JP3729739B2 - 置換フェニルエチレン前駆体堆積方法 - Google Patents

置換フェニルエチレン前駆体堆積方法 Download PDF

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Description

【0001】
(技術分野)
本発明は、本願と同一の発明者により1998年11月10日に出願され、「Improved Copper Precursor and Synthesis Method」と題された米国仮出願第60/107892号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、一般的に集積回路プロセスおよび製造に関し、より詳細には、α−メチルスチレンなど、液相安定性を改良し、高速堆積での銅の堆積を可能にし、低抵抗率で、選択された集積回路表面への良好な接着を有する置換フェニルエチレンリガンドを有する前駆体および合成方法に関する。
【0003】
(背景技術)
ますます小さく、より安価で、より強力な電子製品に対する需要が、転じて、より大きな基板上のより小さなジオメトリの集積回路(IC)に対する需要を刺激している。このことは、IC基板上の回路のより密なパッケージングに対する需要をも作り出している。より小さなジオメトリIC回路に対する要求は、要素と誘電層との間の相互接続が可能な限り小さいことを要する。従って、相互接続および接続線を介した幅を低減することに関する研究が続けられている。相互接続の伝導率は、相互接続表面の面積が低減されるにつれて低減し、相互接続抵抗率の結果的な増大は、IC設計の障害となってきた。高い抵抗率を有するコンダクタは、高インピーダンスの伝導経路と大きな伝播遅延とを生み出す。これらの問題は、信頼できない信号タイミング、信頼できない電圧レベル、および高速ICの動作における素子間での長い信号遅延を生み出す。また、伝播の不連続は、不良な接続をされた交差伝導表面、または大きく異なるインピーダンス特性を有するコンダクタの接合によっても生じる。
【0004】
相互接続およびバイアスの両方が低い抵抗率と、揮発性原料のプロセス環境に耐える能力とを有する必要がある。集積回路の製造では、電気的に活性な領域の間に相互接続またはバイアスを形成するために、アルミニウムおよびタングステン金属がしばしば用いられる。これらの金属は、特別な取り扱いを要する銅とは異なり、製造環境での使用が容易であるので、普及している。
【0005】
銅(Cu)は、電気回路内の配線およびバイアスの寸法を低減する試みにおいて、アルミニウムの代用とするものとして当然選択されるように思われる。銅の伝導率は、アルミニウムの伝導率の約2倍であり、タングステンの伝導率の約3倍である。結果としてアルミニウムの約半分の幅を有する銅配線を介して同量の電流が運ばれる。
【0006】
銅のエレクトロマイグレーション特性も、アルミニウムのエレクトロマイグレーションよりはるかに優れている。アルミニウムは、銅の約10倍、電子移動による劣化および破損を受けやすい。結果として、銅配線は、アルミニウム配線よりはるかに小さな断面を有するものでさえ、電気的整合性(electrical integrity)をより良好に保持できる。
【0007】
しかしながら、ICの加工に銅を用いることに関して問題が存在する。銅は、IC加工に用いられる多くの材料を汚染するので、典型的には、銅が移動するのを防ぐための障壁が構築される。これらの半導体領域に銅元素が移動することで、関連するトランジスタの伝導特性が劇的に変わる。銅を使用することの別なる問題は、IC表面に対し銅を堆積および除去するのに、比較的高い温度を要することである。これらの高い温度は、関連するIC構造およびフォトレジストマスクを損傷し得る。
【0008】
また、選択されたIC形状のジオメトリが小さい場合、アルミニウムの堆積のために従来のプロセスを用いて基板上またはバイアホール内に銅を堆積するという問題がある。すなわち、IC配線層間の端続において、アルミニウムに代えて銅を使用するための、新しい堆積プロセスが開発されてきた。小径のバイアホールを充填するのに、アルミニウムまたは銅のいずれかの金属をスパッタリングするのは非実用的である。これは、間隙を充填する能力が乏しいためである。銅を堆積するには、まず物理蒸着法(PVD)が、次に化学蒸着法(CVD)の技術が、産業界で開発されてきた。
【0009】
PVD技術ではIC表面が銅の蒸気に曝され、銅が表面に凝縮する。この技術は表面に関して選択的ではない。銅が金属表面に堆積される場合、隣接する非伝導面は、マスクされるか、後続の工程できれいにエッチングされなければならない。前述のように、フォトレジストマスクおよびその他の隣接するIC構造は、銅がプロセスされる高温において潜在的に損傷を被る。CVD技術は、いかなる表面に銅が堆積されるかに関し、より選択的であるので、PVDの改良である。CVD技術は、金属表面と銅蒸気との間の化学反応に頼り、金属表面に銅を堆積するので、選択的である。
【0010】
典型的なCVDプロセスでは、銅はリガンド、すなわち有機化合物と結合し、一貫した温度で確実に銅化合物が揮発性になり、最終的に分解することを促進する。すなわち、銅は化合物中の成分であって、気体として蒸発し、気体が分解するとき固体として堆積する。拡散障壁材料など集積回路の選択された表面が、高められた温度環境において、銅の気体すなわち前駆体に晒される。銅気体の化合物が分解するとき、銅が選択された表面に残る。CVDプロセスには、いくつかの銅気体化合物を利用できる。銅気体化合物の構成が、少なくとも部分的に、選択された表面に銅を堆積する能力に影響することは、一般的に認められている。
【0011】
銅金属薄膜は、多くの異なる種類の銅前駆体を用いた化学蒸着法を介して、調製されてきた。1990年に、D.B.BeachらのChem.Mater.(2)216(1990)は、(η5−C55)Cu(PMe3)を用いたCVDを介して、純銅膜を獲得し、その後の1992年、H.K.ShinらのChem.Mater.(4)788(1992)は、(hfac)Cu(PR3n(R=メチルおよびエチル、n=1および2)を用いることによる同等の結果を発表している。しかしながら、これらの銅前駆体は固体であり、銅薄膜CVDプロセスのための液体送達システムに用いることができない。さらに、銅膜はしばしば、炭素および燐の混入物を含んでおり、ICにおける相互結合部(inter connecter)として用いることはできない。
【0012】
Cu2+(hfac)2すなわち銅(II)ヘキサフルオロアセチルアセトネート前駆体は、IC基板および表面にCVD法により銅を堆積するのに従来用いられてきた。しかしながら、これらのCu2+前駆体は、堆積された銅のなかに混入物を残すこと、および前駆体を銅に分解させるために比較的高温を用いなければならないことが知られている。
【0013】
銅前駆体の初期の研究は、一連のフッ化銅(I)β−ジケトネート錯体の評価に集中しており、この化合物は、銅金属薄膜を化学蒸着法で堆積させるのに非常に有望な原料であることが証明されてきた。フッ化銅(I)β−ジケトネート化合物は、Gerald Doyleによる、米国特許第4,385,005号(1983)および4,425,281号(1984)において、初めて合成され、このなかでDoyleは、合成方法および不飽和有機炭化水素の分離への応用を提示している。米国特許第5,096,737号(1992)において、Thomas H.Baumらは、これらのフッ化銅(I)β−ジケトネート化合物を、CVD銅薄膜調製のための銅前駆体として適用することを請求している。銅薄膜は、これらの前駆体を用いて化学蒸着法により調製されている。
【0014】
いくつかの液体銅前駆体のなかで、1,5-ジメチル1,5-シクロオクタジエン銅(I)ヘキサフルオロアセチルアセトネートと混合された1,6-ジメチル1,5-シクロオクタジエン銅(I)ヘキサフルオロアセチルアセトネート((DMCOD)Cu(hfac))およびヘキシン銅(I)ヘキサフルオロアセチルアセトネート((HYN)Cu(hfac))は、詳細に評価されてきた。(DMCOD)Cu(hfac)を用いて堆積された銅薄膜は、金属または金属窒化物基板への接着が非常に良好であるが、高抵抗率(2.5μΩ・cm)で、低堆積速度である。(HYN)Cu(hfac)銅膜は、TiN基板への接着が不良で、抵抗率が高い(2.1μΩ・cmまで)。別の化合物、ブチン銅(I)(hfac)、すなわち((BUY)Cu(hfac))は、低抵抗率(1.93μΩ・cm)の銅膜を提供するが、接着が不良で比較的高価である。また、この化合物は固体であるので、液体送達システムでは使用が難しい。一連のトリアルキルビニルシランにより安定化された銅(I)(hfac)の発明(John A.T.Normanら、米国特許第5,085,731号(1992))は、銅薄膜の特性を改良した。
【0015】
TMVSがトリメチルビニルシランである液体銅前駆体(hfac)Cu(TMVS)を用いて堆積された銅膜は、抵抗率が低く基板に適度に接着する。この前駆体は、約200℃という比較的低温で用いることができるので有用である。この液体銅前駆体は、CVDを介した銅金属薄膜の調製にしばらく用いられてきたが、なおトリメチルビニルシラン安定剤としていくつかの欠点が存在する。すなわち、安定性、銅膜の接着性、の費用などである。またこの前駆体は、とりわけ安定しているわけではなく、冷蔵しなければ貯蔵寿命が比較的短くなり得る。(hfac)Cu(tmvs)の接着、温度安定性、およびIC表面に堆積される速度を改良するために、様々な材料が添加されてきた。Nguyenらにより発明され、「Method Of Using Water To Increase The Conductivity Of Copper Deposited With Cu(HFAC)TMVS」と題された、米国特許第5,744,192号は、(hfac)Cu(tmvs)により堆積されたCuの電気伝導率を改良する前駆体および方法を開示している。
【0016】
(hfac)Cu(tmvs)が35℃以上で不安定になり、分解し始めることは、当該分野では一般的に認められている。この温度で保存された(hfac)Cu(tmvs)前駆体の使用は、望ましくないプロセスの結果をもたらす。35℃未満で保存された(hfac)Cu(tmvs)の効果もまた、予測不可能である。前駆体の「新鮮な」バッチ、すなわち室温より十分低い温度で保存された前駆体が、予測可能なプロセスを保証するのに用いられる。
【0017】
Zhuangらにより発明された同時係属出願第09/210,099号、「Substituted Phenylethylene Precursor and Synthesis Method」において、置換フェニルエチレンを含む銅前駆体が開示されている。上記出願を参照として本願に援用する。
【0018】
低抵抗率および良好な接着特性で、銅を効果的に堆積できる銅前駆体が発見されれば、有益である。この前駆体が廉価にて合成できれば、さらに有益である。
【0019】
Cu前駆体が強力な接着でICウェハ上に堆積され得、後続するCu膜の高い堆積速度での堆積を可能にすれば、有益である。
【0020】
(発明の開示)
従って、集積回路(IC)ウェハ上に銅(Cu)シード層を堆積するための方法であって、この方法は、
a)Cu+1(ヘキサフルオロアセチルアセトネート)、および1つのフェニル基を第1の炭素原子に結合された置換フェニルエチレンリガンドを含むCu前駆体化合物気化する工程であって、その第1の炭素原子への残りの結合が、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、フェニル、およびC1〜C6アルコキシルを含む第1の群から選択され、第2の炭素原子が第2および第3の結合を含み、第2および第3の結合がH、C1〜C6アルキル、フェニル、およびC1〜C6アルコキシルを含む群から選択され、好適には、置換フェニルエチレンリガンドがα−メチルスチレンである、工程と、
b)ICウェハのCu受容表面上でCu前駆体化合物を分解し、Cuシード層を形成する工程であって、それによってシード層が化学蒸着法(CVD)を介して形成される工程と、
c)Cuシード層の上に重なるCuの第2の層を形成する工程であって、それにより、Cuシード層がCu膜とCu受容表面との接着を高める工程と、
を含む方法が提供される。
【0021】
本発明のある局面では、Cu前駆体化合物が、Cu前駆体混合物を生成するための添加剤を含む。そして、Cu前駆体混合物はCu前駆体化合物の重量比で約15%以下の置換フェニルエチレンの添加剤をさらに含む。工程a)が、α−メチルスチレンである置換フェニルエチレンリガンドを含むとき、添加剤の置換フェニルエチレンリガンドもα−メチルスチレンである。
【0022】
いったんシード層が配置されれば、工程c)は、CVD、物理蒸着法(PVD)、および電気メッキからなる群から選択される堆積方法により第2のCu層を堆積することを含む。α−メチルスチレンCu前駆体は、Cuシード層の厚さに比べて、比較的厚い第2のCu層を高い堆積速度で形成するのにも用いられる。
【0023】
(発明を実施するための最良の様態)
以下に開示される置換フェニルエチレンリガンド銅前駆体は、合成するのが廉価である。100g当たり約165ドルであるトリメチルビニルシランに比して、α−メチルスチレンは100g当たり約0.60ドルと廉価である。この前駆体は室温で安定しており、保存および取り扱いが容易である。この前駆体は室温で液相を保つが、より高温では揮発性が高い。従って、90℃の真空下で4分間の前駆体安定性を要する、CVD液体送達ラインおよび気化器では、分解は起こらない。さらに、この前駆体は、W、Ti、TiN、Ta、TaN、Al、Pt、WNおよび同様の障壁材料などの金属および金属窒化物Cu受容基板表面への卓越した接着を有する。この前駆体を用いて堆積される銅は、低い抵抗率(<1.9μΩ・cm)、高い電子移動抵抗、および深刻な表面形態に対し卓越した一致性を有する。
【0024】
図1は、本発明の置換フェニルエチレンリガンドを有する本発明の前駆体の模式図である。揮発性銅(Cu)前駆体化合物10が、選択された表面への銅(Cu)の化学蒸着(CVD)のために使用される。前駆体化合物10は、Cu+1(ヘキサフルオロアセチルアセトネート)および置換フェニルエチレンリガンドを含む。
【0025】
図2は、置換フェニルエチレンリガンド20の模式図である。置換フェニルエチレンリガンド20は、第1の炭素原子に結合された1つのフェニル基を含み、第1の炭素原子への残りの結合は、R1により表される可能な分子の第1の群から選択される第1の炭素原子と結合する。R1群は、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、フェニル、およびC1〜C6アルコキシルから成る。第2の炭素原子は、それぞれ、R2およびR3により表される分子の第2および第3の群から選択される。第2および第3結合、すなわちR2およびR3は、H、C1〜C6アルキル、フェニル、C1〜C6アルコキシルから成る群から選択される。第2および第3結合(R2およびR3)は、お互いに独立して変化する。これにより高いCu堆積速度が可能な安定した前駆体が形成される。
【0026】
図3は、α−メチルスチレンリガンド30の好適な実施形態の模式図である。第1の結合(R1)はH3Cであり、第2の結合(R2)はHであり、第3の結合(R3)はHであり、これによりα−メチルスチレンリガンドが生成される。
【0027】
本発明のある局面において、安定した液相前駆体を改良および容易にするために、化合物10は前駆体混合物を形成するための添加物を含む。この前駆体混合物は、前駆体化合物の重量比による測定で約15%以下の置換フェニルエチレン20(図2参照)を含む。
【0028】
この混合物は、以下の構造式
(C65)(R1)C=C(R2)(R3
を有する置換フェニルエチレン添加物をさらに含む。
【0029】
ここでR1は、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、フェニル、およびC1〜C6アルコキシルから成る群から選択され、
2は、H、C1〜C6アルキル、フェニル、およびC1〜C6アルコキシルから成る群から選択され、
3は、H、C1〜C6アルキル、フェニル、およびC1〜C6アルコキシルから成る群から選択され、それによって、前駆体は液体でさらに安定化される。
【0030】
前駆体を形成するために選択された置換フェニルエチレンリガンドは、前駆体混合物を形成するための添加物として用いられるのと同一のフェニルエチレンリガンドである。即ち、前駆体がα−メチルスチレンリガンドを用いるとき、添加物もα−メチルスチレンである。
【0031】
図4は、銅(Cu)シード層を堆積するための方法を示すフローチャートである。工程100は、集積回路(IC)ウェハを提供する。工程102は、Cu+1(ヘキサフルオロアセチルアセトネート)と、第1炭素原子に結合された1つのフェニル基を含む置換フェニルエチレンリガンドとを含むCu前駆体化合物を気化する。第1の炭素原子への残りの結合は、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、フェニル、およびC1〜C6アルコキシルから成る群から選択される。第2の炭素原子は第2および第3の結合を含む。第2および第3の結合は、H、C1〜C6アルキル、フェニル、C1〜C6アルコキシルからなる群から選択される。
【0032】
本発明のある局面では、工程102は、互いに独立的に変化する第2および第3の結合を含む。好適には工程102は、第1の結合がH3Cであり、第2の結合がHであり、かつ第3の結合がHであることを含み、それによってα−メチルスチレンリガンドが生成される。
【0033】
本発明のある局面では、さらなる工程が工程102に先行する。工程100aは、Cu前駆体混合物を形成するための添加物を含む液体Cu前駆体化合物を形成することを含む。
【0034】
Cu前駆体混合物は、前駆体化合物の重量比による測定で約15%以下の置換フェニルエチレンを含み、安定した液体前駆体を容易にする。
【0035】
工程100aは、以下の構造式、
(C65)(R1)C=C(R2)(R3
を有する添加物を含む。
【0036】
1は、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、フェニル、およびC1〜C6アルコキシルから成る群から選択される。R2は、H、C1〜C6アルキル、フェニル、およびC1〜C6アルコキシルから成る群から選択される。R3は、H、C1〜C6アルキル、フェニル、およびC1〜C6アルコキシルから成る群から選択され、それによって、前駆体は液体でさらに安定化される。
【0037】
典型的には、工程100aは、Cu前駆体化合物の置換フェニルエチレンリガンドが、添加物の置換フェニルエチレンリガンドと同一であることを含む。従って、前駆体化合物がα−メチルスチレンリガンドを含む場合、添加物もα−メチルスチレンリガンドである。
【0038】
工程104は、Cu前駆体化合物をICウェハのCu受容表面上で分解し、Cuシード層を形成し、それによって化学蒸着法(CVD)を介してシード層が形成される。工程106は、Cuシード層に重なるCuの第2の層を形成する。工程106は、CVD、物理蒸着法(PVD)、および電気メッキから成る群から選択される堆積方法により第2のCu層を堆積することを含む。すなわち、いったん接着シード層が付与されると、他のより費用効果の高い方法を用いて、銅膜の形成を完了し得る。工程108は、Cuシード層がCu膜とCu受容表面との間の接着を高める生成物である。
【0039】
本発明のある局面では、工程100は、ICが搭載されるウェハチャックを有するチャンバを提供する。また、工程100は、シャワーヘッドまたは等価物である蒸気散布システムも提供する。このプロセスを詳細に説明する、さらなる工程が工程102に先行する。工程100bは、60〜80℃の範囲で気化温度を確立する。工程100cは、約140〜230℃の範囲でチャック温度を確立する。工程100dは、チャンバ圧力を約0.1〜2トル(T)の範囲で確立する。一般的に、0.3〜1.2Tの圧力が好ましい。工程100eは、シャワーヘッドとCu受容表面との間の距離を15〜60ミリメートル(mm)の範囲で確立する。
【0040】
工程100fは、Cu前駆体化合物の蒸気を搬送するヘリウムキャリアガスの流量を、10から400までの標準立法センチメートル(sccm)の範囲で確立する。一般的に、約30から150sccmの流量が好ましい。工程100gは、液体前駆体の流量を0.05〜0.7ミリメートル毎分(mL/min)の範囲で確立する。一般的に、0.07〜0.2の速度が好ましい。この前駆体流量は、約13%の堆積効率を想定している。
【0041】
他の工程が工程102に続く。工程102aは、水蒸気を搬送するための湿式ヘリウムガスの流量を約0.1〜50sccmの範囲で確立する。一般的に、0.5〜10sccmの流量が好ましい。
【0042】
図5は、Cu受容表面上にCuシード層を形成する図4の堆積技術の好適な実施形態の1つを示すフローチャートである。工程200は、集積回路(IC)ウェハを受け入れるためのウェハチャックと、ICウェハのCu受容表面上に材料を散布するシャワーヘッドとを有するチャンバを提供する。工程202は、Cu+1(ヘキサフルオロアセチルアセトネート)およびα−メチルスチレンリガンドを含む液体Cu前駆体化合物を形成する。工程204は、Cu前駆体化合物の重量比で約5%のα−メチルスチレンリガンドを添加し、Cu前駆体化合物混合物を生成する。工程206は、Cu前駆体化合物混合物を約70〜80℃の範囲の温度、好ましくは65℃で気化する。工程208は、ウェハチャックを約200℃の温度で加熱する。工程210は、約0.5Tのチャンバ圧力を生成する。工程212は、シャワーヘッドとCu受容表面との間の距離を約30mmで確立する。工程214は、気化されたCu前駆体化合物混合物を流量約100sccmのヘリウムキャリアガスで搬送する。このシャワーヘッド距離は、様々なシャワーヘッドに有効である。典型的には、非対照のシャワーヘッドまたは他の材料散布装置を使用するときは、この距離が変更される。
【0043】
工程216は、5%の添加物を含むCu前駆体化合物混合物を気化する。工程218は、約0.15mL/minの範囲の液体前駆体流量でCu前駆体化合物混合物を流す。工程220は、約5sccmの湿式ヘリウムガス流量で水蒸気を搬送する。
【0044】
工程200〜220に応答して、工程222は、Cu受容表面上にCuシード層を形成する。工程222は、毎分約260Åの堆積速度でCuシード層を堆積することを含む。工程222は、約2.0マイクロオームセンチメートル(μΩ・cm)の抵抗率を有する堆積されたCuシード層も含む。工程224は、Cuシード層に重なるCu膜の第2の層を堆積する。工程224は、CVD、物理蒸着法(PVD)、および電気メッキから成る群から選択される堆積方法により第2のCu層の堆積することを含む。工程226は、良好な接着特性を有する厚いCu膜が形成される生成物である。
【0045】
図6は、Cu受容表面上にCuシード層を形成する図4の堆積技術の別の好適な実施形態を示すフローチャートである。工程300は、集積回路(IC)ウェハを受容するためのウェハチャックと、ICウェハのCu受容表面上に材料を散布するシャワーヘッドとを有するチャンバを提供する。工程302は、Cu+1(ヘキサフルオロアセチルアセトネート)およびα−メチルスチレンリガンドを含む液体Cu前駆体化合物を形成する。工程304は、Cu前駆体化合物の重量比で約15%のα−メチルスチレンリガンドを添加し、Cu前駆体化合物混合物を生成する。工程306は、Cu前駆体化合物混合物を約65℃の範囲の温度で気化する。工程308は、ウェハチャックを約190℃の温度で加熱する。工程310は、約0.7〜1.2Tのチャンバ圧力を生成する。工程312は、シャワーヘッドとCu受容表面との間の距離を約20mmで確立する。
【0046】
工程314は、気化されたCu前駆体化合物混合物を流量約100sccmのヘリウムキャリアガスで搬送する。工程316は、15%の添加物を含むCu前駆体化合物混合物を気化する。工程318は、液体前駆体流量約0.15mL/minの範囲のCu前駆体化合物混合物を流す。工程320は、約5sccmのヘリウムガス流量で水蒸気を搬送する。
【0047】
工程300〜320に応答して、工程322は、Cu受容表面上にCuシード層を形成する。工程322は、毎分約150Åの堆積速度でCuシード層を堆積することを含む。工程322は、堆積されたCuシード層が約2.2マイクロオームセンチメートル(μΩ・cm)の抵抗率を有することを含む。工程324は、Cuシード層に重なるCu膜の第2の層を堆積する。工程324は、CVD、物理蒸着法(PVD)、および電気メッキから成る群から選択される堆積方法により第2のCu層を堆積することを含む。工程326は、良好な接着特性を有する厚いCu膜が形成される生成物である。
【0048】
図7は、図4〜6に示す方法を介してCu膜を形成することのできるCVD Cu堆積システム400のブロック図である。液体前駆体化合物をアンプル402に満たす。Cu前駆体化合物混合物が使用されるとき、添加物は前駆体化合物に混合される。キャリアガスは、典型的にはヘリウムであり、ライン404を介してアンプル402に入り、液体前駆体は、ライン406に押入される。流量制御器408は、液体前駆体の流量の速度を制御する。液体前駆体は、加熱された気化器410で気化される。典型的にはヘリウムであるキャリアガスは、ライン412を介して気化器410からシステムに入る。気化された前駆体は、キャリアガスとともにライン414を介して気化器410を出る。
【0049】
典型的にはヘリウムであるキャリアガスは、ライン416にも入り、ガス流量はマスフロー制御器418により制御される。キャリアガスはバブラ420に入り、ここでガスは液相の水を介して濾過される。この「湿式」ヘリウムガスはライン422を介して水蒸気を搬送する。湿式ヘリウムガスは、ライン414で気化された前駆体と混合される。ライン414のこのガス混合物は、チャンバ424に入り、シャワーヘッド426を介して散布される。ウェハ428は、例えば6”のウェハであり、加熱されたチャック430上に搭載され、前駆体を受容する。前駆体はここで分解されウェハ428上にCu膜を形成する。分解されない前駆体は、廃棄物とともに、ライン432を介してシステムから出る。システムを真空に保つためにポンプ434が使用される。
【0050】
以上、Cuシード層堆積方法を開示した。α−メチルスチレンリガンドのS−100TM前駆体は、典型的なICウェハ表面に特に接着する。ウェハ上に接着シード層を形成することで、経済的または高い堆積速度を有する技術を用いた、より厚い積層(overlying)Cu層の形成が可能である。当業者は、他の変更および実施形態を想定し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、置換フェニルエチレンリガンドを有する本発明の前駆体の模式図である。
【図2】 図2は、置換フェニルエチレンリガンドの模式図である。
【図3】 図3は、好適な実施形態のα−メチルスチレンリガンドの模式図である。
【図4】 図4は、銅(Cu)シード層を堆積するための方法を示すフローチャートである。
【図5】 図5は、Cu受容表面上にCuシード層を形成する図4の堆積技術の好適な実施形態の1つを示すフローチャートである。
【図6】 図6は、Cu受容表面上にCuシード層を形成する図4の堆積技術の別の好適な実施形態を示すフローチャートである。
【図7】 図7は、図4〜6に示す方法を介してCu膜を形成することのできるCVD Cu堆積システムである。

Claims (19)

  1. 集積回路(IC)ウェハ上に銅(Cu)シード層を堆積するための方法であって、該方法が、
    a)Cu+1(ヘキサフルオロアセチルアセトネート)、および第1の炭素原子に結合された1つのフェニル基を含む置換フェニルエチレンリガンドを含むCu前駆体化合物を気化する工程であって、該第1の炭素原子に対する残りの結合が、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、フェニル、およびC〜Cアルコキシルから成る群から選択され、第2の炭素原子が第2および第3の結合を含み、該第2および第3の結合がH、C〜Cアルキル、フェニル、およびC〜Cアルコキシルから成る群から選択される工程と、
    b)該ICウェハのCu受容表面上で該Cu前駆体化合物を分解し、Cuシード層を形成する工程であって、それによって該シード層が化学蒸着法(CVD)を介して形成される工程と、
    c)該Cuシード層の上に重なるCuの第2の層を形成する工程であって、これにより、該Cuシード層が該Cu膜と該Cu受容表面との接着を高める工程と、を含む方法。
  2. 前記工程a)が互いに独立して選択される前記第2および第3の結合を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記工程a)が、HCである前記第1の結合、Hである前記第2の結合、およびHである前記第3の結合を含み、それによってα−メチルスチレンリガンドが形成される、請求項1に記載の方法。
  4. 前記工程a)に先行する工程であって、
    a1)前記Cu前駆体混合物を生成するための添加剤を含む液体Cu前駆体化合物を形成する工程であって、該Cu前駆体混合物が、該Cu前駆体化合物の重量比で15%以下の置換フェニルエチレンをさらに含み、安定した液体前駆体を容易にする工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  5. 前記工程a1)が以下の構造式、
    (C)(R)C=C(R)(R
    を有する添加剤を含み、
    ここで、Rが、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、フェニル、およびC〜Cアルコキシルから成る群から選択され、
    が、H、C〜Cアルキル、フェニル、およびC〜Cアルコキシルから成る群から選択され、
    が、H、C〜Cアルキル、フェニル、およびC〜Cアルコキシルから成る群から選択され、それによって前記前駆体が液体においてさらに安定化される、請求項4に記載の方法。
  6. 前記工程a1)は、前記Cu前駆体化合物の前記フェニルエチレンリガンドが前記添加剤の置換フェニルエチレンリガンドと同一であることを含む、請求項5に記載の方法。
  7. 前記工程c)が、CVD、物理蒸着法(PVD)、および電気メッキからなる群から選択される堆積方法により前記第2のCu層を堆積することを含む、請求項1に記載の方法。
  8. チャックを有し、ICが搭載されるチャンバ、およびシャワーヘッド蒸気散布システムが提供され、前記工程a)に先行するさらなる工程は、
    a2)気化温度を60℃〜80℃の範囲で確立する工程と、
    a3)チャック温度を140〜230℃の範囲で確立する工程と、
    a4)チャンバ圧力を0.1〜2トル(T)の範囲で確立する工程と、
    a5)該シャワーヘッドと前記Cu受容表面との間の距離を15〜60ミリメートル(mm)の範囲で確立する工程と、
    a6)Cu前駆体化合物蒸気を搬送するヘリウムキャリアガスの流量を、10から400標準立法センチメートル(sccm)の範囲で確立する工程と、
    a7)液体前駆体の流量を毎分0.05〜0.7ミリメートル(mL/min)の範囲で確立する工程と、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  9. 前記工程a)に続く工程であって、
    a8)水蒸気を搬送するための湿式ヘリウムガスの流量を、0.1〜50sccmの範囲で確立する工程、をさらに含む、請求項8に記載の方法。
  10. 前記工程a2)が65℃の気化温度を含み、前記工程a3)が200℃のチャック温度を含み、前記工程a4)が0.5Tのチャンバ圧力を含み、前記工程a5)が30mmのシャワーヘッド距離を含み、工程前記a6)が100sccmのヘリウムキャリアガス流量を含み、前記工程a7)が0.15mL/minの液体前駆体流量を含み、前記工程a8)が、5sccmの湿式ヘリウムガス流量を含み、前記工程a)がα−メチルスチレンCu前駆体化合物を気化することを含む、請求項9に記載の方法。
  11. 前記工程b)が、毎分260Åの堆積速度で前記Cuシード層を堆積することを含み、該工程b)は、該堆積されたCuシード層が2.0マイクロオームセンチメートル(μΩ・cm)の抵抗率を有することを含む、請求項10に記載の方法。
  12. 前記工程a)に先行する工程であって、
    a1)Cu前駆体混合物を生成するための添加剤を含む液体Cu前駆体化合物を形成する工程であって、該Cu前駆体混合物が、該Cu前駆体化合物の重量比で5%のα−メチルスチレンをさらに含み、安定した液体前駆体を容易にする、工程をさらに含む、請求項11に記載の方法。
  13. 前記工程a2)が65℃の気化温度を含み、前記工程a3)が190℃のチャック温度を含み、前記a4)が0.7〜1.2Tのチャンバ圧力を含み、前記工程a5)が20mmのシャワーヘッド距離を含み、前記工程a6)が100sccmのヘリウムキャリアガス流量を含み、前記工程a7)が0.15mL/minの液体前駆体流量を含み、前記工程a8)が、5sccmの湿式ヘリウムガス流量を含み、前記工程a)がα−メチルスチレンを気化することを含む、請求項9に記載の方法。
  14. 前記工程b)が、毎分150Åの堆積速度で前記Cuシード層を堆積することを含み、前記工程b)は、該堆積されたCuシード層が2.2マイクロオームセンチメートル(μΩ・cm)の抵抗率を有することを含む、請求項13に記載の方法。
  15. 前記工程a)に先行する工程であって、
    a1)Cu前駆体混合物を生成するための添加剤を含む液体Cu前駆体化合物を形成する工程であって、該Cu前駆体混合物が、該Cu前駆体化合物の重量比で15%のα−メチルスチレンをさらに含み、安定した液体前駆体を容易にする工程、をさらに含む、請求項13に記載の方法。
  16. 集積回路(IC)ウェハを受容するためのウェハチャック、および該ICウェハのCu受容表面上に材料を散布するためのシャワーヘッド、を有するチャンバにおいて、該Cu受容表面上に銅(Cu)シード層を形成する方法は、
    a)Cu+1(ヘキサフルオロアセチルアセトネート)およびα−メチルスチレンリガンドを含む液体Cu前駆体化合物を形成する工程と、
    b)該Cu前駆体化合物の重量比で5%のα−メチルスチレンリガンドを添加し、Cu前駆体化合物混合物を生成する工程と、
    c)Cu前駆体化合物気化温度を65℃の範囲で確立する工程と、
    d)該ウェハチャックを200℃の温度に加熱する工程と、
    )0.5Tのチャンバ圧力を生成する工程と、
    f)該シャワーヘッドと該Cu受容表面との間の距離を30mmに確立する工程と、
    g)該気化Cu前駆体化合物混合物を流量100sccmのヘリウムキャリアガスで搬送する工程と、
    h)該Cu前駆体化合物混合物を気化する工程と、
    i)該Cu前駆体化合物混合物を0.15mL/minの範囲の液体前駆体流量で流す工程と、
    )5sccmのヘリウムガス流量で水蒸気を搬送する工程と、
    k)工程a)〜j)に応答して、該Cu受容表面上にCuシード層を形成する工程と、
    l)該Cuシード層に重ねて第2のCu膜を堆積し、これにより良好な接着特性を有する厚いCu膜が形成される工程と、を含む方法。
  17. 前記工程l)が、前記第2のCu層を、CVD、物理蒸着法(PVD)、および電気メッキから成る群から選択される堆積方法で堆積することを含む、請求項16に記載の方法。
  18. 集積回路(IC)ウェハを受容するためのウェハチャック、および該ICウェハのCu受容表面上に材料を散布するためのシャワーヘッド、を有するチャンバにおいて、該Cu受容表面上に銅(Cu)シード層を形成する方法は、
    a)Cu+1(ヘキサフルオロアセチルアセトネート)およびα−メチルスチレンリガンドを含む液体Cu前駆体化合物を形成する工程と、
    b)該Cu前駆体化合物の重量比で15%のα−メチルスチレンリガンドを添加し、Cu前駆体化合物混合物を生成する工程と、
    c)Cu前駆体の気化温度を65℃の範囲で確立する工程と、
    d)該ウェハチャックを190℃の温度に加熱する工程と、
    )0.7〜1.2Tのチャンバ圧力を生成する工程と、
    f)該シャワーヘッドと該Cu受容表面との間の距離を20mmに確立する工程と、
    g)該気化Cu前駆体化合物混合物を流量100sccmのヘリウムキャリアガスで搬送する工程と、
    h)該Cu前駆体化合物混合物を気化する工程と、
    i)該Cu前駆体化合物混合物を0.15mL/minの範囲の液体前駆体流量で流す工程と、
    )5sccmのヘリウムガス流量で水蒸気を搬送する工程と、
    k)工程a)〜j)に応答して、該Cu受容表面上にCuシード層を形成する工程と、
    l)該Cuシード層に重ねて第2のCu膜を堆積し、これにより良好な接着特性を有する厚いCu膜が形成される工程と、を含む方法。
  19. 前記工程l)が、前記第2のCu層を、CVD、物理蒸着法(PVD)、および電気メッキから成る群から選択される堆積方法で堆積することを含む、請求項18に記載の方法。
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