JP3737017B2 - 杭打機のリーダ引き起こし装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、補助クレーンの補助を用いて杭打ち機のリーダを引き起こす杭打ち機のリーダ引き起こし装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図1は、一般的な直結3点支持式杭打機であるパイルドライバの側面斜視図である。パイルドライバ1は、走行装置2および上部旋回体3からなる本体に、リーダ4を備えて構成されている。杭を所定の角度で打ち込めるように杭方向を規制するリーダ4は、本体後方左右から延びるバックステー5,6によって上部を支持され、下部はブラケット7により本体に直結されている。リーダ4の前方には、杭の頭部を打撃するハンマの移動方向を案内するガイドパイプ17が設けられている。ハンマは、リーダ4先端部のリーダヘッド18よりワイヤロープによって吊られ、ガイドパイプ17に沿って移動される。
【0003】
パイルドライバ1を図2に示す寝ている姿勢から図1に示す作業姿勢にセットするには、リーダ起伏ワイヤロープ8を引っ張ってリーダ4を引き起こす作業が必要となる。なお、図2において図1と同一部分には同一符号を用いてその説明は省略する。しかし、リーダ4が長尺の場合、リーダ4の引き起こし作業をパイルドライバ1の本体の自力だけで行うには、リーダ4の重量が重過ぎるため、補助クレーンを用いてリーダ4の引き起こし作業を補助する必要がある。
【0004】
図2に示すように、リーダ4の先端寄りに設けられたバックステーホルダ9の近傍には吊り金具10が設けられている。リーダ4の引き起こし作業の補助は、この吊り金具10の部分を補助クレーン11を用いて玉掛ロープ12で吊ることによって行われる。
【0005】
図3に示すリーダ角αがリーダ自力引き起こし可能角度以上になるまで補助クレーン11によってリーダ4を引き起こしたら、その後は、リーダ起伏ワイヤロープ8を引っ張ってパイルドライバ1の自力でリーダ4を引き起こす。なお、図3において図2と同一部分には同一符号を用いてその説明は省略する。この際、補助クレーン11は不用となるので、玉掛ロープ12を吊り金具10から取り外す。リーダ角α=90°になる手前までリーダ4を引き起こしたら、ステー吊りクレーン13,14を用いてバックステー5,6を吊り、本体後方左右のアウトリガビーム15,16上にバックステー5,6をそれぞれ固定する。バックステー5,6を本体に固定したら、さらにリーダ4をリーダ角α=90°になるまで自力で引き起こす。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のパイルドライバ1においては、補助クレーン11を撤去する際、リーダ4を吊り上げるために吊り金具10に取り付けた玉掛ロープ12は、作業者が吊り金具10の位置までリーダ4に登って手作業により取り外している。吊り金具10は、通常、地上から20メートル以上の高所にあるため、玉掛ロープ12の取り外し作業は大変危険な作業となっている。また、杭打ち作業終了後、リーダ4を倒す際にも、作業者が吊り金具10の位置までリーダ4を登り、玉掛ロープ12を取り付けなければならず、大変危険である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、補助クレーンのフックに掛けられた玉掛ロープによって両端部が吊られて中央部に抱えたリーダを引き起こす吊りビームと、リーダの前方の外周長手方向に設けられたガイドパイプに沿って吊りビームを摺動させる,ガイドパイプに着脱自在に設けられた摺動案内具と、リーダの前方の回動支点近傍に設けられた固定ラグと、一端がこの固定ラグに着脱自在に取り付けられ,他端が吊りビームに取り付けられ,玉掛ロープによって吊りビームが吊られる際の吊りビームの摺動位置を規定する固定ロープまたは固定リンクとから、杭打ち機のリーダ引き起こし装置を構成した。
【0008】
本構成のリーダ引き起こし装置によるリーダの引き起こしは、固定ラグおよび吊りビーム間に固定ロープまたは固定リンクを架け渡し、補助クレーンのフックに掛けられた玉掛ロープで吊りビームの両端部を吊ることによって行われる。吊りビームの両端部が吊られると、吊りビームは、摺動案内具に案内されて、ガイドパイプに沿ってリーダ先端へ向かう向きに摺動する。この吊りビームの摺動は固定ロープまたは固定リンクが伸び切った位置で停止する。この状態でさらに吊りビームの両端部が吊り上げられると、リーダの荷重は吊りビームにあずけられ、リーダは、吊りビームの中央部に抱えられて徐々に引き起こされて行き、自力引き起こし可能なリーダ角度まで立たされる。
【0009】
リーダはその後自力で直立し、杭打ち機は作業姿勢にセットされる。作業姿勢にセットされると、リーダ引き起こし装置は不要になって杭打ち機から取り外される。この取り外しは、玉掛ロープに吊られた吊りビームを吊り下げることによって行われる。吊りビームが吊り下げられると、吊りビームは、自重により、摺動案内具に案内されてガイドパイプに沿って降下し、地上に近い高さまで降ろされる。この状態で、固定ロープまたは固定リンクの一端が固定ラグから取り外されると共に、摺動案内具がガイドパイプから取り外され、リーダ引き起こし装置が杭打ち機から取り外される。
【0010】
また、本構成のリーダ引き起こし装置によるリーダの倒しは、地上に近い高さで、摺動案内具および吊りビームがガイドパイプに取り付けられ、固定ロープまたは固定リンクの一端が固定ラグに取り付けられて行われる。固定ロープまたは固定リンク、摺動案内具および吊りビームが取り付けられると、同様に地上に近い高さで、吊りビームの両端部に玉掛ロープが掛けられる。その後、玉掛ロープが補助クレーンによって持ち上げられることにより、吊りビームは、吊り上げられ、固定ロープまたは固定リンクによって規定される摺動位置まで摺動案内具の案内でガイドパイプを摺動する。この状態でリーダが自力で前方に倒れてその荷重が吊りビームにあずけられ、リーダは吊りビームに抱えられながら地上まで倒される。
【0011】
また、本発明は、玉掛ロープによって吊られる吊りビームの両端部間の距離および固定ロープまたは固定リンクの長さが、吊りビームの両端部間を底辺とし、補助クレーンによるフック位置を頂点として玉掛ロープが形成する2等辺三角形が、リーダのリーダヘッドをかわす大きさに設定されていることを特徴とする。
【0012】
本構成のリーダ引き起こし装置によるリーダの引き起こしおよび倒しは、上記構成の場合と同様にして行うことが出来、また、次のように行うことも出来る。つまり、吊りビームの両端部が玉掛ロープによって吊られ、上述した引き起こし時のようにしてリーダが自力引き起こし可能なリーダ角度まで立たされる。その後、さらに、吊りビームの両端部が吊られてリーダが直立させられ、さらに、玉掛ロープがリーダの後方へ移動させられ、リーダが杭打ち機本体側に少し傾斜させられる。リーダは後方に少し傾いたこの状態でステーによって支持される。
【0013】
次に、玉掛ロープがゆるめられて固定ロープまたは固定リンクの一端が固定ラグから取り外され、その後、玉掛ロープが持ち上げられて吊りビームが固定ロープまたは固定リンクと共に吊り上げられる。この状態で玉掛ロープがリーダの前方に移動させられ、玉掛ロープはリーダヘッドをかわす。この際、リーダヘッドは、吊りビームの両端部間を底辺とし、補助クレーンによるフック位置を頂点として玉掛ロープが形成する2等辺三角形内を通過する。リーダヘッドをかわした玉掛ロープはそのまま下ろされ、玉掛ロープに吊られた吊りビームおよび固定ロープまたは固定リンクが、後方に少し傾斜したガイドパイプに沿って共に降下し、地上に近い高さまで降ろされる。この状態で、摺動案内具がガイドパイプから取り外され、リーダ引き起こし装置が杭打ち機から取り外される。その後、リーダは後方に傾いた状態から自力で直立し、杭打ち機は作業姿勢にセットされる。作業姿勢からのリーダの倒しは、この引き起こしの逆の手順で行われる。
【0014】
このように本構成のリーダ引き起こし装置によれば、玉掛ロープが形成する2等辺三角形がリーダヘッドをかわす大きさに設定されているため、玉掛ロープは、リーダの後方から前方へ、ならびに前方から後方へ、リーダヘッドをかわして移動することが出来る。しかも、本構成のリーダ引き起こし装置では、玉掛ロープがリーダヘッドをかわす際、リーダが後方に少し傾斜させられ、固定ロープまたは固定リンクの一端が固定ラグから取り外されて吊りビームが持ち上げられるため、リーダヘッドは、玉掛ロープが形成する2等辺三角形の底辺に近い幅の広い部分を通過する。
【0015】
また、本発明は、吊りビームが、摺動案内具によってガイドパイプに沿って摺動させられるホルダと、玉掛ロープによって両端部が吊られる,ホルダに挿通されたシャフトとから構成されることを特徴とする。
【0016】
本構成によれば、玉掛ロープによって両端部が吊られるシャフトは、玉掛ロープから受ける荷重方向に応じてホルダ内を回動する。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に、本発明による杭打ち機のリーダ引き起こし装置をパイルドライバに適用した一実施形態について説明する。
【0018】
図4は本実施形態による杭打ち機のリーダ引き起こし装置が適用される3点直結式パイルドライバ21の側面図である。なお、同図において図1と同一または相当する部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0019】
パイルドライバ21を同図のようにリーダ4が直立した作業状態にセットするリーダ4の引き起こし作業は、前述したように、リーダ起伏ワイヤロープ8を引っ張って行うが、リーダ4が長尺で重い場合には、リーダ引き起こし装置および補助クレーンを用いて引き起こし作業を補助する。
【0020】
図5は、本実施形態による杭打ち機のリーダ引き起こし装置の全体構成を示している。なお、同図において図4と同一部分には同一符号を付して説明する。円筒状のリーダ4の前方の外周長手方向に設けられたガイドパイプ17には、吊りビーム22がこのガイドパイプ17に沿って摺動可能に取り付けられている。リーダ4の前方の回動支点近傍には、固定ラグ23が溶接によって固定されている。なお、固定ラグ23のリーダ4に対する固定は、ボルトやピンを使用してリーダ4に固定する構造であっても構わない。この固定ラグ23には、固定ロープ24の一端が固定ピン25aによって着脱自在に取り付けられている。固定ロープ24は、2本のロープ24a,24bが固定ピン25cによって連結されて構成されており、その他端は、吊りビーム22に固定ピン25bによって取り付けられている。この固定ロープ24は、後述するように、玉掛ロープ12によって吊りビーム22が吊られる際、ガイドパイプ17に沿って摺動する吊りビーム22の摺動位置を規定する。
【0021】
図6は、ガイドパイプ17に取り付けられている吊りビーム22をリーダヘッド18の方向から視た図である。なお、同図において図5と同一部分には同一符号を用いてその説明は省略する。同図に示すように、吊りビーム22は、摺動案内具である鈎手状のガイドギブ26によってガイドパイプ17に摺動自在に取り付けられている。ガイドパイプ17に引っ掛けられている左右で一対のガイドギブ26は、吊りビーム22の基体となるホルダ27にボルト28によって着脱自在に固定されている。ホルダ27には、筒状の穴があいており、この穴にシャフト29が回転自在に挿通されている。このシャフト29の両端には、吊り穴29a,29bが形成されている。吊り穴29a,29bには、玉掛ロープ12が掛けられるシャックル31が図7に示すように取り付けられる。
【0022】
図7は吊りビーム22がシャックル31を介して補助クレーン11で吊られる状態を示している。なお、同図において図5と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。玉掛ロープ12によって吊られる吊りビーム22の両端部間の距離および固定ロープ24の長さは、同図に示すように、吊りビーム22の両端部間を底辺とし、補助クレーン11によるフック位置を頂点として玉掛ロープ12が形成する2等辺3角形が、リーダ4のリーダヘッド18をかわす大きさに設定されている。
【0023】
このような構成のリーダ引き起こし装置によるリーダ4の引き起こしは次のように行われる。まず、水平に寝ているリーダ4のガイドパイプ17にガイドギブ26およびホルダ27を図6に示すように取り付け、ホルダ27にシャフト29を通す。次に、固定ラグ23および吊りビーム22間に固定ロープ24を取り付ける。その後、シャフト29の両端部にシャックル31を介して玉掛ロープ12を取り付け、この玉掛ロープ12を補助クレーン11のフックで吊り上げる。
【0024】
玉掛ロープ12が吊り上げられて吊りビーム22の両端部が吊られると、吊りビーム22はガイドギブ26に案内されて、ガイドパイプ17に沿ってリーダヘッド18へ向かう向きに摺動する。この吊りビーム22の摺動は固定ロープ24が伸び切った位置で停止する。吊りビーム22が停止した状態から、さらに吊りビーム22の両端部が吊り上げられると、リーダ4の荷重は吊りビーム22にあずけられ、リーダ4は、吊りビーム22の中央部に抱えられて、図8に示すように、徐々に引き起こされていく。
【0025】
リーダ4のリーダ角が自力で引き起こし可能な角度まで達したら、図4に示したリーダ起伏ワイヤロープ8を引っ張ってリーダ4を直立するまで自力で引き起こす。リーダ4が直立したら、前述したように、ステー吊りクレーンを用いてバックステー5,6を吊り、これらバックステー5,6をアウトリガビーム15,16上にそれぞれ固定する。このようにしてパイルドライバ21が作業姿勢にセットされると、リーダ引き起こし装置は不要となるので、パイルドライバ21から取り外す。
【0026】
リーダ引き起こし装置を取り外す際は、補助クレーン11を下降させて、玉掛ロープ12に吊られている吊りビーム22を下降させる。吊りビーム22は、玉掛ロープ12が吊り下げられると、自重により、ガイドギブ26に案内されてガイドパイプ17に沿って降下する。吊りビーム22が地上付近まで降下したら、固定ロープ24の一端を固定ラグ23から取り外す。これと共に図6に示したボルト28を取り外してガイドギブ26とホルダ27とを分離させ、ガイドギブ26をガイドパイプ17から取り外してリーダ引き起こし装置をパイルドライバ21から取り外す。
【0027】
杭打ち作業が終了してリーダ4を倒すときは、引き起こし作業の手順と反対の手順により行われる。まず、地上に近いリーダ4の下部において、ガイドギブ26をガイドパイプ17に取り付け、このガイドギブ26とホルダ27とをボルト28によって固定して吊りビーム22をリーダ4に取り付ける。次に、固定ロープ24の両端を吊りビーム22および固定ラグ23に取り付ける。さらに、吊りビーム22のシャフト29の両端にシャックル31を介して玉掛ロープ12を取り付ける。
【0028】
玉掛ロープ12を補助クレーン11のフックに掛けて吊り上げると、吊りビーム22は、固定ロープ24によって規定される摺動位置までガイドギブ26の案内でガイドパイプ17を摺動して上昇する。この状態で、リーダ起伏ワイヤロープ8が緩められ、バックステー5,6が伸ばされてリーダ4が自力で前方に倒れ、リーダ4の荷重が吊りビーム22にあずけられる。そして、リーダ4は、吊りビーム22に抱えられながら地上まで倒される。
【0029】
このように本実施形態による杭打ち機のリーダ引き起こし装置によれば、補助クレーン11で吊る玉掛ロープ12のリーダ4への取り付けおよび取り外し作業は、地上に近い低い高さで行える。従って、従来のようにこれらの作業を高所で行う必要がなくなる。この結果、作業を安全に行うことが出来る。
【0030】
また、本実施形態では、前述したように、玉掛ロープ12によって吊られる吊りビーム22の両端部間の距離および固定ロープ24の長さが、吊りビーム22の両端部間を底辺とし、補助クレーン11によるフック位置を頂点として玉掛ロープ12が形成する2等辺三角形が、リーダ4のリーダヘッド18をかわす大きさに設定されている。このため、本実施形態のリーダ引き起こし装置によるリーダ4の引き起こしは、次のように行うことも出来る。
【0031】
つまり、吊りビーム22の両端部を玉掛ロープ12によって吊り、上述した引き起こし時のようにしてリーダ4を自力引き起こし可能なリーダ角度まで立たせる。その後、さらに、吊りビーム22の両端部を吊ってリーダ4を直立させ、さらに、玉掛ロープ12をリーダ4の後方へ移動させて、図9に示すように、リーダ4をパイルドライバ21の本体側に少し傾斜させる。なお、同図において図8と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。リーダ4を後方に少し傾けたこの状態でステー5,6によって支持する。
【0032】
次に、玉掛ロープ12をゆるめて固定ロープ24の一端を図10に示すように固定ラグ23から取り外し、その後、玉掛ロープ12を持ち上げて吊りビーム22を固定ロープ24と共に吊り上げる。なお、同図において図9と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。この状態で玉掛ロープ12を、同図に示すように、リーダ4の前方に移動させてリーダヘッド18をかわさせる。この際、リーダヘッド18は、吊りビーム22の両端部間を底辺とし、補助クレーン11によるフック位置を頂点として玉掛ロープ12が形成する2等辺三角形内を通過する。
【0033】
次に、リーダヘッド18をかわした玉掛ロープ12をそのまま下ろし、玉掛ロープ12に吊られた吊りビーム22および固定ロープ24を、後方に少し傾斜したガイドパイプ17に沿って共に降下させて、地上に近い高さまで降ろす。この状態で、ガイドギブ26をガイドパイプ17から取り外し、リーダ引き起こし装置をパイルドライバ21から取り外す。その後、リーダ4を後方に傾いた状態から自力で直立させ、パイルドライバ21を作業姿勢にセットする。作業姿勢からのリーダ4の倒しは、この引き起こしの逆の手順で行う。
【0034】
このような構成のリーダ引き起こし装置によれば、玉掛ロープ12が形成する2等辺三角形がリーダヘッド18をかわす大きさに設定されているため、玉掛ロープ12は、リーダ4の後方から前方へ、ならびに前方から後方へ、リーダヘッド18をかわして移動することが出来る。しかも、本構成のリーダ引き起こし装置では、玉掛ロープ12がリーダヘッド18をかわす際、リーダ4が後方に少し傾斜させられ、固定ロープ24の一端が固定ラグ23から取り外されて吊りビーム22が持ち上げられるため、リーダヘッド18は、玉掛ロープ12が形成する2等辺三角形の底辺に近い幅の広い部分を通過する。従って、玉掛ロープ12は、より容易により大きなリーダヘッド18を交わすことが出来、パイルドライバ21に対するリーダ引き起こし装置の取り外しおよび取り付け作業はより容易に行える。
【0035】
また、本実施形態では、前述したように、吊りビーム22は、ガイドギブ26によってガイドパイプ17に沿って摺動させられるホルダ27と、玉掛ロープ12によって両端部が吊られる、ホルダ27に挿通されたシャフト29とから構成される。従って、玉掛ロープ12によって両端部が吊られるシャフト29は、玉掛ロープ12から受ける荷重方向に応じてホルダ27内を回動する。このため、吊りビーム22は、常に適正な荷重方向で玉掛ロープ12によって吊られ、リーダ4の引き起こしおよび倒し作業は円滑に行われる。
【0036】
なお、本実施形態においては、玉掛ロープ12によって吊りビーム22が吊られる際、ガイドパイプ17に沿って摺動する吊りビーム22の摺動位置を規定する固定ロープ24を用いた場合について説明したが、本発明はこれに限定されることはない。例えば、複数の節によって構成され、一端が固定ピン25aによって固定ラグ23に着脱自在に取り付けられ、他端が固定ピン25bによって吊りビーム22に取り付けられて吊りビーム22の摺動位置を規定する固定リンクを、固定ロープ24の代わりに用いた構成としてもよい。この場合においても、上記実施形態と同様な作用・効果が奏される。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、補助クレーンの玉掛ロープの取り外しおよび取り付け作業は、地上に近い低い高さで行え、従来のように高所で行う必要が無くなる。従って、作業を安全に行うことが可能となる。
【0038】
また、玉掛ロープが形成する2等辺三角形がリーダヘッドをかわす大きさに設定されている場合には、玉掛ロープは、リーダの後方から前方へ、ならびに前方から後方へ、リーダヘッドをかわして移動することが出来る。しかも、リーダが後方に少し傾斜させられ、固定ロープの一端が固定ラグから取り外されて吊りビームが持ち上げられるため、リーダヘッドは、玉掛ロープが形成する2等辺三角形の底辺に近い幅の広い部分を通過する。このため、玉掛ロープはより容易により大きなリーダヘッドをかわすことが出来、杭打ち機に対するリーダ引き起こし装置の取り外しおよび取り付け作業はより容易に行える。
【0039】
また、吊りビームがホルダとこのホルダに挿通されたシャフトから構成される場合には、玉掛ロープによって両端部が吊られるシャフトは、玉掛ロープから受ける荷重方向に応じてホルダ内を回動する。このため、吊りビームは常に適正な荷重方向で玉掛ロープによって吊られ、リーダの引き起こしおよび倒し作業は円滑に行われる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のパイルドライバの構成を示す側面斜視図である。
【図2】従来のパイルドライバのリーダが引き起こされる前の側面図である。
【図3】従来のパイルドライバのリーダ引き起こし時の側面図である。
【図4】本発明の一実施形態による杭打ち機のリーダ引き起こし装置が適用されるパイルドライバの側面図である。
【図5】本発明の一実施形態による杭打ち機のリーダ引き起こし装置の全体構成を示す正面図である。
【図6】図5に示す杭打ち機のリーダ引き起こし装置における吊りビームをリーダヘッド側からみた平面図である。
【図7】本発明の一実施形態によるリーダ引き起こし装置の吊りビームが玉掛ロープで吊られた状態を示す正面図である。
【図8】本発明の一実施形態によるリーダ引き起こし装置のリーダ引き起こし時の側面図である。
【図9】図8に示すリーダを後方に傾斜させたリーダ引き起こし装置の側面図である。
【図10】図9に示す玉掛ロープをリーダヘッドをかわしてリーダの前方に移動させた際のリーダ引き起こし装置の構成を示す側面図である。
【符号の説明】
21…パイルドライバ
4…リーダ
5,6…バックステー
11…補助クレーン
12…玉掛ロープ
17…ガイドパイプ
18…リーダヘッド
22…吊りビーム
23…固定ラグ
24…固定ロープ
25a,25b,25c…固定ピン
26…ガイドギブ
27…ホルダ
28…ボルト
29…シャフト
29a,29b…吊り穴
31…シャックル
【発明の属する技術分野】
本発明は、補助クレーンの補助を用いて杭打ち機のリーダを引き起こす杭打ち機のリーダ引き起こし装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図1は、一般的な直結3点支持式杭打機であるパイルドライバの側面斜視図である。パイルドライバ1は、走行装置2および上部旋回体3からなる本体に、リーダ4を備えて構成されている。杭を所定の角度で打ち込めるように杭方向を規制するリーダ4は、本体後方左右から延びるバックステー5,6によって上部を支持され、下部はブラケット7により本体に直結されている。リーダ4の前方には、杭の頭部を打撃するハンマの移動方向を案内するガイドパイプ17が設けられている。ハンマは、リーダ4先端部のリーダヘッド18よりワイヤロープによって吊られ、ガイドパイプ17に沿って移動される。
【0003】
パイルドライバ1を図2に示す寝ている姿勢から図1に示す作業姿勢にセットするには、リーダ起伏ワイヤロープ8を引っ張ってリーダ4を引き起こす作業が必要となる。なお、図2において図1と同一部分には同一符号を用いてその説明は省略する。しかし、リーダ4が長尺の場合、リーダ4の引き起こし作業をパイルドライバ1の本体の自力だけで行うには、リーダ4の重量が重過ぎるため、補助クレーンを用いてリーダ4の引き起こし作業を補助する必要がある。
【0004】
図2に示すように、リーダ4の先端寄りに設けられたバックステーホルダ9の近傍には吊り金具10が設けられている。リーダ4の引き起こし作業の補助は、この吊り金具10の部分を補助クレーン11を用いて玉掛ロープ12で吊ることによって行われる。
【0005】
図3に示すリーダ角αがリーダ自力引き起こし可能角度以上になるまで補助クレーン11によってリーダ4を引き起こしたら、その後は、リーダ起伏ワイヤロープ8を引っ張ってパイルドライバ1の自力でリーダ4を引き起こす。なお、図3において図2と同一部分には同一符号を用いてその説明は省略する。この際、補助クレーン11は不用となるので、玉掛ロープ12を吊り金具10から取り外す。リーダ角α=90°になる手前までリーダ4を引き起こしたら、ステー吊りクレーン13,14を用いてバックステー5,6を吊り、本体後方左右のアウトリガビーム15,16上にバックステー5,6をそれぞれ固定する。バックステー5,6を本体に固定したら、さらにリーダ4をリーダ角α=90°になるまで自力で引き起こす。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のパイルドライバ1においては、補助クレーン11を撤去する際、リーダ4を吊り上げるために吊り金具10に取り付けた玉掛ロープ12は、作業者が吊り金具10の位置までリーダ4に登って手作業により取り外している。吊り金具10は、通常、地上から20メートル以上の高所にあるため、玉掛ロープ12の取り外し作業は大変危険な作業となっている。また、杭打ち作業終了後、リーダ4を倒す際にも、作業者が吊り金具10の位置までリーダ4を登り、玉掛ロープ12を取り付けなければならず、大変危険である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、補助クレーンのフックに掛けられた玉掛ロープによって両端部が吊られて中央部に抱えたリーダを引き起こす吊りビームと、リーダの前方の外周長手方向に設けられたガイドパイプに沿って吊りビームを摺動させる,ガイドパイプに着脱自在に設けられた摺動案内具と、リーダの前方の回動支点近傍に設けられた固定ラグと、一端がこの固定ラグに着脱自在に取り付けられ,他端が吊りビームに取り付けられ,玉掛ロープによって吊りビームが吊られる際の吊りビームの摺動位置を規定する固定ロープまたは固定リンクとから、杭打ち機のリーダ引き起こし装置を構成した。
【0008】
本構成のリーダ引き起こし装置によるリーダの引き起こしは、固定ラグおよび吊りビーム間に固定ロープまたは固定リンクを架け渡し、補助クレーンのフックに掛けられた玉掛ロープで吊りビームの両端部を吊ることによって行われる。吊りビームの両端部が吊られると、吊りビームは、摺動案内具に案内されて、ガイドパイプに沿ってリーダ先端へ向かう向きに摺動する。この吊りビームの摺動は固定ロープまたは固定リンクが伸び切った位置で停止する。この状態でさらに吊りビームの両端部が吊り上げられると、リーダの荷重は吊りビームにあずけられ、リーダは、吊りビームの中央部に抱えられて徐々に引き起こされて行き、自力引き起こし可能なリーダ角度まで立たされる。
【0009】
リーダはその後自力で直立し、杭打ち機は作業姿勢にセットされる。作業姿勢にセットされると、リーダ引き起こし装置は不要になって杭打ち機から取り外される。この取り外しは、玉掛ロープに吊られた吊りビームを吊り下げることによって行われる。吊りビームが吊り下げられると、吊りビームは、自重により、摺動案内具に案内されてガイドパイプに沿って降下し、地上に近い高さまで降ろされる。この状態で、固定ロープまたは固定リンクの一端が固定ラグから取り外されると共に、摺動案内具がガイドパイプから取り外され、リーダ引き起こし装置が杭打ち機から取り外される。
【0010】
また、本構成のリーダ引き起こし装置によるリーダの倒しは、地上に近い高さで、摺動案内具および吊りビームがガイドパイプに取り付けられ、固定ロープまたは固定リンクの一端が固定ラグに取り付けられて行われる。固定ロープまたは固定リンク、摺動案内具および吊りビームが取り付けられると、同様に地上に近い高さで、吊りビームの両端部に玉掛ロープが掛けられる。その後、玉掛ロープが補助クレーンによって持ち上げられることにより、吊りビームは、吊り上げられ、固定ロープまたは固定リンクによって規定される摺動位置まで摺動案内具の案内でガイドパイプを摺動する。この状態でリーダが自力で前方に倒れてその荷重が吊りビームにあずけられ、リーダは吊りビームに抱えられながら地上まで倒される。
【0011】
また、本発明は、玉掛ロープによって吊られる吊りビームの両端部間の距離および固定ロープまたは固定リンクの長さが、吊りビームの両端部間を底辺とし、補助クレーンによるフック位置を頂点として玉掛ロープが形成する2等辺三角形が、リーダのリーダヘッドをかわす大きさに設定されていることを特徴とする。
【0012】
本構成のリーダ引き起こし装置によるリーダの引き起こしおよび倒しは、上記構成の場合と同様にして行うことが出来、また、次のように行うことも出来る。つまり、吊りビームの両端部が玉掛ロープによって吊られ、上述した引き起こし時のようにしてリーダが自力引き起こし可能なリーダ角度まで立たされる。その後、さらに、吊りビームの両端部が吊られてリーダが直立させられ、さらに、玉掛ロープがリーダの後方へ移動させられ、リーダが杭打ち機本体側に少し傾斜させられる。リーダは後方に少し傾いたこの状態でステーによって支持される。
【0013】
次に、玉掛ロープがゆるめられて固定ロープまたは固定リンクの一端が固定ラグから取り外され、その後、玉掛ロープが持ち上げられて吊りビームが固定ロープまたは固定リンクと共に吊り上げられる。この状態で玉掛ロープがリーダの前方に移動させられ、玉掛ロープはリーダヘッドをかわす。この際、リーダヘッドは、吊りビームの両端部間を底辺とし、補助クレーンによるフック位置を頂点として玉掛ロープが形成する2等辺三角形内を通過する。リーダヘッドをかわした玉掛ロープはそのまま下ろされ、玉掛ロープに吊られた吊りビームおよび固定ロープまたは固定リンクが、後方に少し傾斜したガイドパイプに沿って共に降下し、地上に近い高さまで降ろされる。この状態で、摺動案内具がガイドパイプから取り外され、リーダ引き起こし装置が杭打ち機から取り外される。その後、リーダは後方に傾いた状態から自力で直立し、杭打ち機は作業姿勢にセットされる。作業姿勢からのリーダの倒しは、この引き起こしの逆の手順で行われる。
【0014】
このように本構成のリーダ引き起こし装置によれば、玉掛ロープが形成する2等辺三角形がリーダヘッドをかわす大きさに設定されているため、玉掛ロープは、リーダの後方から前方へ、ならびに前方から後方へ、リーダヘッドをかわして移動することが出来る。しかも、本構成のリーダ引き起こし装置では、玉掛ロープがリーダヘッドをかわす際、リーダが後方に少し傾斜させられ、固定ロープまたは固定リンクの一端が固定ラグから取り外されて吊りビームが持ち上げられるため、リーダヘッドは、玉掛ロープが形成する2等辺三角形の底辺に近い幅の広い部分を通過する。
【0015】
また、本発明は、吊りビームが、摺動案内具によってガイドパイプに沿って摺動させられるホルダと、玉掛ロープによって両端部が吊られる,ホルダに挿通されたシャフトとから構成されることを特徴とする。
【0016】
本構成によれば、玉掛ロープによって両端部が吊られるシャフトは、玉掛ロープから受ける荷重方向に応じてホルダ内を回動する。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に、本発明による杭打ち機のリーダ引き起こし装置をパイルドライバに適用した一実施形態について説明する。
【0018】
図4は本実施形態による杭打ち機のリーダ引き起こし装置が適用される3点直結式パイルドライバ21の側面図である。なお、同図において図1と同一または相当する部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0019】
パイルドライバ21を同図のようにリーダ4が直立した作業状態にセットするリーダ4の引き起こし作業は、前述したように、リーダ起伏ワイヤロープ8を引っ張って行うが、リーダ4が長尺で重い場合には、リーダ引き起こし装置および補助クレーンを用いて引き起こし作業を補助する。
【0020】
図5は、本実施形態による杭打ち機のリーダ引き起こし装置の全体構成を示している。なお、同図において図4と同一部分には同一符号を付して説明する。円筒状のリーダ4の前方の外周長手方向に設けられたガイドパイプ17には、吊りビーム22がこのガイドパイプ17に沿って摺動可能に取り付けられている。リーダ4の前方の回動支点近傍には、固定ラグ23が溶接によって固定されている。なお、固定ラグ23のリーダ4に対する固定は、ボルトやピンを使用してリーダ4に固定する構造であっても構わない。この固定ラグ23には、固定ロープ24の一端が固定ピン25aによって着脱自在に取り付けられている。固定ロープ24は、2本のロープ24a,24bが固定ピン25cによって連結されて構成されており、その他端は、吊りビーム22に固定ピン25bによって取り付けられている。この固定ロープ24は、後述するように、玉掛ロープ12によって吊りビーム22が吊られる際、ガイドパイプ17に沿って摺動する吊りビーム22の摺動位置を規定する。
【0021】
図6は、ガイドパイプ17に取り付けられている吊りビーム22をリーダヘッド18の方向から視た図である。なお、同図において図5と同一部分には同一符号を用いてその説明は省略する。同図に示すように、吊りビーム22は、摺動案内具である鈎手状のガイドギブ26によってガイドパイプ17に摺動自在に取り付けられている。ガイドパイプ17に引っ掛けられている左右で一対のガイドギブ26は、吊りビーム22の基体となるホルダ27にボルト28によって着脱自在に固定されている。ホルダ27には、筒状の穴があいており、この穴にシャフト29が回転自在に挿通されている。このシャフト29の両端には、吊り穴29a,29bが形成されている。吊り穴29a,29bには、玉掛ロープ12が掛けられるシャックル31が図7に示すように取り付けられる。
【0022】
図7は吊りビーム22がシャックル31を介して補助クレーン11で吊られる状態を示している。なお、同図において図5と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。玉掛ロープ12によって吊られる吊りビーム22の両端部間の距離および固定ロープ24の長さは、同図に示すように、吊りビーム22の両端部間を底辺とし、補助クレーン11によるフック位置を頂点として玉掛ロープ12が形成する2等辺3角形が、リーダ4のリーダヘッド18をかわす大きさに設定されている。
【0023】
このような構成のリーダ引き起こし装置によるリーダ4の引き起こしは次のように行われる。まず、水平に寝ているリーダ4のガイドパイプ17にガイドギブ26およびホルダ27を図6に示すように取り付け、ホルダ27にシャフト29を通す。次に、固定ラグ23および吊りビーム22間に固定ロープ24を取り付ける。その後、シャフト29の両端部にシャックル31を介して玉掛ロープ12を取り付け、この玉掛ロープ12を補助クレーン11のフックで吊り上げる。
【0024】
玉掛ロープ12が吊り上げられて吊りビーム22の両端部が吊られると、吊りビーム22はガイドギブ26に案内されて、ガイドパイプ17に沿ってリーダヘッド18へ向かう向きに摺動する。この吊りビーム22の摺動は固定ロープ24が伸び切った位置で停止する。吊りビーム22が停止した状態から、さらに吊りビーム22の両端部が吊り上げられると、リーダ4の荷重は吊りビーム22にあずけられ、リーダ4は、吊りビーム22の中央部に抱えられて、図8に示すように、徐々に引き起こされていく。
【0025】
リーダ4のリーダ角が自力で引き起こし可能な角度まで達したら、図4に示したリーダ起伏ワイヤロープ8を引っ張ってリーダ4を直立するまで自力で引き起こす。リーダ4が直立したら、前述したように、ステー吊りクレーンを用いてバックステー5,6を吊り、これらバックステー5,6をアウトリガビーム15,16上にそれぞれ固定する。このようにしてパイルドライバ21が作業姿勢にセットされると、リーダ引き起こし装置は不要となるので、パイルドライバ21から取り外す。
【0026】
リーダ引き起こし装置を取り外す際は、補助クレーン11を下降させて、玉掛ロープ12に吊られている吊りビーム22を下降させる。吊りビーム22は、玉掛ロープ12が吊り下げられると、自重により、ガイドギブ26に案内されてガイドパイプ17に沿って降下する。吊りビーム22が地上付近まで降下したら、固定ロープ24の一端を固定ラグ23から取り外す。これと共に図6に示したボルト28を取り外してガイドギブ26とホルダ27とを分離させ、ガイドギブ26をガイドパイプ17から取り外してリーダ引き起こし装置をパイルドライバ21から取り外す。
【0027】
杭打ち作業が終了してリーダ4を倒すときは、引き起こし作業の手順と反対の手順により行われる。まず、地上に近いリーダ4の下部において、ガイドギブ26をガイドパイプ17に取り付け、このガイドギブ26とホルダ27とをボルト28によって固定して吊りビーム22をリーダ4に取り付ける。次に、固定ロープ24の両端を吊りビーム22および固定ラグ23に取り付ける。さらに、吊りビーム22のシャフト29の両端にシャックル31を介して玉掛ロープ12を取り付ける。
【0028】
玉掛ロープ12を補助クレーン11のフックに掛けて吊り上げると、吊りビーム22は、固定ロープ24によって規定される摺動位置までガイドギブ26の案内でガイドパイプ17を摺動して上昇する。この状態で、リーダ起伏ワイヤロープ8が緩められ、バックステー5,6が伸ばされてリーダ4が自力で前方に倒れ、リーダ4の荷重が吊りビーム22にあずけられる。そして、リーダ4は、吊りビーム22に抱えられながら地上まで倒される。
【0029】
このように本実施形態による杭打ち機のリーダ引き起こし装置によれば、補助クレーン11で吊る玉掛ロープ12のリーダ4への取り付けおよび取り外し作業は、地上に近い低い高さで行える。従って、従来のようにこれらの作業を高所で行う必要がなくなる。この結果、作業を安全に行うことが出来る。
【0030】
また、本実施形態では、前述したように、玉掛ロープ12によって吊られる吊りビーム22の両端部間の距離および固定ロープ24の長さが、吊りビーム22の両端部間を底辺とし、補助クレーン11によるフック位置を頂点として玉掛ロープ12が形成する2等辺三角形が、リーダ4のリーダヘッド18をかわす大きさに設定されている。このため、本実施形態のリーダ引き起こし装置によるリーダ4の引き起こしは、次のように行うことも出来る。
【0031】
つまり、吊りビーム22の両端部を玉掛ロープ12によって吊り、上述した引き起こし時のようにしてリーダ4を自力引き起こし可能なリーダ角度まで立たせる。その後、さらに、吊りビーム22の両端部を吊ってリーダ4を直立させ、さらに、玉掛ロープ12をリーダ4の後方へ移動させて、図9に示すように、リーダ4をパイルドライバ21の本体側に少し傾斜させる。なお、同図において図8と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。リーダ4を後方に少し傾けたこの状態でステー5,6によって支持する。
【0032】
次に、玉掛ロープ12をゆるめて固定ロープ24の一端を図10に示すように固定ラグ23から取り外し、その後、玉掛ロープ12を持ち上げて吊りビーム22を固定ロープ24と共に吊り上げる。なお、同図において図9と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。この状態で玉掛ロープ12を、同図に示すように、リーダ4の前方に移動させてリーダヘッド18をかわさせる。この際、リーダヘッド18は、吊りビーム22の両端部間を底辺とし、補助クレーン11によるフック位置を頂点として玉掛ロープ12が形成する2等辺三角形内を通過する。
【0033】
次に、リーダヘッド18をかわした玉掛ロープ12をそのまま下ろし、玉掛ロープ12に吊られた吊りビーム22および固定ロープ24を、後方に少し傾斜したガイドパイプ17に沿って共に降下させて、地上に近い高さまで降ろす。この状態で、ガイドギブ26をガイドパイプ17から取り外し、リーダ引き起こし装置をパイルドライバ21から取り外す。その後、リーダ4を後方に傾いた状態から自力で直立させ、パイルドライバ21を作業姿勢にセットする。作業姿勢からのリーダ4の倒しは、この引き起こしの逆の手順で行う。
【0034】
このような構成のリーダ引き起こし装置によれば、玉掛ロープ12が形成する2等辺三角形がリーダヘッド18をかわす大きさに設定されているため、玉掛ロープ12は、リーダ4の後方から前方へ、ならびに前方から後方へ、リーダヘッド18をかわして移動することが出来る。しかも、本構成のリーダ引き起こし装置では、玉掛ロープ12がリーダヘッド18をかわす際、リーダ4が後方に少し傾斜させられ、固定ロープ24の一端が固定ラグ23から取り外されて吊りビーム22が持ち上げられるため、リーダヘッド18は、玉掛ロープ12が形成する2等辺三角形の底辺に近い幅の広い部分を通過する。従って、玉掛ロープ12は、より容易により大きなリーダヘッド18を交わすことが出来、パイルドライバ21に対するリーダ引き起こし装置の取り外しおよび取り付け作業はより容易に行える。
【0035】
また、本実施形態では、前述したように、吊りビーム22は、ガイドギブ26によってガイドパイプ17に沿って摺動させられるホルダ27と、玉掛ロープ12によって両端部が吊られる、ホルダ27に挿通されたシャフト29とから構成される。従って、玉掛ロープ12によって両端部が吊られるシャフト29は、玉掛ロープ12から受ける荷重方向に応じてホルダ27内を回動する。このため、吊りビーム22は、常に適正な荷重方向で玉掛ロープ12によって吊られ、リーダ4の引き起こしおよび倒し作業は円滑に行われる。
【0036】
なお、本実施形態においては、玉掛ロープ12によって吊りビーム22が吊られる際、ガイドパイプ17に沿って摺動する吊りビーム22の摺動位置を規定する固定ロープ24を用いた場合について説明したが、本発明はこれに限定されることはない。例えば、複数の節によって構成され、一端が固定ピン25aによって固定ラグ23に着脱自在に取り付けられ、他端が固定ピン25bによって吊りビーム22に取り付けられて吊りビーム22の摺動位置を規定する固定リンクを、固定ロープ24の代わりに用いた構成としてもよい。この場合においても、上記実施形態と同様な作用・効果が奏される。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、補助クレーンの玉掛ロープの取り外しおよび取り付け作業は、地上に近い低い高さで行え、従来のように高所で行う必要が無くなる。従って、作業を安全に行うことが可能となる。
【0038】
また、玉掛ロープが形成する2等辺三角形がリーダヘッドをかわす大きさに設定されている場合には、玉掛ロープは、リーダの後方から前方へ、ならびに前方から後方へ、リーダヘッドをかわして移動することが出来る。しかも、リーダが後方に少し傾斜させられ、固定ロープの一端が固定ラグから取り外されて吊りビームが持ち上げられるため、リーダヘッドは、玉掛ロープが形成する2等辺三角形の底辺に近い幅の広い部分を通過する。このため、玉掛ロープはより容易により大きなリーダヘッドをかわすことが出来、杭打ち機に対するリーダ引き起こし装置の取り外しおよび取り付け作業はより容易に行える。
【0039】
また、吊りビームがホルダとこのホルダに挿通されたシャフトから構成される場合には、玉掛ロープによって両端部が吊られるシャフトは、玉掛ロープから受ける荷重方向に応じてホルダ内を回動する。このため、吊りビームは常に適正な荷重方向で玉掛ロープによって吊られ、リーダの引き起こしおよび倒し作業は円滑に行われる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のパイルドライバの構成を示す側面斜視図である。
【図2】従来のパイルドライバのリーダが引き起こされる前の側面図である。
【図3】従来のパイルドライバのリーダ引き起こし時の側面図である。
【図4】本発明の一実施形態による杭打ち機のリーダ引き起こし装置が適用されるパイルドライバの側面図である。
【図5】本発明の一実施形態による杭打ち機のリーダ引き起こし装置の全体構成を示す正面図である。
【図6】図5に示す杭打ち機のリーダ引き起こし装置における吊りビームをリーダヘッド側からみた平面図である。
【図7】本発明の一実施形態によるリーダ引き起こし装置の吊りビームが玉掛ロープで吊られた状態を示す正面図である。
【図8】本発明の一実施形態によるリーダ引き起こし装置のリーダ引き起こし時の側面図である。
【図9】図8に示すリーダを後方に傾斜させたリーダ引き起こし装置の側面図である。
【図10】図9に示す玉掛ロープをリーダヘッドをかわしてリーダの前方に移動させた際のリーダ引き起こし装置の構成を示す側面図である。
【符号の説明】
21…パイルドライバ
4…リーダ
5,6…バックステー
11…補助クレーン
12…玉掛ロープ
17…ガイドパイプ
18…リーダヘッド
22…吊りビーム
23…固定ラグ
24…固定ロープ
25a,25b,25c…固定ピン
26…ガイドギブ
27…ホルダ
28…ボルト
29…シャフト
29a,29b…吊り穴
31…シャックル
Claims (3)
- 補助クレーンのフックに掛けられた玉掛ロープによって両端部が吊られて中央部に抱えたリーダを引き起こす吊りビームと、前記リーダの前方の外周長手方向に設けられたガイドパイプに沿って前記吊りビームを摺動させる,前記ガイドパイプに着脱自在に設けられた摺動案内具と、前記リーダの前方の回動支点近傍に設けられた固定ラグと、一端がこの固定ラグに着脱自在に取り付けられ,他端が前記吊りビームに取り付けられ,前記玉掛ロープによって前記吊りビームが吊られる際の前記吊りビームの摺動位置を規定する固定ロープまたは固定リンクとから構成される杭打ち機のリーダ引き起こし装置。
- 前記玉掛ロープによって吊られる前記吊りビームの両端部間の距離および前記固定ロープの長さは、前記吊りビームの両端部間を底辺とし、補助クレーンによるフック位置を頂点として前記玉掛ロープが形成する2等辺三角形が、前記リーダのリーダヘッドをかわす大きさに設定されていることを特徴とする請求項1に記載の杭打ち機のリーダ引き起こし装置。
- 前記吊りビームは、前記摺動案内具によって前記ガイドパイプに沿って摺動させられるホルダと、前記玉掛ロープによって両端部が吊られる,前記ホルダに挿通されたシャフトとから構成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の杭打ち機のリーダ引き起こし装置。
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