JP3733505B2 - ゴルフクラブ - Google Patents

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JP3733505B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はゴルフクラブに関し、詳しくは、スライサーやフッカーがスイングの修正を意識することなくゴルフクラブをスイングしてもインパクト時にシャフト先端に取り付けたクラブヘッドのフェース面がほぼ飛球すべき方向を向くように修正されるようにするものである。
【0002】
【従来の技術】
プレーヤーがゴルフクラブをスイングした時、ゴルフクラブの軌道は個々のプレーヤーで異なり、個々のプレーヤー毎に特徴(癖)が現れる。よって、スイングの修正を意識することなく打球した場合、プレーヤー自身はクラブヘッドのフェース面をボールを飛球させるべき方向に向けてボールを打球したつもりでも、インパクト時にクラブヘッドのフェース面がボールを飛球させるべき方向とは異なる方向を向いてしまうため、狙った方向にボールを飛球させることは容易ではない。特に、ゴルフ経験が浅く、スイングを適切に矯正していない初心者プレーヤーの場合はこのような傾向が顕著で、インパクト時のフェース面の飛球させるべき方向からのズレがほぼ同一のズレ方向に再現的に現れる。
【0003】
俗にスライサーと呼ばれるプレーヤーは、飛球させるべき方向にクラブヘッドのフェース面を向けてボールを打球したつもりでも、図28(A)に示すように、クラブヘッド14のトウ側14Aがクラブヘッド14ヒール側14Bより遅れた状態でボールBに到達する傾向のあるプレーヤーであり、該スライサーの打球は矢印a方向に回転し、その名の如く多くの打球がスライス(右利きのプレイーヤーの場合、右へ曲がり、左利きのプレイーヤーの場合、左へ曲がる)の飛球となる。また、フッカーと呼ばれるプレーヤーは、飛球させるべき方向にクラブヘッドのフェース面を向けてボールを打球したつもりでも、図28(B)に示すように、クラブヘッド14ヒール側14Bよりもクラブヘッドのトウ側14Aが先にボールBに到達する傾向のあるプレーヤーであり、該フッカーの打球は、矢印b方向に回転し、その名の如く、多くの打球がフック(右利きのプレイーヤーの場合、左へ曲がり、左利きのプレイーヤーの場合、右へ曲がる)の飛球となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
スコア向上のためには、当然のことながら、打球の飛距離以前にゴルフボールが狙った方向へ真っ直ぐに飛ばせるか否かが重要である。よって、上記スライサーやフッカーは通常スイングの矯正を強いられる。しかるに、スイングの癖は容易には修正できず、多くのプレーヤーはスイングの矯正に頭を悩ましているのが実状である。
【0005】
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたものであり、スライサーやフッカーがスイングの修正を殆ど意識することなくゴルフクラブをスイングしても、インパクト時にシャフト先端に取り付けたクラブヘッドのフェース面がボールを飛球させるべき方向に向くように自己修正されるゴルフクラブシャフト及び該シャフトを用いたゴルフクラブを提供することを課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解消にするに当たり、本件出願人が以前明らかにした以下の知見に基づいて達成したものである。
すなわち、本件出願人は、以前、少なくとも一部に繊維強化樹脂等の異方性材料を用いて形成したパイプあるいは中実のシャフトにおいて、上記異方性材料の繊維角度を周方向で部分的に、かつ、厚さ方向の少なくとも一部分で異ならせると、該パイプあるいはシャフトの弾性主軸を幾何学的主軸と相異させて任意の位置に設定することが出来ることを明らかにした(特開平3−227616号公報参照)。
【0007】
例えば、図19から図22に示す繊維強化樹脂からなるパイプ状構造物10では、その幾何学的主軸Gと一致するように、円柱座標[(r,ψ,Z)系座標]をとると、Zおよびrに関係なく、0°≦ψ<180°の部分10aでは繊維Fの上記幾何学的主軸(図21、22中に一点鎖線で示す)に対する角度(繊維角度)をβ2
=30°とする一方、180°≦ψ<360°の部分10bでは繊維角度をβ1 =−30°としている。このパイプ状構造物10を図23に示すように、一端を固定端10c、他端を自由端10dとすると、弾性主軸Eはパイプ状構造物の幾何学的主軸Gと一致せず、上記自由端10dが点Q上に位置している。
【0008】
上記の状態で弾性主軸E上にある点を通らない荷重を下方に加えると、パイプ状構造物10は図24および図25に示すように、たわみを生じると共にねじれが生じる。
【0009】
一方、上記弾性主軸E上にある点Qを通るように下方に荷重を加えると、図26および図27に示すように、たわみを生じるがねじれることはない。
【0010】
本発明は上記した異方性材料を用いて形成することにより得られるパイプ状構造物の特異な変形挙動(パイプ状構造物の幾何学的主軸に対して負荷が加わるとパイプ状構造物が撓むと同時に捩じれる変形挙動)を、ゴルフクラブのシャフトに適用して、上記課題を解消している。つまり、上記の異方性材料を用いて形成したパイプ状構造物をゴルフクラブのシャフトに適用した場合、シャフトの幾何学的主軸に対して負荷が加わると撓むと同時に捩じれ、そして、ここでの負荷はゴルフクラブのスイング中のトウダウンにより与えられる。よって、本発明では、ゴルフクラブのスイング中のトウダウンにより発生するシャフトの捩じれの回転方向と捩じれ量を適正範囲とすることで、スライサーやフッカーが通常のスイングをするとスイング中のクラブヘッドのフェース面の向きが適正な方向に矯正されるようにしている。
【0011】
すなわち、本発明は、少なくとも一部を異方性材料により形成したシャフトの先端にクラブヘッドを固設してなるゴルフクラブであって、
シャフトのグリップ部側の端部から150mmの長さ部分を掴持固定してシャフトの軸線Mが地面と平行となり、かつ、クラブヘッドのフェース面の中心位置でのフェース面に対する法線が地面と平行になるようにゴルフクラブを空間に配置した時のフェース面の中心位置でのフェース面に対する法線L1をシャフトの軸線Mに対する垂直平面Qに投影した直線L1´と、
ゴルフクラブを上記と同様の配置状態としてシャフトのグリップ部側の端部からゴルフクラブの全長Nの98%の長さ位置Pに鉛直方向へ向かう1.1kgの負荷をかけてシャフトを撓ませた時のフェース面の中心位置でのフェース面に対する法線L2をシャフトの軸線Mに対する垂直平面Qに投影した直線をL2´とが、0.8°≦θ≦3.3°の交差角度(θ)で交差しているゴルフクラブを提供している。
【0012】
なお、実際にゴルフクラブをシャフトのグリップ部側の端部を掴持固定してシャフトが地面と平行となるように空間に配置した場合、クラブヘッドの重みによってシャフトは若干撓み、シャフトの軸線は厳密には直線にならずに曲線となる。よって、上記シャフトの軸線Mは、図1に示すように、シャフト12のグリップ部12c側の端部12aのシャフト中心点Tとシャフト先端に取り付けたクラブヘッド14のフェラルのシャフトのグリップ部に近い側の端部12bの位置におけるシャフト中心点T’とを結ぶ線を軸線Mとしている。
【0013】
また、図2は上記本発明のゴルフクラのブシャフトの軸線M、クラブヘッドのフェース面の中心位置でのフェース面に対する法線L1,L2、シャフトの軸線Mに対する垂直平面Q、法線L1を垂直平面Qに投影した直線L1´、ゴルフクラブの全長N、ゴルフクラブの全長Nの98%の長さ位置P、法線L2を垂直平面Qに投影した直線L2´、直線L1´と直線L2´のなす交差角度(θ)の関係を示し、(A)はフッカーのゴルフクラブの軌道を修正するゴルフクラブのシャフトの捩じれを示しており、(B)はスライサーのゴルフクラブの軌道を修正するゴルフクラブの捩じれを示している。
【0014】
上記本発明のゴルフクラブを用いると、スイングによりはたらく遠心力によるクラブヘッドのトウダウンによって、シャフトが撓むと共にねじれる。そして、クラブヘッドが、上記図2(B)に示すように、フェース面側へ回転する捩じれが起こるようにシャフトに異方性をもたせたものにおいては、スライサーの、本来、クラブヘッドのトウ側がクラブヘッドのヒール側より遅れぎみに打球位置に侵入しようとするゴルフクラブの軌道が、シャフトの捩じれによってクラブヘッドのフェース面がボールに対してほぼ正体するように修正される。一方、クラブヘッドが、上記図2(A)に示すように、フェース面とは反対側へ回転する捩じれが起こるようにシャフトに異方性をもたせたものにおいては、フッカーの、本来、クラブヘッドのヒール側がクラブヘッドのトウ側より遅れぎみに打球位置に侵入しようとするゴルフクラブの軌道が、シャフトの捩じれによってクラブヘッドのフェース面がボールに対してほぼ正体するように修正される。よって、スライサー及びフッカーはスイングの修正を殆ど意識することなく、インパクト時にクラブヘッドのフェース面がほぼ狙った方向(飛球させるべき方向)となるように打球でき、ボールをほぼ真っ直ぐに飛ばすことができる。
【0015】
上記直線L1´と上記直線L2´のなす交差角度(θ)が3.3°より大きくなると、矯正作用が強すぎてプレイヤーが違和感を感じたり、また、プレイヤーの癖とは逆に曲がる打球が多くなる場合があり、また、交差角度(θ)が小さ過ぎる場合は矯正効果が小さいので、交差角度(θ)は0.8°≦θ≦3.3°の範囲内としている。この範囲にあると、初級者及び中級者のスライサー及びフッカーのスイング軌道(フェースの向き)をほぼ適正に矯正できる。
【0016】
上記本発明のゴルフクラブにおいて、シャフトは繊維強化樹脂、繊維強化ゴム、配向性を有するゴムのうちの一種類あるいは複数種類を組み合わせた異方性を有する材料により少なくとも一部を形成すると共に、該異方性を有する材料の繊維角度および/または配向角度をシャフトの周方向で部分的に、かつ、厚さ方向の少なくとも一部分で異ならたシャフトとし、ゴルフクラブを水平面に所定の状態で置き、クラブヘッドのフェース面と上記水平面の成す交線に平行でかつシャフトの幾何学的主軸を含む平面を特定平面としたときに、シャフトのグリップ部側の端部から150mmを固定した状態におけるシャフトの弾性主軸が該弾性主軸と上記幾何学的主軸を含む平面と上記特定平面が0°より大きい交差角度αで交差するように設定したものとするのが好ましい(請求項2)。ここでの交差角度αが小さいほど、上記直線L1´と上記直線L2´のなす交差角度(θ)を上記の0<θ≦3.5°の範囲に設定するためにはシャフトにより強い異方性が要求されることとなる。よって、交差角度αは10〜90°、好ましくは45〜90°、より好ましく80〜90°の範囲とするのがよい。
【0017】
上記においてゴルフクラブを水平面に所定の状態で置いたときとは、図3および図4に示すように、クラブヘッド14を、底面14bが地面(水平面H)に接し、ゴルフクラブのもつ所定のライ角γとロフト角δとなるようにおいた状態をいう。
【0018】
上記繊維強化樹脂としては、補強繊維材としてガラス繊維、炭素繊維、各種有機繊維、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維、金属繊維および/又はそれらの混合物からなる繊維、織布あるいはマット等を用いることができ、樹脂としてポリアミド、エポキシ、ポリエステル等の樹脂が好適に用いられる。
【0019】
また、ゴルフクラブシャフト全体を上記繊維強化樹脂で形成しても良いし、該繊維強化樹脂の他に繊維強化ゴム、配向性を有するゴム等の異方性を有する材料あるいは/および繊維を含有しない樹脂やゴムを一部に組み合わせて用いてもよい。
【0020】
また、上記した材料からなるシャフトの構成は軸方向の全長において同一としても良いし、あるいは、軸方向において構成を変えてもよい。
【0021】
上記本発明のゴルフクラブシャフトにおいて、少なくとも一部に異方性材料を用いることにより、シャフト先端の弾性主軸の位置を上記した所定位置に設定できるのであれば、シャフトの材料および構成は特に限定されない。
【0022】
なお、本発明はウッド型クラブ及びアイアンクラブに採用しうるが、前記スライスやフックといった現象はウッド型クラブで打球した時に顕著に現れる。よって、本発明はウッド型クラブに採用するのが好ましい。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態(実施例)を比較例とともに説明する。
実施例1〜3のウッド型ゴルフクラブ及び比較例1、2のウッド型ゴルフクラに用いるシャフトを以下のようにして作成した。
【0024】
実施例1のウッド型ゴルフクラブに用いるシャフトは、図5のその最上位置に示したプリプレグシート31aから最下位置に示したプリプレグシート31lへと順次マンドレルに巻き付け、その上から熱収縮チューブを螺旋状にラッピングし、加熱硬化を行った後、マンドレルを引き抜くことにより作成した。なお、図3中の3角形状のプリプレグシート31lはクラブヘッドを取り付けるシャフトの細径の端部に巻きつける補強用のプリプレグシートである。また、図中の各プリプレグシート31a〜31lに付している数値はその強化繊維のシャフトの軸(マンドレルの軸)に対してする配向角度であり、0°はマンドレルの軸に対して平行な配向し、+25゜、−25゜はマンドレルの軸に対して互いに逆方向に25°の交差角度で配向し、+45゜、−45゜はマンドレルの軸に対して互いに逆方向に45゜の交差角度で配向していることを示している。また、プリプレグシートの右横に付している数値はシャフトの周方向にプリプレグシートを何層にわたって巻付けたかを示し、左横の数値はプリプレグシートの製品番号(いずれも東レ(株)製)を示している。また、図6はシャフトにおけるプリプレグシート31a〜3hの巻き付け状態を示している(なお、強化繊維のマンドレルの軸に対する配向角度が0°のストレート層31i〜31k及び補強用のプリプレグシート31lは図示していない。)
【0025】
上記各プリプレグシートはいずれも炭素繊維からなる強化繊維にエポキシ樹脂を含浸させたもので、プリプレグシート2053−12は引張弾性率が30000kg/mm2 、引張強度が560kg/mm2 、厚みが0.1137mmである。プリプレグシート9055−12は引張弾性率が38500kg/mm2 、引張強度が450kg/mm2 、厚みが0.0961mmである。プリプレグシート9055−8は引張弾性率が38500kg/mm2 、引張強度が450kg/mm2 、厚みが0.0622mmである。
【0026】
図7は得られたシャフトの寸法を示した図で、全長Lを1143mm、グリップ部側の端部12aでは、外径OD1 を15mm、内径ID1 を13mmとしており、該端部12aからl1 =150mmまでの長さ部分は外径および内径は一定にしてグリップ部(所定の外装部材を外装して握り手部とする部分)12cを構成している。グリップ部12cの端部からクラブヘッドを取付ける側のシャフトの先端部12bまでの長さ部分(l2 =993mmの部分)は、先細りのテーパー状とし、先端部12bの外径OD2 を8.5mm、内径ID2 を3.5mmとしている。
【0027】
図8、9はそれぞれ実施例2、3のゴルフクラブのシャフトに使用したプリプレグシートを示し、実施例2、3のゴルフクラブのシャフトは、ぞれぞれ、上記実施例1のゴルフクラブのシャフトの作成方法に従って、プリプレグシート32a〜32l(図8)、プリプレグシート33a〜33l(図9)を、その最上位置に示したプリプレグシートから最下位置に示したプリプレグシートへと順次マンドレルに巻き付ける以外は同様にして作成した。なお、図8、9においても3角形状のプリプレグシート32l、33lはクラブヘッドを取り付けるシャフトの細径の端部に巻きつける補強用のプリプレグシートであり、図中の各プリプレグシートに付している数値はその強化繊維のシャフトの軸(マンドレルの軸)に対してする配向角度を示し、プリプレグシートの右横に付している数値はシャフトの周方向にプリプレグシートを何層にわたって巻付けたかを示し、左横の数値はプリプレグシートの製品番号を示している。プリプレグシート3055−12(東レ(株)製)は引張弾性率が23500kg/mm2 、引張強度が500kg/mm2 、厚みが0.0961mmである。
図10、11は上記それぞれのシャフトにおけるプリプレグシート32a〜32k、プリプレグシート33a〜33kの巻き付け状態を示している。なお、補強用のプリプレグシートは図示していない。
【0028】
また、比較例1、2のゴルフクラブのシャフトを、図12、13に示すプリプレグシート34a〜34f及びプリプレグシート35a〜35nを用いて、上記と同様の方法で作成した。図14、15は上記それぞれのシャフトにおけるプリプレグシート34a〜34e、プリプレグシート35a〜35mの巻き付け状態を示している。なお、補強用のプリプレグシートは図示していない。
【0029】
上記作成した各シャフトを用い、図16に示すように、シャフト12の先端部12bにチタン合金製のウッド型のクラブヘッド14を取付け、シャフト12のグリップ部12cにゴム製の外装部材13を外嵌固定して実施例1〜3および比較例1、2のゴルフクラブを完成させた。
【0030】
なお、ここでは各実施例及び各比較例のゴルフクラブについてスライサー用のクラブとフッカー用のクラブを作成した。
【0031】
スライサー用のクラブについては、シャフトに上記クラブヘッド14を取り付けて、これを水平面に所定の状態(図3および図4に示す状態)で置いた時に、クラブヘッド14のフェース面14aと上記水平面Hの成す交線に平行でかつシャフトの幾何学的主軸Gを含む平面を特定平面200としたときに、シャフトのグリップ部側の端部から150mmを固定した状態におけるシャフトの弾性主軸Eが、該弾性主軸Eと上記幾何学的主軸Gを含む平面100と上記特定平面200が直交し(90°の角度で交差し)、かつ、上記特定平面200を境界にしたクラブヘッドのフェース面側とは反対側の空間内に弾性主軸Eが配置するように組み立てた(図17)。これとは逆に、フッカー用のクラブについては、上記幾何学的主軸Gを含む平面100と上記特定平面200が直交(90°の角度で交差し)、かつ、上記特定平面200を境界にしたクラブヘッドのフェース面側の空間内に弾性主軸Eが配置するように組み立てた。
【0032】
また、クラブヘッドの取付け前に各シャフトについて以下の試験を行った。すなわち、図18に示すように、シャフト12のグリップ部12c側の端部12aから150mmの長さ部分をチャキング装置200を把持し、シャフトを水平に保持する一方、シャフトのグリップ部12c側の端部12aからゴルフクラブの全長の98%の長さ位置の上端面にシャフトの軸に対して直交し、かつ、水平となるように長さ140mmの針金50の真ん中部分を接着し、この状態でシャフトのグリップ部側の端部からゴルフクラブの全長の98%の長さ位置の下端面に1.1kgの錘51を吊り下げて、錘51による負荷を与える前と与えた後のシャフトの捩じれ量を針金50の回転角度(θ’)により測定した。なお、この回転角度(θ’)が上記請求項1で規定している図2に示す直線L1’と直線L2’のなす交差角度(θ)に対応する。
【0033】
以上作成した実施例1〜3及び比較例1、2の各ゴルフクラブについて、フック癖の程度が異なるフッカー3名(A、B、C)にはフッカー用のクラブで15球試打してもらい、スライス癖の程度が異なるスライサー3名(D、E、F)にはスライサー用のクラブで15球試打をしてもらい、各打球について球の左右の曲がりに直接関連する打球のサイドスピン数を測定し、その平均値を算出した。なお、上記フッカー3名、スライサー3名はゴルフ歴が1〜5年の初中級者である。
下記表1に上記の試験結果を示す。
【0034】
【表1】
Figure 0003733505
【0035】
表中、正の数値は右回りの回転、負の数値は左回りの回転に対応している。また、サイドスピン数が−200〜200のときは略ストレートの球筋、−200〜−500のときは左への曲がりが比較的少ないフックの球筋、200〜500は右への曲がりが比較的少ないスライスの球筋、−500以下のときは大きく左へ曲がるフック、500以上のときは大きく右へ曲がるスライスの球筋である。
【0036】
表より、フッカーであるテスターA,B,Cが実施例1、2、3のクラブで打球すると、比較例1(従来)のシャフトの幾何学的主軸と弾性主軸とが一致し、幾何学的主軸に負荷が加わってもシャフトに捩じれが生じないゴルフクラブを用いて打球した時に比べて、フックの原因である左回転のサイドスピン数を減少させており、ヘッド方向の自己修正効果が得られていることがわかる。そして、フック癖の程度が小さいテスターAは実施例1のシャフトの捩じれ量(針金50の回転角度(θ´))を0.8°にしたゴルフクラブを使用すると略ストレートの球筋(サイドスピン数:−81)に矯正され、フック癖が中程度のテスターBは実施例2のシャフトの捩じれ量(針金50の回転角度(θ´))を1.4°にしたゴルフクラブを使用すると略ストレートの球筋(サイドスピン数:66)に矯正され、フック癖が激しいテスターCは実施例3の捩じれ量(針金50の回転角度(θ´))を3.3°にしたゴルフクラブを使用すると略ストレートの球筋(サイドスピン数:−107)に矯正されている。
【0037】
これに対し、比較例2のシャフトの捩じれ量(針金50の回転角度(θ´))を5.6°にしたゴルフクラブを使用した場合には、テスターA,B,Cのフックの原因である左回転のサイドスピン数を減少させるが、ヘッド方向の修正効果が大きすぎて(シャフトの捩じれ量が大きすぎて)、いずれの場合も、サイドスピン数が200より大きいスライスの球筋になってしまっている。
【0038】
また、スライサーであるテスターD,E,Fが実施例1、2、3のクラブで打球すると、比較例1(従来)のシャフトの幾何学的主軸と弾性主軸とが一致し、幾何学的主軸に負荷が加わってもシャフトに捩じれが生じないゴルフクラブを用いて打球した時に比べて、スライスの原因である右回転のサイドスピン数を減少させており、この場合も上記と同様に、ヘッド方向の自己修正効果が得られていることがわかる。そして、スライス癖の程度が比較的小さいテスターDは実施例1のゴルフクラブを使用すると略ストレートの球筋(サイドスピン数:−55)に矯正され、スライス癖が中程度のテスターEは実施例2のゴルフクラブを使用すると略ストレートの球筋(サイドスピン数:10)に矯正され、スライス癖が激しいテスターFは実施例3のゴルフクラブを使用すると略ストレートの球筋(サイドスピン数:122)に矯正されている。
【0039】
これに対し、比較例2のシャフトの捩じれ量(針金50の回転角度(θ´))を5.6°にしたゴルフクラブを使用した場合には、テスターD,E,Fのスライスの原因である右回転のサイドスピン数を減少させるが、ヘッド方向の修正効果が大きすぎて(シャフトの捩じれ量が大きすぎて)、いずれの場合も、サイドスピン数が−200より大きい(負の数値としては小さい)フックの球筋になってしまっている。
【0040】
以上の結果から、フック癖又はスライス癖のあるプレーヤーはそのフック癖又はスライス癖の程度に応じて、シャフトの捩じれ量(針金50の回転角度(θ´))が概ね0.8°≦θ´≦3.3°の範囲にあるゴルフクラブから、自分の癖の程度に応じたクラブを選択することにより、スイングの修正を殆ど意識することなく通常のスイングをすることで略ストレートの球筋の打球を飛ばせることを確認した。
【0041】
更に、上記テスターA、B、C、D、E、Fとは異なるフック癖又はスライス癖のある数人のプレイヤーについて、シャフトの捩じれ量(針金50の回転角度(θ´))を上記とは異なる角度となるように組み立てたゴルフクラブを用いて、上記と同様の打球試験を行った。その結果、フック癖(スライス癖)のあるプレーヤーはそのフック癖(スライス癖)の程度に応じて、シャフトの捩じれ量(針金50の回転角度(θ´))が、0°<θ´≦3.5°の範囲にあるゴルフクラブから、自分の癖の程度に応じたクラブを選択することで、スイングの修正を殆ど意識することなく通常のスイングで略ストレートの球筋の打球を飛ばせることが分かった。
【0042】
【発明の効果】
以上の説明から明らなように、本発明のゴルフクラブシャフトでは、異方性材料を用いて形成したシャフトがその幾何学的主軸に対して負荷が加わるとシャフトが撓むと同時に捩じれる変形挙動を利用して、スイング時のクラブヘッドのトウダウンによりクラブヘッドの回転移動によりスライサー及びフッカーのクラブヘッドの向きが矯正されるようにしているので、プレイヤーはスイングの修正を殆ど意識することなくゴルフクラブをスイングしても、インパクト時にシャフト先端のクラブヘッドのフェース面がボールを飛球させるべき方向に向き、その結果、ボールを真っ直ぐに飛ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のゴルフクラブのシャフトの軸線の定義を説明した図である。
【図2】 (A)(B)は本発明のゴルフクラブのシャフトの変形挙動を説明した図である。
【図3】 ライ角を説明するためのクラブヘッドの正面図である。
【図4】 ロフト角を説明するためのクラブヘッドの断面図である。
【図5】 実施例1のゴルフクラブシャフトに用いたプリプレグシートの展開図である。
【図6】 実施例1のゴルフクラブシャフトの概略断面図である。
【図7】 実施例1のゴルフクラブシャフトの寸法説明図である。
【図8】 実施例2のゴルフクラブシャフトに用いたプリプレグシートの展開図である。
【図9】 実施例3のゴルフクラブシャフトに用いたプリプレグシートの展開図である。
【図10】 実施例2のゴルフクラブシャフトの概略断面図である。
【図11】 実施例3のゴルフクラブシャフトの概略断面図である。
【図12】 比較例1のゴルフクラブシャフトに用いたプリプレグシートの展開図である。
【図13】 比較例2のゴルフクラブシャフトに用いたプリプレグシートの展開図である。
【図14】 比較例1のゴルフクラブシャフトの概略断面図である。
【図15】 比較例2のゴルフクラブシャフトの概略断面図である。
用いたプリプレグシートの展開図である。
【図16】 実施例及び比較例のゴルフクラブシャフトの完成図である。
【図17】 実施例のスライサー用のゴルフクラブシャフトにおける幾何学的主軸と弾性主軸のズレを説明した図である。
【図18】 実施例及び比較例のゴルフクラブシャフトの捻れ量の測定方法を示した側面図である。
【図19】 本発明の原理を説明するためのパイプ状構造物を示す概略斜視図部である。
【図20】 図19のパイプ状構造物の断面図である。
【図21】 図19のパイプ状構造物の繊維角度を示す概略図である。
【図22】 図19のパイプ状構造物の繊維角度を示す概略図である。
【図23】 パイプの変形挙動を示す概略図である。
【図24】 パイプの変形挙動を示す概略図である。
【図25】 パイプの変形挙動を示す概略図である。
【図26】 パイプの変形挙動を示す概略図である。
【図27】 パイプの変形挙動を示す概略図である。
【図28】 従来の問題点を説明するための図で、(A)はスライサーのインパクト時のフェース面の向き示す概略図、(B)はフッカーのインパクト時のフェース面の向き示す概略図である。
【符号の説明】
12 ゴルフクラブシャフト
13 グリップ
14 クラブヘッド
G 幾何学的主軸
E 弾性主軸 M シャフトの軸線
L1、L2、 クラブヘッドのフェース面の中心位置でのフェース面に対する

Claims (3)

  1. 少なくとも一部を異方性材料で形成したシャフトの先端にクラブヘッドを固設してなるゴルフクラブであって、
    シャフトのグリップ部側の端部から150mmの長さ部分を掴持固定してシャフトの軸線Mが地面と平行となり、かつ、クラブヘッドのフェース面の中心位置でのフェース面に対する法線が地面と平行になるようにゴルフクラブを空間に配置した時の、フェース面の中心位置でのフェース面に対する法線L1をシャフトの軸線Mに対する垂直平面Qに投影した直線L1’と、
    ゴルフクラブを上記と同様の配置状態としてシャフトのグリップ部側の端部からゴルフクラブの全長(N)の98%の長さ位置(P)に鉛直方向へ向かう1.1kgの負荷をかけた時の、フェース面の中心位置でのフェース面に対する法線L2をシャフトの軸線Mに対する垂直平面Qに投影した直線L2’とが、
    0.8°≦θ≦3.3°の交差角度(θ)で交差していることを特徴とするゴルフクラブ。
  2. 上記シャフトは繊維強化樹脂、繊維強化ゴム、配向性を有するゴムのうちの一種類あるいは複数種類を組み合わせた異方性を有する材料により少なくとも一部を形成すると共に、該異方性を有する材料の繊維角度および/または配向角度をシャフトの周方向で部分的に、かつ、厚さ方向の少なくとも一部分で異ならせたシャフトであり、 ゴルフクラブを水平面に所定の状態で置き、クラブヘッドのフェース面と上記水平面の成す交線に平行でかつシャフトの幾何学的主軸を含む平面を特定平面としたときに、シャフトのグリップ部側の端部から150mmを固定した状態におけるシャフトの弾性主軸と上記幾何学的主軸を含む平面と、上記特定平面とを10°〜90°の交差角度αで交差させている請求項1に記載のゴルフクラブ。
  3. 上記交差角度αは45°〜90°である請求項2に記載のゴルフクラブ。
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