JP3728683B2 - 固形上掛けソースの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、常温固体で、加熱調理時にペースト状を呈する固形上掛けソースの製造法に関する。
【0002】
【従来技術及び発明が解決しようとする課題】
タルタルソースは、マヨネーズに刻んだゆで卵、キュウリ、タマネギ、ピーマン、ピクルスなどの具材を配合したドレッシングで、魚やエビのフライ等の上掛けソースなどに用いられている。魚やエビのフライの冷凍食品にもタルタルソースは利用されており、従来は、魚やエビのフライなどの冷凍食品を調理して食するときに上掛けしていたが、近年は冷凍食品を製造する段階で魚やエビのフライの衣の下側に位置させることが行われている。例えばエビのフライを例にとると、冷凍食品製造工場では先ず、生エビにタルタルソースを上掛けし、次いでその上に衣を掛けて冷凍し、冷凍状態で出荷する方法、或いは生エビにタルタルソースを上掛けし、次いで衣を掛け、油揚してフライにした後に冷凍して出荷する方法が採られている。同様に、タコ焼きやハンバーグなどの冷凍食品についても、製造段階で予め上掛けするソースを含ませて簡便化を図ることが試みられている。
【0003】
製造工場では冷凍食品は連続的に流れ作業で製造される。ところが、前述の如く、タルタルソースはマヨネーズに具材を配合したものであるため、半固体状でベトベトしており、非常に取り扱いにくい。そのため、流れ作業において、生エビにタルタルソースを上掛けする工程で、生エビの上に一定量ずつ、所定の位置に、しかもこぼれないようにタルタルソースを上掛けするには、それなりの熟練を要し、また労力を有する。この上掛け作業は機械的に行なうこともできるが設備にコストがかかる。そこで、この上掛けに用いるソースを固形化し、予めほぼ一定の大きさの塊にしておき、これを手で摘んで生エビの上にのせる方法を採ると効率があがることを思い付いた。
【0004】
そして、この固形化するためにタルタルソースに配合する具材の量を増加して固形化することを試みたが、通常のマヨネーズに具材を大量に配合して固形化したタルタルソースはバサバサになり、もろくなるため、取り扱いにくく、塊状にすることができなく、また食感が極めて悪くなり、実用化は困難であった。またゼラチンとくず粉とを配合した水溶液とマヨネーズとを練り合わせた固形状マヨネーズが知られており(特開昭59−198955号)、このものの使用も試みたが、この固形状マヨネーズは加熱調理の段階で、油分の分離が生じ、この油分が衣にしみ込んで、マヨネーズの存在が無くなってしまい(所謂、加熱残りしない)、そのため風味が良くなく好ましいものではなかった。更に、サラダ油の代わりに固形脂を用いて固形酸性エマルジョン食品を製造する方法が知られており(特開昭61−100171号公報)、このものの採用も試みたが、この食品はその実施例にも示されているごとく、カッターで粉砕した固形脂を卵や食酢と混ぜて撹拌したものであるため舌ざわりがよくなく、また加熱調理の段階で溶けて周りの衣にしみ込み加熱残りせず好ましいものではない。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであって、常温固体で、加温すると融けてペースト状になり、生エビなどの具を包込むように加熱残りし、油が分離して衣にしみこむことがない固形上掛けソースを提供し、もって、加熱調理して食する食材の調味料として特に冷凍食品製造時に効率よく利用でき、しかも風味を損なわない上掛けソース、また加熱しない状態でも新しい食感の調味料として食することのできる上掛けソースを提供し、その固形上掛けソースの製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、常温固体で、調理時の加熱によってペースト状になる固形上掛けソースであり且つ油脂20〜40重量%、水40〜70重量%、ゼラチン、寒天及びグルコマンナンから選ばれた1種又は2種以上1〜10重量%並びに卵黄2〜10重量%を含む水中油型エマルジョンである固形上掛けソースを製造する方法であって、前記のゼラチン、寒天及びグルコマンナンから選ばれた1種又は2種以上及び卵黄を加熱溶解した水相中に、加温した油脂を油相として乳化させて水中油型エマルジョンを製造し、次いで該エマルジョンを冷却し固化することを特徴とする固形上掛けソースの製造方法に係わる。この際、油相として、加温した油脂に澱粉を分散させたものを用いてもよい。ここで用いる油脂は、炭素数20〜24の長鎖脂肪酸を含有しているのが好ましい。また、この固形上掛けソースは更に澱粉0.1〜5重量%を含んでいてもよい。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明で製造される固形の上掛けソースは、常温固体、すなわち約30℃以下の加熱しない状態で固体を呈するもので、その形状は特に限定されないが、ブロック状、碁石状、星形状、シート状、短冊状、球状、水滴状、スティック状、スライス状などが好ましい。シート状のものは四角形でも円形でもよい。この形状は適用対象となる加工食品によって適宜に変えることができる。また、この上掛けソースは調理時の加熱、調理の対象によって異なるが、約35℃以上の加熱によってペースト状になるものであり、例えばフライ時の加熱によってペースト状に変化するものである。特にトロッとしたペースト状になるものが好ましい。また、口に入れて咀嚼する間にペースト状になるものが好ましい。ここで言う調理時の加熱とは、固形上掛けソースそのものを直火で焼く方法以外の加熱であればどのような方法による加熱でもよい。例えば、食材の上にのせて、或いは食材の間に挾んで焼いたり、食材と固形上掛けソースを組合せ衣をまぶしたものをフライしたり、食材と固形上掛けソースを組合せて電子レンジ加熱したり、加熱加温した食材の上に固形上掛けソースをのせたり、挾んだりする方法などが挙げられる。
【0008】
本発明で用いる油脂としては、大豆油、ナタネ油、コーン油、綿実油、落花生油、パーム油、ヤシ油、サル脂、シア脂、パーム核油、魚油、ラード、牛脂、乳脂、からし油等の動植物性油脂及びそれらの硬化油又は分別油、エステル交換油など適宜に使用することができ、また、固体脂と液体油などと混合した配合油も使用できる。水中油型エマルジョンとした後の冷却固化時の冷却速度を速くしたり、固化したソースの固さを大きくするには硬化油又は固形脂を使用するのが好ましい。また、加温調理時に特に好ましいトロッとしたペースト状になる固形上掛けソースを得るには、炭素数20〜24の長鎖脂肪酸を含有する油脂、例えばナタネ油、魚油、落花生油、からし油、サル脂、或はこれらの硬化油、分別油、エステル交換油などを使用するか、又は炭素数20〜24の部分が多い分別油を配合するのがよい。この炭素数20〜24の長鎖脂肪酸の配合割合は好ましくは0.1〜20重量%、更に好ましくは0.1〜10重量%である。これらの油脂の配合量は20〜40重量%、好ましくは30〜35重量%である。20重量%以下では、常温固化しにくく、また40重量%以上ではソースとして油っこくなり好ましくない。
【0009】
本発明の固形上掛けソースには、水が40〜70重量%配合されている。ここでいう水には、水中油型エマルジョンの水相の調合時に配合する水の他に、乳化する前に使用した材料に由来する水分、例えば酢、卵黄、トマトケチャップ、ソース中に含有する水分も含まれる。この水の配合割合が40重量%より少ないと固形上掛けソースの固さを保持することができないので好ましくない。また水の配合割合が70重量%より多いと固形上掛けソースの味が薄くなってしまうので好ましくない。
【0010】
本発明で用いるゼラチンとしては、コラーゲンを水と長時間煮沸して製造した常用のものが使用できる。また寒天としては原料海藻を熱水で抽出し、抽出液を濃縮し、その後冷却して凝固させ、更に凍結、融解させ乾燥させた常用のものが使用できる。またグルコマンナンとしては、通称こんにゃくいもの塊茎を乾燥後粉砕した常用のものが使用できる。ゼラチン、寒天、グルコマンナンは、それぞれ単独又は併用して使用する。このゼラチン、寒天、グルコマンナンは、ソースを常温で固形状にするためである。そして、これらゼラチン、寒天、グルコマンナンを加熱溶解した水溶液を水相とし、これに加温した油脂を乳化させた乳化物は、常温に冷却すると固化する性質を有し、且つこの固化した乳化物は加熱によりトロッとしたペースト状になり、加熱残りする特性を有する。この性質は、ゼラチン、寒天、グルコマンナンを溶解した水溶液を水相とし、加温下で油脂を水中油型に乳化することにより生じる。しかし、調製した水中油型エマルジョンにゼラチン、寒天又はグルコマンナン及び澱粉の水溶液を混合し練り合わせた場合には、常温で固化するものは得られるが、この固化したものを加熱したときに油分離が生じてしまいペースト状にならなく、加熱残りしないので、本発明の所期目的とする固形上掛けソースは得られない。本発明において、ゼラチン、寒天、グルコマンナンの配合量は単独の場合でも或は併用の場合でも1〜10重量%、好ましくは3〜6重量%である。1重量%より少ないと固化が難しく、10重量%より多いと固化強度が大きく、固くなりすぎるので好ましくない。
【0011】
また、本発明で所望に応じて用いる澱粉は特に制限がなく、タピオカ澱粉、コーン澱粉、ポテト澱粉などであり、この他に酸、アルカリ又は酵素で処理したり、リン酸架橋処理した化工澱粉なども使用できる。澱粉を配合すると、上掛けソースの流動性の調整が容易になり、ブロック状、星形状などに成形する成形工程が円滑に行える。また上記の成形時に、或いは上掛けソース成形物を加工食品に適用し、具有させる際に、上掛けソース成形物を積んだり、重ねて保管するときがあり、このときに該成形物同士が相互に付着し易いが、澱粉を配合すると、この成形物同士が付着しにくくなる。また、澱粉の配合量は0.1〜5重量%、より好ましくは2〜4重量%である。0.1重量%より少ないと上記の付着防止効果が十分でなく、5重量%より多いと加熱調理時にペーストになりにくくなる。
【0012】
本発明では卵黄を使用するが、この卵黄は乳化剤の作用をなす。卵黄としては、生卵黄の他に、生卵黄に加塩或いは加糖したもの、豚の膵臓から抽出したトリプシン、植物を起源とするパパイン、ブロメライン、ペプシンなどを用いて部分加水分解した卵黄、加塩卵黄、加糖卵黄等も用いることができる。この時の配合割合は生卵黄分として2〜10重量%であり、特に部分加水分解卵黄の場合は3〜6重量%使用するのが好ましい。卵黄が2重量%より少ないと乳化が不安定であり、10重量%より多いと卵風味が強すぎるので好ましくない。
【0013】
本発明では、固形上掛けソースに、所望により以下のものを配合することができる。すなわち、酢酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、アスコルビン酸、リン酸等の有機、無機酸、或いは果汁、果肉、発酵乳等の酸味料、更には砂糖、ブドウ糖、液糖、還元糖類のほかアスパルテームなどのアミノ酸系甘味料などである。その他にソースやケチャップ、香辛料、調味料も適宜使用できる。これらの配合量は適宜である。また、本発明では乳化安定剤として、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、アルギン酸塩等の多糖類を添加配合してもよい。この添加量は0.01〜1重量%である。この乳化安定剤は油相、水相のどちらに添加してもよい。
【0014】
本発明の固形の上掛けソースは、ゼラチン、寒天、グルコマンナンの1種又は2種以上、及び卵黄を加熱溶解した水相中に、加温した油脂を油相として乳化させて水中油型エマルジョンを製造し、次いで該エマルジョンを冷却することによって製造できる。すなわち、ゼラチン、寒天、グルコマンナンの1種又は2種及び卵黄を水に分散し、加熱溶解して水相を調製する。油相には油脂を用いるが、加温状態で乳化させる。乳化操作は、水相及び油相とも30〜50℃、好ましくは35〜45℃前後に調温して行う。常温固体の油脂を用いる場合は、油脂を加熱溶融状態にして乳化させる。この水中油型エマルジョンの調製にはホモジナイザー又はコロイドミルを用い、均質化するのが好ましい。水中油型エマルジョンを形成させたのち、室温以下まで冷却する。この冷却する温度は10℃以下とするのが好ましい。また、本発明の固形の上掛けソースにおいて、澱粉を配合した固形の上掛けソースを製造するには、上記の油相に用いる油脂に澱粉を分散させてエマルジョンを形成させるのが好ましい。
【0015】
この室温以下まで冷却したものは、固いゼリー状である。このものを軽く温めるなど調温して絞り袋に入れ、常温の合成樹脂板の上に碁石状など所望する形状、大きさに絞り出して成形する。この成形は、絞り袋以外に、ビスケット製造用の押出機(デポジッター、新日本機械(株)製、飯田機械(株)製など)が使用できる。これを用いる場合は一度室温以下まで冷却し、固いゼリー状としたものを、調温して軟らかくし、下方を向いたノズルから所定量ずつ平板に絞り出したり、押し出したりする。また、水相と油相を乳化し水中油型エマルジョンとしたものを絞り出したり、押し出したりしやすい固さに調温して押出機にかけてもよい。このような押出機を用いると所望の一定の容量の固化した上掛けソースを容易に大量に能率良く製造することができる。この冷却状態で保管、輸送を行うことが好ましい。
上記の固形上掛けソースの製造過程において水相と油相を乳化し、水中油型エマルジョンとしたあと固形化する前に風味、食感を向上させるため具材を添加するのがより好ましい。この添加する具材としては、刻んだゆで卵、キュウリ、いためたタマネギ、ピーマン、ピクルス、ワケギ、ネギなどである。
【0016】
本発明の常温固体の上掛けソースは、各種の加工食品に具有させてその調味に用いられる。例えば白身魚の冷凍食品を連続的に製造する場合に、ベルト上に白身魚フィレットをのせて移動させ、まずその上に成形した固形上掛けソースをのせる。この際固形上掛けソースは固体であるので手でつまんで所定の位置に容易にのせることができ、また大きさを一定に成形しておくと付与量に注意を払う必要がないので、熟練者でなくても極めて簡単に作業ができる。次いでベルト上の白身魚フィレットにペースト状にした衣(バッター液)及びパン粉を掛け、その後油槽に入れてフライし、冷凍して出荷する。この固形上掛けソースは、常温では固体であるが、フライにするなどの加温調理時に融けてトロッとしたペースト状になり、具材に絡んで存在し(所謂、加熱残りし)、フライものの衣(バッター液)やタコ焼きの皮にしみこむことがないから、食感や風味をそこねることがない。
【0017】
そして、消費者はこの冷凍食品を電子レンジで温めて食するときにも、固形上掛けソースはこの加温によって軟らかくなっているので、違和感を感じずに食することができる。また、たとえこの白身魚フライが常温になっても、ソースが口の中の温度で融けるように上掛けソースを調整しておくと違和感なくその味を楽しむことができる。
【0018】
また、本発明の固形上掛けソースは、上記の場合の他に、白身魚に固形上掛けソースを掛け、次いでその上に衣(バッター液)を掛けてパン粉を付けて冷凍し、冷凍状態で出荷する冷凍食品の場合にも適用できる。この場合は、消費者がフライにするが、このとき白身魚と衣の間に挟まれた固形上掛けソースが融けて白身魚にからんだ状態になる。また白身魚をフライしたものに本発明の固形上掛けソースをのせそのまま食してもよいし、これを冷凍し、食べるときに温めるような食品とすることもできる。
【0019】
上記では白身魚フライについて述べたが、例えばエビ、カニ、貝柱等の魚介類、豚肉、鳥肉、牛肉等の肉類、コロッケの具材等の冷凍食品にも同様に利用できる。本発明の固形上掛けソースは、更にタコ焼にも利用でき、タコと一緒に中に入れる。このようにすると、ソースをあらためて付ける必要がない。またタコ焼きの冷凍食品の場合には、電子レンジで加温するだけでソースのからまったタコ焼きを食することができ、またソースがたれて衣類を汚すことがなく、、従来と変わった味を楽しむことができる。また、本発明の固形上掛けソースは、グラタンやピザの上にのせて利用することもできる。
【0020】
【実施例】
以下に実施例で本発明を更に詳しく説明する。なお、%は重量%である。
実施例1
大豆サラダ油35%(炭素数20〜24の長鎖脂肪酸含量=35×0.015=0.525%)にキサンタンガム0.1%を添加分散して40℃の油相を調製する。一方、水36.9%に食塩2%、液糖10%、15%アルコール酢5%、ゼラチン5%、酵素処理加塩卵黄6%を添加溶解して40℃の水相を調製する。このときの水相における水の割合は、配合した水(36.9%)、アルコール酢中の水分(5×0.85=4.25%)、及び酵素処理加塩卵黄中の水分(6×0.46=2.76%)の合計43.91%である。上記調製した水相に上記調製した油相を添加撹拌し、コロイドミルにより均質化して水中油型エマルジョンとした。この水中油型エマルジョンをトレーの上に薄く流し、10℃まで冷却し固化した。次いで、冷却された水中油型エマルジョンを好みの大きさにカットして、四角形のスライス状の固形上掛けソースを得た。この固形上掛けソースをエビにのせ更にパン粉をまぶしフライにしたところ、ソースがトロッとした食感の良いエビフライが得られた。
【0021】
比較例1
大豆サラダ油35%(炭素数20〜24の長鎖脂肪酸含量=35×0.015=0.525%)にキサンタンガム0.1%を添加分散して40℃の油相を調製した。一方、水26.9%に食塩2%、液糖10%、15%アルコール酢5%、酵素処理加塩卵黄6%を添加溶解して40℃の水相を調製した。上記調製した水相に上記調製した油相を添加攪拌し、コロイドミルにより均質化して水中油型エマルジョンとした。これに水10%にゼラチン5%を溶かした水溶液を添加して練りあわせ、10℃にて一晩冷却し固化させ、固形上掛けソースを製造した。このときの水の割合は、配合した水(26.9%+10%=36.9%)、アルコール酢中の水分(5×0.85=4.25%)、及び酵素処理加塩卵黄中の水分(6×0.46=2.76%)の合計43.91%である。この上掛けソースをエビにのせ更にパン粉をまぶし、フライしたところ、上掛けソースの油分が分離したため、この油分が衣にしみこんでソースの存在がなくなってしまった。
【0022】
実施例2
大豆サラダ油とナタネ硬化油(MP32℃)を80:20で混合した配合油30%〔炭素数20〜24の長鎖脂肪酸含量=(24×0.015)+(6×0.031)=0.546%〕を40℃に調温し油相とした。次いで水43.5%に食塩1%、ウスターソース15%、生卵黄5%、ゼラチン5.5%を加温溶解した水相を40℃に調温した。このときの水相における水の割合は、配合した水(43.5%)、ウスターソース中の水分(15×0.6=9%)、及び生卵黄中の水分(5×0.51=2.55%)の合計55.05%である。上記水相に上記油相を添加撹拌し、ホモジナイザー100kg/cm2で均質化し、水中油型エマルジョンをした。次いでこのエマルジョン100部に対しスイートピクルス2.5部、オニオンミンス1.5部、乾燥パセリ0.2部を添加混合し、一夜冷蔵庫で冷却した後、25℃に加温してデボジッター(飯田機械(株)製)で短冊状に成形し、固形上掛けソースとした。これをハンバーグにのせ冷凍した。1週間後電子レンジで温めるとソースがトロッとしたハンバーグが得られた。
【0023】
実施例3
ナタネサラダ油と大豆硬化油(MP36℃)を75:25で混合した配合油25%〔炭素数20〜24の長鎖脂肪酸含量=(18.75×0.036)+(6.25×0.01)=0.738%〕にワキシーコーン澱粉2%を添加分散した45℃の油相を調製した。一方、寒天4%、グルコマンナン0.4%を水37.6%に添加し、加熱溶解させたのちトマトケチャップ20%、生卵黄6%、食酢(酢酸度15%)5%を撹拌させながら加え、45℃に調温した。このときの水相における水の割合は、配合した水(37.6%)、トマトケチャップ中の水分(20×0.8=16%)、生卵黄中の水分(6×0.51=3.06%)、及び食酢中の水分(5×0.85=4.25%)の合計60.91%である。この水相に上記調製した油相を添加、撹拌したのちコロイドミルで均質化し、水中油型エマルジョンとした。バジル、レモンバーム等の香草類が必要であればここで混合し、室温程度に冷却されたものをデポジッターにてペレット状に成形することで固形上掛けソースとした。これを鳥肉にのせ、パン粉をまぶし冷凍した。1週間後、これをフライにしたところソースのトロッとしたチキンカツが得られた。
【0024】
実施例4
ナタネサラダ油の配合量を38%(炭素数20〜24の長鎖脂肪酸含量=38×0.036=1.368%)とし、水の配合量を33.9%とした他は実施例1と同様の方法にて固形上掛けソースを製造した。なおこのときの水の割合は、配合した水(33.9%)、アルコール酢中の水分(5×0.85=4.25%)、及び酵素処理加塩卵黄中の水分(6×0.46=2.76%)の合計40.91%である。
このようにして得られた固形上掛けソースをエビに載せ、更にパン粉をまぶしフライしたところ、ソースがトロッとした食感の良いエビフライが得られた。
【0025】
実施例5
魚油の配合量を38%(炭素数20〜24の長鎖脂肪酸含量=38×0.18=6.84%)、水の配合量を33.9%とした他は実施例1と同様の方法にて固形上掛けソースを製造した。なおこのときの水の割合は、配合した水(33.9%)、アルコール酢中の水分(5×0.85=4.25%)、及び酵素処理加塩卵黄中の水分(6×0.46=2.76%)の合計40.91%である。
このようにして得られた固形上掛けソースをエビに載せ、更にパン粉をまぶしフライしたところ、ソースがトロッとした食感の良いエビフライが得られた。
【0026】
【発明の効果】
本発明の上掛けソースは、常温で固形であるので扱い易い。特にフライものの冷凍食品やタコ焼きの冷凍食品の具の上掛けソースに好適である。すなわち、従来のこの種の上掛けソースはペースト状であり、この上掛けソースを流れ作業で移行する具の上に乗せる作業は従来から絞り袋を用いるなどの方法で行ってきたが、具の上に正確に、所定の量を上掛けするには熟練を要した。本発明の常温固形の上掛けソースを使用すると、この上掛けソースの成形物を手で摘んで具の上に単に乗せるだけでよいので、初心者でも極めて能率よく作業できる。そして、本発明の上掛けソースは、調理時の加熱によってトロッとしたペースト状になり、具に絡みついて加熱残りし、ペーストが分離しその油分が衣にしみこむことがないので、食したときソースの風味、食感を損なうことがない。

Claims (3)

  1. 常温固体で、調理時の加熱によってペースト状になる固形上掛けソースであり且つ油脂20〜40重量%、水40〜70重量%、ゼラチン、寒天及びグルコマンナンから選ばれた1種又は2種以上1〜10重量%並びに卵黄2〜10重量%を含む水中油型エマルジョンである固形上掛けソースを製造する方法であって、前記のゼラチン、寒天及びグルコマンナンから選ばれた1種又は2種以上及び卵黄を加熱溶解した水相中に、加温した油脂を油相として乳化させて水中油型エマルジョンを製造し、次いで該エマルジョンを冷却し固化することを特徴とする固形上掛けソースの製造方法
  2. 油相が油脂に澱粉を分散させ加温した油相であることを特徴とする請求項1記載の固形上掛けソースの製造方法
  3. 油脂が炭素数20〜24の長鎖脂肪酸を含有していることを特徴とする請求項1又は2記載の固形上掛けソースの製造方法
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