装置のラチェットの他の結合手段を示す斜視図である。
【図5】前記車輪固定装置のストッパに設けた他の案内手段を示す斜視図である。
【図6】シャシーダイナモメータの一例を示す要部構成図である。
【図7】前記シャシーダイナモメータに備えた従来の車輪固定装置の拡大側面図である。
【符号の説明】
8 従動輪
20 チェーン
21,22 ストッパ
21a,22a 傾斜面
23 ラチェット
23a ラチェットレバー
24 第1滑車
25 第2滑車
30 レール
31,35 棒状部材
36,40 フック
37 突起
38 チェーン
39 輪
41 第1金具
42 第2金具

Claims (2)

  1. 車輪外周面の前後両側にそれぞれ当接される共に前記車輪の前後方向に移動可能な一対のストッパと、
    前記車輪外周面の上側に巻回されると共に、一端側が前記一対のストッパのうちの何れか一方のストッパに結合され、他端側が前記一対のストッパのうちの何れか他方のストッパに設けた案内手段によってこの他方のストッパから前記一方のストッパ方向へと案内されるチェーンと、
    このチェーンの他端側に一方が結合されると共に、他方が前記一方のストッパに結合されるラチェットとを有することを特徴とする車輪固定装置。
  2. 請求項1に記載する車輪固定装置において、
    前記案内手段は、前記他方のストッパ内にあって、前記チェーンの他端側を上下方向から前記車輪外周面の幅方向へと方向転換せしめる第1案内部材と、前記他方のストッパの側部にあって、前記チェーンの他端側を前記幅方向から前記車輪の前後方向へと方向転換せしめる第2案内部材とを備えてなるものであることを特徴とする車輪固定装置。
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