JP3737271B2 - 杭の打設方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、杭の打設方法に関し、詳しくは杭を回転させながら地盤に圧入することにより打設する方法に関する。
【0002】
【従来の技術・発明が解決しようとする課題】
例えば小径の鋼管よりなる杭を打設する方法として、モンケン打ちと呼ばれる工法がある。このモンケン打ち工法は、1t程度のおもりを杭の頭部に落下させることにより該杭を打設するものである。
【0003】
上記モンケン打ち工法においては、おもりを杭の頭部に落下させて打ちつけるため、相当の騒音および振動を生じるという問題がある。また、大型の機械を必要とするため、狭小地では実施が困難である。
【0004】
一方、回転圧入工法と呼ばれる工法も実施されている。この回転圧入工法は、例えば図17に模式的に示すように、杭12を回転させながら地盤Gに圧入することにより打設するものである。
【0005】
上記回転圧入工法によれば、前記モンケン打ち工法の場合に比して、騒音や振動を大きく軽減することができるが、その反面、杭12の支持力が不十分となる場合がある。
【0006】
杭の支持力は、周面の摩擦力と先端の支持力との和として得られる。ここで、上記回転圧入工法の場合、図17に示すように杭12の先端にある土をほぐしながら該杭12を圧入していくものであるため、該杭12の周面が空隙率の高い軟弱な土S2で覆われ、その結果周面の摩擦力がほぼ0に近い状態となりやすい。また、最終の打ち止めの時点であっても、該杭12の先端にある土が軟弱となっている可能性は大であり、したがって先端の支持力も確保し難いといえる。以上のことから、回転圧入工法によっては十分な支持力を確保し得るとは言い難い。
【0007】
また、杭12を地盤Gに圧入するのに大きな反力を必要とするため大型の機械が必要であり、したがってこの回転圧入工法の場合にも狭小地には適用し難いという問題がある。
【0008】
この発明は、上記の点に鑑み、騒音や振動が少なく、かつ十分な支持力を確保することができるとともに、狭小地においても容易に実施することができる杭の打設方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するためになされたこの発明の請求項1に記載の杭の打設方法は、鋼管杭を回転させながら地盤に圧入することにより打設する方法であって、前記鋼管杭は、本体部材と、継手部材と、前記本体部材の先端側に前記継手部材を介して連結される先端部材とを備え、前記継手部材を前記先端部材の上端部に外嵌し、本体部材の下端部を前記継手部材に上方から嵌挿するようにして前記継手部材の上端縁を前記本体部材に溶接するとともに、前記継手部材の下端縁を前記先端部材に溶接して連結するものであり、前記鋼管杭の上端部から内部に液状の硬化剤を導入して前記先端部材の先端部に設けられた孔から前記硬化剤を地盤に注入しながら前記鋼管杭を圧入することを特徴とするものである。
【0010】
また、この発明の請求項2に記載の杭の打設方法は、前記請求項1に記載の杭の打設方法において、前記孔を前記先端部材の先端面に設けておくことを特徴とするものである。
【0011】
また、この発明の請求項3に記載の杭の打設方法は、前記請求項2に記載の杭の打設方法において、前記鋼管杭の周面において、前記先端部材には突起物を設けておくとともに、前記本体部材には爪部を突設しておくことを特徴とするものである。
【0012】
また、この発明の請求項4に記載の杭の打設方法は、前記請求項1乃至3のいずれかに記載の杭の打設方法において、前記先端部材の先端面にブレードを突設しておくことを特徴とするものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき具体的に説明する。図1には、本発明の杭の打設方法により杭の打設を行っている状況の一例が模式的に示されている。同図においては、杭1を回転させながら地盤Gに圧入するようにしている。
【0016】
杭1は、小径の鋼管杭であり、図2に示すように、本体部材11の先端側に継手部材12を介して先端部材13を固着した構成となっている。
【0017】
継手部材12は、本体部材11と先端部材13とを連結するためのものであり、本体部材11を構成する鋼管の外径にほぼ等しい内径を有する短尺の鋼管よりなる。
【0018】
継手部材12の外周面において、該継手部材12の径方向に沿って互いに反対側に位置する2箇所には、攪拌用突出片14、14がそれぞれ配設されている。この攪拌用突出片14、14は、杭1を地盤Gに貫入する際、該杭1とともに回転して土をほぐすように動作するものであり、図3に示すように、方形状の鋼製プレートを、図中の矢印Aに示す継手部材12の回転方向に対し下傾する態勢で、継手部材12の外周面に突設した構成となっている。
【0019】
また、継手部材12の下端縁において、該継手部材12の径方向に沿って互いに反対側に位置する2箇所には、半円形の凹部15がそれぞれ配設されている(図では一方の凹部15のみを示す)。
【0020】
先端部材13は、図2に示すように、本体部材11を構成する鋼管と同径で、やや短尺(ただし継手部材12より長尺)の鋼管よりなる。先端部材13の外周面の上端近傍において、該先端部材13の径方向に沿って互いに反対側に位置する2箇所には、係合用突起16がそれぞれ配設されている(図では一方の係合用突起16のみを示す)。この係合用突起16は、前記継手部材12の凹部15に係合して該継手部材12を所定位置に保持する部位であり、該凹部15に対応する円柱状の小突起となっている。
【0021】
先端部材13の中間部よりやや下方には、ウイング2が設けられている。このウイング2は、前記継手部材12の攪拌用突出片14、14と同様に、杭1とともに回転して土をほぐすように動作する部位であり、先端部材13の周面に沿って1ピッチのスパイラル状に延びる鍔状の突起物となっている。ここに示すウイング2は、上記のようにスパイラル状に延びる鍔状突起物であるので、大きな反力を要することなく容易に土中に貫入させることができるとともに、十分に土をほぐすことができる。
【0022】
ウイング2のピッチは、例えば土質に応じて適宜設定するようにすることができる。例えば、砂質土の場合には大ピッチとし、粘性土の場合には小ピッチとすればよい。
【0023】
先端部材13の先端面は閉塞されるとともに、先端近傍の周壁には1つの孔3が穿設されている。この孔3は、後記するように硬化剤の吐出口として機能するものである。なお後記するように、この孔3は先端部材13の先端面に穿設するようにしてもよい。先端部材13の外周面の先端近傍において、上記孔3の側方には、土圧抑制用突起17が配設されている。この土圧抑制用突起17は、杭1を回転圧入する際に孔3が土圧をうけて閉塞されることを抑制するためのものであり、円柱状の小突起として形成されている。
【0024】
先端部材13の外周面の先端部において、該先端部材13の径方向に沿って互いに反対側に位置する2箇所には、攪拌用爪18、18がそれぞれ配設されている。この攪拌用爪18、18は、前記攪拌用突出片14、14ならびにウイング2と同様に、杭1とともに回転して土をほぐすように動作する部位である。該攪拌用爪18、18は、短尺の丸鋼の一方端部の外周面を、先端部材13の外周面の先端部に固着することにより設けられ、これにより該攪拌用爪18の大部分が先端部材13の下端から下方へ突出するようになっている。
【0025】
上記本体部材11と先端部材13とは、図4に示すように、継手部材12の凹部15を先端部材13の係合用突起16に係合するようにして、該継手部材12を先端部材13の上端部に外嵌し、本体部材11の下端部を継手部材12に上方から嵌挿するようにして、この状態で継手部材12の上端縁および下端縁を溶接することにより連結することができる。
【0026】
上記のように、ウイング2等の突起物を設けた先端部材13を本体部材11とは別体として構成し、これらの部材を連結する構成とすることにより、先端部材13を、使用時以外には本体部材11と分離しておくことができ、したがって保管および運搬に有利である。また、従来使用されていた鋼管杭の先端に上記先端部材13を連結して使用することもでき、この場合には、先端部材13(および継手部材12)のみを作製すればよい。さらにまた、例えばウイング2のピッチが異なる複数の先端部材13を用意しておき、現場で土質に応じてこれら先端部材13を使い分けるといったことも可能である。
【0027】
杭1の本体部材11の周面には、図2に示すように、爪部4が突設されている。この爪部4は、杭1を地盤Gに貫入する際、周面の土との摩擦力を低減して施工をしやすくするとともに、周面の土をほぐして、後述するCB液8の注入を容易とするためのものである。該爪部4は側面視くの字形状の棒材となっており、両端をそれぞれ上下に向けて本体部材11の周面に固着するようにして突設されている。また該爪部4は、本体部材11の周面に沿ってスパイラル状に点在する複数箇所に突設されている。ここに示す爪部4は、上記のように両端が本体部材11の周面に固着されているため強度に優れるものとなっている。
【0028】
杭1は、図1に示すように、圧入装置5により、回転しながら地盤Gに圧入されるようになっている。ここで、杭1の上端部は、ホース6を介して硬化剤槽7に接続されている。硬化剤槽7には、硬化剤としてセメントベントナイト液(本明細書においては、CB液とも称す)8が貯留されており、ポンプによりホース6を経て杭1の内部に導入される。杭1内に導入されたCB液8は、前記先端部材13の先端部の孔3から放出され、これにより、CB液8が地盤Gに注入される。このように、杭1の先端部に孔3を設けておき、CB液8を杭1の上端部から内部に導入して先端部の孔3から放出することにより、該CB液8を杭1の先端にある土に効率よく注入することができるとともに、鋼管杭である杭1の内腔を有効に利用することができ、簡単な構成でCB液8を地盤Gに注入することができる。
【0029】
上記工程においては、前記したように杭1が回転しながら地盤Gに圧入されるため、前記ウイング2等によりCB液8と土とが攪拌される。
【0030】
上記のようにCB液8を地盤Gに注入しつつ、杭1を回転させながら地盤Gに圧入することにより、杭1の先端にある土がCB液8と攪拌混合され、十分に軟化する。このため、杭1を地盤Gに圧入するのに大きな反力は不要であり、したがって小型の圧入装置5により杭1の圧入を行うことができる。
【0031】
また、杭1の圧入工程の間に地盤Gにおいてほぐされた部分は、空気や水が侵入して空隙率が高い状態となるが、その空隙にはCB液8が充填される。ここで、CB液8は水よりも比重が大であるため、例えば地盤G内のほぐされた部分に水が集中して滞留しても、CB液8が充填されることにより水は排出される。
【0032】
上記のようにして杭1の圧入を完了した時点では、杭1は前記したようにCB液8と攪拌混合されて軟化した土で覆われているが、このCB液8と土との混合物(以下、改良土とも称す)は、施工後2〜3日程度で硬化する。その結果、図5に示すように、杭1の周面および先端は、固化した改良土の層S1で被覆された状態となる。この固化した改良土層S1は、結合力が元の地盤Gと同等かあるいは該地盤Gよりも強くなり、このため、杭1の周面の摩擦力も先端の支持力もともに向上する。したがって、杭1の支持力が増大する。
【0033】
また、杭1の先端部には突起物としてウイング2が設けられているので、このウイング2が前記固化した改良土層S1と一体化し、これにより杭1先端の拡底効果が得られる。
【0034】
また、少なくとも元の地盤Gの硬さを有する改良土層S1が杭1の周囲に固着一体化することから、該改良土層S1も杭の一部のように機能することができる。即ち、図5に示すように、杭1の径d1が、改良土層S1の厚さの分増大した径d2となる。なお、上記増大した径d2は、突起物、爪部等の、杭1に突設された部位のうち最も大きく突出する部位の径に等しくなるが、若干量のCB液8がさらに外方へ浸透する場合もあり、この場合には上記径d2もさらに大となる(図では径d2は実際よりもやや大きくして示している)。
【0035】
図6乃至図8には、爪部の他の例が示されている。図6に示す爪部4は、側面視鉤形状の棒材であり、一方片を垂下させた状態で、他方片の端部を杭1の本体部材11の周面に固着するようにして突設されている。該図6に示す爪部4の突設箇所は前記図2に示す爪部4の場合と同様である。この図6に示す爪部4は、一端のみを本体部材11の周面に固着しているため、前記図2に示す爪部4に比して、容易に設けることができるという利点があり、また、垂下させた部分により、土中に貫入させやすいものとなっている。図7に示す爪部4は、短尺の鉄筋を本体部材11の周面に水平に突設したものであり、この場合もその突設箇所は前記と同様である。この図7に示す爪部4は、本体部材11の周面から水平に突出する部分のみよりなるため、前記図2または図6に示す爪部4に比して、構成がより簡単であり、一層容易に設けることができる。図8に示す爪部4は、前記継手部材12の攪拌用突出片14と同様に、方形状の鋼製プレートを本体部材11の回転方向に対し下傾する態勢で、本体部材11の外周面に突設した構成となっており、杭1とともに回転して土をほぐすように機能する。この図8に示す爪部4の突設箇所も前記図2に示す爪部4の場合と同様である。特にこの図8に示す爪部4は、周面の土をほぐすだけでなく、CB液と土とを十分に攪拌混合することができ、周面の土の固化度を向上させることができる。
【0036】
また、先端部材13および継手部材12に設ける突起物としては、回転することにより土をほぐすことができるとともに、CB液8と土とを攪拌し得るものであれば、前記ウイング2や攪拌用突出片14、14以外にも任意のものを設けることができ、例えばヒレ状の突起物や、あるいは図9に示すように、先端部材13の先端部の周面上の複数箇所から側方へそれぞれ突出する耳状の突起物2を設けるようにしてもよい。図9に示す耳状の突起物2は、前記図2に示すウイング状の突起物2に比して、構成が簡単で容易に設けることができるという利点がある。また、該耳状の突起物2は、先端部材13の先端部の孔3の側方に設けられているため、前記図2に示す土圧抑制用突起17の機能も兼ねることができる。さらに、上記耳状の突起物2は、図10に示すように、先端部材13の回転方向に対し下傾する態勢となるように設けるようにしてもよく、これにより土をより効率よくほぐすことができる。
【0037】
また、本体部材11と先端部材13とを一体として設けるようにしてもよい。
【0038】
図11には、先端部材の他の例が示されている。同図に示す先端部材13は、周壁ではなく先端面の中央部に孔3が穿設されている。孔3を杭1の先端面に穿設することにより、杭1の先端の土にCB液をより確実かつ効率的に注入することができる。また、先端部材13の先端面には、下方に延びるブレード19が突設されている。このブレード19は、杭1とともに回転して土をほぐすように動作する部位であるが、杭1の先端面に突設されているので、土を効率よくほぐすことができるとともに、該土をCB液と十分に攪拌混合することができる。該ブレード19は、下端縁の中央部が下方に突出する5角形状(即ち概略ホームベース状)の鋼製プレートの上端縁を、先端部材13の先端面に径方向に沿って接合することにより設けられており、その両端はそれぞれ先端部材13の側面よりもやや外側に突出している。
【0039】
上記ブレード19は、図12乃至図13に示すようなものとすることもできる。図12に示すブレード19は、先端部材13の先端面に径方向に沿って2枚の鋼製プレートを並置するようにして突設し、各プレートを先端部材13の回転方向にむけてそれぞれ傾斜させた構成となっている。図13に示すブレード19は、鋼製プレートの上端縁を、先端部材13の先端面に径方向に沿って接合し、該プレート下端縁の両側を、先端部材13の回転方向にむけてそれぞれ湾曲させた構成となっている。上記図12および図13に示すブレード19のように、該ブレード19の一部または全部を、先端部材13の回転方向にむけて傾斜、湾曲(あるいは折曲等)することにより、杭1先端の土をより効率よくほぐすことができる。
【0040】
上記図11乃至図13に示すようなブレード19には、例えば図14に示すように、該ブレード19を厚さ方向に貫通する1または複数の孔20を穿設し、これにより先端部の土をより効果的に攪拌し得る構成としてもよい。図14に示すブレード19においては、該ブレード19の幅方向に沿って4個の孔20が穿設されており、各孔20は、杭1の回転時に同一の軌跡を描くことがないよう、杭1の軸心からの距離が互いに異なるとともに、高さ位置も互いに異なる位置にそれぞれ配設されている。
【0041】
さらに、上記図11乃至図13に示すような先端部材13には、例えば図15に示すように、先端面の孔3が土圧をうけて閉塞されることを抑制するためのプレート21を設けるようにしてもよい。図15に示す先端部材13においては、ブレード19の上端縁の中心部、即ち孔3と交差する部位に、該孔3の径より幅広の方形状の切欠溝22が設けられ、該切欠溝22の底部に、該孔3より大径の円板状の土圧抑制用プレート21が、先端部材13の先端面に対し平行となる状態で固着されている。
【0042】
図16には、杭のさらに別の例が示されている。同図に示す杭1においては、鋼管の先端部に、前記図2に示す先端部材13の場合と同様のウイング2と、前記図13に示す先端部材13の場合と同様の孔(図示せず)およびブレード19とが設けられ、さらに、該鋼管の周面に、前記図8に示す爪部4と同様に、方形状の鋼製プレートよりなる爪部4が、杭1の回転方向に対し下傾する態勢となるように突設されている。ただしこの図16に示す爪部4は、杭1の周面において、該杭1の径方向に沿って互いに反対側に位置する2箇所に突設された2個の爪部4、4を1組として、複数組が上下に間隔をおいて配設され、上下に隣接する組は互いに直角をなすような態勢となるように配設された構成となっている。
【0043】
以上に例示した突起物、孔等の各種の部位は、適宜組み合わせを変更して設けることも可能である。例えば、図2に示す先端部材13において、攪拌用爪18、18にかえて、図12に示すブレード19を設けること等が挙げられる。
【0044】
また、各部位のサイズ、配設位置等も適宜変更することができる。例えば、図3に示す攪拌用突出片14、図8に示す爪部4、図10に示す耳状の突起物2、図16に示す爪部4等の傾斜角度は、土質に応じた適宜角度(例えば45°等)に設定することができる。
【0045】
【発明の効果】
以上のように、この発明の請求項1に記載の杭の打設方法によれば、鋼管杭として、継手部材を先端部材の上端部に外嵌し、本体部材の下端部を前記継手部材に上方から嵌挿するようにして前記継手部材の上端縁を前記本体部材に溶接するとともに、前記継手部材の下端縁を前記先端部材に溶接して連結するものを用いるので、使用時以外には先端部材を本体部材と分離しておくことができ、したがって保管および運搬の上で有利である。また、従来使用されていた鋼管杭の先端に上記先端部材を連結して使用することもできる。さらにまた、例えば突起物の構成が異なる複数の先端部材を用意しておき、現場で土質に応じてこれら先端部材を使い分けるといったことも可能である。また、液状の硬化剤を地盤に注入しながら、回転圧入により鋼管杭を地盤に貫入するので、鋼管杭の先端にある土が硬化剤と攪拌混合されて十分に軟化し、このため鋼管杭を地盤に圧入するのに大きな反力は不要である。したがって小型の圧入装置により鋼管杭の圧入を行うことができるので、狭小地でも容易に鋼管杭の打設を行うことができる。
【0046】
また、回転圧入により鋼管杭を地盤に貫入するので、モンケン打ち工法の場合のような騒音や振動は生じない。
【0047】
また、施工後に鋼管杭の周面および先端にある土が硬化剤により固化して、元の地盤と同等かあるいは該地盤よりも大きい結合力を有するようになるため、鋼管杭の周面の摩擦力も先端の支持力もともに向上する。したがって、従来の回転圧入工法の欠点であった支持力性能が改善され、モンケン打ち工法の場合と同等あるいはそれ以上の支持力性能が得られる。
【0048】
さらにまた、上記のように鋼管杭の支持力性能が従来よりも向上することから、鋼管杭の本数を削減することもでき、これにより工期の短縮、コストの低減等も可能となる。
【0049】
さらに加えて、鋼管杭の先端部材の先端部に孔を設けておき、硬化剤を該鋼管杭の上端部から内部に導入して上記孔から放出するようにするので、該硬化剤を鋼管杭の先端にある土に効率よく注入することができるとともに、鋼管杭の内腔を有効に利用することができ、簡単な構成で硬化剤を地盤に注入することができる。
【0050】
さらに加えて、この発明の請求項2に記載の杭の打設方法によれば、前記孔を先端部材の先端面に設けておくようにするので、鋼管杭の先端の土に硬化剤をより確実かつ効率的に注入することができる。
【0051】
さらに加えて、この発明の請求項3に記載の杭の打設方法によれば、鋼管杭の周面において、先端部材に突起物を設けておくようにするので、該鋼管杭を地盤に貫入する際、該突起物が鋼管杭とともに回転して土をほぐすように作用することにより、鋼管杭の貫入を容易とすることができるとともに、鋼管杭の先端にある土を硬化剤と十分に攪拌混合することができる。さらに、施工後に硬化剤により固化した土が該突起物と一体化し、これにより鋼管杭先端の拡底効果を得ることができる。
【0052】
また、鋼管杭の周面において、本体部材に爪部を突設しておくようにするので、鋼管杭を地盤に貫入する際、周面の土との摩擦力を低減して施工をしやすくすることができるとともに、周面の土をほぐして、硬化剤の注入を容易とすることができる。
【0053】
さらに加えて、この発明の請求項4に記載の杭の打設方法によれば、前記先端部材の先端面にブレードを突設しておくようにするので、鋼管杭の先端にある土を効率よくほぐすことができるとともに、該土を硬化剤と十分に攪拌混合することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係る杭の打設方法の実施状況を示す模式図。
【図2】図1の杭を示す部分分解側面図。
【図3】継手部材を示す斜視図。
【図4】本体部材と先端部材とを連結した状態を示す部分側面図。
【図5】杭の打設完了後の状況を示す模式図。
【図6】爪部の別の例を示す側面図。
【図7】爪部の別の例を示す側面図。
【図8】爪部の別の例を示す側面図。
【図9】突起物の別の例を示す側面図。
【図10】突起物の別の例を示す側面図。
【図11】先端部材の別の例を示す部分斜視図。
【図12】先端部材の別の例を示す部分斜視図。
【図13】先端部材の別の例を示す部分斜視図。
【図14】ブレードの別の例を示す正面図。
【図15】先端部材の別の例を示す部分斜視図。
【図16】杭の別の例を示す部分側面図。
【図17】従来の杭の打設方法の一例を示す模式図。
【符号の説明】
1 杭
8 セメントベントナイト液(液状の硬化剤)
G 地盤
【発明の属する技術分野】
この発明は、杭の打設方法に関し、詳しくは杭を回転させながら地盤に圧入することにより打設する方法に関する。
【0002】
【従来の技術・発明が解決しようとする課題】
例えば小径の鋼管よりなる杭を打設する方法として、モンケン打ちと呼ばれる工法がある。このモンケン打ち工法は、1t程度のおもりを杭の頭部に落下させることにより該杭を打設するものである。
【0003】
上記モンケン打ち工法においては、おもりを杭の頭部に落下させて打ちつけるため、相当の騒音および振動を生じるという問題がある。また、大型の機械を必要とするため、狭小地では実施が困難である。
【0004】
一方、回転圧入工法と呼ばれる工法も実施されている。この回転圧入工法は、例えば図17に模式的に示すように、杭12を回転させながら地盤Gに圧入することにより打設するものである。
【0005】
上記回転圧入工法によれば、前記モンケン打ち工法の場合に比して、騒音や振動を大きく軽減することができるが、その反面、杭12の支持力が不十分となる場合がある。
【0006】
杭の支持力は、周面の摩擦力と先端の支持力との和として得られる。ここで、上記回転圧入工法の場合、図17に示すように杭12の先端にある土をほぐしながら該杭12を圧入していくものであるため、該杭12の周面が空隙率の高い軟弱な土S2で覆われ、その結果周面の摩擦力がほぼ0に近い状態となりやすい。また、最終の打ち止めの時点であっても、該杭12の先端にある土が軟弱となっている可能性は大であり、したがって先端の支持力も確保し難いといえる。以上のことから、回転圧入工法によっては十分な支持力を確保し得るとは言い難い。
【0007】
また、杭12を地盤Gに圧入するのに大きな反力を必要とするため大型の機械が必要であり、したがってこの回転圧入工法の場合にも狭小地には適用し難いという問題がある。
【0008】
この発明は、上記の点に鑑み、騒音や振動が少なく、かつ十分な支持力を確保することができるとともに、狭小地においても容易に実施することができる杭の打設方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するためになされたこの発明の請求項1に記載の杭の打設方法は、鋼管杭を回転させながら地盤に圧入することにより打設する方法であって、前記鋼管杭は、本体部材と、継手部材と、前記本体部材の先端側に前記継手部材を介して連結される先端部材とを備え、前記継手部材を前記先端部材の上端部に外嵌し、本体部材の下端部を前記継手部材に上方から嵌挿するようにして前記継手部材の上端縁を前記本体部材に溶接するとともに、前記継手部材の下端縁を前記先端部材に溶接して連結するものであり、前記鋼管杭の上端部から内部に液状の硬化剤を導入して前記先端部材の先端部に設けられた孔から前記硬化剤を地盤に注入しながら前記鋼管杭を圧入することを特徴とするものである。
【0010】
また、この発明の請求項2に記載の杭の打設方法は、前記請求項1に記載の杭の打設方法において、前記孔を前記先端部材の先端面に設けておくことを特徴とするものである。
【0011】
また、この発明の請求項3に記載の杭の打設方法は、前記請求項2に記載の杭の打設方法において、前記鋼管杭の周面において、前記先端部材には突起物を設けておくとともに、前記本体部材には爪部を突設しておくことを特徴とするものである。
【0012】
また、この発明の請求項4に記載の杭の打設方法は、前記請求項1乃至3のいずれかに記載の杭の打設方法において、前記先端部材の先端面にブレードを突設しておくことを特徴とするものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき具体的に説明する。図1には、本発明の杭の打設方法により杭の打設を行っている状況の一例が模式的に示されている。同図においては、杭1を回転させながら地盤Gに圧入するようにしている。
【0016】
杭1は、小径の鋼管杭であり、図2に示すように、本体部材11の先端側に継手部材12を介して先端部材13を固着した構成となっている。
【0017】
継手部材12は、本体部材11と先端部材13とを連結するためのものであり、本体部材11を構成する鋼管の外径にほぼ等しい内径を有する短尺の鋼管よりなる。
【0018】
継手部材12の外周面において、該継手部材12の径方向に沿って互いに反対側に位置する2箇所には、攪拌用突出片14、14がそれぞれ配設されている。この攪拌用突出片14、14は、杭1を地盤Gに貫入する際、該杭1とともに回転して土をほぐすように動作するものであり、図3に示すように、方形状の鋼製プレートを、図中の矢印Aに示す継手部材12の回転方向に対し下傾する態勢で、継手部材12の外周面に突設した構成となっている。
【0019】
また、継手部材12の下端縁において、該継手部材12の径方向に沿って互いに反対側に位置する2箇所には、半円形の凹部15がそれぞれ配設されている(図では一方の凹部15のみを示す)。
【0020】
先端部材13は、図2に示すように、本体部材11を構成する鋼管と同径で、やや短尺(ただし継手部材12より長尺)の鋼管よりなる。先端部材13の外周面の上端近傍において、該先端部材13の径方向に沿って互いに反対側に位置する2箇所には、係合用突起16がそれぞれ配設されている(図では一方の係合用突起16のみを示す)。この係合用突起16は、前記継手部材12の凹部15に係合して該継手部材12を所定位置に保持する部位であり、該凹部15に対応する円柱状の小突起となっている。
【0021】
先端部材13の中間部よりやや下方には、ウイング2が設けられている。このウイング2は、前記継手部材12の攪拌用突出片14、14と同様に、杭1とともに回転して土をほぐすように動作する部位であり、先端部材13の周面に沿って1ピッチのスパイラル状に延びる鍔状の突起物となっている。ここに示すウイング2は、上記のようにスパイラル状に延びる鍔状突起物であるので、大きな反力を要することなく容易に土中に貫入させることができるとともに、十分に土をほぐすことができる。
【0022】
ウイング2のピッチは、例えば土質に応じて適宜設定するようにすることができる。例えば、砂質土の場合には大ピッチとし、粘性土の場合には小ピッチとすればよい。
【0023】
先端部材13の先端面は閉塞されるとともに、先端近傍の周壁には1つの孔3が穿設されている。この孔3は、後記するように硬化剤の吐出口として機能するものである。なお後記するように、この孔3は先端部材13の先端面に穿設するようにしてもよい。先端部材13の外周面の先端近傍において、上記孔3の側方には、土圧抑制用突起17が配設されている。この土圧抑制用突起17は、杭1を回転圧入する際に孔3が土圧をうけて閉塞されることを抑制するためのものであり、円柱状の小突起として形成されている。
【0024】
先端部材13の外周面の先端部において、該先端部材13の径方向に沿って互いに反対側に位置する2箇所には、攪拌用爪18、18がそれぞれ配設されている。この攪拌用爪18、18は、前記攪拌用突出片14、14ならびにウイング2と同様に、杭1とともに回転して土をほぐすように動作する部位である。該攪拌用爪18、18は、短尺の丸鋼の一方端部の外周面を、先端部材13の外周面の先端部に固着することにより設けられ、これにより該攪拌用爪18の大部分が先端部材13の下端から下方へ突出するようになっている。
【0025】
上記本体部材11と先端部材13とは、図4に示すように、継手部材12の凹部15を先端部材13の係合用突起16に係合するようにして、該継手部材12を先端部材13の上端部に外嵌し、本体部材11の下端部を継手部材12に上方から嵌挿するようにして、この状態で継手部材12の上端縁および下端縁を溶接することにより連結することができる。
【0026】
上記のように、ウイング2等の突起物を設けた先端部材13を本体部材11とは別体として構成し、これらの部材を連結する構成とすることにより、先端部材13を、使用時以外には本体部材11と分離しておくことができ、したがって保管および運搬に有利である。また、従来使用されていた鋼管杭の先端に上記先端部材13を連結して使用することもでき、この場合には、先端部材13(および継手部材12)のみを作製すればよい。さらにまた、例えばウイング2のピッチが異なる複数の先端部材13を用意しておき、現場で土質に応じてこれら先端部材13を使い分けるといったことも可能である。
【0027】
杭1の本体部材11の周面には、図2に示すように、爪部4が突設されている。この爪部4は、杭1を地盤Gに貫入する際、周面の土との摩擦力を低減して施工をしやすくするとともに、周面の土をほぐして、後述するCB液8の注入を容易とするためのものである。該爪部4は側面視くの字形状の棒材となっており、両端をそれぞれ上下に向けて本体部材11の周面に固着するようにして突設されている。また該爪部4は、本体部材11の周面に沿ってスパイラル状に点在する複数箇所に突設されている。ここに示す爪部4は、上記のように両端が本体部材11の周面に固着されているため強度に優れるものとなっている。
【0028】
杭1は、図1に示すように、圧入装置5により、回転しながら地盤Gに圧入されるようになっている。ここで、杭1の上端部は、ホース6を介して硬化剤槽7に接続されている。硬化剤槽7には、硬化剤としてセメントベントナイト液(本明細書においては、CB液とも称す)8が貯留されており、ポンプによりホース6を経て杭1の内部に導入される。杭1内に導入されたCB液8は、前記先端部材13の先端部の孔3から放出され、これにより、CB液8が地盤Gに注入される。このように、杭1の先端部に孔3を設けておき、CB液8を杭1の上端部から内部に導入して先端部の孔3から放出することにより、該CB液8を杭1の先端にある土に効率よく注入することができるとともに、鋼管杭である杭1の内腔を有効に利用することができ、簡単な構成でCB液8を地盤Gに注入することができる。
【0029】
上記工程においては、前記したように杭1が回転しながら地盤Gに圧入されるため、前記ウイング2等によりCB液8と土とが攪拌される。
【0030】
上記のようにCB液8を地盤Gに注入しつつ、杭1を回転させながら地盤Gに圧入することにより、杭1の先端にある土がCB液8と攪拌混合され、十分に軟化する。このため、杭1を地盤Gに圧入するのに大きな反力は不要であり、したがって小型の圧入装置5により杭1の圧入を行うことができる。
【0031】
また、杭1の圧入工程の間に地盤Gにおいてほぐされた部分は、空気や水が侵入して空隙率が高い状態となるが、その空隙にはCB液8が充填される。ここで、CB液8は水よりも比重が大であるため、例えば地盤G内のほぐされた部分に水が集中して滞留しても、CB液8が充填されることにより水は排出される。
【0032】
上記のようにして杭1の圧入を完了した時点では、杭1は前記したようにCB液8と攪拌混合されて軟化した土で覆われているが、このCB液8と土との混合物(以下、改良土とも称す)は、施工後2〜3日程度で硬化する。その結果、図5に示すように、杭1の周面および先端は、固化した改良土の層S1で被覆された状態となる。この固化した改良土層S1は、結合力が元の地盤Gと同等かあるいは該地盤Gよりも強くなり、このため、杭1の周面の摩擦力も先端の支持力もともに向上する。したがって、杭1の支持力が増大する。
【0033】
また、杭1の先端部には突起物としてウイング2が設けられているので、このウイング2が前記固化した改良土層S1と一体化し、これにより杭1先端の拡底効果が得られる。
【0034】
また、少なくとも元の地盤Gの硬さを有する改良土層S1が杭1の周囲に固着一体化することから、該改良土層S1も杭の一部のように機能することができる。即ち、図5に示すように、杭1の径d1が、改良土層S1の厚さの分増大した径d2となる。なお、上記増大した径d2は、突起物、爪部等の、杭1に突設された部位のうち最も大きく突出する部位の径に等しくなるが、若干量のCB液8がさらに外方へ浸透する場合もあり、この場合には上記径d2もさらに大となる(図では径d2は実際よりもやや大きくして示している)。
【0035】
図6乃至図8には、爪部の他の例が示されている。図6に示す爪部4は、側面視鉤形状の棒材であり、一方片を垂下させた状態で、他方片の端部を杭1の本体部材11の周面に固着するようにして突設されている。該図6に示す爪部4の突設箇所は前記図2に示す爪部4の場合と同様である。この図6に示す爪部4は、一端のみを本体部材11の周面に固着しているため、前記図2に示す爪部4に比して、容易に設けることができるという利点があり、また、垂下させた部分により、土中に貫入させやすいものとなっている。図7に示す爪部4は、短尺の鉄筋を本体部材11の周面に水平に突設したものであり、この場合もその突設箇所は前記と同様である。この図7に示す爪部4は、本体部材11の周面から水平に突出する部分のみよりなるため、前記図2または図6に示す爪部4に比して、構成がより簡単であり、一層容易に設けることができる。図8に示す爪部4は、前記継手部材12の攪拌用突出片14と同様に、方形状の鋼製プレートを本体部材11の回転方向に対し下傾する態勢で、本体部材11の外周面に突設した構成となっており、杭1とともに回転して土をほぐすように機能する。この図8に示す爪部4の突設箇所も前記図2に示す爪部4の場合と同様である。特にこの図8に示す爪部4は、周面の土をほぐすだけでなく、CB液と土とを十分に攪拌混合することができ、周面の土の固化度を向上させることができる。
【0036】
また、先端部材13および継手部材12に設ける突起物としては、回転することにより土をほぐすことができるとともに、CB液8と土とを攪拌し得るものであれば、前記ウイング2や攪拌用突出片14、14以外にも任意のものを設けることができ、例えばヒレ状の突起物や、あるいは図9に示すように、先端部材13の先端部の周面上の複数箇所から側方へそれぞれ突出する耳状の突起物2を設けるようにしてもよい。図9に示す耳状の突起物2は、前記図2に示すウイング状の突起物2に比して、構成が簡単で容易に設けることができるという利点がある。また、該耳状の突起物2は、先端部材13の先端部の孔3の側方に設けられているため、前記図2に示す土圧抑制用突起17の機能も兼ねることができる。さらに、上記耳状の突起物2は、図10に示すように、先端部材13の回転方向に対し下傾する態勢となるように設けるようにしてもよく、これにより土をより効率よくほぐすことができる。
【0037】
また、本体部材11と先端部材13とを一体として設けるようにしてもよい。
【0038】
図11には、先端部材の他の例が示されている。同図に示す先端部材13は、周壁ではなく先端面の中央部に孔3が穿設されている。孔3を杭1の先端面に穿設することにより、杭1の先端の土にCB液をより確実かつ効率的に注入することができる。また、先端部材13の先端面には、下方に延びるブレード19が突設されている。このブレード19は、杭1とともに回転して土をほぐすように動作する部位であるが、杭1の先端面に突設されているので、土を効率よくほぐすことができるとともに、該土をCB液と十分に攪拌混合することができる。該ブレード19は、下端縁の中央部が下方に突出する5角形状(即ち概略ホームベース状)の鋼製プレートの上端縁を、先端部材13の先端面に径方向に沿って接合することにより設けられており、その両端はそれぞれ先端部材13の側面よりもやや外側に突出している。
【0039】
上記ブレード19は、図12乃至図13に示すようなものとすることもできる。図12に示すブレード19は、先端部材13の先端面に径方向に沿って2枚の鋼製プレートを並置するようにして突設し、各プレートを先端部材13の回転方向にむけてそれぞれ傾斜させた構成となっている。図13に示すブレード19は、鋼製プレートの上端縁を、先端部材13の先端面に径方向に沿って接合し、該プレート下端縁の両側を、先端部材13の回転方向にむけてそれぞれ湾曲させた構成となっている。上記図12および図13に示すブレード19のように、該ブレード19の一部または全部を、先端部材13の回転方向にむけて傾斜、湾曲(あるいは折曲等)することにより、杭1先端の土をより効率よくほぐすことができる。
【0040】
上記図11乃至図13に示すようなブレード19には、例えば図14に示すように、該ブレード19を厚さ方向に貫通する1または複数の孔20を穿設し、これにより先端部の土をより効果的に攪拌し得る構成としてもよい。図14に示すブレード19においては、該ブレード19の幅方向に沿って4個の孔20が穿設されており、各孔20は、杭1の回転時に同一の軌跡を描くことがないよう、杭1の軸心からの距離が互いに異なるとともに、高さ位置も互いに異なる位置にそれぞれ配設されている。
【0041】
さらに、上記図11乃至図13に示すような先端部材13には、例えば図15に示すように、先端面の孔3が土圧をうけて閉塞されることを抑制するためのプレート21を設けるようにしてもよい。図15に示す先端部材13においては、ブレード19の上端縁の中心部、即ち孔3と交差する部位に、該孔3の径より幅広の方形状の切欠溝22が設けられ、該切欠溝22の底部に、該孔3より大径の円板状の土圧抑制用プレート21が、先端部材13の先端面に対し平行となる状態で固着されている。
【0042】
図16には、杭のさらに別の例が示されている。同図に示す杭1においては、鋼管の先端部に、前記図2に示す先端部材13の場合と同様のウイング2と、前記図13に示す先端部材13の場合と同様の孔(図示せず)およびブレード19とが設けられ、さらに、該鋼管の周面に、前記図8に示す爪部4と同様に、方形状の鋼製プレートよりなる爪部4が、杭1の回転方向に対し下傾する態勢となるように突設されている。ただしこの図16に示す爪部4は、杭1の周面において、該杭1の径方向に沿って互いに反対側に位置する2箇所に突設された2個の爪部4、4を1組として、複数組が上下に間隔をおいて配設され、上下に隣接する組は互いに直角をなすような態勢となるように配設された構成となっている。
【0043】
以上に例示した突起物、孔等の各種の部位は、適宜組み合わせを変更して設けることも可能である。例えば、図2に示す先端部材13において、攪拌用爪18、18にかえて、図12に示すブレード19を設けること等が挙げられる。
【0044】
また、各部位のサイズ、配設位置等も適宜変更することができる。例えば、図3に示す攪拌用突出片14、図8に示す爪部4、図10に示す耳状の突起物2、図16に示す爪部4等の傾斜角度は、土質に応じた適宜角度(例えば45°等)に設定することができる。
【0045】
【発明の効果】
以上のように、この発明の請求項1に記載の杭の打設方法によれば、鋼管杭として、継手部材を先端部材の上端部に外嵌し、本体部材の下端部を前記継手部材に上方から嵌挿するようにして前記継手部材の上端縁を前記本体部材に溶接するとともに、前記継手部材の下端縁を前記先端部材に溶接して連結するものを用いるので、使用時以外には先端部材を本体部材と分離しておくことができ、したがって保管および運搬の上で有利である。また、従来使用されていた鋼管杭の先端に上記先端部材を連結して使用することもできる。さらにまた、例えば突起物の構成が異なる複数の先端部材を用意しておき、現場で土質に応じてこれら先端部材を使い分けるといったことも可能である。また、液状の硬化剤を地盤に注入しながら、回転圧入により鋼管杭を地盤に貫入するので、鋼管杭の先端にある土が硬化剤と攪拌混合されて十分に軟化し、このため鋼管杭を地盤に圧入するのに大きな反力は不要である。したがって小型の圧入装置により鋼管杭の圧入を行うことができるので、狭小地でも容易に鋼管杭の打設を行うことができる。
【0046】
また、回転圧入により鋼管杭を地盤に貫入するので、モンケン打ち工法の場合のような騒音や振動は生じない。
【0047】
また、施工後に鋼管杭の周面および先端にある土が硬化剤により固化して、元の地盤と同等かあるいは該地盤よりも大きい結合力を有するようになるため、鋼管杭の周面の摩擦力も先端の支持力もともに向上する。したがって、従来の回転圧入工法の欠点であった支持力性能が改善され、モンケン打ち工法の場合と同等あるいはそれ以上の支持力性能が得られる。
【0048】
さらにまた、上記のように鋼管杭の支持力性能が従来よりも向上することから、鋼管杭の本数を削減することもでき、これにより工期の短縮、コストの低減等も可能となる。
【0049】
さらに加えて、鋼管杭の先端部材の先端部に孔を設けておき、硬化剤を該鋼管杭の上端部から内部に導入して上記孔から放出するようにするので、該硬化剤を鋼管杭の先端にある土に効率よく注入することができるとともに、鋼管杭の内腔を有効に利用することができ、簡単な構成で硬化剤を地盤に注入することができる。
【0050】
さらに加えて、この発明の請求項2に記載の杭の打設方法によれば、前記孔を先端部材の先端面に設けておくようにするので、鋼管杭の先端の土に硬化剤をより確実かつ効率的に注入することができる。
【0051】
さらに加えて、この発明の請求項3に記載の杭の打設方法によれば、鋼管杭の周面において、先端部材に突起物を設けておくようにするので、該鋼管杭を地盤に貫入する際、該突起物が鋼管杭とともに回転して土をほぐすように作用することにより、鋼管杭の貫入を容易とすることができるとともに、鋼管杭の先端にある土を硬化剤と十分に攪拌混合することができる。さらに、施工後に硬化剤により固化した土が該突起物と一体化し、これにより鋼管杭先端の拡底効果を得ることができる。
【0052】
また、鋼管杭の周面において、本体部材に爪部を突設しておくようにするので、鋼管杭を地盤に貫入する際、周面の土との摩擦力を低減して施工をしやすくすることができるとともに、周面の土をほぐして、硬化剤の注入を容易とすることができる。
【0053】
さらに加えて、この発明の請求項4に記載の杭の打設方法によれば、前記先端部材の先端面にブレードを突設しておくようにするので、鋼管杭の先端にある土を効率よくほぐすことができるとともに、該土を硬化剤と十分に攪拌混合することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係る杭の打設方法の実施状況を示す模式図。
【図2】図1の杭を示す部分分解側面図。
【図3】継手部材を示す斜視図。
【図4】本体部材と先端部材とを連結した状態を示す部分側面図。
【図5】杭の打設完了後の状況を示す模式図。
【図6】爪部の別の例を示す側面図。
【図7】爪部の別の例を示す側面図。
【図8】爪部の別の例を示す側面図。
【図9】突起物の別の例を示す側面図。
【図10】突起物の別の例を示す側面図。
【図11】先端部材の別の例を示す部分斜視図。
【図12】先端部材の別の例を示す部分斜視図。
【図13】先端部材の別の例を示す部分斜視図。
【図14】ブレードの別の例を示す正面図。
【図15】先端部材の別の例を示す部分斜視図。
【図16】杭の別の例を示す部分側面図。
【図17】従来の杭の打設方法の一例を示す模式図。
【符号の説明】
1 杭
8 セメントベントナイト液(液状の硬化剤)
G 地盤
Claims (4)
- 鋼管杭を回転させながら地盤に圧入することにより打設する方法であって、
前記鋼管杭は、本体部材と、継手部材と、前記本体部材の先端側に前記継手部材を介して連結される先端部材とを備え、前記継手部材を前記先端部材の上端部に外嵌し、本体部材の下端部を前記継手部材に上方から嵌挿するようにして前記継手部材の上端縁を前記本体部材に溶接するとともに、前記継手部材の下端縁を前記先端部材に溶接して連結するものであり、
前記鋼管杭の上端部から内部に液状の硬化剤を導入して前記先端部材の先端部に設けられた孔から前記硬化剤を地盤に注入しながら前記鋼管杭を圧入することを特徴とする杭の打設方法。 - 前記孔を前記先端部材の先端面に設けておくことを特徴とする請求項1に記載の杭の打設方法。
- 前記鋼管杭の周面において、前記先端部材には突起物を設けておくとともに、前記本体部材には爪部を突設しておくことを特徴とする請求項1又は2記載の杭の打設方法。
- 前記先端部材の先端面にブレードを突設しておくことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の杭の打設方法。
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