JP3571580B2 - ゴルフクラブ用のシャフト及びゴルフクラブ - Google Patents
ゴルフクラブ用のシャフト及びゴルフクラブ Download PDFInfo
- Publication number
- JP3571580B2 JP3571580B2 JP15382399A JP15382399A JP3571580B2 JP 3571580 B2 JP3571580 B2 JP 3571580B2 JP 15382399 A JP15382399 A JP 15382399A JP 15382399 A JP15382399 A JP 15382399A JP 3571580 B2 JP3571580 B2 JP 3571580B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- shaft
- point
- rear end
- golf club
- fiber
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Golf Clubs (AREA)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はゴルフクラブ用のシャフト及びゴルフクラブに関するものであり、特に繊維強化樹脂層の積層体から構成されるゴルフクラブ用のシャフト及びこのシャフトが用いられたゴルフクラブに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、スチールシャフトに代えて繊維強化樹脂製シャフトが装着されたゴルフクラブが好んで用いられており、ゴルフクラブの主流となりつつある。繊維強化樹脂製シャフトは軽量であるため、これを用いるゴルファーはゴルフクラブのヘッドスピードを速めることができ、打球の飛距離を高めることができる。
【0003】
ゴルファーが飛距離を高めるには、ヘッドスピードを速めることとともに、ゴルフボールをまっすぐ飛ばすことも重要である。また、ゴルファーがスコアを高める点においても、ゴルフボールをまっすぐ飛ばすことが極めて重要である。しかし、多くのアベレージゴルファーは、打球が右回転して右に曲がったり(右利きのゴルファーにとってのスライスボール)、打球が左回転して左に曲がったり(右利きのゴルファーにとってのフックボール)し、スコアメイクに苦しんでいるのが実状である。
【0004】
打球の曲がる原因は、インパクトにおいてヘッドの軌道の方向とフェースの向き(フェースに対する垂直方向)とが一致しないことにある。すなわち、軌道方向に対してフェースの向きがオープンとなると打球はスライスしてしまい、逆に軌道方向に対してフェースの向きがクローズとなると打球はフックしてしまう。インパクトにおいてヘッドの軌道の方向とフェースの向きとが一致するようにスイングフォームが矯正されれば、打球の曲がりが抑えられる。しかし、スイングフォームにはゴルファー毎の癖があり、この矯正は容易なことではない。
【0005】
ところで、特開平3−227616号公報には、その繊維角度が周方向において部分的に異なる繊維強化樹脂を用いたパイプ状構造物が開示されている。このパイプ状構造物は幾何学的主軸(すなわちパイプの中心線)と弾性主軸(すなわち弾性率における対称軸)とが異なるので、荷重が加わることにより撓ると同時に捻れが生ずる性質を備えたものである。
【0006】
前述の撓ると同時に捻れが生ずるパイプ状構造物がシャフトとして用いられたゴルフクラブが、特開平10−328338号に開示されている。通常ゴルフクラブでは、スイング時にトウダウン等に起因するシャフトの撓りが生じる。シャフトとして撓ると同時に捻れが生ずるパイプ状構造物が用いられれば、インパクト時の撓りによってシャフトが捻れ、フェース向きがほぼスクエアに矯正される。そして、打球がスライスボール又はフックボールとなってしまうことが抑制される。
【0007】
従来、前述の撓ると同時に捻れが生ずるシャフトを必要とするのは、打球の曲がりに悩むアベレージゴルファーが主であった。しかし近年、シャフトが長尺化し、またヘッドが大型化するにしたがって、スイングフォームが比較的しっかりしている中・上級者でもクラブコントロールが難しくなり、打球の曲がりに悩むようになってきた。特に上級者(プロを含む)は、長年の努力で完成させたスイングフォームで最近のゴルフクラブをスイングしても打球が曲がってしまうので、スイングフォーム矯正の必要に迫られ悩んでいる。例えば、大型ヘッドのゴルフクラブの場合、ヘッドの重心距離が大きくてヘッドのシャフト軸回りの慣性モーメントが大きいので、スイング中にフェースが返りにくい。このゴルフクラブを従来通りのスイングフォームのゴルファーがスイングすると、フェースが開いたままの状態でインパクトに至ってしまい、打球がスライスしてしまう。スイングフォームが比較的しっかりしている中・上級者にも、撓ると同時に捻れが生ずるシャフトによる打球曲がりの矯正が有効である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
中・上級者のなかには、ゴルフクラブのフィーリングを重視するゴルファーが多い。また、中・上級者ほどではないにしても、初級者のなかにもフィーリングを重視するゴルファーが存在する。これらフィーリングを重視するゴルファーが撓ると同時に捻れが生ずるシャフトを使用すると、フィーリングが悪いと感じることが多い。例えば、ヘッド速度が比較的速く、かつ、スライスボール又はフックボールが出やすいゴルファーが撓ると同時に捻れが生ずるシャフトを使用すると、シャフトがしっかりしていないと感じることが多い。この対策としてフレックスが硬く設定されたシャフトを使用すると、今度は硬すぎてスイングしにくいと感じることがある。
【0009】
フィーリングの科学的解明は、未だ十分には行われていない。例えば、フレックス、トルク、調子、重量等の基本特性をいかに調整しても、依然としてフィーリングが悪いと報告するゴルファーは存在する。原因は解明されていないが、撓ると同時に捻れが生ずるシャフトのフィーリングを悪いと感じるゴルファーが多いのは事実である。ゴルファーがフィーリングが悪いと感じると、その感覚がスイングにフィードバックされ、スイングフォームが乱れて打点がばらついてしまう。ゴルファーが打球の曲がりを矯正することを意図して撓ると同時に捻れが生ずるシャフトを採用したにもかかわらず、かえって打球方向がばらついたり飛距離が低下してしまうこととなる。
【0010】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、打球の曲がりが矯正され、しかもフィーリングが良好なゴルフクラブのシャフトと、このシャフトが用いられたゴルフクラブとを提供することをその目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するためになされた発明は、
グリップが装着される側の端である後端とヘッドが装着される側の端である前端とを備えたゴルフクラブ用のシャフトであって、
撓ることにより同時に捻れが生じるように、その繊維角度が周方向において部分的に異なる繊維強化樹脂層の積層体から構成されており、
後端から前端に向かって500mmの位置がA地点と定められ、A地点から前端に向かって50mmの位置がB地点と定められたとき、後端からA地点までの間の少なくとも一部の積層体の積層数が、A地点を越えてB地点までの間の積層体の積層数よりも多いことを特徴とするゴルフクラブ用のシャフト、
である。
【0012】
また、上記目的を達成するためになされた他の発明は、
繊維強化樹脂層の積層体から構成されており、グリップが装着される側の端である後端とヘッドが装着される側の端である前端とを備え、積層体の前端近傍が前端補強層を有するゴルフクラブ用のシャフトであって、
この積層体は、その繊維角度が周方向において部分的に異なっていて撓ることにより同時に捻れが生じるものであり、
後端から前端に向かって500mmの位置がA地点と定められ、前端補強層の後端寄り端部の位置がC地点と定められたとき、C地点はA地点よりも前端寄りに位置しており、
後端からA地点までの間の少なくとも一部の積層体の積層数が、A地点を越えてC地点までの間の積層体の積層数よりも多いことを特徴とするゴルフクラブ用のシャフト、
である。
【0013】
また、上記目的を達成するためになされたさらに他の発明は、
グリップが装着される側の端である後端とヘッドが装着される側の端である前端とを備え、長さが1000mm以上1300mm以下であるゴルフクラブ用のシャフトであって、
撓ることにより同時に捻れが生じるように、その繊維角度が周方向において部分的に異なる繊維強化樹脂層の積層体から構成されており、
後端から前端に向かって500mmの位置がA地点と定められ、前端から後端に向かって400mmの位置がD地点と定められたとき、後端からA地点までの間の少なくとも一部の積層体の積層数が、A地点を越えてD地点までの間の積層体の積層数よりも多いことを特徴とするゴルフクラブ用のシャフト、
である。
【0014】
このシャフトは、その繊維角度が周方向において部分的に異なる繊維強化樹脂層の積層体から構成されているので、撓ることにより同時に捻れが生じる。このシャフトがヘッドがクローズする方向に捻れるようにヘッドに装着されてゴルフクラブが構成されれば、スライスボールが出やすいゴルファーの打球の曲がりが矯正される。逆に、このシャフトがヘッドがオープンする方向に捻れるようにヘッドに装着されてゴルフクラブが構成されれば、フックボールが出やすいゴルファーの打球の曲がりが矯正される。
【0015】
このシャフトでは、後端とA地点との間の少なくとも一部の積層体の積層数が多くされている。すなわち、後端近傍が繊維強化樹脂層で補強されている。これにより、撓ることにより同時に捻れが生じるシャフトにおいて特に問題となるフィーリングの悪さが改善される。フィーリングの悪さの原因は詳細には不明であるが、シャフトの変形挙動とゴルファーのスイングフォームとの間のマッチングが何らかの要因で悪くなり、これがグリップ部(後端近傍)の変形具合やインパクト時の振動としてグリップ部を介してゴルファーに伝達されるためと推測される。本発明において、後端近傍の補強によりフィーリングが改善される理由は、シャフトの変形挙動とゴルファーのスイングフォームとの間のマッチングの悪さがゴルファーに伝達されにくいためと推測される。
【0016】
本発明では後端から500mmの位置がA地点と定められるが、この「500mm」という距離は、本発明者等が実験によって導き出したものである。A地点が後端から500mmの位置とされ、後端からA地点までの間の少なくとも一部に補強層(後端補強層)が設けられることで、ゴルフクラブのフィーリングが向上する。
【0017】
シャフトの前端近傍(ネック部分)は、インパクト時に応力が集中する部分である。通常のシャフトでは、応力集中による破損を避けるために前端近傍に補強層(前端補強層)が設けられる。本発明では、後端補強層が存在する部分の積層体の積層数と対比する対象から、前端近傍の積層体の積層数が除外される。具体的には、A地点を越えてB地点(A地点から前端に向かって50mmの位置)までの間の積層体の積層数が後端補強層が存在する部分の積層体の積層数と対比され、A地点を越えてC地点(前端補強層の後端寄り端部の位置)までの間の積層体の積層数が後端補強層が存在する部分の積層体の積層数と対比され、又は、A地点を越えてD地点(前端から後端に向かって400mmの位置)までの間の積層体の積層数が後端補強層が存在する部分の積層体の積層数と対比される。そして、いずれの対比の場合も、後端補強層が存在する部分の積層体の積層数が多くなっている。
【0018】
通常、シャフトの全長は850mmから1300mm程度であるが、本発明はどのような長さのシャフトにも適用され得る。特に本発明は、その全長が1000mmから1300mmのシャフト(一般的にはウッドクラブ用シャフト)に好適に用いられる。
【0019】
後端とA地点との間にのみ配設される補強のための繊維強化樹脂層(後端補強層)の繊維角度は、主として曲げ剛性を高めてフィーリングを向上させるという観点からは、シャフト軸方向に対して実質的に平行であるのが好ましい。また、後端とA地点との間にのみ配設される補強のための繊維強化樹脂層の繊維角度は、主として圧縮剛性を高めてフィーリングを向上させるという観点からは、シャフト軸方向に対して実質的に直交しているのが好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を適宜図面を参照しつつ詳明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかるゴルフクラブが示された斜視図である。このゴルフクラブは、ヘッド1、シャフト3及びグリップ5から構成されている。シャフト3は、その前端がヘッド1のホーゼル7に挿入されることにより、ヘッド1に装着されている。グリップ5は通常ゴム又は皮革からなり、シャフト3の後端近傍の外周面に装着されている。
【0021】
図2は、図1のゴルフクラブのシャフトが示された正面図である。このシャフト3は、グリップ5が装着される側の端である後端9と、ヘッド1が装着される側の端である前端11とを備えている。このシャフトには、A地点、B地点及びD地点が定められる。後端9からA地点までの距離(図2において両矢印L1で示される)は、500mmである。A地点からB地点までの距離(図2において両矢印L2で示される)は、50mmである。前端11からD地点までの距離(図2において両矢印L3で示される)は400mmである。なお、図示されないが、このシャフト3におけるC地点は、D地点と一致するか、又はD地点と前端11との間に位置する。すなわち、このシャフト3の前端補強層がD地点よりも後端9寄りに存在することはない。
【0022】
このシャフト3は、繊維強化樹脂製である。強化繊維としては、炭素繊維が用いられるのが一般的である。シャフト3は、通常は、マンドレルにプリプレグシートを複数枚巻き付けて合成樹脂を硬化させ、マンドレルを抜き取ってシャフト母材を形成し、このシャフト母材を所定寸法にカットして作製される。従って、シャフト3は複数の繊維強化樹脂層の積層体である。繊維強化樹脂層のうちの少なくとも1層は、その繊維角度が周方向において部分的に異なっている。従って、このシャフト3では、撓ることにより同時に捻れが生じる。
【0023】
図3は、図2のシャフト3の積層体を構成するプリプレグシート19、21、23、25、27、29、31が示された模式図である。また、図4は、このシャフト3の積層体構造が示された模式図であり、図4(a)は後端9近傍の積層体構造、図4(b)はA地点とD地点との間の部分の積層体構造、そして図4(c)は前端11近傍の積層体構造が示されている。図3及び図4から明らかなように、このシャフト3では、まず繊維角度(シャフト軸方向に対する繊維の角度)が+30゜の第一プリプレグシート19が1.5周巻かれている。次に、この第一プリプレグシート19の巻き終わり部分から、繊維角度が−30゜の第二プリプレグシート21が1.5周巻かれている。次に、この第二プリプレグシート21の巻き終わり部分から、繊維角度が+30゜の第三プリプレグシート23が1.5周巻かれている。次に、この第三プリプレグシート23の巻き終わり部分から、繊維角度が−30゜の第四プリプレグシート25が1.5周巻かれている。次に、後端9近傍のみに、繊維角度が0゜の第五プリプレグシート27が一周巻かれている。次に、繊維角度が0゜の第六プリプレグシート29が2周巻かれている。そして、前端11近傍のみに、繊維角度が0゜の第七プリプレグシート31が一周巻かれている。
【0024】
これらのプリプレグシート19、21、23、25、27、29、31のうち第五プリプレグシート27は、後端9近傍を補強する後端補強層である。この後端補強層の作用によって、ゴルフクラブのフィーリングが向上する。また、第七プリプレグシート31は、前端11近傍のみを補強する前端補強層である。この前端補強層によって、応力集中が激しい前端近傍の強度が向上する。
【0025】
図4における左側半分は、右側半分に比べて+30゜のプリプレグシートが多く巻かれている。逆に、図4における右側半分は、左側半分に比べて−30゜のプリプレグシートが多く巻かれている。これにより、撓ることにより同時に捻れが生じる性質が、シャフト3に付与されている。
【0026】
図5は、図2のシャフト3が撓ることによって同時に捻れが生じる様子が示された模式図である。図5(a)は斜視図であり、図5(b)はシャフト3を前端11側からみた拡大図である。シャフト3は、後端9寄りの150mm分がチャッキング装置33で把持されている。シャフト3の前端11から20mmの位置に、重量1100gの錘35がつり下げられている。図5(a)及び(b)において二点鎖線で示されているのは、錘35がつり下げられる前の状態のシャフト3である。シャフト3の前端11から15mmの位置には、シャフト3の中心軸と直交する標識棒37が取り付けられている。標識棒37は、錘35がつり下げられる前の段階で水平となるように取り付けられている。錘35がつり下げられることにより、シャフト3は下方に撓る。これと同時に、シャフト3は回転角度θで示されるように捻れる。この回転角度θは、シャフト3の後端側から見て時計回り方向の角度であるが、図5(b)は前端側から見た図であるため反時計回り方向の矢印で示されている。回転角度θは、シャフト3の周方向位置によって異なる。回転角度θが最大値(シャフト3の後端側から見て時計回りに最大値)となる場合の上側となるシャフト3の周方向位置が、「シャフトの周方向における積層体構造の基準となる位置」とされる。
【0027】
図6は、図1のゴルフクラブのヘッド1のみがアドレス状態で置かれた様子が示された模式的な平面図である。このヘッド1では、ホーゼル穴39内周にフェース側位置(図6においてAで示される)、フェース反対側位置(図6においてBで示される)、トウ側位置(図6においてYで示される)及びヒール側位置(図6においてXで示される)の4つの位置が、90゜刻みで定められる。そして、このヘッド1にシャフト3が装着される場合に、シャフト3の幾何学的主軸における、ヒール側位置Xに対する、シャフト3の周方向における積層体構造の基準となる位置の、シャフト3の後端側から見て時計回り方向の中心角が、「装着角度」とされる。装着角度の最大は+180゜であり、最小は−180゜である。例えば、シャフト3の周方向における積層体構造の基準となる位置がフェース側位置Aと一致する場合、装着角度は+90゜である。また、シャフト3の周方向における積層体構造の基準となる位置がフェース反対側Bと一致する場合、装着角度は−90゜である。また、シャフト3の周方向における積層体構造の基準となる位置がトウ側位置Yと一致する場合、装着角度は+180゜であり、同時に−180゜である。
【0028】
スイング中のシャフト3の撓りに最も影響を与えるのは、トウダウンである。トウダウンにより、シャフト3はヒール側に撓る。シャフト3がヒール側にのみ撓る場合、装着角度が−90゜を越えて+90゜未満の範囲(特には0゜近傍)となるようにゴルフクラブが作製されると、フェースがクローズする方向にシャフト3が捻れる。このゴルフクラブは、スライスボールが出やすいゴルファーに適している。装着角度が−180゜以上−90゜未満の範囲(特には−180゜近傍)となるか、又は+90゜を越えて+180゜以下の範囲(特には+180゜近傍)となるようにゴルフクラブが作製されると、フェースがオープンする方向にシャフトが3捻れる。このゴルフクラブは、フックボールが出やすいゴルファーに適している。
【0029】
インパクト直前にヘッド1がグリップ5(図1参照)よりも先行するスイングの場合、シャフト3はインパクト時に前方に撓ることとなる。シャフト3が前方にのみ撓る場合、装着角度が0゜を越えて+180゜未満の範囲(特には+90゜近傍)となるようにゴルフクラブが作製されると、フェースがクローズする方向にシャフト3が捻れる。このゴルフクラブは、スライスボールが出やすいゴルファーに適している。装着角度が−180゜を越えて0゜未満の範囲(特には−90゜近傍)となるようにゴルフクラブが作製されると、フェースがオープンする方向にシャフト3が捻れる。このゴルフクラブは、フックボールが出やすいゴルファーに適している。
【0030】
インパクト直前にヘッド1がグリップ5よりも遅れるスイングの場合、シャフト3はインパクト時に後方に撓ることとなる。シャフト3が後方にのみ撓る場合、装着角度が−180゜を越えて0゜未満の範囲(特には−90゜近傍)となるようにゴルフクラブが作製されると、フェースがクローズする方向にシャフト3が捻れる。このゴルフクラブは、スライスボールが出やすいゴルファーに適している。装着角度が0゜を越えて+180゜未満の範囲(特には+90゜近傍)となるようにゴルフクラブが作製されると、フェースがオープンする方向にシャフト3が捻れる。このゴルフクラブは、フックボールが出やすいゴルファーに適している。
【0031】
ゴルファーのスイングフォームは、リストコッキングの向きや角度、スイングプレーンの傾き、リストコッキングの解放のタイミング、スイング時間、ヘッド速度、ゴルファーとシャフトフレックスとのマッチング、ヘッド1の重量や体積等の種々の要因を受け、多様である。実際のスイングでは、複数の撓り方向が合成された方向に、シャフト3は撓っている。各ゴルファーのスイングに応じ、ゴルフクラブの装着角度が設定されるのが好ましい。例えば、トウダウンするとともにヘッド1が先行するゴルファーの場合は、0゜から+90゜の範囲に装着角度が設定されることによりスライスが矯正され、−180゜から−90゜の範囲に装着角度が設定されることによりフックが矯正される。また、トウダウンするとともにヘッド1が遅れるゴルファーの場合は、−90゜から0゜の範囲に装着角度が設定されることによりスライスが矯正され、+90゜から+180゜の範囲に装着角度が設定されることによりフックが矯正される。
【0032】
【実施例】
以下、実施例により行った実験に基づいて本発明の効果を明らかにする。
【0033】
[実施例1]
マンドレルに、図3及び図4に示されるように、第一プリプレグシート19、第二プリプレグシート21、第三プリプレグシート23、第四プリプレグシート25、第五プリプレグシート27、第六プリプレグシート29及び第七プリプレグシート31を巻き付けた。プリプレグシート19、21、23、25、27、29、31は、いずれも炭素繊維強化樹脂プリプレグ(東レ社の商品名「8055S−12」)を使用した。このプリプレグシートの厚みは0.1053mmであり、炭素繊維含有率は76重量%であり、炭素繊維の引張弾性率は30000kgf/mm2であり、炭素繊維の引張強度は560kgf/mm2であった。
【0034】
次に、マトリックス樹脂を加熱して硬化させ、マンドレルを引き抜き、得られたシャフト母材を全長1100mmの寸法に裁断して、シャフト3を得た。このシャフト3では、第五プリプレグシート27は、後端と後端から100mmの地点との間(下記の表1及び表2において「0−100」と表示される)に設けられている。また、第七プリプレグシート31は、前端と前端から400mmの地点との間に設けられている。このシャフト3を、ロフトが12゜、体積が280cc、材質がチタン(6Al−4V)のヘッド1に、装着角度が0゜となるように装着し、さらにグリップ5を装着して、実施例1のゴルフクラブ(ドライバー)を得た。このゴルフクラブでは、インパクト直前のトウダウンによってシャフト3がヒール方向に撓った際に、フェースがクローズするようにシャフト3が捻れるものである。
【0035】
[実施例2から実施例5及び比較例1]
第五プリプレグシート27を後端と後端から300mmの地点との間(0−300)に設けた他は実施例1と同様にして、実施例2のゴルフクラブを得た。また、第五プリプレグシート27を後端と後端から500mmの地点との間(0−500)に設けた他は実施例1と同様にして、実施例3のゴルフクラブを得た。また、第五プリプレグシート27を後端から200mmの地点と後端から500mmの地点との間(200−500)に設けた他は実施例1と同様にして、実施例4のゴルフクラブを得た。また、第五プリプレグシート27を後端から400mmの地点と後端から500mmの地点との間(400−500)に設けた他は実施例1と同様にして、実施例5のゴルフクラブを得た。さらに、第五プリプレグシート27を後端と後端から600mmの地点との間(0−600)に設けた他は実施例1と同様にして、比較例1のゴルフクラブを得た。
【0036】
[実施例6]
第六プリプレグシートの巻き付け回数を3周とした他は実施例1と同様にして、実施例6のゴルフクラブを得た。
【0037】
[実施例7]
実施例1の第五プリプレグシート27に代えて、繊維角度が90゜のプリプレグシート(東レ社の商品名「805−3」)を用い、これを後端と後端から300mmの地点との間(0−300)に設けた他は実施例1と同様にして、実施例7のゴルフクラブを得た。このプリプレグシートの厚みは0.0342mmであり、炭素繊維含有率は60重量%であり、炭素繊維の引張弾性率は30000kgf/mm2であり、炭素繊維の引張強度は410kgf/mm2であった。
【0038】
[比較例2及び比較例3]
第五プリプレグシート27を用いず、第六プリプレグシートの巻き付け回数を3周とした他は実施例1と同様にして、比較例2のゴルフクラブを得た。また、第五プリプレグシート27を用いなかった他は実施例1と同様にして、比較例3のゴルフクラブを得た。
【0039】
[フィーリング評価]
各実施例及び各比較例のゴルフクラブにて、AからFの6名のゴルファーにゴルフボールを試打させ、フィーリングの良否を聞き取った。6名のゴルファーはいずれもスライスボールに悩んでいるゴルファーである。また、6名とも、比較的フィーリングを重視するゴルファーである。評価は、フィーリングが非常によいものを「◎」とし、フィーリングがよいものを「○」とし、フィーリングがやや悪いものを「△」とし、フィーリングが非常に悪いものを「×」とした。この結果が、下記の表1に示されている。
【0040】
【表1】
【0041】
表1において、全ての実施例のゴルフクラブは、いずれかのゴルファーからフィーリングが非常によいと評価されている。この原因は未だ解明されていないが、ゴルファーがゴルフクラブと直接接触する部分であるグリップ及びその近傍が補強され、剛性が高くなることによって、ゴルファーに伝わる振動が変化したり、シャフトの変形が抑えられたりすることによるのではないかと推測される。各ゴルファー毎に非常によいとするゴルフクラブが異なっているのは、スイングフォームとのマッチングがよいゴルフクラブがゴルファーによって異なるためと推測される。
【0042】
後端近傍の補強層の繊維角度が0゜とされた実施例1から6のゴルフクラブは、後端近傍の主として曲げ剛性が高められたものである。また、後端近傍の補強層の繊維角度が90゜とされた実施例7のゴルフクラブは、後端近傍の主として圧縮剛性が高められたものである。いずれのゴルフクラブも、これを非常によいとするゴルファーが存在する。いずれの繊維角度をよいと感じるかも、前述のように、ゴルファーのスイングフォームとのマッチングによって決まるものと推測される。
【0043】
これに対し、後端近傍の補強層が設けられていない比較例3のゴルフクラブは、いずれのゴルファーからもよい評価を得ていない。また、シャフト3全体に渡って積層数が多い比較例2のゴルフクラブ及び後端から600mmまで補強された比較例1のゴルフクラブも、いずれのゴルファーからもよい評価を得ていない。このことは、単にシャフト3の剛性を高めたのみではフィーリングは向上せず、シャフト全体の撓り具合を維持しつつ部分的に補強することでフィーリングを向上させ得ることを意味している。
【0044】
[飛距離評価]
各実施例及び各比較例のゴルフクラブにて、上記AからFの6名のゴルファーにゴルフボールを3球ずつ打撃させ、飛距離(3球中最大のもの)と落下地点の左右方向のばらつき幅を測定した。これらの結果が、下記の表2に示されている。
【0045】
【表2】
【0046】
表1においてフィーリングが良好とされたゴルフクラブでは、表2において、概して飛距離が大きく、ばらつき幅が小さいことが解る。これに対して、フィーリングが悪いゴルフクラブでは、スイングがしづらくて飛距離が低下したり、打点がばらついて落下地点のばらつき幅が大きくなったりする現象が見られる。
【0047】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明のゴルフクラブは打球の曲がりが矯正されるにもかかわらず、フィーリングが良好なものである。このゴルフクラブを用いることにより、ゴルファーは打球の飛距離向上と方向性の安定とを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかるゴルフクラブが示された斜視図である。
【図2】図1のゴルフクラブのシャフトが示された正面図である。
【図3】図2のシャフトの積層体を構成するプリプレグシートが示された模式図である。
【図4】図2のシャフトの積層体構造が示された模式図であり、(a)は後端近傍の積層体構造、(b)はA地点とD地点との間の部分の積層体構造、そして(c)は前端近傍の積層体構造が示されたものである。
【図5】図2のシャフトが撓ることによって同時に捻れが生じる様子が示された模式図であり、(a)は斜視図、(b)はシャフトを前端側からみた拡大図である。
【図6】図1のゴルフクラブのヘッドのみがアドレス状態で置かれた様子が示された模式的な平面図である。
【符号の説明】
1 ヘッド
3 シャフト
5 グリップ
7 ホーゼル
9 後端
11 前端
39 ホーゼル穴
【発明の属する技術分野】
本発明はゴルフクラブ用のシャフト及びゴルフクラブに関するものであり、特に繊維強化樹脂層の積層体から構成されるゴルフクラブ用のシャフト及びこのシャフトが用いられたゴルフクラブに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、スチールシャフトに代えて繊維強化樹脂製シャフトが装着されたゴルフクラブが好んで用いられており、ゴルフクラブの主流となりつつある。繊維強化樹脂製シャフトは軽量であるため、これを用いるゴルファーはゴルフクラブのヘッドスピードを速めることができ、打球の飛距離を高めることができる。
【0003】
ゴルファーが飛距離を高めるには、ヘッドスピードを速めることとともに、ゴルフボールをまっすぐ飛ばすことも重要である。また、ゴルファーがスコアを高める点においても、ゴルフボールをまっすぐ飛ばすことが極めて重要である。しかし、多くのアベレージゴルファーは、打球が右回転して右に曲がったり(右利きのゴルファーにとってのスライスボール)、打球が左回転して左に曲がったり(右利きのゴルファーにとってのフックボール)し、スコアメイクに苦しんでいるのが実状である。
【0004】
打球の曲がる原因は、インパクトにおいてヘッドの軌道の方向とフェースの向き(フェースに対する垂直方向)とが一致しないことにある。すなわち、軌道方向に対してフェースの向きがオープンとなると打球はスライスしてしまい、逆に軌道方向に対してフェースの向きがクローズとなると打球はフックしてしまう。インパクトにおいてヘッドの軌道の方向とフェースの向きとが一致するようにスイングフォームが矯正されれば、打球の曲がりが抑えられる。しかし、スイングフォームにはゴルファー毎の癖があり、この矯正は容易なことではない。
【0005】
ところで、特開平3−227616号公報には、その繊維角度が周方向において部分的に異なる繊維強化樹脂を用いたパイプ状構造物が開示されている。このパイプ状構造物は幾何学的主軸(すなわちパイプの中心線)と弾性主軸(すなわち弾性率における対称軸)とが異なるので、荷重が加わることにより撓ると同時に捻れが生ずる性質を備えたものである。
【0006】
前述の撓ると同時に捻れが生ずるパイプ状構造物がシャフトとして用いられたゴルフクラブが、特開平10−328338号に開示されている。通常ゴルフクラブでは、スイング時にトウダウン等に起因するシャフトの撓りが生じる。シャフトとして撓ると同時に捻れが生ずるパイプ状構造物が用いられれば、インパクト時の撓りによってシャフトが捻れ、フェース向きがほぼスクエアに矯正される。そして、打球がスライスボール又はフックボールとなってしまうことが抑制される。
【0007】
従来、前述の撓ると同時に捻れが生ずるシャフトを必要とするのは、打球の曲がりに悩むアベレージゴルファーが主であった。しかし近年、シャフトが長尺化し、またヘッドが大型化するにしたがって、スイングフォームが比較的しっかりしている中・上級者でもクラブコントロールが難しくなり、打球の曲がりに悩むようになってきた。特に上級者(プロを含む)は、長年の努力で完成させたスイングフォームで最近のゴルフクラブをスイングしても打球が曲がってしまうので、スイングフォーム矯正の必要に迫られ悩んでいる。例えば、大型ヘッドのゴルフクラブの場合、ヘッドの重心距離が大きくてヘッドのシャフト軸回りの慣性モーメントが大きいので、スイング中にフェースが返りにくい。このゴルフクラブを従来通りのスイングフォームのゴルファーがスイングすると、フェースが開いたままの状態でインパクトに至ってしまい、打球がスライスしてしまう。スイングフォームが比較的しっかりしている中・上級者にも、撓ると同時に捻れが生ずるシャフトによる打球曲がりの矯正が有効である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
中・上級者のなかには、ゴルフクラブのフィーリングを重視するゴルファーが多い。また、中・上級者ほどではないにしても、初級者のなかにもフィーリングを重視するゴルファーが存在する。これらフィーリングを重視するゴルファーが撓ると同時に捻れが生ずるシャフトを使用すると、フィーリングが悪いと感じることが多い。例えば、ヘッド速度が比較的速く、かつ、スライスボール又はフックボールが出やすいゴルファーが撓ると同時に捻れが生ずるシャフトを使用すると、シャフトがしっかりしていないと感じることが多い。この対策としてフレックスが硬く設定されたシャフトを使用すると、今度は硬すぎてスイングしにくいと感じることがある。
【0009】
フィーリングの科学的解明は、未だ十分には行われていない。例えば、フレックス、トルク、調子、重量等の基本特性をいかに調整しても、依然としてフィーリングが悪いと報告するゴルファーは存在する。原因は解明されていないが、撓ると同時に捻れが生ずるシャフトのフィーリングを悪いと感じるゴルファーが多いのは事実である。ゴルファーがフィーリングが悪いと感じると、その感覚がスイングにフィードバックされ、スイングフォームが乱れて打点がばらついてしまう。ゴルファーが打球の曲がりを矯正することを意図して撓ると同時に捻れが生ずるシャフトを採用したにもかかわらず、かえって打球方向がばらついたり飛距離が低下してしまうこととなる。
【0010】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、打球の曲がりが矯正され、しかもフィーリングが良好なゴルフクラブのシャフトと、このシャフトが用いられたゴルフクラブとを提供することをその目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するためになされた発明は、
グリップが装着される側の端である後端とヘッドが装着される側の端である前端とを備えたゴルフクラブ用のシャフトであって、
撓ることにより同時に捻れが生じるように、その繊維角度が周方向において部分的に異なる繊維強化樹脂層の積層体から構成されており、
後端から前端に向かって500mmの位置がA地点と定められ、A地点から前端に向かって50mmの位置がB地点と定められたとき、後端からA地点までの間の少なくとも一部の積層体の積層数が、A地点を越えてB地点までの間の積層体の積層数よりも多いことを特徴とするゴルフクラブ用のシャフト、
である。
【0012】
また、上記目的を達成するためになされた他の発明は、
繊維強化樹脂層の積層体から構成されており、グリップが装着される側の端である後端とヘッドが装着される側の端である前端とを備え、積層体の前端近傍が前端補強層を有するゴルフクラブ用のシャフトであって、
この積層体は、その繊維角度が周方向において部分的に異なっていて撓ることにより同時に捻れが生じるものであり、
後端から前端に向かって500mmの位置がA地点と定められ、前端補強層の後端寄り端部の位置がC地点と定められたとき、C地点はA地点よりも前端寄りに位置しており、
後端からA地点までの間の少なくとも一部の積層体の積層数が、A地点を越えてC地点までの間の積層体の積層数よりも多いことを特徴とするゴルフクラブ用のシャフト、
である。
【0013】
また、上記目的を達成するためになされたさらに他の発明は、
グリップが装着される側の端である後端とヘッドが装着される側の端である前端とを備え、長さが1000mm以上1300mm以下であるゴルフクラブ用のシャフトであって、
撓ることにより同時に捻れが生じるように、その繊維角度が周方向において部分的に異なる繊維強化樹脂層の積層体から構成されており、
後端から前端に向かって500mmの位置がA地点と定められ、前端から後端に向かって400mmの位置がD地点と定められたとき、後端からA地点までの間の少なくとも一部の積層体の積層数が、A地点を越えてD地点までの間の積層体の積層数よりも多いことを特徴とするゴルフクラブ用のシャフト、
である。
【0014】
このシャフトは、その繊維角度が周方向において部分的に異なる繊維強化樹脂層の積層体から構成されているので、撓ることにより同時に捻れが生じる。このシャフトがヘッドがクローズする方向に捻れるようにヘッドに装着されてゴルフクラブが構成されれば、スライスボールが出やすいゴルファーの打球の曲がりが矯正される。逆に、このシャフトがヘッドがオープンする方向に捻れるようにヘッドに装着されてゴルフクラブが構成されれば、フックボールが出やすいゴルファーの打球の曲がりが矯正される。
【0015】
このシャフトでは、後端とA地点との間の少なくとも一部の積層体の積層数が多くされている。すなわち、後端近傍が繊維強化樹脂層で補強されている。これにより、撓ることにより同時に捻れが生じるシャフトにおいて特に問題となるフィーリングの悪さが改善される。フィーリングの悪さの原因は詳細には不明であるが、シャフトの変形挙動とゴルファーのスイングフォームとの間のマッチングが何らかの要因で悪くなり、これがグリップ部(後端近傍)の変形具合やインパクト時の振動としてグリップ部を介してゴルファーに伝達されるためと推測される。本発明において、後端近傍の補強によりフィーリングが改善される理由は、シャフトの変形挙動とゴルファーのスイングフォームとの間のマッチングの悪さがゴルファーに伝達されにくいためと推測される。
【0016】
本発明では後端から500mmの位置がA地点と定められるが、この「500mm」という距離は、本発明者等が実験によって導き出したものである。A地点が後端から500mmの位置とされ、後端からA地点までの間の少なくとも一部に補強層(後端補強層)が設けられることで、ゴルフクラブのフィーリングが向上する。
【0017】
シャフトの前端近傍(ネック部分)は、インパクト時に応力が集中する部分である。通常のシャフトでは、応力集中による破損を避けるために前端近傍に補強層(前端補強層)が設けられる。本発明では、後端補強層が存在する部分の積層体の積層数と対比する対象から、前端近傍の積層体の積層数が除外される。具体的には、A地点を越えてB地点(A地点から前端に向かって50mmの位置)までの間の積層体の積層数が後端補強層が存在する部分の積層体の積層数と対比され、A地点を越えてC地点(前端補強層の後端寄り端部の位置)までの間の積層体の積層数が後端補強層が存在する部分の積層体の積層数と対比され、又は、A地点を越えてD地点(前端から後端に向かって400mmの位置)までの間の積層体の積層数が後端補強層が存在する部分の積層体の積層数と対比される。そして、いずれの対比の場合も、後端補強層が存在する部分の積層体の積層数が多くなっている。
【0018】
通常、シャフトの全長は850mmから1300mm程度であるが、本発明はどのような長さのシャフトにも適用され得る。特に本発明は、その全長が1000mmから1300mmのシャフト(一般的にはウッドクラブ用シャフト)に好適に用いられる。
【0019】
後端とA地点との間にのみ配設される補強のための繊維強化樹脂層(後端補強層)の繊維角度は、主として曲げ剛性を高めてフィーリングを向上させるという観点からは、シャフト軸方向に対して実質的に平行であるのが好ましい。また、後端とA地点との間にのみ配設される補強のための繊維強化樹脂層の繊維角度は、主として圧縮剛性を高めてフィーリングを向上させるという観点からは、シャフト軸方向に対して実質的に直交しているのが好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を適宜図面を参照しつつ詳明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかるゴルフクラブが示された斜視図である。このゴルフクラブは、ヘッド1、シャフト3及びグリップ5から構成されている。シャフト3は、その前端がヘッド1のホーゼル7に挿入されることにより、ヘッド1に装着されている。グリップ5は通常ゴム又は皮革からなり、シャフト3の後端近傍の外周面に装着されている。
【0021】
図2は、図1のゴルフクラブのシャフトが示された正面図である。このシャフト3は、グリップ5が装着される側の端である後端9と、ヘッド1が装着される側の端である前端11とを備えている。このシャフトには、A地点、B地点及びD地点が定められる。後端9からA地点までの距離(図2において両矢印L1で示される)は、500mmである。A地点からB地点までの距離(図2において両矢印L2で示される)は、50mmである。前端11からD地点までの距離(図2において両矢印L3で示される)は400mmである。なお、図示されないが、このシャフト3におけるC地点は、D地点と一致するか、又はD地点と前端11との間に位置する。すなわち、このシャフト3の前端補強層がD地点よりも後端9寄りに存在することはない。
【0022】
このシャフト3は、繊維強化樹脂製である。強化繊維としては、炭素繊維が用いられるのが一般的である。シャフト3は、通常は、マンドレルにプリプレグシートを複数枚巻き付けて合成樹脂を硬化させ、マンドレルを抜き取ってシャフト母材を形成し、このシャフト母材を所定寸法にカットして作製される。従って、シャフト3は複数の繊維強化樹脂層の積層体である。繊維強化樹脂層のうちの少なくとも1層は、その繊維角度が周方向において部分的に異なっている。従って、このシャフト3では、撓ることにより同時に捻れが生じる。
【0023】
図3は、図2のシャフト3の積層体を構成するプリプレグシート19、21、23、25、27、29、31が示された模式図である。また、図4は、このシャフト3の積層体構造が示された模式図であり、図4(a)は後端9近傍の積層体構造、図4(b)はA地点とD地点との間の部分の積層体構造、そして図4(c)は前端11近傍の積層体構造が示されている。図3及び図4から明らかなように、このシャフト3では、まず繊維角度(シャフト軸方向に対する繊維の角度)が+30゜の第一プリプレグシート19が1.5周巻かれている。次に、この第一プリプレグシート19の巻き終わり部分から、繊維角度が−30゜の第二プリプレグシート21が1.5周巻かれている。次に、この第二プリプレグシート21の巻き終わり部分から、繊維角度が+30゜の第三プリプレグシート23が1.5周巻かれている。次に、この第三プリプレグシート23の巻き終わり部分から、繊維角度が−30゜の第四プリプレグシート25が1.5周巻かれている。次に、後端9近傍のみに、繊維角度が0゜の第五プリプレグシート27が一周巻かれている。次に、繊維角度が0゜の第六プリプレグシート29が2周巻かれている。そして、前端11近傍のみに、繊維角度が0゜の第七プリプレグシート31が一周巻かれている。
【0024】
これらのプリプレグシート19、21、23、25、27、29、31のうち第五プリプレグシート27は、後端9近傍を補強する後端補強層である。この後端補強層の作用によって、ゴルフクラブのフィーリングが向上する。また、第七プリプレグシート31は、前端11近傍のみを補強する前端補強層である。この前端補強層によって、応力集中が激しい前端近傍の強度が向上する。
【0025】
図4における左側半分は、右側半分に比べて+30゜のプリプレグシートが多く巻かれている。逆に、図4における右側半分は、左側半分に比べて−30゜のプリプレグシートが多く巻かれている。これにより、撓ることにより同時に捻れが生じる性質が、シャフト3に付与されている。
【0026】
図5は、図2のシャフト3が撓ることによって同時に捻れが生じる様子が示された模式図である。図5(a)は斜視図であり、図5(b)はシャフト3を前端11側からみた拡大図である。シャフト3は、後端9寄りの150mm分がチャッキング装置33で把持されている。シャフト3の前端11から20mmの位置に、重量1100gの錘35がつり下げられている。図5(a)及び(b)において二点鎖線で示されているのは、錘35がつり下げられる前の状態のシャフト3である。シャフト3の前端11から15mmの位置には、シャフト3の中心軸と直交する標識棒37が取り付けられている。標識棒37は、錘35がつり下げられる前の段階で水平となるように取り付けられている。錘35がつり下げられることにより、シャフト3は下方に撓る。これと同時に、シャフト3は回転角度θで示されるように捻れる。この回転角度θは、シャフト3の後端側から見て時計回り方向の角度であるが、図5(b)は前端側から見た図であるため反時計回り方向の矢印で示されている。回転角度θは、シャフト3の周方向位置によって異なる。回転角度θが最大値(シャフト3の後端側から見て時計回りに最大値)となる場合の上側となるシャフト3の周方向位置が、「シャフトの周方向における積層体構造の基準となる位置」とされる。
【0027】
図6は、図1のゴルフクラブのヘッド1のみがアドレス状態で置かれた様子が示された模式的な平面図である。このヘッド1では、ホーゼル穴39内周にフェース側位置(図6においてAで示される)、フェース反対側位置(図6においてBで示される)、トウ側位置(図6においてYで示される)及びヒール側位置(図6においてXで示される)の4つの位置が、90゜刻みで定められる。そして、このヘッド1にシャフト3が装着される場合に、シャフト3の幾何学的主軸における、ヒール側位置Xに対する、シャフト3の周方向における積層体構造の基準となる位置の、シャフト3の後端側から見て時計回り方向の中心角が、「装着角度」とされる。装着角度の最大は+180゜であり、最小は−180゜である。例えば、シャフト3の周方向における積層体構造の基準となる位置がフェース側位置Aと一致する場合、装着角度は+90゜である。また、シャフト3の周方向における積層体構造の基準となる位置がフェース反対側Bと一致する場合、装着角度は−90゜である。また、シャフト3の周方向における積層体構造の基準となる位置がトウ側位置Yと一致する場合、装着角度は+180゜であり、同時に−180゜である。
【0028】
スイング中のシャフト3の撓りに最も影響を与えるのは、トウダウンである。トウダウンにより、シャフト3はヒール側に撓る。シャフト3がヒール側にのみ撓る場合、装着角度が−90゜を越えて+90゜未満の範囲(特には0゜近傍)となるようにゴルフクラブが作製されると、フェースがクローズする方向にシャフト3が捻れる。このゴルフクラブは、スライスボールが出やすいゴルファーに適している。装着角度が−180゜以上−90゜未満の範囲(特には−180゜近傍)となるか、又は+90゜を越えて+180゜以下の範囲(特には+180゜近傍)となるようにゴルフクラブが作製されると、フェースがオープンする方向にシャフトが3捻れる。このゴルフクラブは、フックボールが出やすいゴルファーに適している。
【0029】
インパクト直前にヘッド1がグリップ5(図1参照)よりも先行するスイングの場合、シャフト3はインパクト時に前方に撓ることとなる。シャフト3が前方にのみ撓る場合、装着角度が0゜を越えて+180゜未満の範囲(特には+90゜近傍)となるようにゴルフクラブが作製されると、フェースがクローズする方向にシャフト3が捻れる。このゴルフクラブは、スライスボールが出やすいゴルファーに適している。装着角度が−180゜を越えて0゜未満の範囲(特には−90゜近傍)となるようにゴルフクラブが作製されると、フェースがオープンする方向にシャフト3が捻れる。このゴルフクラブは、フックボールが出やすいゴルファーに適している。
【0030】
インパクト直前にヘッド1がグリップ5よりも遅れるスイングの場合、シャフト3はインパクト時に後方に撓ることとなる。シャフト3が後方にのみ撓る場合、装着角度が−180゜を越えて0゜未満の範囲(特には−90゜近傍)となるようにゴルフクラブが作製されると、フェースがクローズする方向にシャフト3が捻れる。このゴルフクラブは、スライスボールが出やすいゴルファーに適している。装着角度が0゜を越えて+180゜未満の範囲(特には+90゜近傍)となるようにゴルフクラブが作製されると、フェースがオープンする方向にシャフト3が捻れる。このゴルフクラブは、フックボールが出やすいゴルファーに適している。
【0031】
ゴルファーのスイングフォームは、リストコッキングの向きや角度、スイングプレーンの傾き、リストコッキングの解放のタイミング、スイング時間、ヘッド速度、ゴルファーとシャフトフレックスとのマッチング、ヘッド1の重量や体積等の種々の要因を受け、多様である。実際のスイングでは、複数の撓り方向が合成された方向に、シャフト3は撓っている。各ゴルファーのスイングに応じ、ゴルフクラブの装着角度が設定されるのが好ましい。例えば、トウダウンするとともにヘッド1が先行するゴルファーの場合は、0゜から+90゜の範囲に装着角度が設定されることによりスライスが矯正され、−180゜から−90゜の範囲に装着角度が設定されることによりフックが矯正される。また、トウダウンするとともにヘッド1が遅れるゴルファーの場合は、−90゜から0゜の範囲に装着角度が設定されることによりスライスが矯正され、+90゜から+180゜の範囲に装着角度が設定されることによりフックが矯正される。
【0032】
【実施例】
以下、実施例により行った実験に基づいて本発明の効果を明らかにする。
【0033】
[実施例1]
マンドレルに、図3及び図4に示されるように、第一プリプレグシート19、第二プリプレグシート21、第三プリプレグシート23、第四プリプレグシート25、第五プリプレグシート27、第六プリプレグシート29及び第七プリプレグシート31を巻き付けた。プリプレグシート19、21、23、25、27、29、31は、いずれも炭素繊維強化樹脂プリプレグ(東レ社の商品名「8055S−12」)を使用した。このプリプレグシートの厚みは0.1053mmであり、炭素繊維含有率は76重量%であり、炭素繊維の引張弾性率は30000kgf/mm2であり、炭素繊維の引張強度は560kgf/mm2であった。
【0034】
次に、マトリックス樹脂を加熱して硬化させ、マンドレルを引き抜き、得られたシャフト母材を全長1100mmの寸法に裁断して、シャフト3を得た。このシャフト3では、第五プリプレグシート27は、後端と後端から100mmの地点との間(下記の表1及び表2において「0−100」と表示される)に設けられている。また、第七プリプレグシート31は、前端と前端から400mmの地点との間に設けられている。このシャフト3を、ロフトが12゜、体積が280cc、材質がチタン(6Al−4V)のヘッド1に、装着角度が0゜となるように装着し、さらにグリップ5を装着して、実施例1のゴルフクラブ(ドライバー)を得た。このゴルフクラブでは、インパクト直前のトウダウンによってシャフト3がヒール方向に撓った際に、フェースがクローズするようにシャフト3が捻れるものである。
【0035】
[実施例2から実施例5及び比較例1]
第五プリプレグシート27を後端と後端から300mmの地点との間(0−300)に設けた他は実施例1と同様にして、実施例2のゴルフクラブを得た。また、第五プリプレグシート27を後端と後端から500mmの地点との間(0−500)に設けた他は実施例1と同様にして、実施例3のゴルフクラブを得た。また、第五プリプレグシート27を後端から200mmの地点と後端から500mmの地点との間(200−500)に設けた他は実施例1と同様にして、実施例4のゴルフクラブを得た。また、第五プリプレグシート27を後端から400mmの地点と後端から500mmの地点との間(400−500)に設けた他は実施例1と同様にして、実施例5のゴルフクラブを得た。さらに、第五プリプレグシート27を後端と後端から600mmの地点との間(0−600)に設けた他は実施例1と同様にして、比較例1のゴルフクラブを得た。
【0036】
[実施例6]
第六プリプレグシートの巻き付け回数を3周とした他は実施例1と同様にして、実施例6のゴルフクラブを得た。
【0037】
[実施例7]
実施例1の第五プリプレグシート27に代えて、繊維角度が90゜のプリプレグシート(東レ社の商品名「805−3」)を用い、これを後端と後端から300mmの地点との間(0−300)に設けた他は実施例1と同様にして、実施例7のゴルフクラブを得た。このプリプレグシートの厚みは0.0342mmであり、炭素繊維含有率は60重量%であり、炭素繊維の引張弾性率は30000kgf/mm2であり、炭素繊維の引張強度は410kgf/mm2であった。
【0038】
[比較例2及び比較例3]
第五プリプレグシート27を用いず、第六プリプレグシートの巻き付け回数を3周とした他は実施例1と同様にして、比較例2のゴルフクラブを得た。また、第五プリプレグシート27を用いなかった他は実施例1と同様にして、比較例3のゴルフクラブを得た。
【0039】
[フィーリング評価]
各実施例及び各比較例のゴルフクラブにて、AからFの6名のゴルファーにゴルフボールを試打させ、フィーリングの良否を聞き取った。6名のゴルファーはいずれもスライスボールに悩んでいるゴルファーである。また、6名とも、比較的フィーリングを重視するゴルファーである。評価は、フィーリングが非常によいものを「◎」とし、フィーリングがよいものを「○」とし、フィーリングがやや悪いものを「△」とし、フィーリングが非常に悪いものを「×」とした。この結果が、下記の表1に示されている。
【0040】
【表1】
【0041】
表1において、全ての実施例のゴルフクラブは、いずれかのゴルファーからフィーリングが非常によいと評価されている。この原因は未だ解明されていないが、ゴルファーがゴルフクラブと直接接触する部分であるグリップ及びその近傍が補強され、剛性が高くなることによって、ゴルファーに伝わる振動が変化したり、シャフトの変形が抑えられたりすることによるのではないかと推測される。各ゴルファー毎に非常によいとするゴルフクラブが異なっているのは、スイングフォームとのマッチングがよいゴルフクラブがゴルファーによって異なるためと推測される。
【0042】
後端近傍の補強層の繊維角度が0゜とされた実施例1から6のゴルフクラブは、後端近傍の主として曲げ剛性が高められたものである。また、後端近傍の補強層の繊維角度が90゜とされた実施例7のゴルフクラブは、後端近傍の主として圧縮剛性が高められたものである。いずれのゴルフクラブも、これを非常によいとするゴルファーが存在する。いずれの繊維角度をよいと感じるかも、前述のように、ゴルファーのスイングフォームとのマッチングによって決まるものと推測される。
【0043】
これに対し、後端近傍の補強層が設けられていない比較例3のゴルフクラブは、いずれのゴルファーからもよい評価を得ていない。また、シャフト3全体に渡って積層数が多い比較例2のゴルフクラブ及び後端から600mmまで補強された比較例1のゴルフクラブも、いずれのゴルファーからもよい評価を得ていない。このことは、単にシャフト3の剛性を高めたのみではフィーリングは向上せず、シャフト全体の撓り具合を維持しつつ部分的に補強することでフィーリングを向上させ得ることを意味している。
【0044】
[飛距離評価]
各実施例及び各比較例のゴルフクラブにて、上記AからFの6名のゴルファーにゴルフボールを3球ずつ打撃させ、飛距離(3球中最大のもの)と落下地点の左右方向のばらつき幅を測定した。これらの結果が、下記の表2に示されている。
【0045】
【表2】
【0046】
表1においてフィーリングが良好とされたゴルフクラブでは、表2において、概して飛距離が大きく、ばらつき幅が小さいことが解る。これに対して、フィーリングが悪いゴルフクラブでは、スイングがしづらくて飛距離が低下したり、打点がばらついて落下地点のばらつき幅が大きくなったりする現象が見られる。
【0047】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明のゴルフクラブは打球の曲がりが矯正されるにもかかわらず、フィーリングが良好なものである。このゴルフクラブを用いることにより、ゴルファーは打球の飛距離向上と方向性の安定とを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかるゴルフクラブが示された斜視図である。
【図2】図1のゴルフクラブのシャフトが示された正面図である。
【図3】図2のシャフトの積層体を構成するプリプレグシートが示された模式図である。
【図4】図2のシャフトの積層体構造が示された模式図であり、(a)は後端近傍の積層体構造、(b)はA地点とD地点との間の部分の積層体構造、そして(c)は前端近傍の積層体構造が示されたものである。
【図5】図2のシャフトが撓ることによって同時に捻れが生じる様子が示された模式図であり、(a)は斜視図、(b)はシャフトを前端側からみた拡大図である。
【図6】図1のゴルフクラブのヘッドのみがアドレス状態で置かれた様子が示された模式的な平面図である。
【符号の説明】
1 ヘッド
3 シャフト
5 グリップ
7 ホーゼル
9 後端
11 前端
39 ホーゼル穴
Claims (6)
- グリップが装着される側の端である後端とヘッドが装着される側の端である前端とを備えたゴルフクラブ用のシャフトであって、
撓ることにより同時に捻れが生じるように、その繊維角度が周方向において部分的に異なる繊維強化樹脂層の積層体から構成されており、
後端から前端に向かって500mmの位置がA地点と定められ、A地点から前端に向かって50mmの位置がB地点と定められたとき、後端からA地点までの間の少なくとも一部の積層体の積層数が、A地点を越えてB地点までの間の積層体の積層数よりも多いことを特徴とするゴルフクラブ用のシャフト。 - 繊維強化樹脂層の積層体から構成されており、グリップが装着される側の端である後端とヘッドが装着される側の端である前端とを備え、積層体の前端近傍が前端補強層を有するゴルフクラブ用のシャフトであって、
この積層体は、その繊維角度が周方向において部分的に異なっていて撓ることにより同時に捻れが生じるものであり、
後端から前端に向かって500mmの位置がA地点と定められ、前端補強層の後端寄り端部の位置がC地点と定められたとき、C地点はA地点よりも前端寄りに位置しており、
後端からA地点までの間の少なくとも一部の積層体の積層数が、A地点を越えてC地点までの間の積層体の積層数よりも多いことを特徴とするゴルフクラブ用のシャフト。 - グリップが装着される側の端である後端とヘッドが装着される側の端である前端とを備え、長さが1000mm以上1300mm以下であるゴルフクラブ用のシャフトであって、
撓ることにより同時に捻れが生じるように、その繊維角度が周方向において部分的に異なる繊維強化樹脂層の積層体から構成されており、
後端から前端に向かって500mmの位置がA地点と定められ、前端から後端に向かって400mmの位置がD地点と定められたとき、後端からA地点までの間の少なくとも一部の積層体の積層数が、A地点を越えてD地点までの間の積層体の積層数よりも多いことを特徴とするゴルフクラブ用のシャフト。 - 後端とA地点との間にのみ配設された繊維強化樹脂層の繊維角度がシャフト軸方向に対して実質的に平行である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のゴルフクラブ用のシャフト。
- 後端とA地点との間にのみ配設された繊維強化樹脂層の繊維角度がシャフト軸方向に対して実質的に直交している請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のゴルフクラブ用のシャフト。
- 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のシャフトを備えたゴルフクラブ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15382399A JP3571580B2 (ja) | 1999-06-01 | 1999-06-01 | ゴルフクラブ用のシャフト及びゴルフクラブ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15382399A JP3571580B2 (ja) | 1999-06-01 | 1999-06-01 | ゴルフクラブ用のシャフト及びゴルフクラブ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000342728A JP2000342728A (ja) | 2000-12-12 |
JP3571580B2 true JP3571580B2 (ja) | 2004-09-29 |
Family
ID=15570881
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP15382399A Expired - Fee Related JP3571580B2 (ja) | 1999-06-01 | 1999-06-01 | ゴルフクラブ用のシャフト及びゴルフクラブ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3571580B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002282399A (ja) * | 2001-03-27 | 2002-10-02 | Sumitomo Rubber Ind Ltd | ゴルフクラブシャフト |
US20140221122A1 (en) * | 2011-09-06 | 2014-08-07 | University Of Florida Research Foundation, Inc. | Bend-twist coupled golf club shaft |
CN113041583B (zh) * | 2019-12-27 | 2022-03-25 | 古洛布莱株式会社 | 高尔夫球杆用杆身及具备其的高尔夫球杆 |
-
1999
- 1999-06-01 JP JP15382399A patent/JP3571580B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2000342728A (ja) | 2000-12-12 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US7318780B2 (en) | Golf club | |
US8936516B2 (en) | Golf club shaft | |
US8414417B2 (en) | Golf club shaft and golf club therewith | |
US20060009302A1 (en) | Golf club | |
JP4672489B2 (ja) | ゴルフクラブ | |
US20080004127A1 (en) | Shaft for golf clubs and golf club | |
US8845452B2 (en) | Golf club shaft | |
US20050181887A1 (en) | Golf club | |
US8192305B2 (en) | Golf club head for putter, and golf putter | |
US7077761B2 (en) | Golf club and method of making golf club | |
US10420995B2 (en) | Golf club shaft | |
JP3571580B2 (ja) | ゴルフクラブ用のシャフト及びゴルフクラブ | |
JP2002085608A (ja) | ゴルフクラブシャフト | |
JP4955512B2 (ja) | ゴルフクラブシャフト | |
JP2008073067A (ja) | ゴルフクラブ用シャフト及びゴルフクラブ | |
US20180214751A1 (en) | Golf club | |
JP2004041418A (ja) | ゴルフクラブ | |
JP2001046565A (ja) | ゴルフクラブシャフト | |
JP4077347B2 (ja) | ゴルフクラブ | |
JP2000325512A (ja) | ゴルフクラブ | |
JP2011092319A (ja) | ゴルフクラブシャフト | |
JP3643492B2 (ja) | ゴルフクラブセット | |
JP3111041B2 (ja) | ゴルフクラブシャフト及びこれを用いたゴルフクラブ | |
JP3733508B2 (ja) | ゴルフクラブ | |
JPH11206933A (ja) | ゴルフクラブシャフト |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20040622 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20040624 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |