JPH09218532A - 静電潜像現像用トナー - Google Patents

静電潜像現像用トナー

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JPH09218532A
JPH09218532A JP2363596A JP2363596A JPH09218532A JP H09218532 A JPH09218532 A JP H09218532A JP 2363596 A JP2363596 A JP 2363596A JP 2363596 A JP2363596 A JP 2363596A JP H09218532 A JPH09218532 A JP H09218532A
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JP
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toner
colored resin
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amt
particle diameter
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Application number
JP2363596A
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English (en)
Inventor
Hiroki Nagai
裕樹 永井
Junji Machida
純二 町田
Mitsutoshi Nakamura
光俊 中村
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Minolta Co Ltd
Original Assignee
Minolta Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高温高湿環境に放置した後も、十分な帯電量
を有し、帯電不良トナー量が少なく、耐刷時にも帯電量
が低下しないトナーを提供する。 【構成】 特定の金属を含有する難溶性無機塩を分散安
定剤として使用する湿式造粒法により製造された静電潜
像現像用トナーにおいて、トナーに残存する金属量並び
にその体積平均粒径と個数平均粒径の比を所定の範囲に
調整した静電潜像現像用トナー。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真、静電記
録および静電印刷等における静電潜像を現像するために
用いられる静電潜像現像用トナーに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、電子写真、静電記録および静
電印刷等における静電潜像を現像するために用いられる
静電潜像現像用トナーは、カーボンブラック等の顔料を
熱可塑性樹脂中に混合溶融混練して一様な分散体にした
後、適当な微粉砕装置によってトナーとして必要な粒径
の粉末に粉砕する、いわゆる粉砕法により製造されてき
た。
【0003】しかしながら、近年、製造コストの低減や
高画質化の観点から粉砕法に代わり、小粒径で比較的粒
径の揃った樹脂微粒子を得ることが可能な、懸濁重合
法、乳化分散法等に代表される湿式中での造粒法が注目
されている。
【0004】懸濁重合法は、重合性単量体、重合開始剤
および着色剤等を成分とする重合組成物を分散媒体中に
懸濁し重合することによって造粒を行うものである。ま
た、乳化分散法は、結着樹脂と着色剤とを適当な有機溶
媒に溶解ないしは分散させて着色樹脂溶液とし、これを
水性分散液に加えて激しく攪拌することにより、樹脂溶
液の液滴を形成させる。そして、加熱して液滴から有機
溶媒を除去することにより造粒を行うものである。
【0005】湿式造粒法によれば、概して小粒径のトナ
ー粒子を形成することが容易であることから高画質化に
充分対応することが可能である。また、収率も良好であ
る。通常、このような湿式造粒法においては、分散媒体
中に分散した液滴の凝集を防止し、液滴の分散状態を安
定に保つため、分散媒体中に分散安定剤を添加するよう
にしている。
【0006】分散安定剤としては、種々のものが知られ
ているが、特に、分散安定性に優れていることおよび分
散安定剤の除去の容易性に優れていることなどから、リ
ン酸カルシウム等の難溶性無機塩が好ましく用られる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、難溶性
無機塩を分散安定剤として使用する湿式造粒法によって
製造したトナーは、十分な帯電量を示さなかったり、帯
電不良トナーの量が多かったり、高温高湿環境に放置す
ると帯電性が損なわれたり、耐刷時に帯電量が低下する
などの問題を発生する虞のあることが判明した。
【0008】本発明は上記事情に鑑みなされたもので、
分散安定剤としてカルシウム系の難溶性無機塩を使用す
る湿式造粒法で製造されたトナーであっても、十分な帯
電量を有し、帯電不良トナー量が少なく、高温高湿環境
に放置しても帯電性が損なわれず、耐刷時にも帯電量が
低下しないトナーを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を
含有する難溶性無機塩を分散安定剤として使用する湿式
造粒法により製造された静電潜像現像用トナーにおい
て、トナーに残存するアルカリ金属またはアルカリ土類
金属の量が5.0重量%以下であり、且つトナーの体積
平均粒径Dvと個数平均粒径Dpとの比Dv/Dpが
1.0〜1.3であることを特徴とする。
【0010】本発明者らは、種々検討した結果、トナー
に残存する上記金属量およびトナーの粒径が上記問題の
一因であることを見出した。
【0011】一般に、難溶性無機塩を分散安定剤として
使用する湿式造粒法においては、懸濁液中で分散安定剤
である難溶性無機塩が液滴表面を覆うことにより、液滴
どうしの凝集を防いでいる。このため、造粒された樹脂
微粒子の表面にはこの難溶性無機塩が付着する。したが
って、通常は、造粒後に粒子表面に付着している難溶性
無機塩を、塩酸等により溶解しついで水洗浄することに
よって除去するようにしている。
【0012】ところが、このような難溶性無機塩を分散
安定剤として使用する場合、分散安定剤に含まれていた
金属が何らかの形で樹脂粒子表面に付着するものと考え
られ、単に酸によって溶解し水洗しただけでは、分散安
定剤に含まれていた金属を粒子表面から十分に除去でき
ないことが判明した。そして、トナー表面に付着してい
ると考えられる金属含有成分が上記問題の一因となるこ
とを見出した。
【0013】トナー表面に付着する金属含有成分が上記
問題の一因となる理由は必ずしも明らかではないが、こ
の金属含有成分自身がある程度の帯電性を有しており、
これがトナーの帯電性に影響を与えることによるものと
考えられる。
【0014】本発明者らは、上記知見に基づいてさらに
検討を重ねた結果、湿式造粒法によって得た樹脂微粒子
を、分散安定剤の仕込量に応じた量の酸を使用して酸洗
浄し、ついで分散安定剤の仕込量に応じた水量で水洗浄
し、さらに乾燥する前の段階で分散安定剤の仕込量に応
じた水量の脱イオン水によって洗浄するなどの方法によ
り、樹脂微粒子表面に残存する金属の量を所定の範囲に
まで減少させるとともに、トナーの体積平均粒径および
個数平均粒径を所定の関係に調整することによって、上
記問題を解決することが可能であることを見い出し、本
発明に至ったものである。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明においては、まず湿式中に
おいて造粒を行う。湿式中におけるトナー粒子の造粒法
としては、例えば、乳化分散法がある。
【0016】乳化分散法においては、結着樹脂と、着色
剤と、必要に応じてその他の添加物と、非水溶性有機溶
媒とを混合して着色樹脂溶液とし、これを水性分散媒液
中に乳化分散させてO/W型エマルジョンを形成し、そ
の後O/W型エマルジョンから非水溶性有機溶媒を除去
することにより造粒を行う。なお、O/W型エマルジョ
ンとは、水性分散液中に油性液体が液滴となって分散し
ている状態の懸濁液を指す。
【0017】乳化分散法に用いられる結着樹脂として
は、後述する非水溶性有機溶媒に溶解可能でかつ水に不
溶性あるいは難溶性のものであれば特に限定されず、例
えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチ
レン−(メタ)アクリル系共重合体樹脂、オレフィン系
樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカ
ーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリ酢酸ビニル系
樹脂、ポリスルフォン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタ
ン樹脂、尿素樹脂などのような公知の各種の樹脂を単独
あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0018】このような結着樹脂としては、ガラス転移
点(Tg)が50〜70℃、数平均分子量(Mn)が1
000〜50000、好ましくは3000〜2000
0、Mnと重量平均分子量(Mw)との比で表わされる
分子量分布(Mw/Mn)が2〜60であることが望ま
しい。Tgが50℃未満では最終的に得られるトナーの
耐熱性が低下し、Tgが70℃を越えるとトナーの定着
性が低下する。また、Mnが1000未満では高温オフ
セットが発生しやすくなり、50000を越えるもので
あると逆に低温オフセットが発生しやすくなる。さら
に、Mw/Mnが2未満であると非オフセット領域が狭
いものとなる虞があり、60を越えるものであると低温
オフセットが発生しやすくなる。なお、本発明のトナー
をオイル塗布定着用トナーとする場合には、Mw/Mn
は2〜5とすることが望ましく、また、オイルレス定着
用トナーとする場合には、Mw/Mnは20〜50とす
ることが望ましい。
【0019】上記の結着樹脂を溶解するための有機溶媒
としては、水に不溶かあるいは難溶で、上記結着樹脂を
溶解するものであればよく、例えば、トルエン、キシレ
ン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジ
クロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリク
ロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジ
クロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエ
チルケトン、メチルイソブチルケトン等を単独あるいは
2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエ
ン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、
1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等
のハロゲン化炭化水素が好ましい。
【0020】トナーに含有される着色剤としては、以下
に示されるような有機ないしは無機の各種、各色の顔料
が使用可能である。
【0021】すなわち、黒色顔料としては、カーボンブ
ラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリン・ブラッ
ク、活性炭、非磁性フェライト、磁性フェライト、マグ
ネタイトなどがある。
【0022】黄色顔料としては、黄鉛、亜鉛黄、カドミ
ウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロ
ー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエロー、ナフ
トールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー
10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローG
R、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローN
CG、タートラジンレーキなどがある。
【0023】橙色顔料としては、赤色黄鉛、モリブデン
オレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオ
レンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアント
オレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブ
リリアントオレンジGKなどがある。
【0024】赤色顔料としては、ベンガラ、カドミウム
レッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレ
ッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッ
チングレッド、カルシウム塩、レーキレッドC、レーキ
レッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレー
キ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリア
ントカーミン3Bなどがある。
【0025】紫色顔料としては、マンガン紫、ファスト
バイオレットB、メチルバイオレットレーキなどがあ
る。
【0026】青色顔料としては、紺青、コバルトブル
ー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、
フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、
フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイ
ブルー、インダスレンブルーBCなどがある。
【0027】緑色顔料としては、クロムグリーン、酸化
クロム、ピグメントグリーンB、マイカライトグリーン
レーキ、ファイナルイエローグリーンGなどがある。
【0028】白色顔料としては、酸化亜鉛、酸化チタ
ン、酸化アンチモン、硫化亜鉛、炭酸カルシウム、酸化
スズなどがある。
【0029】体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリ
ウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、ア
ルミナホワイトなどがある。
【0030】これらの着色剤は単独あるいは複数組合せ
て用いることができる。着色剤はトナーに含有される結
着樹脂100重量部に対して、1〜20重量部、好まし
くは2〜15重量部使用する。着色剤が20重量部より
多いとトナーの定着性が低下し、1重量部より少ないと
所望の画像濃度が得られない虞がある。
【0031】本発明のトナー中には、上記したような結
着樹脂および着色剤以外にも、例えば、荷電制御剤、磁
性粉、オフセット防止剤などの成分を必要に応じて配合
することができる。
【0032】荷電制御剤としては、摩擦帯電により正ま
たは負の荷電を与え得る物質として各種のものがあり、
正荷電制御剤としては、例えば、ニグロシンベースEX
(オリエント化学工業社製)などのニグロシン系染料、
P−51(オリエント化学工業社製)、コピーチャージ
PX VP435(ヘキスト社製)などの第4級アンモ
ニウム塩、アルコキシ化アミン、アルキルアミド、モリ
ブデン酸キレート顔料、およびPLZ1001(四国化
成工業社製)などのイミダゾール化合物等が挙げられ
る。
【0033】負荷電制御剤としては、例えば、ボントロ
ンS−22(オリエント化学工業社製)、ボントロンS
−34(オリエント化学工業社製)、ボントロンE−8
1(オリエント化学工業社製)、ボントロンE−84
(オリエント化学工業社製)、スピロンブラックTRH
(保土谷化学工業社製)などの金属錯体、チオインジゴ
系顔料、コピーチャージNX VP434(ヘキスト社
製)などの第4級アンモニウム塩、ボントロンE−89
(オリエント化学工業社製)などのカリックスアレーン
化合物、フッ化マグネシウム、フッ化カーボンなどのフ
ッ素化合物などが挙げられる。なお、負荷電制御剤とな
る金属錯体としては、上記に示したもの以外にもオキシ
カルボン酸金属錯体、ジカルボン酸金属錯体、アミノ酸
金属錯体、ジケトン金属錯体、ジアミン金属錯体、アゾ
基含有ベンゼン−ベンゼン誘導体骨格金属錯体、アゾ基
含有ベンゼン−ナフタレン誘導体骨格金属錯体などの各
種の構造を有したものであってもよい。
【0034】これらの荷電制御剤は、その粒径が10〜
100mμm程度のものであることが、均一な分散を得
る上から望ましい。市販品等として供給される形態にお
いてその粒径が上記範囲の上限値も大きい場合には、ジ
ェットミル等により粉砕を行うなどの公知の方法により
適当な粒径に調整することが望ましい。
【0035】磁性粉としては、マグネタイト、γ−ヘマ
タイト、あるいは各種フェライト等がある。
【0036】オフセット防止剤としては、各種ワック
ス、特に、低分子量ポリプロピレン、ポリエチレン、あ
るいは、酸化型のポリプロピレン、ポリエチレン等のポ
リオレフィン系ワックスなどが挙げられる。
【0037】非水溶性有機溶媒に結着樹脂、着色剤、お
よびその他のトナー成分を溶解ないし分散させるには、
ボールミル、サンドミル、ホモミキサー、超音波ホモジ
ナイザーなどの装置を用いることができる。
【0038】結着樹脂、着色剤、およびその他の添加剤
を非水溶性有機溶媒と混合させて得た着色樹脂溶液にお
ける固形分濃度は、この着色樹脂溶液を水性分散液中に
乳化分散させてなるO/W型エマルジョンを加熱して液
滴中より非水溶性有機溶媒を除去する際に、液滴が容易
に微粒子へと凝固できるように設定する必要があり、5
〜50重量%、好ましくは10〜40重量%とする。
【0039】O/W型エマルジョンを形成するために
は、ホモミキサーなどの撹拌装置を用いて、着色樹脂溶
液と水性分散液との混合系を十分に撹拌する方法を採用
することができる。なお、撹拌時間が短すぎるとシャー
プな粒径分布が得られないため、撹拌時間は10分以上
であることが好ましい。
【0040】また、着色樹脂溶液の体積(Vp)と水性
分散液の体積(Vw)との比(Vp/Vw)は、Vp/
Vw≦1、好ましくは0.3≦Vp/Vw≦0.7とす
ることが望ましい。Vp/Vw>1であると、安定なO
/W型エマルジョンが形成できず、途中で相転移が生じ
たり、W/O型エマルジョンが形成されてしまう虞が大
きいためである。
【0041】O/W型エマルジョンを形成するために使
用する水性分散液としては、水や、水にエマルジョンを
破壊しない程度の水溶性有機溶媒を含んだもの、例え
ば、水/メタノール混液(重量比50/50〜100/
0)、水/エタノール混液(重量比50/50〜100
/0)、水/アセトン混液(50/50〜100/
0)、水/メチルエチルケトン混液(重量比70/30
〜100/0)などが使用可能である。
【0042】水性分散液には、アルカリ金属またはアル
カリ土類金属を含有する難溶性無機塩を分散安定剤とし
て添加する。このような難溶性無機塩としてはリン酸リ
チウム、リン酸マグネシウム、二リン酸マグネシウム、
リン酸マグネシウムアンモニウム等が挙げられるが、特
にカルシウム系の難溶性無機塩を使用することが好まし
い。このようなカルシウム系の難溶性無機塩としては、
水に難溶性のリン酸カルシウム塩や、硫酸カルシウム、
炭酸カルシウム等が挙げられる。水に難溶性のリン酸カ
ルシウム塩としては、リン酸三カルシウム、第二リン酸
カルシウム、水酸化リン酸カルシウム、ピロリン酸カル
シウム、ポリリン酸カルシウムおよび、これらの混晶
や、フッ化カルシウムや塩化カルシウムとの複塩の形態
のものを挙げることができる。これらの分散安定剤は、
単独あるいは2種以上組み合わせて用いることができ
る。
【0043】以下、難溶性無機塩としてカルシウム系の
ものを使用した場合を例に詳細に説明する。
【0044】乳化分散法においてリン酸カルシウム塩を
分散安定剤として用いると、トナー表面に凹凸が形成さ
れ、不定形のトナーが得られる。そのため、ブレードク
リーニングを行う画像形成装置においては、良好なクリ
ーニング性を得ることができる。
【0045】分散安定剤としてカルシウム系の難溶性無
機塩を含む水性分散液のpHは、カルシウム系難溶性無
機塩の安定性を考慮して、5〜14、好ましくは6〜1
2に調整することが望ましい。水性分散液のpHを調整
するためには、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム等
のアルカリや、塩酸、リン酸等の酸を添加するなどの方
法を採用することができる。
【0046】分散安定剤としてのカルシウム系の難溶性
無機塩の使用量は、使用する水性分散液の総量に対して
0.5〜10重量%とすることが好ましい。分散安定剤
が0.5重量%未満であると液滴を十分安定な状態で分
散させることが困難になり、10重量%を超えると樹脂
粒子中への分散安定剤の取り込みが問題となる虞がある
ためである。
【0047】また、着色樹脂溶液の水性分散液への分散
途中あるいは分散終了後に、分散安定剤を追加して添加
するようにしてもよい。このような分散安定剤の再添加
は、液滴あるいは析出した樹脂微粒子の凝集の防止に有
効である。
【0048】液滴の分散安定性を向上させるため、分散
安定剤としてのカルシウム系の難溶性無機塩とともに、
分散安定補助剤を用いてもよい。分散安定補助剤として
は、サポニンなどの天然界面活性剤、アルキレンオキサ
イド系、グリセリン系、グリシドール系などのノニオン
系界面活性剤、カルボン酸、スルホン酸、リン酸、硫酸
エステル基、リン酸エステル基等の酸性基を含むアニオ
ン系界面活性剤などが挙げられる。特に、ドデシルベン
ゼンスルホン酸ナトリウムやラウリル硫酸ナトリウムな
どのアニオン系界面活性剤が好ましい。
【0049】分散安定補助剤と分散安定剤との混合比率
は、1/1000〜10/100、好ましくは2/10
00〜8/100とすることが好ましい。混合比率が1
/1000未満では、十分な分散安定性を得ることがで
きず、また、10/100を超えると乳化が起こりすぎ
て液滴に凝集が発生したり、造粒後に分散安定剤および
分散安定補助剤を十分に除去することが困難になる等の
虞があるためである。O/W型エマルジョンから非水溶
性有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に昇温し
て、液滴中の非水溶性有機溶媒を完全に蒸発させる方法
や、O/W型エマルジョンを乾燥雰囲気中に噴霧し、液
滴中の非水溶性有機溶媒を完全に除去して着色樹脂微粒
子を形成し合わせて水性分散液を蒸発除去する方法を用
いることができる。
【0050】乳化分散法には、懸濁重合法などに比べて
使用可能な樹脂の種類が多いという特徴がある。即ち、
懸濁重合法においては、重合可能なモノマーがビニル系
モノマーに限定されるため得られる樹脂もビニル系の樹
脂に限定されてしまうが、乳化分散法では、非水溶性有
機溶媒にある程度溶解可能な樹脂であれば使用可能であ
り、ビニル系の樹脂のみならず例えば懸濁重合法では製
造できないポリエステルやエポキシ樹脂等も使用可能で
ある。
【0051】湿式中におけるトナー粒子の造粒法として
は、この他に、重合過程を含む造粒法である、懸濁重合
法、乳化重合法、マイクロカプセル法(界面重合法、i
n−situ重合法等)、非水分散重合法、スプレード
ライ法、シード重合法などが挙げられる。
【0052】懸濁重合法においては、重合性単量体、重
合開始剤、着色剤、および必要に応じて添加される荷電
制御剤、磁性粉、オフセット防止剤などの添加物からな
る重合組成物を、分散媒体中に懸濁させて油滴分散粒子
を形成する。そして、加熱して重合させることにより造
粒を行う。
【0053】懸濁重合法に使用される重合性単量体とし
ては、例えば、スチレン、メチルスチレン、メトキシス
チレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、エチルス
チレン、クロルスチレン等のスチレン系モノマー、アク
リル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピ
ル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル
酸ステアリル、アクリル酸エチルヘキシル、アクリルア
ミド、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタ
クリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸
オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸エチル
ヘキシル、メタクリル酸ステアリル等のアクリル酸ある
いはメタクリル酸系モノマー、エチレン、プロピレン、
ブチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、アクリロニトリル
等が挙げられ、これらを単独あるいは複数組み合わせて
用いることができる。また、これらをプレポリマーの形
にしてから用いてもよい。
【0054】懸濁重合法に使用される重合開始剤として
は、例えば、ベンゾイルーオキサイド、ラウロイルパー
オキサイド、ステアリルパーオキサイドのようなパーオ
キサイド系開始剤や2,2’−アゾビスイソブチロニト
リル、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルパレロ
ニトリル)のようなアゾビス系開始剤が挙げられる。重
合組成物を分散媒体中に懸濁させて油滴分散粒子を形成
するには、ホモミキサーやホモジナイザー等の高速攪拌
式の分散機を用いて激しく攪拌すればよい。重合を行う
ためには、重合組成物の分散した溶液系を重合開始剤の
分解温度以上の任意の温度にすればよいが、通常40〜
150℃とすることが好ましい。
【0055】分散媒体中には、分散した液滴の凝集を防
ぐために分散安定剤を添加する。分散安定剤としては、
上記の乳化分散法に用いられるものと同様のものを用い
ることができる。
【0056】懸濁重合法においては、樹脂微粒子内のモ
ノマーの残留を極力抑える必要がある。モノマーの残留
量が多いと、洗浄により分散安定剤を除去する際の凝集
の発生、トナーとなってからの臭い、帯電性の不安定
化、軟化温度のばらつき等の原因となる。モノマーの残
留を抑えるためには、反応の前半は低温で(40〜80
℃)重合を行い、反応の後半は高温(80〜150℃)
で重合を行うなどの多段重合法を用いたり、プレポリマ
ーを用いたりすることが望ましい。
【0057】また、重合中や重合終了後に分散安定剤を
追加して添加してもよい。このような分散安定剤の再添
加は、液滴の凝集や、造粒された着色樹脂微粒子の凝集
の防止に有効である。
【0058】本発明においては、こうして湿式中で製造
された着色樹脂微粒子を、酸洗浄し、ついで水洗浄し、
さらに乾燥する前の段階で脱イオン水によって洗浄する
などの方法により、トナーに残存するカルシウム量を
5.0重量%以下、好ましくは0.01〜2.0重量%
とする。
【0059】トナーに残存するカルシウムの量を測定す
るためには、たとえば、ICP発光分光分析装置、X線
マイクロアナライザー、螢光X線分析装置等の公知の分
析装置を用いることができる。
【0060】酸洗浄の方法としては、例えば、着色樹脂
微粒子を形成させた後、この着色樹脂微粒子を含む溶液
に、塩酸、硝酸、硫酸などの酸を添加することにより着
色樹脂微粒子表面に付着している分散安定剤を溶解する
などの方法が挙げられる。分散安定剤の溶解を完全なも
のとするため、溶液のpHを1〜2とし、30分間以上
攪拌することが好ましい。また、酸の添加により着色樹
脂微粒子を含んだ溶液が発熱し、一旦溶解した分散安定
剤が着色樹脂微粒子中に取り込まれる虞があるので、着
色樹脂微粒子を含む溶液の温度を30℃以下に保つこと
が好ましい。
【0061】酸洗浄後、着色樹脂微粒子をろ別し、水洗
浄を行うことによって分散安定剤や分散安定補助剤を着
色樹脂微粒子表面から洗い流す。
【0062】水洗浄は、まず、ろ別した着色樹脂微粒子
を水道水等を用いて懸洗し、さらに、脱イオン水によっ
て数回洗浄するなどの方法により行う。こうして、着色
樹脂微粒子の乾燥を行う前に脱イオン水によって数回洗
浄することにより、分散安定剤、分散安定補助剤、水洗
浄に使用した水道水等に含まれるハロゲンイオン等を十
分減少させることができる。
【0063】また、水洗浄を繰り返すうちに、着色樹脂
微粒子が水と馴染みにくくなり懸洗中に上部に浮遊し、
均一な洗浄ができなくなることがある。これを解決する
ために、脱イオン水洗浄の前に水溶性で且つ着色樹脂粒
子を溶解しない有機溶剤の水溶液、例えばメタノールや
エタノール等のアルコールの水溶液で洗浄を行うことが
好ましい。
【0064】なお、トナーに残存するカルシウム量を
0.01重量%未満にするには、洗浄回数や時間が増大
してコストがかかるため好ましくない。
【0065】こうして洗浄された着色樹脂微粒子は乾燥
された後、分級することにより体積平均粒径3〜10μ
m、好ましくは4〜9μm、体積平均粒径Dv/個数平
均粒径Dpが1.0〜1.3、好ましくは1.0〜1.
2のトナーとすることができる。Dv/Dpが1.3よ
り大きくなると上述した範囲にカルシウム量を調節して
も不良帯電トナー等の問題を十分に解消することが困難
になる。
【0066】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明する。なお、以下の部数は重量部である。
【0067】<実施例1>ポリエステル樹脂(NE−3
82:花王社製)100部をトルエン400部に溶解し
た。そして、フタロシアニン顔料6部および亜鉛金属錯
体(E−84:オリエント化学工業社製)2部を添加
し、ボールミルに入れて3時間混合して分散させること
により着色樹脂溶液を調製した。
【0068】一方、分散安定剤として4重量%の水酸化
リン酸カルシウム[3Ca3(PO42・Ca(O
H)2]を含有する水溶液1000部に、ラウリル硫酸
ナトリウム(和光純薬社製)0.1部を溶解させること
により水性分散液を調製した。
【0069】上記の着色樹脂溶液をTKオートホモミク
サー(特殊機化工業社製)を用いてこの水性分散液中に
懸濁させた。この際、ホモミクサーの回転数を調整し、
平均粒径5.5μmの液滴を形成するようにした。
【0070】こうして得た着色樹脂溶液の懸濁液を60
〜65℃、70〜140mmHgの条件で5時間放置す
ることにより、液滴からトルエンを除去し、着色樹脂微
粒子を析出させた。
【0071】そして、液温を30℃以下に保ちながら溶
液のpHが1.6になるまで1Nの塩酸を徐々に添加し
て水酸化リン酸カルシウムを溶解した。さらに、30分
間攪拌を続けた後、着色樹脂微粒子をろ別した。
【0072】次に、この着色樹脂微粒子を5倍量の水道
水中で30分間懸洗しろ過する操作を3回繰り返した。
続いて、5倍量の10重量%メタノール水溶液中で30
分間懸洗しろ過した後、5倍量の脱イオン水で30分間
懸洗しろ過する操作を3回繰り返した。
【0073】この後、スラリー乾燥装置(ディスパーコ
ート:日清エンジニアリング社製)により着色樹脂粒子
の乾燥を行った後、エルボージェットEJ−15(日鉄
鉱業社製)により分級して下記表1に示すトナー1を得
た。
【0074】<実施例2>まず、実施例1と同様の手順
により、着色樹脂溶液の懸濁液を調製し、次いで懸濁液
中の液滴からトルエンを除去し、着色樹脂微粒子を析出
させた。そして、この着色樹脂微粒子を含む溶液に対し
て、液温を30℃以下に保ちながら溶液のpHが1.2
になるまで1Nの塩酸を徐々に添加して水酸化リン酸カ
ルシウムを溶解した。さらに、1時間攪拌を続けた後、
着色樹脂微粒子をろ別した。
【0075】次に、この着色樹脂微粒子を5倍量の水道
水中で30分懸洗しろ過する操作を3回繰り返した。続
いて、5倍量の10重量%メタノール水溶液中で30分
間懸洗しろ過した後、5倍量の脱イオン水で30分間懸
洗しろ過する操作を5回繰り返した。
【0076】この後、スラリー乾燥装置(ディスパーコ
ート:日清エンジニアリング社製)により着色樹脂粒子
の乾燥を行った後、エルボージェットEJ−15(日鉄
鉱業社製)により分級して下記表1に示すトナー2を得
た。
【0077】<実施例3>まず、実施例1と同様の手順
により、着色樹脂溶液の懸濁液を調製し、次いで懸濁液
中の液滴からトルエンを除去し、着色樹脂微粒子を析出
させた。そして、この着色樹脂微粒子を含む溶液に対し
て、液温を30℃以下に保ちながら溶液のpHが1.5
になるまで4Nの塩酸を徐々に添加して水酸化リン酸カ
ルシウムを溶解した。さらに、1時間攪拌を続けた後、
着色樹脂微粒子をろ別した。
【0078】次に、この着色樹脂微粒子を5倍量の水道
水中で30分間懸洗しろ過する操作を2回繰り返した。
続いて、5倍量の10重量%メタノール水溶液中で30
分間懸洗しろ過した後、5倍量の脱イオン水で30分間
懸洗しろ過する操作を2回繰り返した。
【0079】この後、スラリー乾燥装置(ディスパーコ
ート:日清エンジニアリング社製)により着色樹脂粒子
の乾燥を行った後、エルボージェットEJ−15(日鉄
鉱業社製)により分級して下記表1に示すトナー3を得
た。
【0080】<実施例4>まず、実施例1と同様の手順
により、着色樹脂溶液の懸濁液を調製し、次いで懸濁液
中の液滴からトルエンを除去し、着色樹脂微粒子を析出
させた。そして、この着色樹脂微粒子を含む溶液に対し
て、液温を30℃以下に保ちながら溶液のpHが1.8
になるまで2Nの塩酸を徐々に添加して水酸化リン酸カ
ルシウムを溶解した。さらに、40分間攪拌を続けた
後、着色樹脂微粒子をろ別した。
【0081】次に、この着色樹脂微粒子を5倍量の水道
水中で30分間懸洗した後ろ過した。続いて、5倍量の
10重量%メタノール水溶液中で30分間懸洗しろ過し
た後、5倍量の脱イオン水で30分間懸洗しろ過する操
作を2回繰り返した。
【0082】この後、スラリー乾燥装置(ディスパーコ
ート:日清エンジニアリング社製)により着色樹脂粒子
の乾燥を行った後、エルボージェットEJ−15(日鉄
鉱業社製)により分級して下記表1に示すトナー4を得
た。
【0083】<実施例5>スチレン−ブチルメタクリレ
ート樹脂(軟化点121℃、Tg65℃、Mn=230
0、Mw/Mn=8.5)100部をジクロルメタン4
00部に溶解した。そして、ジメチルキナクリドン顔料
6部および亜鉛金属錯体(E−84:オリエント化学工
業社製)2部を添加し、ボールミルに入れて3時間混合
して分散させることにより着色樹脂溶液を調製した。
【0084】一方、分散安定剤として1.5重量%の水
酸化リン酸カルシウムを含有する水溶液1000部に、
にラウリル硫酸ナトリウム(和光純薬社製)0.1部を
溶解させることにより水性分散液を調製した。
【0085】上記の着色樹脂溶液をTKオートホモミク
サー(特殊機化工業社製)を用いてこの水性分散液中に
懸濁させた。この際、ホモミクサーの回転数を調整し、
平均粒径6.5μmの液滴を形成するようにした。
【0086】こうして得た着色樹脂溶液の懸濁液に対し
て、5重量%の水酸化リン酸カルシウムを含む水溶液5
00部を添加した後、35〜40℃、常圧の条件下で5
時間放置することにより、液滴からジクロルメタンを除
去し、着色樹脂微粒子を析出させた。
【0087】そして、液温を30℃以下に保ちながら溶
液のpHが2.0になるまで1Nの塩酸を徐々に添加し
て水酸化リン酸カルシウムを溶解した。さらに、30分
間攪拌を続けた後、着色樹脂微粒子をろ別した。
【0088】次に、この着色樹脂微粒子を5倍量の水道
水中で30分間懸洗しろ過する操作を3回繰り返した。
続いて、5倍量の10重量%メタノール水溶液中で30
分間懸洗しろ過した後、5倍量の脱イオン水で30分間
懸洗した後ろ過した。
【0089】この後、スラリー乾燥装置(ディスパーコ
ート:日清エンジニアリング社製)により着色樹脂粒子
の乾燥を行った後、エルボージェットEJ−15(日鉄
鉱業社製)により分級して下記表1に示すトナー5を得
た。
【0090】<実施例6>スチレン100部、n−ブチ
ルメタクリレート35部、メタクリル酸5部、2,2−
アゾビスイソブチロニトリル0.5部、カーボンブラッ
ク顔料(三菱化成工業社製)8部、帯電制御剤(アイゼ
ンスピロンブラックTRH:保土ケ谷化学社製)3部、
低分子量ポリプロピレン(三洋化成工業社製)3部から
なる材料をサンドスターラーで混合することにより重合
組成物を調製した。この重合組成物を、水500部、水
酸化リン酸カルシウム20部、ドデシル硫酸ナトリウム
(和光純薬社製)0.1部を溶解させた水性分散液に投
入しTKホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて毎
分8000回転で撹拌しながら、60℃で5時間重合さ
せ、さらに温度を75℃に昇温し1時間重合させて着色
樹脂微粒子を析出させた。
【0091】冷却後、液温を30℃以下に保ちながら溶
液のpHが1.0になるまで2Nの塩酸を添加して水酸
化リン酸カルシウムを溶解した。さらに、1時間攪拌を
続けた後、着色樹脂微粒子をろ別した。
【0092】そして、この着色樹脂微粒子を5倍量の水
道水中で30分間懸洗しろ過する操作を3回繰り返し
た。続いて、5倍量の10重量%メタノール水溶液中で
30分間懸洗しろ過した後、5倍量の脱イオン水で30
分間懸洗した後ろ過した。
【0093】この後、スラリー乾燥装置(ディスパーコ
ート:日清エンジニアリング社製)により着色樹脂粒子
の乾燥を行った後、エルボージェットEJ−15(日鉄
鉱業社製)により分級して下記表1に示すトナー6を得
た。
【0094】<比較例1>まず、実施例1と同様の手順
により、着色樹脂溶液の懸濁液を調製し、次いで懸濁液
中の液滴からトルエンを除去し、着色樹脂微粒子を析出
させた。そして、この着色樹脂微粒子を含む溶液に対し
て、溶液のpHが2.5になるまで1Nの濃塩酸を添加
して水酸化リン酸カルシウムを溶解した後、着色樹脂微
粒子をろ別した。
【0095】次に、この着色樹脂微粒子を5倍量の水道
水中で30分間懸洗しろ過する操作を3回繰り返した。
【0096】この後、スラリー乾燥装置(ディスパーコ
ート:日清エンジニアリング社製)により着色樹脂粒子
の乾燥を行った後、エルボージェットEJ−15(日鉄
鉱業社製)により分級して下記表1に示すトナー7を得
た。
【0097】<比較例2>まず、実施例1と同様の手順
により、着色樹脂溶液の懸濁液を調製し、次いで懸濁液
中の液滴からトルエンを除去し、着色樹脂微粒子を析出
させた。そして、この着色樹脂微粒子を含む溶液に対し
て、溶液のpHが3.0になるまで濃塩酸を添加して水
酸化リン酸カルシウムを溶解した後、着色樹脂微粒子を
ろ別した。次に、この着色樹脂微粒子を5倍量の水道水
中で30分間懸洗し、ろ過する操作を2回繰り返した。
【0098】この後、スラリー乾燥装置(ディスパーコ
ート:日清エンジニアリング社製)により着色樹脂粒子
の乾燥を行った後、エルボージェットEJ−15(日鉄
鉱業社製)により分級して下記表1に示すトナー8を得
た。
【0099】<比較例3>まず、実施例1において分級
を行わないこと以外は同様にして下記表1に示すトナー
9を得た。
【0100】<キャリアの製造例>スチレン、メチルメ
タクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、お
よび、メタクリル酸からなるスチレン−アクリル系共重
合体(1.5:7:1.0:0.5)80部と、ブチル
化メラミン樹脂20部とをトルエンで希釈することによ
り、固形分比2重量%のスチレン−アクリル樹脂溶液を
調製した。
【0101】芯材として焼成フェライト粉(F−30
0:平均粒径50μm、嵩密度2.53g/cm3 :パ
ウダーテック社製)を用い、上記スチレン−アクリル樹
脂溶液をスピラーコーター(岡田精工社製)により塗布
し、乾燥した。得られたキャリアを熱風循環式オーブン
中にて140℃で2時間放置して焼成した。冷却後、フ
ェライト粉バルクを目開き210μmと90μmのスク
リーンメッシュを取り付けたフルイ振盪器を用いて解砕
し、樹脂コートされたフェライト粉とした。この樹脂コ
ートフェライト粉に対して、塗布、焼成、解砕の各処理
をさらに3回繰り返して樹脂被覆キャリアを得た。
【0102】こうして得られたキャリアの平均粒径は5
2μm、電気抵抗は約3×1010Ωcmであった。
【0103】<諸特性の評価>上記の実施例1〜6およ
び比較例1〜3のトナーについて、以下のようにして諸
特性の評価を行った。
【0104】(1)トナー中のカルシウム量 予めCa含有量を定量したCa系化合物(3Ca3(P
42・Ca(OH)2)を、トナー1と同じ組成の材
料(ポリエステル樹脂、フタロシアニン顔料、亜鉛金属
錯体)を溶融、混練、粉砕、分級して得られた平均粒径
6μmの着色樹脂粒子に所定量付着させ、検量線用試料
を得、螢光X線分析計(SEA2010;セイコー電子
社製)によりCa濃度とスペクトル線強度との検量線を
作成した。次に、トナー1〜9のスペクトル線強度を上
記螢光X線分析計により測定し、上記検量線からCa量
を求めた。
【0105】(2)帯電量 実施例1〜6および比較例1〜3において得られたトナ
ー100部に対して、疎水性シリカ0.3部(H−20
00:ワッカー社製)および疎水性酸化チタン(T−8
05:日本アエロジル社製)0.5部を添加し、ヘンシ
ェルミキサー(三井三池化工機社製)にて1000rp
mで1分間、後処理した。そして、この後処理を行った
トナーと上記のキャリアとを5:95の重量比率で混合
することによって評価用の現像剤を調製した。
【0106】この現像剤30gを容量50mlのポリエ
チレン瓶にいれ、1200rpmで90分間回転するこ
とにより現像剤を攪拌した。そして、所定の帯電量に帯
電させたフィルムに接触させ、フィルムに付着するトナ
ー重量を測定することによりトナーの帯電量を求めた。
また、30℃、湿度85%の環境下で24時間保管した
後、同様に現像剤を攪拌してその帯電量を測定した。な
お、帯電量は常温常湿環境(25℃、湿度60%)にお
いて測定した。
【0107】(3)帯電不良トナー量 上記の帯電量の測定と同様の手順で調製、撹拌を行った
現像液3gを、直径310mmのマグネットロール上に
載せた。次に、精秤した対向電極をセットし、トナー極
性と逆極性にバイアス電圧1kVをかけ、マグネットロ
ールを1000rpmで1分間回転させた。そして、対
向電極を再度精秤して初期値との差をとることにより対
向電極に付着した分離トナー、すなわち帯電不良トナー
の重量を算出した。こうして、測定に供した全トナー重
量に対する帯電不良トナー重量の割合を帯電不良トナー
量とした。また、30℃、湿度85%の環境下で24時
間保管した後、同様の手順によりその帯電不良トナー量
を測定した。なお、測定は常温常湿環境(25℃、湿度
60%)において行った。
【0108】(4)耐刷後の帯電量 上記の帯電量の測定と同様の手順で調製した現像剤を、
市販のカラー複写機(CF−80:ミノルタ社製)の現
像器にセットして、1000枚の連続コピーを行った。
その後、現像器より現像剤を取り出し、上記の帯電量の
測定と同様の手順で帯電量を測定した。
【0109】以上の測定結果を表1にまとめて示した。
【0110】
【表1】
【0111】表1に示したように、実施例1〜6のもの
は、充分な帯電量を発揮し、また帯電不良トナーの発生
も極めて少なく、高温高湿環境に放置した場合も帯電量
の低下や帯電不良トナー量の増大を招かず、連続コピー
をおこなった後の帯電量の落ち込みも少ないものであっ
た。これに対して、比較例1〜3のものでは充分な帯電
量が得られず、帯電不良トナーの発生も多く、特に、高
温高湿環境に放置するとこれらが顕著であった。また、
連続コピーを行った時の帯電量の落ち込みも大きかっ
た。
【0112】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のトナー
は、充分な帯電量が確保でき、帯電不良トナーの発生が
少なく、高温高湿環境に放置した後も十分な帯電性を示
し、帯電不良トナー量が増大することがなく、耐刷後も
十分な帯電量を発揮できる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルカリ金属またはアルカリ土類金属を
    含有する難溶性無機塩を分散安定剤として使用する湿式
    造粒法により製造された静電潜像現像用トナーにおい
    て、トナーに残存するアルカリ金属またはアルカリ土類
    金属の量が5.0重量%以下であり、且つトナーの体積
    平均粒径Dvと個数平均粒径Dpとの比Dv/Dpが
    1.0〜1.3であることを特徴とする静電潜像現像用
    トナー。
  2. 【請求項2】 前記難溶性無機塩がカルシウム系化合物
    であることを特徴とする請求項1記載の静電潜像現像用
    トナー。
  3. 【請求項3】 前記トナーの体積平均粒子径が3〜10
    μmであることを特徴とする請求項1記載の静電潜像現
    像用トナー。
  4. 【請求項4】 前記トナーが、少なくとも結着樹脂、着
    色剤および非水溶性有機溶剤からなる着色樹脂溶液を、
    分散媒液中で乳化分散し、O/W型エマルジョンを得た
    後、上記有機溶剤を除去することにより得られることを
    特徴とする請求項1記載の静電潜像現像用トナー。
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Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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