JP3729521B2 - 避雷器 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、不活性ガスを封入してなる避雷器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の避雷器は、その電極部を加工する際、プレス加工により金属板を円形に打ち抜いて電極を形成すると同時にその中心部に凸部を成形して放電電極部を形成している。次に、この電極部を端部がメタライズ処理された絶縁円筒にロウ付けにより固着するとともに、不活性ガスを内部に封入している。さらに、この電極部に、ワイヤを用いて点溶接によりリード線を接続していた。
なお、この他に、ワイヤを用いてヘッダ加工により電極を形成する方法もある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このように異種の材質を接合した構造の避雷器では、動作時の昇温にともなう熱応力の発生をおさえるため、電極に使用される金属材料の熱膨張係数と、絶縁円筒の熱膨張係数とを等しくすることが必要である。例えば、絶縁円筒にセラミック管を用いた場合、電極として使用できる材料はコバール、銅、鉄等に限られてしまう。そのため、熱膨張係数の異なる他の種類の金属を電極部に使用して避雷器の性能を向上させることができなかった。また、完成した避雷器本体にホルダーやリード線を接続するための二次加工が煩わしいという問題があった。
本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、電極部に任意の金属材の使用を可能にするとともに、ホルダーやリード線の接続を不要にした避雷器を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、第1の発明は、両端面がメタライズ処理された絶縁円筒の両端にロウ付けにより金属電極を固着するとともに内部に不活性ガスを封入した避雷器において、この金属電極は、熱膨張係数が絶縁円筒とほぼ同一の金属円板と、ほぼ円柱状であって円柱中心に凸部が形成された放電電極と、を備え、金属円板の内側中心部と、放電電極の凸部と、が点溶接により固着形成されるとともに、この金属円板の外周部が絶縁円筒の端部にロウ付けされることを特徴とする。
【0005】
第2の発明は、第1の発明の避雷器において、金属電極を形成する金属円板の外縁部の一部を延設し、その端部に配線接続部を形成したことを特徴とする。
【0006】
【作用】
第1の発明においては、金属円板と放電電極とを点溶接して金属電極が形成されたため、絶縁円筒に固着される金属円板は絶縁円筒とほぼ同一の熱膨張係数としなければならないものの、放電電極についてはその必要がない。すなわち、放電電極が絶縁円筒および金属円板と異なった熱膨張係数の金属である場合、避雷器が作動して電極部が高温になると、金属円板と放電電極との固着部において若干の熱応力が発生するものの、その熱応力は金属円板と絶縁円筒の固着部におよんで金属円板と絶縁円筒とのシールを損なうまでにはいたらない。それにより、放電電極には熱膨張係数の値にかかわらずに融点の高い金属を使用することができる。
【0007】
第2の発明においては、金属電極を形成する金属円板の外縁部の一部が延設されて、配線接続部が形成されたことにより、リード線の接続工程が不要となる。
【0008】
【実施例】
以下、図に沿って本発明の実施例を説明する。図1は第1の発明に係る第1の実施例の構造を示す断面図であり、図2は図1の要部を取り出して示した拡大断面図である。図において、1はセラミック管等の絶縁材からなる絶縁円筒であり、予め上下両端が全周にわたりメタライズ処理されてメタライズ部2が形成されている。また、3は絶縁円筒1と外径が同一の金属円板であり、その中心部7に円柱状をした放電電極4が予め点溶接により固着されている。
【0009】
金属円板3はプレス加工により打ち抜かれ、その材質は絶縁円筒1と熱膨張係数がほぼ同一のものが選定される。例えば、絶縁円筒1がセラミック管である場合、金属円板3は鉄、コバルトおよびニッケルを含むコバール、または、鉄・ニッケル合金等が用いられる。放電電極4の材質には、鉄、銅、モリブテン、タングステン等の高融点の金属およびチタン等のゲッター材がベースとして選定される。また、その形状は、絶縁円筒1の内径よりも小径な円柱状であり一端の外周部が曲線により面取りされている。
【0010】
さらに放電電極4は、図2に示されるように、金属円板3に溶接される他端側の中心部に凸部5が形成されて、点溶接する際の金属円板3との圧接を容易にしている。点溶接により放電電極4が溶着された金属円板3は、絶縁円筒1の上下両端に形成されているメタライズ部2にロウ付けにより固着される。つまり、この固着部は、絶縁円筒1、メタライズ部2、ロウ材部6、金属円板3の4層構造となる。また、このとき絶縁円筒1内には不活性ガスが封入される。こうして、上下に金属円板3が固着されたことにより、絶縁円筒1内では、上下から放電電極4の端面が対向して放電面が形成される。
【0011】
この実施例では、避雷器が作動して対向する放電電極4,4間に放電が生じると、発熱により各部の温度が上昇するが、絶縁円筒1と金属円板3とは熱膨張係数がほぼ同じであるため、その接合部には熱膨張係数の違いによる熱応力が殆んど発生しない。また、金属円板3と放電電極4は、選定された材質によっては熱膨張係数が互いに異なることもある。その場合は、点溶接された凸部5の部分に熱応力が発生するものの小範囲であり、しかも金属円板3の中心部分であるため、金属円板3の外周部のロウ付け部分にまでは影響が及ばない。その結果、放電電極4には融点の高い任意の金属材の使用が可能となり、避雷器に要求される性能やコストに応じて、最適な金属材を選定することが可能になる。
【0012】
次に、第2の発明に係る第2の実施例について説明する。図3は第2の実施例の構造を示す断面図であり、図4は同じく外観斜視図である。図示されるように、この第2の実施例は本体部分が第1の実施例と共通であり、金属円板13のみが異なるので、共通部分は、図1と同一符号を付して説明を省略し、異なる金属円板13について説明する。金属円板13は、図4に示されるように、円板部分の外縁の一部が半径方向に延長されて脚部15が形成されるとともに、脚部15に配線接続用の孔16が形成されている。
【0013】
この脚部15により、避雷器の取り付け時に本体を支持・固定することができるとともに、孔16を利用して半田付け等により容易に配線の接続ができる。なお、この金属円板13はプレスにより打ち抜くときに孔あけ工程を追加するだけで加工できる。
このように、金属円板13に配線接続用の脚部15を形成したことで、製造時に従来必要であったホルダやリード線の接続工程が不要となり製作が容易になるとともに、現場で避雷器を取り付ける際は、本体の取り付けと配線が容易になる。
【0014】
次に、第2の発明に係る第3の実施例について説明する。図5は第3の実施例の構造を示す断面図である。図示されるように、この第3の実施例は、第2の実施例の避雷器において、軸方向の中間に中間電極23を設けたものであり、他の部分は第2の実施例と共通であるので、共通部分は図3と同一符号を付して説明を省略し、異なる中間電極23について説明する。中間電極23は、外形が金属円板13と同一であり、脚部25には同様に配線接続用の孔26が形成されている。
【0015】
また、電極23は金属円板13と同一材でかつ厚みが約2倍であり、絶縁円筒1との接続部は、第1、第2の実施例と同様にメタライズ処理されてからロウ付けにより固着されている。また、中間電極23の中心には透孔27が形成されている。この実施例も、第2の実施例と同様に、脚部15,25および孔16,26を有することにより、避雷器の取り付けと配線が容易になる。
なお避雷器の大きさに応じて、点溶接の箇所は複数箇所でもよい。
【0016】
【発明の効果】
以上述べたように第1の発明によれば、金属円板と放電電極とを点溶接して金属電極を形成したため、金属電極の加工が容易になるとともに、放電電極は熱膨張係数の値にかかわらず最適な金属を選定することにより避雷器の性能を向上させることが可能になる。
【0017】
第2の発明によれば、金属電極を形成する金属円板の外縁部の一部を延設して、配線接続部を形成したことにより、従来は必要であったホルダやリード線の接続が不要となり、その分、製造工程が短縮されてコストダウンが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の発明に係る第1の実施例の構造を示す断面図である。
【図2】図1の要部を取り出して示した拡大断面図である。
【図3】第2の発明に係る第2の実施例の構造を示す断面図である。
【図4】第2の発明に係る第2の実施例の外観を示す斜視図である。
【図5】第2の発明に係る第3の実施例の構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1 絶縁円筒
2 メタライズ部
3 金属円板
4 放電電極
5 凸部
6 ロウ材部
7 中心部
13 金属円板
15 脚部
16 孔
23 中間電極
25 脚部
26 孔
27 透孔

Claims (2)

  1. 両端面がメタライズ処理された絶縁円筒の両端にロウ付けにより金属電極を固着するとともに内部に不活性ガスを封入した避雷器において、
    この金属電極は、熱膨張係数が絶縁円筒とほぼ同一の金属円板と、ほぼ円柱状であって円柱中心に凸部が形成された放電電極と、を備え、金属円板の内側中心部と、放電電極の凸部と、が点溶接により固着形成されるとともに、この金属円板の外周部が絶縁円筒の端部にロウ付けされることを特徴とする避雷器。
  2. 請求項1記載の避雷器において、金属電極を形成する金属円板の外縁部の一部を延設し、その端部に配線接続部を形成したことを特徴とする避雷器。
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