この発明は、複写機やプリンター等の画像形成装置において、感光体に形成された静電荷像を現像するのに使用する静電荷像現像用トナー及びその製造方法に係り、特に着色樹脂粒子の表面に樹脂粒子からなる被覆層が形成された静電荷像現像用トナー及びその製造方法に関するものである。
従来より、複写機やプリンター等の画像形成装置においては、感光体に形成された静電荷像を現像するのに静電荷像現像用トナーが使用されている。
そして、このような静電荷像現像用トナーを製造するにあたっては、樹脂中に着色剤やワックス等の添加剤を加え、これを加熱溶融させて混練し、この混練物を冷却させた後、これを粉砕して所定の粒径になった静電荷像現像用トナーを製造する粉砕法が広く用いられている。
しかし、このような粉砕法によって静電荷像現像用トナーを製造する場合、製造されたトナーの粒径のばらつきが大きく、生産効率が悪くて、コストが高くつき、特に粒径の小さいトナーを製造する場合には、収率が著しく低下する等の問題があった。
このため、静電荷像現像用トナーを製造するにあたり、樹脂モノマーに重合開始剤や着色剤等を加えた重合組成物を、媒体中において懸濁重合させて静電荷像現像用トナーを製造する懸濁重合法や、非水溶性有機溶媒に樹脂や着色剤等を溶解及び/又は分散させて得た着色樹脂溶液を、分散安定剤を用いて水性分散液中に乳化分散させてO/W型エマルジョンを形成し、これを撹拌しながら加熱させて、着色樹脂溶液の液滴から有機溶媒を蒸発させて除去し、静電荷像現像用トナーを製造するようにした乳化分散法等が用いられるようになった。
ここで、上記の懸濁重合法によって静電荷像現像用トナーを製造する場合、使用できる樹脂の種類が限定されるという問題があった。
また、上記の乳化分散法によって静電荷像現像用トナーを製造した場合、上記の分散安定剤がトナーの表面等に付着して残り、この分散安定剤の影響により、環境変動によってトナーの帯電量が変化し、形成される画像の濃度が変動したり、形成される画像にカブリが発生する等の問題があった。
また、近年においては、結着樹脂及び着色剤を含むトナー材料を有機溶媒中に溶解又は分散させて調整した混合溶液を、水性媒体中に導入して懸濁造粒により形成された微粒子を凝集させた後、この凝集粒子にさらに樹脂微粒子を添加して凝集させるようにしたトナー(例えば、特許文献1参照。)や、着色剤を含有した芯粒子の表面にビニル系モノマーをソープフリー乳化重合して得られる微小粒子を付着固定させたトナー(例えば、特許文献2参照。)が提案されている。
ここで、特許文献1に示されるものにおいては、上記の凝集粒子及び樹脂微粒子を構成する樹脂にポリエステル樹脂を使用するようにしており、得られたトナーにおける定着性は向上するが、吸湿性が高くなって、環境安定性が悪くなり、環境変動によってトナーの帯電量が変化し、形成される画像の濃度が変動したり、形成される画像にカブリが発生する等の問題があった。
また、特許文献2に示されるものにおいては、上記のように芯粒子の表面に付着させる微小粒子をソープフリー乳化重合により得るため、この微小粒子の樹脂自体に親水性基が含まれるようになり、この場合においても、環境安定性が悪くなり、環境変動によってトナーの帯電量が変化し、形成される画像の濃度が変動したり、形成される画像にカブリが発生する等の問題があった。
特開平11−7156号公報
特許第2712264号公報
この発明は、複写機やプリンター等の画像形成装置において、感光体に形成された静電荷像を現像するのに使用する静電荷像現像用トナーにおける上記のような問題を解決することを課題とするものである。
すなわち、この発明においては、環境変動によってトナーの帯電量が変動することが少なく、形成される画像の濃度が変動したり、形成される画像にカブリが発生するのが抑制されて、画像特性に優れた画像が得られる静電荷像現像用トナー及びその製造方法を提供することを目的としている。
この発明における第1の静電荷像現像用トナーにおいては、上記のような課題を解決するため、乳化分散法で作製された着色樹脂粒子の表面に、界面活性剤を用いる乳化重合法又は界面活性剤を用いる乳化分散法で作製された樹脂粒子からなる被覆層が加熱により融着されてなる静電荷像現像用トナーにおいて、少なくとも結着樹脂と着色剤とを非水溶性有機溶媒に溶解及び/又は分散させた着色樹脂溶液を水性分散液中に乳化分散させて得たO/W型エマルジョンから上記の非水溶性有機溶媒が除去されてなる着色樹脂粒子の分散液に、上記の樹脂粒子と凝集剤とを添加し、加熱により上記の着色樹脂粒子の表面に上記の樹脂粒子を融着させて被覆層を形成するようにした。
そして、このような第1の静電荷像現像用トナーを製造するにあたっては、少なくとも結着樹脂と着色剤とを非水溶性有機溶媒に溶解及び/又は分散させて着色樹脂溶液を得る工程と、この着色樹脂溶液を水性分散液中に乳化分散させてO/W型エマルジョンを得る工程と、このO/W型エマルジョンから非水溶性有機溶媒を除去させて着色樹脂粒子が分散された分散液を得る工程と、この着色樹脂粒子が分散された分散液に上記の樹脂粒子と凝集剤とを添加する工程と、加熱により上記の着色樹脂粒子の表面に上記の樹脂粒子を融着させて被覆層を形成する工程とを行うようにする。
また、この発明における第2の静電荷像現像用トナーにおいては、上記のような課題を解決するため、乳化分散法で作製された着色樹脂粒子を凝集させた凝集体粒子の表面に、界面活性剤を用いる乳化重合法又は界面活性剤を用いる乳化分散法で作製された樹脂粒子からなる被覆層を加熱により融着させた。
そして、このような第2の静電荷像現像用トナーを製造するにあたっては、少なくとも結着樹脂と着色剤とを非水溶性有機溶媒に溶解及び/又は分散させて着色樹脂溶液を得る工程と、この着色樹脂溶液を水性分散液中に乳化分散させてO/W型エマルジョンを得る工程と、このO/W型エマルジョンから非水溶性有機溶媒を除去させて着色樹脂粒子が分散された分散液を得る工程と、この着色樹脂粒子が分散された分散液に凝集剤を添加させて加熱し、上記の着色樹脂粒子が凝集された凝集体粒子を得る工程と、この凝集体粒子が分散された分散液に上記の樹脂粒子を添加する工程と、加熱により上記の凝集体粒子の表面に上記の樹脂粒子を融着させて被覆層を形成する工程とを行うようにする。
この発明における第1及び第2の静電荷像現像用トナーにおいては、上記のように乳化
分散法で作製された着色樹脂粒子の表面、或いは乳化分散法で作製された着色樹脂粒子を凝集させた凝集体粒子の表面に、界面活性剤を用いる乳化重合法又は界面活性剤を用いる乳化分散法で作製された樹脂粒子からなる被覆層を形成するようにしたため、この被覆層によりトナーにおける水分吸着量が顕著に減少して、トナーの環境安定性が向上し、環境変動によってトナーの帯電量が変化するのが抑制され、形成される画像の濃度が変動したり、形成される画像にカブリが発生したりするのが防止されるようになる。
また、この発明における第1及び第2の静電荷像現像用トナーにおいては、界面活性剤を用いる乳化重合法又は界面活性剤を用いる乳化分散法で作製された樹脂粒子からなる被覆層を形成するにあたり、加熱させてこの樹脂粒子を、上記の着色樹脂粒子の表面や凝集体粒子の表面に融着させて被覆層を形成するようにしたため、表面における界面活性剤がこの静電荷像現像用トナー内に取りこまれたり、静電荷像現像用トナーから離脱したりして、静電荷像現像用トナーの表面における界面活性剤の量が減少し、トナーの環境安定性がさらに向上するようになる。
以下、この発明の実施形態に係る静電荷像現像用トナー及びその製造方法について説明する。
この発明の第1の実施形態に係る静電荷像現像用トナーにおいては、乳化分散法で作製された着色樹脂粒子の表面に、界面活性剤を用いる乳化重合法又は界面活性剤を用いる乳化分散法で作製された樹脂粒子からなる被覆層を加熱により融着させるようにしている。
そして、この第1の実施形態に係る静電荷像現像用トナーを製造するにあたっては、少なくとも結着樹脂と着色剤とを非水溶性有機溶媒に溶解及び/又は分散させて着色樹脂溶液を得る工程と、この着色樹脂溶液を水性分散液中に乳化分散させてO/W型エマルジョンを得る工程と、このO/W型エマルジョンから非水溶性有機溶媒を除去させて着色樹脂粒子が分散された分散液を得る工程と、この着色樹脂粒子が分散された分散液に上記の樹脂粒子と凝集剤とを添加する工程と、加熱により上記の着色樹脂粒子の表面に上記の樹脂粒子を融着させて被覆層を形成する工程とを行うようにする。
ここで、この第1の実施形態に係る静電荷像現像用トナーにおいて、上記の樹脂粒子の粒径が大きくなり過ぎると、着色樹脂粒子の表面をこの樹脂粒子によって隙間がないように覆うことが困難になり、上記のように加熱して着色樹脂粒子の表面に樹脂粒子を融着させて被覆層を形成する場合に、着色樹脂粒子の表面を十分に被覆することが困難になる。このため、着色樹脂粒子の体積平均粒径Daに対して樹脂粒子の体積平均粒径Dbが、Da/Db≧10の関係を満たすようにすることが好ましい。
また、この発明の第2の実施形態に係る静電荷像現像用トナーにおいては、乳化分散法で作製された着色樹脂粒子を凝集させた凝集体粒子の表面に、界面活性剤を用いる乳化重合法又は界面活性剤を用いる乳化分散法で作製された樹脂粒子からなる被覆層を加熱により融着させるようにしている。
そして、この第2の実施形態に係る静電荷像現像用トナーを製造するにあたっては、少なくとも結着樹脂と着色剤とを非水溶性有機溶媒に溶解及び/又は分散させて着色樹脂溶液を得る工程と、この着色樹脂溶液を水性分散液中に乳化分散させてO/W型エマルジョンを得る工程と、このO/W型エマルジョンから非水溶性有機溶媒を除去させて着色樹脂粒子が分散された分散液を得る工程と、この着色樹脂粒子が分散された分散液に凝集剤を添加させて加熱し、上記の着色樹脂粒子が凝集された凝集体粒子を得る工程と、この凝集体粒子が分散された分散液に上記の樹脂粒子を添加する工程と、加熱により上記の凝集体粒子の表面に上記の樹脂粒子を融着させて被覆層を形成する工程とを行うようにする。
ここで、この第2の実施形態に係る静電荷像現像用トナーにおいても、上記の樹脂粒子の粒径が大きくなり過ぎると、着色樹脂粒子が凝集された凝集体粒子の表面をこの樹脂粒子によって隙間がないように覆うことが困難になり、上記のように加熱して凝集体粒子の表面に樹脂粒子を融着させて被覆層を形成する場合において、凝集体粒子の表面を十分に被覆することが困難になる。このため、上記の着色樹脂粒子の体積平均粒径Dcと、凝集体粒子の体積平均粒径Ddと、樹脂粒子の体積平均粒径Dbとが、Dd/Db≧10及びDd/Dc≧4の関係を満たすようにすることが好ましい。このようにすると、凝集体粒子の凹凸が少なくなり、被覆層の均一な形成が容易になる。
また、上記の第1及び第2の実施形態に係る静電荷像現像用トナーを製造するにあたり、着色樹脂溶液を得るのに用いる上記の結着樹脂は、上記の非水溶性有機溶媒に溶解できる一方、水に不溶或いはほとんど溶解しないものであれば特に限定されず、従来のトナーにおいて一般に結着樹脂として用いられているものを使用することができ、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体樹脂、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、カーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリスルフォン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素樹脂等の樹脂を1種又は2種以上用いることが可能である。
また、上記の結着樹脂としては、ガラス転移点Tgが50〜80℃の範囲のものを用いることが好ましい。これは、この結着樹脂のガラス転移点Tgが50℃未満であると、得られるトナーの耐熱性が低下する一方、ガラス転移点Tgが80℃を越えると、得られるトナーの定着性が低下するためである。
また、上記の結着樹脂としては、その数平均分子量Mnが1000〜50000の範囲、好ましくは3000〜20000の範囲、数平均分子量Mnと重量平均分子量Mwとの比で表される分子量分布Mw/Mnが2〜60の範囲であることが望ましい。これは、この結着樹脂における数平均分子量Mnが1000未満である場合、得られるトナーにおいて高温オフセットが発生しやすくなる一方、50000を越える場合には、逆に低温オフセットが発生しやすくなるためである。また、上記のMw/Mnの値が2未満であると、得られるトナーにおいて非オフセット領域が狭くなる虞れがある一方、Mw/Mnの値が60を越えると、低温オフセットが発生しやすくなるためである。
また、上記のような結着樹脂を非水溶性有機溶媒に溶解させるにあたっては、上記のようにO/W型エマルジョンから非水溶性有機溶媒を除去させて着色樹脂粒子が分散された分散液を得ることが容易に行えるようにするため、この樹脂濃度が約5〜50重量%、より好ましくは約10〜40重量%の範囲になるようにする。
また、上記の着色樹脂溶液を得るのに用いる着色剤としては、有機又は無機の各種、各色の顔料を使用することができる。また、これらの着色剤がトナー中において適切に分散されるようにするため、上記のような結着樹脂又は他の樹脂に着色剤を予め添加させてマスターバッチを形成し、これを非水溶性有機溶媒に添加させるようにしてもよい。
ここで、上記の着色剤としての黒色顔料としては、例えば、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリン・ブラック、活性炭、非磁性フェライト、磁性フェライト、マグネタイト等を用いることができる。
また、黄色顔料としては、例えば、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジ
ンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ等を用いることができる。
また、橙色顔料としては、例えば、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGK等を用いることができる。
また、赤色顔料としては、例えば、キナクリドン、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドC、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ロンダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B等を用いることができる。
また、紫色顔料としては、例えば、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等を用いることができる。
また、青色顔料としては、例えば、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、金属フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBC等を用いることができる。
また、緑色顔料としては、例えば、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マイカライトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等を用いることができる。
また、白色顔料としては、例えば、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等を用いることができる。
また、体質顔料としては、例えば、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等を用いることができる。
そして、このような着色剤の添加量は、上記の結着樹脂100重量部に対して0.5〜20重量部、好ましくは2〜10重量部の範囲になるようにする。これは、着色剤の添加量が少ないと、十分な濃度の画像が得られなくなる一方、多くなりすぎると、階調の制御が困難になるためである。
また、上記の着色樹脂溶液には、上記の結着樹脂や着色剤の他に様々な公知のトナー成分、例えば、磁性粉、オフセット防止剤等を必要に応じて配合することができる。
ここで、磁性粉としては、例えば、マグネタイト、ヘマタイト、各種フェライト等を用いることができる。なお、この磁性粉の添加量は、通常、結着樹脂100重量部に対して10〜500重量部、好ましくは20〜200重量部の範囲になるようにする。これは、磁性粉の添加量が少ないと、磁性粉添加の効果が少なくなる一方、多くなりすぎると、トナーの搬送性が低下するためである。
また、オフセット防止剤はトナーの定着性を向上させるために用いられ、このようなオフセット防止剤としては、各種のワックス、例えば、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、酸化型のポリプロピレン、酸化型のポリエチレン等のポリオレフィン系ワックス等を用いることができる。なお、このようなオフセット防止剤を添加する場合、その添加量を結着樹脂100重量部に対して0.1〜30重量部、好ましくは1〜10重量部の範囲になるようにする。これは、その添加量が少ないと、オフセット防止の効果が少なくなる一方、多くなりすぎると、トナーの帯電性能が低下するためである。
また、トナーが適切に帯電されるようにするため、上記の着色樹脂溶液に帯電制御剤を添加させることも可能である。
ここで、この帯電制御剤としては、トナーに正の帯電を与える正帯電制御剤と、負の帯電を与える負帯電制御剤とがある。
そして、正帯電制御剤としては、例えば、ニグロシンベースEX(オリエント化学工業社製)等のニグロシン系染料;第4級アンモニウム塩P−51(オリエント化学工業社製)、コピーチャージ PX VP435(ヘキストジャパン社製)等の第4級アンモニウム塩;アルコキシ化アミン、アルキルアミド、モリブデン酸キレート顔料及びPLZ1001(四国化成工業社製)等のイミダゾール化合物等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
また、負帯電制御剤としては、例えば、ボントロンS−22(オリエント化学工業社製)、ボントロンS−34(オリエント化学工業社製)、ボントロンE−81(オリエント化学工業社製)、ボントロンE−84(オリエント化学工業社製)、スピロンブラックTRH(保土谷化学工業社製)等の金属錯体;チオインジゴ系顔料、コピーチャージNXVP434(ヘキストジャパン社製)等の第4級アンモニウム塩;ボントロンE−89(オリエント化学工業社製)等のカリックスアレーン化合物;LR147(日本カーリット社製)等のホウ素化合物;フッ化マグネシウム、フッ化カーボン等のフッ素化合物等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。なお、負帯電制御剤となる金属錯体としては、上記のもの以外に、例えば、オキシカルボン酸金属錯体、ジカルボン酸金属錯体、アミノ酸金属錯体、ジケトン金属錯体、ジアミン金属錯体、アゾ基含有ベンゼン−ベンゼン誘導体骨格金属体、アゾ基含有ベンゼン−ナフタレン誘導体骨格金属錯体等の各種の構造を有したものを用いることができる。
ここで、上記のような帯電制御剤を添加させるにあたっては、その添加量を結着樹脂100重量部に対して0.01〜30重量部、好ましくは0.1〜10重量部の範囲になるようにする。これは、この添加量が少ないと、トナーの帯電性を十分に制御することが困難になる一方、添加量が多くなりすぎると、この帯電制御剤がトナーから離脱して、キャリアや現像スリーブに移行して帯電が阻害されるためである。
また、着色樹脂溶液に用いる上記の非水溶性有機溶媒は、水に不溶或いは難溶の溶媒であって、上記の結着樹脂やマスターバッチに用いる樹脂を溶解できるものであればよく、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等を単独或いは2種以上混合させて用いることができる。なお、これらの非水溶性有機溶媒において、上記の樹脂の溶解性に優れると共に溶媒自体の蒸発が容易に行える、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒や、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素溶媒を用いることが好ましい。
そして、上記の着色樹脂溶液を調製するにあたっては、上記の結着樹脂、着色剤及び必要に応じて添加される磁性粉、オフセット防止剤、帯電制御剤等を上記の非水溶性有機溶媒中に添加し、混合装置、例えば、ポールミル、サンドグラインダー、超音波ホモジナイザー等により、上記の非水溶性有機溶媒中に溶解可能な成分を溶解させると共に、溶解されない成分については均一に分散するまで撹拌させるようにする。
次いで、上記の着色樹脂溶液を水性分散液中に乳化分散させてO/W型エマルジョンを形成するにあたっては、上記の着色樹脂溶液を水性分散液に添加し、例えばホモミキサー等の撹拌装置を用い、これらを十分に撹拌して乳化分散させるようにする。なお、撹拌させる時間が短すぎると、シャープな粒径分布のものが得られないため、撹拌時間を10分間以上にすることが好ましい。
なお、上記の第1の実施形態に係る静電荷像現像用トナーの場合、O/W型エマルジョン中における着色樹脂溶液の液滴の粒径が最終的に得られるトナー粒子の大きさを直接左右するものとなるので、得ようとするトナー粒子の大きさに応じた液滴が形成されると共に適切な粒径分布になるように撹拌条件を調整させるようにする。
また、O/W型エマルジョンを形成するにあたっては、着色樹脂溶液の体積Vpと水性分散液の体積Vwとの比がVp/Vw≦1になるようにし、好ましくは0.3≦Vp/Vw≦0.7の条件を満たすようにする。すなわち、Vp/Vw>1であると、安定なO/W型エマルジョンが形成されず、途中で相転移が生じて、W/O型エマルジョンが形成されてしまう虞れが生じるためである。
ここで、O/W型エマルジョンを形成するのに用いる上記の水性分散液としては、一般に水が用いられるが、エマルジョンを破壊しない程度の水溶性有機溶媒を含んでいてもよい。例えば、水、水/メタノール混合液(重量比50/50〜100/0)、水/エタノール混合液(重量比50/50〜100/0)、水/アセトン混合液(重量比50/50〜100/0)、水/メチルエチルケトン混合液(重量比70/30〜100/0)等を使用することができる。
また、このような水性分散液に分散安定剤及び分散安定補助剤を予め添加しておき、着色樹脂溶液の液滴がO/W型エマルジョン中において安定して存在できるようにしておくことが好ましい。
ここで、分散安定剤は、水性分散液中で親水性コロイドを有するものであり、特に、ゼラチン、アラビアゴム、寒天、セルローズ誘導体(例えば、ヒドロキシメチルセルローズ、ヒドロキシエチルセルローズ、ヒドロキシプロピルセルローズ等)、合成高分子(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩等)等を用いることができ、また固体微粉末(例えば、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸バリウム、シリカ、酸化チタン、アルミナ等)を用いることもできる。そして、上記の分散安定剤を添加させるにあたっては、液滴の大きさを適性に制御するため、通常、水性分散液中における濃度が0.5〜20重量%、好ましくは1〜10重量%の範囲になるようにする。
また、上記の分散安定補助剤としては、一般に界面活性剤が用いられ、サポニン等の天然界面活性剤;アルキレンオキサイド系、グリセリン系、グリシドール系等のノニオン系界面活性剤;カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基等の酸性基を含むアニオン系界面活性剤等を用いることができる。また、上記の分散安定剤と分散安定補助剤とを組み合わせて用いるにあたっては、乳化を安定させるため、セルローズ誘導体(メチルセルローズ系誘導体)とアニオン系界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)とを、或いはポリビニルアルコールとアニオン系界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム)とを組み合わせて用いることが好ましい。また、分散安定補助剤を添加させるにあたっては、液滴の大きさを適性に制御するため、通常、水性分散液中における濃度が0.001〜1重量%、好ましくは0.01〜0.1重量%の範囲になるようにする。
次いで、上記のようにして得たO/W型エマルジョンにおける着色樹脂溶液の液滴中から非水溶性有機溶媒を除去させて着色樹脂粒子を得るようにする。
また、上記の第2の実施形態に係る静電荷像現像用トナーを製造するにあたって、着色樹脂粒子の凝集体粒子を形成する場合には、着色樹脂粒子が分散されている着色樹脂粒子分散液に凝集剤を添加させて着色樹脂粒子を凝集させ、その後これを加熱させて凝集された着色樹脂粒子同士を融着させるようにする。
ここで、凝集剤としては、例えば、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム等を用いることができる。
そして、上記の着色樹脂粒子や着色樹脂粒子を凝集させた凝集体粒子の表面に樹脂粒子を付着させるにあたり、この樹脂粒子として、界面活性剤を用いた乳化重合法又は界面活性剤を用いた乳化分散法によって作製されたものを用いるようにする。このような樹脂粒子を使用すると、界面活性剤を用いないソープフリー乳化重合により得られた樹脂粒子を用いた場合に比べて、耐環境性を向上させることができるようになる。
ここで、上記の樹脂粒子を構成する樹脂は、水に不溶或いはほとんど溶解しないものであれば特に限定されず、上記の着色樹脂粒子に使用した結着樹脂や、非水溶性有機溶媒に不溶な成分を含む樹脂等を用いることができる。
ここで、この樹脂粒子を構成する樹脂は、上記の着色樹脂粒子に用いる結着樹脂と同じものであっても、異なるものであってもよいが、樹脂粒子を構成する樹脂と、着色樹脂粒子における結着樹脂とに異なる種類の樹脂を用いると、それぞれの樹脂によって異なる機能を付与することができるようになる。例えば、着色樹脂粒子における結着樹脂と樹脂粒子における樹脂との一方に、定着性は良好だが耐環境性に劣るポリエステル系樹脂を用い、他方に耐環境性は良好だが定着性に劣るビニル系樹脂を用いると、互いに短所を補い合って耐環境性と定着性とを両立させることができるようになり、例えば、着色樹脂粒子の樹脂成分にポリエステル系樹脂を用いる一方、樹脂粒子の樹脂成分にビニル系樹脂を用いるようにすることができる。なお、ポリエステル系樹脂からなる着色樹脂粒子を乳化重合法で作製することは困難であるが、乳化分散法であれば容易に作製することができる。
そして、上記の第1の実施形態に係る静電荷像現像用トナーを製造するにあたり、着色樹脂粒子の表面に樹脂粒子からなる被覆層を形成するにあたっては、着色樹脂粒子の分散液に樹脂粒子と凝集剤とを添加して、着色樹脂粒子の表面に樹脂粒子を付着させ、これを着色樹脂粒子又は樹脂粒子に用いた樹脂のガラス転移点Tg以上に加熱させて融着させるようにする。
また、上記の第2の実施形態に係る静電荷像現像用トナーを製造するにあたり、着色樹脂粒子が凝集された凝集体粒子の表面に樹脂粒子からなる被覆層を形成するにあたっては、凝集体粒子の分散液に樹脂粒子と凝集剤とを添加して、凝集体粒子の表面に樹脂粒子を付着させ、これを凝集体粒子を構成する着色樹脂粒子又は樹脂粒子に用いた樹脂のガラス転移点Tg以上に加熱させて融着させるようにする。なお、第2の実施形態に係る静電荷像現像用トナーのように、着色樹脂粒子を凝集させて凝集体粒子を形成すると、その粒径や形状を容易に制御できるようになる。
そして、上記のようにして第1及び第2の実施形態に係る静電荷像現像用トナーを製造した後は、必要に応じてさらに洗浄、乾燥及び分級等の工程を行うことができる。
ここで、上記の第1及び第2の実施形態に係る静電荷像現像用トナーにおいては、その体積平均粒径が約1〜13μm、好ましくは約3〜9μmの範囲になるようにする。これは、体積平均粒径が小さくなりすぎると、トナーの搬送性が悪くなる一方、大きくなりすぎると、細線再現性やキメ等の画質が低下するためである。
また、上記の第1及び第2の実施形態に係る静電荷像現像用トナーにおいては、さらに流動化剤やクリーニング助剤を添加させることもできる。
ここで、流動化剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化銅、酸化鉛、酸化アンチモン、酸化イットリウム、酸化マグネシウム、チタン酸バリウム、フェライト、ベンガラ、フッ化マグネシウム、炭化ケイ素、炭化ホウ素、窒化ケイ素、窒化ジルコニウム、マグネタイト、ステアリン酸マグネシウム等の無機微粒子等が用いることができる。なお、この無機微粒子としては、トナー粒子の表面に安定して分散されるようにすると共に、この無機微粒子の環境安定性を向上させるために、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイル等の表面処理剤によって表面処理したものを用いることが好ましい。
また、クリーニング助剤としては、例えば、ポリスチレン微粒子、ポリメチルメタクリレート微粒子等を用いることができる。なお、上記の流動化剤やクリーニング助剤は、一般にトナー100重量部に対して0.1〜20重量部の範囲で添加させるようにする。
また、上記の第1及び第2の実施形態に係る静電荷像現像用トナーは、キャリアを使用しない1成分現像剤として使用することも、キャリアと一緒に用いる2成分現像剤として使用することもできる。
そして、2成分現像剤として使用する場合、上記のキャリアとしては、公知のキャリアを使用することができ、例えば、鉄粉,フェライト等の磁性粒子よりなるキャリア、磁性粒子の表面を樹脂等の被覆剤で被覆したコートキャリア、バインダ樹脂中に磁性体微粉末を分散してなる分散型キャリア等のいずれも使用することができる。なお、キャリアとしては、適正な帯電量を得るため、その体積平均粒径が15〜100μm、好ましくは20〜80μmのものを用いるようにする。
以下、この発明の具体的な実施例について説明すると共に、比較例を挙げ、この発明の実施例における静電荷像現像用トナーにおいては、環境安定性が向上し、環境変動によってトナーの帯電量が変化するのが抑制され、形成される画像の濃度が変動したり、カブリが発生したりするのが防止されることを明らかにする。
(実施例1)
実施例1においては、着色樹脂粒子の成分として、ポリエステル樹脂(Tg=67℃、Mn=5700、Mw/Mn=5.5)を100重量部、ポリエチレンワックスを5重量部、着色剤の銅フタロシアニンブルー顔料(東洋インキ製造社製)を4重量部、帯電制御剤(ボントロンE−84:オリエント化学社製)を2重量部の割合で用いるようにした。
そして、上記の着色樹脂粒子の成分を、非水溶性有機溶媒であるトルエン400重量部に添加し、超音波ホモジナイザー(出力400μA)を用いて30分間処理し、上記の着色樹脂粒子の成分をこの非水溶性有機溶媒中に溶解又は分散させて、着色樹脂溶液を得た。
一方、水性分散液を調製するにあたっては、水100重量部に対して分散安定剤のポリビニルアルコール(PA18:信越化学工業社製)を4重量部、分散安定補助剤のラウリル硫酸ナトリウム(和光純薬社製)を0.1重量部の割合で溶解させた。
そして、この水性分散液をTKホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて毎分450
0回転で撹拌しながら、この水性分散液100重量部に対して、上記の着色樹脂溶液50重量部を滴下し、着色樹脂溶液の液滴の平均粒径が6μm程度になるようにして水性分散液中に懸濁させた。その後、50℃、100mmHgの条件下で5時間かけて、上記の非水溶性有機溶媒であるトルエンを除去し、着色樹脂粒子が分散された分散液を得た。
一方、樹脂粒子を製造するにあたっては、攪拌装置と加熱冷却装置と濃縮装置と原料・助剤仕込み装置とを備えた反応フラスコ内に、ドデシル硫酸ナトリウム1重量部をイオン交換水600重量部に溶解させた溶液を入れ、窒素気流下において200rpmの攪拌速度で攪拌しながら、内温を80℃に昇温させ、イオン交換水40重量部に過硫酸カリウム1.8重量部を溶解させた溶液を添加した。次に、スチレンが15重量部、n−ブチルメタクリレートが3重量部、メタクリル酸が2.8重量部、n−オクチルメルカプタンが0.3重量部の割合になった単量体の混合液を1時間30分かけて滴下し、2時間保持して重合させた後、これを冷却して樹脂粒子分散液を調製した。なお、このようにして得た樹脂粒子のガラス転移点Tgは66℃、体積平均粒径は0.07μmであった。
そして、上記の着色樹脂粒子が分散された分散液に対して、この樹脂粒子分散液を62重量部(樹脂粒子は2重量部)と、凝集剤の塩化マグネシウム50重量%水溶液を2重量部加え、これらを80℃で60分間加熱した後、濾過と水洗とを繰り返して行い、上記の着色樹脂粒子の表面が上記の樹脂粒子からなる被覆層で被覆されて体積平均粒径が6.1μmになったトナー粒子を得た。なお、体積平均粒径を求めるにあたっては、コールターマルチサイザー(コールター社製)を使用した。
次いで、このようにして得たトナー粒子に対して、0.5重量%のシリカ微粒子(H−2000:ヘキストジャパン社製)と1重量%の二酸化チタン微粒子(T−805:日本アエロジル社製)とを加え、これらをヘンシェルミキサーを用いて3分間混合し、実施例1の静電荷像現像用トナーを得た。
(実施例2)
実施例2においては、着色樹脂粒子の成分として、ポリエステル樹脂(Tg=65℃、Mn=3500、Mw/Mn=2.5)を100重量部、着色剤の銅フタロシアニンブルー顔料(東洋インキ製造社製)を4重量部、帯電制御剤(ボントロンE−84:オリエント化学社製)を2重量部の割合で用いるようにした。
そして、上記の着色樹脂粒子の成分を、非水溶性有機溶媒であるトルエン400重量部に添加し、超音波ホモジナイザー(出力400μA)を用いて30分間処理し、上記の着色樹脂粒子の成分をこの非水溶性有機溶媒中に溶解又は分散させて、着色樹脂溶液を得た。
一方、水性分散液を調製するにあたっては、上記の実施例1の場合と同様に、水100重量部に対して分散安定剤のポリビニルアルコール(PA18:信越化学工業社製)を4重量部、分散安定補助剤のラウリル硫酸ナトリウム(和光純薬社製)を0.1重量部の割合で溶解させた。
そして、この水性分散液をTKホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて毎分8500回転で撹拌しながら、この水性分散液100重量部に対して、上記の着色樹脂溶液50重量部を滴下し、着色樹脂溶液の液滴の平均粒径が1μm程度になるようにして水性分散液中に懸濁させた。その後、50℃、100mmHgの条件下で5時間かけて、上記の非水溶性有機溶媒であるトルエンを除去し、着色樹脂粒子が分散された分散液を得た。
次いで、このように着色樹脂粒子が分散された分散液に、凝集剤として硫酸アルミニウム20重量%水溶液を2重量部加えて、上記の着色樹脂粒子を凝集させ、その後、これを80℃で30分間加熱して凝集した着色樹脂粒子同士を融着させて、体積平均粒径が6μmになった凝集体粒子が分散された分散液を得た。
一方、樹脂粒子を製造するにあたっては、上記の実施例1の場合と同様にして樹脂粒子分散液を調製した。
そして、上記の凝集体粒子が分散された分散液に対して、この樹脂粒子分散液を62重量部(樹脂粒子は2重量部)加え、これらを80℃で30分間加熱した後、濾過と水洗とを繰り返して行い、上記の凝集体粒子の表面が上記の樹脂粒子からなる被覆層で被覆されて体積平均粒径が6.1μmになったトナー粒子を得た。
次いで、このようにして得たトナー粒子に対して、0.5重量%のシリカ微粒子(H−2000:ヘキストジャパン社製)と1重量%の二酸化チタン微粒子(T−805:日本アエロジル社製)とを加え、これらをヘンシェルミキサーを用いて3分間混合し、実施例2の静電荷像現像用トナーを得た。
(実施例3)
実施例3においては、着色樹脂粒子の成分として、スチレン・n−ブチルメタクリレート樹脂(Tg=65℃、Mn=8300、Mw/Mn=2.3)を100重量部、着色剤のキナクリドン顔料(大日精化社製)を4重量部、帯電制御剤(ボントロンE−51:オリエント化学社製)を2重量部の割合で用いるようにした。
そして、上記の着色樹脂粒子の成分を、非水溶性有機溶媒であるトルエン400重量部に添加し、超音波ホモジナイザー(出力400μA)を用いて30分間処理し、上記の着色樹脂粒子の成分をこの非水溶性有機溶媒中に溶解又は分散させて、着色樹脂溶液を得た。
一方、水性分散液を調製するにあたっては、水100重量部に対して、分散安定剤のリン酸三カルシウム(和光純薬社製)を4重量部、分散安定補助剤のラウリル硫酸ナトリウム(和光純薬社製)を0.1重量の割合で溶解又は分散させた。
そして、この水性分散液をTKホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて毎分4000回転で撹拌しながら、この水性分散液100重量部に対して、上記の着色樹脂溶液50重量部を滴下し、着色樹脂溶液の液滴の平均粒径が6.5μm程度になるようにして水性分散液中に懸濁させた。その後、50℃、100mmHgの条件下で5時間かけて、上記の非水溶性有機溶媒であるトルエンを除去し、濃塩酸により分散安定剤のリン酸三カルシウムを溶解させた後、着色樹脂粒子を濾過し、これを水100重量部に分散させて、着色樹脂粒子が分散された分散液を得た。
一方、樹脂粒子を製造するにあたっては、イオン交換水100重量部にポリビニルアルコールを2重量部、ラウリル硫酸ナトリウムを0.5重量部の割合で溶解させた水溶液を、ウルトラターラックス(IKA社製)で毎分15000回転で攪拌しながら、ポリエステル樹脂10重量部をトルエン40重量部に溶解させた溶液を滴下した後、50℃、100mmHgの条件下で5時間かけて、上記のトルエンを除去し、これを冷却させて樹脂粒子分散液を調製した。なお、このようにして得た樹脂粒子のガラス転移点Tgは67℃、体積平均粒径は0.1μmであった。
そして、上記の着色樹脂粒子が分散された分散液に対して、この樹脂粒子分散液を22.5重量部(樹脂粒子は2重量部)と、凝集剤の塩化マグネシウム50重量%水溶液を2重量部加え、これらを80℃で30分間加熱した後、濾過と水洗とを繰り返して行い、上記の着色樹脂粒子の表面が上記の樹脂粒子からなる被覆層で被覆されて体積平均粒径が6.6μmになったトナー粒子を得た。
次いで、このようにして得たトナー粒子に対して、1重量%のシリカ微粒子(タラノックス500:タルコ社製)を加え、ヘンシェルミキサーを用いて10分間混合し、実施例3の静電荷像現像用トナーを得た。
(実施例4)
実施例4においては、着色樹脂粒子の成分として、ポリエステル樹脂(Tg=68℃、Mn=6900、Mw/Mn=2.2)を100重量部、着色剤のキナクリドン顔料(大日精化社製)を4重量部、帯電制御剤(ボントロンE−51:オリエント化学社製)を2重量部の割合で用いるようにした。
そして、上記の着色樹脂粒子の成分を、非水溶性有機溶媒であるトルエン400重量部に添加し、超音波ホモジナイザー(出力400μA)を用いて30分間処理し、上記の着色樹脂粒子の成分をこの非水溶性有機溶媒中に溶解又は分散させて、着色樹脂溶液を得た。
一方、水性分散液を調製するにあたっては、水100重量部に対して分散安定剤のポリビニルアルコール(PA18:信越化学工業社製)を4重量部、分散安定補助剤のラウリル硫酸ナトリウム(和光純薬社製)を0.1重量部の割合で溶解させた。
そして、この水性分散液をTKホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて毎分8500回転で撹拌しながら、この水性分散液100重量部に対して、上記の着色樹脂溶液50重量部を滴下し、着色樹脂溶液の液滴の平均粒径が1μm程度になるようにして水性分散液中に懸濁させた。その後、50℃、100mmHgの条件下で5時間かけて、上記の非水溶性有機溶媒であるトルエンを除去し、着色樹脂粒子が分散された分散液を得た。
次いで、このように着色樹脂粒子が分散された分散液に、凝集剤として塩化アルミニウム20重量%水溶液を2重量部加えて、上記の着色樹脂粒子を凝集させ、その後、これを80℃で30分間加熱し、凝集した着色樹脂粒子同士を融着させて、体積平均粒径が6.5μmになった凝集体粒子が分散された分散液を得た。
一方、樹脂粒子を製造するにあたっては、攪拌装置と加熱冷却装置と濃縮装置と原料・助剤仕込み装置とを備えた反応フラスコ内に、ドデシル硫酸ナトリウム1重量部をイオン交換水600重量部に溶解させた溶液を入れ、窒素気流下において200rpmの攪拌速度で攪拌しながら、内温を80℃に昇温させ、イオン交換水40重量部に過硫酸カリウム1.8重量部を溶解させた溶液を添加した。次に、スチレンが15重量部、n−ブチルメタクリレートが1.3重量部、メタクリル酸が1.7重量部、n−オクチルメルカプタンが0.3重量部の割合になった単量体の混合液を1時間30分かけて滴下し、2時間保持して重合させた後、これを冷却して樹脂粒子分散液を調製した。なお、このようにして得た樹脂粒子のガラス転移点Tgは80℃、体積平均粒径は0.07μmであった。
そして、上記の凝集体粒子が分散された分散液に対して、この樹脂粒子分散液を72重量部(樹脂粒子は2重量部)加え、これらを80℃で30分間加熱した後、濾過と水洗とを繰り返して行い、上記の凝集体粒子の表面が上記の樹脂粒子からなる被覆層で被覆されて体積平均粒径が6.6μmになったトナー粒子を得た。
次いで、このようにして得たトナー粒子に対して、1重量%のシリカ微粒子(タラノックス500:タルコ社製)を加え、ヘンシェルミキサーを用いて10分間混合し、実施例4の静電荷像現像用トナーを得た。
(比較例1)
比較例1においては、着色樹脂粒子の成分として、上記の実施例1の場合と同様に、ポリエステル樹脂(Tg=67℃、Mn=5700、Mw/Mn=5.5)を100重量部、ポリエチレンワックスを5重量部、着色剤の銅フタロシアニンブルー顔料(東洋インキ製造社製)を4重量部、帯電制御剤(ボントロンE−84:オリエント化学社製)を2重量部の割合にしたものを用いるようにした。
そして、上記の実施例1の場合と同様に、上記の着色樹脂粒子の成分を、非水溶性有機溶媒であるトルエン400重量部に添加し、超音波ホモジナイザー(出力400μA)を用いて30分間処理し、上記の着色樹脂粒子の成分をこの非水溶性有機溶媒中に溶解又は分散させて、着色樹脂溶液を得た。
一方、水性分散液を調製するにあたっても、上記の実施例1の場合と同様に、水100重量部に対して分散安定剤のポリビニルアルコール(PA18:信越化学工業社製)を4重量部、分散安定補助剤のラウリル硫酸ナトリウム(和光純薬社製)を0.1重量部の割合で溶解させた。
そして、上記の実施例1の場合と同様に、この水性分散液をTKホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて毎分4500回転で撹拌しながら、この水性分散液100重量部に対して上記の着色樹脂溶液50重量部を滴下し、着色樹脂溶液の液滴の平均粒径が6μm程度になるようにして水性分散液中に懸濁させ、その後、50℃、100mmHgの条件下で5時間かけて、上記の非水溶性有機溶媒であるトルエンを除去し、着色樹脂粒子が分散された分散液を得た。
そして、この比較例1においては、上記の着色樹脂粒子の表面を樹脂粒子で被覆する操作を行わずに、上記の分散液から着色樹脂粒子を濾過し水洗する操作を繰り返して行い、体積平均粒径が6μmになったトナー粒子を得た。
次いで、このようにして得たトナー粒子に対して、上記の実施例1の場合と同様に、0.5重量%のシリカ微粒子(H−2000:ヘキストジャパン社製)と1重量%の二酸化チタン微粒子(T−805:日本アエロジル社製)とを加え、これらをヘンシェルミキサーを用いて3分間混合させて、比較例1の静電荷像現像用トナーを得た。
(比較例2)
比較例2においては、上記の実施例4の場合と同様にして、凝集体粒子が分散された分散液を得た。
そして、この比較例2においては、上記の分散液中における凝集体粒子の表面を樹脂粒子で被覆する操作を行わずに、上記の分散液から凝集体粒子を濾過し水洗する操作を繰り返して行い、体積平均粒径が6.5μmになったトナー粒子を得た。
次いで、このようにして得たトナー粒子に対して、上記の実施例4の場合と同様に、1重量%のシリカ微粒子(タラノックス500:タルコ社製)を加え、ヘンシェルミキサーを用いて10分間混合させて、比較例2の静電荷像現像用トナーを得た。
(比較例3)
比較例3においては、上記の実施例1の場合と同様にして、着色樹脂粒子が分散された
分散液を得た。
一方、この比較例3においては、樹脂粒子を製造するにあたり界面活性剤を用いないようにし、攪拌装置と加熱冷却装置と濃縮装置と原料・助剤仕込み装置とを備えた反応フラスコ内に、イオン交換水600重量部に、スチレンを14.6重量部、n−ブチルメタクリレートを3重量部、メタクリル酸を2.8重量部、スチレン硫酸ナトリウムを0.3重量部の割合で溶解させた溶液を入れ、窒素気流下において200rpmの攪拌速度で攪拌しながら、内温を80℃に昇温させ、これに2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]1重量%溶液を120g添加し、6時間保持して重合させた後、これを冷却させて樹脂粒子分散液を調製した。なお、このようにして得た樹脂粒子のガラス転移点Tgは65℃、体積平均粒径0.1μmであった。
そして、上記の着色樹脂粒子が分散された分散液に対して、この樹脂粒子分散液を71重量部(樹脂粒子は2重量部)と、凝集剤の塩化マグネシウム50重量%水溶液を2重量部加えるようにし、その後は、上記の実施例1の場合と同様にして、比較例3の静電荷像現像用トナーを得た。
そして、上記のようにして製造した実施例1〜4及び比較例1〜3の各静電荷像現像用トナーを、温度30℃,湿度85%の環境下に24時間放置した後、カールフィシャー法により各静電荷像現像用トナーにおける水分吸着量(%)を測定し、その結果を下記の表1に示した。
また、上記の実施例1,2及び比較例1,3の各静電荷像現像用トナーを、それぞれ温度30℃,湿度85%の環境下に24時間放置したものと、温度25℃,湿度50%の環境下に24時間放置したものとを準備し、これらをシリコーンアクリルコートキャリアに対して5重量%の割合になるように混合させた現像剤をそれぞれ30g調製し、これらの現像剤を50ccの容量のポリエチレン瓶に入れ、120rpmで5分間回転させた後、各静電荷像現像用トナーにおける帯電量(μC/g)を測定し、その結果を下記の表1に示した。
また、上記の実施例1,2及び比較例1,3の各静電荷像現像用トナーを、それぞれキャリアと混合させて、それぞれトナー濃度が5重量%になった現像剤を調製し、これらの現像剤を市販の複写機(CF−2002:ミノルタ社製)に用いてそれぞれ1万枚の耐刷試験を行い、初期と1万枚の耐刷後における画像特性を調べ、その結果を下記の表1に示した。
また、上記の実施例3,4及び比較例2の各静電荷像現像用トナーについては、それぞれ市販の複写機(magicolor2300DL:ミノルタQMS社製)に用いて3000枚の耐刷試験を行い、初期と3000枚の耐刷後における画像特性を調べ、その結果を下記の表1に示した。
ここで、画像特性の評価については、形成された画像に地肌カブリのない場合を〇、地肌カブリはあるが使用上問題のない場合を△、使用上問題のある地肌カブリが発生した場合を×で示した。
この結果から明らかなように、実施例1〜4の各静電荷像現像用トナーは、水分吸着量が少なく、環境変化による帯電量の変化も小さくなっており、また画像形成を行った場合、初期及び耐刷試験後においても地肌カブリのない良好な画像が得られた。
これに対して、着色樹脂粒子の表面に樹脂粒子の被覆層が形成されていない比較例1,2の静電荷像現像用トナーや、着色樹脂粒子の表面に界面活性剤を用いないで製造した樹脂粒子の被覆層を形成した比較例3の静電荷像現像用トナーにおいては、水分吸着量が多くなると共に、環境変化による帯電量の変化も大きくなっており、また画像形成を行った場合、初期から若干の地肌カブリがあり、耐刷試験後においては、地肌カブリがひどくなっていた。