JP4132152B2 - 銅プリカーサ化合物および化学気相成長銅を選択された表面に付与する方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、概して集積回路プロセスおよび製造に関し、特に、温度安定性が増大した、選択された集積回路表面に銅を堆積させるために用いられる、Cuプリカーサ化合物および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子製品の小型化、低コスト化、および高パワー化に対する要求がますます強まるにつれて、より大きな基板上の集積回路(IC)の小型化が必要となる。また、これにより、IC基板上に対する回路の高密度パッケージ化に対する要求も生じる。IC回路の小型化が望まれると、部品と誘電層との間の接続はできるだけ小さくすることが必要となる。従って、ビア(via)相互接続および接続線の幅を減少させる研究が続けられている。相互接続の導電率は、相互接続の表面積が小さくなるに従って低くなり、これにより相互接続の抵抗率が高くなると、IC設計上障害となる。抵抗率が高い導電体は、インピーダンスが高く伝搬遅延が大きい導電路を形成する。これらの問題点により、信号タイミングおよび電圧レベルの信頼性が低下し、並びにICの部品間の信号遅延が大きくなる。さらに、交差する導電性表面どうしの接続が不十分な場合、または非常に異なるインピーダンスの特性を有する導電体どうしが接合される場合、伝搬が中断する。
【0003】
低い抵抗率と揮発性成分のプロセス環境に耐え得る能力との両方を有する相互接続およびビアが必要とされる。集積回路の製造において、電気的に活性な領域間に相互接続またはビアを形成するために、アルミニウムおよびタングステン金属が用いられることが多い。これらの金属は、特別な取り扱いを必要とする銅とは異なり、製造環境下での使用が容易であるため一般的に用いられる。
【0004】
電気回路中の配線およびビアのサイズを小さくするために、当然の選択としてアルミニウムに代えて銅(Cu)が用いられる。銅の導電率はアルミニウムの約2倍であり、タングステンの3倍以上である。このため、銅線であればアルミニウム線のほとんど半分の幅で同じ電流を流すことができる。
【0005】
さらに、銅のエレクトロマイグレーション特性はアルミニウムよりもはるかに優れている。アルミニウムは、エレクトロマイグレーションによる劣化および破損の影響を銅よりも10倍受けやすい。このため、銅線は断面積がアルミニウム線よりもはるかに小さくても、電気的完全性の維持能力が優れている。
【0006】
しかし、ICプロセスで銅を使用する場合にはいくつかの問題がある。銅はICプロセスで用いられる材料の多くを汚染し、従って、典型的に、銅のマイグレーションを防止するようにバリアが形成される。銅の元素がこれらの半導体領域へマイグレートすることにより、関連するトランジスタの導電性が劇的に変化し得る。銅を用いることによるもう一つの問題は、IC表面に銅を堆積あるいはIC表面から銅を除去するために必要とされる比較的高い温度である。これらの高い温度は、関連するIC構造およびフォトレジストマスクにダメージを与え得る。
【0007】
選択されたICの外形寸法が小さい場合、アルミニウム堆積用の従来のプロセスを用いて、基板上あるいはビアホール内に、銅を堆積することもまた問題である。すなわち、配線およびICの層間誘電体の相互接続において、アルミニウムに代えて銅を用いるための新しい堆積プロセスが開発されている。ギャップを満たす能力が乏しいため、直径の小さいビアを充填するために金属、すなわちアルミニウムまたは銅をスパッターリングすることは実用的ではない。銅を堆積するためには、まず、物理気相成長技術(PVD)が、次に化学気相成長技術(CVD)が産業界によって開発されている。
【0008】
PVD技術により、IC表面は銅の蒸気に曝され、銅がその表面に濃縮される。この技術は表面に対して選択的ではない。銅が金属表面に堆積されるべきときには、隣接する非導電性表面はマスクされるか、あるいはその後のプロセスステップでエッチングしてクリーンにされなければならない。上述したように、フォトレジストマスクと他の隣接するIC構造は、銅が処理される高温でダメージを受ける可能性がある。CVD技術はどの表面に銅が堆積されるか関してより選択的であるため、PVD技術よりも進んでいる。CVD技術は、金属表面と銅蒸気との間の化学反応によって金属表面に銅を堆積させているため、選択的である。
【0009】
典型的なCVDプロセスでは、銅はリガンドまたは有機化合物と結合されて、銅化合物が揮発性であり最終的に一定の温度で分解することを保証することを補助する。すなわち、銅は気化してガスとなる化合物中の元素となり、後にガスが分解したときに固体として堆積される。集積回路の選択された表面、例えば、拡散バリアー材料が高温環境下で銅ガスに曝される。銅ガス化合物が分解すると、銅は選択された表面上に残される。CVDプロセスを用いる場合、いくつかの銅ガス化合物が使用可能である。銅ガス化合物の構造は少なくとも部分的に、選択された表面上に堆積する銅の能力に影響を与えることが一般的に認められている。
【0010】
Cu+2(hfac)2、すなわちヘキサフルオロアセチルアセトネート銅(II)プリカーサは、これまでIC基板および表面にCVD銅を付与するために用いられてきた。しかし、これらのCu+2プリカーサは、堆積された銅内に汚染物質を残すこと、およびCuプリカーサ化合物を銅に分解するためには比較的高い温度が用いられなければならないために注意が必要である。現在、銅を付与するためにCu+1(hfac)化合物を使用することによってさらに首尾良く行うことができることがわかっている。Normanら(米国特許第5,322,712号)は、本願の優先権主張の基礎となる米国出願が書かれた時点での当該分野の標準である(hfac)Cu(tmvs)すなわち銅ヘキサフルオロアセチルアセトネートトリメチルビニルシランプリカーサを開示している。あるいは、tmvsはvtms、すなわちビニルトリメチルシランとしてとして知られている。このCuプリカーサ化合物は、比較的低温である約200℃で使用され得るため有用である。さらに、この方法を適用した銅のフィルムの抵抗率はかなり良好であり、物理的な限界である約1.7μΩ・cmに近い。しかし、このCuプリカーサ化合物により堆積された銅と、銅が堆積された表面との間の接着性は常に良好であるとは限らない。さらに、Cuプリカーサ化合物は特に安定でなく、冷蔵されなければ比較的短い寿命(shelf life)を有し得る。接着性、温度安定性およびIC表面上に堆積され得る速度を上昇させるために、様々な成分が(hfac)Cu(tmvs)に加えられている。本願の優先権主張の基礎となる米国出願と同じ譲受人に譲渡されている、Nguyenらにより1996年11月8日付けで出願された、"Cu(hfac)TMVS Precursor With Water Additive To Increase The Conductivity Of Cu And Method For Same"という名称の同時係属中の米国特許出願シリアル番号第08/745.562号(アトーニードケット番号第SMT244号)は、(hfac)Cu(tmvs)で堆積された銅の導電性を向上させる方法およびCuプリカーサ化合物を開示している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
35℃を上回ったときに、(hfac)Cu(tmvs)が不安定になり分解し始めることは当該分野で一般的に認められている。この温度で蓄積される(hfac)Cu(tmvs)プリカーサの使用は、望ましくないプロセス結果を招く。典型的に、Cuプリカーサ化合物は室温において液体であり、気体形態に変換されなければならない。加熱されたターゲット表面と相互作用する際に、気化されたCuプリカーサ化合物は、まずtmvsリガンド、次いでhfacを分裂(cleave)させ、ターゲット表面に銅を残す。このプロセス期間中、未荷電の銅原子が表面上に残り、Cu+2(hfac)2の揮発形態およびtmvsリガンドの揮発形態がその系から排出されるという不均化反応が起こる。
【0012】
不安定なCuプリカーサ化合物は加熱されて蒸気になり、tmvsリガンドはCuプリカーサ化合物から不均一に分裂し、一部の分裂あるいは分解は低温で起こり、一部の分裂は高温で起こる。Cuプリカーサ化合物は低温で分解するため、Cuプリカーサ化合物の減圧あるいは分圧は、所望でないほど低いままとなり、結果としてCuの分解速度が低下し、表面が平坦にならず、並びに表面コンダクタンスが変化する。35℃未満の温度で蓄積された(hfac)Cu(tmvs)の効力もまた予測できない。予測可能なプロセスを保証するために、Cuプリカーサ化合物の「新鮮な」バッチあるいは室温よりかなり低温で蓄積されたCuプリカーサ化合物が用いられる。
【0013】
様々な添加物が(hfac)Cu(tmvs)プリカーサに混合されて、温度安定性を向上させる。ヘキサフルオロアセチルアセトン(H-hfac)、tmvsおよび他の化学薬品をブレンドして温度安定性を向上させることは良く知られている。Baumらは、"Ligand-stabilized copper(I) hexafluoroacetylacetonate complexes:NMR spectroscope and the nature of the copper-alkene bond"、J.Organomet. Chem., 425, 1992, 189頁〜200頁に、Cuプリカーサ化合物の安定性の向上に影響を与えるアルケン基を開示している。彼らはまた、(hfac)Cu(アルケン)錯体の銅−アルケン結合内のシグマ結合およびパイ結合の性質に関しても定性的に分析している。
【0014】
Choiらは、"Chemical vapor deposition of copper with a new metalorganic source" Appl. Phys.Lett. 68(7), 12 Feb. 1996, 1017頁〜1019頁において、Cu+1錯体の温度安定性を向上させるためのリガンドとしてのトリメトキシビニルシラン(tmovs)を開示している。tmovsリガンドを用いると、プリカーサ化合物が70℃の温度まで安定であることが報告されている。しかし、酸素原子をリガンドのメチル基とシリコン原子との間に付加することはまだ実験レベルである。すなわち、その方法は、製造で用いられるほどには改良されていない。3つの酸素原子をメチル基に付加することにより、より大きい分子量を有するプリカーサ化合物は、気化するためにより高いバブラー温度を必要とするという懸念もある。より高い気化温度およびより低い系の圧力が必要とされる結果、予期しない早すぎる分解という問題を生じ得る。リガンド分子の対称性は、プリカーサを室温で固化させる傾向があり得る。Cu+1プリカーサの温度安定性のさらなる向上が望ましい。安定性を向上させるために他のリガンドを用いることも現在研究されている領域である。
【0015】
メトキシ基およびメチル基のリガンドを含むCuプリカーサは、本願の優先権主張の基礎となる米国出願と同一の譲受人に譲渡され、Senzakiらにより1997年1月7日に出願された、"Precursor with (Methoxy)(methyl)silylolefin Ligands to Deposit Cu and Method for Same"という名称の、同時係属中の米国特許出願シリアル番号08/779.640号(アトーニードケット番号SMT252)に開示されている。開示されたプリカーサは、2つのメトキシ基のいずれか一方がリガンドのシリコン原子に結合することを可能にする。すなわち、プリカーサは、tmvsよりも多いがtmovsよりも少ないメトキシ基を有するリガンドを用いて「微調整」され得る。メトキシ基における酸素原子は、Cu原子に電子を供与してCu−オレフィン結合を強化し、従って、保存中またはCuをIC表面に付着するためにプリカーサが加熱されたときの、プリカーサの早すぎる分解を防止する。しかし、1つの炭素原子を有する炭化水素基であるCH3メチルおよびOCH3(メトキシ)のみが開示されている。
【0016】
本発明は、かかる問題点を解決するためのものであって、その目的は、選択されたIC表面に銅を堆積させるために用いられる、高い温度安定性を有するCuプレカーサ化合物、および銅を選択された表面に堆積させる方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明による、選択された表面にCuを化学気相成長させるための揮発性銅(Cu)プリカーサ化合物は、Cu+1(ヘキサフルオロアセチルアセトネート)と、シリロレフィンリガンドとを含み、該シリロレフィンリガンドは、シリコン原子に結合した少なくとも1つのエトキシ基を含み、該シリコン原子への他のすべての結合はエチル基に対してなされ、それによって、該化合物が気化温度にまで加熱される場合、エトキシシリロレフィンリガンドにおける酸素の電子供与能力は、Cuと該エトキシシリロレフィンリガンドとの間の安定した結合を提供し、それにより上記目的が達成される。
【0018】
本発明の一実施形態によると、前記シリコン原子に3つのエトキシ基が結合してトリエトキシビニルシラン(teovs)を生成し、それによって、トリエトキシ基の3つの酸素原子は、電子をCuに供与して、前記Cuプリカーサ化合物の温度安定性を増大させる。
【0019】
本発明の一実施形態によると、前記シリコン原子に2つのエトキシ基と1つのエチル基が結合してジエトキシエチルビニルシラン(deoevs)を生成し、それによって、ジエトキシエチル基の2つの酸素原子は、電子をCuに供与して、前記Cuプリカーサ化合物の温度安定性を増大させる。
【0020】
本発明の一実施形態によると、前記シリコン原子に1つのエトキシ基と2つのエチル基が結合してエトキシジエチルビニルシラン(eodevs)を生成し、それによって、エトキシジエチル基の酸素原子の分子量は、前記Cuプリカーサ化合物の揮発性を最小限の程度だけ抑制する。
【0021】
本発明による、選択された表面にCuを化学気相成長させるための、別のCuプリカーサ化合物は、Cu+1(ヘキサフルオロアセチルアセトネート)と、
シリロレフィンリガンドとを含み、該シリロレフィンリガンドは、シリコン原子に結合した、少なくとも2つの炭素原子を有する少なくとも1つのアルキルオキシ基を含み、それによって、該化合物が気化温度にまで加熱される場合、アルキルオキシシリロレフィンリガンドにおける酸素の電子供与能力は、Cuと該アルキルオキシシリロレフィンリガンドとの間の安定した結合を提供し、それにより上記目的が達成される。
【0022】
本発明の一実施形態によると、前記Cuプリカーサ化合物は、プリカーサブレンドを生成する添加物を含み、該プリカーサブレンドは、さらに、分圧(減圧)を有する水蒸気を含み、該水蒸気は、該水蒸気の分圧が該Cuプリカーサ化合物の分圧のおおむね0.5と5%との間の範囲にあるように、該Cuプリカーサ化合物とブレンドされ、該水蒸気の該Cuプリカーサ化合物への添加により、Cuの堆積速度を増加させる。
【0023】
本発明の一実施形態によると、前記シリコン原子に結合されたアルキル基をさらに含み、該アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチルおよびアリールからなる。
【0024】
本発明の一実施形態によると、前記アルキルオキシ基は、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシおよびアリールオキシからなる。
【0025】
本発明の一実施形態によると、前記アルキルオキシ基は、少なくとも2つの炭素原子を有する少なくともさらに1つのアルキルオキシ基が前記シリコン原子に結合しているときに、メトキシをさらに含む。
【0026】
本発明の一実施形態によると、前記Cuプリカーサ化合物はおおむね40℃と80℃との間の範囲で気化される。
【0027】
本発明の一実施形態によると、各選択された表面に付与される前記Cuプリカーサ化合物の蒸気は、おおむね40℃と80℃との間の範囲の温度を有する。
【0028】
本発明の一実施形態によると、前記Cuプリカーサ化合物は、不活性ガスと共に各選択された表面に移送され、そして該不活性ガスは該プリカーサ化合物の分圧のおおむね50%と1000%の範囲の分圧(減圧)を有する。
【0029】
本発明の一実施形態によると、前記Cuプリカーサ化合物は、プリカーサブレンドを生成する添加物を含み、該プリカーサブレンドはさらに、該プリカーサ化合物の重量比により測定すると約5%未満のヘキサフルオロアセチルアセトネート(H-hfac)を含み、Cuの堆積速度を増加させるCuの不均化反応を促進する。
【0030】
本発明の一実施形態によると、前記Cuプリカーサ化合物は、プリカーサブレンドを生成する添加物を含み、該プリカーサブレンドはさらに、該Cuプリカーサ化合物の重量比により測定すると約10%未満のシリロレフィンを含み、該Cuプリカーサ化合物が加熱されたときのCuの早すぎる分解を妨げる。
【0031】
本発明の一実施形態によると、前記シリロレフィンは、トリメチルビニルシラン(tmvs)、ジメトキシメチルビニルシラン(dmomvs)、メトキシジメチルビニルシラン(modmvs)、トリメトキシビニルシラン(tmovs)、トリエトキシビニルシラン (teovs)、エトキシメトキシメチルビニルシラン(eomomvs)、ジエトキシメチルビニルシラン(deomvs)、ジエトキシメトキシビニルシラン(deomovs)、エトキシジメトキシビニルシラン(eodmovs)、エトキシジエチルビニルシラン(eodevs)、ジエトキシエチルビニルシラン(deoevs)、ジメトキシエチルビニルシラン(dmoevs)、エトキシジメチルビニルシラン(eodmvs)、メトキシジエチルビニルシラン(modevs)、およびエチルメトキシメチルビニルシラン(emomvs)からなる群から選択される。
【0032】
本発明の一実施形態によると、前記Cuプリカーサ化合物は、プリカーサブレンドを生成する添加物を含み、該プリカーサブレンドはさらに、該Cuプリカーサ化合物の重量比により測定すると約5%未満のH-hfac・2H2Oを含み、Cuの堆積速度を増加させる。
【0033】
本発明の一実施形態によると、前記Cuプリカーサ化合物は、プリカーサブレンドを生成する添加物を含み、該プリカーサブレンドはさらに、該Cuプリカーサ化合物の重量比により測定すると約0.4%未満のH-hfac・2H2Oと、該Cuプリカーサ化合物の重量比により測定すると約5%未満の、Cuの堆積速度を増加させるシリロレフィンと、を含む。
【0034】
本発明による、化学気相成長銅を選択された表面に付与するための、さらに別の揮発性銅(Cu)プリカーサ化合物は、該化合物が (hfac)Cu(H2C=C(H)SiX3)の構造式によって表され、この式において、X基は少なくとも1つのC2〜C8アルキルオキシ基を含み、それによって、該Cuプリカーサ化合物が気化温度まで加熱される場合、該アルキルオキシ基における酸素の電子供与能力は、CuとH2C=C(H)SiX3リガンドとの間に安定した結合を提供し、それにより上記目的が達成される。
【0035】
本発明の一実施形態によると、前記X基は3つのエトキシ基である。
【0036】
本発明の一実施形態によると、前記X基は2つのメトキシ基および1つのエチル基を含む。
【0037】
本発明の一実施形態によると、前記X基は1つのエトキシ基および2つのエチル基を含む。
【0038】
本発明の一実施形態によると、前記X基は、少なくとも1つのX基がC2〜C8アルキルオキシ基であるときに、C1アルキルオキシ基をさらに含む。
【0039】
本発明の一実施形態によると、前記X基は2つのエトキシ基および1つのメチル基を含む。
【0040】
本発明の一実施形態によると、前記X基は1つのエトキシ基および2つのメチル基を含む。
【0041】
本発明の一実施形態によると、前記X基は2つのメトキシ基および1つのエチル基を含む。
【0042】
本発明の一実施形態によると、前記X基は1つのメトキシ基および2つのエチル基を含む。
【0043】
本発明の一実施形態によると、前記X基はC3〜C8環式アルキル基およびC3〜C8環式アルキルオキシ基を含む。
【0044】
本発明の一実施形態によると、前記Cuプリカーサ化合物は、Cuプリカーサブレンドを生成する添加物を含み、該Cuプリカーサブレンドは、H2C=C(H)SiX3の構造式によって表されるシリロレフィンを有し、この式において、各X基はC1〜C8アルキルオキシ基およびC1〜C8アルキル基から選択される。
【0045】
本発明による、化学気相成長銅(CVD銅)を選択された表面に付与する方法は、a)予め決められた圧力で、各選択されたCuを形成する表面を、Cu+1(ヘキサフルオロアセチルアセトネート)およびシリロレフィンリガンドを含み、該シリロレフィンリガンドはシリコン原子に結合した少なくとも1つのエトキシ基を含み、該シリコン原子への他のすべての結合はエチル基に対してなされた、プリカーサ化合物に曝すステップと、b)該ステップa)の実行を続けている間に、該各Cuを形成する表面にCuを堆積するステップを包含しており、エトキシシリロレフィンリガンドとCuとの間の結合が、低温で該Cuプリカーサ化合物の分解を妨げ、それにより上記目的が達成される。
【0046】
本発明の一実施形態によると、前記シリコン原子に3つのエトキシ基が結合してトリエトキシビニルシラン(teovs)を生成し、それによって、トリエトキシ基の3つの酸素原子は、電子をCuに供与して、前記Cuプリカーサ化合物の温度安定性を増大させる。
【0047】
本発明の一実施形態によると、前記シリコン原子に2つのエトキシ基と1つのエチル基が結合してジエトキシエチルビニルシラン(deoevs)を生成し、それによって、ジエトキシエチル基の2つの酸素原子は、電子をCuに供与して、前記Cuプリカーサ化合物の温度安定性を増大させる。
【0048】
本発明の一実施形態によると、前記シリコン原子に1つのエトキシ基と2つのエチル基が結合してエトキシジエチルビニルシラン(eodevs)を生成し、それによって、エトキシジエチル基の酸素原子の分子量は、前記Cuプリカーサ化合物の揮発性を最小限の程度だけ抑制する。
【0049】
本発明による、化学気相成長銅(CVD銅)を選択された表面に付与する、別の方法は、a)予め決められた圧力で、各選択されたCuを形成する表面を、Cu+1(ヘキサフルオロアセチルアセトネート)とシリロレフィンリガンドとを含み、該シリロレフィンリガンドは、シリコン原子に結合した、少なくとも2つの炭素原子を有する少なくとも1つのアルキルオキシ基を含む、揮発性Cuプリカーサ化合物に曝すステップと、b)該ステップa)の実行を続けている間に、該各Cuを形成する表面にCuを堆積するステップを包含しており、アルキルオキシシリロレフィンリガンドとCuとの間の結合が、低温で該Cuプリカーサ化合物の分解を妨げ、それにより上記目的が達成される。
【0050】
本発明の一実施形態によると、前記化学気相成長銅を選択された表面に付与する方法は、c)前記ステップa)と同時に、分圧(減圧)下で前記Cuプリカーサ化合物の分圧のおおむね0.5%と5%との間の範囲で前記各選択されたCuを形成する表面を水蒸気に曝し、該水蒸気の該Cuプリカーサ化合物への添加がCuの堆積速度を増加させるステップをさらに含む。
【0051】
本発明の一実施形態によると、前記Cuプリカーサ化合物は、前記シリコン原子に結合されたアルキル基をさらに含み、該アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチルおよびアリールからなる。
【0052】
本発明の一実施形態によると、前記アルキルオキシ基は、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシおよびアリールオキシからなる。
【0053】
本発明の一実施形態によると、前記アルキルオキシ基は、少なくとも2つの炭素原子を有する少なくともさらに1つのアルキルオキシ基が前記シリコン原子に結合しているときに、メトキシをさらに含む。
【0054】
本発明の一実施形態によると、前記ステップb)における前記各Cuを形成する表面が、おおむね160℃と250℃との間の範囲の温度を有する。
【0055】
本発明の一実施形態によると、前記Cuプリカーサ化合物は、おおむね40℃と80℃との間の範囲の温度で気化される。
【0056】
本発明の一実施形態によると、前記ステップb)において、Cuは100秒と1000秒との間の範囲の時間にわたって、各Cuを形成する表面に堆積される。
【0057】
本発明の一実施形態によると、前記ステップa)は、前記Cuプリカーサ化合物の蒸気をおおむね40℃と80℃との間の範囲の温度で前記各選択された表面に付与することを含む。
【0058】
本発明の一実施形態によると、前記ステップa)は、前記Cuプリカーサ化合物を前記各選択された表面に不活性ガスと共に移送することを含み、該不活性ガスは、該Cuプリカーサ化合物の分圧のおおむね50%と1000%との範囲の分圧(減圧)を有する。
【0059】
本発明の一実施形態によると、前記プリカーサ化合物は、プリカーサブレンドを生成する添加物を含み、該プリカーサブレンドは、該Cuプリカーサ化合物の重量比により測定すると約5%未満のヘキサフルオロアセチルアセトン(H-hfac)を含み、Cu堆積速度を上昇させるCu不均化反応を促進させる。
【0060】
本発明の一実施形態によると、前記プリカーサ化合物は、プリカーサブレンドを生成する添加物を含み、該プリカーサブレンドは、該Cuプリカーサ化合物の重量比により測定すると約10%未満のシリロレフィンを含み、該Cuプリカーサ化合物が加熱されるときのCuの早すぎる分解を防止する。
【0061】
本発明の一実施形態によると、前記シリロレフィンは、トリメチルビニルシラン(tmvs)、ジメトキシメチルビニルシラン(dmomvs)、メトキシジメチルビニルシラン(modmvs)、トリメトキシビニルシラン(tmovs)、トリエトキシビニルシラン (teovs)、エトキシメトキシメチルビニルシラン(eomomvs)、ジエトキシメチルビニルシラン(deomvs)、ジエトキシメトキシビニルシラン(deomovs)、エトキシジメトキシビニルシラン(eodmovs)、エトキシジエチルビニルシラン(eodevs)、ジエトキシエチルビニルシラン(deoevs)、ジメトキシエチルビニルシラン(dmoevs)、エトキシジメチルビニルシラン(eodmvs)、メトキシジエチルビニルシラン(modevs)、およびエチルメトキシメチルビニルシラン(emomvs)からなる群から選択される。
【0062】
本発明の一実施形態によると、前記プリカーサ化合物は、プリカーサブレンドを生成する添加物を含み、該プリカーサブレンドは、該Cuプリカーサ化合物の重量比により測定すると約5%未満のH-hfac・2H2Oを含み、Cu堆積速度を上昇させる。
【0063】
本発明の一実施形態によると、前記プリカーサ化合物は、プリカーサブレンドを生成する添加物を含み、該プリカーサブレンドは、該Cuプリカーサ化合物の重量比により測定すると約0.4%未満のH-hfac・2H2Oと約5%未満のシリロレフィンと含み、Cu堆積速度を上昇させる。
【0064】
以下、本発明の作用を説明する。
【0065】
本発明の方法によって形成された揮発性Cu(hfac)プリカーサ化合物は、より広い温度範囲で安定な状態にしておくことができるので、より長い寿命をもつ。
【0066】
また、Cu(hfac)プリカーサ化合物に含まれるリガンドは、一貫した温度で分裂する。さらに、アルケンリガンドおよびhfacも、ほぼ同じ温度で分裂するために、一貫したプリカーサ化合物の分解が実現する。
【0067】
さらに、堆積温度、すなわち、(hfac)Cu(リガンド)化合物が分解する温度が低下して商業的プロセスが簡略化する。同時に、これらの比較的低い分解温度においてプリカーサ蒸気圧が高く維持され得、選択されたIC表面上の銅の層がより厚くなる。さらに、気相におけるプリカーサの蒸気圧は、アルキルオキシ基およびアルキル基の異なる組合わせにより変更され得る。
【0068】
Cuプリカーサとブレンドするために、水、H-hfac、H-hfac二水化物(H-hfac・2H2O)、およびシリロレフィンリガンド添加物が必要ではなくなるため、Cuプリカーサの熱安定性が増し且つ堆積された銅の導電率と堆積速度とが高まる。
【0069】
(hfac)Cu(リガンド)はより容易に室温で液状にあるように設計され得るため、ICプロセス中のプリカーサの移送が簡素化される。さらに、液相プリカーサの粘性は、アルキルオキシ基とアルキル基との異なる組合わせにより変更され得る。
【0070】
【発明の実施の形態】
図1は、tmvsリガンド10(従来例)の模式図である。2つの炭素原子の間の2本線は二重結合を表し、残りの原子の間の1本線は、二重結合よりも弱い単結合を表す。Cuは炭素原子を介してtmvstリガンド10に結合する。Cuおよびhfacは比較的安定した結合を形成し、得られるCu+1(hfac)-1錯体は正味の電荷(net electric charge)を有さない。当該分野で良く知られているように、互いに反対の電荷を有する原子あるいは錯体は非常に安定な錯体を形成するように結合する。以後、Cu(hfac)または(hfac)Cuと呼ぶCu+1(hfac)-1錯体とリガンド10との間の結合は、互いに反対の正味の電荷が欠如しているために、比較的弱い。このため、リガンドが気化してターゲット表面に付与されるとき、まずtmvsリガンド10がCuプリカーサ化合物から分裂する。理論によって拘束されることはないが、リガンドにより多くの電子を提供することができれば、リガンドとCu(hfac)との間の結合が向上され得、その結果、Cuプリカーサ化合物の温度安定性が向上すると考えられる。
【0071】
図2はtmovsリガンド20(従来例)の模式図である。tmovsリガンド20と図1のtmvsリガンド10との間の違いは、3つのメチル基に3つの酸素原子が結合されて、シリコン原子に結合する3つのメトキシ基が形成されていることである。tmovsリガンド20の酸素原子は、Cu(hfac)錯体に容易に電子を供与し、従って、tmovsリガンド20がCu(hfac)により強力に結合することを可能にすると考えられている。二重結合の炭素原子とCu原子との間の結合を説明するための様々なモデルが存在し、定量的な結合プロセスは完全には理解されていない。3つの酸素原子が付加されたことによって原子量が増加するため、その結果、典型的には、気化温度が上昇する。このCuプリカーサ化合物の気化温度の上昇は、対応する温度安定性の向上がないため、結果として、一貫性のないCu堆積特性を有するCuプリカーサ化合物となり、このことがCu堆積問題を引き起こす。本発明は、酸素原子の数とリガンドを含む炭化水素基の種類とを調整するように改変され得るCuプリカーサ化合物の必要性に応じてなされた。
【0072】
図3aは、Senzakiらにより出願された"Precursor with (Methoxy)(methyl)silylolefin Ligands to Deposit Cu and Mehtod for Same"という名称の同時係属中の米国特許出願シリアル番号第08/779.640号(アトーニードケット番号第SMT252)の(メトキシ)(メチル)リガンド30の模式図である。本発明は、3つのメチル基(CH3)を有するリガンド10(図1)と3つのメトキシ基(OCH3)を有するリガンド20(図2)との間のギャップを埋めるためになされた。リガンド30は、シリコン原子に結合された少なくとも3つのメトキシ基を含む。(メトキシ)(メチル)シリロレフィンリガンドにおける酸素の電子供与能力は、化合物が気化温度にまで加熱されるときに、Cuと(メトキシ)(メチル)シリロレフィンリガンドとの間の安定な結合を提供する。
【0073】
図3bは、図3aの(メトキシ)(メチル)シリロレフィンリガンド30の実施の形態の模式図である。リガンドは、ジメトキシメチルビニルシラン(dmomvs)リガンド40である。リガンド40は2つのメトキシ基42および44(OCH3)と1つのメチル基46(CH3)とを含む。ジメトキシメチル基の2つの酸素原子は、Cuに電子を供与してCuプリカーサ化合物の温度安定性を向上させる。
【0074】
図3cは、図3aの(メトキシ)(メチル)シリロレフィンリガンド30の他の実施の形態の模式図である。リガンドは、メトキシジメチルビニルシラン(modmvs)リガンド50である。リガンド50は、1つのメトキシ基52と2つのメチル基54および56とを有する。メトキシジメチル基の1つの酸素原子はCuプリカーサ化合物の揮発性を最小限の程度だけ抑制する。なぜなら、リガンド50は、リガンド30(図3a)および40(図3b)よりも小さい分子量を有するからである。
【0075】
図4aは、本発明の揮発性Cuプリカーサ化合物60の模式図である。Cuプリカーサ化合物60は、選択された表面上への化学気相成長技術(CVD)のために、(エトキシ)(エチル)シリロレフィンリガンドを用いている。Cuプリカーサ化合物60は、Cu+1(hfac)、およびシリコン原子に結合した少なくとも1つのエトキシ基(OC2H5)を有するシリロレフィンリガンドを含む。シリコン原子への残りの結合は、エチル基(C2H5)に対してなされている。すなわち、シリコン原子に結合した3つの炭化水素基は、3つのエトキシ基、2つのエトキシ基と1つのエチル基、または1つのエトキシ基と2つのエチル基という組み合わせのうちの1つである。エトキシシリロレフィンリガンドにおける酸素原子の電子供与能力は、化合物60が気化温度にまで加熱されるときに、Cuとエトキシシリロレフィンとの間の安定な結合を提供する。長鎖エチル基の電子供与能力はまた、リガンドとCuとの間の安定な結合の提供を補助する。
【0076】
図4bは、図4aのCuプリカーサ化合物60の好適な実施の形態の模式図である。この実施の形態において、(エトキシ)(エチル)シリロレフィンリガンドは、トリエトキシビニルシラン(teovs)リガンド70である。3つのエトキシ基(OC2H5)72、74,および76がシリコン原子に結合して、teovsを生成する。トリエトキシ基の3つの酸素原子は、Cuに電子を供与して化合物60の温度安定性を増大させる。
【0077】
図4cは、図4aのCuプリカーサ化合物60の別の好適な実施の形態の模式図である。この実施の形態において、(エトキシ)(エチル)シリロレフィンリガンドは、ジエトキシエチルビニルシラン(deoevs)リガンド80である。2つのエトキシ基82および84と1つのエチル基86とがシリコン原子に結合して、deoevsを生成する。ジエトキシエチル基の2つの酸素原子は、Cuに電子を供与してCuプリカーサ化合物60の温度安定性を増大させる。リガンド80は、リガンド70よりも少ない数の酸素を有しており、従って、供与する電子の数も少ない。しかし、同じ理由でリガンド80の分子量もリガンド70よりも小さい。化合物60の分子量調整能力は、Cuプリカーサ化合物60の気化温度と減圧を特定のプロセス要件に調整するために有用である。
【0078】
図4dは、図4aのCuプリカーサ化合物60のさらに別の好適な実施の形態の模式図である。この実施の形態において、(エトキシ)(エチル)シリロレフィンリガンドは、エトキシジエチルビニルシラン(eodevs)リガンド90である。1つのエトキシ基92と2つのエチル基94および96とがシリコン原子に結合して、eodevsを生成する。エトキシジエチル基の酸素原子の分子量は、Cuプリカーサ化合物の揮発性を最小限の程度だけ抑制する。図4a〜図4dに示す、エトキシとエチルの3つの組み合わせのなかで、リガンド90は、最も小さい分子量を有する。
【0079】
図5は、本発明の揮発性Cuプリカーサ化合物100の模式図である。Cuプリカーサ化合物100は、選択された表面上への化学気相成長技術(CVD)のために、(アルキルオキシ)(アルキル)シリロレフィンリガンドを用いている。Cuプリカーサ化合物100は、Cu+1(hfac)、およびシリコン原子に結合した、少なくとも2つの炭素原子を有する1つのアルキルオキシ基(OC2H5)を有するシリロレフィンリガンドを含む。炭化水素基は、概して、本明細書においてC1〜C8としても示す1〜8個の炭素原子を含む基にまとめられる。アルキルオキシ基は、さらに酸素原子を含む炭化水素である。図5は、2、3、4、5、6、7または8個の炭素原子(C2〜C8)を有するアルキルオキシ基を示す。すなわち、アルキルオキシ基は、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシおよびオクチルオキシからなる。さらに、アルキルオキシ基は、フェニルオキシを含むアリールオキシ基からなる。さらに、2つまたは3つのアルキルオキシ基がシリコン原子に結合している場合、いくつかの実施の形態は、異なる数の炭素原子を含むアルキルオキシ基を含む。例えば、1つの好適な実施の形態において、リガンド100は、エトキシ基とプロポキシ基とを含む。アルキルオキシシリロレフィンリガンドにおける酸素の電子供与能力は、Cuプリカーサ化合物が気化温度にまで加熱されたときに、Cuとアルキルオキシシリロレフィンリガンドとの間の安定な結合を提供する。好適な実施の形態において、アルキルオキシ基は、少なくとも2つの炭素原子を有する少なくとも1つの他のアルキルオキシ基がシリコン原子に結合されるとき、さらにメトキシ(C1)を含む。すなわち、2つのアルキルオキシ基が存在するとき、いくつかの実施の形態において、アルキルオキシ基の一方は、メトキシである。3つのアルキルオキシ基が存在するとき、いくつかの実施の形態は、1つのメトキシ基を含み、その他の実施の形態は、2つのメトキシ基を含む。
【0080】
リガンド100は、シリコン原子に結合したアルキル基をさらに含む。すなわち、アルキルオキシ基とアルキル基とは両方とも、シリコン原子に結合しており、少なくとも1つの基がアルキルオキシ基である。アルキル基は概して1、2、3、4、5、6、7または8個の炭素原子(C1〜C8)を有する。すなわち、アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチルおよびオクチルからなる。アルキル基はまた、フェニルを含むアリール基からなる。さらに、2つのアルキル基がシリコン原子に結合するとき、いくつかの実施の形態は、異なる数の炭素原子を有するアルキル基を含む。例えば、1つの好適な実施の形態において、リガンド100は、エチル基とプロピル基とを含む。また、いくつかの実施の形態において、同一のシリコン原子に結合したアルキル基とアルキルオキシ基とが、異なる数の炭素原子を有する。例えば、エトキシ基がプロピル基と共に含まれる。
【0081】
換言すると、図5のCuプリカーサ化合物100は、以下の構造式を有する。
【0082】
(hfac)Cu(H2C=C(H)SiX3)
上記式において、X基は、少なくともC2〜C8のアルキルオキシ基を含む。アルキルオキシ基における酸素の電子供与能力は、Cuプリカーサ化合物100が気化温度にまで加熱されるときに、CuとH2C=C(H)SiX3リガンドとの間の安定な結合を提供する。
【0083】
好適な実施の形態において、X基は、図4bに示すように、3つのエトキシ基72、74および76である。別の実施の形態において、X基は、図4cに示すように、2つのエトキシ基82および84および1つのエチル基86である。1つの実施の形態において、X基は、図4dに示すように、1つのエトキシ基92および2つのエチル基94および96である。上記構造式の範囲内の可能性のあるすべてのアルキルオキシ/アルキル基の組み合わせの完全なリストは、非常に長く当業者には周知である。従って、上記構造式の範囲内のこれらの他の特定の実施の形態は、本明細書には記載しない。
【0084】
好適な実施の形態において、X基はさらに、少なくとも1つのX基がC2〜C8アルキルオキシ基であるときに、C1(メトキシ)アルキルオキシ基を含む。これらの実施の形態のうちの1つにおいて、X基は、2つのエトキシ基と1つのメチル基である。別の実施の形態において、X基は、1つのエトキシ基と2つのメチル基である。1つの実施の形態において、X基は、2つのメトキシ基と1つのエチル基である。別の実施の形態において、X基は、1つのメトキシ基と2つのエチル基である。繰り返すが、可能性のある組み合わせの完全なリストは、長く、当業者には周知である。
【0085】
当該分野で周知であるように、アルキル基およびアルキルオキシ基は、概して直鎖、分岐鎖、または環状鎖のいずれかに配置される。これらの組み合わせの配列も存在する。さらに、鎖は、炭素原子間の単結合および二重結合配列を含み、アルキルおよびアルキルオキシの飽和および不飽和の基を形成する。図5は、これらすべての可能性のある(アルキルオキシ)(アルキル)の組み合わせを表す。同様に、X基は、飽和および不飽和の炭素の直鎖、および飽和および不飽和の分岐鎖である。X基はまた、C3〜C8の環状アルキル基およびアリール基、ならびにC3〜C8の環状アルキルオキシ基およびアリールオキシ基を含む。これらの環状のX基の鎖は、飽和および不飽和である。
【0086】
好適な実施の形態において、図5のCuプリカーサ化合物100は、プリカーサブレンドを生成するための添加物を含む。理論によって拘束される意図はないが、シリロレフィン、H-hfac、およびH-hfac二水化物などの有機化合物は、プリカーサの粘性を減少させ、プリカーサの流れに対する制御をより精密にする。プリカーサブレンドはさらに、Cuプリカーサ化合物100とブレンドされるときに、分圧(減圧)を有する水蒸気を含む。水蒸気は、水蒸気の分圧が概して、Cuプリカーサ化合物100の分圧の0.5〜5%の間の範囲になるように、Cuプリカーサ化合物100とブレンドされる。Cuプリカーサ化合物100の分圧は、気化されてキャリアガスと混合された後のCuプリカーサ化合物100の圧力の結果である、全システムの圧力の一部である。Cuプリカーサ化合物100に上記水蒸気を加えることにより、Cuの堆積速度が上昇する。
【0087】
Nguyenらにより1996年11月8日に出願された、"Cu(hfac)TMVS Precursor With Water Additive To Increase The Conductivity Of Cu And Method For Same"という名称の、同時係属中の米国特許出願シリアル番号第08/745.562号(アトーニードケット番号第SMT244号)に開示されているように、Cu(hfac)プリカーサに適量の水を加えることにより、堆積速度および堆積されたCuの導電率が増加する。上記米国特許出願に開示されている方法を用いると、Cuの堆積速度は、Cuの導電率を最小限に劣化させるだけで向上する。プロセスの改良は、堆積速度および導電率がさらに改良されたプリカーサブレンドを生成する傾向がある。
【0088】
図6は、本発明のプリカーサにより選択された表面上にCuを堆積するために適した装置(従来例)のブロック図である。環境チャンバ110は、加圧された環境を維持することができる。チャンバ110内にはウエハチャック112があり、ウエハチャック112の上には、選択された、またはCuを形成する表面114を有するICまたはウエハがある。Cuプリカーサ化合物は、液状でライン116に導入され、次いで気化器118に導入される。気化器118において、Cuプリカーサ化合物は気化するまで加熱される。ヘリウム、または他の不活性キャリアガスが、ライン120に導入され、その後、気化器118に導入される。気化器118において、不活性キャリアガスが揮発性Cuプリカーサ化合物と混合される。揮発性Cuプリカーサ化合物およびキャリアガスは、ライン122からチャンバ110に移送される。チャンバ110内において、Cuプリカーサ化合物/キャリアガス混合物は、シャワーヘッド124または他の何らかの等価なガス分散手段を介して分散される。排気ガスは、ライン126を介してチャンバ110から排出される。ライン126は、ポンプ(不図示)に接続されて、チャンバ110内の予め決められた減圧を維持する。
【0089】
ライン128は、添加物を揮発性Cuプリカーサ化合物に導入するために用いられれ、典型的には添加物は揮発形態または気体状である。図5を参照して上述した水蒸気の添加物は、典型的にはライン128を介して導入される。あるいは、添加物は、液状のCuプリカーサ化合物内に予めパッケージされているか、またはライン116内で液状のCuプリカーサ化合物と混合されている。
【0090】
ライン116内のCuプリカーサ化合物は、気化器118内で、おおむね40℃と80℃との間の範囲で気化する。ライン122内のCuプリカーサ化合物は、シャワーヘッド124を介して各選択された表面114に、40℃と80℃との間の範囲の温度で、付与される。Cuプリカーサ化合物はライン122を介して各選択された表面114に、不活性ガスと共に移送される。不活性ガスは、ライン120に導入され、Cuプリカーサ化合物の分圧のおおむね50%から1000%の範囲の減圧を有する。
【0091】
ライン116内で液状であるか又はライン128上で蒸気形態にあるCuプリカーサ化合物に他の材料が加えられて、Cuプリカーサ化合物の特定の特性を高める。1つの実施の形態において、Cuプリカーサ化合物は、プリカーサブレンドを形成するための添加物を含む。この場合、Cuプリカーサ化合物は、さらに、Cuプリカーサ化合物の重量比により測定すると約5%未満のヘキサフルオロアセチルアセトン(H-hfac)を含む。H-hfac添加物は、Cuの堆積速度を上昇させるCuの不均化反応を促進する。不均化反応により、(hfac)-1Cu+1がCu原子を再構成してCu+0原子またはCu+2原子にする。(hfac)2Cu+2錯体およびリガンドがライン126内の排気ガスとしてプロセスを出るときに、未荷電のCu原子は選択された表面に堆積されるようになる。
【0092】
本発明の主な利点の1つは、水、H-hfac・2H20、H-hfac、またはシリロレフィンリガンド添加物を含まない純粋化合物として、いかにうまく作用するかということである。このような添加物は、Cuプリカーサ化合物に添加されたとき、コストおよびプリカーサを生成する困難さを大幅に増加する。しかし、製造環境におけるCuプリカーサ化合物の安定性、効率、および堆積速度を最大にする必要がある。しかし、少なくともある量の添加物は、本発明のプリカーサとブレンドされる傾向がある。1つの実施の形態において、プリカーサ化合物は、プリカーサブレンドを生成するための添加物を含む。上記プリカーサブレンドはさらに、プリカーサブレンドの重量比により測定すると約10%未満のシリロレフィンを含む。シリロレフィンは、プリカーサが加熱されたときに、Cuの早すぎる分解を防止するために添加される。追加のシリロレフィンは、リガンドの早すぎる分裂が起こった場合に、(hfac)Cuと結合することにより、プリカーサを安定化することを補助する。シリロレフィンは、トリメチルビニルシラン(tmvs)、ジメトキシメチルビニルシラン(dmomvs)、メトキシジメチルビニルシラン(modmvs)、トリメトキシビニルシラン(tmovs)、トリエトキシビニルシラン(teovs)、エトキシメトキシメチルビニルシラン(eomomvs)、ジエトキシメチルビニルシラン(deomvs)、ジエトキシメトキシビニルシラン(deomovs)、エトキシジメトキシビニルシラン(eodmovs)、エトキシジエチルビニルシラン(eodevs)、ジエトキシエチルビニルシラン(deoevs)、ジメトキシエチルビニルシラン(dmoevs)、エトシキジメチルビニルシラン(eodmvs)、メトキシジエチルビニルシラン(modevs)、およびエチルメトキシメチルビニルシラン(emomvs)からなる群より選択される。メチルおよびエチル(アルキルオキシ)(アルキル)の組み合わせを上記した。C1〜C8の組み合わせの完全なリストは、読み手にとって負担であり、当業者には明らかである。(アルキルオキシ)(アルキル)の組み合わせは、飽和および不飽和の、炭素の直鎖、分岐鎖、および環状鎖の配置を含む。組み合わされた炭素鎖の配置も含まれる。
【0093】
あるいは、図5のCuプリカーサ化合物100は、Cuプリカーサブレンドを生成する添加物を含み、ブレンドはさらに、以下の構造式を有するシリロレフィンを含む。
【0094】
H2C=C(H)SiX3
上記式において、X基は、C1〜C8のアルキルオキシ基およびC1〜C8のアルキル基から選択される。すなわち、X基は、すべてのアルキルオキシ基、すべてのアルキル基、またはこれらの組み合わせであり得る。可能性のあるアルキル基は、メチル(C1)、エチル(C2)、プロピル(C3)、ブチル(C4)、ペンチル(C5)、ヘキシル(C6)、ヘプチル(C7)、オクチル(C8)基、アリール基、またはこれらのアルキル基の組み合わせを含む。同様に、可能性のあるアルキルオキシ基は、メトキシ(C1)、エトキシ(C2)、プロポキシ(C3)、ブトキシ(C4)、ペンチルオキシ(C5)、ヘキシルオキシ(C6)、ヘプチルオキシ(C7)、オクチルオキシ(C8)基、アリールオキシ基、またはこれらのアルキルオキシ基の組み合わせを含む。上述したように、組み合わせられた炭素鎖の配列もまた含まれる。
【0095】
1つの実施の形態において、プリカーサ化合物は、プリカーサブレンドを生成するための添加物を含み、ブレンドは、プリカーサ化合物の重量比により測定すると約5%未満のH-hfac・2H20を含んで、Cuの堆積速度を上昇させる。上述したように、プリカーサに水を添加すると、概して選択された表面に対するCuの堆積速度を上昇させる。
【0096】
1つの実施の形態において、プリカーサ化合物は、プリカーサブレンドを生成するための添加物を含み、ブレンドは、プリカーサ化合物の重量比により測定すると約0.4%未満のH-hfac・2H20と、プリカーサ化合物の重量比により測定すると約5%未満のシリロレフィンとを含んで、Cuの堆積速度を上昇させる。追加のシリロレフィンは、プリカーサ化合物が加熱されたときに安定化することを補助する。
【0097】
図7は、(エトキシ)(エチル)シリロレフィンリガンドを用いて、選択された表面上にCVD Cuを付与する方法の工程を示す。ステップ130において、CVD Cuを付与するための選択された表面が提供される。ステッ132において、各選択されたCuを形成する表面を、Cu+1(hfac)および、シリコン原子に結合した少なくとも1つのエトキシ基を含みシリコン原子への残りの結合はエチル基に対してなされたシリロレフィンリガンドを含む揮発性Cuプリカーサ化合物に曝される。Cuプリカーサ化合物は予め決められた減圧で付与される。ステップ134において、ステップ132を実行しながら、各Cuを形成する表面にCuを堆積する。ステップ136において、エトキシシリロレフィンリガンドとCuとの間の結合であって、低温でのCuプリカーサの分解を防止する結合を有するプリカーサで選択された表面上に、Cuが堆積された製品が製造される。Cuを比較的低い温度(200℃未満)で堆積させることが望ましいが、プリカーサが室温またはプロセス移送温度で分解を開始することは望ましくない。
【0098】
図8は、(アルキルオキシ)(アルキル)シリロレフィンリガンドを用いて、選択された表面上にCVD Cuを付与する方法の工程を示す。ステップ140において、CVD Cuを付与するための選択された表面が提供される。ステッ142において、各選択されたCuを形成する表面を、Cu+1(hfac)および、シリコン原子に結合した、少なくとも2つの炭素原子を含む少なくとも1つのアルキルオキシ基を含むシリロレフィンリガンドを含む揮発性Cuプリカーサ化合物に曝される。Cuプリカーサ化合物は、予め決められた減圧で付与される。ステップ144において、ステップ142を実行しながら、各Cuを形成する表面にCuを堆積する。ステップ146において、アルキルオキシシリロレフィンリガンドとCuとの間の結合であって、低温でのCuプリカーサの分解を防止する結合を有するプリカーサで選択された表面上に、Cuが堆積された製品が製造される。
【0099】
好適な実施の形態は、さらに、ステップ142と同時に各選択されたCuを形成する表面を、Cuプリカーサ化合物の分圧のおおむね0.5%と5%の間の範囲の分圧(減圧)で、水蒸気に曝す工程を含む。Cuプリカーサ化合物に水蒸気を付与することにより、Cuの堆積速度が上昇する。
【0100】
上記方法のCuを形成する表面、または選択された表面は、図6の選択された表面114と等価である。ステップ144の各Cuを形成する表面は、おおむね160℃と250℃との間の範囲の温度を有し、各選択された表面114に付与されたCuプリカーサ化合物の蒸気は、おおむね40℃と80℃との間の範囲の温度を有する。Cuプリカーサ化合物を好適に分解させて、そのために表面上に未荷電のCu原子を堆積するのは、ターゲット表面の比較的高い温度である。ステップ144において、Cuは、おおむね100秒と1000秒との間の範囲の時間にわたって、各Cuを形成する表面上に堆積される。すなわち、制御された堆積プロセスが、100秒と1000秒との間の範囲にわたって起こる。
【0101】
本発明のCuプリカーサ化合物は、従来の合成方法に示唆された方法に従って調製される。例えば、適切な合成方法は、Doyleらの"Alkene and Carbon Monoxide Derivatives of Copper (I) and Silver (I) β-Diketonates", Organometallics, 1985, 4, 830頁〜835頁で採用されたアプローチに基づいている。Cuプリカーサ化合物は、以下の反応により得られる。
【0102】
Cu20 + 2H-hfac + 2L → 2(hfac)CuL + H20
上記式において、Lはシリロレフィンリガンドである。
【0103】
(hfac)Cu(teovs)プリカーサを、上記方法に従って生成した。Cu2O(0.34モル)の500mlのテトラヒドロフラン(0.68モル)懸濁液にteovsを加えた。得られた混合液にH-hfac(0.68モル)を室温で滴下した。滴を添加しながら溶液を攪拌した。反応混合液を2日間攪拌した。未反応のCu2Oを濾過により除去し、溶媒を減圧下で除去した。生成物の減圧蒸留が、約0.2〜0.3Torr且つ70〜75℃のバス温度で起こり、0.22モル(歩留り32%)のプリカーサが得られた。
【0104】
別の適切な合成方法がNormanらの米国特許第5,085,731号において示唆されている。しかし、Normanらの方法によるプリカーサの歩留りは、Doyleらの方法よりも低い。
【0105】
表1は、本発明のCuプリカーサ化合物と図6に示す装置とを用いて堆積されたCuの堆積厚みと抵抗率とをリストアップしたチャートである。実験には、本発明の、teovsリガンドの実施の形態が用いられた。直径6インチの基板を、テトラエトキシシラン(酸化TEOS)から堆積された厚み2000オングストロームの二酸化シリコンで覆い、さらに厚み500オングストロームのTiN層で覆ったものに、Cuを堆積するためにプリカーサが用いられた。表1に示す(hfac)Cu(teovs)を用いた2回の堆積の間、Cuを形成する表面114は約195℃の温度を有していた。両方の堆積の時間は、約600秒であった。ライン116内のプリカーサの流量は約0.5cc/分であった。気化器118内の気化温度は約70℃であった。最後に、ライン120内のHeキャリアガスの流量は、約100cc/分であった。
【0106】
【表1】
Figure 0004132152
【0107】
表2は、従来技術のCuプリカーサ化合物の堆積厚み、堆積時間、および抵抗率を比較してリストしたチャートである。Cuプリカーサ化合物は以下のものである。
【0108】
1)オリジナルの"Cupra Select"、Schumacher, Carlsbad, CA92009の商標1)、すなわち(hfac)Cu(tmvs)。
【0109】
2)tmvsおよびH-hfac・2H20添加物を含む(hfac)Cu(tmvs)。
【0110】
3)Nguyenらにより1996年11月8日に出願された、"Cu(hfac)TMVS Precursor With Water Additive To Increase The Conductivity Of Cu And Method For Same"という名称の、同時係属中の米国出願シリアル番号第08/745.562号(アトーニードケット番号第SMT244号)において示唆された方法による、水蒸気を含む(hfac)Cu(tmvs)。
【0111】
表2の様々なプリカーサが、概して図6に示すプロセスおよび装置により付与された。チャンバ110の全環境圧力は約2.0T(Torr)であった。ライン116内のプリカーサの流量は、約0.8cc/分であり、ライン120内のHeガスの流量は、約100cc/分であった。添加物が用いられたときの気化器118の温度は約70℃であり、添加物を含まない(hfac)Cu(tmvs)の場合と水を含む(hfac)Cu(tmvs)の場合には50℃であった。プリカーサはより高い温度で分解する傾向があるため、気化温度を約50℃にまで低下させた。選択された表面114は、2000オングストロームの酸化TEOSによって覆われ、さらに500オングストロームのTiNによって覆われた直径6インチのSi基板であった。選択された表面の温度は約195℃であった。堆積時間は用いられたプリカーサに応じて最適化され、概して150秒〜700秒であった。
【0112】
【表2】
Figure 0004132152
【0113】
表1と表2とを比較した結果、本発明のプリカーサはCuの厚い堆積と優れた抵抗率とを提供することができる。プロセスを改良することにより、さらに良好な結果が得られる傾向にある。
【0114】
本発明のプリカーサは、リガンドにおけるアルキルオキシ基とアルキル基との様々な組み合わせを開示し、上記様々な組み合わせが従来技術のCuプリカーサ化合物に比較して広範囲の改良をもたらす。リガンド中にアルキルオキシ基を用いることにより、プリカーサの安定性と寿命が増大する。なぜなら、化合物が分解を開始するときに、酸素原子中の電子がCu原子に寄与するからである。アルキル基に対するアルキルオキシ基の割合を調整することができるため、ユーザは特定のCVDプロセスに最適な分子量を有するプリカーサを選択することが可能になる。
【0115】
従来用いられているメチルおよびメトキシよりも長い炭素鎖の使用は、リガンドの電子供与能力を向上させる。なぜなら、長鎖(C2〜C8)アルキルオキシ基と酸素原子とは両方とも、Cu原子に電子を供与するからである。Simmondsらの"A stable, liquid precursor for aluminum", Chemtronics, Vol. 5, 1991, 155頁〜158頁は、エチルなどの長鎖炭素基をメチル基に置換すると、融点のより低いプリカーサ化合物が得られることを示唆している。理論に拘束される意図はないが、長鎖の対称性が融点の低下を引き起こし、本発明のプリカーサは、アルキルおよびアルキルオキシの炭化水素鎖の比較的長い鎖の結果として融点がより低く、従って室温でより容易に液状に保持されると考えられる。液体CVDプリカーサは、概してほとんどのCVDシステムにおける精密な移送および再現性を実現することが可能である。
【0116】
本発明のプリカーサの主な利点の1つは、良好な堆積速度、熱安定性、およびCu導電率が、水および有機添加物を有するプリカーサとブレンドする必要なく得られることである。しかし、プリカーサの様々な実施の形態により、プリカーサが、水、シリロレフィン、H-hfac、H-hfac二水化物、および添加物の組み合わせとブレンドされることが許可される。これらの添加物は、液状または気化状態のいずれにおいてもプリカーサとブレンドされる。本明細書においては、リガンド中のエトキシ基およびエチル基の特定の組み合わせが強調された。本発明の他の実施の形態も当業者には自明である。
【0117】
【発明の効果】
本発明のプリカーサはCuの厚い堆積と優れた抵抗率とを提供することができる。リガンド中にアルキルオキシ基を用いることにより、プリカーサの安定性と寿命が増大する。アルキル基に対するアルキルオキシ基の割合を調整することができるため、ユーザは特定のCVDプロセスに最適な分子量を有するプリカーサを選択することが可能になる。
【0118】
従来用いられているメチルおよびメトキシよりも長い炭素鎖の使用は、リガンドの電子供与能力を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 tmvsリガンド(従来技術)の模式図である。
【図2】 tmovsリガンド(従来技術)の模式図である。
【図3a】本願の優先権主張の基礎となる米国出願と同時係属中の米国出願シリアル番号08/779.640(アトーニードケット番号第SMT252号)の、(メトキシ)(メチル)リガンドを含むCuプリカーサ化合物の模式図である。
【図3b】図3aに示す(メトキシ)(メチル)シリロレフィンリガンドにおいて、リガンドがジメトキシメチルビニルシラン(dmomvs)リガンドである実施の形態の模式図である。
【図3c】図3aに示す(メトキシ)(メチル)シリロレフィンリガンドにおいて、リガンドがメトキシジメチルビニルシラン(modmvs)リガンドである実施の形態の模式図である。
【図4a】本発明の揮発性Cuプリカーサ化合物であって、選択された表面にCuを化学気相成長(CVD)させる際に(エトキシ)(エチル)シリロレフィンリガンドを用いた、Cuプリカーサ化合物の模式図である。
【図4b】図4aのCuプリカーサ化合物の好適な実施の形態であって、(エトキシ)(エチル)シリロレフィンリガンドがトリエトキシビニルシラン(teovs)リガンドである、Cuプリカーサ化合物の模式図である。
【図4c】図4aのCuプリカーサ化合物の別の好適な実施の形態であって、(エトキシ)(エチル)シリロレフィンリガンドがジエトキシエチルビニルシラン(deoevs)リガンドである、Cuプリカーサ化合物の模式図である。
【図4d】図4aのCuプリカーサ化合物のさらに別の好適な実施の形態であって、(エトキシ)(エチル)シリロレフィンリガンドがエトキシジエチルビニルシラン(eodeevs)リガンドである、Cuプリカーサ化合物の模式図である。
【図5】本発明の揮発性Cuプリカーサ化合物であって、選択された表面にCuを化学気相成長(CVD)させる際に(アルキルオキシ)(アルキル)シリロレフィンリガンドを用いた、Cuプリカーサ化合物の模式図である。
【図6】本発明のCuプリカーサ化合物で、選択された表面にCuを堆積するために適した装置のブロック図である。
【図7】 (エトキシ)(エチル)シリロレフィンリガンドを用いて、選択された表面にCVD Cuを付与する方法のステップを示す図である。
【図8】 (アルキルオキシ)(アルキル)シリロレフィンリガンドを用いて、選択された表面にCVD Cuを付与する方法のステップを示す図である。
【符号の説明】
10 tmvsリガンド
20 tmovsリガンド
30 (メトキシ)(メチル)リガンド
40 dmomvsリガンド
50 modmvsリガンド
60、100 Cuプレカーサ化合物
70 teovsリガンド
80 deoevsリガンド
90 eodevsリガンド

Claims (47)

  1. 選択された表面にCuを化学気相成長させるための揮発性銅(Cu)プリカーサ化合物であって、該Cuプリカーサ化合物は、
    Cu+1(ヘキサフルオロアセチルアセトネート)と、
    シリロレフィンリガンドとを含み、
    該シリロレフィンリガンドは、シリコン原子に結合した少なくとも1つのエトキシ基を含み、該シリコン原子への他のすべての結合はエチル基に対してなされ、それによって、該化合物が気化温度にまで加熱される場合、エトキシシリロレフィンリガンドにおける酸素の電子供与能力は、Cuと該エトキシシリロレフィンリガンドとの間の安定した結合を提供する、Cuプリカーサ化合物。
  2. 前記シリコン原子に3つのエトキシ基が結合してトリエトキシビニルシラン(teovs)を生成し、それによって、トリエトキシ基の3つの酸素原子は、電子をCuに供与して、前記Cuプリカーサ化合物の温度安定性を増大させる、請求項1に記載のCuプリカーサ化合物。
  3. 前記シリコン原子に2つのエトキシ基と1つのエチル基が結合してジエトキシエチルビニルシラン(deoevs)を生成し、それによって、ジエトキシエチル基の2つの酸素原子は、電子をCuに供与して、前記Cuプリカーサ化合物の温度安定性を増大させる、請求項1に記載のCuプリカーサ化合物。
  4. 前記シリコン原子に1つのエトキシ基と2つのエチル基が結合してエトキシジエチルビニルシラン(eodevs)を生成し、それによって、エトキシジエチル基の酸素原子の分子量は、前記Cuプリカーサ化合物の揮発性を最小限の程度だけ抑制する、請求項1に記載のCuプリカーサ化合物。
  5. 選択された表面にCuを化学気相成長させるためのCuプリカーサ化合物であって、該プリカーサ化合物は、
    Cu+1(ヘキサフルオロアセチルアセトネート)と、
    シリロレフィンリガンドとを含み、
    該シリロレフィンリガンドは、シリコン原子に結合した、少なくとも2つの炭素原子を有する少なくとも1つのアルキルオキシ基を含み、それによって、該化合物が気化温度にまで加熱される場合、アルキルオキシシリロレフィンリガンドにおける酸素の電子供与能力は、Cuと該アルキルオキシシリロレフィンリガンドとの間の安定した結合を提供する、Cuプリカーサ化合物。
  6. 前記Cuプリカーサ化合物は、プリカーサブレンドを生成する添加物を含み、該プリカーサブレンドは、さらに、
    分圧(減圧)を有する水蒸気を含み、該水蒸気は、該水蒸気の分圧が該Cuプリカーサ化合物の分圧のおおむね0.5と5%との間の範囲にあるように、該Cuプリカーサ化合物とブレンドされ、該水蒸気の該Cuプリカーサ化合物への添加により、Cuの堆積速度を増加させる、請求項5に記載のCuプリカーサ化合物。
  7. 前記シリコン原子に結合されたアルキル基をさらに含み、該アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチルおよびアリールからなる、請求項5に記載のCuプリカーサ化合物。
  8. 前記アルキルオキシ基は、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシおよびアリールオキシからなる、請求項5に記載のCuプリカーサ化合物。
  9. 前記アルキルオキシ基は、少なくとも2つの炭素原子を有する少なくともさらに1つのアルキルオキシ基が前記シリコン原子に結合しているときに、メトキシをさらに含む、請求項5に記載のCuプリカーサ化合物。
  10. 前記Cuプリカーサ化合物はおおむね40℃と80℃との間の範囲で気化される、請求項5に記載のCuプリカーサ化合物。
  11. 各選択された表面に付与される前記Cuプリカーサ化合物の蒸気は、おおむね40℃と80℃との間の範囲の温度を有する、請求項5に記載のCuプリカーサ化合物。
  12. 前記Cuプリカーサ化合物は、不活性ガスと共に各選択された表面に移送され、そして該不活性ガスは該プリカーサ化合物の分圧のおおむね50%と1000%の範囲の分圧(減圧)を有する、請求項5に記載のCuプリカーサ化合物。
  13. 前記Cuプリカーサ化合物は、プリカーサブレンドを生成する添加物を含み、該プリカーサブレンドはさらに、
    該プリカーサ化合物の重量比により測定すると約5%未満のヘキサフルオロアセチルアセトネート(H-hfac)を含み、Cuの堆積速度を増加させるCuの不均化反応を促進する、請求項5に記載のCuプリカーサ化合物。
  14. 前記Cuプリカーサ化合物は、プリカーサブレンドを生成する添加物を含み、該プリカーサブレンドはさらに、
    該Cuプリカーサ化合物の重量比により測定すると約10%未満のシリロレフィンを含み、該Cuプリカーサ化合物が加熱されたときのCuの早すぎる分解を妨げる、請求項5に記載のCuプリカーサ化合物。
  15. 前記シリロレフィンは、トリメチルビニルシラン(tmvs)、ジメトキシメチルビニルシラン(dmomvs)、メトキシジメチルビニルシラン(modmvs)、トリメトキシビニルシラン(tmovs)、トリエトキシビニルシラン (teovs)、エトキシメトキシメチルビニルシラン(eomomvs)、ジエトキシメチルビニルシラン(deomvs)、ジエトキシメトキシビニルシラン(deomovs)、エトキシジメトキシビニルシラン(eodmovs)、エトキシジエチルビニルシラン(eodevs)、ジエトキシエチルビニルシラン(deoevs)、ジメトキシエチルビニルシラン(dmoevs)、エトキシジメチルビニルシラン(eodmvs)、メトキシジエチルビニルシラン(modevs)、およびエチルメトキシメチルビニルシラン(emomvs)からなる群から選択される、請求項14に記載のCuプリカーサ化合物。
  16. 前記Cuプリカーサ化合物は、プリカーサブレンドを生成する添加物を含み、該プリカーサブレンドはさらに、
    該Cuプリカーサ化合物の重量比により測定すると約5%未満のH-hfac・2H2Oを含み、Cuの堆積速度を増加させる、請求項5に記載のCuプリカーサ化合物。
  17. 前記Cuプリカーサ化合物は、プリカーサブレンドを生成する添加物を含み、該プリカーサブレンドはさらに、
    該Cuプリカーサ化合物の重量比により測定すると約0.4%未満のH-hfac・2H2Oと、
    該Cuプリカーサ化合物の重量比により測定すると約5%未満の、Cuの堆積速度を増加させるシリロレフィンと、
    を含む、請求項5に記載のCuプリカーサ化合物。
  18. 化学気相成長銅を選択された表面に付与するための揮発性銅(Cu)プリカーサ化合物であって、該化合物が (hfac)Cu(H2C=C(H)SiX3)の構造式によって表され、この式において、X基は少なくとも1つのC2〜C8アルキルオキシ基を含み、それによって、該Cuプリカーサ化合物が気化温度まで加熱される場合、該アルキルオキシ基における酸素の電子供与能力は、CuとH2C=C(H)SiX3リガンドとの間に安定した結合を提供する、Cuプリカーサ化合物。
  19. 前記X基は3つのエトキシ基である、請求項18に記載のCuプリカーサ化合物。
  20. 前記X基は2つのメトキシ基および1つのエチル基を含む、請求項18に記載のCuプリカーサ化合物。
  21. 前記X基は1つのエトキシ基および2つのエチル基を含む、請求項18に記載のCuプリカーサ化合物。
  22. 前記X基は、少なくとも1つのX基がC2〜C8アルキルオキシ基であるときに、C1アルキルオキシ基をさらに含む、請求項18に記載のCuプリカーサ化合物。
  23. 前記X基は2つのエトキシ基および1つのメチル基を含む、請求項22に記載のCuプリカーサ化合物。
  24. 前記X基は1つのエトキシ基および2つのメチル基を含む、請求項22に記載のCuプリカーサ化合物。
  25. 前記X基は2つのメトキシ基および1つのエチル基を含む、請求項22に記載のCuプリカーサ化合物。
  26. 前記X基は1つのメトキシ基および2つのエチル基を含む、請求項22に記載のCuプリカーサ化合物。
  27. 前記X基はC3〜C8環式アルキル基およびC3〜C8環式アルキルオキシ基を含む、請求項22に記載のCuプリカーサ化合物。
  28. 前記Cuプリカーサ化合物は、Cuプリカーサブレンドを生成する添加物を含み、該Cuプリカーサブレンドは、H2C=C(H)SiX3の構造式によって表されるシリロレフィンを有し、この式において、各X基はC1〜C8アルキルオキシ基およびC1〜C8アルキル基から選択される、請求項22に記載のCuプリカーサ化合物。
  29. 化学気相成長銅(CVD銅)を選択された表面に付与する方法であって、該方法は、
    a)予め決められた圧力で、各選択されたCuを形成する表面を、Cu+1(ヘキサフルオロアセチルアセトネート)およびシリロレフィンリガンドを含み、該シリロレフィンリガンドはシリコン原子に結合した少なくとも1つのエトキシ基を含み、該シリコン原子への他のすべての結合はエチル基に対してなされた、プリカーサ化合物に曝すステップと、
    b)該ステップa)の実行を続けている間に、該各Cuを形成する表面にCuを堆積するステップを包含しており、エトキシシリロレフィンリガンドとCuとの間の結合が、低温で該Cuプリカーサ化合物の分解を妨げる、
    CVD銅を選択された表面に付与する方法。
  30. 前記シリコン原子に3つのエトキシ基が結合してトリエトキシビニルシラン(teovs)を生成し、それによって、トリエトキシ基の3つの酸素原子は、電子をCuに供与して、前記Cuプリカーサ化合物の温度安定性を増大させる、請求項29に記載のCVD銅を選択された表面に付与する方法。
  31. 前記シリコン原子に2つのエトキシ基と1つのエチル基が結合してジエトキシエチルビニルシラン(deoevs)を生成し、それによって、ジエトキシエチル基の2つの酸素原子は、電子をCuに供与して、前記Cuプリカーサ化合物の温度安定性を増大させる、請求項29に記載のCVD銅を選択された表面に付与する方法。
  32. 前記シリコン原子に1つのエトキシ基と2つのエチル基が結合してエトキシジエチルビニルシラン(eodevs)を生成し、それによって、エトキシジエチル基の酸素原子の分子量は、前記Cuプリカーサ化合物の揮発性を最小限の程度だけ抑制する、請求項29に記載のCVD銅を選択された表面に付与する方法。
  33. 化学気相成長銅(CVD銅)を選択された表面に付与する方法であって、該方法は、
    a)予め決められた圧力で、各選択されたCuを形成する表面を、Cu+1(ヘキサフルオロアセチルアセトネート)とシリロレフィンリガンドとを含み、該シリロレフィンリガンドは、シリコン原子に結合した、少なくとも2つの炭素原子を有する少なくとも1つのアルキルオキシ基を含む、揮発性Cuプリカーサ化合物に曝すステップと、
    b)該ステップa)の実行を続けている間に、該各Cuを形成する表面にCuを堆積するステップを包含しており、アルキルオキシシリロレフィンリガンドとCuとの間の結合が、低温で該Cuプリカーサ化合物の分解を妨げる、
    CVD銅を選択された表面に付与する方法。
  34. 前記化学気相成長銅を選択された表面に付与する方法であって、c)前記ステップa)と同時に、分圧(減圧)下で前記Cuプリカーサ化合物の分圧のおおむね0.5%と5%との間の範囲で前記各選択されたCuを形成する表面を水蒸気に曝し、該水蒸気の該Cuプリカーサ化合物への添加がCuの堆積速度を増加させるステップをさらに含む、請求項33に記載のCVD銅を選択された表面に付与する方法。
  35. 前記Cuプリカーサ化合物は、前記シリコン原子に結合されたアルキル基をさらに含み、該アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチルおよびアリールからなる、請求項33に記載のCVD銅を選択された表面に付与する方法。
  36. 前記アルキルオキシ基は、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシおよびアリールオキシからなる、請求項33に記載のCVD銅を選択された表面に付与する方法。
  37. 前記アルキルオキシ基は、少なくとも2つの炭素原子を有する少なくともさらに1つのアルキルオキシ基が前記シリコン原子に結合しているときに、メトキシをさらに含む、請求項33に記載のCVD銅を選択された表面に付与する方法。
  38. 前記ステップb)における前記各Cuを形成する表面が、おおむね160℃と250℃との間の範囲の温度を有する、請求項37に記載のCVD銅を選択された表面に付与する方法。
  39. 前記Cuプリカーサ化合物は、おおむね40℃と80℃との間の範囲の温度で気化される、請求項37に記載のCVD銅を選択された表面に付与する方法。
  40. 前記ステップb)において、Cuは100秒と1000秒との間の範囲の時間にわたって、各Cuを形成する表面に堆積される、請求項37に記載のCVD銅を選択された表面に付与する方法。
  41. 前記ステップa)は、前記Cuプリカーサ化合物の蒸気をおおむね40℃と80℃との間の範囲の温度で前記各選択された表面に付与することを含む、請求項37に記載のCVD銅を選択された表面に付与する方法。
  42. 前記ステップa)は、前記Cuプリカーサ化合物を前記各選択された表面に不活性ガスと共に移送することを含み、該不活性ガスは、該Cuプリカーサ化合物の分圧のおおむね50%と1000%との範囲の分圧(減圧)を有する、請求項37に記載のCVD銅を選択された表面に付与する方法。
  43. 前記プリカーサ化合物は、プリカーサブレンドを生成する添加物を含み、該プリカーサブレンドは、該Cuプリカーサ化合物の重量比により測定すると約5%未満のヘキサフルオロアセチルアセトン(H-hfac)を含み、Cu堆積速度を上昇させるCu不均化反応を促進させる、請求項37に記載のCVD銅を選択された表面に付与する方法。
  44. 前記プリカーサ化合物は、プリカーサブレンドを生成する添加物を含み、該プリカーサブレンドは、該Cuプリカーサ化合物の重量比により測定すると約10%未満のシリロレフィンを含み、該Cuプリカーサ化合物が加熱されるときのCuの早すぎる分解を防止する、請求項37に記載のCVD銅を選択された表面に付与する方法。
  45. 前記シリロレフィンは、トリメチルビニルシラン(tmvs)、ジメトキシメチルビニルシラン(dmomvs)、メトキシジメチルビニルシラン(modmvs)、トリメトキシビニルシラン(tmovs)、トリエトキシビニルシラン (teovs)、エトキシメトキシメチルビニルシラン(eomomvs)、ジエトキシメチルビニルシラン(deomvs)、ジエトキシメトキシビニルシラン(deomovs)、エトキシジメトキシビニルシラン(eodmovs)、エトキシジエチルビニルシラン(eodevs)、ジエトキシエチルビニルシラン(deoevs)、ジメトキシエチルビニルシラン(dmoevs)、エトキシジメチルビニルシラン(eodmvs)、メトキシジエチルビニルシラン(modevs)、およびエチルメトキシメチルビニルシラン(emomvs)からなる群から選択される、請求項44に記載のCVD銅を選択された表面に付与する方法。
  46. 前記プリカーサ化合物は、プリカーサブレンドを生成する添加物を含み、該プリカーサブレンドは、該Cuプリカーサ化合物の重量比により測定すると約5%未満のH-hfac・2H2Oを含み、Cu堆積速度を上昇させる、請求項37に記載のCVD銅を選択された表面に付与する方法。
  47. 前記プリカーサ化合物は、プリカーサブレンドを生成する添加物を含み、該プリカーサブレンドは、該Cuプリカーサ化合物の重量比により測定すると約0.4%未満のH-hfac・2H2Oと約5%未満のシリロレフィンと含み、Cu堆積速度を上昇させる、請求項37に記載のCVD銅を選択された表面に付与する方法。
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