JP3737688B2 - 電子放出素子及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像形成装置や露光装置などに応用可能な電子放出素子に係わり、特に平面構造を有する冷陰極型の電子放出素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、平面構造を有する冷陰極型の電子放出素子が提案されている。表面伝導型或いは平面型MIM素子と呼ばれるこの種の素子は、平坦な絶縁性の基板上に一定間隔を隔てて形成された一対の素子電極を有し、両電極間に形成された薄膜上に電子放出部を有している。そして、単純な構造を有するため、例えば多数個の素子を同一基板上に形成し、電子源アレイを形成するのに向いている。このような電子源アレイの応用として、薄型平面ディスプレーが注目されている。発光原理はCRTと同様で、蛍光体の電子励起を利用するものであり、エネルギー効率が高いため、低消費電力・高輝度・高コントラストの自発光型の薄型平面ディスプレーが実現できる。
【0003】
平面型MIM素子の一例については、例えば Bischoff らによって、文献1(Int.J.Electronics,73(1992)1009 や Int.J.Electronics,70(1991)491)において報告されている。図4に、Bischoff らによる素子の模式図を示す。図中の100は絶縁性基板、101,102は金電極、103は金の不連続薄膜、104は電子放出部となる堆積膜である。また、106は電極間隔を示しており、0.1μmから10μm程度である。
【0004】
このような構造は以下の手順によって形成されている。まず、絶縁性基板100上に一対の平面金電極101,102を形成する。次いで、両電極101,102間に、電気的に導通するのに十分な厚さを持つ金の薄膜103を形成する。次いで、両電極101,102に通電することによって、ジュール熱により薄膜103が溶断,破壊されて不連続化する。不連続化直後の膜は、高抵抗状態にある。このような薄膜の通電による不連続化の手順は「Bフォーミング」(基本[Basic]フォーミング)と呼ばれている。
【0005】
こうして形成された構造に、さらに「Aフォーミング」(吸着[Adsorption]アシストフォーミング)と呼ばれる手順を施す。Aフォーミングは、炭化水素類を含有する真空中で行われる。Aフォーミングでは、素子への20V以下の電圧を印加することよって、不連続膜部に発生する高電界の作用によって数分で素子の抵抗が下がり、素子電流が増大する。
【0006】
Aフォーミングを施した後の素子に通電することによって、電子放出に加えて、発光が観測されることが、先の文献1において報告されている。この発光スペクトルの解析によって、素子上の導電膜の格子温度は約1000ケルビン程度に、また電子の温度は4000ケルビン程度になっていると推定されている。電子放出部近傍はこのような高温に耐え得る物質で構成されていなければならない。
【0007】
このことからBischoff らは、Aフォーミング後の平面MIM素子の電極間隔部は炭素を含む導電性の物質で完全に覆われており、この物質はグラファイト化した炭素膜であると論じている。
【0008】
また、素子電流に対する放出電流の比(放出効率)は極めて小さく、10の−6乗程度であり、電流−電圧特性は図5のような、電圧制御負性抵抗特性(VCNR特性)を示す(文献2:Pagnia,Phys.Stat.Sol.(a)108(1988)11)。
【0009】
表面伝導型素子は、平面MIM型素子と類似の構造を有するものである。例えば、特開平11−297192号公報で一例が報告されているものがある。先述の素子と同様に、フォーミングという工程を経て、素子の薄膜上に電気的に不連続な部分を形成し、活性化とよばれる工程によって薄膜上に炭素を含む堆積物が堆積されている。前述の平面MIM型素子と比較して、例えば特開平11−297192号公報の表面伝導型素子は、図6のようにVCNR特性を示さない単調増加型の電流−電圧特性を有している。また、放出効率が10の−3乗程度であり、平面MIM型に比して高いといった点が特徴的に異なっている。
【0010】
ところで、平面型の電子放出素子においては、長期にわたってより安定な特性が望まれている。例えば、上述のように平面MIM型素子では、電子放出部付近が極めて高温になることが知られており、上述の炭素を含む膜の安定性の向上が望まれている。また、放出電流の素子電流に対する比(効率)の向上が特に望まれている。即ち、これらの平面型電子放出素子をディスプレーへ応用した場合、線順次駆動を用いて、同一配線上の多数の画素を同時に点灯させると、各々の素子に流れる電流の総和が同一の配線に流れ込み、巨大な電圧降下をもたらし、輝度むらを発生してしまうなどの問題があった。このような問題を解決するためには、各画素を構成する各々の電子放出素子の効率向上を行い、より少ない素子電流によって所望の放出電流が得られるようにすることが必要である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
このように従来、平面型の電子放出素子においては、長期にわたってより安定な特性が望まれており、このためには電子放出部となる膜の安定化が望まれている。また、ディスプレーへの応用を考えた場合、特に電子放出効率の向上が望まれている。
【0012】
本発明は、上記事情を考慮して成されたもので、その目的とするところは、素子特性を安定化させると共に、電子放出効率の向上をもたらすことのできる平面型の電子放出素子及びその製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
(構成)
上記課題を解決するために本発明は、次のような構成を採用している。
【0014】
即ち本発明は、基板上に形成された一対の電極に電気的に接続された薄膜と、この薄膜上に形成された電子放出部とを具備した電子放出素子において、前記電子放出部は硼素と炭素を含む堆積物からなることを特徴とする。
【0015】
また本発明は、基板上に形成された一対の電極に電気的に接続された薄膜と、この薄膜上に形成された電子放出部とを具備した電子放出素子において、前記電子放出部は硼素と窒素を含む堆積物からなることを特徴とする。
【0016】
また本発明は、基板上に形成された一対の電極に電気的に接続された薄膜と、この薄膜上に形成された電子放出部とを具備した電子放出素子において、前記電子放出部は硼素,炭素,及び窒素を含む堆積物からなることを特徴とする。
【0017】
ここで、本発明の望ましい実施態様としては次のものが挙げられる。
(1) 基板は、絶縁性基板又は高抵抗基板であること。
(2) 一対の電極間に電気的に接続された薄膜には、電極の対向方向と交差する方向に微小間隙が設けられていること。そして、この微小間隙を含み該間隙の近傍に堆積物が形成されていること。
【0018】
(3) 硼素と炭素を含む堆積物中の硼素は、炭素と結合した硼素であること。さらに、炭素と硼素の含有量がモル比3対1〜10000対1であること。
(4) 硼素と炭素を含む堆積物は、d002面間隔が0.35nmよりも小さいグラファイト様層状構造を部分的に形成していること。
(5) 硼素と窒素を含む堆積物が、硼素−窒素結合を含むことと。さらに、硼素と窒素の含有率のモル比が2対1〜1対2の範囲であること。
【0019】
(6) 硼素と窒素を含む堆積物は、窒化硼素であること。さらに、硼素と窒素を含む堆積物が、マグネシウム,アルミニウム,シリコン,リン,硫黄の何れか又は複数の元素を有すること。
(7) 硼素,炭素,及び窒素を含む堆積物が、窒化硼素を含む相と炭素を含む相へと部分的に相分離していること。
【0020】
また本発明は、基板上に形成された一対の電極の間に導電性の薄膜を形成する工程と、前記薄膜上に硼素と炭素を含有した堆積物からなる電子放出部を形成する工程とを含む電子放出素子の製造方法において、前記電子放出部となる堆積物を、硼素と炭素を含有した化合物を含む雰囲気中、又は硼素を含有した化合物と炭素を含有した化合物を含む雰囲気中で、前記電極間に所定の電流を流すことにより堆積することを特徴とする。
【0021】
ここで、本発明の望ましい実施態様としては次のものが挙げられる。
(1) 電子放出素子となる堆積物を堆積する雰囲気は、アルキルボラン,アリールボラン,ビニルボラン,アリルボランの何れかの、置換又は未置換のものを含む雰囲気であること。
(2) 電子放出素子となる堆積物を堆積する雰囲気は、アルコキシボラン,アリールオキシボラン,ビニルオキシボラン,アリロキシボランの何れかの、置換又は未置換のものを含む雰囲気中であること。
【0022】
また本発明は、基板上に形成された一対の電極の間に導電性の薄膜を形成する工程と、前記薄膜上に硼素と窒素を含有した堆積物からなる電子放出部を形成する工程とを含む電子放出素子の製造方法において、前記電子放出部となる堆積物を、アミンボラン錯体,アミノボラン,硼素−窒素環状結合を有する化合物の何れかの置換又は未置換のものを含む雰囲気中で、前記電極間に所定の電流を流すことによって堆積することを特徴とする。
【0023】
また本発明は、基板上に形成された一対の電極の間に導電性の薄膜を形成する工程と、前記薄膜上に硼素,炭素,及び窒素を含有した堆積物からなる電子放出部を形成する工程とを含む電子放出素子の製造方法において、前記電子放出部となる堆積物を、アミンボラン錯体,アミノボラン,硼素−窒素環状傭合を有する化合物の何れかの置換又は未置換のものを含む雰囲気中で、前記電極間に所定の電流を流すことによって堆積することを特徴とする。
【0024】
(作用)
本発明によれば、電子放出部となる堆積物を、
▲1▼硼素と炭素
▲2▼硼素と窒素
▲3▼硼素と炭素と窒素
の何れかを含有するものとすることによって、堆積物の長期的な安定化をはかることができ、しかも少ない素子電流で所望の電子放出電流を得ることができる。従って、素子特性を安定化させると共に、電子放出効率の向上をもたらすことが可能となる。また、前記の雰囲気ガスを用いることにより、▲1▼,▲2▼,▲3▼の堆積物を簡易に製造することが可能となる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の詳細を図示の実施形態によって説明する。
【0026】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係わる平面型電子放出素子の概略構造を説明するためのもので、(a)は断面図、(b)は平面図である。
【0027】
図中の10は絶縁性基板、11,12は素子電極、13,14は素子薄膜、15,16は薄膜13,14上に堆積された堆積物、17は堆積物15,16の間付近に形成された電子放出部を示している。
【0028】
基板10には、絶縁性或いは高抵抗の材料を用いることができる。従って、石英ガラス,クオーツ,ナトリウムガラス,ソーダライムガラス,ホウ珪酸ガラス,リンガラスなどの、SiO2 を主成分とする基板、Al2 3などのその他の絶縁性酸化物基板、AlNなどの窒化物絶縁体からなる基板などをから適宜、経済性や生産性などの要因を考慮して選択することができる。基板表面近傍では10の7乗V/cm以上の耐圧を持つことが好ましい。このため、Na+ イオンなどのモバイルイオン種は表面近傍から予め除去されている必要がある。従って、ナトリウムガラスなどのモバイルイオン種を含む材料を用いる場合は、その表面に、SiNなどの拡散防止層を形成し、更にその表面にSiO2 膜などの表面層を形成しておいてもよい(不図示)。
【0029】
素子電極11,12は、導電性の金属,半導体,半金属材料から選ばれた材料を用いることができ、好ましくは、導電率が高く、耐酸化性の高い遷移金属を用いることができる。例えば、Ni,Au,Ag,Pt,Irなどが好ましい。厚さは数十nm〜数μm程度の範囲で、十分な導電性を有することが好ましい。また、膜厚は均一に形成されていることが好ましく、膜剥がれ,浮き,めくれは極力存在しないことが好ましい。
【0030】
素子電極11,12を形成するための膜の基板上への形成方法としては、真空蒸着や、メッキ、コロイド液からの析出などの方法から選択して用いることができる。膜の基板への密着性が乏しい場合は、基板の表面にナノスケールの荒れた表面を形成しておくこと、或いは基板と膜との間に密着層となる第2の材料(不図示)を予め形成しておくことが必要である。膜のパターニング方法として、マスク蒸着、レジスト電光によるパターンニングとエッチング、リフトオフ、スクリーン印刷、オフセット印刷などの方法から任意に選んで用いることができるが、膜の端部でめくれが起こりにくい方法が好ましい。
【0031】
素子電極11,12の幅Wdと素子薄膜13,14の幅Wfは必要とされる放出電流量や、素子に許容される占有面積から決定される。例えば、1mmとすることができる。また、素子電極11,12の間隔Dgは、数十nmから数十μmの範囲に適宜設定することができ、利用可能なパターンニング方法や、複数素子間での特性ばらつきの許容範囲などの要因に基づいて決定することができる。
【0032】
素子薄膜13,14には、同様に金属,半金属,半導体から選ばれた材料を用いることができる。不連続となる限界程度に薄く、導電性があるのに必要十分な厚さに形成されていることが好ましい。Ni,Co,Fe,Pd,Au、Pt,Irなどの、触媒性の遷移金属を用いることが特に好ましいが、これに限定されるものではない。薄膜13,14は通常連続して形成された後に、通電加熱などの方法によって電気的に寸断されているものである。形成方法としては、スパッタ,CVD,MBE,レーザアブレーションなどの真空蒸着、めっきやコロイド溶液からの析出、表面をアルカンチオールなどの有機分子で安定化した金属・半導体超微粒子による自己組織化膜析出などの方法から選択して用いることができる。
【0033】
堆積物15,16は、薄膜13,14上及びこれらの微小間隙内に形成されており、堆積物15と16の境界付近が電子放出部となっている。堆積物15,16の堆積幅Dcは数nmと極めて小さいものである。堆積物15,16は、それぞれ薄膜13,14に電気的に接続されており、電子放出部17の形成される部分付近を境界として互いに電気的に分離されている。
【0034】
次に、本実施形態における堆積物15,16の組成及び構造について、説明する。堆積物15,16に含まれる硼素は、炭素と結合した硼素であることが好ましい。また、堆積物15,16に含まれる炭素と硼素の含有量は、モル比3対1〜10000対1であることが好ましい。特に、5対1〜100対1であることが好ましい。さらに、堆積物15,16に含まれるの硼素が炭素と結合を有しており、堆積物の炭素と硼素がd002面間隔、即ちc軸方向の両間隔が0.35nmよりも小さいグラファイト様層状構造を部分的に形成していることが好ましい。
【0035】
このような構成により、炭素を主成分とし硼素を含有しない堆積物を電子放出部に堆積させた素子と比較して、長期にわたる素子特性の安定性が格段に上昇している。この仕組みは十分解明されてはいないが、一般に硼素を含有する炭素繊維の耐酸化性が高いことが知られており、このことが本実施形態においても安定性向上に寄与していると推察される。なお、堆積物15,16は異なる組成の堆積物を順に積層して形成したものであっても良いが、この場合、最表層の堆積物が、以上説明した構成を有していることが特に好ましい。
【0036】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について述べる。本実施形態における電子放出素子の構造は、第1の実施形態で説明したものと概略同様であり、図1に模式的に表した構造となっている。堆積物15,16を除いた、素子電極11,12、薄膜13,14、基板10などに求められる構造,特性は、第1の実施形態の説明に述べられているのと同様であるので、説明を省略する。
【0037】
ここでは、第2の実施形態に適用可能な、堆積物15,16の好ましいの形成方法の一例について解説する。薄膜13,14上への堆積物15,16の堆積は、堆積物の材料となる気体を含む雰囲気中で、素子電極11,12間に通電し、素子を駆動することによって行われる。なお、薄膜13,14は、通電による堆積物堆積に先立ち、予め寸断された状態に形成される。以下、堆積物15,16の堆積に用いる装置構成と、製造工程の例について順に説明する。
【0038】
図2に、堆積物15,16の堆積に用いる装置の構成を示す。図中の21は真空容器、22は排気手段、23はゲートバルブ、24は流量調節手段、25は材料ガス供給手段、26はアノードに接続されている配線、27は前記図1に示すような電子放出素子、28,29はそれぞれ−側、+側の素子電極に接続されている配線である。26,28,及び29は電圧印加・測定手段30に接続されている。
【0039】
真空容器21は、通常の真空装置に用いるメタルチャンバーを用いることができ、10-5Pa(パスカル)以下、特に好ましくは10-8Pa以下の到達真空度を有することが好ましい。また、排気手段22は、オイルフリーの排気手段であることが好ましく、磁気浮上ターボ分子ポンプ,ダイアフラムポンプ,スクロールポンプ,イオンポンプ,チタンサブリメーションボンブ,ゲッターポンプ,ソープションポンプなどを適宜組み合わせたものを用いることができる。
【0040】
材料ガス供給手段25は、材料を収納した容器と、材料の無気圧調整用の容器温度調節機構、材料ガスの1次圧調整機構などから構成されている。容器内の材料は、気体,液体,固体のいずれであっても容器温度と1次圧を適宜調整することができる。この材料ガス供給手段は、同時に複数の材料ガスを供給できるように、複数の供給手段が並列に配置されているものであっても良い。
【0041】
材料ガス供給手段25によって供給される材料として、硼素を含有した化合物、又は硼素と炭素を含有した化合物を含む材料を好ましく用いることができる。例えば三フッ化硼素BF3 ,三塩化硼素BCl3 ,三臭化硼素BBr3 ,三ヨウ化硼素BI3 などのハロゲンボラン、ジボランB2 6 ,テトラボランB4 10などのBn 2n+2で表されるボラン、o−カルボランC2 1012などのカルボラン、などから選択して用いることができる。さらに、上述の材料のうち、炭素を含まない化合物を用いている場合は、炭化水素などの炭素を含む材料を同時に供給することが好ましい。また、炭素を含む材料を一定時間供給した後に供給を停止し、続けて硼素を含む材料を供給しても良い。
【0042】
そしてより好ましくは、アルキルボラン,アリールボラン,ビニルボラン,アリルボランの何れか、或いはアルコキシボラン,アリールオキシボラン,ビニルオキシボラン,アリロキシボランの何れかを用いることができる。これらは毒性や腐食性の観点からハロゲンボランやボランに比べ扱いやすいものが多い。特に好ましく用いることのできるアルキルボランの例としては、トリエチルボラン(C2 5 3 B,トリメチルボラン(CH3 3 Bなどが、アリールボランの例としては、トリフェニルボラン(C6 5 3 Bや、フェニル基をハロゲンで置換したシクロロフェニルボラン(C6 5 )Cl2 B,OH基で置換したフェニルホウ酸(C6 5 )(OH)2 Bなどを用いることができる。
【0043】
また、特に好ましく用いることのできるアルコキシボランの例として、トリエトキシボラン(C2 5 O)3 B,トリメトキシボラン(CH3 O)3 Bなどが挙げられ、アリールオキシボランの例としては、トリフェニルボレート(C6 5 O)3 Bなどが挙げられる。
【0044】
次に、以上説明した手段と材料を用い、堆積物15,16を薄膜13,14上に堆積するまでの工程の好ましい一例を、図3を参照して説明する。
【0045】
(工程1)
図3(a)に示すように、素子電極11,12及び薄膜13,14が形成された基板10を、前記図2に示す装置の真空容器21内に据え付ける。この時点では、薄膜13,14は連続に形成されており、まだ互いに電気的に分断されていない。そして、素子電極11,12をそれぞれ配線28,29に接続し、容器21内を排気する。
【0046】
(工程2)
配線28,29を介して素子電極11,12に接続された薄膜13,14に通電する。このとき、薄膜13,14上に熱が発生し、薄膜13,14が局所的に凝集し、図3(b)に示すように部分的に不連続となる個所が発生する。不連続部分は直ぐに拡大し、薄膜を+側(13)と−側(14)へと分断する結果、電流が殆ど流れなくなる。この時点で通電を終了する。
【0047】
(工程3)
堆積物15,16の材料となるガスを真空容器21内に導入し、流量,排気速度を調整することによって、一定の圧力に安定化させる。真空容器21内の圧力は、例えばイオンゲージなどを用いて計測することができる。好ましくは、4重極質量分析計などを用いて、真空容器21内のガス種の組成をモニターし、制御することができる。真空容器21内での好ましい圧力は用いる活性化ガスに依存し、10Pa程度から10-6Pa程度までの範囲から選択することができる。
【0048】
(工程4)
通電手段30を用いて素子27に通電を行うと、放出電子,電界,熱などの作用によって材料ガスが分解され、図3(c)に示すように、材料ガスに含まれる硼素及び炭素を含む堆積物15,16が堆積される。そして、堆積物15,16の一部が電子放出部17となる。ここで、通電手段30によって印加される電圧は、直流,三角波,矩形波,パルス波形などから適宜選択して用いることができる。
【0049】
(工程5)
堆積物15,16の堆積に伴い、素子電流が増大する。通電は、素子電流が十分増大した時点で終了とする。通電終了の判断基準は、素子に必要とされる電流量や電流−電圧特性などから決定される。
【0050】
(工程6)
堆積物15,16の堆積終了後、残留した材料ガスを十分に除去することにより、新たな堆積を抑制させ、特性を安定化させる。なお、以上の素子薄膜上に堆積物を形成する工程は、複数回繰り返しても良く、異なる組成の膜を順に重ねて堆積させることもできる。
【0051】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態における電子放出素子の構造、並びに堆積物15,16の堆積に用いる手段の構成や工程は、先の第1,第2の実施形態で説明したものと概略同様である。ここでは、相違点についてのみ説明する。
【0052】
第3の実施形態では、堆積物15,16は硼素と窒素を含むものである。より好ましくは、堆積物15,16が硼素−窒素結合を含み、硼素と窒素の含有率のモル比が2対1〜1対2の範囲であることが好ましい。特に、モル比が1対1であることが好ましい。また、前述の硼素と窒素を含む堆積物は窒化硼素であることが好ましい。さらに、窒化硼素は六方晶又は立方晶の結晶形態を有していることが特に好ましく、その粒径は少なくとも1nm以上であることが好ましい。また、電子放出素子として用いる場合、水素を含有する雰囲気で使用されることが好ましい。
【0053】
このような構成によって、高い電子放出効率を持つ素子が実現できる。そして、これら硼素と窒素を含有する堆積物は、マグネシウム,アルミニウム,シリコン,リン,硫黄のいずれかを含有していることが好ましく、その含有率は10%以下であることが好ましい。これら第3の元素を含有していることにより、素子電流、放出電流共に増大させることができる。
【0054】
第3の実施形態における堆積物15,16の堆積に用いられる材料として、アミンボラン錯体,アミノボラン,硼素−窒素環状結合を有する化合物のいずれかを用いることができる。特に好ましく用いることのできるアミンボラン錯体としては、アンモニアボラン錯体NH3:BH3 、トリエチルアミンボラン錯体(C25 3 N:BH3 、ジメチルアミンボラン錯体(CH3 2 N:BH3 、ピリジンボラン錯体(C5 5 N):BH3 、4−メチルピリジンボラン錯体CH3(C5 4 N):BH3 、N’N−ジエチルアニリンボラン錯体(C6 5 )(C2 5 2 N:BH3 、N’N−ジイソプロピルエチルアミンボラン錯体(i−C3 7 2 (C2 5 )N:BH3 、2,6−ルチジンボラン錯体(CH3 2 (C5 3 N):BH3 などが挙げられる。
【0055】
また、特に好ましく用いることのできるアミノボランとしては、ボランアミンNH2:BH2 、トリスジメチルアミノボラン(N(CH3 2 3 B、トリスメチルアミノボラン(NH(CH3 ))3 Bなどを用いることができる。また、硼素−窒素環状結合を持つ化合物として、ボラジンH6 3 3 、1,3,5トリメチルボラジン(CH3 )3 3 3 3 、2,4,6トリメチルボラジン(CH3 3 3 3 3 、ヘキサメチルボラジン(CH3 6 3 3 などを好ましく用いることができる。
【0056】
なお、上述のマグネシウム,アルミニウム,シリコン,リン,硫黄を堆積物15,16に含有させる場合には、材料ガスを真空容器に導入する際、これらの元素を含有する別の材料ガスを、別途設けた供給手段によって同時に供給することが好ましい。
【0057】
アルミニウムを含有する材料ガスとしては、トリエチルアルミニウムAl(C2 5 3 、トリメチルアミンアラン錯体AlH3 :N(CH3 3 、トリイソプロポキシアルミニウムAl(i−OC3 7 3 などを、マグネシウムを含有する材料ガスとしては、ビスシクロペンタジエニルマグネシウムMg(C5 5 2 、ビスメチルシクロペンタジエニルマグネシウムMg(CH3 5 4 2 などを、リンを含有する材料ガスとしては、トリエチルリンP(C2 5 3 、亜リン酸トリメチルP(OCH3 3、亜リン酸トリエチルP(OC2 5 3 などを、シリコンを含有する材科ガスとしては、テトラエチルシランSi(C2 5 4 、テトラジメチルアミノシランSi[N(CH3 24 などを、そして硫黄を含有する材料ガスとしては、ジエチル硫黄S(C2 5 2 、エタンチオールC2 5 SHなどのアルカンチオール、チオフェンH4 4 Sなどを好ましく用いることができる。
【0058】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。本実施形態における素子の構造、並びに堆積物15,16の堆積に用いる手段の構成や工程は、先の第1,第2,第3の実施形態で説明したものと概略同様である。ここでは、相違点についてのみ説明する。
【0059】
第4の実施形態では、堆積物15,16は、硼素と窒素と炭素を含む堆積物である。より好ましくは、堆積物15,16が硼素−窒素結合を含み、硼素と窒素の含有量のモル比が2対1〜1対2の範囲であることが好ましい。特に、モル比が1対1であることが好ましい。また、炭素の含有量はモル%で1%以上であることが好ましい。さらに、堆積物15,16が、窒化硼素を含む相と炭素を含む相へと部分的に相分離していることが好ましい。
【0060】
また、第4の実施形態における堆積物15,16の堆積に用いられる材料として、第3の実施形態と同様に、アミンボラン錯体、アミノボラン、硼素−窒素環状結合を有する化合物のいずれかを用いることができる。炭素を堆積物15,16へと含有させるために、これらの材料に加えて、別の炭化水素材料ガスを同時に真空容器内に導入して素子の駆動を行うことが好ましい。また、炭化水素材料ガスを一定時間真空容器内に導入して素子の駆動を行った後に排気し、上述の硼素と窒素を含む材料を真空容器内に導入して素子の駆動を行うことが特に好ましい。
【0061】
第3の実施形態において説明したのと同様、特に好ましく用いることのできるアミンボラン錯体としては、アンモニアボラン錯体NH3:BH3 、トリエチルアミンボラン錯体(C2 5 3 N:BH3 、ジメチルアミンボラン錯体(CH3 2 N:BH3 、ピリジンボラン錯体(C5 5 N):BH3 、4−メチルピリジンボラン錯体CH3 (C5 4 N):BH3 、N’N−ジエチルアニリンボラン錯体(C6 5 )(C2 5 )N:BH3 、N’N−ジイソプロピルエチルアミンボラン錯体(i−C3 7 2(C2 5 )N:BH3 、2,6−ルチジンボラン錯体(CH3 2(C5 3 N):BH3 などが挙げられる。
【0062】
また、特に好ましく用いることのできるアミノボランとしては、ボランアミンNH2:BH2 、トリスジメチルアミノボラン(N(CH3 2 3 B、トリスメチルアミノボラン(NH(CH3 ))3 Bなどを用いることができる。また、硼素−窒素環状結合を持つ化合物として、ボラジンH6 3 3 、1,3,5トリメチルボラジン(CH3 3 3 3 3 、2,4,6トリメチルボラジン(CH3 3 3 3 3 、ヘキサメチルボラジン(CH3 6 3 3 などを好ましく用いることができる。
【0063】
次に、本発明の各実施形態について、以下の実施例によって更に詳しく説明する。
【0064】
(実施例1)
ここでは、以下に示す硼素を含有する材料ガスを用いて、前記図1に示すように、素子薄膜13,14上に堆積物15,16を堆積させた場合(1〜5)と、炭化水素を用いた場合(6)との比較を行った。
【0065】
各々のガスに固有の条件については、以下に示す通りである。なお、何れの場合も、基板10は石英ガラス、素子電極11,12にはIr、素子薄膜13,14にはAu蒸着膜を用いており、素子薄膜13,14の幅Wfは100μm、素子電極11,12の幅Dgは5μmであった。また、堆積物15,16の堆積工程は先に第2の実施形態において説明したものと同様であり、以下には、個々の材料ガスを用いた場合に固有の条件、並びにこれら材料ガスを導入した真空容器内で、堆積物15,16を堆積させるために素子を駆動する際、素子に印加した電圧波形と電圧印加時間について示してある。
【0066】
【表1】
Figure 0003737688
【0067】
以上の条件で、図2に示す真空容器21内に材料ガスを導入し、容器21内の素子27を駆動することによって堆積物15,16の堆積を行った。この後に、素子上方にアノードを設置し、特性評価を行ったところ、素子電流,放出電流,効率,一定時間内の素子電流の変動率は以下の通りであった。
【0068】
【表2】
Figure 0003737688
【0069】
従って、炭化水素であるベンゼン(6)を用いた場合に比べて、硼素を有するガスを用いた場合は、電流変動が1/5から1/2程度に抑制されていることが分かった。また、効率も10%〜30%程度向上していることが分かり、硼素を含有する材料を用いて図1の堆積物15,16を形成することによる効率向上効果と素子の特性の安定化が認められた。また、堆積物をオージェ電子分光及びX線回折により分析した結果、以下の値を得た。
【0070】
【表3】
Figure 0003737688
【0071】
以上の結果から、堆積物中の硼素の炭素に対する比の増大に従って、d002値が減少していることが分かった。また、d002値の小さい順に素子特性が安定化していることが判明し、これらの値の間に相関があることが確認された。
【0072】
(実施例2)
次に、以下に示す硼素と窒素を含有する材料ガス(1〜4)を用いて、前記図1に示すように、素子薄膜13,14上に堆積物15,16を堆積させた場合と、炭化水素を用いた場合(5)との比較を行った。
【0073】
各々のガスに固有の条件については、以下に示す通りである。なお、何れの場合も、基板10は石英ガラス、素子電極11,12にはIrを用いている。素子薄膜13,14には、耐熱性向上のためIr蒸着膜を用いている。素子薄膜13,14の幅Wfは100μm、素子電極11,12の幅Dgは5μmであった。また、堆積物15,16の堆積工程は先の第2の実施形態において説明したものと同様であり、以下には、個々の材料ガスを用いた場合に固有の条件、並びにこれら材料ガスを導入した真空容器21内で、堆積物を堆積させるために素子を駆動する際、素子に印加した電圧波形と電圧印加時間について示してある。
【0074】
【表4】
Figure 0003737688
【0075】
以上の条件で、図2に示す真空容器21内に材料ガスを導入し、容器21内の素子27を駆動することによって堆積物15,16の堆積を行った。この後に、素子上方にアノードを設置し、特性評価を行ったところ、素子電流,放出電流,効率,一定時間内の素子電流の変動率は以下の通りであった。
【0076】
【表5】
Figure 0003737688
【0077】
また、堆積物をオージェ電子分光による堆積物中の成分の分析結果は、以下の通りである。
【0078】
【表6】
Figure 0003737688
【0079】
以上の結果から、トリエチルアミンボラン(C2 5 3 N:BH3 を用いた場合(1)と、トリスジエチルアミノボラン(N(CH3 2 3 Bを用いた場合(2)は、共に炭化水素であるベンゼンC6 6 を用いた場合(5)に比べて効率が向上し、特性の安定化がなされていることが分かった。
【0080】
なお、堆積物の構成元素が硼素と窒素のみである場合、素子電流,放出電流は共にベンゼンのものと比べて1桁程度小さくなっているが、エタンチオールC2 5 SHを材料ガスに添加した場合(3,4)、素子電流,放出電流共に増大し、効率が向上した。
【0081】
(実施例3)
本実施例では、以下に示す材料ガスを用いて、前記図1の堆積物15,16として、硼素と炭素と窒素の全てを含むものを堆積させた場合について説明する。以下、炭素,硼素,窒素を含む堆積物を図1の薄膜13,14上に堆積させた素子と(1〜5)と、炭化水素(ベンゼン)を堆積させた素子(6)との間での比較を示す。
【0082】
使用した各々のガスに固有の条件を以下に示す。なお、何れの場合も、基板10は石英ガラス、素子電極11,12はIr、素子薄膜13,14はAu50%−Co50%蒸着膜を用いており、素子薄膜13,14の幅Wfの幅は100μm、素子電極11,12の幅Dgは5μmであった。堆積物15,16の堆積工程は第2の実施形態において説明したものと同様である。
【0083】
以下、個々の材料ガスを用いた場合に固有の条件、並びにこれら材料ガスを導入した真空容器内で、堆積物を堆積させるために素子を駆動する際、素子に印加した電圧波形と電圧印加時間について示してある。但し、(7)では、ベンゼンC6 6 を5分供給した後に、ピリジンボラン(C5 5 N):BH3 を5分供給した。
【0084】
【表7】
Figure 0003737688
【0085】
以上の条件で真空容器21内に材料ガスを導入し、容器21内の素子27を駆動することによって堆積物15,16の堆積を行った。この後に、素子上方にアノードを設置し、特性評価を行ったところ、素子電流,放出電流,効率,一定時間内の素子電流の変動率は、以下の通りであった。
【0086】
【表8】
Figure 0003737688
【0087】
以上の結果より、堆積物15,16が硼素と炭素と窒素を含んでいる場合1〜5)、炭素のみを含んだ堆積物を素子に形成した場合(6)に比べて効率が20%〜50%程度向上し、電流変動が1/3〜1/5へと抑制されることが判明した。また、(7)では(6)に比して効率が180%と大幅に向上するのが判明した。
【0088】
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではない。実施形態では、単一の素子のみについて説明したが、これをマトリックス状に配置することにより、平面型ディスプレーや露光装置に適用することが可能となる。また、各部の材料や製法等は、仕様に応じて適宜変更可能である。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々変形して実施することができる。
【0089】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、電子放出部となる堆積物を、▲1▼硼素と炭素、▲2▼硼素と窒素、又は▲3▼硼素と炭素と窒素を含有するものとすることにより、堆積物の長期的な安定化をはかることができ、しかも少ない素子電流で所望の電子放出電流を得ることができる。従って、素子特性を安定化させると共に、電子放出効率の向上をもたらすことのできる平面型の電子放出素子を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係わる平面型電子放出素子の概略構造を説明するための断面図と平面図。
【図2】第2の実施形態を説明するためのもので、堆積物の形成に用いる装置を示す概略構成図。
【図3】第2の実施形態における電子放出素子の製造工程を示す断面図。
【図4】平面MIM型素子の構造を示す模式図。
【図5】平面MIM型素子で観測される電圧制御負性特性を示す図。
【図6】表面伝導型素子の電流−電圧特性を示す図。
【符号の説明】
10…基板
11,12…素子電極
13,14…素子薄膜
15,16…薄膜上の堆積物
17…電子放出部
Wd…素子電極の幅
Wf…薄膜の幅
Dg…素子電極の間隔
Dc…堆積物の堆積されている幅
21…真空容器
22…排気手段
23…ゲートバルブ
24…流量調節手段
25…材料ガス供給手段
26…アノードヘの配湶
27…電子放出素子
28,29…−側,+側素子電極への配線
30…電圧印加・測定手段
100…絶縁性基板
101,102…金電極
103…不連続膜
104…電子放出部
106…電極間隔

Claims (4)

  1. 基板上に形成された一対の電極の間に導電性の薄膜を形成する工程と、前記薄膜上に硼素と炭素を含有した堆積物からなる電子放出部を形成する工程とを含む電子放出素子の製造方法において、
    前記電子放出部となる堆積物を、アルキルボラン,アリールボラン,ビニルボラン,アリルボランの何れかの、置換若しくは未置換のものを含む雰囲気、又はアルコキシボラン,アリールオキシボラン,ビニルオキシボラン,アリロキシボランの何れかの、置換若しくは未置換のものを含む雰囲気中で、前記電極間に所定の電流を流すことにより堆積することを特徴とする電子放出素子の製造方法。
  2. 基板上に形成された一対の電極に電気的に接続された薄膜と、この薄膜上に形成された電子放出部とを具備し、前記電子放出部は硼素と窒素を含み、さらにマグネシウム,アルミニウム,シリコン,リン,硫黄の少なくとも1種の元素を含む堆積物からなることを特徴とする電子放出素子。
  3. 基板上に形成された一対の電極の間に導電性の薄膜を形成する工程と、前記薄膜上に硼素と窒素を含有した堆積物からなる電子放出部を形成する工程とを含む電子放出素子の製造方法において、
    前記電子放出部となる堆積物を、アミンボラン錯体,アミノボラン,硼素−窒素環状結合を有する化合物の何れかの置換又は未置換のものを含む雰囲気中で、前記電極間に所定の電流を流すことによって堆積することを特徴とする電子放出素子の製造方法。
  4. 基板上に形成された一対の電極の間に導電性の薄膜を形成する工程と、前記薄膜上に硼素,炭素,及び窒素を含有した堆積物からなる電子放出部を形成する工程とを含む電子放出素子の製造方法において、
    前記電子放出部となる堆積物を、アミンボラン錯体,アミノボラン,硼素−窒素環状結合を有する化合物の何れかの置換又は未置換のものを含む雰囲気中で、前記電極間に所定の電流を流すことによって堆積することを特徴とする電子放出素子の製造方法。
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