JP3456327B2 - 静電潜像現像用トナー - Google Patents

静電潜像現像用トナー

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JP3456327B2
JP3456327B2 JP33874695A JP33874695A JP3456327B2 JP 3456327 B2 JP3456327 B2 JP 3456327B2 JP 33874695 A JP33874695 A JP 33874695A JP 33874695 A JP33874695 A JP 33874695A JP 3456327 B2 JP3456327 B2 JP 3456327B2
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裕樹 永井
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は静電潜像現像用トナ
ーに関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真に用いられるトナーは、昨今の
高精細画像の要求を満たすべく小粒径化方向にあり、一
般に平均粒径が1〜10μm程度の微粒子として得られ
る。
【0003】このような微粒子の製造方法としては、樹
脂や顔料等を機械的に混練した後、粉砕するいわゆる粉
砕法が一般的である。しかし、粉砕法トナーは、小粒径
になる程所望のトナーを得るまでの設備工程が繁雑で、
コスト面で割高になるばかりでなく、粉体特性の面でも
流動性が劣るなどの欠点を有していた。
【0004】一方、近年重合法と呼ばれるトナーの製造
方法が提案されている。重合型トナーは、流動性や転写
性に優れ、粒径分布がシャープである等の利点を有し、
粉砕型トナーの難点が改良されているところもあるが、
帯電特性が不安定であること、カラー化対応が難しい等
の問題がある。
【0005】これに対し、小径トナーを製造する方法と
して乳化分散造粒法が提案されている。この方法はポリ
マーを非水溶性有機溶媒に溶解させてなるポリマー溶液
を水性分散液中に乳化分散してO/W型エマルジョンを
形成し、撹拌しながらO/W型エマルジョンに熱を加え
て有機溶媒を蒸発させ、ポリマー粒子を析出させること
により行われるものである。
【0006】この乳化分散法によれば工程が単純化され
比較的簡単な操作でポリマー微粒子を得ることができ、
生産効率が向上すると同時にコストダウンもできる。ま
た粉砕法や懸濁重合法などに比べて、使用可能な樹脂の
種類も多く、得られるポリマー粒子の用途が拡大され
る。
【0007】しかしながら、乳化分散法によって得られ
るトナーは上記のように従来の粉砕型トナーや重合型ト
ナーの難点が改良されている一方、帯電特性が不安定で
あること、逆荷電トナーが多いこと等の新たな欠点も現
れ、充分に満足した特性を有しているものとは言えない
のが現状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は逆帯電トナー
の発生が少なく、帯電が均一で、帯電特性が安定な高精
細画像に適した小粒径トナーを提供することを目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明はバインダー樹脂
は溶解するが水には不溶性の有機溶剤と、少なくともバ
インダー樹脂、顔料系着色剤および荷電制御剤からなる
トナー成分との混合液を調整し、この混合液を水系分散
媒に乳化分散してO/W型エマルジョンを得、このエマル
ジョンから前記有機溶剤を除去し、次いで乾燥して得ら
れた静電潜像現像用トナーであって、前記混合液が少な
くとも顔料を樹脂に均一に分散させたマスターバッチを
使用して調製され、バインダー樹脂中に分散された顔料
系着色剤の90個数%以上が個々の粒子における最大粒径
で0.03〜0.2μmの範囲にあり、且つ荷電制御剤の90個数
%以上が個々の粒子における最大粒径で0.01〜0.1μmの
範囲にあることを特徴とする静電潜像現像用トナーに関
する。
【0010】また、本発明は上記トナーの体積平均粒径
が3〜9μmであり、体積平均粒径と個数平均粒径との比
(体積平均粒径/個数平均粒径)が1.0〜1.3であること
を特徴とする上記の静電潜像現像用トナーに関する。
【0011】
【0012】本発明の静電潜像現像用トナーは、バイン
ダー樹脂中に分散された顔料系着色剤の90個数%以上
が最大粒径で0.03〜0.2μmの範囲にあり、かつ荷
電制御剤の90個数%以上が最大粒径で0.01〜0.1
μmの範囲にあることを特徴とし、それによって帯電性
が良好で帯電量の分布が均一な小粒径トナーを得ること
ができる。なお、最大粒径とはバインダー樹脂中に分散
された個々の粒子の最大粒径、即ち粒子形状が球形の場
合はその直径を、針状の場合は長径を、不定形状の場合
は最大径を意味する。
【0013】顔料系着色剤の粒径が0.01μmより小
さいと隠ぺい性が低下し、0.2μmより大きいと逆帯
電性を生じ易くなり、帯電不良を生じる。また、荷電制
御剤の粒径が0.01μmより小さいと帯電性が不十分
となり、0.2μmより大きいと帯電量の分布が不均一
になる。
【0014】また、本発明の静電潜像現像用トナーは、
バインダー樹脂中に少なくとも染料系着色剤および荷電
制御剤が分散された静電潜像現像用トナーにおいて、バ
インダー樹脂中に分散された染料系着色剤の90個数%
以上が個々の粒子における最大粒径で0.01〜0.1
μmの範囲にあり、且つ荷電制御剤の90個数%以上が
個々の粒子における最大粒径で0.01〜0.1μmの
範囲にあることを特徴とし、それによって帯電性が良好
で帯電量の分布が均一な小粒径トナーを得ることができ
る。
【0015】本発明のトナーの体積平均粒径は1〜10
μm、より好ましくは3〜9μmが適当である。粒径が
大きくなると高精細画像が得られず、1μm以下では、
現像効率の低下、転写効率の低下、クリーニング性の低
下等が生じて画像形成装置における取り扱いが難しくな
る。
【0016】バインダー樹脂中の着色剤および荷電制御
剤の最大粒径およびその含有割合(個数%)はトナー粒子
をミクロトームで切断した断面を透過型電子顕微鏡(T
EM)で観察し、その拡大写真により測定した。
【0017】荷電制御剤(CCA)としては、使用するバ
インダー樹脂に対して溶解しないものであればよく、正
荷電制御剤としては、例えば、ニグロシンベースEX
(オリエント化学工業社製)などのニグロシン系染料、第
4級アンモニウム塩P−51(オリエント化学工業社
製)、コピーチャージ PX VP435(ヘキスト(株)
製)などの第4級アンモニウム塩、アルコキシ化アミ
ン、アルキルアミド、モリブデン酸キレート顔料、およ
びPLZ1001(四国化成工業社製)などのイミダゾー
ル化合物等が挙げられ、また、負荷電制御剤としては、
例えば、ボントロンS−22(オリエント化学工業(株)
製)、ボントロンS−34(オリエント化学工業(株)
製)、ボントロンE−81(オリエント化学工業(株)
製)、ボントロンE−84(オリエント化学工業(株)
製)、スピロンブラックTRH(保土谷化学工業(株)製)
などの金属錯体、チオインジゴ系顔料、コピーチャージ
NX VP434(ヘキスト(株)製)などの第4級アンモ
ニウム塩、ボントロンE−89(オリエント化学工業社
製)などのカリックスアレーン化合物、フッ化マグネシ
ウム、フッ化カーボンなどのフッ素化合物などが挙げら
れるが、もちろんこれらに何ら限定されるものではな
い。なお、負荷電制御剤となる金属錯体としては、上記
に示したもの以外にもオキシカルボン酸金属錯体、ジカ
ルボン酸金属錯体、アミノ酸金属錯体、ジケトン金属錯
体、ジアミン金属錯体、アゾ基含有ベンゼン−ベンゼン
誘導体骨格金属錯体、アゾ基含有ベンゼン−ナフタレン
誘導体骨格金属錯体などの各種の構造を有したものが含
まれる。
【0018】これらはトナー中に含有されるバインダー
樹脂100重量部に対し、それぞれ0.1〜5重量部含
有することが望ましい。すなわち、CCAの含有量が
0.1重量部未満であると充分な帯電性能が得られない
虞れがあり、一方含有量が5重量部を越えるものである
と耐刷時にスペントが発生し帯電量の低下が起こる虞れ
があるためである。
【0019】本発明の静電潜像現像用トナーに含有され
るバインダー樹脂としては、使用される非水溶性有機溶
媒に溶解可能でかつ水に不溶かあるいは水にほとんど溶
解しないものであれば特に限定されず、従来のトナーに
おいてバインダー樹脂として用いられるスチレン系樹
脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン−(メタ)アクリル
系共重合体樹脂、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹
脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエ
ーテル樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリスルフォン樹
脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素樹脂などの
ような公知の各種の樹脂を1種または2種以上用いるこ
とが可能である。
【0020】さらにこのようなバインダー樹脂は、ガラ
ス転移点(Tg)が50〜70℃、その分子量として数平
均分子量(Mn)が1000〜30000、好ましくは2
500〜20000、Mnと重量平均分子量(Mw)との比
で表わされる分子量分布(Mw/Mn)が2〜60であるこ
とが望ましい。Tgが50℃未満では得られるトナーの
耐熱性が低下し、一方、70℃を越えると得られるトナ
ーの定着性が低下する。また、Mnが1000未満では
得られるトナーにおいて高温オフセットが発生しやすく
なり、一方、30000を越えるものであると逆に低温
オフセットが発生しやすくなる。さらにMw/Mnが2未
満であると得られるトナーにおいて非オフセット領域が
狭いものとなる虞れがあり、一方、60を越えるもので
あると低温オフセットが発生しやすくなるためである。
なお、オイル塗布定着用トナーあるいはフルカラー用ト
ナーとする場合には、Mw/Mnは2〜5とすることがさ
らに望ましく、またオイルレス定着用トナーとする場合
には、Mw/Mnは20〜50とすることがさらに望まし
い。
【0021】本発明の静電潜像現像用トナーに含まれる
顔料系着色剤としては、以下に示されるような有機ない
しは無機の各種、各色の顔料が使用可能である。すなわ
ち、黒色顔料としては、カーボンブラック、酸化銅、二
酸化マンガン、アニリン・ブラック、活性炭、非磁性フ
ェライト、磁性フェライト、マグネタイトなどがある。
【0022】黄色顔料としては、黄鉛、亜鉛黄、カドミ
ウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロ
ー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエロー、ナフ
トールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー
10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローG
R、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローN
CG、タートラジンレーキなどがある。
【0023】橙色顔料としては、赤色黄鉛、モリブデン
オレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオ
レンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアント
オレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブ
リリアントオレンジGKなどがある。
【0024】赤色顔料としては、ベンガラ、カドミウム
レッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレ
ッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッ
チングレッド、カルシウム塩、レーキレッドC、レーキ
レッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレー
キ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリア
ントカーミン3Bなどがある。
【0025】紫色顔料としては、マンガン紫、ファスト
バイオレットB、メチルバイオレットレーキなどがあ
る。
【0026】青色顔料としては、紺青、コバルトブル
ー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、
フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、
フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイ
ブルー、インダスレンブルーBCなどがある。
【0027】緑色顔料としては、クロムグリーン、酸化
クロム、ピグメントグリーンB、マイカライトグリーン
レーキ、フィイナルイエローグリーンGなどがある。白
色顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、
硫化亜鉛などがある。
【0028】体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリ
ウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、ア
ルミナホワイトなどがある。本発明の静電潜像現像用ト
ナーに含まれる染料系着色剤としては、以下に示される
ような各種、各色の染料が使用可能である。
【0029】マゼンタ染料としては、C.I.ソルベン
トレッド1、3、8、23、24、25、27、30、
49、81、82、83、84、100、109、12
1、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベン
トバイオレット8、13、14、21、27、C.I.
ディスパースバイオレット1、C.I.ベーシックレッ
ド1、2、9、12、13、14、15、17、18、
22、23、24、27、29、32、34、35、3
6、37、38、39、40などがある。
【0030】イエロー染料としては、C.I.ソルベン
トイエロー2、6、14、15、16、19、21、3
3、56、61、77、79、80、93、162など
がある。
【0031】これらの着色剤は、単独であるいは複数組
合せて用いることができるが、通常上記バインダー樹脂
成分100重量部に対して、1〜20重量部、より好ま
しくは2〜15重量部使用することが望ましい。すなわ
ち、20重量部より多いとトナーの定着性が低下し、一
方、1重量部より少ないと所望の画像濃度が得られない
虞れがあるためである。
【0032】本発明の静電潜像現像用トナー中には、上
記したようなバインダー樹脂および顔料以外にも、例え
ば、磁性粉、オフセット防止剤などの成分を必要に応じ
て配合することができる。
【0033】磁性粉としては、マグネタイト、γ−ヘマ
タイト、あるいは各種フェライト等がある。
【0034】トナーの定着性向上のために用いられるオ
フセット防止剤としては、各種ワックス、特に低分子量
ポリプロピレン、ポリエチレン、あるいは、酸化型のポ
リプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系ワッ
クスなどがある。キャンデリラワックス、カリナウバワ
ックス、ライスワックス、ホホバ油ワックス、モンタン
ワックスなどが単独あるいは2種以上混ぜて使用するこ
とができる。
【0035】本発明のトナーは、バインダー樹脂は溶解
するが水には不溶性の有機溶剤(以下、非水溶性有機溶
剤と言う)と、少なくともバインダー樹脂、着色剤およ
び荷電制御剤からなるトナー成分との混合液(以下、ト
ナー成分混合液と言う)を調整し、この混合液を水系分
散媒に乳化分散してO/W型エマルジョンを得た後、こ
のエマルジョンから前記有機溶剤を除去し、次いで乾燥
することにより製造される。
【0036】本発明において、トナー中の顔料系着色剤
の分散粒径を上述した粒径範囲に分散させるには、樹脂
に対して高濃度の顔料を高剪断力下に混合混練して顔料
を樹脂に均一に分散させたマスターバッチを使用して上
記トナー成分混合液を調整する方法、ガラスビーズ、ジ
ルコニアビーズ等のメディアを備えた湿式混合装置によ
り上記トナー成分混合液の混合を行い顔料を均一に分散
させる方法、予め顔料と非水溶性溶剤とを上記湿式混合
装置により微粉砕した後、この顔料を用いて上記トナー
成分混合液を調整する方法等の手法を取ることにより達
成でき、上記手法を複数組み合わせて行ってもよい。特
に、マスターバッチを用いたトナー成分混合液を上記湿
式混合装置を用いて分散混合することが好ましい。上記
湿式混合装置としてはアイガーモーターミル(アイガー
ジャパン社製)等のビーズミル、サンドミル等を使用す
ることができる。
【0037】マスターバッチを用いる方法において、マ
スターバッチを構成する樹脂としては、トナーを構成す
るバインダー樹脂を使用することができるが、バインダ
ー樹脂と混和し得る他の樹脂(分散樹脂)を使用してもよ
い。この分散樹脂としては、上述したバインダー樹脂と
同様の樹脂を使用することができる。
【0038】上記方法において、バインダー樹脂は、マ
スターバッチとともに非水溶性有機溶剤に添加してトナ
ー成分混合液を調整してもよく、あるいは、マスターバ
ッチとともに更に混合混練して得られた顔料分散樹脂組
成物を非水溶性有機溶剤に添加してトナー成分混合液を
調整してもよい。
【0039】マスターバッチを調整するに際しては、樹
脂と顔料を重量比で1:1〜4:1の割合で混合し、1
00〜140℃で1〜2時間溶融混練することが、混練
時に顔料に十分なシェアを作用させて均一分散性を向上
させる観点から好ましい。
【0040】また、マスターバッチを調整する際に樹脂
と顔料以外のトナー成分(荷電制御剤、オフセット防止
剤、磁性粉等)を配合して製造してもよい。
【0041】本発明において、トナー中の荷電制御剤の
分散粒径を上述した粒径範囲に分散させるには、有機溶
剤に不溶の荷電制御剤については上述した顔料系着色剤
と同様の方法により、また有機溶剤に可溶の荷電制御剤
については荷電制御剤を有機溶剤に溶解した状態でトナ
ー成分混合液を調整し、有機溶剤を除去するとともに荷
電制御剤を析出させる方法により達成でき、後者の方法
が分散均一性の点から好ましい。後者の方法において、
具体的な荷電制御剤の添加方法としては、荷電制御剤を
顔料とともにマスターバッチとし、これを荷電制御剤溶
解性の非水溶性有機溶剤に添加してトナー成分混合液を
調整する方法、非水溶性有機溶剤に溶解させてトナー成
分混合液を調整する方法、非水溶性有機溶剤として荷電
制御剤が不溶性のものを使用し、荷電制御剤可溶性の有
機溶剤(非水溶性溶剤と混和性を有する有機溶剤)に荷電
制御剤を溶解させた溶液を用いてトナー成分混合液を調
整する方法等を取ることができ、特に荷電制御剤可溶性
有機溶剤を使用する方法が製造の許容幅や安定性を得る
上で好ましい。
【0042】特に、非水溶性有機溶剤が芳香族溶剤であ
り、荷電制御剤を溶解させて添加する有機溶剤がケトン
系溶剤または塩素系溶剤の場合は、製造上好ましい。
【0043】また、荷電制御剤を溶解させて添加する際
に使用される有機溶剤は、荷電制御剤に対して溶解度が
1g/l以上であることが好ましい。
【0044】本発明において、トナー中の染料系着色剤
の分散粒径の制御は、上述した荷電制御剤と同様の手法
により達成することができる。
【0045】なお、本発明の静電潜像現像用トナーを製
造する際に用いられる溶媒は、水に不溶かあるいは難溶
で、上記のごときバインダー樹脂を溶解するものであれ
ばいずれでもよく、例えば、トルエン、キシレン、ベン
ゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエ
タン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレ
ン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチ
リデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトンなどが単独であるいは2種
以上組合せて用いられ得るが、これらのうちトルエン、
キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2
−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロ
ゲン化炭化水素が特に好ましく用いられる。
【0046】また、本発明の荷電制御剤を溶解させる際
に用いられる溶媒は、用いられる上記のごとき荷電制御
剤を充分に溶解するものであればいずれでもよく、例え
ば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化
メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリク
ロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノ
クロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢
酸エチル、アセトン、、メチルエチルケトン、メチルイ
ソブチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジ
オキソラン、ジメチルホルムアミドなどが単独であるい
は2種以上組合せ用いられ得るが、これらのうちアセト
ン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒および塩化メ
チレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩
化炭素等のハロゲン化炭化水素が特に好ましく用いられ
る。しかしながら、これらの溶剤のうちアセトンなど水
に溶解性の溶剤は、多量に用いるべきではなく、荷電制
御剤を溶解する量を使用すれば足り、非水溶性有機溶剤
全体の溶解特性、即ち樹脂は溶解するが水には溶解しな
いと言う特性を変えるものであってはならない。アセト
ンなど水と親和性のある溶剤に荷電制御剤を溶解して用
いると、荷電制御剤がトナー表面に移行し、帯電量の向
上など優れた効果が発現される。
【0047】本発明においてトナー成分混合液を得るに
は非水溶性有機溶媒に着色剤(マスターバッチ)、バイン
ダー樹脂および所望により有機溶剤に溶解した荷電制御
剤を加え、ボールミル、サンドグラインダー、超音波ホ
モジナイザーなどの混合装置を用いて混合すればよい。
また、荷電制御剤を有機溶剤に溶解させる場合も同様の
装置を用いることができる。
【0048】このトナー成分混合液における固形分濃度
は、この混合液を水性分散媒中に乳化分散させてなるO
/W型エマルジョンを加熱して液滴中より非水溶性有機
溶媒を除去する際に、液滴が容易に微粒子へと凝固でき
るように設計する必要があり、特にこの混合液中の樹脂
成分の濃度は、5〜50重量%、より好ましくは10〜
40重量%程度とされる。
【0049】このように調製されたトナー成分混合液
は、次いで、水性分散媒中に乳化分散されO/W型エマ
ルジョンを形成する。具体的には、ホモミキサーなどの
撹拌装置を用いて、トナー成分混合液と水性分散媒との
混合系を十分に撹拌する。なお、この撹拌時間として
は、10分以上が好ましい。撹拌時間が短すぎるとシャ
ープな粒径分布が得られないためである。エマルジョン
におけるトナー成分混合液の各液滴の粒径は、最終的に
得られるトナー微粒子の大きさを直接左右するものとな
るので、得ようとするトナー微粒子の大きさに応じた液
滴を形成し、かつその粒径分布を十分制御する必要があ
る。好ましい液滴の平均粒径は1〜10μm、より好ま
しくは3〜9μmである。
【0050】O/W型エマルジョンを形成するために用
いられる水性分散媒としては、エマルジョンを破壊しな
い程度の水溶性有機溶媒を含んでいても構わない。例え
ば、水、水/メタノール混液(重量比50/50〜10
0/0)、水/エタノール混液(重量比50/50〜10
0/0)、水/アセトン混液(50/50〜100/
0)、水/メチルエチルケトン混液(重量比70/30〜
100/0)などが使用可能である。
【0051】また、このようなO/W型エマルジョンを
形成するに際して、必要に応じて分散剤や分散補助剤を
添加することも可能である。分散剤は水性分散媒中で親
水性コロイドを有するもので、特にゼラチン、アラビア
ゴム、寒天、セルロース誘導体(例えば、ヒドロキシメ
チルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロ
キシプロピルセルロース等)、合成高分子(ポリビニルア
ルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミ
ド、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩等)、リン
酸カルシウム塩等が挙げられる。また、分散補助剤とし
ては通常界面活性剤が用いられ、サポニンなどの天然界
面活性剤、アルキレンオキサイド系、グリセリン系、グ
リシドール系などのノニオン系界面活性剤、カルボン
酸、スルホン酸、リン酸、硫酸エステル基、リン酸エス
テル等の酸性基を含むアニオン系界面活性剤などが挙げ
られる。特に分散剤と分散補助剤との組合せで好ましい
のは、リン酸カルシウム塩とアニオン系界面活性剤(ド
デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)である。
【0052】ここで用いられるリン酸カルシウム塩を含
む水性分散媒のpHは、好ましくは5〜14、より好ま
しくは6〜12に調製すると、分散安定性が良好で、粒
径分布がシャープになる。好適なpHに調製するには、
例えば、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム等のアル
カリを用いたり、塩酸、リン酸等の酸を用いて調製すれ
ばよい。
【0053】上記のようにしてO/W型エマルジョンを
形成した後、系全体を徐々に昇温し、液滴中の非水溶性
有機溶媒を完全に除去し、トナー微粒子を形成する。あ
るいはまた、O/W型エマルジョンを乾燥雰囲気中に噴
霧し、液滴中の非水溶性有機溶媒を完全に除去してトナ
ー微粒子を形成し、合せて水性分散媒を蒸発除去するこ
とも可能である。O/W型エマルジョンが噴霧される乾
燥雰囲気としては、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等
を20℃から250℃に加熱した気体、特に使用される
最高沸点溶媒の沸点以上の温度に加熱された各種気流が
一般に用いられる。このようにしてトナー微粒子を形成
後、必要に応じてさらに洗浄、乾燥および分級等を工程
を経ることにより、本発明に係わる静電潜像現像用トナ
ーをシャープな粒径分布をもって得ることができる。
【0054】このようにしてトナー微粒子を形成後、必
要に応じてさらに洗浄、乾燥および分級等の工程を経る
ことにより、本発明に係わる静電潜像現像用トナーをシ
ャープな粒径分布をもって得ることができる。
【0055】得られたトナーの体積平均粒径(Dv)、個
数平均粒径(Dp)の比Dv/Dpは1.0〜1.3、好
ましくは1.0〜1.1の範囲にあることがの好まし
い。Dv/Dpが1.3より大きくなるとトナー中の微
粉の含有量が多くなるため耐刷性が低くなる。
【0056】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明する。
【0057】<マスターバッチAの製造例>ポリエステ
ル樹脂(軟化点95℃、Tg65℃、Mn=3500、Mw
/Mn=2.5)100部およびキナクリドン顔料(大日
精化社製)100部をヘンシェルミキサーでよく混合し
た後、熱3本ロールで混練した。そして、混練物を冷却
して後、粗粉砕することにより、平均粒径2mmのマスタ
ーバッチAを得た。このマスターバッチA中の顔料の9
0個数%以上が最大粒径0.03〜0.2μmであっ
た。
【0058】<マスターバッチBの製造例>ポリエステ
ル樹脂(軟化点95℃、Tg65℃、Mn=3500、Mw
/Mn=2.5)100部、キナクリドン顔料(大日精化
社製)100部および荷電制御剤(ボントロンE−84:
オリエント化学社製)2部をヘンシェルミキサーでよく
混合した後、熱3本ロールで混練した。そして、混練物
を冷却して後、粗粉砕することにより、平均粒径2mmの
マスターバッチBを得た。このマスターバッチB中の顔
料および荷電制御剤の90個数%以上が、それぞれ0.
03〜0.2μmおよび0.01〜0.1μmであっ
た。
【0059】実施例1 ポリエステル樹脂(軟化点95℃、Tg65℃、Mn=3
500、Mw/Mn=2.5)100部、マスターバッチ
A12部をトルエン400部に加熱溶解(85℃、30
分)させ、TKホモディスパー(特殊機化工業社製)を用
いて均一に混合し、マスターバッチ混合液を得た。次
に、荷電制御剤としてホウ素金属錯体(LR−147;
日本カーリット工業社製)2gをアセトン20gに充分溶
解した溶液を添加して激しく撹拌し、トナー成分混合液
を得た。得られたトナー成分混合液を、分散安定剤とし
てpH10の水酸化リン酸カルシウム4%水分散液10
00gにラウリル硫酸ナトリウム(和光純薬社製)0.1g
を溶解させた水性分散媒中に混合し、TKオートホモミ
クサー(特殊機化工業社製)を用い、上記トナー成分混合
液を平均3〜12μmとなるように回転数を調製し、水
性分散媒中に懸濁せしめた。その後、60〜65℃、1
40mmHg〜70mmHgの条件下にトルエンを除去し、濃
塩酸により水酸化リン酸カルシウムを溶解した後、濾過
/水洗を繰り返し行った後、スラリー乾燥装置(ディス
パーコート;日清エンジニアリング社製)により粒子の乾
燥を行い平均粒径6μmの着色粒子を得た。さらに、こ
こで得られた着色粒子100重量部に対し疎水性シリカ
0.3重量部(H−2000; ワッカー社製)並びに疎水
性酸化チタン(T−805; 日本アエロジル社製)0.5
重量部を添加し、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機
社製)にて1000rpmで1分間処理することによりトナ
ー1を得た。
【0060】実施例2 ポリエステル樹脂(軟化点95℃、Tg65℃、Mn=3
500、Mw/Mn=2.5)100部、マスターバッチ
B12部をトルエン400部に加熱溶解させ、冷却後、
湿式ビーズミル(アイガーモーターミル: アイガージャ
パン社製)で充分に微分散させ、均一なトナー成分混合
液を得た。得られた混合液をpH9の水酸化リン酸カル
シウム(分散安定剤)1.5%水分散液1000gにドデ
シルベンゼンスルホン酸ナトリウム(和光純薬社製)0.
1gを溶解させた水性分散媒中に混合し、TKオートホ
モミクサー(特殊機化工業社製)を用い上記混合液を平均
液滴径3〜12μmとなるように回転数を調製し、水中
に懸濁せしめた。その後、pH9の水酸化リン酸カルシ
ウム5%水分散液500gを添加し60〜65℃、14
0mmHg〜70mmHgの条件下でトルエンを除去し、濃塩
酸により水酸化リン酸カルシウムを溶解した後、濾過/
水洗を繰り返し行った後、スラリー乾燥装置(ディスパ
ーコート; 日清エンジニアリング社製)により粒子の乾
燥を行い平均粒径6μmの着色粒子を得た。さらに、こ
こで得られた着色粒子100重量部に対し疎水性シリカ
0.3重量部(H−2000; ワッカー社製)並びに疎水
性酸化チタン(T−805; 日本アエロジル社製)0.5
重量部を添加し、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機
社製)にて1000rpmで1分間処理することによりトナ
ー2を得た。
【0061】実施例3 ポリエステル樹脂(軟化点95℃、Tg65℃、Mn=3
500、Mw/Mn=2.5)100部、マスターバッチ
A12部をトルエン400部に加熱溶解させ、冷却後、
荷電制御剤(ボントロンE−84; オリエント化学社製)
2部を添加、混合し、湿式ビーズミル(アイガーモータ
ミル: アイガージャパン社製)で充分に微分散させ、均
一なトナー成分混合液を得た。得られた溶液を、分散安
定剤としてpH9の水酸化リン酸カルシウム1.5%水分
散液1000gにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウ
ム(和光純薬社製)0.1gを溶解させた水性分散媒中に混
合し、TKオートホモミクサー(特殊機化工業社製)を用
い上記混合液を平均3〜12μmとなるように回転数を
調製し、水中に懸濁せしめた。その後、pH9の水酸化
リン酸カルシウム5%水分散液500gを添加し60〜
65℃、140mmHg〜70mmHgの条件下でトルエンを
除去し、濃塩酸により水酸化リン酸カルシウムを溶解し
た後、濾過/水洗を繰り返し行った後、スラリー乾燥装
置(ディスパーコート; 日清エンジニアリング社製)によ
り粒子の乾燥を行い平均粒径6μmの着色粒子を得た。
さらに、ここで得られた着色粒子100重量部に対し疎
水性シリカ0.3重量部(H−2000; ワッカー社製)
並びに疎水性酸化チタン(T−805; 日本アエロジル
社製)0.5重量部を添加しヘンシェルミキサー(三井三
池化工機社製)にて1000rpmで1分間処理することに
よりトナー3を得た。
【0062】実施例4 ポリエステル樹脂(軟化点95℃、Tg65℃、Mn=
3500、Mw/Mn=2.5)100部、PS Red
BB(三井東圧社製:C.I.Solvent Red155)3
部をトルエン400部に加熱溶解(85℃、30分)さ
せ、TKホモディスパー(特殊機化工業社製)を用いて混
合して混合液を得た。次に、荷電制御剤としてホウ素金
属錯体(LR−147;日本カーリット工業社製)2gを
アセトン20gに充分溶解した溶液を添加して激しく撹
拌し、トナー成分混合液を得た。得られた混合液を、分
散安定剤としてpH10の水酸化リン酸カルシウム4%
水分散液1000gにラウリル硫酸ナトリウム(和光純
薬社製)0.1gを溶解させた水性分散媒中に混合し、T
Kオートホモミクサー(特殊機化工業社製)を用い上記均
一分散液を平均3〜12μmとなるように回転数を調整
し、水中に懸濁せしめた。その後、60〜65℃、14
0mmHg〜70mmHgの条件下でトルエンを除去
し、濃塩酸により水酸化リン酸カルシウムを溶解した
後、濾過/水洗を繰り返し行った後、スラリー乾燥装置
(ディスパーコート;日清エンジニアリング社製)により
粒子の乾燥を行い平均粒径6μmの着色粒子を得た。さ
らに、ここで得られた着色粒子100重量部に対し疎水
性シリカ0.3重量部(H−2000;ワッカー社製)並
びに疎水性酸化チタン(T−805;日本アエロジル社
製)0.5重量部を添加しヘンシェルミキサー(三井三池化
工機社製)にて1,000rpmで1分間処理することに
よりトナー4を得た。
【0063】比較例1 成分 重量部 ポリエステル樹脂(軟化点95℃、Tg65℃、 Mn=3500、Mw/Mn=2.5) 100 マスターバッチA 12 ホウ素金属錯体(LR−147; 日本カーリット工業社製) 2 上記材料をボールミルで充分混合した後、140℃に加
熱した3本ロール上で混練した。混練物を放置冷却後、
フェザーミルを用い粗粉砕し、さらに、ジェットミルで
微粉砕した。その後、風力分級し、平均粒径8μmの微
粉末を得た。
【0064】比較例2 成分 重量部 ポリエステル樹脂(軟化点95℃、Tg65℃、 Mn=3500、Mw/Mn=2.5) 100 マスターバッチB 12 上記材料をボールミルで充分混合した後、140℃に加
熱した3本ロール上で混練した。混練物を放置冷却後、
フェザーミルを用い粗粉砕し、さらに、ジェットミルで
微粉砕した。その後、風力分級し、平均粒径8μmの微
粉末を得た。
【0065】さらに、比較例1〜2で得られた着色粒子
100重量部に対し疎水性シリカ0.3重量部(H−2
000; ワッカー社製)並びに疎水性酸化チタン(T−8
05;日本アエロジル社製)0.5重量部を添加し、ヘン
シェルミキサー(三井三池化工機社製)にて1000rpm
で1分間処理することによりトナー5〜6を得た。
【0066】評価 (キャリアの製造例)スチレン、メチルメタクリレー
ト、2−ヒドロキシエチルアクリレート、メタクリル酸
からなるスチレン−アクリル系共重合体(1.5:7:
1.0:0.5)80重量部をブチル化メラミン樹脂20
重量部をトルエンで希釈し、固形比2%のスチレンアク
リル樹脂溶液を調合した。
【0067】芯材として焼成フェライト粉(F−300;
平均粒径:50μm、嵩密度:2.53g/cm3;パウダー
テック社製)を用い、上記スチレンアクリル樹脂溶液を
スピラーコーター(岡田精工社製)により塗布し、乾燥し
た。得られたキャリアを熱風循環式オーブン中にて14
0℃で2時間放置して焼成した。冷却後、フェライト粉
バルクを目開き210μmと90μmのスクリーンメッシ
ュを取り付けたフルイ振盪器を用いて解砕し、樹脂コー
トされたフェライト粉とした。このフェライト粉に対
し、上記塗布、焼成、解砕をさらに3回繰り返し樹脂被
覆キャリアを得た。得られたキャリアの平均粒径は52
μm、電気抵抗は約3×1010Ωcmであった。
【0068】以上のようにして得られたトナーおよびキ
ャリアを、トナー混合比5.0重量%となるように混合
し現像剤を得た。
【0069】得られた各トナーに対し、体積平均粒径
(Dv)、個数平均粒径(Dp)、Dv/Dp、帯電量、帯電不
良トナー量、飛散量について評価を行った。結果を下記
表1に示した。
【0070】平均粒径; コールターマルチサイザー(コ
ールター社製)を用いて測定した。
【0071】帯電量; 現像剤30gを50mlのポリエチ
レン瓶に入れ、1200rpmで10分間回転させた後の
帯電量を測定した。
【0072】帯電不良トナー量; 上記帯電量の測定にお
けるものと同様に調製し、撹拌した現像剤3gを直径3
10mmのマグネットロール上のセットし、精秤し、対向
電極をセットする。トナー極性と逆極性にバイアス電圧
1kVをかけ、マグネットロールを1000rpmで1分間
回転させる。操作終了後、対向電極を精秤し、初期値と
の差を計算して対向電極に付着した分離トナー(帯電不
良トナー)量を求め、この帯電不良トナー量を全トナー
量に対する割合として求めた。
【0073】飛散量; デジタル粉塵計(柴田科学社製;
P5H2型)を用いて、粉塵計をマグネットロールと1
0cm離した所に設置し、このマグネットロール上に現像
剤2gをセットした後、マグネットを2000rpmで回転
させたとき発塵するトナーの粒子を前記粉塵計で読み取
って、1分間のカウント数(cpm)を測定する。ここで得
られた飛散量を以下の基準で評価した。 ○: 飛散量が300cpm以下である。 △; 飛散量が300〜500cpmである。 ×; 飛散量が500cpm以上で使用できない。
【0074】また、得られたトナーおよびキャリアをト
ナー/キャリア混合比5重量%として初期現像剤とし、
市販のカラー複写機(ミノルタカメラ社製: CF−80)
を用いて5000枚のコピーテストを行った後の帯電量
も測定した。
【0075】
【表1】
【0076】表1に示す結果から明らかなように、本発
明に係わる実施例1〜4のものは、充分な帯電量を発揮
し、また帯電不良トナーの発生も極めて少なく、飛散量
も少なく良好であった。また粒径分布もシャープであ
り、微粉も非常に少なかった。一方、比較例では帯電不
良トナーの発生が多く、飛散量も多かった。また、粒径
分布もブロードで微粉が多い。
【0077】着色剤および荷電制御剤の粒径 得られたトナーをOsO4染色超薄切片法により調整し、
透過型電子顕微鏡(日立製H−7100FA型)よる観察
を行った。また、トナー中に観察される微粒子の組成を
FESTEM−EDX法(電界放射型、走査透過型電子
顕微鏡; FESTEM;VG社製 HB501)により同
定した。 EDX分析より 着色剤; コントラストの低い丸みを有する不定形粒子
(からNが検出された)として観察された。 荷電制御剤; 針状粒子および球状粒子(からZnおよびB
が検出された)として観察された。結果を表2に示す。
【0078】
【表2】
【0079】実施例1〜4は着色剤および荷電制御剤の
分散性が良好で且つ均一である。比較例1、2のそれは
分散性が悪く、充分に分散されていないものが多く存在
する。
【0080】
【発明の効果】以上述べたように本発明は、乳化分散造
粒法で得られたトナーであって、着色剤、荷電制御剤の
分散性を向上させることによって、小粒径で充分な帯電
量が確保でき、飛散トナー、逆帯電トナーなどの帯電不
良トナー量が少なく、粒径分布がシャープなトナーを提
供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−333899(JP,A) 特開 平5−119529(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 9/08

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バインダー樹脂は溶解するが水には不溶
    性の有機溶剤と、少なくともバインダー樹脂、顔料系着
    色剤および荷電制御剤からなるトナー成分との混合液を
    調整し、この混合液を水系分散媒に乳化分散してO/W型
    エマルジョンを得、このエマルジョンから前記有機溶剤
    を除去し、次いで乾燥して得られた静電潜像現像用トナ
    ーであって、前記混合液が少なくとも顔料を樹脂に均一
    に分散させたマスターバッチを使用して調製され、バイ
    ンダー樹脂中に分散された顔料系着色剤の90個数%以上
    が個々の粒子における最大粒径で0.03〜0.2μmの範囲に
    あり、且つ荷電制御剤の90個数%以上が個々の粒子にお
    ける最大粒径で0.01〜0.1μmの範囲にあることを特徴と
    する静電潜像現像用トナー。
  2. 【請求項2】 前記トナーの体積平均粒径が3〜9μmで
    あり、体積平均粒径と個数平均粒径との比(体積平均粒
    径/個数平均粒径)が1.0〜1.3であることを特徴とする
    請求項1記載の静電潜像現像用トナー。
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