JP3737220B2 - ロックボルトの構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は山岳や道路の斜面更にはトンネル面等に打ち込まれて岩盤の崩落を防止するロックボルトの構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より脆弱な岩肌の崩落を防止するためグラウト式ロックボルトが広く使用されている。この方式は岩盤にドリルホ−ルを開けてロックボルトをこのホ−ルに挿入し、ロックボルトに設けた貫通孔を利用してグラウト材をホ−ル内に注入し、ホ−ルとロックボルトとの間の空間を埋め、グラウトを固化させてロックボルトを固着するものである。
【0003】
図7は従来から用いられているロックボルト20の側面図であり、21はロックボルト20の基体をなすパイプであって、22はそのパイプ21の中心を貫通する孔である。そして、パイプ21の先端の側面部に貫通孔22に通ずるグラウト吐出口23が形成されている。そして、このパイプ21の先端に円錐形の頭部24を有するコ−ン25を溶接したものであり、通常はパイプ21の外周にねじ山26が形成されている。
【0004】
図8は従来のロックボルト20におけるコ−ン25の別例を示す側面図であって、円錐形の頭部24の裏側に軸部27が備えられたものであり、このコ−ン25の軸部27をパイプ21の先端に挿入し、或いは更に溶接してなる構造となっている。
【0005】
さて、かかる構造のロックボルト20は、岩盤に開けたホ−ル内に挿入されることになるが、この穿孔されたホ−ルの面を擦って挿入されたり、場合によっては強制的にロックボルト20の外周に形成したねじ山26を利用してホ−ルの深部にまでねじ込まれることがしばしばであった。
このような場合、グラウトを注入しようとしても吐出口23内に土砂が詰まってしまっており、所定量のグラウトが注入できなかったり、注入圧力が弱かったり、更には注入時間が極めて長かったりしてその作業性は極めて悪かった。
【0006】
近年、グラウト材としてウレタン原液が広く用いられるようになり、ホ−ル内へのロックボルトの固着に供されるのみならず、ホ−ルより岩盤の割れ目内にこのウレタン原液を滲み込ませて岩盤を接着固定する方法も行われているが、常温で液体のウレタン原液を圧力をかけて吐出し、これを岩盤の割れ目内に圧入する必要があるところ、吐出口3が塞がれている場合には十分な量を充填することができない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明のロックボルトは上記したような従来の構造のロックボルトの欠点を改良することをその課題とするものであって、ロックボルトのグラウト吐出口が常に解放され、グラウト注入作業に悪影響をもたらさないロックボルトを提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は以上の課題を解決するために次のような構造としたものである。即ち中空部を有するパイプと、このパイプの先端の中空部に嵌着されるコ−ンとからなるロックボルトであって、前記コ−ンは円錐形の頭部と、頭部の底部の中央に形成された先細のテ−パ−状軸部と、この軸部の最大径は少なくともパイプの先端の中空部の径よりも大きくされ、かつこの軸部の軸心方向に溝部が形成され、パイプの先端の中空部にコ−ンの軸部が挿入された際にコ−ン頭部とパイプの先端部の間に隙間が形成され、前記溝部がこの隙間より露呈したことを特徴とするグラウト充填用ロックボルトの構造にかかるものである。そして、軸部の軸心方向に複数の溝部を形成してもよく、グラウト材としてウレタン原液を採用するのが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明は以上のようなロックボルトの構造を有しており、外形的にはコ−ンの軸部の径がコ−ンの頭部に近づくにつれて大径となっており、この大径部側はパイプの先端の中空部の径よりも大きいため、コ−ンの軸部をパイプの中空部に挿入した際、コ−ンの頭部とパイプの先端とは挿入されない軸部が生じこの両者間に隙間が生じる。しかるに、前記した軸部の軸心方向に溝部が形成されているため、コ−ンの頭部側の溝部端は前記した隙間内に露呈することになる。
【0010】
従って、本発明のロックボルトを穿孔されたホ−ル内に挿入された場合、例えばホ−ルの面にロックボルトが擦れて挿入されたとしても、コ−ンの頭部に守られ、その後側の隙間に露呈された溝部内に土砂が入り込む割合は極めて少なくなる。このため、パイプの中空部内に注入されたグラウト(ウレタン原液)は、軸部の溝部内に入り込み、更にコ−ン頭部側の溝部端に達し、このコ−ン頭部とパイプ先端との隙間より吐出される機能が保証されることになる。
【0011】
尚、本発明の主要部であるコ−ンにおいて、頭部の底面に続く軸部が先細となっているが、これはパイプの中空部に入れ易くされていることは勿論、コ−ン頭部とパイプの先端都の間に隙間を形成して溝部端を露呈させる機能と共に、中空部の径の異なるパイプにも利用可能としたためである。更に、パイプにウレタン吐出口を穿孔する必要もなくコストダウンともなる。
【0012】
【実施例】
以下、本発明のロックボルトの構造を実施例をもって更に詳細に説明する。
図1は本発明のロックボルトの側面図であり、図2はその分解図である。図中、符号1はロックボルトの基体をなすパイプであって、外周径が約29mm、中空部2の内周径が約11mmである。尚、パイプ1の全長は任意の長さであるが、通常は1〜6mの間で50cmピッチのものが存在している。
一方、コ−ン3は高さ(H)が15mm、底面40 の径が28mmの円錐形の頭部4を備え、この頭部4の底面40 の中央より先細形状の軸部5が形成されたものである。そして、この軸部5には軸心に沿って溝部6が刻設されている。
【0013】
ここでコ−ン3について更に言及すると、図3はその拡大側面図であり、図4は軸部側から見た正面図である。
さて、特に軸部5と溝部6について言及するに、頭部4の底面40 に対してこの例では5mmの幅をもって直径12.5mmにまで急激に径を減少したテ−パ−面7をもつ第1軸部51 と、ここより30mmの長さをもって先端50 の径が10mmとなるテ−パ−8をもつ第2軸部52 に分けて構成されている。
そして、第1軸部51 と第2軸部52 とを貫いて軸部5の軸芯方向に溝部6が形成されたものであって、特に第1軸部51 においては頭部4の底面40 にまで溝部6が形成されるものである。尚、この溝部6はこの例では半径6mmの円弧溝である。
この例では溝部6は軸部5に一つ形成した例を示したが、軸部5に複数の溝部6を形成してもよいことは勿論であり、図5は2本の溝部6を軸部5の左右に形成したコ−ンの図4と同様の正面図である。
【0014】
さて、図6は図1のロックボルトの90度回転した際の側面図であり、コ−ン3の頭部4とパイプ1の先端に生じる隙間Sと溝部6との関係が明らかにされている。この図6から分かるようにコ−ン3の軸部5の径がパイプ1の中空部2の径よりも大きくかつ軸部5の外面がテ−パ−面となっているため、パイプ1の中空部2に軸部5が挿入されても全て中空部2内に挿入されることはなく、その間に隙間Sが生じる。そして、軸部5の軸芯方向に形成した溝部6は軸部5の先端側を中空部2内に、そして頭部側を隙間Sに露呈してロックボルトが完成するものである。
【0015】
このため、注入されるグラウト材としてのウレタン原液は、パイプ1の中空部2及びコ−ン3の軸部5に形成した溝部6を通って隙間Sに達しここより吐出されることとなる。
【0016】
【発明の効果】
本発明は以上の通りであり、ロックボルトに形成されたグラウト吐出口に土砂が入りにくい構造としたため作業性が向上し、しかもコ−ンにあっては径の異なるパイプにも使用可能となったものでその利用価値は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明のロックボルトの側面図である。
【図2】図2は図1のロックボルトの分解図である。
【図3】図3は本発明にて用いられるコ−ンの拡大側面図である。
【図4】図4は図3のコ−ンの軸部側から見た正面図である。
【図5】図5は本発明にて用いられる別例のコ−ンの軸部側から見た正面図である。
【図6】図6は図1のロックボルトの90度回転した際の側面図である。
【図7】図7は従来のロックボルトの側面図である。
【図8】図8は従来のロックボルトの別例の側面図である。
【符号の説明】
1‥‥パイプ、
2‥‥中空部、
3‥‥コ−ン、
4‥‥頭部、
0 ‥‥頭部の底面、
5‥‥軸部、
1 ‥‥第1軸部、
2 ‥‥第2軸部、
6‥‥溝部、
7、8‥‥テ−パ−面、
S‥‥コ−ンの頭部とパイプの先端に生じる隙間。

Claims (3)

  1. 中空部を有するパイプと、このパイプの先端の中空部に嵌着されるコ−ンとからなるロックボルトであって、前記コ−ンは円錐形の頭部と、頭部の底部の中央に形成された先細のテ−パ−状軸部と、この軸部の最大径は少なくともパイプの先端の中空部の径よりも大きくされ、かつこの軸部の軸心方向に溝部が形成され、パイプの先端の中空部にコ−ンの軸部が挿入された際にコ−ン頭部とパイプの先端部の間に隙間が形成され、前記溝部がこの隙間より露呈したことを特徴とするグラウト充填用ロックボルトの構造。
  2. 軸部の軸心方向に複数の溝部を形成した請求項第1項記載のグラウト充填用ロックボルトの構造。
  3. 充填されるグラウトがウレタン原液である請求項第1項記載のグラウト充填用ロックボルトの構造。
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