JP3733303B2 - 仮設足場用のブラケット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えばベランダ、軒、庇等のような突出部を有する建物の外壁に沿って仮設足場を構築するとき、この突出部を避けて仮設足場の支柱を上方へ連結するために用いられる仮設足場用のブラケットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、仮設足場は、建物の周囲に沿って所定間隔おきに二列ずつ立設された支柱と、隣接する支柱の間に架設されたブラケットと、隣接するブラケットの間に架設された踏み板とから構成されている。前記支柱は金属パイプより形成され、その上端部には支柱よりも一回り小さなサイズの連結筒が嵌挿固定されている。この支柱は、該連結筒を他の支柱の下端部に嵌挿することにより、建物の外壁に沿って上方へ延びるように複数本が建物の高さに対応するだけ上下に連結されている。また、支柱の上端部及び下端部の外周面には金属板を折り曲げることにより平面コ字状に形成された連結金具がそれぞれ二対ずつ突設されている。これら連結金具は、支柱を挟んで対向する一対は同じ高さに、支柱の周方向に隣接する2つは上下で異なる位置となるように配設されている。
【0003】
前記ブラケットは、金属パイプよりなる水平材と、水平材の両端部から垂下された一対の楔部とから構成されている。そして、前記連結金具に対し、ハンマー等を用いて該楔部を上方から嵌入することにより、両支柱に水平材が略水平状に延びるように連結されている。また、前記踏み板はその両端部に一対の掛止爪を有しており、両掛止爪をそれぞれ水平材に掛止することにより、ブラケット間に架設されている。
【0004】
上記の仮設足場を構築するとき、建物が例えばベランダ、軒、庇等のようなその外壁上から突出する突出部を有する場合には、突出部を避けて支柱を上方へ連結するため、次のような構成のブラケットが用いられている。すなわち、該ブラケットは、上記の構成に加え、その水平材上に支柱よりも一回り小さな外径のパイプよりなるほぞが立設されて構成されている。該ほぞは水平材の長さ方向の中間部に配設されるとともに、水平材の端部までの距離が突出部に干渉されない程度に十分な長さとなるように設定されている。そして、該ほぞに対し、その上方から支柱の下端部を外嵌することにより水平材及び一対の支柱が略クランク状をなすようにほぞを介して連結され、突出部を避けるように配設される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記のブラケットによれば、水平材が連結される連結金具は隣接する一対が上下で異なる位置となっており、建物の外壁と平行に水平材を配設した場合と、外壁に対して直交するように水平材を配設した場合とではブラケットの高さが異なってしまう。このような場合、ブラケットのほぞに連結された支柱とその他の支柱とで互いの連結金具同士が同じ高さに揃わず、ほぞに連結された支柱が水平材から浮き上がった状態となったり、支柱の間にブラケットを架設できなくなったり等してしまうおそれがある。このため、ブラケットを架設するときには、支柱同士の連結金具の位置関係を考慮に入れながら仮設足場の構築作業を行わねばならず、このような作業が繁雑で長い時間を要するものとなるという問題があった。
【0006】
この発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、ほぞに連結された支柱の連結金具の上下位置を容易に変更することができる仮設足場用のブラケットを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の仮設足場用のブラケットの発明は、パイプ状をなし、その周面には周方向及び上下方向で異なる位置となるように連結金具が設けられた支柱を建物の外壁に沿って上方へ複数本連結するとき、建物の外壁よりも外方へ張り出した突出部を避けて支柱をさらに上方へ連結するために用いられる仮設足場用のブラケットであって、前記支柱の連結金具に対して略水平方向に延びるように連結される棒状をなす水平材と、該水平材から上方へ延設され、その上方から別の支柱が外嵌されるパイプ状をなすほぞとを備え、該ほぞの周面上には外嵌された支柱を下方から支持するための筒状をなす位置調節用カラーを上下動可能に装着するとともに、該位置調節用カラーをほぞ上で上方及び下方へ移動させたときに上部位置及び下部位置で位置保持可能とするための位置保持手段を設け、水平材が固定される連結金具の上下位置に対応して位置調節用カラーを上部位置と下部位置とに切り換え可能に構成することを特徴とするものである。
【0008】
請求項2に記載の仮設足場用のブラケットの発明は、請求項1に記載の発明において、前記位置保持手段は、プレス加工により位置調節用カラーの周壁に透設された位置調節用カラーの移動を案内するための略L字状をなすガイド孔と、該ガイド孔の内側に位置するようにほぞの周面上に突設されたガイドピンとから構成され、ほぞ上で位置調節用カラーを回転及び上下動させ、ガイド孔の一端周縁部及び他端周縁部をガイドピンに係合させることにより位置調節用カラーを上部位置及び下部位置で位置保持可能に構成することを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
図1に2点鎖線で示す建物において、その周囲には外壁10に沿って複数本の支柱11が所定間隔おきに立設されるとともに、各支柱11の間には外壁10と略平行に延びるように金属パイプよりなる横架材12が架設されている。この建物の上部位置には突出部としての軒10aが外壁10よりも外方に張り出すように設けられている。そして、軒10aと対応する箇所にはこれを避けるように実施形態のブラケット20が配設されることによって支柱11、横架材12、ブラケット20等により構成される仮設足場が建物の周囲に構築されている。
【0010】
前記支柱11は金属パイプより形成され、その上端部には支柱11よりも一回り小さなサイズの連結パイプ13が嵌挿固定されるとともに、該連結パイプ13を介して複数本の支柱11が上下に連結されている。支柱11の上端部及び下端部の外周面には金属板を折り曲げることにより平面コの字状に形成された連結金具16が支柱11の周方向で90゜間隔おきにそれぞれ4つずつ溶接固定されている。該連結金具16には前記横架材12の両端部に接合された一対の楔金具18がそれぞれ嵌着されており、この連結金具16を介して支柱11に横架材12が連結されている。
【0011】
4つの連結金具16は、支柱11を挟んで対向する2つが同じ高さに、支柱11の周方向に隣接する2つは、一方が他方よりも下方に位置するように配設されている。支柱11の下端部及び連結パイプ13のそれぞれの周壁には、4つの連結金具16のうち下方に配置された2つの連結金具16と対応する位置となるように各一対の連結穴14が透設されている。一方の支柱11の上方に他方の支柱11を連結する際には、連結パイプ13の連結穴14に他方の支柱11の連結穴14が位置合わせされ、これら連結穴14にピン15が挿入されるようになっている。この状態で支柱11同士の脱着と、一方の支柱11に対する他方の支柱11の回動とが規制されている。加えて、他方の支柱11における連結金具16同士の上下の位置関係が一方の支柱11における連結金具16同士の上下の位置関係と同じになるように構成されている。
【0012】
図1〜図3に示すように、前記ブラケット20は、支柱11に対して略水平方向に延びるように配設される金属パイプ製の水平材21と、水平材21の先端部から上方へ延びるほぞ22とを有し、側方から見て全体の形状が略横L字状となるように形成されている。前記水平材21の基端部には楔金具18が接合されており、この楔金具18を支柱11の連結金具16に嵌着することにより、水平材21の基端部が支柱11に連結されている。前記ほぞ22は、その外周面上に支柱11を外嵌することができるように支柱11よりも一回り小さなサイズの金属パイプより形成されており、その下端部周面において水平材21の先端部に溶接固定されている。また、ほぞ22の上端周面は上方に向かうに従って縮径するテーパ面22aとなっており、このテーパ面22aにより支柱11を外嵌しやすくなっている。
【0013】
水平材21の中間部下面には金属板よりなる補強材23が水平材21を連結した支柱11に向かって斜め下方に延びるように溶接固定されている。この補強材23の先端部には当て板24が取付けられており、該当て板24を支柱11の周面に接触させることにより、補強材23で水平材21を下方より支持することができるようになっている。また、水平材21の基端部と補強材23の先端部の間には金属板よりなる間隔保持材25が上下方向に延びるように架設されており、水平材21と補強材23との間隔を一定に保持するようになっている。
【0014】
前記ほぞ22の外周面上にはほぞ22よりも一回り大きなサイズの円筒状をなす位置調節用カラー26が上下動可能に装着されている。そして、ほぞ22に支柱11を外嵌した状態で支柱11の下端面を位置調節用カラー26の上端面に載せることにより、支柱11が所定の高さに支持されるようになっている。
【0015】
図3に示すように、位置調節用カラー26の周壁には上下方向に延び、かつその下端からさらに周方向に延びるようにL字状をなす一対のガイド孔27が透設されている。これらガイド孔27は、その上下方向の長さが上方の連結金具16と下方の連結金具16の高さの差とほぼ同じになるように設定されている。また、これらガイド孔27は、プレス加工で位置調節用カラー26の周壁を打ち抜くことにより形成され、位置調節用カラー26の軸線を中心に互いに点対称の位置関係となるように配置されている。ほぞ22の周壁において、水平材21との連結部よりも若干上方位置には挿通穴29が貫設されている。この挿通穴29には位置調節用カラー26がほぞ22に外嵌された状態でガイド孔27を介して外部からガイドピン30の棒状をなす軸部30bが挿通されている。
【0016】
該ガイドピン30は、軸部30bの一端部に円板状をなす頭部30aを有しており、この頭部30aはガイド孔27の内側に入り込むことなく、位置調節用カラー26の外周面上に位置するように構成されている。このガイドピン30の軸部30bを挿通穴29に挿通した状態でその他端部をかしめて潰すことによりガイドピン30がほぞ22に対して固定されるとともに、位置調節用カラー26のほぞ22からの抜け出しが規制されている。また、ほぞ22に固定された状態でガイドピン30の軸部30bは、その両端部が各ガイド孔27の内側にそれぞれ位置するようにほぞ22の周面上から突出されている。
【0017】
図4(a)〜(d)に示すように、位置調節用カラー26はガイド孔27及びガイドピン30に案内されながら、ほぞ22に対して回動及び上下動することができるように構成されている。該ガイド孔27において、周方向に延びる箇所の上端縁である一端周縁部には上方へ膨らむ円弧状をなす第1係止孔28が形成されている。加えて、ガイド孔27において、上下方向に延びる箇所の上端である他端周縁部には上方へ膨らむ円弧状をなす第2係止孔28aが形成されている。これら第1係止孔28及び第2係止孔28aを備えるガイド孔27は、全体で略J字状をなすように形成されている。そして、第1係止孔28及び第2係止孔28aの周縁部がそれぞれガイドピン30に接触されることにより、位置調節用カラー26はほぞ22に対する回動及び上下動を抑制されている。
【0018】
上記のガイド孔27、第1係止孔28、第2係止孔28a、挿通穴29、ガイドピン30等により位置保持手段が構成されている。この位置保持手段により、位置調節用カラー26は、ほぞ22上で回動及び上下動させたとき、上部位置及び下部位置で位置保持することができるように構成されている。すなわち、図2(a)に示すように、第1係止孔28をほぞ22のガイドピン30に係合させた状態で、位置調節用カラー26は、その下端面が水平材21の上端面から間隔をおいて上方に位置する上部位置に位置保持されている。また、図2(b)に示すように、第2係止孔28aをほぞ22のガイドピン30に係合させた状態で、位置調節用カラー26は、その下端面が水平材21の上端面とほぼ同じ面内に位置する下部位置に位置保持されている。
【0019】
上記のように位置調節用カラー26を上部位置に位置保持した状態で支柱11の下方の連結金具16に水平材21を連結すると、位置調節用カラー26は、その上端が支柱11の上端とほぼ同じ高さになるように構成されている。また、ガイド孔27の上下方向の長さが上下の連結金具16の高さの差とほぼ同じであることから、下部位置に切り換えられた位置調節用カラー26は、上部位置にあるときと比較して連結金具16の上下の高さの差だけ下方へ移動する。このため、位置調節用カラー26を下部位置に位置保持した状態で上方の連結金具16に水平材21を連結した場合にも、位置調節用カラー26の上端は支柱11の上端とほぼ同じ高さとなる。そして、連結金具16の上下位置に応じて位置調節用カラー26が下部位置か上部位置に切り換えられることにより、位置調節用カラー26上に載せられた支柱11は、水平材21が連結された支柱11の上方に連結された場合と同じ高さで支持されるようになっている。
【0020】
図2(a)に示すように、支柱11の下方の連結金具16に水平材21が連結された状態において、連結パイプ13に設けられた連結穴14は水平材21の延びる方向に開口するように配置されている。この状態の連結穴14と同じ高さで、かつ開口する方向が同じとなるように、ほぞ22の周壁には位置合わせ手段を構成する第1連結穴14aが貫通形成されている。
【0021】
図2(b)に示すように、支柱11の上方の連結金具16に水平材21が連結された状態において、連結パイプ13に設けられた連結穴14は水平材21の延びる方向と直交する方向に開口するように配置されている。この状態の連結穴14と同じ高さで、かつ開口する方向が同じとなるように、ほぞ22の周壁において、前記第1連結穴14aよりも下方には位置合わせ手段を構成する第2連結穴14bが貫通形成されている。また、該第2連結穴14bと第1連結穴14aの高さの差は、上方の連結金具16と下方の連結金具16の高さの差とほぼ同じになるように設定されている。
【0022】
図1に示すように、位置調節用カラー26に載せられた支柱11は、その連結穴14を第1連結穴14a又は第2連結穴14bに位置合わせしてピン15を挿入することにより、ほぞ22からの脱着及びほぞ22に対する回動を規制されるようになっている。前に挙げたように、支柱11及び連結パイプ13の連結穴14は、支柱11同士を連結した際に互いの連結金具16同士の上下の位置関係を維持するため、下方の連結金具16と対応する位置に設けられている。そして、上部又は下部位置にある位置調節用カラー26上に支柱11を載せた状態で、連結穴14を第1連結穴14a又は第2連結穴14bに合わせると、該支柱11の連結金具16同士の上下の位置関係は、水平材21が連結された支柱11の上方に連結された場合と同じになる。
【0023】
上記の水平材21、楔金具18、ほぞ22、補強材23、間隔保持材25、位置調節用カラー26等によりブラケット20が構成されている。そして、ブラケット20に連結された支柱11は、他の支柱11に対して、位置調節用カラー26によりその高さを、第1連結穴14a及び第2連結穴14bにより連結金具16同士の上下の位置関係を揃えられるよう構成されている。
【0024】
次に、上記のブラケット20の作用について説明する。
さて、図1に示すような仮設足場を建物の周囲に構築するときには、まず複数本の支柱11が外壁10に沿って所定間隔おきに立設された後、各支柱11の間隔を保持するために横架材12が架設される。このとき、横架材12が斜めに架設されることを防止するため、各支柱11は、それぞれの連結金具16の上下の位置関係が対応するように配設される。次いで、建物の高さに対応するだけの支柱11が上方へ延びるように連結される。そして、支柱11の上端が軒10aに達し、これ以上は支柱11を上方へ連結することができなくなったとき、軒10aを避けるように支柱11の連結金具16にブラケット20が連結される。
【0025】
ブラケット20を連結するときには、まず補強材23の当て板24を支柱11の周面に接触させながら、水平材21の楔金具18を連結金具16に係合し、支柱11に対して水平材21を仮固定する。その後、ハンマー等を用いて楔金具18を連結金具16に嵌着することにより、水平材21が1本の支柱11に対して楔金具18、補強材23及び間隔保持材25を介して支持され、ブラケット20が1本の支柱11に連結される。そして、ブラケット20のほぞ22に新たな支柱11を連結することが可能となる。
【0026】
ほぞ22に支柱11を連結するときには、まず水平材21が連結される連結金具16の上下位置に応じて、位置調節用カラー26が下部位置及び上部位置に切り換えられる。例えば、図1及び図2(a)に示すように水平材21が下方の連結金具16に連結されたとき、位置調節用カラー26が上部位置に切り換えられ、その上端面の高さが支柱11の上端と同じ高さに揃えられる。この後、ほぞ22の上方から支柱11の下端部が外嵌されるとともに、その下端面が位置調節用カラー26の上端面に載せられることにより、該支柱11が他の支柱11とその高さを揃えられた状態で水平材21の先端から立設される。
【0027】
その後、ほぞ22に対して支柱11が回動され、その連結穴14が第1連結穴14aに位置合わせされることにより、該支柱11の連結金具16同士の上下の位置関係が他の支柱11の連結金具16同士の上下の位置関係に揃えられる。そして、連結穴14及び第1連結穴14aにピン15が挿入されてほぞ22に支柱11が連結されるとともに、該支柱11とこれに隣接する支柱11の間に横架材12が架設されて仮設用足場が構築される。
【0028】
図2(b)に示すように、水平材21が上方の連結金具16に連結された際、位置調節用カラー26は上部位置から下部位置に切り換えられる。この位置調節用カラー26の上部位置から下部位置への切り換え操作について説明する。
【0029】
まず、位置調節用カラー26は、上部位置に位置保持された状態で図4(a)に示すように、第1係止孔28の内周面がガイドピン30に係合されており、周方向への回動を抑制されている。この状態から図中に矢印で示すように位置調節用カラー26を若干上方へ移動させると、図4(b)に示すように、第1係止孔28のガイドピン30に対する係合が解除され、ガイド孔27がその内底面がガイドピン30に接触されるように移動される。この状態で位置調節用カラー26は、ガイド孔27及びガイドピン30に案内されながらの周方向への回動が許容される。
【0030】
この後、ガイド孔27及びガイドピン30に案内させながら、図中に矢印で示す方向に位置調節用カラー26を回動させると、図4(c)に示すように、ガイド孔27の内側面がガイドピン30に接触される。この状態で位置調節用カラー26は、ガイド孔27及びガイドピン30に案内されながらの上下方向への移動が許容される。その後、ガイド孔27及びガイドピン30に案内させながら、位置調節用カラー26を図中に矢印で示すように下方へ移動させると、やがて図4(d)に示すように、第2係止孔28aの内周面がガイドピン30に係合される。そして、位置調節用カラー26は、周方向への回動を抑制されるとともに、自重が加わることにより上方へ移動することもなく、下部位置に位置保持される。
【0031】
位置調節用カラー26を下部位置から上部位置へ切り換える場合、ガイド孔27及びガイドピン30の案内する方向に従って位置調節用カラー26を一旦上方へ移動させた後、回動させ、図4(b)に示す状態とした後、位置調節用カラー26を若干下方へ移動させることにより、位置調節用カラー26が上部位置に位置保持される。
【0032】
前記の実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
・ 実施形態のブラケット20によれば、水平材21が連結される連結金具16の上下位置に対応してほぞ22上に装着された位置調節用カラー26を下部位置及び上部位置に切り換えることができるようになっている。このため、ほぞ22に外嵌され、位置調節用カラー26に載せられた支柱11は、位置調節用カラー26を下部位置及び上部位置に適宜切り換えることにより連結金具16の上下位置を容易に変更することができ、その高さを他の支柱11の連結金具16の高さに合わせることができる。
【0033】
・ 位置調節用カラー26にはL字状のガイド孔27が透設されており、このガイド孔27の案内により位置調節用カラー26をほぞ22上で移動させることにより、位置調節用カラー26を下部位置及び上部位置に容易に移動させることができる。
【0034】
・ また、ほぞ22の周壁には、位置調節用カラー26の下部位置及び上部位置に対応して第2連結穴14b及び第1連結穴14aが互いに直交する方向に開口するように透設されている。これら第2連結穴14b及び第1連結穴14aに支柱11の連結穴14を位置合わせすることにより、当該支柱11と他の支柱11との連結金具16同士の上下の位置関係を容易に揃えることができる。
【0035】
・ ブラケット20の水平材21は、その基端部のみが1本の支柱11に連結されるように構成されている。このため、例えば連結される支柱11と、これに隣接する支柱11との間において、互いの連結金具16の位置関係が異なる場合であっても、連結金具16の位置関係に係わらず、支柱11の間にブラケット20を配設することができる。
【0036】
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 位置保持手段は、ガイド孔27、ガイドピン30等で構成することに限定されず、次のように構成してもよい。例えば、図5に示すように、位置調節用カラー26の周壁には1つの丸孔41を透設し、ほぞ22の周壁には上下一対の丸孔41を透設し、ほぞ22の上部又は下部の丸孔41に位置調節用カラー26の丸孔41を位置合わせした状態で各丸孔41に丸棒42を挿通し、位置調節用カラー26を上部位置又は下部位置に位置保持するように構成してもよい。
【0037】
あるいは、図6(a),(b)に示すように、上下一対の円筒部材26a,26bより位置調節用カラー26を構成してもよい。これら一対の円筒部材26a,26bには、下方の円筒部材26bの上端周壁及び上方の円筒部材26aの下端周壁をそれぞれ半円筒状に切り欠くことにより段差部43が設けられている。また、下方の円筒部材26bはほぞ22に溶接接合され、上方の円筒部材26aはほぞ22に対して上下動可能に外嵌されている。そして、下方の円筒部材26bに対し上方の円筒部材26aを上下動及び回動させ、互いの段差部43の凹部に段差部の凸部が収容されるようにして両円筒部材を26a,26bを係合させたときには下方位置、互いの段差部43の凸部を上下に係合させたときには上方位置となるように構成してもよい。
【0038】
・ ガイド孔27はL字状のものに限定されず、例えばコ字状、クランク状、逆T字状、レ字状、四半円弧状等としてもよい。
・ 前記ほぞ22を水平材21の中間部から立設するとともに、水平材21の先端部に基端部と同様の楔金具を取り付け、一対の支柱11の間において、水平材21の両端部を各支柱11にそれぞれ連結してもよい。このように構成した場合、水平材21に上方から加わる外力を両端部に設けられた楔金具で分散して受けることができ、ブラケット20を支柱11に対して安定して支持させることができる。
【0039】
・ 実施形態ではブラケット20の水平材21が連結された支柱11の上端面と、位置調節用カラー26の上端面とが同じ高さになるように位置調節用カラー26を移動させたが、これに限らず、ブラケット20に連結される支柱11と隣接する支柱11の上端面と、位置調節用カラー26の上端面とが同じ高さになるように位置調節用カラー26を移動させてもよい。
【0040】
・ 位置合わせ手段は、第1連結穴14a及び第2連結穴14bによって構成されることに限らず、例えばほぞ22又は位置調節用カラー26の外周面に設けられたけがき線、位置調節用カラー26の上端面に設けられた凸部及び支柱11の下端面に設けられた凹部等により構成してもよい。また、位置調節用カラー26にけがき線、凸部等を設けて位置合わせ手段を構成する場合には、ガイド孔27の周方向に延びる箇所をその中心角が約90゜となるように形成することが好ましい。そして、ほぞ22上で位置調節用カラー26を位置合わせ手段とともに90゜回動させ、この位置合わせ手段に支柱11を対応させることにより、他の支柱11との連結金具16同士の上下の位置関係を揃えることができるように構成してもよい。
【0041】
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 前記水平材の基端部には連結金具に嵌着される楔金具を取着し、先端部にはほぞを接合することにより、水平材をその基端部のみで楔金具を介して1本の支柱に連結することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の仮設足場用のブラケット。このように構成した場合、ブラケットの水平材を常に略水平状に装着することができる。
【0042】
・ 前記ガイド孔の上下方向の長さが上方の連結金具と下方の連結金具との高さの差とほぼ同じであることを特徴とする請求項2に記載の仮設足場用のブラケット。このように構成した場合、連結金具の上下位置に対応して支柱同士の連結金具の高さを確実に合わせることができる。
【0043】
・ 前記ガイドピンは、丸棒状をなす軸部と、該軸部の一端部に設けられた円板状をなす頭部とから構成され、ほぞに位置調節用カラーが外嵌された状態で、ガイド孔を介し、ほぞに設けられた挿通穴にその軸部を他端部側から挿通した後、ほぞの外部に露出する他端部をかしめて潰すことにより、ほぞに対して固定されることを特徴とする請求項2に記載の仮設足場用のブラケット。このように構成した場合、ガイドピンをほぞに固定することができるとともに、位置調節用カラーのほぞからの抜け出しを規制することができる。
【0044】
・ 前記連結金具は、支柱の周方向で90゜間隔おきに4つが設けられ、支柱を挟んで対向する2つが同じ高さに、支柱の周方向に隣接する2つは、一方が他方よりも下方に位置するように配設されるとともに、前記ほぞ及び位置調節用カラーのうち少なくとも一方には、位置調節用カラーにより支持された支柱の連結金具同士の上下の位置関係と、他の支柱の連結金具同士の上下の位置関係とを揃えるため、4つの連結金具のうちの下方又は上方に配置された2つと対応する位置となるように位置合わせ手段を設けることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の仮設足場用のブラケット。このように構成した場合、ほぞに連結された支柱の連結金具同士の上下の位置関係を容易に変更することができる。
【0045】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明によれば、次のような効果を奏する。
請求項1に記載の発明によれば、ほぞに連結された支柱の連結金具の上下位置を容易に変更することができる。
【0046】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、位置調節用カラーを上部位置及び下部位置に容易に切り換えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態のブラケットの使用状態を示す斜視図。
【図2】 (a)は位置調節用カラーを上部位置に切り換えた状態を示す側面図、(b)は位置調節用カラーを下部位置に切り換えた状態を示す側面図。
【図3】 ほぞに位置調節用カラーを装着する状態を示す分解斜視図。
【図4】 (a)は位置調節用カラーが上部位置に切り換えられた状態を示す側面図、(b)は位置調節用カラーを回動させる前の状態を示す側面図、(c)は位置調節用カラーを回動させた状態を示す側面図、(d)は位置調節用カラーが下部位置に切り換えられた状態を示す側面図。
【図5】 別形態の位置調節用カラーをほぞに装着する状態を示す分解斜視図。
【図6】 (a)は別形態の位置調節用カラーを下部位置に切り換えた状態を示す側面図、(b)は別形態の位置調節用カラーを上部位置に切り換えた状態を示す側面図。
【符号の説明】
10…外壁、11…支柱、16…連結金具、20…ブラケット、21…水平材、22…ほぞ、26…位置調節用カラー、27…ガイド孔、30…ガイドピン。
Claims (2)
- パイプ状をなし、その周面には周方向及び上下方向で異なる位置となるように連結金具が設けられた支柱を建物の外壁に沿って上方へ複数本連結するとき、建物の外壁よりも外方へ張り出した突出部を避けて支柱をさらに上方へ連結するために用いられる仮設足場用のブラケットであって、
前記支柱の連結金具に対して略水平方向に延びるように連結される棒状をなす水平材と、該水平材から上方へ延設され、その上方から別の支柱が外嵌されるパイプ状をなすほぞとを備え、該ほぞの周面上には外嵌された支柱を下方から支持するための筒状をなす位置調節用カラーを上下動可能に装着するとともに、該位置調節用カラーをほぞ上で上方及び下方へ移動させたときに上部位置及び下部位置で位置保持可能とするための位置保持手段を設け、水平材が固定される連結金具の上下位置に対応して位置調節用カラーを上部位置と下部位置とに切り換え可能に構成することを特徴とする仮設足場用のブラケット。 - 前記位置保持手段は、プレス加工により位置調節用カラーの周壁に透設された位置調節用カラーの移動を案内するための略L字状をなすガイド孔と、該ガイド孔の内側に位置するようにほぞの周面上に突設されたガイドピンとから構成され、ほぞ上で位置調節用カラーを回転及び上下動させ、ガイド孔の一端周縁部及び他端周縁部をガイドピンに係合させることにより位置調節用カラーを上部位置及び下部位置で位置保持可能に構成することを特徴とする請求項1に記載の仮設足場用のブラケット。
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