JP3732676B2 - 溶融炉の出滓口の構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ごみ焼却炉や産業廃棄物焼却炉から排出される焼却残渣や飛灰等の被溶融物を溶融処理する溶融炉に係り、溶融スラグ流出口から溢れ出した溶融スラグを流下させる出滓口のメンテナンスを簡単且つ容易に行えるようにした溶融炉の出滓口の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、都市ごみ等の焼却炉から排出される焼却残渣や飛灰(以下被溶融物と云う)の減容化及び無害化を図る為、被溶融物の溶融固化処理法が注目され、現実に実用に供されている。被溶融物は溶融固化することにより、その容積を1/2〜1/3に減らすことができると共に、重金属等の有害物質の溶出防止や溶融スラグの再利用、最終埋立処分場の延命等が可能になるからである。
【0003】
而して、前記被溶融物の溶融固化処理方法には、アーク溶融炉やプラズマアーク炉、電気抵抗炉等の電気式溶融炉を使用し、電気エネルギーによって被溶融物を溶融した後、これを水冷若しくは空冷により固化する方法と、表面溶融炉や旋回溶融炉、コークスベッド炉等の燃焼式溶融炉を使用し、燃料の燃焼エネルギーによって被溶融物を溶融した後、これを水冷若しくは空冷により固化する方法とが多く利用されて居り、都市ごみ焼却処理設備に発電設備が併置されている場合には、前者の電気エネルギーを用いる方法が、又、発電設備が併置されていない場合には、後者の燃焼エネルギーを用いる方法が夫々多く採用されている。
【0004】
図11は従前のごみ焼却処理設備に併置した直流アーク放電黒鉛電極式プラズマ溶融炉の一例を示すものであり、図11に於いて、1は被溶融物Aのホッパ、2は被溶融物Aの供給装置、3は溶融炉本体、4は黒鉛主電極、5は黒鉛スタート電極、6は炉底電極、7は炉底冷却ファン、8は直流電源装置、9は不活性ガス供給装置、10は溶融スラグ流出口、11はタップホール、12は燃焼室、13は燃焼用空気ファン、13aは助燃バーナ、14は排ガス冷却ファン、15はバグフィルター、16は誘引通風機、17は煙突、18は溶融飛灰コンベア、19は飛灰溜め、20はスラグ水冷槽、21はスラグ搬出コンベア、22はスラグ溜め、23はスラグ冷却水冷却装置である。
【0005】
而して、焼却残渣や飛灰等の被溶融物Aはホッパ1に貯えられ、供給装置2により溶融炉本体3内へ連続的に供給される。溶融炉本体3には、炉頂部より垂直且つ昇降可能に挿入され、その先端と被溶融物Aとの間に一定の距離を設けた黒鉛主電極4(−極)と、炉底に設置された炉底電極6(+極)とが設けられて居り、両電極4,6間に印加された直流電源装置8(容量約600〜1000KWh/T・被溶融物)の直流電圧によりプラズマアーク電流が流れ、これによって被溶融物Aが1300℃〜1600℃に加熱されて順次溶融スラグBとなる。
【0006】
尚、溶融前の被溶融物Aは導電性が低い為、溶融炉の始動時には黒鉛スタート電極5を溶融炉本体3内へ挿入してこれを+電極とし、これと黒鉛主電極4間へ通電することにより被溶融物Aが溶融するのを待つ。そして、被溶融物Aが溶融すると、その導電性が上昇する為、黒鉛スタート電極5を炉底電極6へ切り換える。
【0007】
一方、前記溶融炉本体3の内部は、溶融スラグBや黒鉛主電極4等の酸化を防止する為に還元性雰囲気に保持されて居り、その為にPSA窒素製造装置等の不活性ガス供給装置9から窒素ガス等の不活性ガスCが、中空筒状に形成した黒鉛主電極4及び黒鉛スタート電極5の中空孔を通して、溶融炉本体3内へ連続的に供給されている。
【0008】
尚、不活性ガスCを黒鉛主電極4や黒鉛スタート電極5の中空孔を通して溶融炉本体3内へ供給する構成とするのは、▲1▼プラズマ放電領域を濃厚な不活性ガスCにより充満させた方が、プラズマアークの発生や安定性等の所謂プラズマ放電性が良好になると考えられること、及び▲2▼黒鉛主電極4や黒鉛スタート電極5の消耗がより少なくなると考えられること、等の理由によるものである。
【0009】
又、前記溶融炉本体3の炉底は、炉底冷却ファン7からの冷風により空冷され、これによって炉底電極6近傍の過度な温度上昇が防止されている。
更に、溶融炉本体3そのものは、高温に耐える耐火材及びそれを覆う断熱材等により構成されて居り、必要に応じて断熱材の外部に水冷ジャケットが設けられている。
【0010】
前記被溶融物Aの溶融によって、その内部に存在した揮発成分や炭素の酸化により起生した一酸化炭素等は、ガス体D(以下排ガスと云う)となると共に、鉄等の金属類やガラス、砂等の不燃性成分を含む被溶融物Aは、プラズマアーク放電による発生熱を供給されることによりその溶融点(1200℃〜1250℃)を越える約1300℃〜1600℃の高温度にまで加熱され、流動性を有する液体状の溶融スラグBとなる。
【0011】
溶融炉本体3内に形成された溶融スラグBは、溶融スラグ流出口10より連続的に溢れ出し、冷却水を満したスラグ水冷槽20内へ落下することにより冷却されて水砕スラグとなり、スラグ搬出コンベア21によってスラグ溜め22へ排出される。
又、溶融炉を停止する際には、溶融炉本体3内の溶融スラグBが冷却・固化してしまうのを防止する為、溶融スラグBの底部レベルに設けたタップホール11より湯抜きを行い、溶融炉本体3内は空状態にされる。
【0012】
一方、前記排ガスD(ガス体)は、溶融スラグ流出口10の上部空間から二次燃焼室12内に入り、ここで燃焼用空気ファン13により送入された空気が加えられることにより、内部の未燃分が完全に燃焼される。
又、燃焼室12内で完全燃焼した排ガスDは、排ガス冷却ファン14からの冷却空気によって冷却され、バグフィルター15を経て誘引通風機16により煙突17へ排出される。そして、バグフィルター15で捕捉された溶融飛灰Eは、溶融飛灰コンベア18により飛灰溜め19へ送られる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
而して、上述したプラズマ溶融炉に於いては、溶融スラグ流出口10より連続的に溢れ出した溶融スラグBは、図12に示す如く、溶融スラグ流出口10に連続する状態で且つ下り傾斜状に設置した樋状の出滓口24上を流下してスラグ水冷槽20内へ落下するようになっている。
【0014】
ところで、前記出滓口24は、侵食性の強い高温の溶融スラグBが流れる為、耐熱性・耐スラグ侵食性に優れた耐火物24aにより形成されているが、それでもなお耐火物24aの損傷が著しく、寿命が短いと云う問題があった。
これを防止する為、従来のプラズマ溶融炉に於いては、出滓口24の下部に冷却通路25aを形成した銅製の冷却ブロック25を密着状に設置し、冷却ブロック25により出滓口24を冷却して耐火物24aの損傷を防止するようにしていた。
【0015】
然し乍ら、出滓口24の下部に設置した冷却ブロック25も、高い熱負荷を受ける為、出滓口24を形成する耐火物24aと同様に、定期的に点検・補修又は交換する必要があるが、周囲を耐火物で覆われていたり、或いは冷却ブロック25自体が大きいこととも相俟って、これを容易に取り外すことができず、メンテナンスに於ける問題点の一つになっていた。
又、冷却ブロック25が損傷すると、溶融スラグBが冷却ブロック25の下に流れ込み、冷却ブロック25を支持している耐火物を侵食し、冷却ブロック25等が溶融炉本体3から脱落する虞れがあった。
【0016】
本発明は、このような問題点に鑑みて為されたものであり、その目的は、溶融スラグを流下させる出滓口のメンテナンスを簡単且つ容易に行えるようにした溶融炉の出滓口の構造を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本願請求項1の発明は、溶融スラグ流出口(10)から溢れ出した炉内の溶融スラグ(B)を樋状に形成した耐火物製の出滓口(24)上を流下させて炉外へ排出すると共に、樋状の出滓口(24)の下部に設置した冷却ブロック(25)により出滓口(24)を形成する耐火物(24a)を冷却するようにした溶融炉の出滓口の構造に於いて、前記冷却ブロック(25)を、出滓口(24)を形成する樋状の耐火物(24a)の下方に配置され、その上面に前記耐火物(24a)を密着状に配置する樋状の凹部(25d)を形成すると共に内部に複数の冷却通路(25a)を長手方向に形成して成る交換用冷却ブロック(25″)と,当該交換用ブロック(25″)の下方に着脱自在に配置して交換用ブロック(25″)を支持載置すると共に、その上面に前記交換用冷却ブロック(25″)を密着状に嵌込み支持する樋状の凹部(25b)を、また、その内部に長手方向に複数の冷却通路(25a)を夫々形成して成る受け用冷却ブロック(25′)とから形成し、前記受け用冷却ブロック(25′)と交換用冷却ブロック(25″)とを着脱自在に連結する構成としたことを発明の基本構成とするものである。
【0018】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、交換用冷却ブロック25″に、交換用冷却ブロック25″の吊上げ又は吊下げ用の埋込みボルト27又はネジ孔を設ける構成としたものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1及び図2は本発明の実施の形態に係る出滓口の構造を採用したプラズマ溶融炉の溶融炉本体3の一部を示すものであり、図1及び図2に於いて、3は溶融炉本体、24は出滓口、24aは出滓口25を形成する耐火物、25は冷却ブロック、25′は受け用冷却ブロック、25″は交換用冷却ブロック、25aは冷却通路、Bは溶融スラグである。
【0020】
前記溶融炉本体3は、鋼製のケーシング及び耐火物(キャスタブル耐火物や耐火煉瓦)等で夫々形成された周壁、天井壁及び炉底から構成されて居り、その周壁には、炉内へ焼却残渣や飛灰等の被溶融物(図示省略)を投入する為の被溶融物供給口(図示省略)と、炉内の溶融スラグBを溢流排出させると共に炉内の排ガスDを排出させる為の溶融スラグ流出口10とが夫々形成されている。
尚、溶融炉本体3は、出滓口24部分の構造を変えたこと以外は、図11に示した従前のプラズマ溶融炉の溶融炉本体3の場合と略同一である為、ここではその詳細な説明を省略する。
【0021】
前記出滓口24は、溶融スラグ流出口10から連続的に溢れ出した炉内の溶融スラグBを流下させてスラグ水冷槽(図示省略)内へ導く為のものである。
即ち、出滓口24は、図1及び図2に示す如く、耐熱性・耐スラグ侵食性に優れた耐火物24a(例えばSiC系キャスタブル)により樋状に形成されて居り、溶融スラグ流出口10に連続する状態で且つ下り傾斜状に設置されている。従って、溶融スラグ流出口10から溢れ出した炉内の溶融スラグBは、出滓口24上を流下してスラグ水冷槽内へ落下排出されることになる。
【0022】
前記冷却ブロック25は、侵食性の強い高温の溶融スラグBが流れる出滓口24を冷却して出滓口24を形成する耐火物24aの損傷を防止すると共に、出滓口24のメンテナンスを行い易くする為のものである。
即ち、冷却ブロック25は、図3及び図4に示す如く、冷却ブロック25自体を上下に二分割して恒久的に使用する受け用冷却ブロック25′と、定期的に交換する交換用冷却ブロック25″とに分けたものであり、受け用冷却ブロック25′を出滓口24の下方位置に配置し、又、交換用冷却ブロック25″を受け用冷却ブロック25′の上面側に着脱自在に支持載置させて出滓口24の下部に密着状に配置した構成となっている。
【0023】
具体的には、前記受け用冷却ブロック25′は、図3乃至図6に示す如く、熱伝導率の大きい銅材によりブロック状に形成されて居り、その内部には冷却水が流れる複数の冷却通路25aが形成されている。この冷却通路25a内へ冷却水を流すことによって、受け用冷却ブロック25′自体が冷却されるようになっている。
又、受け用冷却ブロック25′の上面側には、交換用冷却ブロック25″を着脱自在に且つ接触状態で支持載置する為の凹部25bが形成されている。この凹部25b内には、交換用冷却ブロック25″を凹部25b内に嵌め込んだときに、交換用冷却ブロック25″の位置決めを行う位置決めピン25cが複数個設けられている。
尚、図3乃至図5に於いて、26は冷却通路25aの出入口に夫々接続された継手を有する接続用パイプである。
【0024】
一方、前記交換用冷却ブロック25″は、図3、図4、図7乃至図9に示す如く、熱伝導率の大きい銅材によりブロック状に形成されて居り、その内部には冷却水が流れる冷却通路25aが形成されている。この冷却通路25a内へ冷却水を流すことによって、交換用冷却ブロック25″自体が冷却されるようになっている。
又、交換用冷却ブロック25″の上面側には、出滓口24を形成する耐火物24aが密着状に配置される凹部25dが形成されていると共に、交換用冷却ブロック25″の下面側には、受け用冷却ブロック25′の位置決めピン25cに嵌合される位置決め孔25eが複数個形成されている。
更に、交換用冷却ブロック25″の両側面には、出滓口24及び交換用冷却ブロック25″の補修時又は交換時に交換用冷却ブロック25″を取り外すのに利用する埋込みボルト27が設けられている。この埋込みボルト27は、交換用冷却ブロック25″を溶融炉本体3に取り付ける際には、図7に一点鎖線で示すように柔らかいキャスタブル28により埋設されて埋込みボルト27自体の損傷を防止し、又、交換用冷却ブロック25″を交換する際には、柔らかいキャスタブル28の部分をはつることによって外部へ露出するようになっている。
尚、図4、図7乃至図9に於いて、26は冷却通路25aの出入口に夫々接続された継手を有する接続用パイプ、29は交換用冷却ブロック25″の上面側に植設され、出滓口24を形成する耐火物24aを支持する支持ピンである。
【0025】
而して、上述した出滓口24の構造を採用した溶融炉によれば、溶融炉本体3内へ供給された焼却残渣や飛灰等の被溶融物は、プラズマアーク放電による熱エネルギーにより溶融点を越える温度にまで加熱され、高温液体状の溶融スラグBとなる。
【0026】
溶融炉本体3内に形成された溶融スラグBは、溶融スラグ流出口10より連続的に溢れ出し、溶融スラグ流出口10に連続する下り傾斜状の出滓口24上を流下してスラグ水冷槽(図示省略)内へ落下排出され、ここで水冷されて水砕スラグとなった後、スラグ搬出コンベア(図示省略)によってスラグ溜め(図示省略)へ排出される。
又、溶融炉本体3内で発生した排ガスDは、溶融スラグ流出口10の上部空間から燃焼室(図示省略)内へ排出され、ここで完全燃焼してからバグフィルター(図示省略)等を経て大気中へ排出される。
【0027】
ところで、上述した溶融炉の出滓口24の構造に於いては、溶融スラグBの出湯中に受け用冷却ブロック25′及び交換用冷却ブロック25″の各冷却通路25aに夫々冷却水を供給し、出滓口24を形成している耐火物24aを冷却するようにしている為、耐火物24aの損傷が防止されて出滓口24の寿命を延ばすことができるようになっている。
【0028】
しかし、溶融炉の運転に於いて、出滓口24を形成する耐火物24a及び出滓口24の真下に位置する交換用冷却ブロック25″は、仮え冷却されていても、侵食性の強い高温の溶融スラグBにより高い熱負荷を受けて損傷することがある。
又、受け用冷却ブロック25′は、出滓口24を形成する耐火物24aから離れ、且つ出滓口24との間に交換用冷却ブロック25″が配置されている為、溶融スラグBからさほど強烈な熱負荷を受けると云うこともなく、長期間交換することなく恒久的に使用することができる。
従って、上述した出滓口24の構造に於いては、出滓口24の定期的なメンテナンス時には出滓口24及び交換用冷却ブロック25″のみを取り外してこれらを補修又は交換すれば良いことになる。
【0029】
即ち、出滓口24及び交換用冷却ブロック25″を取り外して補修又は交換する際には、先ず、埋込みボルト27の周囲にある柔らかいキャスタブル28をはつり、埋込みボルト27を露出させる。次に、露出した埋込みボルト27を利用してクレーン、ホイスト、チェーンブロック(何れも図示省略)等で交換用冷却ブロック25″を吊り上げて搬出する。そして、出滓口24を形成する耐火物24aや交換用冷却ブロック25″を補修するか、或いは全く新しい交換用冷却ブロック25″を用意する。その後、補修した交換用冷却ブロック25″或いは新しい交換用冷却ブロック25″を溶融炉本体3に取り付ける。
【0030】
このように、本発明の溶融炉の出滓口24の構造に於いては、出滓口24を冷却する冷却ブロック25を上下に二分割し、恒久的に使用する受け用冷却ブロック25′と、定期的に交換する交換用冷却ブロック25″とに分け、且つ両冷却ブロック25′,25″を着脱自在としている為、出滓口24のメンテナンス時には出滓口24を形成する耐火物24a及び交換用冷却ブロック25″のみを取り外して補修又は交換すれば良い。即ち、損傷し易い部分のみを補修又は交換できるようになっている。その結果、従来のように出滓口24及び冷却ブロック25全体を取り外すのに比較して、メンテナンスの費用を大幅に低減することができると共に、メンテナンスに要する時間を大幅に短縮することができる。
又、交換用冷却ブロック25″は温度を監視し、損傷のないよう管理するが、出滓口24上を流下する溶融スラグBによって、万一交換用冷却ブロック25″が損傷しても、受け用冷却ブロック25′が冷却されている為、溶融スラグBは受け用冷却ブロック25′により冷却されることになる。その結果、交換用冷却ブロック25″が損傷しても、溶融炉本体3を損傷させることがない。
更に、交換用冷却ブロック25″には、複数の埋込みボルト27を設けている為、これを利用して交換用冷却ブロック25″を吊り下げることができる。その結果、出滓口24及び交換用冷却ブロック25″の交換をより一層簡単且つ容易に行うことができる。
【0031】
上記実施の形態に於いては、交換用冷却ブロック25″に埋込みボルト27を設け、これを利用して交換用冷却ブロック25″をクレーン、ホイスト、チェーンブロック等により吊り上げて搬出するようにしたが、他の実施の形態に於いては、図10に示す如く、出滓口24を形成する耐火物24aの一部及び交換用冷却ブロック25″の上面側に複数のネジ孔25fを形成し、この交換用冷却ブロック25″を溶融炉本体3に取り付けて使用する際には、ネジ孔25fにプラグ(図示省略)を螺着してネジ孔25fを閉塞し、又、交換用冷却ブロック25″を取り外す際には、プラグを外してアイボルト等の吊り金具(図示省略)を取り付け、この吊り金具を利用してクレーン、ホイスト、チェーンブロック等で交換用冷却ブロック25″を吊り上げて搬出するようにしても良い。
【0032】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、本発明の請求項1の発明は、出滓口を冷却する冷却ブロックを上下に二分割し、恒久的に使用する受け用冷却ブロックと、定期的に交換する交換用冷却ブロックとに分け、且つ両冷却ブロックを着脱自在としている為、出滓口のメンテナンス時には出滓口を形成する耐火物及び交換用冷却ブロックのみを取り外して補修又は交換することができる。即ち、損傷し易い部分のみを補修又は交換できるようになっている。その結果、従来のように出滓口及び冷却ブロック全体を取り外すのに比較して、メンテナンスの費用を大幅に低減することができると共に、メンテナンスに要する時間を大幅に短縮することができる。
又、出滓口上を流下する溶融スラグによって交換用冷却ブロックが損傷しても、交換用冷却ブロックの真下に位置する受け用冷却ブロックが冷却されている為、溶融スラグは受け用冷却ブロックにより冷却されることになる。その結果、交換用冷却ブロックが損傷しても、溶融炉本体を損傷させることがない。
【0033】
本発明の請求項2の発明は、交換用冷却ブロックにこれを吊り下げるときに利用する埋込みボルト又はネジ孔を設ける構成としている為、出滓口及び交換用冷却ブロックの交換をより一層簡単且つ容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る出滓口の構造を採用したプラズマ溶融炉の溶融炉本体の一部を示す概略横断面図である。
【図2】同じく溶融炉本体の一部を示す概略縦断面図である。
【図3】冷却ブロックの側面図である。
【図4】図3のI−I線断面図である。
【図5】冷却ブロックを構成する受け用冷却ブロックの一部切欠平面図である。
【図6】図5のII−II線断面図である。
【図7】冷却ブロックを構成する交換用冷却ブロックの平面図である。
【図8】交換用冷却ブロックの一部切欠側面図である。
【図9】図7のIII−III線断面図である。
【図10】冷却ブロックの他の例を示す縦断面図である。
【図11】従前のプラズマ溶融炉の説明図である。
【図12】従前の出滓口の構造を用いた溶融炉本体の一部を示す概略縦断面図である。
【符号の説明】
3は溶融炉本体、10は溶融スラグ流出口、24は出滓口、24aは出滓口を形成する耐火物、25は冷却ブロック、25′は、受け用冷却ブロック、25″は交換用冷却ブロック、25aは冷却通路、25fはネジ孔、27は埋込みボルト、Bは溶融スラグ。
Claims (2)
- 溶融スラグ流出口(10)から溢れ出した炉内の溶融スラグ(B)を樋状に形成した耐火物製の出滓口(24)上を流下させて炉外へ排出すると共に、樋状の出滓口(24)の下部に設置した冷却ブロック(25)により出滓口(24)を形成する耐火物(24a)を冷却するようにした溶融炉の出滓口の構造に於いて、前記冷却ブロック(25)を、出滓口(24)を形成する樋状の耐火物(24a)の下方に配置され、その上面に前記耐火物(24a)を密着状に配置する樋状の凹部(25d)を形成すると共に内部に複数の冷却通路(25a)を長手方向に形成して成る交換用冷却ブロック(25″)と,当該交換用ブロック(25″)の下方に着脱自在に配置して交換用ブロック(25″)を支持載置すると共に、その上面に前記交換用冷却ブロック(25″)を密着状に嵌込み支持する樋状の凹部(25b)を、また、その内部に長手方向に複数の冷却通路(25a)を夫々形成して成る受け用冷却ブロック(25′)とから形成し、前記受け用冷却ブロック(25′)と交換用冷却ブロック(25″)とを着脱自在に連結する構成としたことを特徴とする溶融炉の出滓口の構造。
- 交換用冷却ブロック(25″)に、交換用冷却ブロック(25″)の吊上げ又は吊下げ用の埋込みボルト(27)又はネジ孔を設ける構成としたことを特徴とする請求項1に記載の溶融炉の出滓口の構造。
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