JP3838616B2 - 放射性廃棄物の焼却溶融処理装置および焼却溶融処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
原子力施設などから発生する可燃性、難燃性及び不燃性の雑固体廃棄物の焼却溶融に用いるのに適した放射性廃棄物の焼却溶融処理装置および方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
原子力発電所などから発生する雑固体廃棄物の最終処理法として溶融処理が行われる。
このような目的の放射性廃棄物の焼却溶融処理装置としては、次の特許公開公報などに記載されたものが知られている。
(1)特開昭61−209399号公報
ここには、導電性を有し誘導加熱可能なC−SiC系、またはC−Al2 O3 系のセラミック発熱体からなる容器(ルツボ)に不燃性放射性廃棄物を収容して、常用溶融温度1300〜1600℃で溶融した後、そのまま冷却して溶融物をその容器中に固化させる、いわゆるインキャン方式といわれる方法が開示されている。
この場合、固化物は容器とともに、ドラム缶などに収容されて所定の廃棄処理に供される。
【0003】
ところで、雑固体廃棄物は発電所内で一般的に200リットルドラム缶で貯蔵さている。一方、溶融後の固化体も200リットルドラム缶に入れて埋設処分されるものである。そこで、このインキャン方式では、溶融用容器(ルツボ)ごと200リットルドラム缶に入れる必要があることから、ルツボの大きさに制限を受けるとともに、ルツボは繰り返し使用ができないため処理コストが高額になるという問題があった。
【0004】
また、焼却溶融する場合、まず可燃物と難燃物を燃焼させて灰化させた後、不燃物と一緒に溶融する方法(特開平7- 260119号公報)もあるが、廃棄物の持つエネルギーを有効に活用されないので、熱効率に劣り、処理時間もかかるという不具合があった。
また、可燃物と不燃物とを分別せずに焼却、溶融するのに、上記容器(ルツボ)を使用し、その加熱に誘導加熱と、液体または気体燃料を用いたバーナーの加熱を併用する方法(特許第2889558号明細書 発行:平成11年5月10日)も知られているが、この場合も前記した容器の問題を解決するものではなかった。
【0005】
(2)特開昭61−210998号公報
ここに記載のものは、上記(1)と同様なC−SiC系、またはC−Al2 O3 系のセラミック発熱体からなる容器に不燃性放射性廃棄物を収容して、常用溶融温度1300〜1600℃で溶融する点は前記に類似するが、この容器(ルツボ)の底には誘導加熱される出湯ノズルが設けられており、この部分を誘導加熱して溶融物を半連続的に取り出し可能とした、いわゆるメルター方式といわれるものである。
【0006】
この方式では、溶融後の固化物を容器ごと廃棄処理することなく、容器自体は繰り返し使用が可能となる点で先の(1)のものより処理コスト面で大幅な改良が期待された。しかしながら、この実用化に際して、容器本体と出湯ノズルとを一体成形する場合、製作コストが高くなる上、容器本体と出湯ノズルとの境界部分が熱衝撃に対する弱点となり、短時間のうちに破損するという問題が生じるなど、その解決が実用上の課題となった。
【0007】
(3)特開平6- 273587号公報
前記(1)インキャン方式または(2)メルター方式において、高融点廃棄物を溶融するために容器の上方から高温加熱が可能な非移行型プラズマ装置を設置したものである。
このようなプラズマ装置を併用する方式では、プラズマ装置自体の設備費用が高価であるうえ、プラズマトーチが極めて高温下で使用されるので損耗が激しく寿命が短い、さらに使用中にプラズマトーチを冷却して保護する必要があり、エネルギー効率が悪くなる他、プラズマガスには窒素や空気を使用するため、可燃物、難燃物を燃焼するには別途、多量の空気が必要となり、大型の排ガス系が必要となるなど、処理コストが高額になるという深刻な問題があった。
【0008】
(4)特開平11- 2696号公報
この方式は、上記(1)〜(3)の導電性材のルツボを用いるものとは異なり、耐火物で構築される溶融炉形式のものであり、外部からの誘導加熱にプラズマトーチを併用して、金属廃棄物は誘導加熱で、可燃物、難燃物および金属以外の不燃物をプラズマトーチで処理するようにしたものである。そして溶融物は、スライドバルブで制御され、出湯口から排出される。
【0009】
この場合、処理容量を大きくできる利点があるものの、耐火物レンガなどを組み合わせて炉床、炉壁、炉天井などを構築した溶融炉を用いるので、使用中に炉構造体自体が損耗するため、定期的に大改修を行う必要があるうえ、寿命がルツボタイプの場合の耐火物より短く、解体された耐火物屑が放射性廃棄物として大量に発生するという問題もあった。
【0010】
以上に説明したメルター方式では、例えばC−SiC系、またはC−Al2 O3 系のセラミック発熱体からなる導電性材のルツボを用いる場合には、可燃物、難燃物、不燃物、金属質廃棄物など焼却、溶融対象物の種類や性状に関係なく処理でき、誘導加熱による熱効率にも優れているが、高温下での酸化や溶湯による浸食などによって溶損するのが避けられず、その耐用命数は、50〜100時間程度と短く、処理コストの点に問題があり、その長寿命化が期待される課題となっていた。
【0011】
また、原子力発電所から発生する雑固体廃棄物のうち、放射能レベルの非常に低い廃棄物(極低レベル廃棄物、クリアランスレベル以下またはすそ切り廃棄物)については、処分コストの安い簡易処分が検討中であり、特に、放射能レベルの非常に低い金属廃棄物については、インゴットにして再利用することも検討されている。
従って、処理対象物を金属廃棄物に限定した場合には、ルツボの長寿命化が特に期待される課題となっていた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、次の利点が得られる放射性廃棄物の焼却溶融処理装置および処理方法を提供する。
(1)放射性廃棄物の可燃物、難燃物および不燃物を分別することなく一緒に焼却し、かつ溶融する。
(2)メルター方式を前提とし、構造および材質面で、特にるつぼ本体の材質と、るつぼ本体と出湯ノズルとの取付構造における弱点を改良して、耐用命数を延長させ、ルツボのランニングコストを大幅に削減する。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の問題は、本件出願の焼却溶融処理装置の発明である、上部を解放したルツボ本体の底部から下方に延びる出湯ノズルを有する、焼却溶融対象物を収容するルツボと、そのルツボ本体と出湯ノズルの外周に各々に配置された誘導加熱用コイルを具備した金属成分を含む放射性廃棄物の焼却溶融処理装置であって、ルツボ本体の下部の主として溶湯に接するルツボ主体部を非導電性セラミック材で形成し、その上部に重ねて配置される上部環状部を導電性セラミック材で形成して前記誘導加熱用コイルにより発熱可能とし、かつ、そのルツボ主体部と上部環状部との相互の端部を組付けて接続するとともに、前記出湯ノズルを導電性セラミック材で形成し、前記ルツボ主体部の底部排出孔に組付けて接続し、出湯開始、出湯停止の操作を可能にしたことを特徴とする金属成分を含む放射性廃棄物の焼却溶融処理装置によって解決することができる。
【0014】
また、これらの本発明においては、前記ルツボ本体と出湯ノズルとを螺合接続した形態や、前記ルツボ主体部と上部環状部とを螺合接続または嵌合接続した形態に好ましく具体化することができる。
【0015】
また、上記の問題は、本件出願の焼却溶融処理方法の発明である、前記の放射性廃棄物の焼却溶融処理装置を用いて、焼却溶融対象物として金属成分を含む放射性廃棄物、または金属成分に限定した放射性廃棄物をルツボに収容して、その外周に配置した誘導加熱用コイルで誘導加熱するとともに、ルツボ本体の上部に配置される上部環状部を発熱させて、当該焼却溶融対象物を焼却した後、溶融するとともに、前記出湯ノズルの外周に配置した誘導加熱用コイルで、該出湯ノズルを加熱して、ルツボ中の溶融物の出湯開始および出湯停止の操作を行うことを特徴とする放射性廃棄物の焼却溶融処理方法、によっても解決することができる。
【0016】
本件焼却溶融処理装置の発明によれば、誘導加熱される不燃物を非導電性セラミック材からなるルツボ主体部に収容して溶融でき、底部からは導電性セラミック材からなる出湯ノズルを経て溶融物を適宜取り出すことができるメルター方式の利点を享受するのは勿論のこと、ルツボ主体部を形成する非導電性セラミック材として、例えば、高アルミナ質、高ムライト質、マグネシア質、ジルコニア質などの耐熱性、耐食性セラミックスを選択できるので、ルツボ本体の耐用命数を大幅に改善できる。
【0017】
また、対象廃棄物が金属成分を含まないなど材質によって誘導加熱されにくい場合には、焼却溶融対象物に向けて配設された補助的加熱バーナを利用して、焼却、溶融できる。また、ルツボ本体には、導電性出湯ノズルを組付けて接続し、好ましくは、螺合接続することにより、従来の出湯ノズルの構造的弱点を改良したので、この点においても耐用命数を大幅に向上することができた。
【0018】
また、さらに、誘導加熱され、溶融した不燃物が接触するルツボ主体部を非導電性セラミック材で形成し、かつルツボ本体の上部環状部を導電性材で形成し、そのルツボ主体部と上部環状部との相互の端部を組付けて接続しているので、対象廃棄物が材質によって誘導加熱されにくい場合でも、前記補助的加熱バーナを使用することなく、導電性材からなる前記上部環状部を発熱させ、廃棄物を容易に焼却、溶融でき、かつ耐用命数に優れているものである。そして、そのルツボ主体部と上部環状部との相互の端部は、螺合接続または嵌合接続により組付けられているので、上部環状部を繰り返し組み付けて使用でき、長時間の使用に耐えるものとなる。
【0019】
また、本件焼却溶融処理方法の発明によれば、金属成分を含む放射性廃棄物、あるいは金属成分に限定した放射性廃棄物を焼却溶融対象物としているので、溶湯が接するルツボ主体部が非導電性材から形成されていても、ルツボ本体の上部に配置される上部環状部を発熱させつつ焼却溶融対象物を直接に加熱して焼却、溶融できる。さらに、出湯ノズルは導電性材からなるので、出湯開始および出湯停止の操作を容易に行うことができるのである。
さらに、前記したルツボ本体と出湯ノズルの組付け構造、あるいはルツボ主体部と上部環状部との組付け構造を採用しているので、破損しにくく、耐用命数が長いので長時間使用できる利点がえられるのである。
【0020】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の焼却溶融処理装置、および、それを用いる焼却溶融処理方法に係る実施形態について、図1〜7を参照しながら説明する。
本発明の焼却溶融処理装置、方法では、全体図である図1に示すように、焼却溶融対象物を収容するルツボ1として、上部を解放したルツボ本体11の底部12から下方に延びる出湯ノズル21を有する構造を持ち、そのルツボ本体11と出湯ノズル21のそれぞれの外周には誘導加熱用コイル31、32を具備した構造は従来と同様である。
【0021】
そして、本発明の特徴とするところは、前記ルツボ本体11は非導電性材、例えば、セラミック材として、例えば、高アルミナ質、高ムライト質、マグネシア質、ジルコニア質などの耐熱性、耐食性の非導電性セラミックス材で形成され、そのルツボ本体11の底部12には排出孔が設けられ、さらにこの排出孔の部分に、前記ルツボ本体11とは異種材料である誘導加熱可能なC−SiC系、またはC−Al2 O3 系セラミック発熱体などの導電性セラミック材で形成され出湯ノズル21の端部を組付けて接続し、溶融物を下方に排出できるようにした点にある。なお、前記ルツボ1の上方には、バーナノズル33aを前記焼却溶融対象物に向けた加熱バーナ33を配設した形態に具体化することもできる。
【0022】
なお、図1に基づく事例では、前記ルツボ1は、炉本体4内部に収容され、ルツボ1の上方は可燃ガスの燃焼ゾーン41とされ、ルツボ1自体は耐火物からなる支持台座42に載置され、その出湯ノズル21は支持台座42内の上下貫通孔42a内に収容された状態で、炉本体の下部から出湯できるよう配置されている。また、炉本体の上部には、廃棄物送入口43、必要に応じて空気を供給できる給気口44、排ガス出口45などを備えており、また炉本体の下部には、前記出湯ノズル21から排出される溶融物を受け入れる受容器46が準備され、この受容器46は、昇降自在な台車47に載置され、台車47ごと系外から搬入され、また系外へ搬出される。
【0023】
次に本発明において採用され得る各形態についてさらに説明する。
(1)焼却、溶融用ルツボ
本発明のルツボ1は、高アルミナ質、高ムライト質、マグネシア質、ジルコニア質などの耐熱性、耐食性の非導電性セラミックス材で形成されるルツボ本体11と、誘導加熱可能なC−SiC系、またはC−Al2 O3 系セラミック発熱体などの導電性セラミックス材から形成される出湯ノズル21から構成されるが、常用溶融温度1300〜1600℃の加熱下で可燃性、難燃性および不燃性の放射性廃棄物を焼却、溶融するものであり、ルツボ1を収容する炉構造体を形成する耐火物、例えば支持台座42などには溶融物が接触しないので、炉構造体の寿命が非常に長く、耐火物の取り替えなどの補修作業の負荷が激減できるとともに、それに伴う2次廃棄物発生量も非常に少ない。
【0024】
また、処理対象物の放射能レベル(極低レベル廃棄物、クリアランスレベル以下、またすそ切り廃棄物)に応じた処理、管理をする場合、溶湯の接する炉床、炉壁に残存する放射能が混入する、いわゆるコンタミネ−ションが問題となるが、本発明の場合、ルツボを交換するだけでその対応が非常に簡単となる。
【0025】
また本発明では、ルツボ本体を高アルミナ質、高ムライト質、マグネシア質、ジルコニア質などの耐熱性、耐食性の非導電性セラミックス材で形成することにより、高温下での酸化や溶湯の浸食などの溶損を低減することができ、耐用命数が200〜300時間以上となり、ルツボ本体を、例えばC−SiC系またはC−−Al2 O3 系セラミック発熱体からなる導電性セラミック材で形成した場合に比較して約3倍になるなど大幅に向上するに至った。
【0026】
処理対象物が金属成分を含む放射性廃棄物の場合には、対象物自体が誘導加熱されるので好ましい。原子力発電所から発生する雑固体廃棄物のうち溶融処理対象とする廃棄物には金属成分の割合が多いので特に問題はない。さらに、処理対象物が金属成分に限定した金属性放射性廃棄物の場合には、対象物自体を直接誘導加熱できるので特に好ましい。
【0027】
そして、処理対象である放射性廃棄物は、可燃物、難燃物および不燃物のうちの1種類のみまたは2種類以上の組み合わせでもよい。それらを一緒に焼却溶融してもよいし、可燃物及び難燃物を焼却、灰化させてから不燃物と一緒に溶融しても差し支えない。
【0028】
なお、廃棄物送入口43の上部には廃棄物送入機(図示せず)が設置されており、放射性の雑固体廃棄物が収納されたドラム缶(図示せず)を吊り下げ、ドラム缶ごと炉内のルツボ1に送入することもできるし、廃棄物がバラの状態または圧縮された状態の場合には、これらを開閉式のバケット(図示せず)等に充填して、ルツボ中に送入するようにすればよい。
【0029】
(2)熱源として加熱バーナを併設できる。
ルツボ本体11自体は、非導電性セラミック材であるのでそれ自体は誘導加熱されない。そこで、対象物が導電性の金属成分などを十分に含まないなど、その材質によっては誘導加熱が十分でない場合も想定されるので、そのような場合に備えて、補助用の加熱バーナ33が設置され得る。この加熱バーナ33は、前記目的以外にも、可燃物や難燃物に着火して焼却や溶融を促進し、さらには残留しがちな未燃炭素分を燃焼する、ルツボ内の溶湯上部に浮いた未溶融物を溶融する、また溶融処理能力(速度)を高める、などの対象物を直接加熱する効用の他、放熱によって処理速度遅くなりがちな溶湯上部の放熱を抑える保温効果もあるので、処理対象物の種類を問わず広く用いられ得る。
また、このような目的のため、加熱バーナ33は、焼却溶融対象物の量に応じて効率よく加熱できるように、上下に移動ができる構造とするのが好ましい。
【0030】
本発明の加熱バーナ33には、設備費や維持費がコスト高なプラズマトーチを用いる必要はなく、燃料と純酸素または高濃度酸素とを供給して、比較的高温度の燃焼火炎を生じさせることができる酸素バーナが好適であるが、石油系燃料または炭化水素系液化ガス燃料を用いる通常の燃焼バーナも適用できる。
【0031】
また、加熱バーナ33の燃料には、発電所から発生する廃油、廃活性炭、廃樹脂を活用すると経済性で好ましい。この場合、加熱バーナとしては油用(廃油との兼用可能)、廃活性炭兼廃樹脂用の2種類が必要となるが、交換式にして、いずれか1種が設置できるようにしても良い。勿論、発電所の廃棄物処理計画に応じて、いずれかの1種類のみでもよい。
また、加熱バーナ33の過熱防止手段には空冷方式でもよいが、水冷方式とすることで、より高温な火炎を生じさせることができ、ガス量も減らすことができるので施設後段の排ガス処理系の容量を減らすことができ、より好ましい。
【0032】
(3)ルツボ本体と出湯ノズルの組付け構造
本発明では、非導電性セラミック材ルツボ本体11の底部に組付けた導電性セラミック材からなる出湯ノズル21を、外周に配置した誘導加熱コイル32によって誘導加熱することにより、出湯ノズル21先端から溶融物を間欠的または半連続的に取り出すことを可能としたもので、その際に出湯ノズル21の加熱温度を調節することにより、後記のように出湯開始、出湯停止、出湯量の制御などを行うことができる。
【0033】
出湯ノズル21は、ルツボ本体11の底部の排出孔部分に、溶湯の漏れが無いように接合する。この接合は、耐熱耐食性モルタルを適用してもよいが、溶湯の漏れを確実に防止するには、その接合形状として、図4に例示するように、出湯ノズル21の端部22の外周と、ルツボ本体11の排出孔部分13とにねじを切り、螺合接続とするのが好ましい。あるいは、接合面を密着させるため、図5に例示するように、出湯ノズル21の上部とルツボ11側とを上方拡径形状に形成して斜面当接構造とするのも良い。
【0034】
このように、ルツボ本体と出湯ノズルとを別個に作製してから、特に螺合接続により組付ける構造とすることにより、溶湯の漏れを防止することができ、本発明では耐用命数が50回以上となり、従来のルツボの場合に比較して、約5倍になるなど大幅に向上するにいたった。
【0035】
図6〜8に、ルツボ本体と出湯ノズルの組付け構造の他の形態を示す。
この図6に示す実施形態では、出湯ノズル21をルツボ本体11の底部の排出孔部分に螺合接続するに際して、出湯ノズル21を貫通させるのではなく、ルツボ本体11の排出孔部分の中間まで螺合させ、耐熱耐食性のルツボ本体11の材質によって、排出孔の入口部分を保護しようとするものである。
【0036】
また、この図7に示す実施形態では、出湯ノズル21をルツボ本体11の底部の排出孔部分に接続するに際して、出湯ノズル21の端部にフランジ21aを設け、この出湯ノズル21をルツボ本体11の上方から排出孔部分に挿入して、フランジ21aを段差部分に嵌め込んだ状態に接続したものである。この形態では、両者の組付け構造では応力を吸収できるクリアランスが設けられるので、熱衝撃強度を大幅に改善することができる。
【0037】
また、この図8に示す実施形態では、ルツボ本体11を耐火物からなる支持台座42に載置するとともに、出湯ノズル21を、支持台座42内の上下貫通孔42a内に収容し、かつ出湯ノズル21の上端に設けられたフランジ21bを前記ルツボ本体の排出孔に嵌着させ、かつ前記支持台座42に支持させた状態に配置するものである。この事例では、出湯ノズル21をルツボ本体11が支持しない構造であるから、ルツボ本体11側の応力負担が少なく、構造強度が向上する利点が得られる。
【0038】
(4)出湯ノズルからの出湯の調節
図1に示すように、出湯ノズル21と支持台座42の下面とはほぼ同一のレベルとされ、その出湯ノズル21と支持台座42の直下には受容器46を配置する。受容器46は昇降可能とし、支持台座42側下面に密着させることで、出湯ノズル21から排出された溶湯は、外部に漏れることなく受容器46内部に収納される。
【0039】
出湯ノズル21からの溶融物の出湯の調節は、その外周に設けられた誘導加熱コイル32による溶湯の温度制御により行うことができる。すなわち、溶湯の温度を下げることにより、いわゆるコールドバルブが形成され、出湯は抑制または停止され、温度を上げることにより出湯を開始しまたは加速できる。
この場合、図2に示すように、出湯ノズル21下方から排出孔に向けた給気ノズル48を設け、空気または不活性ガスを吹き付けて出湯ノズル部または溶湯を直接冷却することで、出湯を遮断したり、出湯量をコントロールするようにできる。
【0040】
また、図3に示すように、出湯ノズル21と支持台座42の直下にスライディングゲート47を配置し、受容器46をこのスライディングゲート47下面に密着させる方法もある。スライディングゲート47は孔の開いたスライドプレート47aをスライドすることにより出湯ノズル21から流下する溶湯を遮断したり、出湯量をコントロールすることができる。この方式には前記空気または不活性ガスの吹きつけと組合せてもよい。
【0041】
(5)本発明の焼却溶融処理装置から発生する排ガスの処理装置システム
本発明の焼却溶融処理装置から発生する排ガスは、放射性成分を含むので、次のような構成の排ガス処理装置で処理するのが適当である。
(1) 二次燃焼炉
→(2) 冷却塔
→(3) セラミックフィルタ
→(4) 洗浄塔(または乾式吸着塔)
→(5) HEPAフィルタ
→(6) 排ガスブロア
【0042】
(6)ルツボ本体11がルツボ主体部11aと上部環状部11bから構成される構造について図9、10を参照しながら説明する。
この実施形態では、上部を解放したルツボ本体11の底部から下方に延びる出湯ノズル21を有する、焼却溶融対象物を収容するルツボと、そのルツボ本体11と出湯ノズル21の外周に各々に配置された誘導加熱用コイル(図示せず)を具備した放射性廃棄物の焼却溶融処理装置および方法である点では、先の発明の場合と同様である。
【0043】
そして、この実施形態におけるルツボの第1の特徴は、前記ルツボ本体11の下部の主として溶湯に接するルツボ主体部11aを、先の実施形態と同様に、高アルミナ質、高ムライト質、マグネシア質、ジルコニア質などの耐熱性、耐食性の非導電性セラミック材で形成するのであるが、ルツボ本体の上部環状部11bについては、誘導加熱可能なC−SiC系、またはC−Al2 O3 系セラミック発熱体などからなる導電性セラミック材で形成し、その非導電性セラミック材のルツボ主体部11aと導電性セラミック材の上部環状部11bとの相互の端部を組付けて接続する点にあり、さらに第2の特徴は、前記出湯ノズル21を、前記上部環状部11bと同様な導電性セラミック材で形成し、前記ルツボ主体部の底部排出孔に組付けて接続した点にある。
【0044】
そして、上記第1の特徴であるところの、ルツボ主体部11aと上部環状部11bとの相互の端部を組付けて接続する構造としては、図10の各部分断面図の(A)に示す相互の端部に凹凸を設けて嵌合させる構造や、同図(B)に示す相互の端部にねじ切りを設けた螺合構造、あるいは同図(C)に示す相互の端部に対面する斜面部を設けた斜面当接構造などが好ましく採用される。
【0045】
さらに、第2の特徴であるところの、出湯ノズル21を導電性セラミック材で形成したうえ、ルツボ主体部11aの底部排出孔に組付けて接続した点を含めて、本発明の利点については、既に第1の発明として詳述したところであり、前述した図1に関する記載、および同時に前述したところの下記(1)〜(5)の各項目における記載は、そのままかまたは所要部分を読み代えて、この第2の特徴事項にも適用できるのである。
(1)焼却、溶融用ルツボ
(2)熱源として加熱バーナを併設できる。
(3)ルツボ本体と出湯ノズルの組付け構造
(4)出湯ノズルからの出湯の調節
(5)本発明の焼却溶融処理装置から発生する排ガスの処理装置システム
【0046】
このように、本件焼却溶融処理装置の発明およびこれを用いた焼却溶融処理方法の発明によれば、ルツボ本体の上部環状部を導電性セラミック材で形成したので、金属成分を含む放射性廃棄物あるいは金属成分に限定した放射性廃棄物のみならず、対象廃棄物が材質によって誘導加熱されにくい場合でも、前記上部環状部を誘導加熱で発熱させ、廃棄物を容易に焼却、溶融できる利点と、溶融した不燃物が接触するルツボ主体部を非導電性セラミック材で形成したので、耐用命数が大幅に向上する利点を合わせ持つものであり、さらに、溶湯が接するルツボ主体部に比較して溶湯に接しない上部環状部はさらに耐用命数が長くなり、かつそのルツボ主体部と上部環状部とを螺合構造などで組付けて接続しているので、上部環状部を繰り返し組み付けて使用でき優れた耐用命数が得られるものとなる。
【0047】
【発明の効果】
本発明は、以上に説明したように構成されているので、下記の通りの優れた効果がある。よって本発明は従来の問題点を解消した放射性廃棄物の焼却溶融処理装置およびその焼却溶融処理方法として、その工業的価値は極めて大なるものがある。
(1)出湯ノズル付きルツボの耐用命数が従来比約3倍以上となり、大幅なコストダウンが期待できる。
(2)ルツボ本体を上下2分割型とした場合は、上部環状部を繰り返し使用できルツボの耐用命数をさらに向上させることが可能となる。
(3)インキャン方式のような溶融用容器サイズの制約が無いため、200リットルドラム缶単位の供給が可能となる。
(4)ルツボ方式なので、炉構造体部分が損傷しにくく、メンテナンスが簡単、容易になる。また、放射能レベルに応じた処理、管理も容易になる。
(5)高周波誘導炉に加熱用補助バーナを設置することにより、可燃物、難燃物及び不燃物を一緒に焼却、溶融することがさらに容易になる。
(6)プラズマトーチである必要がないので、設備費、維持費とも低コストでかつ長期間の使用に適する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の焼却溶融処理装置の実施形態を説明するための装置全体の断面略図。
【図2】同実施形態の細部を説明するための要部断面図。
【図3】他の実施形態の細部を説明するための要部断面図。
【図4】ルツボ本体と出湯ノズルの組付け構造を示す要部断面図。
【図5】ルツボ本体と出湯ノズルの他の組付け構造を示す要部断面図。
【図6】同上。
【図7】同上。
【図8】同上。
【図9】本発明の焼却溶融処理装置の実施形態を説明するための要部断面略図。
【図10】ルツボ主体部と上部環状部の組付け構造を示す要部断面図(A)(B)(C)。
【符号の説明】
1 ルツボ、11 ルツボ本体、11a ルツボ主体部、11b 上部環状部、12 底部、21 出湯ノズル、21a フランジ、31、32 誘導加熱用コイル、33 加熱バーナ、33a バーナノズル、4 炉本体、41 燃焼ゾーン、42 支持台座、42a 貫通孔、43 廃棄物送入口、44 給気口、45 排ガス出口、46 受容器、47 台車。
Claims (4)
- 上部を解放したルツボ本体の底部から下方に延びる出湯ノズルを有する、焼却溶融対象物を収容するルツボと、そのルツボ本体と出湯ノズルの外周に各々に配置された誘導加熱用コイルを具備した金属成分を含む放射性廃棄物の焼却溶融処理装置であって、ルツボ本体の下部の主として溶湯に接するルツボ主体部を非導電性セラミック材で形成し、その上部に重ねて配置される上部環状部を導電性セラミック材で形成して前記誘導加熱用コイルにより発熱可能とし、かつ、そのルツボ主体部と上部環状部との相互の端部を組付けて接続するとともに、前記出湯ノズルを導電性セラミック材で形成し、前記ルツボ主体部の底部排出孔に組付けて接続し、出湯開始、出湯停止の操作を可能にしたことを特徴とする金属成分を含む放射性廃棄物の焼却溶融処理装置。
- 前記ルツボ本体と出湯ノズルとを螺合接続したことを特徴とする請求項1に記載の放射性廃棄物の焼却溶融処理装置。
- 前記ルツボ主体部と上部環状部とを螺合接続または嵌合接続したことを特徴とする請求項1または2に記載の放射性廃棄物の焼却溶融処理装置。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の放射性廃棄物の焼却溶融処理装置を用いて、焼却溶融対象物として金属成分を含む放射性廃棄物、または金属成分に限定した放射性廃棄物をルツボに収容して、その外周に配置した誘導加熱用コイルで誘導加熱するとともに、ルツボ本体の上部に配置される上部環状部を発熱させて、当該焼却溶融対象物を焼却した後、溶融するとともに、前記出湯ノズルの外周に配置した誘導加熱用コイルで、該出湯ノズルを加熱して、ルツボ中の溶融物の出湯開始および出湯停止の操作を行うことを特徴とする放射性廃棄物の焼却溶融処理方法。
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