JP4944500B2 - 柱部材 - Google Patents
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Description
そして、柱部材としては、例えば、各階層毎の長さに対応した長さ寸法に形成され、端面は、柱軸に直交する平面に成形され、金属製柱部材の場合には、平面の端面同士を合わせて両者を溶接する等の手法で継ぎ足しながら、順次、建物を立ち上げていた。尚、このような柱端部どうしの接合技術に関しては、当業者の間で広く知られているものであるが、該当する柱部材の接合に関して詳しく言及した特許文献などは見あたらないので、先行技術文献は示していない。
その結果、複数の柱部材を順次立設して行く際に、それぞれの柱において、建ち精度の補正を容易に行うことができ、且つ、精度補正をした状態でも柱本体どうしの軸力は面接触の端面から伝わり、前記スラブ受け部によって受けるスラブの荷重や上方からの柱軸力を、下方の柱や基礎に伝達することが可能となる。
そして、柱端面どうしの面接当状態は維持されているから、曲げやせん断力を受け持たない軸力負担用の柱部材として使用される場合には、溶接等の接合作業を実施しなくても、所定の軸力を受け止めることが可能となる。
従って、柱本体の立設作業を、効率よく迅速に進めることが可能となる。
また、柱部材の立設作業時に、前記摺動規制部による規制で転倒防止を図り、柱の仮止め作用を発揮することが可能となる。その結果、より施工性の向上を図ることが可能となる。
また、堰き止め手段で堰き止められた内側の空間(コンクリート未打設空間)を、柱周りの極めて小さい範囲に設定することが可能となり、柱周りの二次的なコンクリート(無収縮モルタルの場合もある)打設工程をより短くして、柱立設工期の短縮を図ることができる。
更には、堰き止め手段を金属材等の強度部材で構成してある場合には、柱本体どうしの嵌合部周囲の剛性を堰き止め手段によって高めることが可能となり、地震時の水平力に対する耐力向上を図ることができる。
そして、各階層毎(又は複数階層毎)に柱本体1が用意され、それらの柱本体1を上下端面どうしを当接させた状態に各階層にわたって立設されている。
そして、上端面は、凹球面1bとして形成され、下端面は、その凹球面1bに沿う形状の凸球面1cとして形成されている。従って、上下の柱本体1を、互いの凹球面1bと凸球面1cとが当接するように配置した状態では、その球面に沿って上下の柱本体1を相対的に揺動させることができる。
このキャピタル1aは、具体的には、図2に示すように、柱本体1の外周面に放射状に設けられた複数の金属製縦リブ2と、各縦リブ2の下端部にわたる状態に柱本体1の外周面に設けられた鍔状の金属製ベースプレート3とを備えて構成されている。これら、縦リブ2、ベースプレート3は、共に、溶接によって前記柱本体1に固定されている。
従って、柱本体1の凹球面1b上に、別の柱本体1Aの凸球面1cが沿うようにその柱本体1Aを載置した状態においては、前記突出部2aが、前記別の柱本体1Aの側面に対向した位置関係となり、例えば、別の柱本体1Aが、図5に示すように、凹球面1b上を摺動することで傾斜姿勢となる場合に、別の柱本体1Aの側面を前記突出部2aが受け止めることでそれ以上の摺動を規制し、別の柱本体1Aが転倒するのを規制することが可能となる(図1参照)。前記突出部2aを摺動規制部と言う。
この摺動規制部を設けてあることで、例えば、柱本体の立設作業の際には、転倒を防止する仮固定手段として利用することができる一方、建物建設後においては、地震時の横揺れに対する柱本体に対する支持力確保の役割を果たすことが可能となる。
この鋼管4は、前記キャピタル1aに対して、図4に示すように、上方から嵌合させることができるように前記各縦リブ2の寸法にそれぞれ合わせたスリット状の切欠き4aが、下端部から長手方向の中間部まで形成してある。また、鋼管4の長さ寸法は、前記ベースプレート3上に鋼管4を載置した状態で、鋼管4の上縁部が、スラブコンクリートCの打設予定範囲のほぼ上端になるように設定されている(図1参照)。
そして、鋼管4の径寸法は、柱本体1の外径寸法より大きく、且つ、前記ベースプレート3の外径寸法より小さい範囲に設定してある。
従って、スラブコンクリートCの打設前に、この鋼管4を、前記キャピタル1aの上方から嵌合させておくことで、打設したスラブコンクリートCがこの鋼管4によって堰き止められて、柱本体どうしの嵌合部に浸入するのを阻止することができる。
この鋼管4を堰き止め手段と言う。
[1]下階の柱部材Pを立設した状態で、該当階のスラブSの為の型枠工や配筋を行う。その際、下階の柱部材Pの上端のキャピタル1aは、スラブ配筋の中に位置させてある。
[2] キャピタル1aに鋼管4を嵌合させた状態でスラブコンクリートCを打設する。
[3] 該当階の柱部材Pを立設する。その際、下階の柱部材Pの上端凹球面1b上に、該当階の柱部材P下端の凸球面1cが当接する状態に立てれば、前記摺動規制部によって、転倒しない状態に柱本体1を保持することができる。
[4] 該当階の柱部材Pが所定の角度(通常は鉛直)となるように、前記球面を摺動させながら正規の建ち姿勢に調整する。
[5] 前記鋼管4と柱本体1との間の隙間に、例えば、無収縮モルタル等の充填材を充填して柱本体1を固定する。
[6] 以下、前記[1]の工程から順次繰り返して所定階まで構築する。
そして、柱どうしの継ぎ目がスラブSの厚み内に位置することから、スラブ上の空間からそれら継ぎ目が見え難く、取付状態の柱部材の美観性を向上させることが可能となる。
以下に他の実施の形態を説明する。
また、単一部材による構成に限るものではなく、複数部材を一体化して柱本体を構成したものであってもよい。
また、ムク柱に限るものではなく、中間部が中空に形成されているものであってもよい。但し、その場合でも、端面部は全断面の球面(凹球面・凸球面)として形成しておく必要がある。一方、柱端部の凹球面1bと凸球面1cとの振り分けは、先の実施形態とは逆に、上端部が凸球面1cで、下端部が凹球面1bで構成してあってもよい。
〈2〉 前記スラブ受け部1aは、先の実施形態で説明したようにスラブ厚み内に納められたキャピタルに限るものではなく、例えば、スラブSの下方に突出する状態に設けられたものであってもよい。勿論、縦リブ2とベースプレート3とからなる構成に限らず、他の公知の構成であってもよい。
〈3〉 前記堰き止め手段4は、先の実施形態で説明した構成に限るものではなく、例えば、スラブ受け部1aと一体に形成してあってもよい。
また、摺動規制部2aは、先の実施形態では縦リブ2の突出部によって構成してあるものを説明したが、他の部分によって構成するものであってもよい。その一例としては、スラブ受け部1aと一体に形成した堰き止め手段4に、摺動規制部2aを形成してあってもよい。要するに、凹球面1bと凸球面1cとが嵌合する状態に連設される別の柱本体1の摺動範囲を規制するものであればよく、それらを含めて摺動規制部と総称する。
1a キャピタル(スラブ受け部に相当)
1b 凹球面
1c 凸球面
2a 突出部(摺動規制部に相当)
4 鋼管(堰き止め手段に相当)
C スラブコンクリート
P 柱部材
S スラブ
Claims (4)
- スラブを貫通する状態に設置自在な柱本体で構成されている柱部材であって、
前記柱本体に前記スラブを受けるスラブ受け部が設けてあると共に、前記柱本体の一端面の全域は凹球面に、他端面の全域は凹球面に対して摺動自在な形状の凸球面に構成されている柱部材。 - 前記凹球面と凸球面とが嵌合する状態に連設される別の柱本体の摺動範囲を規制する摺動規制部が設けられている請求項1に記載の柱部材。
- 前記スラブ受け部は、前記柱本体の上端側外周部に形成してあり、前記摺動規制部は、前記スラブ受け部で受けられる前記スラブの厚み内に位置する状態に配置されている請求項2に記載の柱部材。
- 前記スラブの打設コンクリートが、前記柱本体どうしの嵌合部に浸入するのを阻止する堰き止め手段が設けられている請求項1〜3の何れか一項に記載の柱部材。
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