JP3732304B2 - 射出成形同時絵付け方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、射出成形型で絵付シートの予備成形も行う形態の射出成形同時絵付け方法に関する。特に、絵付シートの加熱を安定的に行える射出成形同時絵付け方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、成形品の成形と同時にその外表面に模様等を設ける射出成形同時絵付け方法が各種の態様で行われている。
特公昭50−19132号公報では、真空成形用の通気孔を設けた雌型を利用して熱可塑性樹脂よりなる絵付シートを雌型キャビティ面上に真空成形で予備成形した後、雌雄両型を型締めし、溶融樹脂を両型で形成されるキャビティに射出して、成形品の外表面に絵付シートを一体化させる方法が開示されている。この様な、絵付シートの真空成形と射出成形とを組合わせた態様の射出成形同時絵付方法は、複雑な曲面形状に模様付けができる方法である。
また、例えば特開平6−315950号公報では、ロールから巻きだした帯状の絵付シートを雌雄両型間に送り、雌型のパーティング面にシート押さえフレームで周囲を固定する様に絵付シートを両型間に供給した後に、熱盤を型外の退避位置から両型間に移動させ、絵付シートを非接触で加熱軟化させて、絵付シートを射出成形型で予備成形してキャビティ面に沿わせ、その後、熱盤を型外部の退避位置に退避させて両型を型締めし、両型で形成されるキャビティに溶融樹脂を射出する技術を開示している。
この様に射出成形同時絵付け方法の中でも、射出成形型を絵付シートの予備成形型と兼用し、射出成形機上で、絵付シートの真空成形(又は真空圧空成形、以下、両者を含めて真空成形ということにする)による予備成形と、射出成形とを同時に行う形態の射出成形同時絵付け方法は、樹脂成形と同時に凹凸の大きな面へも絵付けが出来る優れた方法として、各種物品の製造に使用されている。
【0003】
ところで、射出成形型で絵付シートの予備成形も行う際は、例えば、図6に例示する様に、予備成形用の通気孔4を有する型Bの例えばパーティング面1に、絵付シートSをシート押圧手段としてのクランプ2等で押圧する等して、型Bに対して絵付シートを位置固定して、絵付シートを加熱軟化する事が行われる。また、クランプ2による絵付シートの型Bへの押圧は、真空成形に備えて型Bのキャビティ3の四方全周囲で行い、絵付シートでキャビティ3を密閉空間にする様にしている(図2参照)。
一方、絵付シートの加熱を接触加熱で行うと、熱盤の加熱面に絵付シートが融着したり、或いは加熱面に絵付シートが接触し剥離する際にシワが発生することがある。そこで、絵付シートの加熱は、図6の様に熱盤10の加熱面11を絵付シートに接触させないで加熱する非接触加熱にすることが良く行われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、以上の様な方法によって、絵付シートを非接触加熱すると、図5の断面図に示す如く、型Bに対して位置固定した絵付シートSが、熱盤10側に膨らみ、ひどい時には熱盤の加熱面11に接触して不良となってしまう事があった。それは、図6の如く、型Bのキャビティ3は通気孔4から弁5を介して真空源6に連結しているが、真空成形開始前の絵付シート加熱軟化時では、キャビティ3と真空源6とは弁5で遮断しておくからである。従って、絵付シートSによって密閉されるキャビティ3は完全な密閉空間を形成する。この為、この密閉空間内に存在する空気が絵付シートの加熱に連れて加熱され膨張しても、その逃げ場は無く、その結果、加熱軟化した絵付シートを大気側に風船の様に、膨らませるのであった。
【0005】
この様に、加熱軟化時に絵付シートが膨らむ現象は、成形品サイズが小さい内は問題は起きなかったが、射出成形同時絵付け方法が普及し、より大きな成形品に対しても試みる様になり、顕在化してきた。特に、大きな凹凸面を絵付けすべく、縦横奥行き共に大きい広い面積の絵付シートを十分に加熱軟化させる場合に顕著であった。図5の様に、絵付シートの中央部が熱盤に接近すると、熱盤に接触しなくても、接近する事によって中央部がより高温に加熱される傾向となり、この結果、絵付シートの中央部は更に加熱軟化され、より接近するという悪循環が発生するからである。しかも、絵付シートの温度も予想できない加熱温度分布になる。これは、熱盤を小区分に分割して各区分毎に温度調整するのとは訳が異なり、絵付シートの膨らみ具合が制御不可能な事から、前記加熱温度分布は一定せず不安定な予測不可能な温度分布となるからである。この為、絵付シートが予備成形される時に、各部の伸び量を各々で一定に制御できず、絵付けされる模様形状寸法がロット毎にばらついて不安定になったり、真空成形時に絵付シートにシワが入ったりする等の問題もあった。
【0006】
そこで、本発明は、絵付シートを熱盤で非接触加熱する時に、絵付シートが膨れて熱盤側に接近するのを抑制し、安定的な絵付シートの加熱ができる射出成形同時絵付け方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで上記課題を解決すべく、本発明の射出成形同時絵付け方法では、射出成形型として、型Aと、通気孔を有し絵付シートの予備成形型を兼用する型Bとからなる一対の成形型を用い、両型の間に絵付シートを供給して型Bに対して位置固定し、該位置固定された絵付シートを、加熱面を該絵付シートに非接触状態に対向させた熱盤で加熱軟化させ、前記通気孔から吸気して、絵付シートを型Bのキャビティ面に密着・成形し、次いで、熱盤を両型の間から外部に退避させた後、両型を型締めし、両型で形成されるキャビティに樹脂を射出し、成形と同時に絵付シートにより成形品表面を絵付けする射出成形同時絵付け方法において、
通気孔を有する型Bのキャビティが絵付シートによって密閉空間となる様に、型Bに対して位置固定された絵付シートを、熱盤で非接触加熱する際に、位置固定された絵付シートの中央部をその周囲よりも低温に加熱することで、前記密閉空間内に存在する空気の熱膨張により、位置固定された絵付シートの中央部が、熱盤側に膨らみ接近する事を抑制しながら加熱する様にした。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の射出成形同時絵付け方法の実施の形態を説明する。
【0009】
先ず、本発明の射出成形同時絵付け方法における、絵付シートの加熱方法を概念的に説明する断面図を図1(A)に、予備成形型となる型Bに位置固定された絵付シートを正面から見た正面図を図2に示す。絵付シートSは、枠状の長方形のクランプ2で全周囲を、型Bのキャビティ3の周囲に存在するパーティング面1に押圧されている状態である。そして、このように型Bに対して位置固定された絵付シートSの、固定部分に対する絵付シートの中央部Ctが、熱盤10の加熱面11の中央部にもなる位置関係に、熱盤を非接触で絵付シートに対向させて、加熱している状態でもある。そして、本発明では図1(B)に示す如く、この絵付シートの中央部Ctを、周囲よりも低温に加熱する。低温とする度合いは、中央部の低温部と周囲の高温部とが同一温度であった場合に、加熱中に絵付シートが膨らみ熱盤の加熱面に接近する程度により適宜調整する。なお、膨らみ具合は、絵付シートの軟化の度合い、キャビティ3の容積、型Bの型温、熱盤加熱面の温度、絵付シートと熱盤加熱面との距離等によって変化する。
以上の結果、キャビティ3内の空気が熱膨張して絵付シートが熱盤側に膨れたとしても、最も膨れやすい部分は中央部では無く、その周囲となる。その結果、図1に例示する様に、同じ膨張体積でも従来より平面的に、より全体的に膨れることになり、熱盤の加熱面への接近が抑制される。従って、絵付シートと熱盤の加熱面と絵付シートとの距離の均一性も向上し、より安定的な加熱が可能となる。
【0010】
なお、概念図である図2では中央部Ctは縦長の楕円形状としてあるが、これはクランプ2の形状が縦長の長方形だからである。正方形ならば、低温とする中央部も円形と、絵付シートの周囲固定形状に応じて考えれば良い。ただし、これらは、中央部の形状まで考える場合のより好ましい対応についてであり、単に中央部とその周囲とで捉えて対応するだけでも、本発明の基本的な効果は得られる。
また、絵付シートの型Bに対する位置固定とは、図1の様に、絵付シートSが型Bに接する様に直接に型Bに固定する方法だけではない。型Bのキャビティが絵付シートによって密閉空間となって、絵付シートと型Bとの相対的位置関係が固定されればいずれの方法でも良い。例えば、クランプ2を絵付シートの表裏に各一つ合計2つ用いて、一対のクランプで絵付シートを表裏から挟持して、他方のクランプを型Bに接触固定する方法などである。また、型Bの側にはクランプを設けずに代わりに熱盤の加熱面の外周に絵付シート側に突出した土手状の枠を設け、この枠で熱盤の接近とともに絵付シートを型Bに位置固定する方法などでも良い。
【0011】
ところで、本発明で絵付シートの中央部を周囲よりも低温に加熱するのは、絵付シートを真空成形する際に絞り(乃至は伸び)の大きい部分と小さい部分とで、絵付シートの加熱に温度差を付けるのとは、本質的に異なる。ちなみに、図3(A)の型Bは、キャビティ3の中央部が絞りが大きい形状で、その周囲は絞りが小さい形状の場合である。このような場合でも、キャビティ3内の空気が熱膨張して、絵付シートSが膨らむ時は、その膨らむ形状はキャビティ3の容積には関係しても、キャビティ3の形状には関係無いからである。
そして、このような絞りの大小、或いは絵柄の伸び縮みの意識的な調整等に応じて、絵付シートの加熱に温度分布を設ける場合は、図3(B)の様な温度分布となる。この様な温度分布の形成法は特開平7−290501号公報等で公知の技術である。なお、本発明の一態様として、図3(B)の如き温度分布と図1(B)の如き温度分布とが重畳した図3(C)の如き温度分布を採用することも出来る。
【0012】
熱盤10は、絵付シートの中央部Ctをその周囲よりも低温に加熱する為に、熱盤中央部の加熱面の設定温度をその周囲よりも低温に設定するか、或いは熱盤中央部の輻射率を周囲よりも低く設定した熱盤を用いる。図4は、熱盤10の加熱面11の中央部Ct1を低温に設定し、その周囲を高温に設定する例である。(なお、絵付シートと熱盤との位置関係によっては、絵付シートの中央部が熱盤の加熱面の中央部になるとは限らない。)この為には、熱盤は、少なくとも中央部Ct1を周囲と独立に温度調整できる熱盤を使用すれば良い。低温に設定する加熱面の中央部の形状は、好ましくは、絵付シートで考えるべき中央部Ctの形状と同一又は類似の形状が良い。即ち、熱盤加熱面の温度分布乃至は輻射率は図1(B)、或いは図3(C)のパターンに一致するパターンとする。例えば、図1(及び図2)では絵付シートの中央部Ctは縦長の楕円形の為、熱盤に設定する温度パターンも、近似形状として、例えば縦長の長方形の中央部Ct1とする。
【0013】
なお、熱盤10としては、中央部を周囲より低温に温度設定できるものであれば、射出成形同時絵付け装置で用いている従来公知のもので良い。例えば、金属又はセラミック製のブロック中に電熱ヒータを埋設したものや、或いは耐熱樹脂製又は金属製のシート状のいわゆる面状発熱体でも構わない。また、熱盤の表面には、絵付シートを真空圧空成形するための圧空を吹き出す通気孔を設けたものでも良い。そして、中央部を低温とするには、低温部分と他の部分(高温部分)とが、独立した発熱ブロックとなっており、それぞれ独立に温度制御できる構造のものを用いれば良い。また、加熱面を碁盤目状に、縦横複数に区画した独立温度制御の複数の発熱ブロックからなる熱盤として、絵付シートの中央部の低温とすべき形状が製品によって変化する場合に合わせて、低温とする発熱ブロックを適宜選択しても良い。この様な場合には、最中央部は最も低温、その隣接周囲はやや低温、更にその隣接周囲は通常の温度(高温)となる様に階段状に、より連続的な温度分布となる様に設定する等しても良い。
なお、電熱ヒータを用いた発熱ブロックの場合に、各発熱ブロックの温度(発熱量)を調整する手段としては、サイリスタ、スライド変圧器等公知の電力制御手段を用いる。また、各発熱ブロックの温度を計測し確認する手段としては、熱電対等公知の温度センサを用いれば良い。
【0014】
また、熱盤の発熱体自体には面的温度分布の調整機構が無いものでも、熱盤の発熱体面に、輻射熱量を低減する加熱調整材を必要な形状に設けても良い。加熱調整材としては、熱盤の加熱面を構成する表面材と熱伝導率、又は/及び輻射率が異なる板材を用いることができる。例えば、加熱面が鉄の場合、セラミックス、マイカ、ステンレス鋼、ステアタイト、あるいはこのような物質の微粉末を配合した樹脂プレート、或いは柔軟なゴム状シート等が使用できる。加熱面が曲面の場合には、シリコーンゴム等のゴム状シートが適している。又、網状構造体、樹脂発泡体、或いは不織布等のように内部空隙を有する構造体も使用できる。
なお、加熱時にクランプ等で位置固定される絵付シートは図1〜図10の例では平面形状の場合を図示しているが、本発明ではその態様には限定されず、特開平7−227877号公報等に開示される様に、固定された絵付シートの断面が曲線や折れ線等の二次曲面形状の場合でも、本発明は適用できる。この場合は、熱盤も絵付シートの固定形状に概ね沿った曲面形状とする。
【0015】
以上の様に、本発明の射出成形同時絵付け方法は、絵付シートの加熱方法に特徴があり、その他の部分については、従来公知の射出成形同時絵付け方法における各種技術を適用できるものである。
そこで、本発明の射出成形同時絵付け方法の一形態として、絵付シートに帯状の物を用いて連続生産する例を、絵付シートの供給から、加熱軟化、予備成形、射出成形の順に、図7〜図10を参照しながら一通り説明する。なお、本発明で用いる絵付シートは枚葉、帯状のどちらでも良い事はもちろんである。また、斜線は仮想的切断面であり、型Bの通気孔、真空源等の図示は省略してある。
【0016】
先ず、最初は、絵付シート供給前の状態が図7である。ロールRから巻きだされた帯状の絵付シートSの先端は、チャック7で表裏から把持された状態である。そして、この状態から絵付シートを型間に供給して図8の絵付シート供給後の状態にする。すなわち、チャック7が絵付シートSを把持したまま下方に移動して、型外部下方に位置するチャック8が絵付シートの先端を把持できる位置まで、絵付シートを搬送する。チャック8が絵付シート先端の把持を完了すると、チャック7は絵付シートの把持を解除して、型外部上方に移動して元の位置まで戻り、次のショットの準備として絵付シートを型Bの上流側で把持する。次いで、型間に常時位置するクランプ2が、エアシリンダ等の駆動機構により型B側に前進移動(図面左側方向)して、絵付シートを型Bのパーティング面に押圧して、固定する。この結果、絵付シートの型間への供給が完了する。なお、クランプ2は、例えば型Bのキャビティの周囲を囲繞して絵付シートを押圧する様に図2の様な四角形の枠形状をしている。
そして、熱盤10が、型外部の退避位置から型間に移動し、加熱する絵付シートに対向する位置まで移動する。この状態が図8である。
【0017】
次は図9の如く、絵付シートSの加熱軟化である。熱盤10が前進し(図面左側方向)、クランプ2に当接する位置まで移動する。そして、絵付シートに対して熱盤の加熱面は所定の距離隔てて、絵付シートを非接触で加熱する。絵付シートは図1(B)の如く中央部を低温にして加熱する。従って、型Bのキャビティ3内の空気が熱膨張しても、絵付シートの中央部が最も膨らみ熱盤10の加熱面11に最も接近する傾向が抑制される。絵付シートはより平面的に熱盤側に膨らむ。
なお、熱盤が加熱位置に移動すると同時に、同図では、熱盤上方に張り渡したニクロム線等の加熱線状からなる切断手段20が絵付シートに接触して、絵付シートを切断する。なお、型Bのパーティング面には切断手段の邪魔をしない様に受け溝13を切断手段20と対向する面部分に設けてある。
【0018】
そして、絵付シートの加熱軟化後、または加熱軟化と同時に、型Bに設けた通気孔(図示せず)から吸気して、絵付シートを真空成形して型Bのキャビティ面に密着させて、絵付シートの予備成形を行う。予備成形後に、熱盤10は両型間から型外部の退避位置に移動・退避させる。その後、両型A、Bを型締めする。図10がこの絵付シートの予備成形、型締後の状態である。なお、図10の如く、型Aのパーティング面には、クランプ2が型締めを邪魔しない様にクランプを収納できる凹部となる受け溝14をクランプと対向する面部分に設けてある。
また、通常は型Aの側に射出ノズルと連通する湯道(ランナー)及び湯口(ゲート)を設け(図示略)、これらを通じて液状の樹脂を両型で形成されるキャビティ内に射出する様に構成する。そして、両型で形成されるキャビティに樹脂を射出し充填して固化した後、型開きすれば、成形と同時に絵付シートにより表面が絵付けされた成形品が得られる。
【0019】
なお、本発明で使用し得る絵付シートとしては、射出成形同時絵付けに於ける従来公知のものが使用でき特に制限されるものではない。また、絵付シートはラミネートシートでも転写シートでも、どちらでも良い。例えば、絵付シートの基材としては成形性の有る樹脂シートが用いられる。該樹脂シートとしては例えば、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)、ポアミド樹脂、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、熱可塑性エラストマー等のシートの単層又は2層以上の積層体が用いられる。
また、成形樹脂も射出成形同時絵付けに於ける従来公知のものが使用でき特に制限されるものではない。例えば、熱可塑性樹脂であれば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)樹脂、スチレン樹脂、AS(アクリロニトリル−スチレン共重合体)樹脂、ポリカーボネート樹脂等があり、硬化性樹脂であれば、不飽和ポリエステル樹脂、硬化性アクリル樹脂、2液硬化型ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等がある。
【0020】
また、本発明でいう「絵付け」とは、単に絵柄や文字、図形等の目視可能な模様を成形品に付与する以外に、目視不可能な模様、あるいは硬質塗膜、導電性等の機能性層を付与することも包含する。目視可能な模様としては、印刷等により形成したインキ層、真空蒸着等により形成した金属薄膜など公知のものが用いられる。
なお、本発明でいう射出成形とは、通常一般の射出成形で用いる「熱溶融した熱可塑性樹脂」を射出する以外に、「室温で溶融状態にある熱硬化又は2液反応硬化型樹脂の未硬化物」を射出する事も包含する。
【0021】
【発明の効果】
本発明によれば、絵付シートを熱盤で非接触加熱する時に、絵付シートが膨れて、その中央部のみが特に熱盤側に接近するのが抑制される。その結果、絵付シートが熱盤の加熱面に接触して不良となる事が無い。また、安定的な、意図した通りの加熱温度分布で絵付シートの加熱ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の射出成形同時絵付け方法による、絵付シートの加熱方法を概念的に説明する断面図。
【図2】加熱される絵付シートを正面から見た正面図。
【図3】絵付シートの加熱方法とキャビティ形状との関係の説明図。
【図4】絵付シート中央部を低温に加熱する為の熱盤の温度設定例の説明図。
【図5】従来の加熱方法にて、絵付シートが膨れる不具合を示す説明図。
【図6】型上で絵付シートが加熱される様子を示す説明図。
【図7】本発明の射出成形同時絵付け方法の一形態による手順の概念的説明図(その1:絵付シート供給前)。
【図8】同じく、手順の概念的説明図(その2:絵付シート供給後)。
【図9】同じく、手順の概念的説明図(その3:絵付シート加熱中)。
【図10】同じく、手順の概念的説明図(その4:絵付シート予備成形、型締後)。
【符号の説明】
1 (型Bの)パーティング面
2 クランプ(シート固定手段)
3 (型Bの)キャビティ
4 通気孔
5 弁
6 真空源
7 チャック(シート把持搬送手段)
8 チャック(シート把持手段)
10 熱盤
11 加熱面
12 受け溝
13 受け溝
20 切断手段(加熱線条など)
A 型(雌型)
B 型(雄型)
Ct 中央部
Ct1 中央部
R ロール
S 絵付シート
Claims (1)
- 型Aと、通気孔を有し絵付シートの予備成形型を兼用する型Bとからなる一対の成形型を用い、両型の間に絵付シートを供給して型Bに対して位置固定し、該位置固定された絵付シートを、加熱面を該絵付シートに非接触状態に対向させた熱盤で加熱軟化させ、前記通気孔から吸気して、絵付シートを型Bのキャビティ面に密着・成形し、次いで、熱盤を両型の間から外部に退避させた後、両型を型締めし、両型で形成されるキャビティに樹脂を射出し、成形と同時に絵付シートにより成形品表面を絵付けする射出成形同時絵付け方法において、
通気孔を有する型Bのキャビティが絵付シートによって密閉空間となる様に、型Bに対して位置固定された絵付シートを、熱盤で非接触加熱する際に、位置固定された絵付シートの中央部をその周囲よりも低温に加熱し、前記密閉空間内に存在する空気の熱膨張により、位置固定された絵付シートの中央部が、熱盤側に膨らみ接近する事を抑制しながら加熱する、射出成形同時絵付け方法。
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