JP3736176B2 - 水性エマルジョンの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光安定剤を含有する水性エマルジョンの製造方法に関するものであり、ミクロ懸濁重合を使用する本発明で得られる水性エマルジョンの塗膜は、従来の乳化重合法等で得られる光安定剤含有の水性エマルジョンと比べ、耐候性に優れるものであり、接着剤、シーリング材、塗料及びコーティング剤等の技術分野において賞用され得るものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、アルコキシシリル基に代表される加水分解性シリル基を有する硬化性の共重合体は、接着剤、シーリング材、塗料及びコーティング剤等の用途に汎用されている。ところが、これらの用途分野では有機溶剤の揮散による人体への有害性や環境汚染を避けるため、有機溶剤を使用しない水性系の材料が求められており、最近では前記のアルコキシシリル基を有する硬化性共重合体についても、多数の水性エマルジョン化の提案がなされている(特開平3−227312号公報及び特開平5−25354号公報等)。
一方、建築物外装及び自動車等といった、太陽光による劣化が懸念される用途では、塗膜の劣化を守る目的で、光安定剤又は紫外線吸収剤(以下光安定剤等という)を添加する方法が一般的に行われている。水性の塗料においても、乳化重合で得られたアルコキシシリル基を有する硬化性共重合体からなる水性エマルジョンに光安定剤等を配合した組成物等が提案されている(特開平7−157625公報)。
【0003】
しかしながら、水性エマルジョンに光安定剤等を強制混合しても、重合体粒子内部には分散せず、水中に分散しやすいため、かかる手段で得られる組成物からなる塗膜では、光安定剤等が均一に分散していないため有効に働かず、耐候性は今一歩であった。
一方、紫外線吸収剤を水性エマルジョン中に均一に混合させる手段として、あらかじめ紫外線吸収剤を単量体に溶解させた後に、水性乳化重合する方法が知られている(特公昭55−12441号公報)。しかしながら、当該重合方法では、重合中に紫外線吸収剤と重合体が分離しやすく、重合体の粒子中に紫外線吸収剤を均一に分散させることはできない。又、同特許公報に使用されている単量体には、加水分解性シリル基を有するラジカル重合性単量体は含まれていない。加水分解性シリル基を有するラジカル重合性単量体を使用する重合において、通常の乳化重合を適用すると、重合中に同単量体中の加水分解性シリル基の加水分解が起こったり、得られる水性エマルジョンの安定性に劣るものことが一般的に知られているからである。又、当該重合方法を光安定剤に適用した場合も、同様の問題を有するものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、これら従来の水性エマルジョンが有する課題を解決する製造方法として、油溶性ラジカル重合開始剤と紫外線吸収剤を含む単量体を、水性媒体中に乳化分散させて得られる水性乳化分散体を、加熱された水性媒体中に滴下する、ミクロ懸濁重合を採用した水性エマルジョンの製造方法を提案した(特開平10−152507号公報)。
しかしながら、上記製造方法で得られる水性エマルジョンは、従来のものに比べ保存安定性及び耐候性に優れているものの、さらなる耐候性が要求される場合や、特に顔料を配合して塗料とした場合において不十分なものであった。
本発明者らは、保存安定性に優れ、得られる塗膜の耐候性がより優れる水性エマルジョンの製造方法を見出すため鋭意検討を行ったのである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ヒンダードアミン系光安定剤を溶解又は分散したラジカル重合性単量体をミクロ懸濁重合法によって、水性媒体中で重合させる方法が、光安定剤をエマルジョン中に均一に混合することができ、意外にも紫外線吸収剤を使用した場合に比較してより優れた耐候性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。以下、本発明を詳細に説明する。尚、本明細書においては、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルを(メタ)アクリル酸エステルといい、アクリロイル基又はメタクリロイル基を(メタ)アクリロイル基という。
【0006】
【発明の実施の形態】
○ラジカル重合性単量体
本発明において、ラジカル重合性単量体としては、ビニル基及び(メタ)アクリロイル基等のラジカル重合性基を有する化合物であれば種々のものが使用できる。好ましい単量体としては、加水分解性シリル基を有するラジカル重合性単量体(以下加水分解性シラン単量体という)、(メタ)アクリル酸エステル、酢酸ビニル及びプロピオン酸ビニル等のカルボン酸ビニル、並びにスチレン及びα−メチルスチレン等の芳香族ラジカル重合性単量体等が挙げられる。
【0007】
加水分解性シラン単量体としては、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルメチルジプロポキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリプロポキシシラン及びγ−メタクリロキシプロピルメチルジプロポキシシラン等のアルコキシシリル基を有するラジカル重合性単量体等が挙げられる。又、(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸nブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸アルキル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸パーフルオロアルキル、グリシジル(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
【0008】
本発明では、ラジカル重合性単量体として、加水分解性シラン単量体とこれと共重合可能なラジカル重合性単量体(以下共重合性単量体という)との混合物が、得られるエマルジョンの塗膜が、強靭となり、さらに耐候性にも優れるため好ましい。共重合性単量体としては、前記した(メタ)アクリル酸エステル、カルボン酸ビニル及び芳香族ラジカル重合性単量体等が挙げられる。
この場合、加水分解性シラン単量体と共重合性単量体の割合としては、加水分解性シラン単量体0.5〜50重量%及び共重合性単量体99.5〜50重量%が好ましく、より好ましくは加水分解性シラン単量体3〜20重量%及び共重合性単量体97〜80重量%である。加水分解性シラン単量体の割合が、0.5重量%未満であると得られる水性エマルジョンから形成される塗膜の耐候性が低下することがあり、一方50重量%を越えると、得られるエマルジョンの安定性が低下する場合がある。
【0009】
本発明で使用するヒンダードアミン系光安定剤(単に光安定剤ともいう。)は、塗膜に、日光、特に紫外線が照射した場合に、塗膜を分解してしまうラジカル種を補足し、これにより塗膜の耐候性を向上させる作用を有するものである。光安定剤としては、ビス(1−オクチロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート〔市販品としては、日本チバガイギー(株)製登録商標チヌビン123がある。以下括弧書は同様の意味〕、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート〔登録商標チヌビン292〕及びビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)−[[3,5−ビス1,1−ジメチルエチル]−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート〔登録商標チヌビン144〕等が挙げられる。これらは、2種以上を併用することもできる。
【0010】
光安定剤の好ましい使用量は、前記ラジカル重合性単量体を基準にして、0.01〜10.0重量%であり、より好ましくは0.1〜5.0重量%である。光安定剤の使用量が、0.01重量%未満であると塗膜の耐候性が不十分となり、一方10.0重量%を越えると塗膜の機械的物性が低下することがある。
【0011】
○油溶性ラジカル重合開始剤
油溶性ラジカル重合開始剤としては、20℃の水に対する溶解度が10重量%以下のものが好ましく使用でき、具体的には2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4ジメチルバレロニトリル、1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル及びジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート等のアゾ系開始剤、並びにラウロイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキシドジ−n−プロピルパーオキシジカルボネート及びt−ブチルパーオキシピバレート等の有機過酸化物等が挙げられる。重合開始剤の好ましい使用量は、ラジカル重合性単量体を基準にして0.1〜10重量%であり、さらに好ましくは0.5〜5重量%である。
【0012】
○界面活性剤
本発明においては、上記油溶性ラジカル重合開始剤をラジカル重合性単量体に溶解させ、かつ光安定剤を該単量体に溶解又は分散させて得られる混合物を、界面活性剤の存在下に水性媒体中に乳化分散させる。
【0013】
界面活性剤の好ましい使用量は、前記ラジカル重合性単量体100重量部当たり、0.5〜20重量部であり、さらに好ましくは1〜5重量部である。
【0014】
界面活性剤としては、従来公知のものが使用可能であり、好ましい界面活性剤は、特に単量体として加水分解性シラン単量体を使用した場合、得られる重合体のエマルジョンをより安定にできる点で、前記ラジカル重合性単量体と共重合し得るラジカル重合性界面活性剤が好ましく、より好ましくは、下記一般式(1)で表されるラジカル重合性界面活性剤(以下重合性界面活性剤という)である。
【0015】
【化1】
Z−(AO)n−Y ………(1)
【0016】
(式中、Zはラジカル重合性二重結合を有する有機基、AOはオキシアルキレン基、nは2以上の整数、Yはイオン解離性基を示す。)
重合性界面活性剤における好ましいZは、芳香族炭化水素基、アルキル置換芳香族炭化水素基、高級アルキル基又は脂環式炭化水素基等の疎水性基とラジカル重合性二重結合とが組み合わされた有機基である。Zにおけるラジカル重合性二重結合としては、(メタ)アリル基、プロペニル基又はブテニル基等が好ましい。
重合性界面活性剤の好ましいイオン性はアニオンであり、Yとしては、基(AO)nとアニオン性の基と共重合可能であり、当該アニオン性の基にカチオンがイオン結合した塩が好ましい。好ましいYの具体例としては、−SO3Na、−SO3NH4、−COONa、−COONH4、−PO3Na2及び−PO3(NH4)2等が挙げられ、さらに好ましくは−SO3Na又は−SO3NH4である。
基(AO)nにおけるnは2以上の整数である。nが1の場合は、単量体として加水分解性シラン単量体を使用する場合、当該単量体中のアルコキシシリル基が不安定になり、分解し易くなってしまうことがある。好ましいnとしては、300以下であり、さらに5〜50である。基(AO)nにおける単位A、すなわちアルキレン基としては、エチレン基又はプロピレン基が好ましい。
【0017】
重合性界面活性剤の好ましい具体例としては、例えば下記式(2)〜(4)で表される化合物が挙げられる。式(2)及び(3)において、R1及びR2としては、炭素数6〜18の直鎖状又は分岐状アルキル基が好ましい。式(4)においいて、R3としては、水素原子又はメチル基であり、R4としては、炭素数8〜24のアルキル基が好ましい。又、式(2)〜(4)において、A1、A2及A3は、アルキレン基を示し、又いずれの化合物においてもnは2以上の整数である。又、式(2)〜(4)において、Y1、Y2及Y3は、イオン性解離基を示し、その具体例としては、前記Yと同様のものを挙げることができる。
【0018】
【化2】
Figure 0003736176
【0019】
【化3】
Figure 0003736176
【0020】
【化4】
Figure 0003736176
【0021】
○水性エマルジョンの製造方法
本発明は、油溶性ラジカル重合開始剤を溶解させ、かつ光安定剤を溶解又は分散させたラジカル重合性単量体を、界面活性剤の存在下に水性媒体中に乳化分散させる工程〔A〕と、工程〔A〕で得られた水性乳化分散体を加熱された水性媒体中に滴下して、前記ラジカル重合性単量体を重合させる工程〔B〕からなる。
以下工程〔A〕及び工程〔B〕について説明する。
【0022】
・工程〔A〕
油溶性ラジカル重合開始剤をラジカル重合性単量体に溶解させ、かつ光安定剤を該単量体に溶解又は分散させる方法としては、ラジカル重合性単量体に、油溶性ラジカル重合開始剤及び光安定剤を、一緒に又は別々に攪拌下に添加する方法等が挙げられる。
又、得られた混合物を、水性媒体中に乳化分散させる方法としては、一般的に使用されているミキサーすなわち回転式ホモミキサーが使用できる。
水性媒体としては、後記するpH緩衝剤を適量含有する水性媒体が好ましい。又、上記単量体と水性媒体の好ましい比率は、単量体100重量部当たり、水性媒体20〜150重量部である。
乳化分散においては、得られる水性乳化分散体の粒径が1μm以下にすることが好ましく、さらに好ましくは、該乳化分散体の粒径が0.2〜0.05μmとすることである。微細な水性乳化分散体が得られる点で、一般的にホモジナイザーと称される高圧式乳化分散機又はタービン型ミキサー等の高剪断エネルギーを有する分散装置を用いることが好ましい。
【0023】
本発明において、単量体として加水分解性シラン単量体を使用する場合は、水性媒体中にpH緩衝剤が適量添加することが好ましい。pH緩衝剤の添加により水性媒体をpHを中性領域に維持することにより、加水分解性シラン単量体の加水分解を抑制することが可能となる。pH緩衝剤の好適な使用量は、水性乳化分散体中に0.01〜5重量%の範囲である。
pH緩衝剤としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、りん酸一ナトリウム、りん酸一カリウム、りん酸二ナトリウム、りん酸三ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸アンモニウム及び蟻酸ナトリウム等が挙げられ、好ましくは、炭酸水素ナトリウムである。これらは、2種以上組み合わせて使用することもでき、例えば炭酸水素ナトリウムとリン酸一ナトリウムの併用により、水性媒体のpHを7.5の近傍に維持できる。前記pH緩衝剤と共に、必要に応じてアンモニア、モノエチルアミン、トリエチルアミン及びエタノールアミン等の弱アルカリ化合物をpH調整剤に使用してもよい。
【0024】
・工程〔B〕
本発明においては、水性媒体が仕込まれ、かつ重合開始剤の分解温度以上に加熱された撹拌下の反応器内に、前記工程〔A〕によって得られたラジカル重合性単量体を主成分とする水性乳化分散体を滴下する。
反応器への水性媒体の好ましい初期仕込み量は、反応器に滴下する水性乳化分散体100重量部当たり、10〜50重量部程度である。
【0025】
本発明においては、単量体溶液の乳化分散粒子中に油溶性ラジカル重合開始剤が含まれているため、各分散微細粒子内で重合が起こる。このような疎水性粒子内で単量体を重合させる重合法は、一般にミクロ懸濁重合法と称されており、該重合法によれば、水溶性開始剤により乳化剤の形成するミセル内で単量体を重合させる乳化重合法と比較して、単量体が水と混じり合う頻度が著しく少ないために、特に単量体として加水分解性シラン単量体を使用する場合、加水分解反応を抑制することができる。
水性乳化分散体は、滴下ロートから反応器内に徐々に滴下することが好ましく、又重合温度は、使用するラジカル重合性単量体や油溶性ラジカル重合開始剤等により適宜選択すれば良いが、通常40〜100℃程度が好ましい。
【0026】
本発明では、耐候性をさらに改善する必要がある場合には、紫外線吸収剤を併用することもできる。紫外線吸収剤としては、無機系紫外線吸収剤及び/又は有機系紫外線吸収剤が使用できる。紫外線吸収剤は、水性乳化分散体に添加しても、得られる水性エマルジョンに添加しても良い。
【0027】
無機系紫外線吸収剤としては、酸化亜鉛、酸化チタン及び酸化セリウム等が挙げられる。
無機系紫外線吸収剤は上記ラジカル重合性単量体に不溶性であり、本発明において、それらは該単量体中に分散させて用いるが、均一に分散するように、粒径0.1μm以下の微粒子状のものが好ましく、さらには、界面活性剤又はシランカップリング剤等により粒子の表面を親油性に改質したものがより好ましい。特に好ましくは、表面を親油性に処理した酸化セリウム粉末である。
【0028】
有機系紫外線吸収剤としては、5−クロロ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシルオキシベンゾフェノン、4−ベンジルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイロキシ−プロポキシ)−ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン及び2’−カルボキシ−2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール及び2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジt−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;フェニルサリチレート、P−t−ブチルフェニルサリチレート及びP−(1,1,3,3 −テトラメチルブチル)−フェニルサリチレート等のサリチレート系紫外線吸収剤;ビス−〔2−(2−ヒドロキシ−5−(1,1,3,3 −テトラメチルブチル)−フェニルチオ)−4−(1,1,3,3 −テロラメチルブチル)フェノレート〕−ニッケル2,2’−スルフォニルビス−〔パラ−(1,1,3,3 −テトラメチルブチル)−フェノレート〕−ニッケル、2,2’−チオビス−〔パラ−(1,1,3,3 −テトラメチルブチル)−フェノレ−ト〕−ブチルアミンニッケル及び2,2’−ジチオビス−〔パラ−(1,1,3,3 −テトラメチルブチル)−フェノレート〕−カルシウム等の含金属系紫外線吸収剤;パラ−(1,1,3,3 −テトラメチルブチル)−フェニルテレフタレート、フェニレン−1,3 −ジベンゾユート、3−ヒドロキシフェニルベンゾユート及びパラ−ビス−(5−オクチルオキシサリチロイル)−ベンゼン等が挙げられる。これらは2種以上を併用することもできる。
【0029】
紫外線吸収剤の好ましい使用量は、前記ラジカル重合性単量体を基準にして、0.01〜10.0重量%であり、さらに望ましくは0.05〜5.0重量%である。紫外線吸収剤の使用量が、0.01重量%未満であると耐候性改善効果が不十分になり、一方10.0重量%を越えると塗膜の機械的物性が低下することがある。
【0030】
○用途
本発明により得られる水性エマルジョンは、被覆剤として好適であり、特に塗料として好ましい。適用できる基材としては、ガラス、ケイ酸カルシウム、スレート、金属、木材及びプラスチック等が挙げられる。又、その用途としては、建材用の塗料、耐酸性雨用塗料、防汚性塗料、無機建材用溌水剤、電気電子部品の防湿コーティング剤、磁気テープのバックコート剤、繊維用の硬化仕上げ剤、溌水剤及び各種シーリング剤等が挙げられる。
【0031】
本発明で得られる水性エマルジョンにおいて、単量体として加水分解性シラン単量体を使用した場合は、塗膜を迅速に硬化させるために、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルピロホスフェート)チタネート、ジオクチル酸錫、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マレート又はパラトルエンスルフォン酸等の触媒を使用してもよい。
【0032】
本発明で得られるエマルジョンを塗料として使用する場合、顔料、可塑剤、溶剤、分散剤、増粘剤、消泡剤、防腐剤、レベリング剤、湿潤剤及び造膜助剤等の各種添加剤を、エマルジョンに配合することができる。顔料としては、例えば二酸化チタン、炭酸カルシウム、カーボンブラック及びベンガラ等の無機顔料、並びにシアニンブルー等の有機顔料等が挙げられる。
【0033】
【実施例】
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。尚、各例における成分量を表す「部」は、全て「重量部」である。又、実施例で使用された界面活性剤アクアロンHS20[第一工業製薬(株)製]は、下記式(5)(但しポリオキシエチレン基の縮合度nは20である)で示される化合物であり、光安定剤のチヌビン123[チバガイギー(株)製]は、ビス(1−オクチロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケートである。
【0034】
【化5】
Figure 0003736176
【0035】
○実施例1
表1に記載する各成分を使用した。ラジカル重合性単量体に重合開始剤を溶解させ、さらに光安定剤チヌビン123を溶解させて得られる液を、界面活性剤アクアロンHS20及び炭酸水素ナトリウムを溶解した水溶液に加えた。
上記の方法で得られた混合物をまずホモミキサーで混合し、さらにホモジナイザー(ゴーリン社製)で乳化分散させて、pH8.5の水性乳化分散体を調製した。
【0036】
【表1】
Figure 0003736176
【0037】
攪拌機、温度計及び冷却器を備えたフラスコに、水性媒体として脱イオン水40部を仕込み、液温を85℃に昇温したのち、水性媒体を高速で攪拌しながら上記の水性乳化分散体を2時間かけて滴下した。
滴下終了後、85℃の温度に2時間保持して重合を継続させた後、室温まで冷却した。重合中、フラスコ内壁に凝集物が僅かに付着したが、液分離及びブロッキングは起こらず、重合は安定に行われた。その結果、固形分濃度40重量%でpH8.5の水性エマルジョン(重合体粒子の平均粒径0.11μ)を得た。
【0038】
得られた水性エマルジョンを使用し、下記の方法に従い水性塗料組成物を製造した。
まず、水10部に、酸化チタン〔CR97、石原産業(株)製〕30部、顔料分散剤〔BYK−190、ビッグケミー(株)製〕1部及び消泡剤〔BYK−022、ビッグケミー(株)製〕0.2部を混合し、これに平均粒径約1mmのガラスビーズを混合した後、高速回転式混合機を使用して約3000rpmの条件で30分混合して、顔料を分散させた。得られた混合物から、ガラスビーズを除去した。これを顔料分散ペーストという。
当該顔料分散ペーストに、得られた水性エマルジョン100部、造膜助剤のトリプロピレングリコール−n−ブチルエーテル5部(以下TPNBという)及び増粘剤〔プライマルRM−8W、日本アクリル(株)製〕0.5部を混合し、水性塗料組成物を得た。
得られた組成物を使用し、バーコーターを用いてクロメート処理アルミニウム板上に膜厚16ミクロンの塗膜を作成した。塗装板を23℃40%RHで2週間養生後、得られた塗膜について、耐候性を以下の方法に従って測定し、その結果を表2に示した。
【0039】
耐候性の評価:メタルウェザーメーターKU−R4(大日本プラスチック製)を用いて、720時間の促進耐候性試験を行った。試験前後の塗膜の光沢(60゜光沢値)を対比した光沢保持率(下記式によって算出)により、塗膜の耐候性を評価した。
光沢保持率(%)=(試験後の光沢値/試験前の光沢値)×100
【0040】
○実施例2
実施例1においてチヌビン123を0.5部使用した以外は、すべて実施例1と同一条件により水性エマルジョンを製造した。
得られた水性エマルジョンを使用し、実施例1と同様して水性塗料組成物を製造し、実施例1と同様に評価した。それらの結果を表2に示す。
【0041】
○比較例1
チヌビンN123を使用しないこと以外は、全て実施例1と同一条件により水性エマルジョンを製造した。
得られた水性エマルジョンを使用し、実施例1と同様して水性塗料組成物を製造し、実施例1と同様に評価した。それらの結果を表2に示す。
【0042】
○比較例2
チヌビン123をTPNBに、チヌビン123/TPNB=1/3(重量比)の割合で混合し、溶解せしめた。
当該混合液と、比較例1で製造した水性エマルジョンとを、水性エマルジョン中の樹脂固形分100部に対して、混合液中のチヌビン123が2部になるよう添加し、攪拌混合した。これを使用して、実施例1と同様して水性塗料組成物を製造し、実施例1と同様に評価した。それらの結果を表2に示す。
【0043】
○比較例3
実施例1において油溶性重合開始剤を使用せずに水性乳化分散液を製造し、以下の方法により乳化重合を行った。即ち、重合開始剤である過硫酸アンモニウム1部を添加した水性媒体に、水性乳化分散液を滴下し、その他の条件は実施例1と同様にして通常の乳化重合を行った。
得られた水性エマルジョンを使用し、実施例1と同様して水性塗料組成物を製造し、実施例1と同様に評価した。それらの結果を表2に示す。
【0044】
【表2】
Figure 0003736176
【0045】
○実施例3
実施例1において、ラジカル重合性単量体の種類及び割合を以下に変更する以外は実施例1と同様にして水性エマルジョンを製造した。
・γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン 10部
・メチルメタクリレート 40部
・n−ブチルメタクリレート 20部
・n−ブチルアクリレート 20部
・2−ヒドロキシエチルメタクリレート 10部
得られた水性エマルジョンを使用し、実施例1と同様して水性塗料組成物を製造し、実施例1と同様に評価した。それらの結果を表3に示す。
【0046】
○実施例4
実施例3におけるチヌビン123を0.5部使用した以外は、すべて実施例3と同一条件により水性エマルジョンを製造した。
得られた水性エマルジョンを使用し、実施例1と同様して水性塗料組成物を製造し、実施例1と同様に評価した。それらの結果を表3に示す。
【0047】
○比較例4
実施例3におけるチヌビン123に代え、紫外線吸収剤のニードラールW−100〔多木化学(株)製〕を2部使用した以外は、すべて実施例3と同一条件により水性エマルジョンを製造した。
得られた水性エマルジョンを使用し、実施例1と同様して水性塗料組成物を製造し、実施例1と同様に評価した。それらの結果を表3に示す。
【0048】
○比較例5
チヌビン123を使用いないこと以外は、全て実施例3と同一条件により水性エマルジョンを製造した。
得られた水性エマルジョンを使用し、実施例1と同様にして水性塗料組成物を製造し、実施例1と同様に評価した。それらの結果を表3に示す。
【0049】
○比較例6
チヌビン123をTPNBに、チヌビン123/TPNB=1/3(重量比)の割合で混合し、溶解せしめた。
当該混合液と、比較例5で製造した水性エマルジョンとを、水性エマルジョン中の樹脂固形分100部に対して、混合液中のチヌビン123が2部になるよう添加し、撹拌混合した。これを使用して実施例1と同様にして水性塗料組成物を製造した。
得られた水性組成物を使用し、実施例1と同様に評価した。それらの結果を表3に示す。
【0050】
○比較例7
実施例3において油溶性重合開始剤を使用せずに水性乳化分散液を製造し、以下の方法により乳化重合を行った。即ち、重合開始剤である過硫酸アンモニウム1部を添加した水性媒体に、水性乳化分散液を滴下し、その他の条件は実施例1と同様にして通常の乳化重合を行った。
得られた水性エマルジョンを使用し、実施例1と同様して水性塗料組成物を製造し、実施例1と同様に評価した。それらの結果を表3に示す。
【0051】
【表3】
Figure 0003736176
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、重合体粒子内部に均一に光安定剤が分散した水性重合体エマルジョンが容易に得られる。該エマルジョンから形成される塗膜は、耐候性に関して、従来の水性重合体エマルジョンと比較して優れている。さらに、加水分解性シラン単量体を共重合した場合には、架橋による3次元架橋塗膜と塗膜中に均一に分散した光安定剤との相乗効果により、極めて耐候性に優れた塗膜となる。

Claims (3)

  1. 油溶性ラジカル重合開始剤を溶解させ、かつヒンダードアミン系光安定剤を溶解又は分散させたラジカル重合性単量体を、界面活性剤の存在下に水性媒体中に乳化分散させる工程〔A〕と、工程〔A〕で得られた水性乳化分散体を加熱された水性媒体中に滴下して、前記ラジカル重合性単量体を重合させる工程〔B〕からなることを特徴とする水性エマルジョンの製造方法。
  2. ラジカル重合性単量体が、加水分解性シリル基を有するラジカル重合性単量体0.5〜50重量%及びそれと共重合可能なラジカル重合性単量体99.5〜50重量%からなる単量体混合物である請求項1記載の水性エマルジョンの製造方法。
  3. 界面活性剤が、一般式;Z−(AO)n −Y(式中、Zはラジカル重合性二重結合を有する有機基、AOはオキシアルキレン基、nは2以上の整数、Yはイオン解離性基を示す。)で表されるラジカル重合性界面活性剤である請求項2記載の水性エマルジョンの製造方法。
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