JP4312326B2 - 電子放出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体からの電子放出を利用する電子放出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、金属やシリコンを用いて尖塔形状を作製したスピント型と呼ばれている電子放出素子が研究開発をされている。また、近年、負性電子親和力を有するダイヤモンドを用いたフィールドエミッタの研究も進められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
フィールドエミッタには、低電圧動作、高電流密度動作、そして長寿命動作が要求される。低電圧化や高電流密度化を達成するためには、フィールドエミッタ用材料として、小さい仕事関数を有する金属や、小さい電子親和力または負性電子親和力を有する半導体が注目されている。また、長寿命化のためには、硬質で安定な材料が必要である。
【0004】
これまで、金属やシリコンを尖塔型の形状に加工し、その近傍に引き出し電極を作製することによって、低電圧動作が図られている。更なる低電圧動作を行うために、作製した尖塔形状に負性親和力を持つダイヤモンドや窒化物半導体をコートすることが望まれる。しかし、ダイヤモンドは均一薄膜の作製が困難であり、ダイヤモンドをコーティング薄膜として用いることができない。
【0005】
一方、窒化物半導体の中で窒化ホウ素薄膜からの低電界での電子放出が報告されている。これによれば、均一な薄膜の堆積も可能であるため、上記コーティング薄膜としての利用が期待され、その実用化が望まれている。しかし、窒化ホウ素薄膜は、水分に弱く、割れや基板からの剥離が起こりやすい。この結果、現状では、ウエットプロセスによるデバイスの作製ができないという大きな課題を有している。
【0006】
本発明は、上記課題を解決し、付着性を向上させ、従来技術を基礎として作製できるホウ素、炭素、窒化を基盤材料とした電子放出装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載された発明は、導体または半導体基板上に電気的に接続してホウ素(組成比x)、炭素(組成比y)、窒素(組成比z)を含む組成比が0<x<1、0<y<1、0<z<1(x+y+z=1)の領域が少なくとも1層以上あり、表面に露出して組成比が0<x<1、0≦y<1、0<z<1(x+y+z=1)の薄膜があり、前記薄膜に電気的に絶縁して第1の金属体が設けられ、前記薄膜に対向して前記第1の金属体と空間をもって第2の金属体を設けたことを特徴とする電子放出装置である。
【0008】
請求項2に記載された発明は、絶縁体基板上にホウ素(組成比x)、炭素(組成比y)、窒素(組成比z)を含む組成比が0<x<1、0<y<1、0<z<1(x+y+z=1)の層が少なくとも1層以上ある薄膜と表面に露出して組成比が0<x<1、0≦y<1、0<z<1(x+y+z=1)の薄膜とからなる薄膜領域があり、前記薄膜領域上に電気的に接続した第1の金属体があり、前記薄膜領域および前記第1の金属体と電気的に絶縁した第2の金属体が前記基板上にあり、前記第1の金属体に対向して空間をもって前記第2の金属体を設けたことを特徴とする電子放出装置である。
【0009】
請求項3に記載された本発明では、請求項1または2に記載の電子放出装置において、前記ホウ素、前記炭素、前記窒素を含む領域と前記表面に露出した薄膜が組成比の異なる多層構造になっていることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載された本発明では、請求項1または2に記載の電子放出装置において、前記ホウ素、前記炭素、前記窒素を含む領域と前記表面に露出した薄膜の組成比を徐々に変化させて形成したことを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載された本発明では、請求項1または2に記載の電子放出装置において、前記ホウ素、前記炭素、前記窒素を含む領域および表面薄膜が堆積により形成されたことを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載された本発明では、請求項1または2に記載の電子放出装置において、前記ホウ素、前記炭素、前記窒素を含む領域が前記基板に原子を侵入することにより形成されたことを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載された本発明では、請求項1に記載の電子放出装置において、
前記ホウ素、前記炭素、前記窒素を含む領域が前記表面に露出した薄膜を通して原子を注入することにより形成されたことを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載された本発明では、請求項1記載の電子放出装置において、前記基板に導体または半導体を用いたことを特徴とする。
【0020】
本発明の電子放出装置は、炭素を含有するホウ素−炭素−窒素薄膜を先ず基板上に設け、その上にホウ素、炭素、窒素の組成比の異なる薄膜を作製することにより、従来の窒化ホウ素と基板との間の剥離の問題を解決して、付着性を向上させ、前記材料と電気的に絶縁して引き出し電極を設けた。さらに、前記材料に対向して空間をもって電気的に絶縁した金属体を設けた。
【0021】
これによって、尖塔形状を作製することなく、低電圧動作が可能な、引き出し電極を有する高性能な平面型の電子放出装置を実現することができる。また、従来の尖塔形状を有する電子放出装置の特性改善にも用いることができ、さらに高性能な電子放出装置を実現することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について説明する。本発明に関するホウ素、炭素、
窒素を含む異なった組成比からなる層構造を有する電子放出装置は、導電性基板および絶縁性基板上に作製でき、平面型の電子放出装置の実現につながる。また、従来の尖塔形状を有するスピント型の電子放出装置に対しても、本発明のホウ素、炭素、窒素を含む異なった組成比からなる層構造をもつ薄膜をコーティングすることにより、スピント型の電子放出装置の特性改善ができる。
【0023】
本発明は、フィールドエミッションデイスプレー、電子ビーム露光機、マイクロ波進行波管、撮像素子等に応用できる。また、電子ビームを用いたオージェ電子分光装置等の材料評価装置の電子源としても用いることができ、様々な用途に対応できる。
【0024】
以下に各々の基板上に作製する本発明の電子放出装置の実施例について、具体的に説明する。
【0025】
【実施例1】
図1は、本発明に係る電子放出装置の実施例1を示す断面図である。実施例1の電子放出装置は、シリコン基板1、窒化ホウ素炭素薄膜2,3、SiO2薄膜4、引き出し電極5、カソード電極6およびアノード電極7で構成される。
【0026】
シリコン基板1は、n型のシリコン半導体の基板である。窒化ホウ素炭素薄膜2,3は、ホウ素、炭素、窒素を含む組成比がそれぞれ異なる薄膜である。窒化ホウ素炭素薄膜2は、シリコン基板1と電気的に接続されている。引き出し電極5は、SiO2薄膜4によって、電気的に絶縁された第1の金属体である。また、アノード電極7は、引き出し電極5と空間をもって設けられた第2の金属体である。
【0027】
この構成の電子放出装置を次に示す手順で作製した。つまり、図2(A)に示すシリコン基板1上に、三塩化ホウ素とメタンと窒素ガスとを用いて、プラズマアシスト化学気相合成法によって、図2(B)に示すように窒化ホウ素炭素薄膜2を100[nm]堆積した。このとき、窒化ホウ素炭素薄膜2の組成比を、ホウ素0.4、炭素0.2、窒素0.4にした。さらに、窒化ホウ素炭素薄膜2の上に、窒化ホウ素炭素薄膜2と組成の異なる窒化ホウ素炭素薄膜3を200[nm]堆積した(図2(B))。このときの窒化ホウ素炭素薄膜3の組成比を、ホウ素0.5、炭素0.0、窒素0.5にした。窒化ホウ素炭素薄膜2,3には、
イオウ原子を1×1018[cm-3]の濃度に添加した。
【0028】
この後、電子ビーム蒸着法によって、窒化ホウ素炭素薄膜3の上に500[nm]のSiO2薄膜4を形成した(図2(C))。同じく、電子ビーム蒸着法によって、SiO2薄膜4の上に引き出し電極5用の金属として、Ti(20[nm])/Au(500[nm])を形成した(図2(C))。また、シリコン基板1の裏面にアルミニウム(300[nm])を電子ビーム蒸着法で形成し、カソード電極6を作製した(図2(D))。
【0029】
その後、フォトリソグラフィー工程を用いて、引き出し電極5用金属およびSiO2薄膜4をウェットエッチングにより除去した。これによって、直径5[μm]の窓5Aが形成された(図2(D))。窓5Aの中に露出した窒化ホウ素炭素薄膜3の表面を水素プラズマで処理した後、真空チェンバー内でアノード電極7となる金属板を窒化ホウ素炭素薄膜3に対向させて配置した(図2(D))。
このとき、窒化ホウ素炭素薄膜3とアノード電極7との間隔を125[μm]とした。
【0030】
前記構成の電子放出装置は、次のようにして用いられる。つまり、引き出し電極5を接地し(図1)、カソード電極6に電源11を接続し、アノード電極7に電源12を接続する。これによって、カソード電極6とアノード電極7に各々バイアスが加えられる。さらに、8×10-7[Torr]以下の真空度で、アノード電極7に向かって流れる電流(以下、放出電流という)を測定した。このとき、アノード電圧を500[V]と一定にし、カソード電圧を変化させた。この結果、図3に示すように、カソード電圧40[V]で0.1[mA]の高い放出電流が得られた。
【0031】
なお、実施例1では、イオウ不純物を添加した窒化ホウ素炭素薄膜2,3を用いたが、ドナー不純物となるリチウム、酸素、シリコン等の原子を添加した窒化ホウ素炭素薄膜を、窒化ホウ素炭素薄膜2,3の代わりに用いることもできる。
無添加窒化ホウ素炭素薄膜を用いて前記と同様の電子放出装置を作製した結果、
ターンオン電圧が30[%]程度増加し、電子放出特性の劣化が見られ、不純物添加の有効性が確認できた。
【0032】
また、シリコン基板1の基板材料として、シリコン以外の様々な導体および半導体を用いても作製できる。半導体基板を用いる場合には、オーミック電極形成可能な材料であれば、どのような金属でもカソード電極6用金属として用いることができる。導体基板を用いる場合には、基板自身をカソード電極として用いることができる。
【0033】
さらに、引き出し電極5用金属としてTi/Auを用いたが、Tiの代わりにCrを用いることができ、Auの代わりに様々な金属を用いることができる。
【0034】
【実施例2】
次に、本発明にかかる電子放出装置の実施例2について説明する。図4は、本発明に係る電子放出装置の実施例2を示す断面図である。実施例2の電子放出装置は、ガラス基板21、カソード電極22、窒化ホウ素炭素薄膜23,24、SiO2薄膜25、引き出し電極26およびアノード電極27で構成される。実施例2では、実施例1のシリコン基板1の代わりに絶縁体基板を用いた。
【0035】
この構成の電子放出装置を次に示す手順で作製した。つまり、図5(A)に示すように、絶縁体基板としてガラス基板21を用いる。そして、ガラス基板21上にカソード電極22としてTiを20[nm]、TiNを200[nm]スパッタ法により形成した。三塩化ホウ素とメタンと窒素ガスとを用いて、プラズマアシスト化学気相合成法によって、ガラス基板21上に窒化ホウ素炭素薄膜23(組成比、ホウ素0.4、炭素0.2、窒素0.4)を100[nm]堆積した(図5(B))。窒化ホウ素炭素薄膜23の上に窒化ホウ素炭素薄膜24(組成比、ホウ素0.5、炭素0.0、窒素0.5)を200[nm]堆積した。窒化ホウ素炭素薄膜23,24には、イオウ原子を1×1018[cm-3]の濃度に添加した。電子ビーム蒸着法によって、窒化ホウ素炭素薄膜24の上に500[nm]のSiO2薄膜25を形成した(図5(C))。同じく、電子ビーム蒸着法によって、SiO2薄膜25の上に引き出し電極26用の金属として、Ti(20[nm])/Au(500[nm])を形成した(図5(C))。
【0036】
その後、フォトリソグラフィー工程を用いて、引き出し電極26用金属およびSiO2薄膜25をウェットエッチングにより除去した。これによって、直径5[μm]の窓26Aが形成された(図5(D))。窓26Aの中に露出した窒化ホウ素炭素薄膜24の表面を水素プラズマで処理した後、真空チェンバー内でアノード電極27となる金属板を窒化ホウ素炭素薄膜24に対向させて配置した。
このとき、窒化ホウ素炭素薄膜24とアノード電極27との間隔を125[μm]とした。
【0037】
前記構成の電子放出装置は、次のようにして用いられる。つまり、引き出し電極26を接地し(図4)、カソード電極22に電源11を接続し、アノード電極27に電源12を接続する。これによって、カソード電極22とアノード電極27に各々バイアスが加えられる。さらに、8×10-7[Torr]以下の真空度で放出電流を測定した。このとき、アノード電圧を500[V]と一定にし、カソード電圧を変化させて、電子放出特性を評価した。この結果、実施例2の電子放出装置には、実施例1と同様に、図3に示すような電子放出特性があり、カソード電圧40[V]で0.1[mA]の高い放出電流が得られた。
【0038】
なお、実施例2では、カソード電極22の端面から配線しているが(図4)、
ガラス基板21の一部に窒化ホウ素炭素薄膜を堆積させないようにして、カソード電極22用の金属を露出させて、作製することができる。
【0039】
【実施例3】
次に、本発明にかかる電子放出装置の実施例3について説明する。図6は、本発明に係る電子放出装置の実施例3を示す断面図である。実施例3の電子放出装置は、ガラス基板31、窒化ホウ素炭素薄膜32,33、引き出し電極34、カソード電極35およびアノード電極36で構成される。実施例3では、実施例2と同様に、実施例1のシリコン基板1の代わりに絶縁体基板を用いた。
【0040】
この構成の電子放出装置を次に示す手順で作製した。つまり、図7(A)に示すように、絶縁体基板としてガラス基板31を用いる。そして、ガラス基板31上に、三塩化ホウ素とメタンと窒素ガスとを用いて、プラズマアシスト化学気相合成法によって、窒化ホウ素炭素薄膜32(組成比、ホウ素0.4、炭素0.2、窒素0.4)を100[nm]堆積した(図7(B))。同様にして、窒化ホウ素炭素薄膜32の上に窒化ホウ素炭素薄膜33(組成比、ホウ素0.5、炭素0.0、窒素0.5)を200[nm]堆積した。
【0041】
その後、図8に示すように、三塩化ホウ素と窒素ガスとを用いた反応性イオンエッチングにより、尖形状を有するストライプに窒化ホウ素炭素薄膜32,33を作製した(図7(C))。これによって、尖部33Aが形成された。その後、
フォトリソグラフィー工程を用いて、引き出し電極およびカソード電極用のパターンを作製し、Ti(20[nm])/Au(500[nm])を電子ビーム蒸着法で形成した。リフトオフによって、引き出し電極34およびカソード電極35を作製した(図7(D))。
【0042】
露出した窒化ホウ素炭素薄膜32,33の表面および側面表面を水素プラズマで処理した後、真空チェンバー内で、アノード電極36となる金属板を窒化ホウ素炭素薄膜33に対向させて配置した。このとき、窒化ホウ素炭素薄膜33とアノード電極36との間隔を125[μm]とした。
【0043】
前記構成の電子放出装置は、次のようにして用いられる。つまり、引き出し電極34を接地し(図4)、カソード電極35に電源11を接続し、アノード電極36に電源12を接続する。これによって、カソード電極35とアノード電極36に各々バイアスが加えられる。さらに、8×10-7[Torr]以下の真空度で放出電流を測定した。このとき、アノード電圧を500[V]と一定にし、カソード電圧を変化させて、電子放出特性を評価した。この結果、実施例3の電子放出装置には、図9に示すような電子放出特性があり、カソード電圧30[V]で0.1[mA]の高い放出電流が得られた。
【0044】
なお、実施例3では、窒化ホウ素炭素薄膜32,33を反応性イオンエッチングにより尖形状を有するストライプに作製したが(図8)、この形状は星型をはじめ、様々な尖形状を有するパターンを用いることができる。
【0045】
また、基板材料として実施例3では、ガラス基板31を用いたが、サファイヤなどの様々な絶縁体材料を用いることができる。また、シリコン基板上に熱酸化によりSiO2薄膜を500[nm]程度形成したものを、基板として用いることができる。
【0046】
【実施例4】
次に、本発明にかかる電子放出装置の実施例4について説明する。図10は、
本発明に係る電子放出装置の実施例4を示す断面図である。実施例4の電子放出装置は、シリコン基板41、窒化ホウ素炭素薄膜42,43、SiO2薄膜44、引き出し電極45、カソード電極46およびアノード電極47で構成される。
実施例4では、実施例1〜3に述べた窒化ホウ素炭素薄膜による電子放出部の作製以外の方法により、n型シリコン半導体基板上に電子放出装置を作製した。
【0047】
この構成の電子放出装置を次に示す手順で作製した。つまり、図11(A)に示すように、三塩化ホウ素とメタンと窒素ガスとを用いるプラズマアシスト化学気相合成法によって、メタンプラズマをシリコン基板41表面に作用させ、シリコン表面を炭化シリコンに改質した。これによって、シリコン基板41に改質層41Aが形成された(図11(B))。
【0048】
改質層41Aの上に窒化ホウ素炭素薄膜42(組成比、ホウ素0.4、炭素0.2、窒素0.4)を100[nm]堆積し、その上に窒化ホウ素炭素薄膜43(組成比、ホウ素0.5、炭素0.0、窒素0.5)を200[nm]堆積した。窒化ホウ素炭素薄膜42,43には、イオウ原子を1×1018[cm-3]の濃度に添加した。
【0049】
この後、窒化ホウ素炭素薄膜43上にSiO2薄膜44を500[nm]電子ビーム蒸着法で形成した(図11(C))。同じく、電子ビーム蒸着法によって、引き出し電極45用金属として、Ti(20[nm])/Au(500[nm]))を形成した(図11(C))。また、シリコン基板41の裏面にアルミニウム(300[nm])を電子ビーム蒸着法で形成し、カソード電極46を作製した(図11(D))。
【0050】
その後、フォトリソグラフィー工程を用いて、引き出し電極45用金属およびSiO2薄膜44をウェットエッチングにより除去した。これによって、直径5[μm]の窓45Aが形成された(図11(D))。窓45Aの中に露出した窒化ホウ素炭素薄膜43表面を水素プラズマで処理した後、真空チェンバー内でアノード電極47となる金属板を窒化ホウ素炭素薄膜43に対向させて配置した。
このとき、窒化ホウ素炭素薄膜43とアノード電極47との間隔を125[μm]とした。
【0051】
前記構成の電子放出装置は、次のようにして用いられる。つまり、引き出し電極45を接地し(図10)、カソード電極46に電源11を接続し、アノード電極47に電源12を接続する。これによって、カソード電極6とアノード電極7に各々バイアスが加えられる。さらに、8×10-7[Torr]以下の真空度で放出電流を測定した。このとき、アノード電圧を500[V]と一定にし、カソード電圧を変化させた。この結果、実施例1と同じ結果が得られ、カソード電圧40[V]で0.1[mA]の高い放出電流が得られた。
【0052】
以上、実施例1〜4について説明した。実施例1〜4において、電子放出部の材料として窒化ホウ素薄膜を用いたが、この薄膜内の各元素の組成比は実施例1〜4に示した場合に限定されることなく、様々な組成の窒化ホウ素薄膜を使用することができる。また、2つ以上の電子放出部を同一基板上に作製し、アレーを実現することができる。
【0053】
また、尖塔形状を有する所謂スピント型電子放出素子に本発明の窒化ホウ素炭素薄膜をコーティングする方法も使用でき、その効果は非常に大きいと考えられる。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ホウ素、炭素、窒素を含有する薄膜を用いたことによって、電子放出用の薄膜部分と基板との付着性が向上し、剥離が防止される。これによって、引き出し電極を有する平面型の電子放出装置を提供することができる。
【0055】
また、本発明によれば、低電圧で高い引き出し電流が実現できるため、表示装置、電子ビーム露光機、電子ビームを用いた評価装置等のキーデバイスとして効果的である。例えば、本発明を表示装置に適用した場合、高輝度の表示が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る電子放出装置の実施例1を示す断面図である。
【図2】 実施例1の電子放出装置の作製手順を説明するための説明図である。
【図3】 実施例1の電子放出装置の電子放出特性を示す特性図である。
【図4】 本発明に係る電子放出装置の実施例2を示す断面図である。
【図5】 実施例2の電子放出装置の作製手順を説明するための説明図である。
【図6】 本発明に係る電子放出装置の実施例3を示す断面図である。
【図7】 実施例3の電子放出装置の作製手順を説明するための説明図である。
【図8】 図7の電子放出装置の平面図である。
【図9】 実施例3の電子放出装置の電子放出特性を示す特性図である。
【図10】 本発明に係る電子放出装置の実施例4を示す断面図である。
【図11】 実施例4の電子放出装置の作製手順を説明するための説明図である。
【符号の説明】
1,41 シリコン基板
2,3,23,24,32,33,42,43 窒化ホウ素炭素薄膜
4,25,44 SiO2薄膜
5,26,34,45 引き出し電極
5A,26A,45A 窓
6,22,35,46 カソード電極
7,27,36,47 アノード電極
11,12 電源
21,31 ガラス基板
33A 尖部
41A 改質層
Claims (8)
- 導体または半導体基板上に電気的に接続してホウ素(組成比x)、炭素(組成比y)、窒素(組成比z)を含む組成比が0<x<1、0<y<1、0<z<1(x+y+z=1)の領域が少なくとも1層以上あり、表面に露出して組成比が0<x<1、0≦y<1、0<z<1(x+y+z=1)の薄膜があり、前記薄膜に電気的に絶縁して第1の金属体が設けられ、前記薄膜に対向して前記第1の金属体と空間をもって第2の金属体を設けたことを特徴とする電子放出装置。
- 絶縁体基板上にホウ素(組成比x)、炭素(組成比y)、窒素(組成比z)を含む組成比が0<x<1、0<y<1、0<z<1(x+y+z=1)の層が少なくとも1層以上ある薄膜と表面に露出して組成比が0<x<1、0≦y<1、0<z<1(x+y+z=1)の薄膜とからなる薄膜領域があり、前記薄膜領域上に電気的に接続した第1の金属体があり、前記薄膜領域および前記第1の金属体と電気的に絶縁した第2の金属体が前記基板上にあり、前記第1の金属体に対向して空間をもって前記第2の金属体を設けたことを特徴とする電子放出装置。
- 前記ホウ素、前記炭素、前記窒素を含む領域と前記表面に露出した薄膜が組成比の異なる多層構造になっていることを特徴とする請求項1または2に記載の電子放出装置。
- 前記ホウ素、前記炭素、前記窒素を含む領域と前記表面に露出した薄膜の組成比を徐々に変化させて形成したことを特徴とする請求項1または2に記載の電子放出装置。
- 前記ホウ素、前記炭素、前記窒素を含む領域および表面薄膜が堆積により形成されたことを特徴とする請求項1または2に記載の電子放出装置。
- 前記ホウ素、前記炭素、前記窒素を含む領域が前記基板に原子を侵入することにより形成されたことを特徴とする請求項1または2に記載の電子放出装置。
- 前記ホウ素、前記炭素、前記窒素を含む領域が前記表面に露出した薄膜を通して原子を注入することにより形成されたことを特徴とする請求項1に記載の電子放出装置。
- 前記基板に導体または半導体を用いたことを特徴とする請求項1に記載の電子放出装置。
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