JP3728672B2 - 電子写真用トナー及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真・静電記録・静電印刷などにおける静電潜像を現像するための電子写真用トナー及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法において、乾式現像剤は、バインダー樹脂中に着色剤を分散したトナーそのものを用いる一成分現像剤と、そのトナーとキャリアとを混合した二成分現像剤とに大別することができる。
【0003】
いずれの場合も複写するに際して、感光体に形成された静電潜像をこれらの現像剤で現像し、感光体上の像形成したトナー粉末を紙、シート等の転写材に転写し、熱、圧力等を利用して定着し、永久画像を得るものである。その際、充分なる画像濃度及び高い解像度の永久画像を得る為には、感光体に形成される静電潜像に対し、所定重量のトナー粉末が潜像に忠実に付着することが必要となる。
【0004】
通常、感光体上に像形成される静電潜像の極性は、感光体の種類や現像システムの差異によって正又は負の極性が利用されており、それに応じて、トナー粒子にも感光体の静電潜像とは逆の負あるいは正の極性での帯電性が要求される。
【0005】
近年、複写機、レーザープリンター等の画像形成材料としてその使用量が益々増加しているトナーにおいて、湿式製法トナーが注目されている。
【0006】
従来のトナー製法は、バインダー樹脂と着色剤等の混合物を加熱混合装置により溶融下混練し、冷却後、ジェットミル等の粉砕機で機械的に粗粉砕、微粉砕を行い、しかる後に分級してトナー粒子を得、必要に応じてさらに外添処理剤等を機械的に混合する方法が一般的であり、その粒子形状が氷を砕いたような角張った多面体形状であることを特徴としていた。
【0007】
これに対し、特開平5−66600号公報には、湿式製法トナーの製造方法として、従来の機械的な粉砕法とは全く異なり、水性媒体中で着色剤等の存在下にバインダー樹脂となるべきポリマーを転相乳化することにより、前記着色剤がカプセル化されたトナー粒子を得るという湿式プロセスが記載されており、それによって一工程でトナー粒子が製造される。
【0008】
この湿式プロセスの大きな特徴として、トナー形状を実質的に球状にすることが可能で、かつ粒径分布のシャープな均一粒子トナーを容易に製造できる事が挙げられる。かかる球形トナーは、粉体流動性に優れた小粒径トナーを設計可能ならしめるという長所を提供し、高画質、高解像化の市場要求にマッチした高機能トナーへの展開が期待されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記着色剤を分散した、酸基を粒子表面に露出した結着剤樹脂からなる球形トナー粒子からなる電子写真用トナーは、その帯電特性が負極性に限定されてしまうし、酸基が露出することにより現像時の環境安定性が不充分であるという問題を抱えている。
【0010】
また、前記着色剤を分散した、酸基を粒子表面に露出した結着剤樹脂からなるトナー粒子と、アルカリ金属水酸化物やアンモニア等の無機塩基性化合物や、第3級アミン等の有機塩基性化合物とを必須成分としてなり、前記結着剤樹脂の粒子表面に露出した酸基が、前記塩基性化合物とイオン結合し塩構造をなしていることを特徴とする球形粒子からなる電子写真用トナーでは、現像時の環境安定性こそ改善されるが、やはり正帯電性のトナーを要求する現像方法には使用できないという問題を抱えている。
【0011】
従来、粉砕法においては、トナーの帯電特性を制御する目的で電荷制御剤が利用されており、混練時に添加する電荷制御剤の種類を適宜選択することにより、その前後工程を何ら変更することなく、比較的簡単に負帯電性トナー又は正帯電性トナーを製造することができた。
【0012】
それに対して転相乳化製法においては、水性媒体中でトナー粒子を造粒する為に、電荷制御剤の種類が変わった場合には、水性媒体中での各成分の分散性に差が出たり造粒時のpHが変化してしまい、均一な着色剤分散粒子に造粒することができないという問題点が有り、自在に帯電制御剤を選択することができないという課題を抱えていた。
【0013】
従来の粉砕法の手法を転用して、球形トナーにニグロシン系電荷制御剤を含ませる様にすることも出来るが、一般的にニグロシン系電荷制御剤は、ニグロシン化合物と高級脂肪酸とからなっており、酸基を粒子表面に露出した結着剤樹脂からなるトナー粒子に含ませる様にしても、トナー粒子表面にニグロシン化合物が極在化せず、添加したに足る期待以上の帯電性制御効果は得られないという問題点も抱えていた。
【0014】
本発明は、上記事情に鑑み、もともと帯電性の環境安定性に悪影響を及ぼす、表面に露出した酸性基を有する球形のトナー粒子を用いて、トナー自身の帯電性の環境安定性が改良された、しかも帯電性の制御効果をも有効に付与された正帯電性の電子写真用トナーを提供するとともに、正帯電性負帯電性等多品種生産における品種切り替えにも効率的に対応できる、転相乳化製法トナーの製造方法を提供するもので、さらに詳しくは、転相乳化製法で得られる負極性帯電性トナー粒子に、化学的表面改質を行うという簡便な操作で調製し得る、正極性帯電性トナー及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、もともと帯電性の環境安定性に悪影響を及ぼす、表面に露出した酸性基を有する球形の負帯電性のトナー粒子であっても、高級脂肪酸を含まないニグロシン化合物の添加により、ニグロシン化合物自体のカチオン性によりトナー粒子表面の酸基にそれが選択的に極在化し、前記酸基とイオン結合することを見い出し、高級脂肪酸を含むニグロシン系電荷制御剤を用いた場合の様な、トナー粒子内にニグロシン化合物と高級脂肪酸とが均一に単純分散した状態でなく、前記極在化作用により、より少量のニグロシン化合物でもその帯電制御効果を有効に引き出すことが出来、酸基のままの状態よりも帯電性の環境安定性を向上でき、しかもトナー粒子を正帯電性とすることが出来ることを見い出し本発明を完成するに至った。
【0016】
即ち、本発明は上記課題を解決するために、着色剤を分散した、酸基を粒子表面に露出した結着剤樹脂からなるトナー粒子と、ニグロシン化合物とを必須成分としてなり、前記結着剤樹脂の粒子表面に露出した酸基が、前記ニグロシン化合物の窒素原子とイオン結合し塩構造をなしていることを特徴とする球形粒子からなる正帯電性電子写真用トナー(以下、第1発明という。)を提供するものである。
【0017】
前記第1発明の正帯電性電子写真用トナーは、従来ニグロシン系電荷制御剤に通常含まれている、アニオン成分に対応する高級脂肪酸等の対イオン(カウンターアニオン)を含まないことを特徴とし、それにより本発明の前記効果を発現する。
【0018】
前記第1発明の正帯電性電子写真用トナーは、例えば乳化剤及び/又は分散安定剤を用いて転相乳化する場合と、塩基性化合物での中和により自己水分散しうる酸基を有する樹脂と塩基性化合物との併用、又は自己水分散性樹脂を用いて転相乳化する場合の、次の6つの製造方法が代表的なものとして挙げられる。
【0019】
乳化剤又は分散安定剤を使用する製造方法としては、次の4つが挙げられる。
(1)酸基を有する合成樹脂と、乳化剤及び/又は分散安定剤と、有機溶剤と、着色剤とを必須成分とする混合組成物を、水性媒体中に加えて転相乳化するか、当該混合組成物に水性媒体を加えて転相乳化することにより、水性媒体中に、着色剤が分散された前記樹脂のトナー粒子を生成分散せしめる第1工程、前記工程で得られたトナー粒子水性媒体分散液とニグロシン化合物とを混合し、分散したトナー粒子中の前記樹脂の酸基をニグロシン化合物で中和する第2工程、前記工程で得られたトナー粒子水性媒体分散液から、水性媒体を除去し乾燥させる第3工程、からなる電子写真トナーの製造方法。
【0020】
(2)酸基を有する合成樹脂と、有機溶剤と、着色剤とを必須成分とする混合組成物を、乳化剤及び/又は分散安定剤を含む水性媒体中に加えて転相乳化するか、当該混合組成物に乳化剤及び/又は分散安定剤を含む水性媒体を加えて転相乳化することにより、水性媒体中に、着色剤が分散された前記樹脂のトナー粒子を生成分散せしめる第1工程、前記工程で得られたトナー粒子水性媒体分散液とニグロシン化合物とを混合し、分散したトナー粒子中の前記樹脂の酸基をニグロシン化合物で中和する第2工程、前記工程で得られたトナー粒子水性媒体分散液から、水性媒体を除去し乾燥させる第3工程、からなる電子写真トナーの製造方法。
【0021】
(3)ニグロシン化合物で中和された酸基を有する合成樹脂と、乳化剤及び/又は分散安定剤と、有機溶剤と、着色剤とを必須成分とする混合組成物を、水性媒体中に加えて転相乳化するか、当該混合組成物に水性媒体を加えて転相乳化することにより、水性媒体中に、着色剤が分散された前記樹脂のトナー粒子を生成分散せしめる第1工程、前記工程で得られたトナー粒子水性媒体分散液から、水性媒体を除去し乾燥させる第2工程、からなる電子写真トナーの製造方法。
【0022】
(4)ニグロシン化合物で中和された酸基を有する合成樹脂と、有機溶剤と、着色剤とを必須成分とする混合組成物を、乳化剤及び/又は分散安定剤を含む水性媒体中に加えて転相乳化するか、当該混合組成物に乳化剤及び/又は分散安定剤を含む水性媒体を加えて転相乳化することにより、水性媒体中に、着色剤が分散された前記樹脂のトナー粒子を生成分散せしめる第1工程、前記工程で得られたトナー粒子水性媒体分散液から、水性媒体を除去し乾燥させる第2工程、からなる電子写真トナーの製造方法。
【0023】
塩基性化合物での中和により自己水分散しうる酸基を有する樹脂と塩基性化合物との併用、又は自己水分散性樹脂を用いて転相乳化する方法としては、次の2つが挙げられる。
【0024】
(5)未中和の酸基と塩基性化合物で中和された酸基を有するアニオン型自己水分散性樹脂と、有機溶剤と、着色剤とを必須成分とする混合組成物を、水性媒体中に加えて転相乳化するか、当該混合組成物に水性媒体を加えて転相乳化することにより、水性媒体中に、着色剤が分散された前記樹脂のトナー粒子を生成分散せしめる第1工程、前記工程で得られたトナー粒子水性媒体分散液とニグロシン化合物とを混合し、分散したトナー粒子中の前記樹脂の未中和の酸基をニグロシン化合物で中和する第2工程、前記工程で得られたトナー粒子水性媒体分散液から、水性媒体を除去し乾燥させる第3工程、からなる電子写真トナーの製造方法。
【0025】
(6)中和により自己水分散しうる、未中和の酸基を有する合成樹脂と、有機溶剤と、着色剤とを必須成分とする混合組成物を、前記樹脂中の未中和の酸基の一部を中和するのに必要な塩基性化合物を含む水性媒体中に加えて転相乳化するか、当該混合組成物に前記化合物を含む水性媒体を加えて転相乳化することにより、水性媒体中に、着色剤が分散された、未中和の酸基と塩基性化合物で中和された酸基を有するアニオン型自己水分散性樹脂のトナー粒子を生成分散せしめる第1工程、前記工程で得られたトナー粒子水性媒体分散液とニグロシン化合物とを混合し、分散したトナー粒子表面の未中和の酸基を前記有機塩基性化合物で中和する第2工程、前記工程で得られたトナー粒子水性媒体分散液から、水性媒体を除去し乾燥させる第3工程、からなる電子写真トナーの製造方法。
【0026】
本発明で用いることができるトナー粒子は、着色剤と合成樹脂とを必須成分として含有した球形粒子であり、着色剤を包含する当該樹脂が、酸基を含有し、かつ、その酸基を粒子表面に露出している所定平均粒子径のトナー粒子である。尚、前記合成樹脂は結着剤樹脂として作用する。そして、この酸基がニグロシン化合物の窒素原子とイオン結合を形成し塩構造となることにより、トナー粒子表面の電気的特性を選択的に改良するのに寄与する。
【0027】
かかる酸基を表面に露出して有する結着剤樹脂としては、例えば分子中に未中和状態の酸基を有する合成樹脂が使用でき、酸基が表面に露出する様にして用いられる。勿論、これは、酸基以外の官能基をも有するものであっても良い。この様な樹脂としては、例えばエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂等を挙げることができる。これらは単独使用でも二種以上の併用でもよい。中でも、トナーとしての粉体流動性、定着性等のバランスが比較的容易に得られ易いアクリル系樹脂、とりわけスチレン/アクリレート共重合体系樹脂が好適である。
【0028】
前記樹脂としては、充分な機械的強度を発現するに必要なレベルの分子量、通常重量平均分子量として3000〜200000、アクリル系樹脂の場合には、5000〜150000を有するもので、かつ、DSC測定において、ガラス転移温度(Tg)が50〜100℃であるものが好適であり、ヒートロール定着用では、それが60〜80℃程度のものが好ましい。
【0029】
前記樹脂としてアクリル系樹脂を例にとると、例えば(メタ)アクリル酸エステル等のモノマーを重合することにより得られるポリマー樹脂を代表例として挙げることができ、具体的には、例えばスチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルスチレン等のスチレン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のモノオレフィン類、ブタジエン、イソプレン等のジオレフィン類、酢酸ビニル、プロピオンビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ドデシルアクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルメタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルプロペニルケトン等のビニルケトン類等のアクリルモノマーと、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸モノブチル、マレイン酸モノブチル、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、アシッドホスホオキシプロピルメタクリレート、3−クロロ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−スルホエチルメタクリレート等の酸基含有モノマーから選ばれる少なくとも1種のモノマーとを共重合させることにより、前記樹脂とすることができる。
【0030】
さらに、かかるアクリル系樹脂を詳述すれば、酸基を有する重合体不飽和基含有オリゴマーを共重合成分として使用することもでき、無水マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水マレイン酸、α−テルピネン無水マレイン酸付加物等とトリオールのモノアリルエーテル、ペンタエリスリットジアリルエーテルもしくはアリルグリシジルエーテル等との重縮合ないしは付加縮合によって得られるビニル変性ポリエステル類、ジメチロールプロピオン酸、グリセリンモノアリルエーテル、1,2ブタジエンポリオール等とジイソシアネートとの付加重合によって得られるビニル変性ウレタン類、カルボキシル基含有ビニル共重合体にグリシジル基含有モノマーを付加せしめたビニル変性エポキシ類等を挙げることができる。
【0031】
尚、こうした樹脂を得るのに使用される重合開始剤としては、勿論、通常のものが使用できるが、例えば過酸化ベンゾイル、ジ−t−ブチルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルペルオキシドもしくは2−エチルヘキサノエートの如き、各種の過酸化物;またはアゾビスイソブチロニトリルもしくはアゾビスイソバレロニトリルの如き、各種のアゾ化合物などが挙げることができる。
【0032】
樹脂自体は、有機溶剤中で溶液重合して得ても良いし、懸濁重合しても良いし、乳化重合でもよいし、塊状重合で得ても良い。
【0033】
前記樹脂としてのポリエステル系樹脂は、ポリオールと多塩基酸との縮合によって得ることができ、例えばフタル酸の如き二塩基酸を過剰に用いることにより通常のポリエステル樹脂中に容易に酸基を導入せしめることができる。
【0034】
本発明で用いるトナー粒子における着色剤としては、公知慣用の着色剤を用いることができ、具体的には、例えばカーボンブラック、磁性粉、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガラ、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントブルー15、四三酸化鉄、三二酸化鉄、鉄粉、酸化亜鉛、セレン等を挙げることができ、1種又は2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0035】
本発明において、得られるトナーは、結着剤樹脂中に磁性体微粒子が分散した磁性トナー粒子であってもよい。磁性体微粒子としては、通常用いられている強磁性体ならば如何なるものでも使用することができる。
【0036】
磁性体としては、具体的には、鉄、コバルト、ニッケル等の磁性金属、これらの合金、コバルト添加酸化鉄、酸化クロム等の金属酸化物、Mn・Znフェライト、Ni・Znフェライト等の各種のフェライト、マグネタイト、ヘマタイト等、さらに、これらの表面をシランカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、チタンカップリング剤等の表面処理剤で処理したものや、ポリマーでコーティングしたもの等の粉末が使用できる。
【0037】
着色剤と樹脂との重量割合は特に限定されるものではないが、それらの合計重量を100とした時、着色剤を3〜30重量%になるようにするのが好ましい。
【0038】
前記着色剤と前記結着剤樹脂とから得られる、着色剤を分散した結着剤樹脂からなるトナー粒子は、酸基を粒子表面に露出している必要がある。そのための手法としては、各種の方法があるが、従来の様な着色剤と結着剤樹脂とを溶融混練し粉砕してトナー粒子を得るという手法では、結着剤樹脂の酸基はトナー粒子内でランダムに配向し、ほとんどが粒子内部に存在することになり不適当である。そこでトナー粒子表面に酸基を高い確率で選択的に配向させるためには、後に詳述する転相乳化という造粒手法が好適である。
【0039】
本発明における前記粒子表面に酸基を有するトナー粒子の水性分散液を得るための方法は、特に限定されるものではないが、順を追って説明するとすれば、例えば次の様な方法が挙げられる。
【0040】
まず、前記着色剤が分散した、前記樹脂の有機溶剤の溶液である混合組成物を調製する。
【0041】
前記有機溶剤溶液を調製するに当たって使用できる有機溶剤としては、例えばトルエン、キシレンもしくはベンゼンの如き、各種の芳香族炭化水素;メタノール、エタノール、プロパノールもしくはブタノールの如き、各種のアルコール類;セロソルブもしくはカルビトールの如き、各種のエーテルアルコール類;アセトン、メチルエチルケトンもしくはメチルイソブチルケトンの如き、各種のケトン類;酢酸エチルもしくは酢酸ブチルの如き、各種のエステル類;またはブチルセロソルブアセテートの如き、各種のエーテルエステル類などが挙げられる。
【0042】
その際有機溶剤溶液の不揮発分は、特に制限されないが、通常10〜70重量%が好適である。
【0043】
次いで、上記で得た着色剤が分散した、結着剤樹脂の有機溶剤溶液からなる混合組成物を、水性媒体中に転相乳化することによって、水性媒体中でのトナー粒子の造粒が行われ、前記トナー粒子の水性媒体分散液が調製される。
【0044】
勿論、この場合には、当該有機溶剤溶液に水性媒体を加えて転相乳化を行っても良いし、当該有機溶剤溶液を水性媒体に加えて転相乳化を行っても良い。前者のほうが、より粒子径分布の狭いトナー粒子を得ることができるので好ましい。加える方法としては、滴下が一般的である。
【0045】
この転相乳化造粒を円滑に進める為に、前記有機溶剤溶液中又は/及び水性媒体中に、乳化剤及び/又は分散安定剤を含有せしめることができる。
【0046】
分散安定剤としては、一般的には、水溶性高分子化合物が用いられ、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロースガムが挙げられる。
【0047】
前記乳化剤としては、例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルジフェニルオキサイドジスルホン酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンニニルフェノールエーテル等の非イオン性界面活性剤等の乳化剤併用することができる。勿論、前記分散安定剤と乳化剤とを併用することができる。
【0048】
乳化剤及び/又は分散安定剤を用いる転相乳化方法によれば、前記(1)及び(2)の製造方法の様に、結着剤樹脂として、未中和の酸基を有する結着剤樹脂を用いてトナー粒子水性分散液を得て、これとニグロシン化合物とを混合して前記酸基の少なくとも一部をニグロシン化合物で中和してイオン結合させ塩構造とすることもできるし、それとは別に、前記(3)及び(4)の製造方法の様に、予め酸基の少なくとも一部をニグロシン化合物で中和してイオン結合させ塩構造となった結着剤樹脂を用いて転相乳化を行うという方法も採用できる。
【0049】
しかしながら、前記(1)〜(4)の製造方法としては、粒子表面にニグロシン化合物で中和された酸基をより数多く露出させ、より本発明の効果を発現させる方法として、前記(1)及び(2)の製造方法の方が、前記(3)及び(4)の製造方法より好ましい。
【0050】
ここで、結着剤樹脂として、酸基を含んでいてもよい、塩基性化合物で中和された酸基を有するアニオン型自己水分散性樹脂、又は、中和によりアニオン型に自己水分散しうる、未中和の酸基を有する合成樹脂とその未中和の酸基の少なくとも一部を中和して前記樹脂をアニオン型の自己水分散性とするに必要な塩基性化合物とを併用する様にして、それらを用いれば、分散安定剤や乳化剤を使用せずに転相乳化造粒を行うことができる。
【0051】
本発明において自己水分散性樹脂とは、中和により親水性基となりうる官能基を分子中に含有した合成樹脂で、それら親水性となりうる酸基の一部又は全部が塩基性化合物により中和された場合に、乳化剤や分散安定剤を用いることなく、安定した水性分散液を形成する能力を有する樹脂を言う。
【0052】
この樹脂における中和により親水基となりうる酸基としては、例えば、カルボキシル基、燐酸基、スルホン酸基などのいわゆる酸基が挙げられ、カルボキシ基含有アニオン型樹脂を例にとると、当該樹脂の、中和によりアニオン性の親水性基となりうるカルボキシル基の含有量は、特に制限されるものではないが、酸価40程度以上が、上記転相乳化法による粒子形成が容易であるので好ましい。特に好ましくは酸価50〜150である。
【0053】
上記自己水分散性樹脂に使用する塩基性化合物は、当該樹脂が水性媒体中で自己水分散しうる程度の親水性を呈するものであれば、その種類に限定されるものではなく、水中で容易にカチオンイオンを生成する塩基性化合物を用いることができる。
【0054】
効果的な塩基性化合物の具体例としては、アンモニアの他、例えばケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、第二リン酸ナトリウム、第三リン酸ナトリウム、第二リン酸アンモニウム、第三リン酸アンモニウム、メタケイ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア等の無機金属塩基性化合物、モノ、ジ、又はトリメチルアミン、モノ、ジ、又はトリエチルアミン、モノ、又はジイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノ、ジ、又はトリエタノールアミン、モノ、ジ、又はトリイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジイミン等の有機アミン化合物を挙げることができる。
【0055】
その際、上述した塩基性化合物を中和剤として転相乳化を行うことにより、いずれの場合もカプセル微粒子が作製できるものの、生成する粒子の粒径分布をシャープなものにする、すなわち粒子径の揃ったトナーを得る為には、無機金属塩基性化合物の使用が好適である。
【0056】
かかる自己水分散性樹脂を結着剤樹脂とした転相乳化造粒は、着色剤を分散させた、酸基を有する中和により自己水分散しうる樹脂の有機溶剤溶液中に前記樹脂を自己水分散性とするに足る塩基性化合物を添加分散し、アニオン型自己水分散性樹脂の有機溶剤溶液とした後、水性媒体と混合して転相乳化するか、又は、着色剤を分散させた、酸基を有する中和により自己水分散しうる樹脂の有機溶剤溶液と、前記樹脂を自己水分散性とするに足る塩基性化合物を含有させた水性媒体とを混合して転相乳化することによって、着色剤が分散された結着剤樹脂の球形粒子であり、その粒子表面に酸性基を含有して成る水性媒体に分散したトナー粒子水性分散液とすることができる。
【0057】
上述した転相乳化造粒法で得られる、粒子表面に酸基を露出したトナー粒子は、それ自体良好な負極性帯電性を示し、負帯電性トナーとして利用することができる。
【0058】
本発明の電子写真用トナーは、例えば上記した様な製造方法にて、酸基を露出するトナー粒子表面に、ニグロシン化合物をイオン結合付着させることによって得られる。
【0059】
本発明で用いるニグロシン化合物としては、構造的に特に限定されるものではなく、カウンターアニオン成分を含まないカチオン構造を有する化合物が好適である。具体的には次式で表わされるものを用いることができる。上記した様な高級脂肪酸等のカウンターアニオンを含む従来のニグロシン系電荷制御剤を用いたのでは、粒子表面に露出した酸基と反応性を示さないか、アニオン交換反応が起こり、カウンターアニオン成分が溶出したりして、所期の効果が得られ難くなる。
【0060】
【化1】
Figure 0003728672
【0061】
〔但し、式中のArは、アリール基である。〕
【0062】
ニグロシン化合物は、例えばニトロベンゼン、ニトロフェノール、ニトロクレゾール、アニリン、アニリン塩酸塩等を原料として、触媒の存在下、加熱溶融させ縮合させれば得ることができる。尚、製造工程中で高級脂肪酸等のアニオン成分が含まれる場合には、それを除去してから用いる。
【0063】
本発明ではニグロシン化合物としては、具体的には、例えば次の構造式で示されるものが挙げられる。市販品としては、例えばボントロンN−01、ボントロンN−07、ボントロンEX〔いずれもオリエント化学工業(株)製〕等が使用できる。
【0064】
乳化剤及び/又は分散安定剤を用いる必要のない、前記(5)及び(6)の製造方法の場合には、かかるニグロシン化合物をトナー粒子表面の酸基とイオン結合付着させるには、水性媒体に分散したトナー粒子水性媒体分散液に、上記ニグロシン化合物を添加し、混合分散させた後、水性媒体を除去乾燥して乾式トナーとすることによって容易に達成される。
【0065】
なお塩基性化合物を用いる転相乳化造粒方法に関する前記(5)及び(6)の製造方法において、必要に応じて、トナー粒子水性媒体分散液に酸を添加して逆中和処理して、粒子表面に付着した少なくとも一部の塩基性化合物を除去し、未中和の酸基を含む様にした後、ニグロシン化合物をイオン結合付着させることもできる。この際には酸を加えて逆中和をして濾過洗浄して、少なくとも中和された酸基の一部又は全部を未中和状態の酸基に戻して、そのトナー粒子を水に再分散させてから、その分散液とニグロシン化合物とを混合する様にすれば良い。
【0066】
この逆中和には、公知慣用の酸がいずれも使用できる。酸としては、例えば蓚酸、塩酸、硫酸、燐酸等の無機酸及び蟻酸、酢酸等の有機酸が使用できるが、前記塩基性化合物として無機金属塩基性化合物を用いる場合には、塩酸で中和してやるのが好ましい。
【0067】
本発明に用いるニグロシン化合物の添加量は、トナー粒子表面の酸基に対し0.3〜100モル%相当量を用いることができるが、より好ましくは10〜85モル%相当量の添加が好結果を与える。この範囲内であれば、本発明の充分なる効果が得られるし、又、トナー粒子そのものの特性を損なうことも少ない。
【0068】
なお、トナー粒子表面の酸基の量は、例えば滴定法によって知ることができる。例えば、以下に示すような方法によって、その濃度を算出することができる。
【0069】
造粒した酸基を含むトナー粒子水性分散液に、過剰の1N水酸化ナトリウム水溶液を加え、充分に攪拌混合を行い、トナー粒子表面の酸基にナトリウムイオンを付加させる。その後、このトナー粒子水性媒体分散液を濾過・洗浄し、粒子表面の酸基にイオン結合付着した以外の余分な水酸化ナトリウムを除去する。次いで、このトナー粒子を水に再分散し、攪拌しながら水性媒体分散液のpHが3になるまで1N塩酸水溶液を滴下する。この1N塩酸の滴下量から、トナー粒子表面のナトリウムイオン量すなわち、酸基量を算出することができる。
【0070】
表面に酸基を露出した形で含有するトナー粒子を製造するために例示した、上記製造方法の中でも、分散安定剤や乳化剤等を別途除去するための水洗工程等の別工程が不要であり、生産性にも優れる点で、乳化剤及び/又は分散安定剤を実質的に用いない、前記(5)及び(6)の製造方法に基づく、自己水分散性樹脂が結着剤樹脂であるトナー粒子水性媒体分散液を、本発明のトナー粒子水性媒体分散液として用いるのが好ましい。
【0071】
乳化剤や分散安定剤を用いない、自己水分散性樹脂を利用した前記転相乳化法は、他の転相乳化製法トナーと比較して、乳化剤や分散安定剤の最終トナー粉体中への残留が無いために、帯電特性のより安定した球形の乾式トナーとすることができる。
【0072】
本発明の電子写真用トナーを得るに当たっては、その製造の任意の工程において、必要に応じてワックス類、その他の電荷制御剤等の助剤を含有させることもできる。
【0073】
助剤としては、例えばポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、パラフィンワックス等のワックス類、金属石鹸、ステアリン酸亜鉛の如き滑剤、或いは酸化セリウム、炭化ケイ素の如き研磨剤等が挙げられる。
【0074】
上記ニグロシン化合物をイオン結着したトナー粒子水性媒体分散液から、水性媒体を除去し、乾燥すれば乾式のトナー粉末を得ることができる。分散液から水性媒体を除去するにあたっては、例えばデカンテーションや濾過等の方法の中で、有効なものがいずれも採用できる。
【0075】
ニグロシン化合物の窒素原子とトナー粒子表面の酸基とがイオン結合した状態のトナー粒子水性媒体分散液から水性媒体を除去するに当たっては、本発明の前記製造方法(1)〜(6)のいずれにおいても、有機溶剤と水を同時に除去しても良いし、有機溶剤を除去してから、水を除去してもよい。トナー粒子水性媒体分散液から有機溶剤を除去してから水を除去する方法によれば、得られたトナー粒子が分散液中で凝集する心配も極めて少ないので好ましい。
【0076】
尚、表面に酸基を露出したトナー粒子にニグロシン化合物をイオン結合させるに当たっては、前記(1)、(2)、(5)及び(6)の製造方法に例示した様に、トナー粒子を造粒するのに用いた有機溶剤を含む水性媒体のトナー粒子に、ニグロシン化合物を混合分散させて付着させることもできるが、予めトナー粒子水性媒体分散液から有機溶剤を除去した後にニグロシン化合物を混合分散させて付着させることが、より均一なイオン結合構造を形成させ得る点で好ましい。
【0077】
前記乾燥は、公知慣用の方法がいずれも採用できるが、例えばトナー粒子が熱融着や凝集しない温度で熱風乾燥してもよいし、凍結乾燥するという方法も挙げられる。また、スプレードライヤー等を用いて、水性媒体からのトナー粒子の分離と乾燥とを同時に行うという方法もある。
【0078】
本発明のトナー粉体の粒子サイズとしては、トナーとしての実用的レベル内で任意の大きさを選定できる。現状のマシンとのマッチング性からは、その体積平均粒子径が3〜30μm、好ましくは、4〜12μmの範囲のものが好適である。
【0079】
本発明の電子写真用トナーは、非磁性一成分トナーあるいは磁性一成分トナーとして、又、キャリアと組み合わせることにより二成分現像剤として使用することができ、とりわけ二成分現像剤として良好な特性を得ることができる。
【0080】
キャリアとしては、公知慣用のものがいずれも使用できるが、例えば、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土類等の金属及びそれらの合金又は酸化物、表面処理されたガラス、シリカ等の粉末が使用できる。勿論、アクリル樹脂被覆キャリア、フッ素樹脂被覆キャリア、シリコーン樹脂被覆キャリア等の樹脂被覆キャリアも使用できる。キャリアとしては、例えば20〜200ミクロン程度のものが使用される。
【0081】
本発明で得られたトナーと、キャリアとから二成分型静電荷像現像剤を得る場合には、例えばキャリア100重量部当たり、トナー1〜15重量部となる様な割合で混合して用いればよい。
【0082】
【発明の実施の態様】
次に本発明の最適の実施態様を説明する。まずスチレン、(メタ)アクリル酸エステル及び(メタ)アクリル酸を必須成分として疎水性有機溶剤中で重合し、ガラス転移温度60〜80℃、酸価60〜120、重量平均分子量20000〜100000のスチレンアクリル系共重合体の不揮発分30〜60重量%の疎水性有機溶剤溶液を調製し、これに親水性有機溶剤を加え、前記共重合体不揮発分100重量部当たり5〜15重量部の着色剤を加えて充分に混合し、それに無機金属塩基性化合物の水溶液を、前記共重合体が乳化剤及び/又は分散安定剤なしで自己水分散しうるに必要な重量を加えて、未中和状態の酸基を含んでいてもよい、中和されたカルボキシル基を有するアニオン型自己水分散性樹脂の疎水性有機溶剤と親水性有機溶剤との混合溶剤溶液を得る。
【0083】
次いでこの混合溶剤溶液に、水のみからなる水性媒体を滴下により加えて転相乳化を行い、粒子径4〜12μmのトナー粒子水性媒体分散液を得、トナー粒子の軟化点未満で減圧蒸留により有機溶剤を除去し、中和されたカルボキシル基が露出するに足る無機一塩基酸水溶液を加え、濾過・洗浄し、トナー粒子のみを改めて水に再分散し、トナー粒子の水のみを水性媒体とする分散液を得る。
【0084】
この分散液にカウンターアニオンを含まないニグロシン化合物を、前記トナー粒子表面の露出したカルボキシル基に対して10〜85モル%相当量を加えて、充分攪拌を行い、カルボキシル基をニグロシン化合物の窒素原子とイオン結合させる。次いでこの様にして得られた分散液を濾過し、トナーのみを取り出し乾燥させて粒子径4〜12μmのトナー粒子粉体を得る。
【0085】
この様にして得られた正帯電性トナーは、それを平均粒子径50〜150μmの樹脂被覆磁性キャリア100重量部当たり1〜10重量部混合して正帯電性二成分現像剤を調製し、負極性静電潜像の電子写真感光体を有する電子写真式複写機で現像すれば、静電潜像を可視化することが出来る。
【0086】
【実施例】
以下、本発明の実施例を示し、本発明を更に具体的に説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0087】
(実施例1)
メチルエチルケトン200gを反応器に入れ加熱して80℃にした。次いで、以下に示されるような割合の混合物を約2時間に亘って滴下した。その間反応は窒素気流中で行った。
【0088】
メタクリル酸 45g
スチレン 207g
アクリル酸−2−エチルヘキシル 33g
メタクリル酸メチル 15g
パーブチルO〔日本触媒(株)製〕 3g
メチルエチルケトン 12g
【0089】
上記した混合物の滴下終了1時間後に、パーブチルOを0.25g追加添加し、さらにその後2時間にして0.25gを加えて24時間反応を続行せしめた。反応終了後、不揮発分が54重量%の、中和により自己水分散性となりうるスチレン−アクリル系共重合体樹脂溶液が得られた。この樹脂は、酸価100、重量平均分子量4万であった。
【0090】
この共重合体溶液200g、イソプロピルアルコール35g、および「MA−100」〔三菱化成工業(株)製カーボンブラック〕12.0gを混練機「アイガーM−250VSE−EXJ」(米国アイガー社製混練機)にて1時間混合した後、1N−カセイソーダ水溶液11.5gを加え、スリーワンモーターを用いて、350rpmにて撹拌しながら水を滴下して転相乳化を行い、着色剤が分散された、自己水分散性樹脂からなるトナー粒子水性分散液を得た。トナー粒子を、コールターカウンターで測定したところ平均粒子径が8ミクロンのトナー粒子であった。又、電子顕微鏡で観察したところ真球状のトナー粒子であることが確認された。
【0091】
次いでトナー粒子の軟化点よりも低い温度となる様に、減圧蒸留により有機溶剤を除去し、pH6になるまで0.01Nの塩酸水溶液を加え、濾過・洗浄した後、このトナー粒子を水に戻してトナー粒子水性分散液を得た。このトナー粒子水性分散液に対し、ニグロシン化合物として「ボントロンN−07」〔オリエント化学工業(株)製。カウンターアニオンは含まないニグロシン系電荷制御剤。〕2.39gを加え、表面のカルボキシル基の18%にニグロシン化合物を付着させるために、充分に攪拌を行った。ボントロンN−07は粉体であったが、トナー分散水溶液に均一に分散溶解することができた。
【0092】
その後、濾過して凍結乾燥機で3日処理して乾式トナーを得た。このトナーは流動性に優れ、粒子の凝集は全く観察されなかった。又、平均粒径も8ミクロンであり、処理による粒子径変化は観測されなかった。
【0093】
得られた乾式トナーを、平均粒子径100ミクロンのコーティングマグネタイトキャリア100重量部に対し4重量部の割合で混合攪拌して現像剤を調整し、ブローオフ法によりトナーの帯電量を測定したところ、+18.7μC/gの値を示し、正極性帯電トナーであることが確認された。この現像剤を用いて市販の電子複写機にて複写テストを行ったところ、均一画像濃度を有する20000枚以上の原稿に忠実な鮮明な画像が得られた。
【0094】
(比較例1)
実施例1で用いたニグロシン化合物「ボントロンN−07」を加えずに、乾式トナーを作製した。すなわち、トナー粒子表面のカルボキシル基にニグロシン化合物がイオン付加していないトナーを調整した。このトナーは実施例1で得られたトナーと同様に流動性に優れ、粒子の凝集は全く観察されなかった。この乾式トナーを、平均粒子径100ミクロンのフェライトキャリア100重量部に対し5重量部の割合で混合攪拌して現像剤を調整したところ、−62.5μC/gの帯電量を示し、負極性帯電トナーとして実用に耐える充分な帯電量を示した。しかしながら、実施例1に示したのと同様に平均粒子径100ミクロンのコーティングマグネタイトキャリア100重量部に対し4重量部の割合で混合攪拌して現像剤を調整したところ、ブローオフ法によるトナー帯電量は−7.1μC/gの値を示し、あいかわらず負極性帯電性であり、正極性帯電トナーとしては使用できないものであった。
【0095】
(比較例2)実施例1で調整した共重合体溶液200g、イソプロピルアルコール35g、「MA−100」〔三菱化成工業(株)製カーボンブラック〕12.0g、および「ボントロンN−04」〔オリエント化学工業(株)製ニグロシン系電荷制御剤。カウンターアニオンを含む。〕5.0gを混練機「アイガーM−250VSE−EXJ」(米国アイガー社製混練機)にて1時間混合した後、1N−カセイソーダ水溶液11.5gを加え、スリーワンモーターを用いて、350rpmにて撹拌しながら水を滴下して転相乳化を行い、着色剤が分散された、自己水分散性樹脂からなるトナー粒子水性分散液を得た。トナー粒子を、コールターカウンターで測定したところ平均粒子径が8ミクロンのトナー粒子であった。又、電子顕微鏡で観察したところ真球状のトナー粒子であることが確認された。
【0096】
実施例1に示したのと同様に平均粒子径100ミクロンのコーティングマグネタイトキャリア100重量部に対し4重量部の割合で混合攪拌して現像剤を調整したところ、ブローオフ法によるトナー帯電量では負極性帯電性を示しており、正極性帯電トナーとしては使用できないものであった。
【0097】
【発明の効果】
請求項1の発明の電子写真用トナーは、ニグロシン化合物をトナー粒子表面に化学的に結合させ露出させているので、もともと負帯電性であり、環境安定性に劣る酸基を有するトナー粒子であっても、安定した正帯電性が得られ、環境安定性にも優れるという格別顕著な効果を奏する。
【0098】
請求項2〜7の発明は、転相乳化造粒法を採用しているので、請求項1の正帯電性トナーが容易に得られるという格別顕著な効果を奏する。つまり、表面に酸基を露出する、もともと負極性に帯電するトナー粒子を製造する工程の所定の時点に、その酸基にニグロシン化合物の窒素原子をイオン結合付着させる様にして正極性帯電性トナーを得るので、従来の負帯電性トナーと同一造粒プロセスに準じて、簡単に正帯電性トナーを製造することができるという格別顕著な効果を奏する。

Claims (9)

  1. 着色剤を分散した、酸基を粒子表面に露出した結着剤樹脂からなるトナー粒子と、ニグロシン化合物とを必須成分としてなり、前記結着剤樹脂の粒子表面に露出した酸基が、前記ニグロシン化合物の窒素原子とイオン結合し塩構造をなしていることを特徴とする球形粒子からなる正帯電性電子写真用トナー。
  2. 酸基を有する合成樹脂と、乳化剤及び/又は分散安定剤と、有機溶剤と、着色剤とを必須成分とする混合組成物を、水性媒体中に加えて転相乳化するか、当該混合組成物に水性媒体を加えて転相乳化することにより、水性媒体中に、着色剤が分散された前記樹脂のトナー粒子を生成分散せしめる第1工程、前記工程で得られたトナー粒子水性媒体分散液とニグロシン化合物とを混合し、分散したトナー粒子中の前記樹脂の酸基をニグロシン化合物で中和する第2工程、前記工程で得られたトナー粒子水性媒体分散液から、水性媒体を除去し乾燥させる第3工程、からなる電子写真トナーの製造方法。
  3. 酸基を有する合成樹脂と、有機溶剤と、着色剤とを必須成分とする混合組成物を、乳化剤及び/又は分散安定剤を含む水性媒体中に加えて転相乳化するか、当該混合組成物に乳化剤及び/又は分散安定剤を含む水性媒体を加えて転相乳化することにより、水性媒体中に、着色剤が分散された前記樹脂のトナー粒子を生成分散せしめる第1工程、前記工程で得られたトナー粒子水性媒体分散液とニグロシン化合物とを混合し、分散したトナー粒子中の前記樹脂の酸基をニグロシン化合物で中和する第2工程、前記工程で得られたトナー粒子水性媒体分散液から、水性媒体を除去し乾燥させる第3工程、からなる電子写真トナーの製造方法。
  4. ニグロシン化合物で中和された酸基を有する合成樹脂と、乳化剤及び/又は分散安定剤と、有機溶剤と、着色剤とを必須成分とする混合組成物を、水性媒体中に加えて転相乳化するか、当該混合組成物に水性媒体を加えて転相乳化することにより、水性媒体中に、着色剤が分散された前記樹脂のトナー粒子を生成分散せしめる第1工程、前記工程で得られたトナー粒子水性媒体分散液から、水性媒体を除去し乾燥させる第2工程、からなる電子写真トナーの製造方法。
  5. ニグロシン化合物で中和された酸基を有する合成樹脂と、有機溶剤と、着色剤とを必須成分とする混合組成物を、乳化剤及び/又は分散安定剤を含む水性媒体中に加えて転相乳化するか、当該混合組成物に乳化剤及び/又は分散安定剤を含む水性媒体を加えて転相乳化することにより、水性媒体中に、着色剤が分散された前記樹脂のトナー粒子を生成分散せしめる第1工程、前記工程で得られたトナー粒子水性媒体分散液から、水性媒体を除去し乾燥させる第2工程、からなる電子写真トナーの製造方法。
  6. 未中和の酸基と塩基性化合物で中和された酸基を有するアニオン型自己水分散性樹脂と、有機溶剤と、着色剤とを必須成分とする混合組成物を、水性媒体中に加えて転相乳化するか、当該混合組成物に水性媒体を加えて転相乳化することにより、水性媒体中に、着色剤が分散された前記樹脂のトナー粒子を生成分散せしめる第1工程、前記工程で得られたトナー粒子水性媒体分散液とニグロシン化合物とを混合し、分散したトナー粒子中の前記樹脂の未中和の酸基をニグロシン化合物で中和する第2工程、前記工程で得られたトナー粒子水性媒体分散液から、水性媒体を除去し乾燥させる第3工程、からなる電子写真トナーの製造方法。
  7. 中和により自己水分散しうる、未中和の酸基を有する合成樹脂と、有機溶剤と、着色剤とを必須成分とする混合組成物を、前記樹脂中の未中和の酸基の一部を中和するのに必要な塩基性化合物を含む水性媒体中に加えて転相乳化するか、当該混合組成物に前記化合物を含む水性媒体を加えて転相乳化することにより、水性媒体中に、着色剤が分散された、未中和の酸基と塩基性化合物で中和された酸基を有するアニオン型自己水分散性樹脂のトナー粒子を生成分散せしめる第1工程、前記工程で得られたトナー粒子水性媒体分散液とニグロシン化合物とを混合し、分散したトナー粒子表面の未中和の酸基を前記有機塩基性化合物で中和する第2工程、前記工程で得られたトナー粒子水性媒体分散液から、水性媒体を除去し乾燥させる第3工程、からなる電子写真トナーの製造方法。
  8. 前記第1工程で得られたトナー粒子水性媒体分散液中に分散したトナー粒子中の、部分的に塩基性化合物で中和された酸基を有するアニオン型自己水分散性樹脂の、塩基性化合物で中和された酸基が、元の未中和の酸基となる様に、前記トナー粒子水性媒体分散液に、酸を加えて逆中和して濾過洗浄してから、前記第2工程を行う請求項6又は7記載の製造方法。
  9. 前記第1工程で得られたトナー粒子水性媒体分散液から、その中に含まれる有機溶剤を除去した後に、前記第2工程を行う請求項2、3、6、7又は8記載の製造方法。
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