JP3729116B2 - 方位計 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は磁気抵抗素子を用いた方位計、特に磁気抵抗素子にバイアス磁界を印加しながら方位を測定する方位計に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
磁気抵抗素子はその磁化容易軸方向に電流を流したときに、それに直角な方向に磁界を印加すると、電流の方向での抵抗は磁界の大きさによって減少する磁気抵抗効果を持つ。抵抗と印加する磁界強度との関係はほぼ2次関数で近似することが出来て、図7のように
R=R0(1−α(H/Hk)2
となっている。ここで、R0は無磁界時の抵抗、αは抵抗率変化率、Hkは飽和磁界である。
【0003】
磁気抵抗素子に1/2・Hk程度のバイアス磁界を印加した状態では、外部磁界と抵抗とはほぼ直線関係にある。地磁気の水平成分は最大0.4Oeであるから、適当なバイアスを印加すると方位を測定することができる。
【0004】
4個の直交する磁気抵抗素子91,92,93,94を図8のようにフルブリッジに組み、磁気抵抗素子の電流方向に対して45°の角度になるように2つの直交するバイアス磁界を印加できるように2個のバイアスコイル101,102を磁気抵抗素子の外部に付けたホルダーに巻き付けた方位計が用いられている。それを図9に断面模式図、図10に外観図で示している。
【0005】
方位を測定する際には、一方のバイアスコイル101(x方向コイルとする)によって、フルブリッジになった4個の磁気抵抗素子91,92,93,94に+x方向バイアスを印加しながら、フルブリッジになった磁気抵抗素子間の中間電位差を測定し、次に同じバイアスコイル101によって磁気抵抗素子に−x方向バイアスを印加しながら、磁気抵抗素子間の中間電位差を測定する。+x方向バイアス印加時と−x方向バイアス印加時の中間電位差同士の差を求めると、この差が地磁気の水平分力とx軸方向との角度θの正弦と比例したものになる。
【0006】
次に他方のバイアスコイル102(y方向コイルとする)によって、フルブリッジになった4個の磁気抵抗素子91,92,93,94に+y方向バイアスを印加しながら、フルブリッジになった磁気抵抗素子間の中間電位差を測定し、次いで同じバイアスコイル102によって磁気抵抗素子に−y方向バイアスを印加しながら磁気抵抗素子間の中間電位差を測定する。+y方向バイアス印加時と−y方向バイアス印加時の中間電位差同士の差を求めると、この差が地磁気の水平分力の方向θとはsin(π/2−θ)に、すなわち角度θの余弦と比例する。
【0007】
これらy方向出力Vyとx方向出力Vxから地磁気の水平分力の方向
θ=atan(Vx/Vy)
として、方位が測定出来る。
【0008】
以上のことは原理として正しいのであるが、磁気抵抗素子への印加磁界と抵抗との関係にはヒステリシスがあり、図7に示したものよりも、むしろ図11のようになる。印加磁界強度を上げていくと図11の上のカーブを辿り飽和となる、そこから印加磁界を下げていくと下のカーブを辿ると言われている。
【0009】
そこで、方位を測定する際に、このヒステリシスの影響を考慮して、バイアス磁界を印加する前に飽和磁界を印加しておくことが行われている。
【0010】
例えば、特開平5-157565号公報にあるように、上で説明した磁気抵抗素子と2つの直交するバイアスコイルからなる方位計を用いて方位を測定する際に、+x方向に飽和磁界Hkを印加し、次いで+x方向バイアス磁界Hbを印加しながら磁気抵抗素子間の中間電位差を測定する。そして同じバイアスコイルによって−x方向に飽和磁界−Hkを印加し、次いで−x方向バイアス磁界−Hbを印加しながら磁気抵抗素子間の中間電位差を測定する。このようにして求めた+x方向バイアス印加時と−x方向バイアス印加時の中間電位差同士の差をx方向出力Vxとする。
【0011】
次に他方のバイアスコイルによって、+y方向に飽和磁界を印加し、次いで+y方向バイアスを印加しながら磁気抵抗素子間の中間電位差を測定する。そして同じバイアスコイルによって−y方向に飽和磁界を印加し、次いで−y方向バイアスを印加しながら磁気抵抗素子間の中間電位差を測定する。このようにして求めた+y方向バイアス印加時と−y方向バイアス印加時の中間電位差同士の差をy方向出力Vyとする。これらVxとVyから上記と同じように方位を測定するものである。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上で説明したフルブリッジに組み立てた4個の直交する磁気抵抗素子は一枚のセラミック基板上にNi系合金膜を蒸着し、エッチングによってつづら折り状の各磁気抵抗素子を形成することができる。そのために極めて小さく、また薄いものとすることができる。しかし、それをx方向、y方向に取り巻いて形成した2個のバイアスコイルは磁気抵抗素子ブリッジの外周に設けられているために、厚さが3mm程度で面積が10mm×10mm程度の物となっていた。このように厚さが大きいために、電子方位計を組み込んだリストウオッチが大きなものとなっていた。
【0013】
方位を測定する手順を上で説明したが、x方向コイルで+x方向と−x方向のバイアスを印加して測定し、y方向コイルで+y方向と−y方向のバイアスを印加して測定し、その後演算するので、4回の測定が必要なものであった。
【0014】
更に、ヒステリシスの影響をなくすために、バイアス磁界を印加する前にバイアス磁界と同じ方向の飽和磁界を印加することが行われている。飽和磁界を印加した後にバイアス磁界を印加すると磁気抵抗素子の抵抗と磁界曲線(図11参照)の勾配が小さくなって、測定する出力が低くなってしまっている。
【0015】
そこで、本発明の目的とするところは、磁気抵抗素子に飽和磁界とバイアス磁界とを印加するのに平面コイルを用いて、薄膜でコイルを構成することが出来て、厚さを極めて薄く且つ面積を小さくすることのできる方位計を提供することである。
【0016】
また、本発明の他の目的は、従来よりもコイルへの通電回数を減らし、測定回数を少なくすることのできる方位計を提供することである。
【0017】
本発明の更に他の目的は、同じバイアス磁界を生じさせるのにコイルに流す電力を小さくすることのできる方位計を提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明の方位計は、磁気抵抗素子面と、その磁気抵抗素子面の両側にそれぞれ平行に設けられた2個の平面コイルとを有し、
各平面コイルは互いに平行となっている対辺対を少なくとも2組持ち、それら2組の対辺対が長方形の4辺を少なくとも部分的に構成しており、
前記磁気抵抗素子面には、前記平面コイルの対辺対の各1辺当たり、その辺のみと30°よりも大きく90°未満で交差している長手方向を持った2個の磁気抵抗素子を持ち、その2個の磁気抵抗素子は互いにその長手方向が非平行となっており、
前記2個の平面コイルは、前記磁気抵抗素子面にある各磁気抵抗素子に同じ方向の直流磁界が印加されるように互いに反対方向の直流電流が流されるように接続されて、
各磁気抵抗素子と交差している一方の平面コイルの辺を流れる直流電流によるバイアス直流磁界と、その磁気抵抗素子と交差している他方の平面コイルの辺を流れる直流電流によるバイアス直流磁界とがその磁気抵抗素子の長手方向と交差してその長手方向と直角方向にバイアス直流磁界がその磁気抵抗素子に印加されるようになっており、
磁気抵抗素子それぞれは、その磁気抵抗素子が交差している平面コイルの辺の対辺と交差している2個の磁気抵抗素子のうち一方の磁気抵抗素子とで1組の磁気抵抗素子対を構成していて、その1組の磁気抵抗素子対を構成している2個の磁気抵抗素子はその長手方向が互いに非平行となっていて、
各磁気抵抗素子対の磁気抵抗素子の一方の端部同士が接続されているとともに、他方の端部間に測定用電圧が印加されるようになっていて、接続されている前記一方の端部から中間電位出力を取り出すようになっていることを特徴とする。
【0020】
本発明の方位計において、前記各磁気抵抗素子の長手方向が平面コイルの対辺対の各1辺と交差する角度が45°以上で90°未満であることが好ましい。
【0021】
本発明の方位計は、磁気抵抗素子面と、その磁気抵抗素子面の両側にそれぞれ平行に設けられた2個の平面コイルとを有し、
各平面コイルは互いに平行となっている対辺対を少なくとも2組持ち、それら2組の対辺対が長方形の4辺を少なくとも部分的に構成しており、
前記磁気抵抗素子面には、前記平面コイルの対辺対の各1辺当たり、その辺のみと45°で交差している長手方向を持った2個の磁気抵抗素子を持ち、その2個の磁気抵抗素子は互いにその長手方向が直角となっており、
前記2個の平面コイルは、前記磁気抵抗素子面にある各磁気抵抗素子に同じ方向の直流磁界が印加されるように互いに反対方向の直流電流が流されるように接続されて、
各磁気抵抗素子と交差している一方の平面コイルの辺を流れる直流電流によるバイアス直流磁界と、その磁気抵抗素子と交差している他方の平面コイルの辺を流れる直流電流によるバイアス直流磁界とがその磁気抵抗素子の長手方向と交差してその長手方向と直角方向にバイアス直流磁界がその磁気抵抗素子に印加されるようになっており、
磁気抵抗素子それぞれは、その磁気抵抗素子が交差している平面コイルの辺の対辺と交差している2個の磁気抵抗素子のうち一方の磁気抵抗素子とで1組の磁気抵抗素子対を構成していて、その1組の磁気抵抗素子対を構成している2個の磁気抵抗素子はその長手方向が互いに直角となっていて、
各磁気抵抗素子対の磁気抵抗素子の一方の端部同士が接続されているとともに、他方の端部間に測定用電圧が印加されるようになっていて、接続されている前記一方の端部から中間電位出力を取り出すようになっていることができる。
【0022】
また、前記2個の平面コイルはその電源に直列に接続されていることが好ましい。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明による方位計の実施例を図1,2に示している。図1は方位計の展開斜視図であり、磁気抵抗素子面と、その磁気抵抗素子面の両側に近接して磁気抵抗素子面とそれぞれ平行に設けられた2個の平面コイル1,1′を持っている。磁気抵抗素子面には磁気抵抗素子21,22,31,32,41,42,51,52が設けられている。平面コイル1は互いに平行になっている対辺対11と12,13と14を少なくとも2組有し、それら2組の対辺対が長方形の4辺(ここでは正方形の4辺)を少なくとも部分的に構成している。平面コイル1′は互いに平行になっている対辺対11′と12′,13′と14′を少なくとも2組有し、それら2組の対辺対が長方形の4辺(ここでは正方形の4辺)を少なくとも部分的に構成している。
【0024】
平面コイル1の平行な対辺対の一コイル辺11と平面コイル1′の平行な対辺対の一コイル辺11′とは平行に並べられており、それらのコイル辺の間に挟まれて磁気抵抗素子21と32がその長手方向を30°よりも大きく90°未満で、好ましくは45°以上で90°未満で、この実施例では45°でコイル辺と交差している。対辺対の向かい側のコイル辺12とコイル辺12′とは平行に並べられており、それらのコイル辺の間に挟まれて磁気抵抗素子31と22がその長手方向を30°よりも大きく90°未満で、好ましくは45°以上で90°未満で、この実施例では45°でコイル辺と交差している。それらの対辺対と直交しているコイル辺13とコイル辺13′とは平行に並べられており、それらのコイル辺間に挟まれて磁気抵抗素子41と52がその長手方向を30°よりも大きく90°未満で、好ましくは45°以上で90°未満で、この実施例では45°でコイル辺と交差している。コイル辺13の向かい側のコイル辺14とコイル辺13′の向かい側のコイル辺14′とは平行に並べられていて、それらのコイル辺の間に挟まれて磁気抵抗素子51と42がその長手方向を30°よりも大きく90°未満で、好ましくは45°以上で90°未満で、この実施例では45°でコイル辺と交差している。平面コイル1、1′の各辺と交差している磁気抵抗素子21と32,31と22,41と52,51と42は、それぞれそれらの長手方向が互いに非平行、この図では直交している。また、平行な対辺対の辺と長手方向が交差している磁気抵抗素子21と22とで磁気抵抗素子対2を構成していて、磁気抵抗素子21と22はそれらの長手方向が互いに非平行、この図では直交している。同様に、平行な対辺対の各辺と長手方向が交差している磁気抵抗素子31と32,41と42,51と52はそれぞれ磁気抵抗素子対3,4,5を構成していて、磁気抵抗素子31と32,41と42,51と52はそれらの長手方向が互いに非平行、この図では直交している。各磁気抵抗素子対2,3,4,5を構成している磁気抵抗素子同士の一方の端部、この図では平面コイル1、1′の内側にある端部同士がそれぞれ結合されている。そして、各磁気抵抗素子対の他端部間に測定用電圧Vccが印加されて、先ほどの結合されている端部の電位差を測定するようになっている。
【0025】
磁気抵抗素子は平面コイル1、1′と近接して挟まれた平行な面に設けられている。平面コイル1、1′はそれぞれコイルが同じ方向に数十回巻かれていて、両コイルに互いに反対方向に直流電流を流したとき、両平面コイル面間にある平行な面すなわち磁気抵抗素子面には、コイルの内側から外へ、あるいは外から内側へ向いた直流磁界が生じるので、磁気抵抗素子対に直流磁界が印加されることになる。図1,2で平面コイル1に時計廻りの電流Iが流れて平面コイル1′に反時計廻りの電流−Iが流れると磁気抵抗素子21,32にはx方向の磁界が、磁気抵抗素子22,31には−x方向の磁界が、磁気抵抗素子41,52にはy方向の磁界が、磁気抵抗素子42,51には−y方向の磁界が印加される。平面コイル1にそれとは反対方向の電流−Iが流されて平面コイル1′に電流Iが流されると各磁気抵抗素子には先ほどと反対方向の磁界が印加される。
【0026】
磁気抵抗素子の長手方向に電流を流すときに、磁気抵抗素子面で長手方向と直角方向に磁界を印加した場合、磁気抵抗素子の抵抗は図7のように磁界の大きさに応じて減少し、その磁界の印加方向によって図11のようにヒステリシスがある。
【0027】
磁気抵抗素子が平面コイルの辺と45°で交差している場合は、長手方向の直角方向に対して45°の方向に外部磁界が印加されることになる。その場合磁気抵抗素子は長手方向に形状磁気異方性があり、形状磁気異方性磁界と外部磁界の合成ベクトルが磁気抵抗素子に印加されたのと同じになる。そのために、磁気抵抗素子に外部磁界を印加したときの外部磁界Hと抵抗Rの関係は図3に示すグラフのようになる。図3では正方向に大きな磁界Hを掛けておいて、徐々にその掛けている磁界の大きさを小さくしていったときの抵抗の変化を示している。印加磁界が負になったときに極小の抵抗を持つので、負で所定の大きさの磁界を印加しているときに、印加磁界の変化に対する抵抗の変化率が最も大きくなる。この抵抗と磁界との関係グラフは、負方向に大きな磁界を掛けておいて、次第に印加磁界を大きくしていった場合には、磁界0の線に関して図3のグラフと対称のグラフとなる。
【0028】
図1,2に示す方位計を用いて方位を測定する際、平面コイル1に直流電流を図1,2で時計廻りにまた平面コイル1′に反時計廻りに流して、磁気抵抗素子21〜52の磁化が少なくとも長手方向に飽和するのに十分な大きさの直流磁界を磁気抵抗素子21〜52に印加する。次にその直流電流と反対向き(図1,2で平面コイル1に反時計廻りで平面コイル1′に時計廻り)で所定の大きさの直流電流をその平面コイル1、1′に流して磁気抵抗素子の長手方向と直角方向にバイアス直流磁界を印加している間に、磁気抵抗素子対の各磁気抵抗素子の他方の端部間に測定用電圧Vccを印加して、接続されている端部から中間電位出力を取り出す。磁気抵抗素子21〜52の長手方向と直角方向に飽和するのに十分な大きさの直流磁界を磁気抵抗素子21〜52に印加すると、いずれの磁気抵抗素子も図3のグラフの右端の状態となる。直流電流を減少させるか、あるいは切って、その直流電流とは反対向きで、印加磁界に対する抵抗変化率が最大となる付近の大きさの磁界、すなわち所定の大きさの直流電流による直流磁界を印加しておいて、磁気抵抗素子同士の接続されている端部から中間電位出力を取り出す。いま地磁気の水平成分の大きさをHeとして、その地磁気の水平成分Heのx軸となす角度をθとする。磁気抵抗素子21と磁気抵抗素子22の中間電位出力は、
Vcc・(1/2−1/(2・Rb)・βHecosθ)
となる。なお、ここでβは抵抗の磁界に対する変化率であって、Rbはバイアス磁界Hbのみが印加されているときの磁気抵抗素子の抵抗である。
【0029】
磁気抵抗素子対2と磁気抵抗素子対3の接続されている端部の中間電位出力の間の差を図1,2のVxとして取りだしているので、中間電位出力差Vxは
Vx(+)= Vcc・((1/2−1/(2・Rb)・βHecosθ)−(1/2+1/(2・Rb)・βHecosθ))
=−Vcc・1/Rb・βHecosθ
となる。
【0030】
同様にして、磁気抵抗素子対4と磁気抵抗素子対5の接続されている端部の中間電位出力の間の差を図1,2のVyとして取りだしているので、中間電位出力差Vyは
Vy(+)= Vcc・((1/2−1/(2・Rb)・βHesinθ)−(1/2+1/(2・Rb)・βHesinθ))
=−Vcc・1/Rb・βHesinθ
となる。
【0031】
次に、平面コイル1、1′に上とは反対向きに直流電流を流して、磁気抵抗素子21〜52が長手方向と直角方向に飽和する大きさの直流磁界を磁気抵抗素子21〜52に印加し、その直流電流とは反対向きで所定の大きさの直流電流をその平面コイル1及び1′に流して磁気抵抗素子の長手方向と直角方向にバイアス直流磁界を印加している間に、上と同様に磁気抵抗素子対の各磁気抵抗素子の他の端部同士間に測定用電圧Vccを印加して、接続されている端部から中間電位出力を取り出す。このときに印加する磁界の大きさは、絶対値で上とほぼ同じ大きさの磁界とすると、印加磁界に対する抵抗変化率が最大となる。
【0032】
この場合の磁気抵抗素子対2と磁気抵抗素子対3の接続されている部分の中間電位出力の間の差を図1,2のVxとして取り出すと、中間電位出力差Vxは
Vx(-)=Vcc・1/Rb・βHecosθ
となる。また、磁気抵抗素子対4と磁気抵抗素子対5の接続されている端部の中間電位出力の間の差を図1,2のVyとして取り出すと、中間電位出力差Vyは
Vy(-)=Vcc・1/Rb・βHesinθ
となる。
【0033】
これらの両中間電位出力差をx方向とy方向について差を求めると、
x方向のV=Vx(+)−Vx(-)=−2Vcc・1/Rb・βHecosθ
y方向のV=Vy(+)−Vy(-)=−2Vcc・1/Rb・βHesinθ
となるので、地磁気の水平成分がx軸となす角度θは
θ=atan(y方向のV/x方向のV)
として求めることができる。
【0034】
上の説明から明らかなようにある方向に直流電流を流しているときに、磁気抵抗素子対2と3及び磁気抵抗素子対4と5の2組ずつにx方向とy方向のバイアス磁界を印加したときの中間電位出力差を同時に求めることができるとともに、反対方向に直流電流を流しているときに、磁気抵抗素子対2と3及び磁気抵抗素子対4と5の2組ずつに−x方向と−y方向のバイアス磁界を印加したときの中間電位出力差を同時に求めることができる。
【0035】
平面コイル1と平面コイル1′とを電源回路に直列あるいは並列に接続することができる。平行な2個のコイルによって磁界強度を得るには、一方のコイルのみでも同じ大きさの磁界を得るのに要する電流の1/2で十分である。直列とした場合には、2個のコイルに必要とする電力は、1個のコイルによって消費される電力の1/2とすることができる。
【0036】
上に述べた実施例においては平面コイルとして平行四辺形状のものを用いて説明したが、図4,5に平面模式図で示す平面コイルを用いることができる。図4に示している平面コイル1a,1a′では、それぞれ互いに平行となっている対辺対が2組あり、平面コイル1aの辺11aと12aが平行でまた辺13aと14aとが平行となっている。また、平面コイル1a′の辺11a′と12a′が平行でまた辺13a′と14a′とが平行となっている。辺11aと辺13aの間には斜めになったコイル部分15a、辺11aと辺14aの間には斜めになったコイル部分16a、辺14aと辺12aの間には斜めになったコイル部分17a、辺12aと辺13aの間には斜めになったコイル部分18aがそれぞれある。また辺11a′と辺13a′の間には斜めになったコイル部分15a′、辺11a′と辺14a′の間には斜めになったコイル部分16a′、辺14a′と辺12a′の間には斜めになったコイル部分17a′、辺12a′と辺13a′の間には斜めになったコイル部分18a′がそれぞれある。4辺11a、12a、13a、14aは長方形ここでは正方形の4辺を部分的に構成している。同様に4辺11a′、12a′、13a′、14a′は長方形ここでは正方形の4辺を部分的に構成している。平行になった対辺対を作っている辺11aと12aには図2に示したものと同様に磁気抵抗素子対2と3がそれらの長手方向をほぼ45°にして交差している。同様に平行になった対辺対を作っている辺13aと14aには磁気抵抗素子対4と5がそれらの長手方向をほぼ45°にして交差している。平面コイルの磁気抵抗素子と交差している部分では直線となっているので、コイル1aに時計廻りにコイル1a′に反時計廻りに電流が流れると、コイル面に挟まれて磁気抵抗素子面がある場合、いずれの磁気抵抗素子にも外へ向かう磁界を磁気抵抗素子の長手方向から45°に印加することができる。そのために上で説明したのと全く同じように図4に示す平面コイルを方位計に用いることができる。
【0037】
図5に示す平面コイル1b、1b′でも、2組の対辺対が互いに平行となっている。平面コイル1bでは辺11bと12bが平行で、辺13bと14bが平行となっている。また平面コイル1b′では辺11b′と12b′が平行で、辺13b′と14b′が平行となっている。平行となった直線上の辺の間には曲がったコイル部分が設けられているが、4辺11b,12b,13b,14bは長方形ここでは正方形の4辺を部分的に構成している。また4辺11b′,12b′,13b′,14b′は長方形ここでは正方形の4辺を部分的に構成している。平行になった対辺対を構成している各辺には磁気抵抗素子が挟まれてそれらの長手方向をほぼ45°にしてコイル辺と交差している。平面コイル1b、1b′が磁気抵抗素子と交差している部分では直線となっているので、この平面コイル1b、1b′も方位計に用いることができるのが理解されるであろう。
【0038】
平行四辺形状あるいは長方形、特に正方形の平面コイルを用いて本発明を以上説明したが、更に他の形状の平面コイル1cと1c′、1dと1d′、1eと1e′を図6に平面模式図で示す。偶数の辺を有し、各辺が対辺と平行である平面コイルとして、(A)、(B)、(C)のいずれも用いることができる。
【0039】
上の実施例の説明においては、磁気抵抗素子と平面コイルの各辺とが交差する角度をπ/4すなわち45°として説明したが、この交差する角度は30°よりも大きく90°未満であれば方位を測定出来る。この角度内でも45°以上で90°未満であれば抵抗の磁界に対する変化が大きいので好ましいが、角度が大きすぎると図3の極小値近傍で抵抗の磁界に対する変化の大きい領域が狭まり、適当なバイアス磁界の設定が難しくなるため、45°のときが最も取り扱いやすい。
【0040】
また、平面コイル1、1′の1辺と交差している2個の磁気抵抗素子の長手方向が互いに直角になっているもの、1組の磁気抵抗素子対の2個の磁気抵抗素子の長手方向が互いに直角となっているものについて上の実施例では説明したが、お互いが非平行であればよい。しかし、直角となっているものが最も扱いやすい。なお、磁気抵抗素子と辺の交差角度は、素子対においてミラー(鏡像)の関係にすることが好ましい。一方が10°で他方が60°ではブリッジ回路の出力がばらつく。ミラーの関係に近づけると出力のバラツキが低減されて正弦波状になる。そこで、磁気抵抗素子対において、磁気抵抗素子が各辺と交差する角度の差は±5°以内とする。さらに好ましくは、方位計の全ての磁気抵抗素子について、各々の磁気抵抗素子が各辺と交差する角度のバラツキを±5°以内とする。
【0041】
【発明の効果】
以上詳しく説明したように、本発明では平面コイルを磁気抵抗素子に飽和磁界とバイアス磁界を印加するのに用いているので、薄膜でコイルを作製することが出来て、方位計を薄く且つ小さくすることができる。
【0042】
更に本発明の方位計によれば、電流センサー、地磁気以外の弱磁界センサーとしても使用することが出来る。
【0043】
また、平面コイルを2個用いることによって、磁気抵抗素子に飽和磁界とバイアス磁界を印加するのに要する電力を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による方位計の展開斜視図である。
【図2】本発明の実施例による方位計の回路図である。
【図3】抵抗と印加磁界強度との関係を示すグラフである。
【図4】本発明の実施例で平面コイルの変形例を用いたものの回路図である。
【図5】本発明の実施例で平面コイルの変形例を用いたものの回路図である。
【図6】平面コイルの更に他の変形例を示す平面図である。
【図7】抵抗と印加磁界強度との関係を示す一般的なグラフである。
【図8】一般的な方位計の回路図である。
【図9】従来の方位計の断面模式図である。
【図10】従来の方位計の外観図である。
【図11】抵抗と印加磁界強度との関係のヒステリシスを示すグラフである。
【符号の説明】
1、1′、1a、1a′、1b、1b′、1c、1c′、1d、1d′、1e、1e′ 平面コイル
11、11′、11a、11a′、11b、11b′、12、12′、12a、12a′、12b、12b′、13、13′、13a、13a′、13b、13b′、14、14′、14a、14a′、14b、14b′、15a、15a′、16a、16a′、17a、17a′、18a、18a′(コイルの)辺
2、3、4、5 磁気抵抗素子対
21、22、31、32、41、42、51、52、91、92、93、94 磁気抵抗素子
101、102 バイアスコイル

Claims (4)

  1. 磁気抵抗素子面と、その磁気抵抗素子面の両側にそれぞれ平行に設けられた2個の平面コイルとを有し、
    各平面コイルは互いに平行となっている対辺対を少なくとも2組持ち、それら2組の対辺対が長方形の4辺を少なくとも部分的に構成しており、
    前記磁気抵抗素子面には、前記平面コイルの対辺対の各1辺当たり、その辺のみと30°よりも大きく90°未満で交差している長手方向を持った2個の磁気抵抗素子を持ち、その2個の磁気抵抗素子は互いにその長手方向が非平行となっており、
    前記2個の平面コイルは、前記磁気抵抗素子面にある各磁気抵抗素子に同じ方向の直流磁界が印加されるように互いに反対方向の直流電流が流されるように接続されて、
    各磁気抵抗素子と交差している一方の平面コイルの辺を流れる直流電流によるバイアス直流磁界と、その磁気抵抗素子と交差している他方の平面コイルの辺を流れる直流電流によるバイアス直流磁界とがその磁気抵抗素子の長手方向と交差してその長手方向と直角方向にバイアス直流磁界がその磁気抵抗素子に印加されるようになっており、
    磁気抵抗素子それぞれは、その磁気抵抗素子が交差している平面コイルの辺の対辺と交差している2個の磁気抵抗素子のうち一方の磁気抵抗素子とで1組の磁気抵抗素子対を構成していて、その1組の磁気抵抗素子対を構成している2個の磁気抵抗素子はその長手方向が互いに非平行となっていて、
    各磁気抵抗素子対の磁気抵抗素子の一方の端部同士が接続されているとともに、他方の端部間に測定用電圧が印加されるようになっていて、接続されている前記一方の端部から中間電位出力を取り出すようになっていることを特徴とする方位計。
  2. 前記各磁気抵抗素子の長手方向が平面コイルの対辺対の各1辺と交差する角度が45°以上で90°未満であることを特徴とする請求項1記載の方位計。
  3. 磁気抵抗素子面と、その磁気抵抗素子面の両側にそれぞれ平行に設けられた2個の平面コイルとを有し、
    各平面コイルは互いに平行となっている対辺対を少なくとも2組持ち、それら2組の対辺対が長方形の4辺を少なくとも部分的に構成しており、
    前記磁気抵抗素子面には、前記平面コイルの対辺対の各1辺当たり、その辺のみと45°で交差している長手方向を持った2個の磁気抵抗素子を持ち、その2個の磁気抵抗素子は互いにその長手方向が直角となっており、
    前記2個の平面コイルは、前記磁気抵抗素子面にある各磁気抵抗素子に同じ方向の直流磁界が印加されるように互いに反対方向の直流電流が流されるように接続されて、
    各磁気抵抗素子と交差している一方の平面コイルの辺を流れる直流電流によるバイアス直流磁界と、その磁気抵抗素子と交差している他方の平面コイルの辺を流れる直流電流によるバイアス直流磁界とがその磁気抵抗素子の長手方向と交差してその長手方向と直角方向にバイアス直流磁界がその磁気抵抗素子に印加されるようになっており、
    磁気抵抗素子それぞれは、その磁気抵抗素子が交差している平面コイルの辺の対辺と交差している2個の磁気抵抗素子のうち一方の磁気抵抗素子とで1組の磁気抵抗素子対を構成していて、その1組の磁気抵抗素子対を構成している2個の磁気抵抗素子はその長手方向が互いに直角となっていて、
    各磁気抵抗素子対の磁気抵抗素子の一方の端部同士が接続されているとともに、他方の端部間に測定用電圧が印加されるようになっていて、接続されている前記一方の端部から中間電位出力を取り出すようになっていることを特徴とする方位計。
  4. 前記2個の平面コイルはその電源に直列に接続されていることを特徴とする請求項1〜いずれか記載の方位計。
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