JP2004271573A - 静電潜像現像用トナー - Google Patents
静電潜像現像用トナー Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004271573A JP2004271573A JP2003058250A JP2003058250A JP2004271573A JP 2004271573 A JP2004271573 A JP 2004271573A JP 2003058250 A JP2003058250 A JP 2003058250A JP 2003058250 A JP2003058250 A JP 2003058250A JP 2004271573 A JP2004271573 A JP 2004271573A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- parts
- particles
- fine particles
- dispersion
- added
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Abstract
【課題】帯電性、耐熱保管性および耐吸湿性に優れ、粒度分布がよりシャープで、長期にわたって画像上のガサツキおよび感光体上の拭き残しや凝着を発生させることなく、高精細画像を形成可能な静電潜像現像用トナーを提供すること。
【解決手段】湿式法により樹脂微粒子を形成する工程、少なくとも該樹脂微粒子と着色剤粒子とを分散媒体中で凝集させながら、加熱によって固定化させ、コア粒子を形成する工程、コア粒子分散液にシェル用微粒子を添加混合し、コア粒子表面にシェル用微粒子が付着してなるシェル化粒子を形成する工程、およびシェル化粒子分散液を加熱する工程を含む方法によって製造されることを特徴とする静電潜像現像用トナー。
【選択図】 なし
【解決手段】湿式法により樹脂微粒子を形成する工程、少なくとも該樹脂微粒子と着色剤粒子とを分散媒体中で凝集させながら、加熱によって固定化させ、コア粒子を形成する工程、コア粒子分散液にシェル用微粒子を添加混合し、コア粒子表面にシェル用微粒子が付着してなるシェル化粒子を形成する工程、およびシェル化粒子分散液を加熱する工程を含む方法によって製造されることを特徴とする静電潜像現像用トナー。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真、静電記録および静電印刷等における静電潜像を現像するために用いられる静電潜像現像用トナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、電子写真、静電記録および静電印刷等における静電潜像を現像するために用いられる静電潜像現像用トナーはいわゆる粉砕法により製造されてきた。粉砕法においては、カーボンブラック等の顔料を熱可塑性樹脂中に混合溶融混練して一様な分散体にした後、適当な微粉砕装置によってトナーとして必要な粒径の粉末に粉砕する。
【0003】
しかしながら、近年、製造コストの低減や高画質化の観点から粉砕法に代わり、小粒径で比較的粒径の揃った樹脂微粒子を得ることが可能な、懸濁重合法、乳化重合法、乳化重合凝集法、乳化分散法等に代表される湿式中での造粒法(湿式法)が注目されている。
【0004】
懸濁重合法は、重合性単量体、重合開始剤および着色剤等を成分とする重合組成物を分散媒体中に懸濁し、重合することによって造粒を行うものである。
乳化重合法は、重合性単量体および着色剤等を成分とする重合組成物を、重合開始剤等を含む分散媒体中に乳化し、重合することによって造粒を行うものである。
乳化重合凝集法は、重合性単量体等を成分とする重合組成物を、重合開始剤等を含む分散媒体中に乳化し、重合することによって造粒した樹脂微粒子を着色剤、ワックス等と乳化状態で凝集させ、所望の造粒を行うものである。
乳化分散法は、結着樹脂と着色剤とを適当な有機溶剤に溶解ないしは分散させて着色樹脂溶液とし、これを水性分散液に加えて激しく撹拌することにより、樹脂溶液の液滴を形成させ、そして加熱して液滴から有機溶剤を除去することにより造粒を行うものである。
【0005】
湿式法によれば、概して小粒径のトナー粒子を形成することが容易であることから高画質化に充分対応することが可能である。また、収率も良好である。上記湿式法の中でも重合過程を含む懸濁重合法、乳化重合法、乳化重合凝集法等の湿式重合法では、樹脂自体を合成するのと同時にトナー化するため、重合過程を含まない乳化分散法に比較してエネルギー的に有利である。特に乳化重合凝集法では、トナー粒子の造粒時における粒径の制御が容易であり、粒度分布がシャープになるという利点を有する。しかしながら、乳化重合凝集法によって製造されたトナー粒子は粒子表面に樹脂微粒子、着色剤粒子、ワックス等が存在するため、帯電性、耐熱保管性および耐吸湿性が低下するという問題があった。
【0006】
そのような問題を解決するために、凝集粒子形成後に凝集粒子表面に微粒子を付着させて付着粒子を形成し、その後加熱融合するトナーの製造方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0007】
【特許文献1】
特開平10−26842号公報(第2頁、請求項1等)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記方法では、帯電性、耐熱保管性および耐吸湿性の低下を十分に防止できず、長期使用時に感光体上にトナーの拭き残しや凝着が発生するという問題が生じた。また、上記方法では十分にシャープな粒度分布を有するトナーが得られず、長期使用時に画像にガサツキが発生する問題が生じた。
【0009】
本発明は、帯電性、耐熱保管性および耐吸湿性に優れ、粒度分布がよりシャープで、長期にわたって画像上のガサツキおよび感光体上の拭き残しや凝着を発生させることなく、高精細画像を形成可能な静電潜像現像用トナーを提供することを目的とする。
【0010】
本明細書中、ガサツキとは濃度ムラや粒状性ノイズに起因する、画像のキメに関する粗粒状感を意味するものとする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、湿式法により樹脂微粒子を形成する工程、
少なくとも該樹脂微粒子と着色剤粒子とを分散媒体中で凝集させながら、加熱によって固定化させ、コア粒子を形成する工程、
コア粒子分散液にシェル用微粒子を添加混合し、コア粒子表面にシェル用微粒子が付着してなるシェル化粒子を形成する工程、および
シェル化粒子分散液を加熱する工程
を含む方法によって製造されることを特徴とする静電潜像現像用トナーに関する。
【0012】
本発明の発明者らは、湿式法で形成された樹脂微粒子および着色剤粒子等を凝集させ、さらに互いに固定化させた後で、シェル用微粒子の付着等を行うことにより上記目的を達成できることを見出した。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の静電潜像現像用トナーは以下に詳しく説明する方法によって製造される。
【0014】
<樹脂微粒子形成工程>
本発明においてはまず、湿式法により樹脂微粒子を形成する。
樹脂微粒子はいかなる湿式法によって形成されてよく、例えば、いわゆる乳化重合法、懸濁重合法、乳化分散法、ミニエマルジョン重合法、非水分散重合法等によって形成されてよい。製造コストの低減の観点からは、乳化重合法、懸濁重合法、ミニエマルジョン重合法、非水分散重合法等の重合過程を含む湿式重合法、特に乳化重合法、懸濁重合法を採用することが好ましい。微小な粒径の樹脂微粒子を有効に得て、よりシャープな粒度分布のトナー粒子を得る観点からは、乳化重合法を採用することが好ましい。
【0015】
形成される樹脂微粒子の体積平均粒径は凝集等によってトナー粒子を形成可能であれば特に制限されず、通常、10〜1000nm程度であり、よりシャープな粒度分布のトナー粒子を得る観点から好ましくは50〜500nm程度である。
【0016】
樹脂微粒子の形成方法を幾つかの例を挙げて具体的に説明する。
(乳化重合法)
乳化重合法では、重合性単量体を含む重合組成物を、重合開始剤を含む分散媒体中に分散し、乳化重合することによって樹脂微粒子を形成してもよいし、または荷電制御剤、磁性粉および離型剤などのトナー成分を予め分散媒体に分散させておき、当該分散媒体に、重合性単量体を含む重合組成物を分散し、シード乳化重合することによって樹脂微粒子を形成してもよい。荷電制御剤、磁性粉および離型剤はそれぞれ独立して予め重合組成物に含有されてもよい。分散方法は特に制限されず、例えば、ホモミキサーやホモジナイザー等の高速撹拌式の分散機を用いればよい。
【0017】
乳化重合およびシード乳化重合(以下、「乳化重合等」という)は多段階で行って樹脂微粒子を形成しても良い。すなわち、重合組成物を分散媒体中、シードの存在下または不存在下で乳化重合し、得られたより微小な樹脂微粒子分散液と別途調製された分散媒体とを混合した後、さらに別途調製された重合組成物を混合・撹拌し、シード乳化重合を行う。このような操作はさらに繰り返し行われても良い。
【0018】
多段階で乳化重合等を行う場合は、通常、合計で3回の乳化重合等を行う。乳化重合等を多段階で行い、かつ離型剤、荷電制御剤および磁性粉等のトナー成分、特に離型剤を重合組成物に添加する場合には、全ての段階の乳化重合等で使用される全ての重合組成物に離型剤等を添加する必要はない。特に、合計で3回の乳化重合等を行う場合、離型剤等は第2回目の乳化重合等で使用される重合組成物に添加されることが好ましい。
【0019】
重合組成物を構成する重合性単量体としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、メトキシスチレン、エチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、クロルスチレン等のスチレン系モノマー;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル等のアルキル(メタ)アクリレート系モノマーが挙げられる。この中でも好ましくはスチレン系モノマーとアルキル(メタ)アクリレート系モノマー、特にスチレンとブチル(メタ)アクリレートとを組み合わせて用いる。
【0020】
重合性単量体として第三のビニル化合物も用いることができる。第三のビニル化合物としてはアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、酢酸ビニル等の酸モノマー、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、エチレン、プロピレン、ブチレン、塩化ビニル、N−ビニルピロリドン、ブタジエン等が挙げられる。
【0021】
重合性単量体の使用割合(共重合比)は、得られるポリマーのガラス転移温度が100℃以下、好ましくは50℃〜90℃、より好ましくは55℃〜80℃になるように選択するのがよい。
そのような使用割合は、スチレン系モノマーとアルキル(メタ)アクリレート系モノマーとを使用する場合で、通常、20/80〜90/10の重量比の範囲から選択される。特に、スチレンとブチルアクリレートの場合、重量比で40/60〜90/10が好ましく、更に好ましくは60/40〜80/20の範囲である。第三のビニル化合物の重合性単量体全体に対する使用割合は、通常20重量%以下、好ましくは10重量%以下である。
【0022】
重合性単量体としてさらに多官能ビニル化合物を使用してもよい。多官能ビニル化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール等のジアクリレート、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール等のジメタクリレート、ジビニルベンゼン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の三級以上のアルコールのジアクリレートおよびトリアクリレート、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の三級以上のアルコールのジメタクリレートおよびトリメタクリレート等が挙げられる。多官能ビニル化合物の重合性単量体全体に対する使用割合は、通常0.001〜5重量%、好ましくは0.003〜2重量%、より好ましくは0.01〜1重量%である。多官能ビニル化合物の共重合比が多すぎると定着性が悪くなったり、OHP上の画像の透明性が悪くなる欠点を有する。
【0023】
多官能ビニル化合物の共重合によりテトラヒドロフランに不溶のゲル成分が生成するが、ゲル成分の重合物全体に占める割合は、通常40重量%以下、好ましくは20重量%以下である。
【0024】
上記のような重合性単量体の重合によって生成する樹脂微粒子中の重合体(樹脂)の最大ピーク分子量としては、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算値として、通常7000〜20万、好ましくは2万から15万、より好ましくは3万〜10万である。分子量ピークは二つ以上あってもよい。分子量分布のピークが肩を有していてもよく、高分子量側にテーリングしていてもよい。
【0025】
重合組成物には、通常、上記の重合性単量体とともに重合時の重合体の分子量分布を制御するため連鎖移動剤が添加される。例えば、乳化重合等を多段階で行う場合には、連鎖移動剤はそれぞれの段階で重合組成物に添加させてもよい。
【0026】
連鎖移動剤として、例えば、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、ステアリルメルカプタン等のアルキルメルカプタン;n−オクチルメルカプトプロピオン酸エステル、n−ドデシルメルカプトプロピオン酸エステル、n−ヘキシルメルカプトプロピオン酸エステル、n−ステアリルメルカプトプロピオン酸エステル等のメルカプトプロピオン酸エステル;n−オクチルメルカプトグリコール酸エステル、n−デシルメルカプトグリコール酸エステル、n−ドデシルメルカプトグリコール酸エステル、2−エチルヘキシルメルカプトグリコール酸エステル等のメルカプトグリコール酸エステル;ジイソプロピルザントゲンジスルフィド等のジスルフィド化合物;2−メルカプトエチルオクタン酸エステル等のメルカプトアルキルオクタン酸エステル;9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−10−オキシド等のフォスファフェナンスレンオキシド化合物等を用いる。
これらの連鎖移動剤は、一般に入手できる市販のものや合成したものを使用することができる。
【0027】
連鎖移動剤の添加量は、所望する分子量や分子量分布によって異なるが、通常、重合性単量体の重量に対して0.1〜5重量%の範囲で添加するのが好ましい。
【0028】
分散媒体は通常、水に重合開始剤が添加されてなっている。
重合開始剤としては、水溶性の重合開始剤が好適に用いられる。具体的には、例えば、過酸化水素、過酸化アセチル、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過酸化物類;2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩、2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)硝酸塩、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸等のアゾ化合物類である。
【0029】
分散媒体には分散安定剤を添加することが好ましいが、添加されなくてもよい。分散安定剤は分散された分散媒体中の液滴が一体化するのを防止する機能を有する。分散安定剤としては公知の界面活性剤が使用可能であり、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等の中から選ばれる分散安定剤を用いることが出来る。これらの界面活性剤は2種以上を併用してもよい。
【0030】
カチオン性界面活性剤の具体例としては、ドデシルアンモニウムクロライド、ドデシルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルピリジニウムクロライド、ドデシルピリジニウムブロマイド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイドなどが挙げられる。また、アニオン性界面活性剤の具体例としては、ステアリン酸ナトリウム、ドデカン酸ナトリウムなどの脂肪酸石鹸、硫酸ドデシルナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。さらに、ノニオン性界面活性剤の具体例としては、ドデシルポリオキシエチレンエーテル、ヘキサデシルポリオキシエチレンエーテル、ノリルフェニルポリオキシエチレンエーテル、ラルリルポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンモノオレアートポリオキシエチレンエーテル、スチリルフェニルポリオキシエチレンエーテル、モノデカノイルショ糖、などが挙げられる。これらの中でアニオン性界面活性剤および/またはノニオン性界面活性剤が好ましい。
【0031】
分散安定剤は、重合中や重合終了後に、追加して添加されてもよい。このような分散安定剤の再添加は分散された液滴の一体化や、造粒された樹脂微粒子の凝集の防止に有効である。
【0032】
乳化重合時の重合温度は使用される上記重合開始剤の分解温度以上であれば特に制限されない。
【0033】
荷電制御剤としては、摩擦帯電により正または負の荷電を与え得る物質として各種のものが使用可能である。正荷電制御剤としては、例えば、ニグロシンベースES(オリエント化学工業社製)などのニグロシン系染料、P−51(オリエント化学工業社製)、コピーチャージPX VP432(クラリアント社製)などの第四級アンモニウム塩、アルコキシ化アミン、アルキルアミド、モリブデン酸キレート顔料、およびPLZ1001(四国化成工業社製)などのイミダゾール化合物が挙げられる。負荷電制御剤としては、例えば、ボントロンS−22(オリエント化学工業社製)、ボントロンS−34(オリエント化学工業社製)、ボントロンE−81(オリエント化学工業社製)、ボントロンE−84(オリエント化学工業社製)、スピロンブラックTRH(保土谷化学工業社製)などの金属錯体、チオインジオ系顔料、ボントロンE−89(オリエント化学工業社製)などのカレックスアレン化合物、コピーチャージNX VP434(クラリアント社製)などの第四級アンモニウム塩、フッ化マグネシウム、フッ化カーボンなどのフッ素化合物などが挙げられる。なお、負荷電制御剤となる金属錯体としては、上記に示したもの以外にもオキシカルボン酸金属錯体、ジカルボン酸金属錯体、アミノ酸金属錯体、ジケトン酸金属錯体、ジアミン金属錯体、アゾ基含有ベンゼン−ベンゼン誘導体骨格金属錯体、アゾ基含有ベンゼン−ナフタレン誘導体骨格金属錯体などの各種の構造を有したものであってもよい。
【0034】
荷電制御剤は、その粒径が10〜100nm程度のものであることが均一な分散を得る上からも望ましい。市販品等として供給される形態においてその粒径が上記範囲の上限値を越える場合は、ジェットミル等により粉砕を行うなどの公知の方法により適当な粒径に調製することが望ましい。
荷電制御剤の使用量は通常、最終的に得られるトナー粒子中の含有量が重合体100重量部に対して0.1〜10重量部となるような量である。
【0035】
離型剤としては、公知のワックス類の任意のものを使用することができる。具体的には、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、共重合ポリエチレン等のオレフィン系ワックス、パラフィンワックス;ベヘン酸エステル、モンタン酸エステル、ステアリン酸エステル等の長鎖脂肪族基を有するエステル系ワックス;水添ひまし油、カルナバワックス等の植物系ワックス;ジステアリルケトン等の長鎖アルキル基を有するケトン;アルキル基を有するシリコーン;ステアリン酸等の高級脂肪酸;長鎖脂肪族アルコール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の多価アルコールと長鎖脂肪酸との(部分)エステル;オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド等の高級脂肪酸アミド、等が例示されている。
離型剤の使用量は通常、最終的に得られるトナー粒子中の含有量が重合体100重量部に対して1〜25重量部、好ましくは3〜20重量部、より好ましくは5〜15重量部となるような量である。
磁性粉としては、マグネタイト、γ−ヘマタイト、あるいは各種フェライト等がある。
【0036】
(懸濁重合法)
懸濁重合法では、重合性単量体および重合開始剤を含む重合組成物を分散媒体中に分散し、懸濁重合することによって樹脂微粒子を形成する。荷電制御剤、磁性粉および離型剤等のトナー成分はそれぞれ独立して予め重合組成物に含有されてよい。
【0037】
懸濁重合法を採用して樹脂微粒子を形成する場合についての説明は、以下の事項以外、上記乳化重合法と同様であるため省略する。
【0038】
・懸濁重合法で重合開始剤は重合組成物に添加されること。そのため、非水溶性のものを使用する。非水溶性重合開始剤としては従来から懸濁重合法の重合開始剤として使用されているものであれば特に制限されず、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、ステアリルパーオキサイドのようなパーオキサイド系開始剤や2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)のようなアゾビス系開始剤等が挙げられる。
【0039】
・懸濁重合時の重合温度は使用される上記非水溶性重合開始剤の分解温度以上であれば特に制限されないこと。通常40〜150℃とすることが好ましい。懸濁重合法においては、樹脂微粒子内のモノマーの残留を極力抑えることが好ましい。モノマーの残留量が多いと、トナーとなってからの臭い、帯電性の不安定化および軟化温度のバラツキなどの原因となる。そのため、反応の前半は低温(40℃〜80℃)で重合を行い、反応の後半は高温(80℃から150℃)で重合を行うなどの多段階重合法を用いたり、重合性単量体を予め重合させたプレポリマーを用いたりして、モノマーの残留を抑えることが望ましい。
【0040】
(ミニエマルジョン重合法)
ミニエマルジョン重合法は、乳化重合法の一形態であり、臨界ミセル濃度以下の濃度の界面活性剤を溶解してなる水系媒体中に、ワックス等の添加剤を単量体に溶解した単量体溶液を機械的エネルギーを利用して油滴分散させて分散液を調製し、得られた分散液に水溶性重合開始剤を添加して、油滴内でラジカル重合して造粒する方法である。この重合法によると、通常の乳化重合法とは異なり、油相に溶解させた添加物の脱離が少なく、形成される樹脂微粒子内に十分な量の添加剤を導入することができる。
【0041】
また、上記水溶性重合開始剤に代えて、あるいは水溶性重合開始剤とともに、油溶性重合開始剤を用いてもよい。油溶性の重合開始剤を重合性モノマーと添加剤とで共存させ、臨界ミセル濃度以下の界面活性剤の存在下で、機械的に分散及び重合を行うことにより、モノマー粒子内での添加剤の分子拡散が抑制され、モノマー油滴内でのみ重合が進行するため、微粒子でかつ、所望の添加物がモノマー粒子内に確実に含有された樹脂微粒子を得ることができる。
【0042】
ここでの水系媒体とは、水50〜100重量%と水溶性有機溶媒0〜50重量%とからなる媒体を言う。水溶性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等を挙げることができ、得られる樹脂微粒子を溶解しないアルコール系有機溶媒が好ましい。
【0043】
機械的エネルギーによる油滴分散を行うための分散機としては、特に限定されるものではなく、例えば、高速回転するローターを備えた撹拌装置(クレアミックス:エム・テクニック社製)、超音波分散機、機械式ホモジナイザー、マントンゴーリン、圧力式ホモジナイザー、ホモミキサー等を挙げることができる。
【0044】
<コア粒子形成工程>
上記のように湿式法で樹脂微粒子を形成した後は、少なくとも該樹脂微粒子と着色剤粒子とを分散媒体中で混合して凝集させながら、加熱によって固定化させ、コア粒子を形成する。
【0045】
湿式法により形成された樹脂微粒子は通常、分散液の形態で得られるため、樹脂微粒子と着色剤粒子との混合は、樹脂微粒子分散液と着色剤粒子とを混合することにより達成されても、または樹脂微粒子分散液と着色剤粒子分散液とを混合することにより達成されてもよい。着色剤粒子分散液は、前記分散安定剤が溶解された水溶液に所定量の着色剤粒子を分散させて調製されればよい。
【0046】
着色剤粒子としては、以下に示されるような有機ないしは無機の各種、各色の顔料が使用可能である。
黒色顔料としては、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリン・ブラック、活性炭、非磁性フェライト、磁性フェライト、マグネタイトなどがある。
黄色顔料としては、黄鉛、亜鉛黄、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキなどがある。
橙色顔料としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGKなどがある。
【0047】
赤色顔料としては、ベンガラ、鉛丹、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドC、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bなどがある。
紫色顔料としては、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキなどがある。
青色顔料としては、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー誘導体、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBCなどがある。
緑色顔料としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG、フタロシアニングリーンなどがある。
【0048】
白色顔料としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、酸化スズなどがある。
体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト、カオリンなどがある。
【0049】
着色剤粒子の平均一次粒径は10〜1000nm、特に50〜500nmが好ましい。
着色剤粒子と樹脂微粒子との混合比は重量比率(着色剤粒子/樹脂微粒子)で通常、1/100〜20/100、特に2/100〜25/100が好適である。着色剤粒子は、単独あるいは複数組合せて用いることができ、その場合には、着色剤粒子合計使用量と樹脂微粒子使用量との混合比が上記範囲内であればよい。着色剤使用量が多すぎるとトナーの定着性が低下し、少なすぎると所望の画像濃度が得られない。
【0050】
凝集は、通常、樹脂微粒子と着色剤粒子等との混合後、凝集粒子の安定化およびトナー粒子の粒度分布制御を目的として分散系に凝集剤を添加することによって行われる。本明細書中、「凝集」は、樹脂微粒子と着色剤粒子等とが単に付着することを意図する概念で用いるものとする。「凝集」によって、構成粒子は接触しているものの、樹脂微粒子等の溶融による結合は形成されていない、いわゆるヘテロ凝集粒子(群)が形成される。そのような「凝集」によって形成される粒子群を単に「凝集粒子」と呼ぶものとする。
【0051】
凝集剤としては樹脂微粒子とは極性の異なるイオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤や金属塩等の一価以上の電荷を有する化合物が使用可能である。具体的には、前記のカチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤およびノニオン性界面活性剤等の水溶性界面活性剤類;塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、シュウ酸等の酸類;塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硝酸アルミニウム、硝酸銀、硫酸銅、炭酸ナトリウム等の無機酸の金属塩;酢酸ナトリウム、蟻酸カリウム、シュウ酸ナトリウム、フタル酸ナトリウム、サリチル酸カリウム等の脂肪族酸、芳香族酸の金属塩;ナトリウムフェノレート等のフェノール類の金属塩;アミノ酸の金属塩;トリエタノールアミン塩酸塩、アニリン塩酸塩等の脂肪族、芳香族アミン類の無機酸塩等が挙げられる。凝集粒子の安定性、凝集剤の熱や経時に対する安定性、洗浄時の除去を考慮するときに、無機酸の金属塩が性能、使用の点で好ましい。
【0052】
これらの凝集剤の添加量は臨界凝集濃度以上であり、具体的には、電荷の価数により異なるが、いずれも少量でよく、全分散系に対して一価の場合には3重量%以下、二価の場合には1重量%以下、三価の場合は0.5重量%以下程度である。凝集剤の添加量は少ない方が好ましく、価数の多い化合物の方が添加量を少なくすることができるので好適である。
【0053】
凝集剤添加時の分散系の温度は特に制限されないが、通常は室温(Rt)以上Rt+60℃以下が適当である。
【0054】
本発明においては上記のように凝集を進行させつつ、加熱によって固定化を行い、少なくとも樹脂微粒子と着色剤粒子とが互いに固定化されてなるコア粒子を形成する。本明細書中、固定化とは互いに単に付着した粒子群(例えば、凝集粒子)における個々の構成粒子の界面の少なくとも一部において樹脂等の溶融によって結合が形成されることをいう。そのような固定化の態様として、「融着」と「融合」がある。「融着」は互いに単に付着した粒子群(例えば、凝集粒子)における個々の構成粒子の界面の一部において樹脂等の溶融による結合が形成されることを意味し、そのような「融着」がなされた粒子群を「融着粒子」と呼ぶ。「融合」は該融着がさらに進行して融着粒子の構成粒子が樹脂等の溶融によって一体化され、使用、取り扱い単位としての一つの粒子となることを意味し、そのような「融合」がなされた粒子群を「融合粒子」と呼ぶ。製造エネルギーの低減の観点からは、固定化として「融着」が達成されることが好ましい。
【0055】
そのような固定化を行った後で、後で詳述するシェル用微粒子の付着等を行うため、本発明においては、トナー粒子の粒度分布をよりシャープにし、かつトナー粒子表面部でシェル用微粒子を有効に機能させることができる。そのため、トナーの帯電性、耐熱保管性および耐吸湿性ならびに画質性が向上し、結果として画像上のガサツキおよび感光体上の拭き残しや凝着を発生させることなく、長期にわたって高精細画像を形成できると考えられる。すなわち、凝集を行った後、固定化を行うことなく、シェル用微粒子の付着等を行うと、トナー粒子の粒度分布が比較的ブロードになり長期にわたってガサツキを防止できない。また帯電性、耐熱保管性および耐吸湿性が低下し、長期使用時に感光体上にトナーの拭き残しや凝着が発生する。固定化を行わないと、単なる付着力により形成されている凝集粒子にシェル用微粒子を付着させたときに、凝集粒子が破壊されたり、小径化することがあるため、粒度分布が比較的ブロードになると考えられる。単なる付着力により形成されている凝集粒子にシェル用微粒子を付着させると、その後の加熱によって少なくとも一部のシェル用微粒子がトナー粒子内部に完全に埋没し、有効に機能しないため、帯電性、耐熱保管性および耐吸湿性が低下し、凝着等の問題が生じると考えられる。
【0056】
固定化を達成するための加熱温度は加熱時間および樹脂微粒子のガラス転移温度、撹拌時の回転数等に依存するため、一概に規定できないが、通常は樹脂微粒子のガラス転移温度(Tgr)以上、特にTgr以上Tgr+60℃以下の温度である。Tgr未満であると、いくら加熱時間を長く設定しても、固定化を達成できない。具体的には、加熱温度がTgr以上Tgr+25℃未満のとき融着が起こり、Tgr+25℃以上のとき融合が起こる。
【0057】
加熱時間は固定化が達成されれば特に制限されず、例えば、凝集剤添加時の温度から所定の加熱温度に到達するまでの昇温時間を含めて、0.1〜30時間、特に0.2〜20時間が好適である。
【0058】
本工程では離型剤、荷電制御剤および磁性粉等のトナー成分またはそれらの分散液を、着色剤粒子またはその分散液とともに樹脂微粒子と混合して、凝集を行ってもよい。
【0059】
<シェル化粒子形成工程>
コア粒子を形成した後は、コア粒子分散液にシェル用微粒子を添加混合し、コア粒子表面にシェル用微粒子が付着されてなるシェル化粒子を形成する。
【0060】
シェル用微粒子としては、トナー粒子表面に存在することによりトナーに各種性能を付与し得る平均粒径30〜1000nm、特に50〜500nmの有機または無機微粒子であれば特に制限されない。
【0061】
有機微粒子としては、例えば、ポリエステル系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂等の樹脂材料からなる微粒子が挙げられる。有機微粒子には、画像濃度の観点から、後述で前記顔料を含有させてもよい。
無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化亜鉛等の無機材料からなる微粒子が挙げられる。
【0062】
上記の中でも、帯電性を阻害することなく、トナーに耐吸湿性および耐熱保管性を有効に付与する観点から、有機微粒子、特にポリエステル系樹脂微粒子が好ましく、より好ましくはガラス転移点が55℃以上、特に60〜90℃のポリエステル系樹脂からなる微粒子を使用する。
【0063】
ポリエステル系樹脂としては、例えば、以下の多価アルコール類、多価カルボン酸類およびヒドロキシカルボン酸類からなる群から選択された1種またはそれ以上のモノマーを重縮合または/および開環重合させて得られるポリマーが挙げられる。
【0064】
多価アルコール類の具体例として、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスフェノールC、ビスフェノールF、ビスフェノールZ、ならびにそれらのエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物等の芳香族ジアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチルペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラメチレングリコール等の脂肪族ジアルコール類、シクロヘキサンジメタノール、シクロペンタンジメタノール等の脂環族ジアルコール類、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の三価以上の脂肪族アルコール類、トリフェノールメタン、トリフェノールエタン等の三価以上の芳香族アルコール類等が挙げられる。
【0065】
多価カルボン酸類の具体例として、例えば、イソフタル酸、テレフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、スルホイソフタル酸ナトリウム等の芳香族ジカルボン酸類、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマール酸、シュウ酸、デカンジカルボン酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸類、トリメリット酸、ピロメリット酸等の三価以上の芳香族カルボン酸類、メタントリカルボン酸、エタントリカルボン酸等の三価以上の脂肪族カルボン酸類等が挙げられる。
ヒドロキシカルボン酸類の具体例として、例えば、ε−カプロラクトン、ラクチド等が挙げられる。
【0066】
上記モノマーからなるポリエステル系樹脂の中でも、芳香族アルコール類(芳香族ジアルコール類および/または三価以上の芳香族アルコール類)、特に芳香族ジアルコール類と、芳香族カルボン酸類(芳香族ジカルボン酸類および/または三価以上の芳香族カルボン酸類)、特に芳香族ジカルボン酸類との重縮合によって得られたものが好ましい。
【0067】
有機微粒子は、樹脂材料を公知の重縮合法または/および開環重合法によって合成し、得られた樹脂を有機溶剤に溶解してなる溶液を水媒体中に分散し、有機溶剤を蒸発させることによって製造可能である。顔料を含有させる場合には樹脂溶液に顔料を分散させればよい。
【0068】
またシェル用微粒子は、コア粒子表面へのシェル用微粒子の付着を容易に達成する観点から、自己分散性を有することが好ましい。「自己分散性」とは、20℃の水に対して5重量%のシェル用微粒子を単独で分散させてなる分散液を20℃で10分撹拌なしで放置しても、シェル用微粒子が沈降することなく、水中で浮遊分散し得る性質をいう。
【0069】
そのような自己分散性を有するポリエステル系樹脂微粒子は分子中に置換基として水酸基、カルボキシル基、アミノ基、スルフォン酸基、ホスフォン酸基等の親水基を適度に有するポリエステル系樹脂からなる微粒子である。
自己分散性ポリエステル系樹脂微粒子の市販品として、例えば、バイロナールMD−1200(東洋紡社製、Tg;67℃)、バイロナールMD−1245(東洋紡社製、Tg;61℃)、バイロナールMD−1220(東洋紡社製、Tg;67℃)等が入手可能である。
【0070】
コア粒子とシェル用微粒子との混合比は特に制限されるものではなく、重量比率(コア粒子/シェル用微粒子)で通常、5/100〜60/100、特に10/100〜50/100が好適である。
【0071】
シェル用微粒子のコア粒子への付着は分散系を市販の分散機、例えば、ホモミキサーやホモジナイザー等によって高速撹拌することによって容易に達成できる。
【0072】
本工程においてシェル用微粒子とコア粒子との間では少なくとも付着が達成される限り、付着および融着が起こっても良い。すなわち、シェル用微粒子をコア粒子表面に付着および融着させてもよい。
【0073】
本工程の実施温度は少なくとも付着が起こる限り特に制限されず、トナーの製造コスト低減の観点から、通常は先のコア粒子形成工程での最終温度に比較的近い温度、例えば、Tgr−10℃以上Tgr+50℃未満の温度で行われる。一般的には上記温度範囲内でTgr未満の温度を採用すると付着のみが起こり、Tgr以上の温度を採用すると付着および融着が起こる。
【0074】
本工程の実施時間(例えば、撹拌・混合時間)は通常、30分間〜20時間である。
【0075】
<加熱工程>
シェル化粒子を形成した後は、シェル化粒子分散液を加熱してトナー粒子を形成する。加熱によって、コア粒子とシェル用微粒子との融合、ならびに必要によりコア粒子における樹脂微粒子と着色剤粒子等との融合が達成される。すなわち、コア粒子において樹脂微粒子と着色剤粒子等との融合がまだ達成されていない場合、本工程では、樹脂微粒子と着色剤粒子等との融合およびコア粒子とシェル用微粒子との融合が達成される。またコア粒子における樹脂微粒子と着色剤粒子等との融合が既に達成されている場合には、本工程では、コア粒子とシェル用微粒子との融合が達成される。
【0076】
本発明においてはコア粒子形成工程で樹脂微粒子と着色剤粒子等との固定化(融着または融合)が行われているため、本工程で加熱によりコア粒子とシェル用微粒子との融合等を行っても、シェル用微粒子はコア粒子内部に完全に埋没することはない。すなわち、得られるトナー粒子は個々のシェル用微粒子が表面から有効に露出した構造を有している。
【0077】
本工程での加熱温度および加熱時間は上記のような融合が達成される限り特に制限されず、また樹脂微粒子のガラス転移温度、撹拌の回転数等に依存するため、一概に規定できない。通常はTgr+5℃以上、特にTgr+10℃以上Tgr+60℃以下の温度で15時間〜10分間加熱を行う。
【0078】
本工程はシェル化粒子形成工程と同時に行っても良い。すなわち、本工程に従ってコア粒子分散液を加熱しながら、シェル化粒子形成工程に従って該コア粒子分散液にシェル用微粒子を添加混合する。これによって、コア粒子とシェル用微粒子との付着、融着および融合、ならびに必要によりコア粒子における樹脂微粒子と着色剤粒子等との融合をひとつの工程で行うことができる。
【0079】
<洗浄・乾燥工程>
トナー粒子を形成した後は、通常、トナー粒子分散液からトナー粒子を取り出し、洗浄工程において製造時に混入した不純物を除去し、これを乾燥する。
【0080】
洗浄工程においては、酸性、場合によっては塩基性の水をトナー粒子に対して数倍の量で加え攪拌した後、ろ過して固形分を得る。これに純水を固形分に対して数倍加えて攪拌した後、ろ過を行なう。この操作を数回繰り返し、ろ過後のロ液のpHが約7になった時点で終了し、トナー粒子を得る。
【0081】
乾燥工程においては、洗浄工程で得たトナー粒子をガラス転移温度以下の温度で乾燥する。この時、必要な温度に応じて乾燥空気を循環させたり、真空条件下で加熱する等の方法を取るとよい。乾燥工程では、通常の振動型流動乾燥法、スプレードライ法、凍結乾燥法、フラッシュジェット法等、任意の方法を採用することができる。
【0082】
本発明のトナーは以上のような方法で形成されたトナー粒子を含んでなり、粒度分布の幅がよりシャープである。詳しくは、体積平均粒径/個数平均粒径が1.20以下、特に1.05〜1.15である。
【0083】
また本発明のトナーはトナー粒子の表面や内部、特に表面に処理剤を有していてもよい。
上記の処理剤としては、例えば、微粉末のシリカ、アルミナ、チタニア等の流動性向上剤、マグネタイト、フェライト、酸化セリウム、チタン酸ストロンチウム、導電性チタニア等の無機微粒子、スチレン樹脂、アクリル樹脂などの抵抗調整剤、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムおよびステアリン酸マンガン等の滑剤などが使用される。これらの処理剤の使用量は、所望する性能により適宜選定すればよく、トナー粒子(重合性単量体)に対して、通常0.05〜10重量%である。
【0084】
本発明のトナーの使用形態は特に制限されず、二成分現像剤用トナーとして使用されても、一成分現像剤用トナーとして使用されてもよい。
【0085】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。なお、以下の部は重量部である。
実施例1
撹拌装置、加熱冷却装置、濃縮装置、および原料・助剤仕込み装置を備えた反応フラスコに、ドデシルスルホン酸ソーダ1.4部をイオン交換水600部に溶解させた溶液を仕込み、窒素気流下200rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。この溶液に、過硫酸カリウム1.8部をイオン交換水40部に溶解させた溶液を添加し、温度を75℃とした後、スチレン14部、n−ブチルアクリレート4部、メタクリル酸2部からなる単量体混合液を30分かけて滴下し、この系を75℃にて重合させ、ラテックスA1を調整した。
【0086】
次に、撹拌装置、加熱冷却装置、濃縮装置、および原料・助剤仕込み装置を備えた反応フラスコに、スチレン21部、n−ブチルアクリレート6部、メタクリル酸1.3部、2−メルカプトエチルオクタン酸エステル1.1部からなる単量体混合液に、パラフィンワックス(NHP0190:日本精蝋社製)14部を添加し、85℃に加温し溶解させて単量体溶液を調製した。一方、ドデシルスルホン酸ソーダ0.3部をイオン交換水540部に溶解させた溶液を80℃に加熱し、この溶液に前記ラテックスA1を固形分換算で5.6部添加した後、ホモジナイザーTKホモミキサー(特殊機化工業社製)により前記単量体溶液を混合分散させ、乳化液を調製した。次いで、この乳化液に過硫酸カリウム1部をイオン交換水50部に溶解させた溶液と、イオン交換水150部とを添加し、温度を80℃とした後、3時間重合させてラテックスB1
を得た。
【0087】
上記のようにして得られたラテックスB1に、過硫酸カリウム1.5部をイオン交換水40部に溶解させた溶液を添加し、温度を80℃とした後、スチレン81部、n−ブチルアクリレート16部、メタクリル酸3部、2−メルカプトエチルオクタン酸エステル2.1部からなる単量体混合液を30分かけて滴下し、この系を80℃にて2時間重合させた後、30℃まで冷却し、ラテックスC1を得た。このラテックスにおける樹脂微粒子の体積平均粒径は150nmであり、Tgは60℃であった。ラテックスにおける樹脂微粒子の体積平均粒径は日機装社製、粒度分布計マイクロトラックUPA150で測定した(以下、同様とする)。TgはDSC(商品名:SSC/5200、セイコー電子社製)で測定した(以下、同様とする)。
【0088】
n−ドデシル硫酸ナトリウム12部を、イオン交換水300部に撹拌溶解した。この溶液を撹拌しながら、カーボンブラック(リーガル330:キャボット社製)84部を徐々に添加し、次いでTKホモミキサー(特殊機化工業社製)により分散させて着色剤分散液を得た。
【0089】
前記ラテックスC1、84部(固形分換算)と、イオン交換水180部と、前記着色剤分散液10部(固形分換算)とを、撹拌装置、加熱冷却装置、濃縮装置、および原料・助剤仕込み装置を備えた反応フラスコに入れ撹拌した。内温を30℃に調整した後、この溶液に5Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを11.0に調整した。次いで、塩化マグネシウム6水和物2.4部をイオン交換水200部に溶解した溶液を30℃にて10分間かけて添加した後、この系を30分間かけて80℃まで昇温した(凝集・融着工程)。このとき、光学顕微鏡にて融着粒子を観察すると、平均粒径は約5.7μmであった。
【0090】
自己分散型ポリエステル樹脂(バイロナールMD−1200:東洋紡社製、Tg67℃)10部を、イオン交換水100部に添加し、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)により分散させてポリエステル樹脂分散液(1)を得た。
内温を70℃に冷却した前記融着分散液に前記ポリエステル樹脂分散液(1)を8.4部(固形分換算)を添加して、内温70℃を維持しながら回転数350rpmで5時間撹拌し、融着粒子の表面に自己分散型ポリエステル樹脂を付着および融着させた(付着工程)。
【0091】
次に、塩化ナトリウム16部をイオン交換水200部に溶解した溶液を添加して粒子成長を停止させ、さらに熟成処理として液温度90℃で2時間保持して融合を行った(融合工程)。その後、30℃まで冷却し、塩酸を添加してpHを2.0に調整し、撹拌を停止した。生成した融合粒子を濾過し、イオン交換水で繰り返し洗浄し、その後、40℃の温風で乾燥することにより体積平均粒径6.0μmのトナー粒子を得た。
【0092】
得られたトナー粒子100部に対して、疎水性シリカ(H−2000:ワッカー社製)0.3部および疎水性酸化チタン(T−805:日本アエロジル)0.5部を添加し、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機社製)にて1000rpmで1分間、後処理を行いトナーを得た。
【0093】
実施例2
撹拌装置、加熱冷却装置、濃縮装置、および原料・助剤仕込み装置を備えた反応フラスコに、ドデシルスルホン酸ソーダ1.4部をイオン交換水600部に溶解させた溶液を仕込み、窒素気流下200rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。この溶液に、過硫酸カリウム1.8部をイオン交換水40部に溶解させた溶液を添加し、温度を75℃とした後、スチレン15部、n−ブチルアクリレート4部、メタクリル酸3部からなる単量体混合液を30分かけて滴下し、この系を75℃にて重合させ、ラテックスA2を調整した。
【0094】
次に、撹拌装置、加熱冷却装置、濃縮装置、および原料・助剤仕込み装置を備えた反応フラスコに、スチレン20部、n−ブチルアクリレート5部、メタクリル酸1.5部、オクチルメルカプタン1.0部からなる単量体混合液に、パラフィンワックス(NHP0190:日本精蝋社製)14部を添加し、85℃に加温し溶解させて単量体溶液を調製した。一方、ドデシルスルホン酸ソーダ0.3部をイオン交換水540部に溶解させた溶液を80℃に加熱し、この溶液に前記ラテックスA2を固形分換算で5.6部添加した後、ホモジナイザーTKホモミキサー(特殊機化工業社製)により前記単量体溶液を混合分散させ、乳化液を調製した。次いで、この乳化液に過硫酸カリウム1部をイオン交換水50部に溶解させた溶液と、イオン交換水150部とを添加し、温度を80℃とした後、3時間重合させてラテックスB2を得た。
【0095】
上記のようにして得られたラテックスB2に、過硫酸カリウム1.5部をイオン交換水40部に溶解させた溶液を添加し、温度を80℃とした後、スチレン71部、n−ブチルアクリレート21部、メタクリル酸8部、オクチルメルカプタン1.8部からなる単量体混合液を30分かけて滴下し、この系を80℃にて2時間重合させた後、30℃まで冷却し、ラテックスC2を得た。このラテックスにおける樹脂微粒子の体積平均粒径は120nmであり、Tgは58℃であった。
【0096】
n−ドデシル硫酸ナトリウム12部を、イオン交換水300部に撹拌溶解した。この溶液を撹拌しながら、カーボンブラック(リーガル330:キャボット社製)84部を徐々に添加し、次いでTKホモミキサー(特殊機化工業社製)により分散させて着色剤分散液を得た。
【0097】
前記ラテックスC2、84部(固形分換算)と、イオン交換水180部と、前記着色剤分散液10部(固形分換算)とを、撹拌装置、加熱冷却装置、濃縮装置、および原料・助剤仕込み装置を備えた反応フラスコに入れ撹拌した。内温を30℃に調整した後、この溶液に5Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを11.0に調整した。次いで、塩化マグネシウム6水和物2.4部をイオン交換水200部に溶解した溶液を30℃にて10分間かけて添加した後、この系を30分間かけて80℃まで昇温した(凝集・融着工程)。このとき、光学顕微鏡にて融着粒子を観察すると、平均粒径は約5.2μmであった。
【0098】
自己分散型ポリエステル樹脂(バイロナールMD−1245:東洋紡社製、Tg61℃)10部を、イオン交換水100部に添加し、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)により分散させてポリエステル樹脂分散液(2)を得た。
内温を70℃に冷却した前記融着分散液に前記ポリエステル樹脂分散液(2)を12.8部(固形分換算)を添加して、内温70℃を維持しながら回転数300rpmで6時間撹拌し、融着粒子の表面に自己分散型ポリエステル樹脂を付着および融着させた(付着工程)。
【0099】
その後、塩化ナトリウム16部をイオン交換水200部に溶解した溶液を添加して粒子成長を停止させ、さらに熟成処理として液温度90℃で2時間保持して融合を行った(融合工程)。その後、30℃まで冷却し、塩酸を添加してpHを2.0に調整し、撹拌を停止した。生成した融合粒子を濾過し、イオン交換水で繰り返し洗浄し、その後、40℃の温風で乾燥することにより体積平均粒径5.9μmのトナー粒子を得た。
【0100】
得られたトナー粒子100部に対して、疎水性シリカ(H−2000:ワッカー社製)0.3部および疎水性酸化チタン(T−805:日本アエロジル)0.5部を添加し、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機社製)にて1000rpmで1分間、後処理を行いトナーを得た。
【0101】
実施例3
実施例1においてと同様の方法でラテックスA1を調製した。
次に、撹拌装置、加熱冷却装置、濃縮装置、および原料・助剤仕込み装置を備えた反応フラスコに、スチレン21部、n−ブチルアクリレート6部、メタクリル酸1.3部、2−メルカプトプロピオン酸n−オクチルエステル1.1部からなる単量体混合液に、パラフィンワックス(NHP0190:日本精蝋社製)14部を添加し、85℃に加温し溶解させて単量体溶液を調製した。一方、ドデシルスルホン酸ソーダ0.3部をイオン交換水540部に溶解させた溶液を80℃に加熱し、この溶液に前記ラテックスA1を固形分換算で5.6部添加した後、ホモジナイザーTKホモミキサー(特殊機化工業社製)により前記単量体溶液を混合分散させ、乳化液を調製した。次いで、この乳化液に過硫酸カリウム1部をイオン交換水50部に溶解させた溶液と、イオン交換水150部とを添加し、温度を80℃とした後、3時間重合させてラテックスB3を得た。
【0102】
上記のようにして得られたラテックスB3に、過硫酸カリウム1.5部をイオン交換水40部に溶解させた溶液を添加し、温度を80℃とした後、スチレン78.5部、n−ブチルアクリレート16.5部、メタクリル酸5部、2−メルカプトプロピオン酸n−オクチルエステル2.1部からなる単量体混合液を30分かけて滴下し、この系を80℃にて2時間重合させた後、30℃まで冷却し、ラテックスC3を得た。このラテックスにおける樹脂微粒子の体積平均粒径は180nmであり、Tgは62℃であった。
【0103】
n−ドデシル硫酸ナトリウム18部をイオン交換水320部に撹拌溶解した。この溶液を撹拌しながら、赤色顔料(PR122:大日精化社製)5.3部を徐々に添加し、次いでTKホモミキサー(特殊機化工業社製)により分散させて着色剤分散液を得た。
【0104】
前記ラテックスC3、84部(固形分換算)と、イオン交換水180部と、前記着色剤分散液8部(固形分換算)とを、撹拌装置、加熱冷却装置、濃縮装置、および原料・助剤仕込み装置を備えた反応フラスコに入れ撹拌した。内温を30℃に調整した後、この溶液に5Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを11.0に調製した。次いで、塩化マグネシウム6水和物2.4部をイオン交換水200部に溶解した溶液を30℃にて10分間かけて添加した後、この系を30分間かけて83℃まで昇温した(凝集・融着工程)。このとき、光学顕微鏡にて融着粒子を観察すると、平均粒径は約4.8μmであった。
【0105】
自己分散型ポリエステル樹脂(バイロナールMD−1220:東洋紡社製、Tg67℃)10部を、イオン交換水100部に添加し、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)により分散させてポリエステル樹脂分散液(3)を得た。
内温を70℃に冷却した前記融着分散液に前記ポリエステル樹脂分散液(3)を16.8部(固形分換算)を添加した後、内温を75℃に上昇させて回転数350rpmで4時間撹拌し、融着粒子の表面に自己分散型ポリエステル樹脂を付着および融着させた(付着工程)。
【0106】
その後、塩化ナトリウム16部をイオン交換水200部に溶解した溶液を添加して粒子成長を停止させ、さらに熟成処理として液温度95℃で1時間保持して融合を行った(融合工程)。その後、30℃まで冷却し、塩酸を添加してpHを2.0に調整し、撹拌を停止した。生成した融合粒子を濾過し、イオン交換水で繰り返し洗浄し、その後、40℃の温風で乾燥することにより体積平均粒径5.5μmのトナー粒子を得た。
【0107】
得られたトナー粒子100部に対して、疎水性シリカ(H−2000:ワッカー社製)0.3部および疎水性酸化チタン(T−805:日本アエロジル)0.5部を添加し、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機社製)にて1000rpmで1分間、後処理を行いトナーを得た。
【0108】
実施例4
撹拌装置、加熱冷却装置、濃縮装置、および原料・助剤仕込み装置を備えた反応フラスコに、ドデシルスルホン酸ソーダ1.4部をイオン交換水600部に溶解させた溶液を仕込み、窒素気流下200rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。この溶液に、過硫酸カリウム1.8部をイオン交換水40部に溶解させた溶液を添加し、温度を75℃とした後、スチレン13部、n−ブチルアクリレート7部、メタクリル酸2部からなる単量体混合液を30分かけて滴下し、この系を75℃にて重合させ、ラテックスA3を調整した。
【0109】
次に、撹拌装置、加熱冷却装置、濃縮装置、および原料・助剤仕込み装置を備えた反応フラスコに、スチレン20部、n−ブチルアクリレート7部、メタクリル酸1.2部、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−10−オキシド1.1部からなる単量体混合液に、パラフィンワックス(NHP0190:日本精蝋社製)14部を添加し、85℃に加温し溶解させて単量体溶液を調製した。一方、ドデシルスルホン酸ソーダ0.3部をイオン交換水540部に溶解させた溶液を80℃に加熱し、この溶液に前記ラテックスA3を固形分換算で5.6部添加した後、ホモジナイザーTKホモミキサー(特殊機化工業社製)により前記単量体溶液を混合分散させ、乳化液を調製した。次いで、この乳化液に過硫酸カリウム1部をイオン交換水50部に溶解させた溶液と、イオン交換水150部とを添加し、温度を80℃とした後、3時間重合させてラテックスB4を得た。
【0110】
上記のようにして得られたラテックスB4に、過硫酸カリウム1.5部をイオン交換水40部に溶解させた溶液を添加し、温度を80℃とした後、スチレン74部、n−ブチルアクリレート18部、メタクリル酸8部、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−10−オキシド2.1部からなる単量体混合液を30分かけて滴下し、この系を80℃にて2時間重合させた後、30℃まで冷却し、ラテックスC4を得た。このラテックスにおける樹脂微粒子の体積平均粒径は200nmであり、Tgは64℃であった。
【0111】
n−ドデシル硫酸ナトリウム18部をイオン交換水320部に撹拌溶解した。この溶液を撹拌しながら、黄色顔料(ピグメントイエロー74:クラリアントジャパン社製)8.4部を徐々に添加し、次いでTKホモミキサー(特殊機化工業社製)により分散させて着色剤分散液を得た。
【0112】
前記ラテックスC4、84部(固形分換算)と、イオン交換水180部と、前記着色剤分散液8部(固形分換算)とを、撹拌装置、加熱冷却装置、濃縮装置、および原料・助剤仕込み装置を備えた反応フラスコに入れ撹拌した。内温を30℃に調整した後、この溶液に5Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを11.0に調製した。次いで、塩化マグネシウム6水和物2.4部をイオン交換水200部に溶解した溶液を30℃にて10分間かけて添加した後、この系を35分間かけて86℃まで昇温した(凝集・融着工程)。このとき、光学顕微鏡にて融着粒子を観察すると、平均粒径は約5.2μmであった。
【0113】
自己分散型ポリエステル樹脂(バイロナールMD−1245:東洋紡社製、Tg61℃)10部を、イオン交換水100部に添加し、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)により分散させてポリエステル樹脂分散液(4)を得た。
内温を70℃に冷却した前記融着分散液に前記ポリエステル樹脂分散液(4)を12.5部(固形分換算)を添加した後、内温を75℃に上昇させて回転数300rpmで8時間撹拌し、融着粒子の表面に自己分散型ポリエステル樹脂を付着および融着させた(付着工程)。
【0114】
その後、塩化ナトリウム16部をイオン交換水200部に溶解した溶液を添加して粒子成長を停止させ、さらに熟成処理として液温度90℃で3時間保持して融合を行った(融合工程)。その後、30℃まで冷却し、塩酸を添加してpHを2.0に調整し、撹拌を停止した。生成した会合粒子を濾過し、イオン交換水で繰り返し洗浄し、その後、40℃の温風で乾燥することにより体積平均粒径5.8μmのトナー粒子を得た。
【0115】
得られたトナー粒子100部に対して、疎水性シリカ(H−2000:ワッカー社製)0.3部および疎水性酸化チタン(T−805:日本アエロジル)0.5部を添加し、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機社製)にて1000rpmで1分間、後処理を行いトナーを得た。
【0116】
実施例5
実施例3においてと同様の方法でラテックスC3および着色剤分散液を得た。
前記ラテックスC3、84部(固形分換算)と、イオン交換水180部と、前記着色剤分散液8部(固形分換算)とを、撹拌装置、加熱冷却装置、濃縮装置、および原料・助剤仕込み装置を備えた反応フラスコに入れ撹拌した。内温を30℃に調整した後、この溶液に5Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを11.0に調整した。次いで、塩化マグネシウム6水和物2.4部をイオン交換水200部に溶解した溶液を30℃にて10分間かけて添加した後、この系を30分間かけて75℃まで昇温した(凝集・融着工程)。このとき、光学顕微鏡にて融着粒子を観察すると、平均粒径は約4.8μmであった。
【0117】
自己分散型ポリエステル樹脂(バイロナールMD−1245:東洋紡社製、Tg61℃)10部を、イオン交換水100部に添加し、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)により分散させてポリエステル樹脂分散液(5)を得た。
次に、赤色分散染料(ダイヤセリトン・ファスト・レッド2B:三菱化学社製)13部をイオン交換水100部に添加し、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)により分散させて染料分散液(1)を得た。
内温を65℃に冷却した前記融着分散液に前記ポリエステル樹脂分散液(5)16.8部(固形分換算)と前記染料分散液(1)1.4部(固形分換算)を添加した後、内温を75℃に上昇させて回転数330rpmで6時間撹拌し、融着粒子の表面に自己分散型ポリエステル樹脂を付着および融着させた(付着工程)。
【0118】
その後、塩化ナトリウム16部をイオン交換水200部に溶解した溶液を添加して粒子成長を停止させ、さらに熟成処理として液温度95℃で1時間保持して融合を行った(融合工程)。その後、30℃まで冷却し、塩酸を添加してpHを2.0に調整し、撹拌を停止した。生成した融合粒子を濾過し、イオン交換水で繰り返し洗浄し、その後、40℃の温風で乾燥することにより体積平均粒径5.5μmのトナー粒子を得た。
【0119】
得られたトナー粒子100部に対して、疎水性シリカ(H−2000:ワッカー社製)0.3部および疎水性酸化チタン(T−805:日本アエロジル)0.5部を添加し、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機社製)にて1000rpmで1分間、後処理を行いトナーを得た。
【0120】
実施例6
実施例3においてと同様の方法でラテックスC3を得た。
n−ドデシル硫酸ナトリウム18部をイオン交換水320部に撹拌溶解した。この溶液を撹拌しながら、赤色顔料(PR122:大日精化社製)5.3部を徐々に添加し、次いでTKホモミキサー(特殊機化工業社製)により分散させて着色剤分散液を得た。
【0121】
複合微粒子分散液
まず、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンとポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンとテレフタル酸とをモル比が3:7:9になるようにして、これらを重合開始剤のジブチル錫オキシドと一緒に、温度計とステンレス製の撹拌棒と流下式コンデンサーと窒素導入管とを取り付けたガラス製四つ口フラスコ内に入れて、重合を行った。得られたポリエステル系樹脂の物性は、数平均分子量(Mn)が3300、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が4.2、ガラス転移温度(Tg)が68.5℃、軟化点(Tm)110.3℃であった。
【0122】
上記で得られたポリエステル樹脂5部、ジクロルメタン10部、赤色顔料(PR122:大日精化社製)0.5部をボールミルを用いて混合し、溶解し、これを10%のポリエチレングリコールおよび0.7%のアニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンSC)を含有する純水15部中に分散し、ホモジナイザーを用いて強く剪断力を印加して分散させて、60℃に加熱して1時間保持し、平均粒径が680nmである複合微粒子を分散させてなる複合微粒子分散液(1)を調製した。
【0123】
前記ラテックスC3、84部(固形分換算)と、イオン交換水180部と、前記着色剤分散液8部(固形分換算)とを、撹拌装置、加熱冷却装置、濃縮装置、および原料・助剤仕込み装置を備えた反応フラスコに入れ撹拌した。内温を30℃に調整した後、この溶液に5Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを11.0に調整した。次いで、塩化マグネシウム6水和物2.4部をイオン交換水200部に溶解した溶液を30℃にて10分間かけて添加した後、この系を30分間かけて80℃まで昇温した(凝集・融着工程)。このとき、光学顕微鏡にて融着粒子を観察すると、平均粒径は約5.0μmであった。
【0124】
その後、前記融着粒子分散液の内温を70℃に冷却し、前記ポリエステル樹脂複合微粒子分散液(1)15部(固形分換算)を添加した後、内温を75℃に上昇させて回転数250rpmで1時間撹拌し、5時間保持した(付着工程)。光学顕微鏡で観察すると、平均粒径が5.6μmである付着粒子が形成されていることが確認された。
【0125】
その後、ここにアニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンSC)2部を追加した後、ステンレス製フラスコを密閉し、磁力シールを用いて、撹拌を継続しながら、105℃まで加熱し、1時間保持した(融合工程)。その後、30℃まで冷却し、塩酸を添加してpHを2.0に調整し、撹拌を停止した。生成した融合粒子を濾過し、イオン交換水で繰り返し洗浄し、その後、40℃の温風で乾燥することにより体積平均粒径5.6μmのトナー粒子を得た。
【0126】
得られたトナー粒子100部に対して、疎水性シリカ(H−2000:ワッカー社製)0.3部および疎水性酸化チタン(T−805:日本アエロジル)0.5部を添加し、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機社製)にて1000rpmで1分間、後処理を行いトナーを得た。
【0127】
比較例1
実施例1においてと同様の方法でラテックスA1を調製した。
次に、撹拌装置、加熱冷却装置、濃縮装置、および原料・助剤仕込み装置を備えた反応フラスコに、スチレン21部、n−ブチルアクリレート6部、メタクリル酸1.3部、t−ドデシルメルカプタン1.0部からなる単量体混合液に、パラフィンワックス(NHP0190:日本精蝋社製)14部を添加し、85℃に加温し溶解させて単量体溶液を調製した。一方、ドデシルスルホン酸ソーダ0.3部をイオン交換水540部に溶解させた溶液を80℃に加熱し、この溶液に前記ラテックスA1を固形分換算で5.6部添加した後、ホモジナイザーTKホモミキサー(特殊機化工業社製)により前記単量体溶液を混合分散させ、乳化液を調製した。次いで、この乳化液に過硫酸カリウム1部をイオン交換水50部に溶解させた溶液と、イオン交換水150部とを添加し、温度を80℃とした後、3時間重合させてラテックスB6を得た。
【0128】
上記のようにして得られたラテックスB6に、過硫酸カリウム1.5部をイオン交換水40部に溶解させた溶液を添加し、温度を80℃とした後、スチレン81部、n−ブチルアクリレート16部、メタクリル酸3部、t−ドデシルメルカプタン2.0部からなる単量体混合液を30分かけて滴下し、この系を80℃にて2時間重合させた後、30℃まで冷却し、ラテックスC6を得た。このラテックスにおける樹脂微粒子の体積平均粒径は150nmであり、Tgは58℃であった。
【0129】
n−ドデシル硫酸ナトリウム12部をイオン交換水300部に撹拌溶解した。この溶液を撹拌しながら、カーボンブラック(リーガル330:キャボット社製)84部を徐々に添加し、次いでTKホモミキサー(特殊機化工業社製)により分散させて着色剤分散液を得た。
【0130】
前記ラテックスC6、84部(固形分換算)と、イオン交換水180部と、前記着色剤分散液10部(固形分換算)とを、撹拌装置、加熱冷却装置、濃縮装置、および原料・助剤仕込み装置を備えた反応フラスコに入れ撹拌した。内温を30℃に調整した後、この溶液に5Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを11.0に調整した。次いで、塩化マグネシウム6水和物2.4部をイオン交換水200部に溶解した溶液を30℃にて10分間かけて添加した後、この系を30分間かけて80℃まで昇温した(凝集・融着工程)。その後3時間維持した後、塩化ナトリウム16部をイオン交換水200部に溶解した溶液を添加して粒子成長を停止させ、さらに熟成処理として液温度90℃で2時間保持して融合を行った(融合工程)。その後、30℃まで冷却し、塩酸を添加してpHを2.0に調整し、撹拌を停止した。生成した融合粒子を濾過し、イオン交換水で繰り返し洗浄し、その後、40℃の温風で乾燥することにより体積平均粒径6.0μmのトナー粒子を得た。
【0131】
得られたトナー粒子100部に対して、疎水性シリカ(H−2000:ワッカー社製)0.3部および疎水性酸化チタン(T−805:日本アエロジル)0.5部を添加し、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機社製)にて1000rpmで1分間、後処理を行いトナーを得た。
【0132】
比較例2
分散液の調製
スチレン32部、n−ブチルアクリレート8部、アクリル酸0.8部、ドデカンチオール1.2部、四臭化炭素0.4部を混合し、溶解したものを、非イオン性界面活性剤(三洋化成社製:ノニポール400)0.6部およびアニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンSC)1部をイオン交換水55部に溶解したものに、フラスコ中で分散し、乳化し、10分ゆっくりと混合しながら、過硫酸アンモニウム0.4部を溶解したイオン交換水5部を加え、窒素置換を行った。その後、フラスコ内を撹拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続し、平均粒径が170nm、ガラス転移温度が53℃、重量平均分子量が22,000である樹脂微粒子を分散させてなる分散液(1)を調製した。
【0133】
複合微粒子分散液
ポリエステル樹脂(ビスフェノールA−フマール酸−プロピオンオキシド付加物、重量平均分子量12,000、ガラス転移温度Tg;57℃)5部、ジクロルメタン10部、フタロシアニン顔料0.5部をボールミルを用いて混合し、溶解し、これを10%のポリエチレングリコールおよび0.7%のアニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンSC)を含有する純水15部中に分散し、ホモジナイザーを用いて強く剪断力を印加して分散させて、60℃に加熱して1時間保持し、平均粒径が850nmである複合微粒子を分散させてなる複合微粒子分散液(2)を調製した。
【0134】
着色剤分散液
フタロシアニン顔料10部、非イオン性界面活性剤(三洋化成社製:ノニポール400)0.5部、イオン交換水20部を混合し、溶解し、ホモジナイザーを用いて10分間分散し、さらに超音波ホモジナイザーで5分間、分散し、平均粒径が150nmである着色剤を分散させてなる着色剤分散液(1)を調製した。
【0135】
凝集粒子の調製
分散液(1)200部、着色剤分散液(1)15部、カチオン性界面活性剤(花王社製:サニゾールB50)を丸型ステンレス製フラスコ中でホモジナイザーを用いて混合し、分散した後、フラスコ内を撹拌しながら48℃まで加熱用オイルバスで加熱した。48℃で30分保持した後、光学顕微鏡で観察すると、平均粒径が5.2μmである凝集粒子が形成されていることが確認された。
【0136】
付着粒子の調製
ここに、複合微粒子分散液(2)を緩やかに50部追加し、さらに加熱オイルバスの温度を50℃に上げて30分保持した。光学顕微鏡で観察すると、平均粒径が5.8μmである付着粒子が形成されていることが確認された。
【0137】
その後、ここにアニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンSC)2部を追加した後、ステンレス製フラスコに密閉し、磁力シールを用いて、撹拌を継続しながら、105℃まで加熱し、1時間保持した。冷却後、反応生成物を濾過し、これをイオン交換水で充分に洗浄して、体積平均粒径5.8μmのトナー粒子を得た。
【0138】
得られたトナー粒子100部に対して、疎水性シリカ(H−2000:ワッカー社製)0.3部および疎水性酸化チタン(T−805:日本アエロジル)0.5部を添加し、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機社製)にて1000rpmで1分間、後処理を行いトナーを得た。
【0139】
比較例3
複合微粒子分散液
まず、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンとポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンとテレフタル酸とをモル比が3:7:9になるようにして、これらを重合開始剤のジブチル錫オキシドと一緒に、温度計とステンレス製の撹拌棒と流下式コンデンサーと窒素導入管とを取り付けたガラス製四つ口フラスコ内に入れて重合を行った。得られたポリエステル系樹脂の物性は、数平均分子量(Mn)が3300、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が4.2、ガラス転移温度(Tg)が68.5℃、軟化点(Tm)110.3℃であった。
【0140】
上記で得られたポリエステル樹脂5部、ジクロルメタン10部、ピグメントイエロー180(クラリアンドジャパン社製)0.5部をボールミルを用いて混合し、溶解し、これを10%のポリエチレングリコールおよび0.7%のアニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンSC)を含有する純水15部中に分散し、ホモジナイザーを用いて強く剪断力を印加して分散させて、60℃に加熱して1時間保持し、平均粒径が680nmである複合微粒子を分散させてなる複合微粒子分散液(2)を調製した。
【0141】
撹拌装置、加熱冷却装置、濃縮装置、および原料・助剤仕込み装置を備えた反応フラスコに、スチレン150部、n−ブチルアクリレート36部、アクリル酸5部、2−メルカプトプロピオン酸n−オクチルエステル20部を混合した溶液と、ノニオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成社製)6部、およびアニオン系界面活性剤(ネオゲンSC:第一工業製薬社製)10部をイオン交換水600部に溶解した溶液を入れて分散、乳化させ、10分間ゆっくりと撹拌、混合しながら、過硫酸アンモニウム4部を溶解したイオン交換水50部を投入した。その後、フラスコ内を窒素で充分に置換してから撹拌しながらオイルバス系内が80℃になるまで加温し、5時間そのまま乳化重合を継続した。その後、反応液を室温まで冷却し、ラテックスI1を得た。このラテックスにおける樹脂微粒子の体積平均粒径は200nmであり、Tgは65℃であった。
【0142】
n−ドデシル硫酸ナトリウム5部をイオン交換水120部に撹拌溶解した。この溶液を撹拌しながら、ピグメントイエロー180(クラリアントジャパン社製)25部を徐々に添加し、次いでTKホモミキサー(特殊機化工業社製)により分散させて着色剤分散液を得た。
【0143】
n−ドデシル硫酸ナトリウム5部をイオン交換水150部に撹拌溶解した。この溶液を撹拌しながら、パラフィンワックス(NHP0190:日本精蝋社製)30部を添加し、85℃に加温し溶解させ、次いでTKホモミキサー(特殊機化工業社製)により分散させて離型剤分散液を得た。
【0144】
前記ラテックスI1、70部と、前記着色剤分散液20部、前記離型剤分散液20部とポリ水酸化アルミニウム(浅田化学社製)0.8部をTKホモミキサー(特殊機化工業社製)により分散させて、撹拌装置、加熱冷却装置、濃縮装置、および原料・助剤仕込み装置を備えた反応フラスコに入れ撹拌した。内温を58℃に調整した。その後、この溶液を58℃で2時間保持した(凝集工程)。この分散液に複合粒子分散液(2)30部を緩やかに添加し、さらに系内の温度を65℃に上げて1時間保持した(付着工程)。さらに、上記分散液にアニオン系界面活性剤(ネオゲンSC:第一工業製薬社製)2部を追加して粒子成長を停止させ、さらに熟成処理として液温度95℃で4時間融合を行った(融合工程)。その後、30℃まで冷却し、撹拌を停止した。生成した融合粒子を濾過し、水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを11.5に調整し、40℃で洗浄した。さらにイオン交換水で繰り返し洗浄し、その後、40℃の温風で乾燥することにより体積平均粒径5.6μmのトナー粒子を得た。
【0145】
得られたトナー粒子100部に対して、疎水性シリカ(H−2000:ワッカー社製)0.3部および疎水性酸化チタン(T−805:日本アエロジル)0.5部を添加し、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機社製)にて1000rpmで1分間、後処理を行いトナーを得た。
【0146】
<キャリアの製造>
スチレン、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレートおよびメタクリル酸からなるスチレン−アクリル系共重合体(1.5:7:1:0.5)80部と、ブチル化メラミン樹脂20部とをトルエンで希釈することにより、固形分比2%のアクリル−メラミン樹脂溶液を調製した。芯材として焼成フェライト粉(平均粒径30μm)を用い、上記のアクリル−メラミン樹脂溶液をスピラコーター(岡田精工社製)により塗布し、乾燥した。得られたキャリアを熱風循環式オーブン中にて140℃で2時間放置して焼成した。冷却後、フェライト粉バルクを目開き210μmと90μmのスクリーンメッシュを取り付けたフルイ振盪器を用いて解砕し、樹脂コートされたフェライト粉とした。この樹脂コートフェライト粉に対して、塗布、焼成、解砕の各処理をさらに3回繰り返して樹脂被覆キャリアを得た。こうして得られたキャリアの平均粒径は31μm、電気抵抗は約3×1010Ωcmであった。
【0147】
<諸特性の評価>
上記の実施例および比較例のトナーについて、以下のようにして諸特性の評価を行った。
(帯電量)
実施例および比較例で調製したトナーと上記キャリアとを5:95の重量比率で混合することによって評価用の現像剤を調製した。
この現像剤30gを容量50mlのポリエチレン瓶に入れ、1200rpmで90分間回転することにより現像剤を撹拌した。そして、所定の帯電量に帯電させたフィルムに接触させ、フィルムに付着するトナー重量を測定することによりトナーの帯電量を求めた。
【0148】
(水分量)
実施例および比較例で調製したトナー1gをH/H(35℃85%)の環境下に一昼夜放置した後の水分量を測定した。水分量は加熱乾燥式水分計MX−50(エイアンドディ社製)を用いて測定した。
【0149】
(耐熱保管性)
実施例および比較例で調製したトナー10gを50mlのガラス製サンプル管に入れ55℃の環境下に一昼夜放置した後の耐熱保管性を評価した。
耐熱保管性は、保管後のトナーの状態に基づいて以下のように評価した。本発明においては○以上が実用上問題のない範囲内である。
◎:トナーがさらさらの状態を保っている。
○:振ればトナーがさらさらになる。
△:部分的に固着している部分が見られたがスパチュラで掻くと剥がれる。
×:全体的に固着が発生したが、スパチュラで強く掻くと剥がれる。
××:固着したスパチュラで掻いても分離しない。
【0150】
(体積平均粒径/個数平均粒径)
実施例および比較例で調製したトナー粒子の体積平均粒径/個数平均粒径を求めた。体積平均粒径はマスターサイザー2000(シスメックス社製)によって測定した。個数平均粒径はコールターカウンター(コールター社製)によって測定した。
【0151】
【表1】
【0152】
(画像評価)
(初期および耐刷時の画質)
実施例および比較例で得られたトナーを前記のキャリアと5:95の重量比率で混合して得られた現像剤を市販のデジタルフルカラー複写機(DiALTA Color CF3102:ミノルタ社製)の現像器に入れて、画質を評価した。なお、上記複写機の4つの全ての現像器には同一の現像剤を入れて評価した。
画質は初期の画像および1万枚コピー後の画像の画質の状態に基づいて以下のように評価した。本発明においては○以上が実用上問題のない範囲内である。
◎:非常にきれい
○:良好
△:部分的にガサツキが見られた。
×:全体的にガサツキが発生した。
××:画像品位が非常に劣る。
【0153】
(クリーニング性)
また、その時のクリーニング性についても評価した。詳しくは上記画質評価時の1万枚コピー後において感光体に凝着や拭き残しが発生していないかどうか以下のように評価した。凝着および拭き残しについて、本発明においては、○以上が実用上問題のない範囲内である。
凝着
○:良好
△:一部に小さな凝着が見られた。
×:大きな凝着が発生した。
拭き残し
○:良好
△:一部に拭き残しが見られた。
×:拭き残しによる顕著な画像汚れが発生した。
【0154】
【表2】
【0155】
【発明の効果】
本発明により、高精細画像再現が可能であり、含有水分量が少なく、帯電性および耐熱保管性が良好で且つ耐刷性の良好な重合トナーを供給することができる。また本発明のトナーの粒度分布はよりシャープであり、そのため、長期にわたって画像上のガサツキおよび感光体上の拭き残しや凝着を発生させることなく、高精細画像を形成可能である。さらに本発明のトナーは湿式法、特に湿式重合法で製造されるため小粒径化が容易で、製造コストが比較的低い。
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真、静電記録および静電印刷等における静電潜像を現像するために用いられる静電潜像現像用トナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、電子写真、静電記録および静電印刷等における静電潜像を現像するために用いられる静電潜像現像用トナーはいわゆる粉砕法により製造されてきた。粉砕法においては、カーボンブラック等の顔料を熱可塑性樹脂中に混合溶融混練して一様な分散体にした後、適当な微粉砕装置によってトナーとして必要な粒径の粉末に粉砕する。
【0003】
しかしながら、近年、製造コストの低減や高画質化の観点から粉砕法に代わり、小粒径で比較的粒径の揃った樹脂微粒子を得ることが可能な、懸濁重合法、乳化重合法、乳化重合凝集法、乳化分散法等に代表される湿式中での造粒法(湿式法)が注目されている。
【0004】
懸濁重合法は、重合性単量体、重合開始剤および着色剤等を成分とする重合組成物を分散媒体中に懸濁し、重合することによって造粒を行うものである。
乳化重合法は、重合性単量体および着色剤等を成分とする重合組成物を、重合開始剤等を含む分散媒体中に乳化し、重合することによって造粒を行うものである。
乳化重合凝集法は、重合性単量体等を成分とする重合組成物を、重合開始剤等を含む分散媒体中に乳化し、重合することによって造粒した樹脂微粒子を着色剤、ワックス等と乳化状態で凝集させ、所望の造粒を行うものである。
乳化分散法は、結着樹脂と着色剤とを適当な有機溶剤に溶解ないしは分散させて着色樹脂溶液とし、これを水性分散液に加えて激しく撹拌することにより、樹脂溶液の液滴を形成させ、そして加熱して液滴から有機溶剤を除去することにより造粒を行うものである。
【0005】
湿式法によれば、概して小粒径のトナー粒子を形成することが容易であることから高画質化に充分対応することが可能である。また、収率も良好である。上記湿式法の中でも重合過程を含む懸濁重合法、乳化重合法、乳化重合凝集法等の湿式重合法では、樹脂自体を合成するのと同時にトナー化するため、重合過程を含まない乳化分散法に比較してエネルギー的に有利である。特に乳化重合凝集法では、トナー粒子の造粒時における粒径の制御が容易であり、粒度分布がシャープになるという利点を有する。しかしながら、乳化重合凝集法によって製造されたトナー粒子は粒子表面に樹脂微粒子、着色剤粒子、ワックス等が存在するため、帯電性、耐熱保管性および耐吸湿性が低下するという問題があった。
【0006】
そのような問題を解決するために、凝集粒子形成後に凝集粒子表面に微粒子を付着させて付着粒子を形成し、その後加熱融合するトナーの製造方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0007】
【特許文献1】
特開平10−26842号公報(第2頁、請求項1等)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記方法では、帯電性、耐熱保管性および耐吸湿性の低下を十分に防止できず、長期使用時に感光体上にトナーの拭き残しや凝着が発生するという問題が生じた。また、上記方法では十分にシャープな粒度分布を有するトナーが得られず、長期使用時に画像にガサツキが発生する問題が生じた。
【0009】
本発明は、帯電性、耐熱保管性および耐吸湿性に優れ、粒度分布がよりシャープで、長期にわたって画像上のガサツキおよび感光体上の拭き残しや凝着を発生させることなく、高精細画像を形成可能な静電潜像現像用トナーを提供することを目的とする。
【0010】
本明細書中、ガサツキとは濃度ムラや粒状性ノイズに起因する、画像のキメに関する粗粒状感を意味するものとする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、湿式法により樹脂微粒子を形成する工程、
少なくとも該樹脂微粒子と着色剤粒子とを分散媒体中で凝集させながら、加熱によって固定化させ、コア粒子を形成する工程、
コア粒子分散液にシェル用微粒子を添加混合し、コア粒子表面にシェル用微粒子が付着してなるシェル化粒子を形成する工程、および
シェル化粒子分散液を加熱する工程
を含む方法によって製造されることを特徴とする静電潜像現像用トナーに関する。
【0012】
本発明の発明者らは、湿式法で形成された樹脂微粒子および着色剤粒子等を凝集させ、さらに互いに固定化させた後で、シェル用微粒子の付着等を行うことにより上記目的を達成できることを見出した。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の静電潜像現像用トナーは以下に詳しく説明する方法によって製造される。
【0014】
<樹脂微粒子形成工程>
本発明においてはまず、湿式法により樹脂微粒子を形成する。
樹脂微粒子はいかなる湿式法によって形成されてよく、例えば、いわゆる乳化重合法、懸濁重合法、乳化分散法、ミニエマルジョン重合法、非水分散重合法等によって形成されてよい。製造コストの低減の観点からは、乳化重合法、懸濁重合法、ミニエマルジョン重合法、非水分散重合法等の重合過程を含む湿式重合法、特に乳化重合法、懸濁重合法を採用することが好ましい。微小な粒径の樹脂微粒子を有効に得て、よりシャープな粒度分布のトナー粒子を得る観点からは、乳化重合法を採用することが好ましい。
【0015】
形成される樹脂微粒子の体積平均粒径は凝集等によってトナー粒子を形成可能であれば特に制限されず、通常、10〜1000nm程度であり、よりシャープな粒度分布のトナー粒子を得る観点から好ましくは50〜500nm程度である。
【0016】
樹脂微粒子の形成方法を幾つかの例を挙げて具体的に説明する。
(乳化重合法)
乳化重合法では、重合性単量体を含む重合組成物を、重合開始剤を含む分散媒体中に分散し、乳化重合することによって樹脂微粒子を形成してもよいし、または荷電制御剤、磁性粉および離型剤などのトナー成分を予め分散媒体に分散させておき、当該分散媒体に、重合性単量体を含む重合組成物を分散し、シード乳化重合することによって樹脂微粒子を形成してもよい。荷電制御剤、磁性粉および離型剤はそれぞれ独立して予め重合組成物に含有されてもよい。分散方法は特に制限されず、例えば、ホモミキサーやホモジナイザー等の高速撹拌式の分散機を用いればよい。
【0017】
乳化重合およびシード乳化重合(以下、「乳化重合等」という)は多段階で行って樹脂微粒子を形成しても良い。すなわち、重合組成物を分散媒体中、シードの存在下または不存在下で乳化重合し、得られたより微小な樹脂微粒子分散液と別途調製された分散媒体とを混合した後、さらに別途調製された重合組成物を混合・撹拌し、シード乳化重合を行う。このような操作はさらに繰り返し行われても良い。
【0018】
多段階で乳化重合等を行う場合は、通常、合計で3回の乳化重合等を行う。乳化重合等を多段階で行い、かつ離型剤、荷電制御剤および磁性粉等のトナー成分、特に離型剤を重合組成物に添加する場合には、全ての段階の乳化重合等で使用される全ての重合組成物に離型剤等を添加する必要はない。特に、合計で3回の乳化重合等を行う場合、離型剤等は第2回目の乳化重合等で使用される重合組成物に添加されることが好ましい。
【0019】
重合組成物を構成する重合性単量体としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、メトキシスチレン、エチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、クロルスチレン等のスチレン系モノマー;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル等のアルキル(メタ)アクリレート系モノマーが挙げられる。この中でも好ましくはスチレン系モノマーとアルキル(メタ)アクリレート系モノマー、特にスチレンとブチル(メタ)アクリレートとを組み合わせて用いる。
【0020】
重合性単量体として第三のビニル化合物も用いることができる。第三のビニル化合物としてはアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、酢酸ビニル等の酸モノマー、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、エチレン、プロピレン、ブチレン、塩化ビニル、N−ビニルピロリドン、ブタジエン等が挙げられる。
【0021】
重合性単量体の使用割合(共重合比)は、得られるポリマーのガラス転移温度が100℃以下、好ましくは50℃〜90℃、より好ましくは55℃〜80℃になるように選択するのがよい。
そのような使用割合は、スチレン系モノマーとアルキル(メタ)アクリレート系モノマーとを使用する場合で、通常、20/80〜90/10の重量比の範囲から選択される。特に、スチレンとブチルアクリレートの場合、重量比で40/60〜90/10が好ましく、更に好ましくは60/40〜80/20の範囲である。第三のビニル化合物の重合性単量体全体に対する使用割合は、通常20重量%以下、好ましくは10重量%以下である。
【0022】
重合性単量体としてさらに多官能ビニル化合物を使用してもよい。多官能ビニル化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール等のジアクリレート、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール等のジメタクリレート、ジビニルベンゼン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の三級以上のアルコールのジアクリレートおよびトリアクリレート、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の三級以上のアルコールのジメタクリレートおよびトリメタクリレート等が挙げられる。多官能ビニル化合物の重合性単量体全体に対する使用割合は、通常0.001〜5重量%、好ましくは0.003〜2重量%、より好ましくは0.01〜1重量%である。多官能ビニル化合物の共重合比が多すぎると定着性が悪くなったり、OHP上の画像の透明性が悪くなる欠点を有する。
【0023】
多官能ビニル化合物の共重合によりテトラヒドロフランに不溶のゲル成分が生成するが、ゲル成分の重合物全体に占める割合は、通常40重量%以下、好ましくは20重量%以下である。
【0024】
上記のような重合性単量体の重合によって生成する樹脂微粒子中の重合体(樹脂)の最大ピーク分子量としては、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算値として、通常7000〜20万、好ましくは2万から15万、より好ましくは3万〜10万である。分子量ピークは二つ以上あってもよい。分子量分布のピークが肩を有していてもよく、高分子量側にテーリングしていてもよい。
【0025】
重合組成物には、通常、上記の重合性単量体とともに重合時の重合体の分子量分布を制御するため連鎖移動剤が添加される。例えば、乳化重合等を多段階で行う場合には、連鎖移動剤はそれぞれの段階で重合組成物に添加させてもよい。
【0026】
連鎖移動剤として、例えば、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、ステアリルメルカプタン等のアルキルメルカプタン;n−オクチルメルカプトプロピオン酸エステル、n−ドデシルメルカプトプロピオン酸エステル、n−ヘキシルメルカプトプロピオン酸エステル、n−ステアリルメルカプトプロピオン酸エステル等のメルカプトプロピオン酸エステル;n−オクチルメルカプトグリコール酸エステル、n−デシルメルカプトグリコール酸エステル、n−ドデシルメルカプトグリコール酸エステル、2−エチルヘキシルメルカプトグリコール酸エステル等のメルカプトグリコール酸エステル;ジイソプロピルザントゲンジスルフィド等のジスルフィド化合物;2−メルカプトエチルオクタン酸エステル等のメルカプトアルキルオクタン酸エステル;9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−10−オキシド等のフォスファフェナンスレンオキシド化合物等を用いる。
これらの連鎖移動剤は、一般に入手できる市販のものや合成したものを使用することができる。
【0027】
連鎖移動剤の添加量は、所望する分子量や分子量分布によって異なるが、通常、重合性単量体の重量に対して0.1〜5重量%の範囲で添加するのが好ましい。
【0028】
分散媒体は通常、水に重合開始剤が添加されてなっている。
重合開始剤としては、水溶性の重合開始剤が好適に用いられる。具体的には、例えば、過酸化水素、過酸化アセチル、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過酸化物類;2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩、2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)硝酸塩、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸等のアゾ化合物類である。
【0029】
分散媒体には分散安定剤を添加することが好ましいが、添加されなくてもよい。分散安定剤は分散された分散媒体中の液滴が一体化するのを防止する機能を有する。分散安定剤としては公知の界面活性剤が使用可能であり、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等の中から選ばれる分散安定剤を用いることが出来る。これらの界面活性剤は2種以上を併用してもよい。
【0030】
カチオン性界面活性剤の具体例としては、ドデシルアンモニウムクロライド、ドデシルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルピリジニウムクロライド、ドデシルピリジニウムブロマイド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイドなどが挙げられる。また、アニオン性界面活性剤の具体例としては、ステアリン酸ナトリウム、ドデカン酸ナトリウムなどの脂肪酸石鹸、硫酸ドデシルナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。さらに、ノニオン性界面活性剤の具体例としては、ドデシルポリオキシエチレンエーテル、ヘキサデシルポリオキシエチレンエーテル、ノリルフェニルポリオキシエチレンエーテル、ラルリルポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンモノオレアートポリオキシエチレンエーテル、スチリルフェニルポリオキシエチレンエーテル、モノデカノイルショ糖、などが挙げられる。これらの中でアニオン性界面活性剤および/またはノニオン性界面活性剤が好ましい。
【0031】
分散安定剤は、重合中や重合終了後に、追加して添加されてもよい。このような分散安定剤の再添加は分散された液滴の一体化や、造粒された樹脂微粒子の凝集の防止に有効である。
【0032】
乳化重合時の重合温度は使用される上記重合開始剤の分解温度以上であれば特に制限されない。
【0033】
荷電制御剤としては、摩擦帯電により正または負の荷電を与え得る物質として各種のものが使用可能である。正荷電制御剤としては、例えば、ニグロシンベースES(オリエント化学工業社製)などのニグロシン系染料、P−51(オリエント化学工業社製)、コピーチャージPX VP432(クラリアント社製)などの第四級アンモニウム塩、アルコキシ化アミン、アルキルアミド、モリブデン酸キレート顔料、およびPLZ1001(四国化成工業社製)などのイミダゾール化合物が挙げられる。負荷電制御剤としては、例えば、ボントロンS−22(オリエント化学工業社製)、ボントロンS−34(オリエント化学工業社製)、ボントロンE−81(オリエント化学工業社製)、ボントロンE−84(オリエント化学工業社製)、スピロンブラックTRH(保土谷化学工業社製)などの金属錯体、チオインジオ系顔料、ボントロンE−89(オリエント化学工業社製)などのカレックスアレン化合物、コピーチャージNX VP434(クラリアント社製)などの第四級アンモニウム塩、フッ化マグネシウム、フッ化カーボンなどのフッ素化合物などが挙げられる。なお、負荷電制御剤となる金属錯体としては、上記に示したもの以外にもオキシカルボン酸金属錯体、ジカルボン酸金属錯体、アミノ酸金属錯体、ジケトン酸金属錯体、ジアミン金属錯体、アゾ基含有ベンゼン−ベンゼン誘導体骨格金属錯体、アゾ基含有ベンゼン−ナフタレン誘導体骨格金属錯体などの各種の構造を有したものであってもよい。
【0034】
荷電制御剤は、その粒径が10〜100nm程度のものであることが均一な分散を得る上からも望ましい。市販品等として供給される形態においてその粒径が上記範囲の上限値を越える場合は、ジェットミル等により粉砕を行うなどの公知の方法により適当な粒径に調製することが望ましい。
荷電制御剤の使用量は通常、最終的に得られるトナー粒子中の含有量が重合体100重量部に対して0.1〜10重量部となるような量である。
【0035】
離型剤としては、公知のワックス類の任意のものを使用することができる。具体的には、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、共重合ポリエチレン等のオレフィン系ワックス、パラフィンワックス;ベヘン酸エステル、モンタン酸エステル、ステアリン酸エステル等の長鎖脂肪族基を有するエステル系ワックス;水添ひまし油、カルナバワックス等の植物系ワックス;ジステアリルケトン等の長鎖アルキル基を有するケトン;アルキル基を有するシリコーン;ステアリン酸等の高級脂肪酸;長鎖脂肪族アルコール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の多価アルコールと長鎖脂肪酸との(部分)エステル;オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド等の高級脂肪酸アミド、等が例示されている。
離型剤の使用量は通常、最終的に得られるトナー粒子中の含有量が重合体100重量部に対して1〜25重量部、好ましくは3〜20重量部、より好ましくは5〜15重量部となるような量である。
磁性粉としては、マグネタイト、γ−ヘマタイト、あるいは各種フェライト等がある。
【0036】
(懸濁重合法)
懸濁重合法では、重合性単量体および重合開始剤を含む重合組成物を分散媒体中に分散し、懸濁重合することによって樹脂微粒子を形成する。荷電制御剤、磁性粉および離型剤等のトナー成分はそれぞれ独立して予め重合組成物に含有されてよい。
【0037】
懸濁重合法を採用して樹脂微粒子を形成する場合についての説明は、以下の事項以外、上記乳化重合法と同様であるため省略する。
【0038】
・懸濁重合法で重合開始剤は重合組成物に添加されること。そのため、非水溶性のものを使用する。非水溶性重合開始剤としては従来から懸濁重合法の重合開始剤として使用されているものであれば特に制限されず、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、ステアリルパーオキサイドのようなパーオキサイド系開始剤や2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)のようなアゾビス系開始剤等が挙げられる。
【0039】
・懸濁重合時の重合温度は使用される上記非水溶性重合開始剤の分解温度以上であれば特に制限されないこと。通常40〜150℃とすることが好ましい。懸濁重合法においては、樹脂微粒子内のモノマーの残留を極力抑えることが好ましい。モノマーの残留量が多いと、トナーとなってからの臭い、帯電性の不安定化および軟化温度のバラツキなどの原因となる。そのため、反応の前半は低温(40℃〜80℃)で重合を行い、反応の後半は高温(80℃から150℃)で重合を行うなどの多段階重合法を用いたり、重合性単量体を予め重合させたプレポリマーを用いたりして、モノマーの残留を抑えることが望ましい。
【0040】
(ミニエマルジョン重合法)
ミニエマルジョン重合法は、乳化重合法の一形態であり、臨界ミセル濃度以下の濃度の界面活性剤を溶解してなる水系媒体中に、ワックス等の添加剤を単量体に溶解した単量体溶液を機械的エネルギーを利用して油滴分散させて分散液を調製し、得られた分散液に水溶性重合開始剤を添加して、油滴内でラジカル重合して造粒する方法である。この重合法によると、通常の乳化重合法とは異なり、油相に溶解させた添加物の脱離が少なく、形成される樹脂微粒子内に十分な量の添加剤を導入することができる。
【0041】
また、上記水溶性重合開始剤に代えて、あるいは水溶性重合開始剤とともに、油溶性重合開始剤を用いてもよい。油溶性の重合開始剤を重合性モノマーと添加剤とで共存させ、臨界ミセル濃度以下の界面活性剤の存在下で、機械的に分散及び重合を行うことにより、モノマー粒子内での添加剤の分子拡散が抑制され、モノマー油滴内でのみ重合が進行するため、微粒子でかつ、所望の添加物がモノマー粒子内に確実に含有された樹脂微粒子を得ることができる。
【0042】
ここでの水系媒体とは、水50〜100重量%と水溶性有機溶媒0〜50重量%とからなる媒体を言う。水溶性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等を挙げることができ、得られる樹脂微粒子を溶解しないアルコール系有機溶媒が好ましい。
【0043】
機械的エネルギーによる油滴分散を行うための分散機としては、特に限定されるものではなく、例えば、高速回転するローターを備えた撹拌装置(クレアミックス:エム・テクニック社製)、超音波分散機、機械式ホモジナイザー、マントンゴーリン、圧力式ホモジナイザー、ホモミキサー等を挙げることができる。
【0044】
<コア粒子形成工程>
上記のように湿式法で樹脂微粒子を形成した後は、少なくとも該樹脂微粒子と着色剤粒子とを分散媒体中で混合して凝集させながら、加熱によって固定化させ、コア粒子を形成する。
【0045】
湿式法により形成された樹脂微粒子は通常、分散液の形態で得られるため、樹脂微粒子と着色剤粒子との混合は、樹脂微粒子分散液と着色剤粒子とを混合することにより達成されても、または樹脂微粒子分散液と着色剤粒子分散液とを混合することにより達成されてもよい。着色剤粒子分散液は、前記分散安定剤が溶解された水溶液に所定量の着色剤粒子を分散させて調製されればよい。
【0046】
着色剤粒子としては、以下に示されるような有機ないしは無機の各種、各色の顔料が使用可能である。
黒色顔料としては、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリン・ブラック、活性炭、非磁性フェライト、磁性フェライト、マグネタイトなどがある。
黄色顔料としては、黄鉛、亜鉛黄、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキなどがある。
橙色顔料としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGKなどがある。
【0047】
赤色顔料としては、ベンガラ、鉛丹、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドC、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bなどがある。
紫色顔料としては、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキなどがある。
青色顔料としては、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー誘導体、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBCなどがある。
緑色顔料としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG、フタロシアニングリーンなどがある。
【0048】
白色顔料としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、酸化スズなどがある。
体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト、カオリンなどがある。
【0049】
着色剤粒子の平均一次粒径は10〜1000nm、特に50〜500nmが好ましい。
着色剤粒子と樹脂微粒子との混合比は重量比率(着色剤粒子/樹脂微粒子)で通常、1/100〜20/100、特に2/100〜25/100が好適である。着色剤粒子は、単独あるいは複数組合せて用いることができ、その場合には、着色剤粒子合計使用量と樹脂微粒子使用量との混合比が上記範囲内であればよい。着色剤使用量が多すぎるとトナーの定着性が低下し、少なすぎると所望の画像濃度が得られない。
【0050】
凝集は、通常、樹脂微粒子と着色剤粒子等との混合後、凝集粒子の安定化およびトナー粒子の粒度分布制御を目的として分散系に凝集剤を添加することによって行われる。本明細書中、「凝集」は、樹脂微粒子と着色剤粒子等とが単に付着することを意図する概念で用いるものとする。「凝集」によって、構成粒子は接触しているものの、樹脂微粒子等の溶融による結合は形成されていない、いわゆるヘテロ凝集粒子(群)が形成される。そのような「凝集」によって形成される粒子群を単に「凝集粒子」と呼ぶものとする。
【0051】
凝集剤としては樹脂微粒子とは極性の異なるイオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤や金属塩等の一価以上の電荷を有する化合物が使用可能である。具体的には、前記のカチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤およびノニオン性界面活性剤等の水溶性界面活性剤類;塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、シュウ酸等の酸類;塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硝酸アルミニウム、硝酸銀、硫酸銅、炭酸ナトリウム等の無機酸の金属塩;酢酸ナトリウム、蟻酸カリウム、シュウ酸ナトリウム、フタル酸ナトリウム、サリチル酸カリウム等の脂肪族酸、芳香族酸の金属塩;ナトリウムフェノレート等のフェノール類の金属塩;アミノ酸の金属塩;トリエタノールアミン塩酸塩、アニリン塩酸塩等の脂肪族、芳香族アミン類の無機酸塩等が挙げられる。凝集粒子の安定性、凝集剤の熱や経時に対する安定性、洗浄時の除去を考慮するときに、無機酸の金属塩が性能、使用の点で好ましい。
【0052】
これらの凝集剤の添加量は臨界凝集濃度以上であり、具体的には、電荷の価数により異なるが、いずれも少量でよく、全分散系に対して一価の場合には3重量%以下、二価の場合には1重量%以下、三価の場合は0.5重量%以下程度である。凝集剤の添加量は少ない方が好ましく、価数の多い化合物の方が添加量を少なくすることができるので好適である。
【0053】
凝集剤添加時の分散系の温度は特に制限されないが、通常は室温(Rt)以上Rt+60℃以下が適当である。
【0054】
本発明においては上記のように凝集を進行させつつ、加熱によって固定化を行い、少なくとも樹脂微粒子と着色剤粒子とが互いに固定化されてなるコア粒子を形成する。本明細書中、固定化とは互いに単に付着した粒子群(例えば、凝集粒子)における個々の構成粒子の界面の少なくとも一部において樹脂等の溶融によって結合が形成されることをいう。そのような固定化の態様として、「融着」と「融合」がある。「融着」は互いに単に付着した粒子群(例えば、凝集粒子)における個々の構成粒子の界面の一部において樹脂等の溶融による結合が形成されることを意味し、そのような「融着」がなされた粒子群を「融着粒子」と呼ぶ。「融合」は該融着がさらに進行して融着粒子の構成粒子が樹脂等の溶融によって一体化され、使用、取り扱い単位としての一つの粒子となることを意味し、そのような「融合」がなされた粒子群を「融合粒子」と呼ぶ。製造エネルギーの低減の観点からは、固定化として「融着」が達成されることが好ましい。
【0055】
そのような固定化を行った後で、後で詳述するシェル用微粒子の付着等を行うため、本発明においては、トナー粒子の粒度分布をよりシャープにし、かつトナー粒子表面部でシェル用微粒子を有効に機能させることができる。そのため、トナーの帯電性、耐熱保管性および耐吸湿性ならびに画質性が向上し、結果として画像上のガサツキおよび感光体上の拭き残しや凝着を発生させることなく、長期にわたって高精細画像を形成できると考えられる。すなわち、凝集を行った後、固定化を行うことなく、シェル用微粒子の付着等を行うと、トナー粒子の粒度分布が比較的ブロードになり長期にわたってガサツキを防止できない。また帯電性、耐熱保管性および耐吸湿性が低下し、長期使用時に感光体上にトナーの拭き残しや凝着が発生する。固定化を行わないと、単なる付着力により形成されている凝集粒子にシェル用微粒子を付着させたときに、凝集粒子が破壊されたり、小径化することがあるため、粒度分布が比較的ブロードになると考えられる。単なる付着力により形成されている凝集粒子にシェル用微粒子を付着させると、その後の加熱によって少なくとも一部のシェル用微粒子がトナー粒子内部に完全に埋没し、有効に機能しないため、帯電性、耐熱保管性および耐吸湿性が低下し、凝着等の問題が生じると考えられる。
【0056】
固定化を達成するための加熱温度は加熱時間および樹脂微粒子のガラス転移温度、撹拌時の回転数等に依存するため、一概に規定できないが、通常は樹脂微粒子のガラス転移温度(Tgr)以上、特にTgr以上Tgr+60℃以下の温度である。Tgr未満であると、いくら加熱時間を長く設定しても、固定化を達成できない。具体的には、加熱温度がTgr以上Tgr+25℃未満のとき融着が起こり、Tgr+25℃以上のとき融合が起こる。
【0057】
加熱時間は固定化が達成されれば特に制限されず、例えば、凝集剤添加時の温度から所定の加熱温度に到達するまでの昇温時間を含めて、0.1〜30時間、特に0.2〜20時間が好適である。
【0058】
本工程では離型剤、荷電制御剤および磁性粉等のトナー成分またはそれらの分散液を、着色剤粒子またはその分散液とともに樹脂微粒子と混合して、凝集を行ってもよい。
【0059】
<シェル化粒子形成工程>
コア粒子を形成した後は、コア粒子分散液にシェル用微粒子を添加混合し、コア粒子表面にシェル用微粒子が付着されてなるシェル化粒子を形成する。
【0060】
シェル用微粒子としては、トナー粒子表面に存在することによりトナーに各種性能を付与し得る平均粒径30〜1000nm、特に50〜500nmの有機または無機微粒子であれば特に制限されない。
【0061】
有機微粒子としては、例えば、ポリエステル系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂等の樹脂材料からなる微粒子が挙げられる。有機微粒子には、画像濃度の観点から、後述で前記顔料を含有させてもよい。
無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化亜鉛等の無機材料からなる微粒子が挙げられる。
【0062】
上記の中でも、帯電性を阻害することなく、トナーに耐吸湿性および耐熱保管性を有効に付与する観点から、有機微粒子、特にポリエステル系樹脂微粒子が好ましく、より好ましくはガラス転移点が55℃以上、特に60〜90℃のポリエステル系樹脂からなる微粒子を使用する。
【0063】
ポリエステル系樹脂としては、例えば、以下の多価アルコール類、多価カルボン酸類およびヒドロキシカルボン酸類からなる群から選択された1種またはそれ以上のモノマーを重縮合または/および開環重合させて得られるポリマーが挙げられる。
【0064】
多価アルコール類の具体例として、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスフェノールC、ビスフェノールF、ビスフェノールZ、ならびにそれらのエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物等の芳香族ジアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチルペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラメチレングリコール等の脂肪族ジアルコール類、シクロヘキサンジメタノール、シクロペンタンジメタノール等の脂環族ジアルコール類、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の三価以上の脂肪族アルコール類、トリフェノールメタン、トリフェノールエタン等の三価以上の芳香族アルコール類等が挙げられる。
【0065】
多価カルボン酸類の具体例として、例えば、イソフタル酸、テレフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、スルホイソフタル酸ナトリウム等の芳香族ジカルボン酸類、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマール酸、シュウ酸、デカンジカルボン酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸類、トリメリット酸、ピロメリット酸等の三価以上の芳香族カルボン酸類、メタントリカルボン酸、エタントリカルボン酸等の三価以上の脂肪族カルボン酸類等が挙げられる。
ヒドロキシカルボン酸類の具体例として、例えば、ε−カプロラクトン、ラクチド等が挙げられる。
【0066】
上記モノマーからなるポリエステル系樹脂の中でも、芳香族アルコール類(芳香族ジアルコール類および/または三価以上の芳香族アルコール類)、特に芳香族ジアルコール類と、芳香族カルボン酸類(芳香族ジカルボン酸類および/または三価以上の芳香族カルボン酸類)、特に芳香族ジカルボン酸類との重縮合によって得られたものが好ましい。
【0067】
有機微粒子は、樹脂材料を公知の重縮合法または/および開環重合法によって合成し、得られた樹脂を有機溶剤に溶解してなる溶液を水媒体中に分散し、有機溶剤を蒸発させることによって製造可能である。顔料を含有させる場合には樹脂溶液に顔料を分散させればよい。
【0068】
またシェル用微粒子は、コア粒子表面へのシェル用微粒子の付着を容易に達成する観点から、自己分散性を有することが好ましい。「自己分散性」とは、20℃の水に対して5重量%のシェル用微粒子を単独で分散させてなる分散液を20℃で10分撹拌なしで放置しても、シェル用微粒子が沈降することなく、水中で浮遊分散し得る性質をいう。
【0069】
そのような自己分散性を有するポリエステル系樹脂微粒子は分子中に置換基として水酸基、カルボキシル基、アミノ基、スルフォン酸基、ホスフォン酸基等の親水基を適度に有するポリエステル系樹脂からなる微粒子である。
自己分散性ポリエステル系樹脂微粒子の市販品として、例えば、バイロナールMD−1200(東洋紡社製、Tg;67℃)、バイロナールMD−1245(東洋紡社製、Tg;61℃)、バイロナールMD−1220(東洋紡社製、Tg;67℃)等が入手可能である。
【0070】
コア粒子とシェル用微粒子との混合比は特に制限されるものではなく、重量比率(コア粒子/シェル用微粒子)で通常、5/100〜60/100、特に10/100〜50/100が好適である。
【0071】
シェル用微粒子のコア粒子への付着は分散系を市販の分散機、例えば、ホモミキサーやホモジナイザー等によって高速撹拌することによって容易に達成できる。
【0072】
本工程においてシェル用微粒子とコア粒子との間では少なくとも付着が達成される限り、付着および融着が起こっても良い。すなわち、シェル用微粒子をコア粒子表面に付着および融着させてもよい。
【0073】
本工程の実施温度は少なくとも付着が起こる限り特に制限されず、トナーの製造コスト低減の観点から、通常は先のコア粒子形成工程での最終温度に比較的近い温度、例えば、Tgr−10℃以上Tgr+50℃未満の温度で行われる。一般的には上記温度範囲内でTgr未満の温度を採用すると付着のみが起こり、Tgr以上の温度を採用すると付着および融着が起こる。
【0074】
本工程の実施時間(例えば、撹拌・混合時間)は通常、30分間〜20時間である。
【0075】
<加熱工程>
シェル化粒子を形成した後は、シェル化粒子分散液を加熱してトナー粒子を形成する。加熱によって、コア粒子とシェル用微粒子との融合、ならびに必要によりコア粒子における樹脂微粒子と着色剤粒子等との融合が達成される。すなわち、コア粒子において樹脂微粒子と着色剤粒子等との融合がまだ達成されていない場合、本工程では、樹脂微粒子と着色剤粒子等との融合およびコア粒子とシェル用微粒子との融合が達成される。またコア粒子における樹脂微粒子と着色剤粒子等との融合が既に達成されている場合には、本工程では、コア粒子とシェル用微粒子との融合が達成される。
【0076】
本発明においてはコア粒子形成工程で樹脂微粒子と着色剤粒子等との固定化(融着または融合)が行われているため、本工程で加熱によりコア粒子とシェル用微粒子との融合等を行っても、シェル用微粒子はコア粒子内部に完全に埋没することはない。すなわち、得られるトナー粒子は個々のシェル用微粒子が表面から有効に露出した構造を有している。
【0077】
本工程での加熱温度および加熱時間は上記のような融合が達成される限り特に制限されず、また樹脂微粒子のガラス転移温度、撹拌の回転数等に依存するため、一概に規定できない。通常はTgr+5℃以上、特にTgr+10℃以上Tgr+60℃以下の温度で15時間〜10分間加熱を行う。
【0078】
本工程はシェル化粒子形成工程と同時に行っても良い。すなわち、本工程に従ってコア粒子分散液を加熱しながら、シェル化粒子形成工程に従って該コア粒子分散液にシェル用微粒子を添加混合する。これによって、コア粒子とシェル用微粒子との付着、融着および融合、ならびに必要によりコア粒子における樹脂微粒子と着色剤粒子等との融合をひとつの工程で行うことができる。
【0079】
<洗浄・乾燥工程>
トナー粒子を形成した後は、通常、トナー粒子分散液からトナー粒子を取り出し、洗浄工程において製造時に混入した不純物を除去し、これを乾燥する。
【0080】
洗浄工程においては、酸性、場合によっては塩基性の水をトナー粒子に対して数倍の量で加え攪拌した後、ろ過して固形分を得る。これに純水を固形分に対して数倍加えて攪拌した後、ろ過を行なう。この操作を数回繰り返し、ろ過後のロ液のpHが約7になった時点で終了し、トナー粒子を得る。
【0081】
乾燥工程においては、洗浄工程で得たトナー粒子をガラス転移温度以下の温度で乾燥する。この時、必要な温度に応じて乾燥空気を循環させたり、真空条件下で加熱する等の方法を取るとよい。乾燥工程では、通常の振動型流動乾燥法、スプレードライ法、凍結乾燥法、フラッシュジェット法等、任意の方法を採用することができる。
【0082】
本発明のトナーは以上のような方法で形成されたトナー粒子を含んでなり、粒度分布の幅がよりシャープである。詳しくは、体積平均粒径/個数平均粒径が1.20以下、特に1.05〜1.15である。
【0083】
また本発明のトナーはトナー粒子の表面や内部、特に表面に処理剤を有していてもよい。
上記の処理剤としては、例えば、微粉末のシリカ、アルミナ、チタニア等の流動性向上剤、マグネタイト、フェライト、酸化セリウム、チタン酸ストロンチウム、導電性チタニア等の無機微粒子、スチレン樹脂、アクリル樹脂などの抵抗調整剤、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムおよびステアリン酸マンガン等の滑剤などが使用される。これらの処理剤の使用量は、所望する性能により適宜選定すればよく、トナー粒子(重合性単量体)に対して、通常0.05〜10重量%である。
【0084】
本発明のトナーの使用形態は特に制限されず、二成分現像剤用トナーとして使用されても、一成分現像剤用トナーとして使用されてもよい。
【0085】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。なお、以下の部は重量部である。
実施例1
撹拌装置、加熱冷却装置、濃縮装置、および原料・助剤仕込み装置を備えた反応フラスコに、ドデシルスルホン酸ソーダ1.4部をイオン交換水600部に溶解させた溶液を仕込み、窒素気流下200rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。この溶液に、過硫酸カリウム1.8部をイオン交換水40部に溶解させた溶液を添加し、温度を75℃とした後、スチレン14部、n−ブチルアクリレート4部、メタクリル酸2部からなる単量体混合液を30分かけて滴下し、この系を75℃にて重合させ、ラテックスA1を調整した。
【0086】
次に、撹拌装置、加熱冷却装置、濃縮装置、および原料・助剤仕込み装置を備えた反応フラスコに、スチレン21部、n−ブチルアクリレート6部、メタクリル酸1.3部、2−メルカプトエチルオクタン酸エステル1.1部からなる単量体混合液に、パラフィンワックス(NHP0190:日本精蝋社製)14部を添加し、85℃に加温し溶解させて単量体溶液を調製した。一方、ドデシルスルホン酸ソーダ0.3部をイオン交換水540部に溶解させた溶液を80℃に加熱し、この溶液に前記ラテックスA1を固形分換算で5.6部添加した後、ホモジナイザーTKホモミキサー(特殊機化工業社製)により前記単量体溶液を混合分散させ、乳化液を調製した。次いで、この乳化液に過硫酸カリウム1部をイオン交換水50部に溶解させた溶液と、イオン交換水150部とを添加し、温度を80℃とした後、3時間重合させてラテックスB1
を得た。
【0087】
上記のようにして得られたラテックスB1に、過硫酸カリウム1.5部をイオン交換水40部に溶解させた溶液を添加し、温度を80℃とした後、スチレン81部、n−ブチルアクリレート16部、メタクリル酸3部、2−メルカプトエチルオクタン酸エステル2.1部からなる単量体混合液を30分かけて滴下し、この系を80℃にて2時間重合させた後、30℃まで冷却し、ラテックスC1を得た。このラテックスにおける樹脂微粒子の体積平均粒径は150nmであり、Tgは60℃であった。ラテックスにおける樹脂微粒子の体積平均粒径は日機装社製、粒度分布計マイクロトラックUPA150で測定した(以下、同様とする)。TgはDSC(商品名:SSC/5200、セイコー電子社製)で測定した(以下、同様とする)。
【0088】
n−ドデシル硫酸ナトリウム12部を、イオン交換水300部に撹拌溶解した。この溶液を撹拌しながら、カーボンブラック(リーガル330:キャボット社製)84部を徐々に添加し、次いでTKホモミキサー(特殊機化工業社製)により分散させて着色剤分散液を得た。
【0089】
前記ラテックスC1、84部(固形分換算)と、イオン交換水180部と、前記着色剤分散液10部(固形分換算)とを、撹拌装置、加熱冷却装置、濃縮装置、および原料・助剤仕込み装置を備えた反応フラスコに入れ撹拌した。内温を30℃に調整した後、この溶液に5Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを11.0に調整した。次いで、塩化マグネシウム6水和物2.4部をイオン交換水200部に溶解した溶液を30℃にて10分間かけて添加した後、この系を30分間かけて80℃まで昇温した(凝集・融着工程)。このとき、光学顕微鏡にて融着粒子を観察すると、平均粒径は約5.7μmであった。
【0090】
自己分散型ポリエステル樹脂(バイロナールMD−1200:東洋紡社製、Tg67℃)10部を、イオン交換水100部に添加し、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)により分散させてポリエステル樹脂分散液(1)を得た。
内温を70℃に冷却した前記融着分散液に前記ポリエステル樹脂分散液(1)を8.4部(固形分換算)を添加して、内温70℃を維持しながら回転数350rpmで5時間撹拌し、融着粒子の表面に自己分散型ポリエステル樹脂を付着および融着させた(付着工程)。
【0091】
次に、塩化ナトリウム16部をイオン交換水200部に溶解した溶液を添加して粒子成長を停止させ、さらに熟成処理として液温度90℃で2時間保持して融合を行った(融合工程)。その後、30℃まで冷却し、塩酸を添加してpHを2.0に調整し、撹拌を停止した。生成した融合粒子を濾過し、イオン交換水で繰り返し洗浄し、その後、40℃の温風で乾燥することにより体積平均粒径6.0μmのトナー粒子を得た。
【0092】
得られたトナー粒子100部に対して、疎水性シリカ(H−2000:ワッカー社製)0.3部および疎水性酸化チタン(T−805:日本アエロジル)0.5部を添加し、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機社製)にて1000rpmで1分間、後処理を行いトナーを得た。
【0093】
実施例2
撹拌装置、加熱冷却装置、濃縮装置、および原料・助剤仕込み装置を備えた反応フラスコに、ドデシルスルホン酸ソーダ1.4部をイオン交換水600部に溶解させた溶液を仕込み、窒素気流下200rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。この溶液に、過硫酸カリウム1.8部をイオン交換水40部に溶解させた溶液を添加し、温度を75℃とした後、スチレン15部、n−ブチルアクリレート4部、メタクリル酸3部からなる単量体混合液を30分かけて滴下し、この系を75℃にて重合させ、ラテックスA2を調整した。
【0094】
次に、撹拌装置、加熱冷却装置、濃縮装置、および原料・助剤仕込み装置を備えた反応フラスコに、スチレン20部、n−ブチルアクリレート5部、メタクリル酸1.5部、オクチルメルカプタン1.0部からなる単量体混合液に、パラフィンワックス(NHP0190:日本精蝋社製)14部を添加し、85℃に加温し溶解させて単量体溶液を調製した。一方、ドデシルスルホン酸ソーダ0.3部をイオン交換水540部に溶解させた溶液を80℃に加熱し、この溶液に前記ラテックスA2を固形分換算で5.6部添加した後、ホモジナイザーTKホモミキサー(特殊機化工業社製)により前記単量体溶液を混合分散させ、乳化液を調製した。次いで、この乳化液に過硫酸カリウム1部をイオン交換水50部に溶解させた溶液と、イオン交換水150部とを添加し、温度を80℃とした後、3時間重合させてラテックスB2を得た。
【0095】
上記のようにして得られたラテックスB2に、過硫酸カリウム1.5部をイオン交換水40部に溶解させた溶液を添加し、温度を80℃とした後、スチレン71部、n−ブチルアクリレート21部、メタクリル酸8部、オクチルメルカプタン1.8部からなる単量体混合液を30分かけて滴下し、この系を80℃にて2時間重合させた後、30℃まで冷却し、ラテックスC2を得た。このラテックスにおける樹脂微粒子の体積平均粒径は120nmであり、Tgは58℃であった。
【0096】
n−ドデシル硫酸ナトリウム12部を、イオン交換水300部に撹拌溶解した。この溶液を撹拌しながら、カーボンブラック(リーガル330:キャボット社製)84部を徐々に添加し、次いでTKホモミキサー(特殊機化工業社製)により分散させて着色剤分散液を得た。
【0097】
前記ラテックスC2、84部(固形分換算)と、イオン交換水180部と、前記着色剤分散液10部(固形分換算)とを、撹拌装置、加熱冷却装置、濃縮装置、および原料・助剤仕込み装置を備えた反応フラスコに入れ撹拌した。内温を30℃に調整した後、この溶液に5Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを11.0に調整した。次いで、塩化マグネシウム6水和物2.4部をイオン交換水200部に溶解した溶液を30℃にて10分間かけて添加した後、この系を30分間かけて80℃まで昇温した(凝集・融着工程)。このとき、光学顕微鏡にて融着粒子を観察すると、平均粒径は約5.2μmであった。
【0098】
自己分散型ポリエステル樹脂(バイロナールMD−1245:東洋紡社製、Tg61℃)10部を、イオン交換水100部に添加し、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)により分散させてポリエステル樹脂分散液(2)を得た。
内温を70℃に冷却した前記融着分散液に前記ポリエステル樹脂分散液(2)を12.8部(固形分換算)を添加して、内温70℃を維持しながら回転数300rpmで6時間撹拌し、融着粒子の表面に自己分散型ポリエステル樹脂を付着および融着させた(付着工程)。
【0099】
その後、塩化ナトリウム16部をイオン交換水200部に溶解した溶液を添加して粒子成長を停止させ、さらに熟成処理として液温度90℃で2時間保持して融合を行った(融合工程)。その後、30℃まで冷却し、塩酸を添加してpHを2.0に調整し、撹拌を停止した。生成した融合粒子を濾過し、イオン交換水で繰り返し洗浄し、その後、40℃の温風で乾燥することにより体積平均粒径5.9μmのトナー粒子を得た。
【0100】
得られたトナー粒子100部に対して、疎水性シリカ(H−2000:ワッカー社製)0.3部および疎水性酸化チタン(T−805:日本アエロジル)0.5部を添加し、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機社製)にて1000rpmで1分間、後処理を行いトナーを得た。
【0101】
実施例3
実施例1においてと同様の方法でラテックスA1を調製した。
次に、撹拌装置、加熱冷却装置、濃縮装置、および原料・助剤仕込み装置を備えた反応フラスコに、スチレン21部、n−ブチルアクリレート6部、メタクリル酸1.3部、2−メルカプトプロピオン酸n−オクチルエステル1.1部からなる単量体混合液に、パラフィンワックス(NHP0190:日本精蝋社製)14部を添加し、85℃に加温し溶解させて単量体溶液を調製した。一方、ドデシルスルホン酸ソーダ0.3部をイオン交換水540部に溶解させた溶液を80℃に加熱し、この溶液に前記ラテックスA1を固形分換算で5.6部添加した後、ホモジナイザーTKホモミキサー(特殊機化工業社製)により前記単量体溶液を混合分散させ、乳化液を調製した。次いで、この乳化液に過硫酸カリウム1部をイオン交換水50部に溶解させた溶液と、イオン交換水150部とを添加し、温度を80℃とした後、3時間重合させてラテックスB3を得た。
【0102】
上記のようにして得られたラテックスB3に、過硫酸カリウム1.5部をイオン交換水40部に溶解させた溶液を添加し、温度を80℃とした後、スチレン78.5部、n−ブチルアクリレート16.5部、メタクリル酸5部、2−メルカプトプロピオン酸n−オクチルエステル2.1部からなる単量体混合液を30分かけて滴下し、この系を80℃にて2時間重合させた後、30℃まで冷却し、ラテックスC3を得た。このラテックスにおける樹脂微粒子の体積平均粒径は180nmであり、Tgは62℃であった。
【0103】
n−ドデシル硫酸ナトリウム18部をイオン交換水320部に撹拌溶解した。この溶液を撹拌しながら、赤色顔料(PR122:大日精化社製)5.3部を徐々に添加し、次いでTKホモミキサー(特殊機化工業社製)により分散させて着色剤分散液を得た。
【0104】
前記ラテックスC3、84部(固形分換算)と、イオン交換水180部と、前記着色剤分散液8部(固形分換算)とを、撹拌装置、加熱冷却装置、濃縮装置、および原料・助剤仕込み装置を備えた反応フラスコに入れ撹拌した。内温を30℃に調整した後、この溶液に5Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを11.0に調製した。次いで、塩化マグネシウム6水和物2.4部をイオン交換水200部に溶解した溶液を30℃にて10分間かけて添加した後、この系を30分間かけて83℃まで昇温した(凝集・融着工程)。このとき、光学顕微鏡にて融着粒子を観察すると、平均粒径は約4.8μmであった。
【0105】
自己分散型ポリエステル樹脂(バイロナールMD−1220:東洋紡社製、Tg67℃)10部を、イオン交換水100部に添加し、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)により分散させてポリエステル樹脂分散液(3)を得た。
内温を70℃に冷却した前記融着分散液に前記ポリエステル樹脂分散液(3)を16.8部(固形分換算)を添加した後、内温を75℃に上昇させて回転数350rpmで4時間撹拌し、融着粒子の表面に自己分散型ポリエステル樹脂を付着および融着させた(付着工程)。
【0106】
その後、塩化ナトリウム16部をイオン交換水200部に溶解した溶液を添加して粒子成長を停止させ、さらに熟成処理として液温度95℃で1時間保持して融合を行った(融合工程)。その後、30℃まで冷却し、塩酸を添加してpHを2.0に調整し、撹拌を停止した。生成した融合粒子を濾過し、イオン交換水で繰り返し洗浄し、その後、40℃の温風で乾燥することにより体積平均粒径5.5μmのトナー粒子を得た。
【0107】
得られたトナー粒子100部に対して、疎水性シリカ(H−2000:ワッカー社製)0.3部および疎水性酸化チタン(T−805:日本アエロジル)0.5部を添加し、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機社製)にて1000rpmで1分間、後処理を行いトナーを得た。
【0108】
実施例4
撹拌装置、加熱冷却装置、濃縮装置、および原料・助剤仕込み装置を備えた反応フラスコに、ドデシルスルホン酸ソーダ1.4部をイオン交換水600部に溶解させた溶液を仕込み、窒素気流下200rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。この溶液に、過硫酸カリウム1.8部をイオン交換水40部に溶解させた溶液を添加し、温度を75℃とした後、スチレン13部、n−ブチルアクリレート7部、メタクリル酸2部からなる単量体混合液を30分かけて滴下し、この系を75℃にて重合させ、ラテックスA3を調整した。
【0109】
次に、撹拌装置、加熱冷却装置、濃縮装置、および原料・助剤仕込み装置を備えた反応フラスコに、スチレン20部、n−ブチルアクリレート7部、メタクリル酸1.2部、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−10−オキシド1.1部からなる単量体混合液に、パラフィンワックス(NHP0190:日本精蝋社製)14部を添加し、85℃に加温し溶解させて単量体溶液を調製した。一方、ドデシルスルホン酸ソーダ0.3部をイオン交換水540部に溶解させた溶液を80℃に加熱し、この溶液に前記ラテックスA3を固形分換算で5.6部添加した後、ホモジナイザーTKホモミキサー(特殊機化工業社製)により前記単量体溶液を混合分散させ、乳化液を調製した。次いで、この乳化液に過硫酸カリウム1部をイオン交換水50部に溶解させた溶液と、イオン交換水150部とを添加し、温度を80℃とした後、3時間重合させてラテックスB4を得た。
【0110】
上記のようにして得られたラテックスB4に、過硫酸カリウム1.5部をイオン交換水40部に溶解させた溶液を添加し、温度を80℃とした後、スチレン74部、n−ブチルアクリレート18部、メタクリル酸8部、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−10−オキシド2.1部からなる単量体混合液を30分かけて滴下し、この系を80℃にて2時間重合させた後、30℃まで冷却し、ラテックスC4を得た。このラテックスにおける樹脂微粒子の体積平均粒径は200nmであり、Tgは64℃であった。
【0111】
n−ドデシル硫酸ナトリウム18部をイオン交換水320部に撹拌溶解した。この溶液を撹拌しながら、黄色顔料(ピグメントイエロー74:クラリアントジャパン社製)8.4部を徐々に添加し、次いでTKホモミキサー(特殊機化工業社製)により分散させて着色剤分散液を得た。
【0112】
前記ラテックスC4、84部(固形分換算)と、イオン交換水180部と、前記着色剤分散液8部(固形分換算)とを、撹拌装置、加熱冷却装置、濃縮装置、および原料・助剤仕込み装置を備えた反応フラスコに入れ撹拌した。内温を30℃に調整した後、この溶液に5Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを11.0に調製した。次いで、塩化マグネシウム6水和物2.4部をイオン交換水200部に溶解した溶液を30℃にて10分間かけて添加した後、この系を35分間かけて86℃まで昇温した(凝集・融着工程)。このとき、光学顕微鏡にて融着粒子を観察すると、平均粒径は約5.2μmであった。
【0113】
自己分散型ポリエステル樹脂(バイロナールMD−1245:東洋紡社製、Tg61℃)10部を、イオン交換水100部に添加し、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)により分散させてポリエステル樹脂分散液(4)を得た。
内温を70℃に冷却した前記融着分散液に前記ポリエステル樹脂分散液(4)を12.5部(固形分換算)を添加した後、内温を75℃に上昇させて回転数300rpmで8時間撹拌し、融着粒子の表面に自己分散型ポリエステル樹脂を付着および融着させた(付着工程)。
【0114】
その後、塩化ナトリウム16部をイオン交換水200部に溶解した溶液を添加して粒子成長を停止させ、さらに熟成処理として液温度90℃で3時間保持して融合を行った(融合工程)。その後、30℃まで冷却し、塩酸を添加してpHを2.0に調整し、撹拌を停止した。生成した会合粒子を濾過し、イオン交換水で繰り返し洗浄し、その後、40℃の温風で乾燥することにより体積平均粒径5.8μmのトナー粒子を得た。
【0115】
得られたトナー粒子100部に対して、疎水性シリカ(H−2000:ワッカー社製)0.3部および疎水性酸化チタン(T−805:日本アエロジル)0.5部を添加し、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機社製)にて1000rpmで1分間、後処理を行いトナーを得た。
【0116】
実施例5
実施例3においてと同様の方法でラテックスC3および着色剤分散液を得た。
前記ラテックスC3、84部(固形分換算)と、イオン交換水180部と、前記着色剤分散液8部(固形分換算)とを、撹拌装置、加熱冷却装置、濃縮装置、および原料・助剤仕込み装置を備えた反応フラスコに入れ撹拌した。内温を30℃に調整した後、この溶液に5Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを11.0に調整した。次いで、塩化マグネシウム6水和物2.4部をイオン交換水200部に溶解した溶液を30℃にて10分間かけて添加した後、この系を30分間かけて75℃まで昇温した(凝集・融着工程)。このとき、光学顕微鏡にて融着粒子を観察すると、平均粒径は約4.8μmであった。
【0117】
自己分散型ポリエステル樹脂(バイロナールMD−1245:東洋紡社製、Tg61℃)10部を、イオン交換水100部に添加し、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)により分散させてポリエステル樹脂分散液(5)を得た。
次に、赤色分散染料(ダイヤセリトン・ファスト・レッド2B:三菱化学社製)13部をイオン交換水100部に添加し、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)により分散させて染料分散液(1)を得た。
内温を65℃に冷却した前記融着分散液に前記ポリエステル樹脂分散液(5)16.8部(固形分換算)と前記染料分散液(1)1.4部(固形分換算)を添加した後、内温を75℃に上昇させて回転数330rpmで6時間撹拌し、融着粒子の表面に自己分散型ポリエステル樹脂を付着および融着させた(付着工程)。
【0118】
その後、塩化ナトリウム16部をイオン交換水200部に溶解した溶液を添加して粒子成長を停止させ、さらに熟成処理として液温度95℃で1時間保持して融合を行った(融合工程)。その後、30℃まで冷却し、塩酸を添加してpHを2.0に調整し、撹拌を停止した。生成した融合粒子を濾過し、イオン交換水で繰り返し洗浄し、その後、40℃の温風で乾燥することにより体積平均粒径5.5μmのトナー粒子を得た。
【0119】
得られたトナー粒子100部に対して、疎水性シリカ(H−2000:ワッカー社製)0.3部および疎水性酸化チタン(T−805:日本アエロジル)0.5部を添加し、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機社製)にて1000rpmで1分間、後処理を行いトナーを得た。
【0120】
実施例6
実施例3においてと同様の方法でラテックスC3を得た。
n−ドデシル硫酸ナトリウム18部をイオン交換水320部に撹拌溶解した。この溶液を撹拌しながら、赤色顔料(PR122:大日精化社製)5.3部を徐々に添加し、次いでTKホモミキサー(特殊機化工業社製)により分散させて着色剤分散液を得た。
【0121】
複合微粒子分散液
まず、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンとポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンとテレフタル酸とをモル比が3:7:9になるようにして、これらを重合開始剤のジブチル錫オキシドと一緒に、温度計とステンレス製の撹拌棒と流下式コンデンサーと窒素導入管とを取り付けたガラス製四つ口フラスコ内に入れて、重合を行った。得られたポリエステル系樹脂の物性は、数平均分子量(Mn)が3300、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が4.2、ガラス転移温度(Tg)が68.5℃、軟化点(Tm)110.3℃であった。
【0122】
上記で得られたポリエステル樹脂5部、ジクロルメタン10部、赤色顔料(PR122:大日精化社製)0.5部をボールミルを用いて混合し、溶解し、これを10%のポリエチレングリコールおよび0.7%のアニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンSC)を含有する純水15部中に分散し、ホモジナイザーを用いて強く剪断力を印加して分散させて、60℃に加熱して1時間保持し、平均粒径が680nmである複合微粒子を分散させてなる複合微粒子分散液(1)を調製した。
【0123】
前記ラテックスC3、84部(固形分換算)と、イオン交換水180部と、前記着色剤分散液8部(固形分換算)とを、撹拌装置、加熱冷却装置、濃縮装置、および原料・助剤仕込み装置を備えた反応フラスコに入れ撹拌した。内温を30℃に調整した後、この溶液に5Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを11.0に調整した。次いで、塩化マグネシウム6水和物2.4部をイオン交換水200部に溶解した溶液を30℃にて10分間かけて添加した後、この系を30分間かけて80℃まで昇温した(凝集・融着工程)。このとき、光学顕微鏡にて融着粒子を観察すると、平均粒径は約5.0μmであった。
【0124】
その後、前記融着粒子分散液の内温を70℃に冷却し、前記ポリエステル樹脂複合微粒子分散液(1)15部(固形分換算)を添加した後、内温を75℃に上昇させて回転数250rpmで1時間撹拌し、5時間保持した(付着工程)。光学顕微鏡で観察すると、平均粒径が5.6μmである付着粒子が形成されていることが確認された。
【0125】
その後、ここにアニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンSC)2部を追加した後、ステンレス製フラスコを密閉し、磁力シールを用いて、撹拌を継続しながら、105℃まで加熱し、1時間保持した(融合工程)。その後、30℃まで冷却し、塩酸を添加してpHを2.0に調整し、撹拌を停止した。生成した融合粒子を濾過し、イオン交換水で繰り返し洗浄し、その後、40℃の温風で乾燥することにより体積平均粒径5.6μmのトナー粒子を得た。
【0126】
得られたトナー粒子100部に対して、疎水性シリカ(H−2000:ワッカー社製)0.3部および疎水性酸化チタン(T−805:日本アエロジル)0.5部を添加し、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機社製)にて1000rpmで1分間、後処理を行いトナーを得た。
【0127】
比較例1
実施例1においてと同様の方法でラテックスA1を調製した。
次に、撹拌装置、加熱冷却装置、濃縮装置、および原料・助剤仕込み装置を備えた反応フラスコに、スチレン21部、n−ブチルアクリレート6部、メタクリル酸1.3部、t−ドデシルメルカプタン1.0部からなる単量体混合液に、パラフィンワックス(NHP0190:日本精蝋社製)14部を添加し、85℃に加温し溶解させて単量体溶液を調製した。一方、ドデシルスルホン酸ソーダ0.3部をイオン交換水540部に溶解させた溶液を80℃に加熱し、この溶液に前記ラテックスA1を固形分換算で5.6部添加した後、ホモジナイザーTKホモミキサー(特殊機化工業社製)により前記単量体溶液を混合分散させ、乳化液を調製した。次いで、この乳化液に過硫酸カリウム1部をイオン交換水50部に溶解させた溶液と、イオン交換水150部とを添加し、温度を80℃とした後、3時間重合させてラテックスB6を得た。
【0128】
上記のようにして得られたラテックスB6に、過硫酸カリウム1.5部をイオン交換水40部に溶解させた溶液を添加し、温度を80℃とした後、スチレン81部、n−ブチルアクリレート16部、メタクリル酸3部、t−ドデシルメルカプタン2.0部からなる単量体混合液を30分かけて滴下し、この系を80℃にて2時間重合させた後、30℃まで冷却し、ラテックスC6を得た。このラテックスにおける樹脂微粒子の体積平均粒径は150nmであり、Tgは58℃であった。
【0129】
n−ドデシル硫酸ナトリウム12部をイオン交換水300部に撹拌溶解した。この溶液を撹拌しながら、カーボンブラック(リーガル330:キャボット社製)84部を徐々に添加し、次いでTKホモミキサー(特殊機化工業社製)により分散させて着色剤分散液を得た。
【0130】
前記ラテックスC6、84部(固形分換算)と、イオン交換水180部と、前記着色剤分散液10部(固形分換算)とを、撹拌装置、加熱冷却装置、濃縮装置、および原料・助剤仕込み装置を備えた反応フラスコに入れ撹拌した。内温を30℃に調整した後、この溶液に5Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを11.0に調整した。次いで、塩化マグネシウム6水和物2.4部をイオン交換水200部に溶解した溶液を30℃にて10分間かけて添加した後、この系を30分間かけて80℃まで昇温した(凝集・融着工程)。その後3時間維持した後、塩化ナトリウム16部をイオン交換水200部に溶解した溶液を添加して粒子成長を停止させ、さらに熟成処理として液温度90℃で2時間保持して融合を行った(融合工程)。その後、30℃まで冷却し、塩酸を添加してpHを2.0に調整し、撹拌を停止した。生成した融合粒子を濾過し、イオン交換水で繰り返し洗浄し、その後、40℃の温風で乾燥することにより体積平均粒径6.0μmのトナー粒子を得た。
【0131】
得られたトナー粒子100部に対して、疎水性シリカ(H−2000:ワッカー社製)0.3部および疎水性酸化チタン(T−805:日本アエロジル)0.5部を添加し、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機社製)にて1000rpmで1分間、後処理を行いトナーを得た。
【0132】
比較例2
分散液の調製
スチレン32部、n−ブチルアクリレート8部、アクリル酸0.8部、ドデカンチオール1.2部、四臭化炭素0.4部を混合し、溶解したものを、非イオン性界面活性剤(三洋化成社製:ノニポール400)0.6部およびアニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンSC)1部をイオン交換水55部に溶解したものに、フラスコ中で分散し、乳化し、10分ゆっくりと混合しながら、過硫酸アンモニウム0.4部を溶解したイオン交換水5部を加え、窒素置換を行った。その後、フラスコ内を撹拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続し、平均粒径が170nm、ガラス転移温度が53℃、重量平均分子量が22,000である樹脂微粒子を分散させてなる分散液(1)を調製した。
【0133】
複合微粒子分散液
ポリエステル樹脂(ビスフェノールA−フマール酸−プロピオンオキシド付加物、重量平均分子量12,000、ガラス転移温度Tg;57℃)5部、ジクロルメタン10部、フタロシアニン顔料0.5部をボールミルを用いて混合し、溶解し、これを10%のポリエチレングリコールおよび0.7%のアニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンSC)を含有する純水15部中に分散し、ホモジナイザーを用いて強く剪断力を印加して分散させて、60℃に加熱して1時間保持し、平均粒径が850nmである複合微粒子を分散させてなる複合微粒子分散液(2)を調製した。
【0134】
着色剤分散液
フタロシアニン顔料10部、非イオン性界面活性剤(三洋化成社製:ノニポール400)0.5部、イオン交換水20部を混合し、溶解し、ホモジナイザーを用いて10分間分散し、さらに超音波ホモジナイザーで5分間、分散し、平均粒径が150nmである着色剤を分散させてなる着色剤分散液(1)を調製した。
【0135】
凝集粒子の調製
分散液(1)200部、着色剤分散液(1)15部、カチオン性界面活性剤(花王社製:サニゾールB50)を丸型ステンレス製フラスコ中でホモジナイザーを用いて混合し、分散した後、フラスコ内を撹拌しながら48℃まで加熱用オイルバスで加熱した。48℃で30分保持した後、光学顕微鏡で観察すると、平均粒径が5.2μmである凝集粒子が形成されていることが確認された。
【0136】
付着粒子の調製
ここに、複合微粒子分散液(2)を緩やかに50部追加し、さらに加熱オイルバスの温度を50℃に上げて30分保持した。光学顕微鏡で観察すると、平均粒径が5.8μmである付着粒子が形成されていることが確認された。
【0137】
その後、ここにアニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンSC)2部を追加した後、ステンレス製フラスコに密閉し、磁力シールを用いて、撹拌を継続しながら、105℃まで加熱し、1時間保持した。冷却後、反応生成物を濾過し、これをイオン交換水で充分に洗浄して、体積平均粒径5.8μmのトナー粒子を得た。
【0138】
得られたトナー粒子100部に対して、疎水性シリカ(H−2000:ワッカー社製)0.3部および疎水性酸化チタン(T−805:日本アエロジル)0.5部を添加し、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機社製)にて1000rpmで1分間、後処理を行いトナーを得た。
【0139】
比較例3
複合微粒子分散液
まず、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンとポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンとテレフタル酸とをモル比が3:7:9になるようにして、これらを重合開始剤のジブチル錫オキシドと一緒に、温度計とステンレス製の撹拌棒と流下式コンデンサーと窒素導入管とを取り付けたガラス製四つ口フラスコ内に入れて重合を行った。得られたポリエステル系樹脂の物性は、数平均分子量(Mn)が3300、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が4.2、ガラス転移温度(Tg)が68.5℃、軟化点(Tm)110.3℃であった。
【0140】
上記で得られたポリエステル樹脂5部、ジクロルメタン10部、ピグメントイエロー180(クラリアンドジャパン社製)0.5部をボールミルを用いて混合し、溶解し、これを10%のポリエチレングリコールおよび0.7%のアニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンSC)を含有する純水15部中に分散し、ホモジナイザーを用いて強く剪断力を印加して分散させて、60℃に加熱して1時間保持し、平均粒径が680nmである複合微粒子を分散させてなる複合微粒子分散液(2)を調製した。
【0141】
撹拌装置、加熱冷却装置、濃縮装置、および原料・助剤仕込み装置を備えた反応フラスコに、スチレン150部、n−ブチルアクリレート36部、アクリル酸5部、2−メルカプトプロピオン酸n−オクチルエステル20部を混合した溶液と、ノニオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成社製)6部、およびアニオン系界面活性剤(ネオゲンSC:第一工業製薬社製)10部をイオン交換水600部に溶解した溶液を入れて分散、乳化させ、10分間ゆっくりと撹拌、混合しながら、過硫酸アンモニウム4部を溶解したイオン交換水50部を投入した。その後、フラスコ内を窒素で充分に置換してから撹拌しながらオイルバス系内が80℃になるまで加温し、5時間そのまま乳化重合を継続した。その後、反応液を室温まで冷却し、ラテックスI1を得た。このラテックスにおける樹脂微粒子の体積平均粒径は200nmであり、Tgは65℃であった。
【0142】
n−ドデシル硫酸ナトリウム5部をイオン交換水120部に撹拌溶解した。この溶液を撹拌しながら、ピグメントイエロー180(クラリアントジャパン社製)25部を徐々に添加し、次いでTKホモミキサー(特殊機化工業社製)により分散させて着色剤分散液を得た。
【0143】
n−ドデシル硫酸ナトリウム5部をイオン交換水150部に撹拌溶解した。この溶液を撹拌しながら、パラフィンワックス(NHP0190:日本精蝋社製)30部を添加し、85℃に加温し溶解させ、次いでTKホモミキサー(特殊機化工業社製)により分散させて離型剤分散液を得た。
【0144】
前記ラテックスI1、70部と、前記着色剤分散液20部、前記離型剤分散液20部とポリ水酸化アルミニウム(浅田化学社製)0.8部をTKホモミキサー(特殊機化工業社製)により分散させて、撹拌装置、加熱冷却装置、濃縮装置、および原料・助剤仕込み装置を備えた反応フラスコに入れ撹拌した。内温を58℃に調整した。その後、この溶液を58℃で2時間保持した(凝集工程)。この分散液に複合粒子分散液(2)30部を緩やかに添加し、さらに系内の温度を65℃に上げて1時間保持した(付着工程)。さらに、上記分散液にアニオン系界面活性剤(ネオゲンSC:第一工業製薬社製)2部を追加して粒子成長を停止させ、さらに熟成処理として液温度95℃で4時間融合を行った(融合工程)。その後、30℃まで冷却し、撹拌を停止した。生成した融合粒子を濾過し、水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを11.5に調整し、40℃で洗浄した。さらにイオン交換水で繰り返し洗浄し、その後、40℃の温風で乾燥することにより体積平均粒径5.6μmのトナー粒子を得た。
【0145】
得られたトナー粒子100部に対して、疎水性シリカ(H−2000:ワッカー社製)0.3部および疎水性酸化チタン(T−805:日本アエロジル)0.5部を添加し、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機社製)にて1000rpmで1分間、後処理を行いトナーを得た。
【0146】
<キャリアの製造>
スチレン、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレートおよびメタクリル酸からなるスチレン−アクリル系共重合体(1.5:7:1:0.5)80部と、ブチル化メラミン樹脂20部とをトルエンで希釈することにより、固形分比2%のアクリル−メラミン樹脂溶液を調製した。芯材として焼成フェライト粉(平均粒径30μm)を用い、上記のアクリル−メラミン樹脂溶液をスピラコーター(岡田精工社製)により塗布し、乾燥した。得られたキャリアを熱風循環式オーブン中にて140℃で2時間放置して焼成した。冷却後、フェライト粉バルクを目開き210μmと90μmのスクリーンメッシュを取り付けたフルイ振盪器を用いて解砕し、樹脂コートされたフェライト粉とした。この樹脂コートフェライト粉に対して、塗布、焼成、解砕の各処理をさらに3回繰り返して樹脂被覆キャリアを得た。こうして得られたキャリアの平均粒径は31μm、電気抵抗は約3×1010Ωcmであった。
【0147】
<諸特性の評価>
上記の実施例および比較例のトナーについて、以下のようにして諸特性の評価を行った。
(帯電量)
実施例および比較例で調製したトナーと上記キャリアとを5:95の重量比率で混合することによって評価用の現像剤を調製した。
この現像剤30gを容量50mlのポリエチレン瓶に入れ、1200rpmで90分間回転することにより現像剤を撹拌した。そして、所定の帯電量に帯電させたフィルムに接触させ、フィルムに付着するトナー重量を測定することによりトナーの帯電量を求めた。
【0148】
(水分量)
実施例および比較例で調製したトナー1gをH/H(35℃85%)の環境下に一昼夜放置した後の水分量を測定した。水分量は加熱乾燥式水分計MX−50(エイアンドディ社製)を用いて測定した。
【0149】
(耐熱保管性)
実施例および比較例で調製したトナー10gを50mlのガラス製サンプル管に入れ55℃の環境下に一昼夜放置した後の耐熱保管性を評価した。
耐熱保管性は、保管後のトナーの状態に基づいて以下のように評価した。本発明においては○以上が実用上問題のない範囲内である。
◎:トナーがさらさらの状態を保っている。
○:振ればトナーがさらさらになる。
△:部分的に固着している部分が見られたがスパチュラで掻くと剥がれる。
×:全体的に固着が発生したが、スパチュラで強く掻くと剥がれる。
××:固着したスパチュラで掻いても分離しない。
【0150】
(体積平均粒径/個数平均粒径)
実施例および比較例で調製したトナー粒子の体積平均粒径/個数平均粒径を求めた。体積平均粒径はマスターサイザー2000(シスメックス社製)によって測定した。個数平均粒径はコールターカウンター(コールター社製)によって測定した。
【0151】
【表1】
【0152】
(画像評価)
(初期および耐刷時の画質)
実施例および比較例で得られたトナーを前記のキャリアと5:95の重量比率で混合して得られた現像剤を市販のデジタルフルカラー複写機(DiALTA Color CF3102:ミノルタ社製)の現像器に入れて、画質を評価した。なお、上記複写機の4つの全ての現像器には同一の現像剤を入れて評価した。
画質は初期の画像および1万枚コピー後の画像の画質の状態に基づいて以下のように評価した。本発明においては○以上が実用上問題のない範囲内である。
◎:非常にきれい
○:良好
△:部分的にガサツキが見られた。
×:全体的にガサツキが発生した。
××:画像品位が非常に劣る。
【0153】
(クリーニング性)
また、その時のクリーニング性についても評価した。詳しくは上記画質評価時の1万枚コピー後において感光体に凝着や拭き残しが発生していないかどうか以下のように評価した。凝着および拭き残しについて、本発明においては、○以上が実用上問題のない範囲内である。
凝着
○:良好
△:一部に小さな凝着が見られた。
×:大きな凝着が発生した。
拭き残し
○:良好
△:一部に拭き残しが見られた。
×:拭き残しによる顕著な画像汚れが発生した。
【0154】
【表2】
【0155】
【発明の効果】
本発明により、高精細画像再現が可能であり、含有水分量が少なく、帯電性および耐熱保管性が良好で且つ耐刷性の良好な重合トナーを供給することができる。また本発明のトナーの粒度分布はよりシャープであり、そのため、長期にわたって画像上のガサツキおよび感光体上の拭き残しや凝着を発生させることなく、高精細画像を形成可能である。さらに本発明のトナーは湿式法、特に湿式重合法で製造されるため小粒径化が容易で、製造コストが比較的低い。
Claims (5)
- 湿式法により樹脂微粒子を形成する工程、
少なくとも該樹脂微粒子と着色剤粒子とを分散媒体中で凝集させながら、加熱によって固定化させ、コア粒子を形成する工程、
コア粒子分散液にシェル用微粒子を添加混合し、コア粒子表面にシェル用微粒子が付着してなるシェル化粒子を形成する工程、および
シェル化粒子分散液を加熱する工程
を含む方法によって製造されることを特徴とする静電潜像現像用トナー。 - 湿式法が乳化重合法またはミニエマルジョン重合法であり、シェル用微粒子がポリエステル樹脂微粒子であることを特徴とする請求項1に記載の静電潜像現像用トナー。
- トナーの体積平均粒径が3〜7μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の静電潜像現像用トナー。
- 湿式法で形成された樹脂微粒子がスチレン−(メタ)アクリル系共重合体微粒子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の静電潜像現像用トナー。
- シェル用微粒子が自己分散性ポリエステル系樹脂微粒子であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の静電潜像現像用トナー。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003058250A JP2004271573A (ja) | 2003-03-05 | 2003-03-05 | 静電潜像現像用トナー |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003058250A JP2004271573A (ja) | 2003-03-05 | 2003-03-05 | 静電潜像現像用トナー |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004271573A true JP2004271573A (ja) | 2004-09-30 |
Family
ID=33121403
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003058250A Pending JP2004271573A (ja) | 2003-03-05 | 2003-03-05 | 静電潜像現像用トナー |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004271573A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007127684A (ja) * | 2005-11-01 | 2007-05-24 | Konica Minolta Business Technologies Inc | 電子写真用トナー |
JP2010014757A (ja) * | 2008-07-01 | 2010-01-21 | Ricoh Co Ltd | トナー |
KR101243708B1 (ko) | 2008-09-23 | 2013-03-13 | 주식회사 엘지화학 | 중합토너 및 그의 제조 방법 |
US8741520B2 (en) | 2008-07-01 | 2014-06-03 | Ricoh Company, Ltd. | Image forming toner, image forming apparatus, image forming method, and process cartridge |
JP2014137488A (ja) * | 2013-01-17 | 2014-07-28 | Dic Corp | 静電荷像現像用トナーの製造方法 |
-
2003
- 2003-03-05 JP JP2003058250A patent/JP2004271573A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007127684A (ja) * | 2005-11-01 | 2007-05-24 | Konica Minolta Business Technologies Inc | 電子写真用トナー |
JP4613794B2 (ja) * | 2005-11-01 | 2011-01-19 | コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 | 電子写真用トナー及び電子写真用トナーの製造方法 |
JP2010014757A (ja) * | 2008-07-01 | 2010-01-21 | Ricoh Co Ltd | トナー |
US8741520B2 (en) | 2008-07-01 | 2014-06-03 | Ricoh Company, Ltd. | Image forming toner, image forming apparatus, image forming method, and process cartridge |
KR101243708B1 (ko) | 2008-09-23 | 2013-03-13 | 주식회사 엘지화학 | 중합토너 및 그의 제조 방법 |
JP2014137488A (ja) * | 2013-01-17 | 2014-07-28 | Dic Corp | 静電荷像現像用トナーの製造方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4957275B2 (ja) | トナーの製造方法 | |
CA2867707C (en) | Hybrid emulsion aggregate toner | |
JP5879772B2 (ja) | 静電荷現像剤用トナー及びその製造方法 | |
WO2012057233A1 (ja) | トナー用結着樹脂 | |
JP2014186194A (ja) | 静電荷像現像用トナー | |
JP2012068331A (ja) | トナー及びその製造方法 | |
KR101656773B1 (ko) | 전자사진용 토너 및 그의 제조방법 | |
JP4798202B2 (ja) | 静電潜像現像用トナーの製造方法 | |
JP2794770B2 (ja) | 静電荷像現像用トナー及びその製造方法 | |
JP2004126337A (ja) | 静電潜像現像用トナー | |
JP6083341B2 (ja) | 静電荷像現像用トナー | |
JP2012042930A (ja) | トナーの製造方法 | |
CA2867713C (en) | Hybrid emulsion aggregate toner | |
JP4470594B2 (ja) | 静電潜像現像用トナー、静電潜像現像用トナーの製造方法 | |
JP4840040B2 (ja) | 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用トナーの製造方法、静電荷像現像剤、画像形成方法、及び画像形成装置 | |
JP2004271573A (ja) | 静電潜像現像用トナー | |
JP2004294839A (ja) | 静電潜像現像用トナー及びその製造方法 | |
JP2017003623A (ja) | 静電荷像現像用トナー | |
JP4798201B2 (ja) | 静電潜像現像用トナーの製造方法 | |
JP7163574B2 (ja) | 画像形成方法およびトナーセット | |
JP4165349B2 (ja) | 静電荷像現像用トナー及びその製造方法 | |
JP6784121B2 (ja) | 静電潜像現像用トナー及びその製造方法 | |
JP6308179B2 (ja) | 静電潜像現像用トナー | |
JPH05107808A (ja) | 静電荷像現像用トナー | |
JP2021081562A (ja) | 静電潜像現像用トナー及び電子写真画像形成方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 Effective date: 20040806 |