JP2015025929A - トナー製造方法、トナー、現像装置及び画像形成装置 - Google Patents

トナー製造方法、トナー、現像装置及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】顔料分散剤を使用することなく、酢酸エチルに5.0〜20〔%〕溶解する蛍光体を使用し、溶解懸濁法によってトナーを製造することにより、紫外線光を照射すると発光し、カブリが発生することを抑制することができ、良好な画像を形成することができるようにする。
【解決手段】溶解懸濁法によってトナーを製造するトナー製造方法であって、顔料分散剤を使用することなく、酢酸エチルに5.0〜20〔%〕溶解する蛍光体を使用する。
【選択図】図1

Description

本発明は、トナー製造方法、トナー、現像装置及び画像形成装置に関するものである。
従来、電子写真方式のプリンタ、複写機、ファクシミリ機等の画像形成装置においては、帯電装置によって感光ドラムの表面を均一に帯電させ、帯電した感光ドラムの表面を露光装置によって露光して静電潜像を形成し、現像装置により静電潜像にトナーを付着させて得られたトナー像を媒体に転写し、画像を形成する。
ところで、画像上の光沢むらをなくす(バランスを取る)ための技術として、通常の着色トナーから着色剤成分を抜いたトナー、すなわち、クリアトナーを使用して、画像形成を行う技術が開発されている。例えば、着色トナーによる画像が形成された媒体上にクリアトナーを供給し、これを加熱定着することによってクリアトナー粒子層を形成し、全体に均一な光沢度を有する画像を形成する技術が開発されている。
また、近年、目視では確認することができないクリアトナーの性質を備えながら、紫外線を照射すると発光するセキュリティトナーを使用した特殊な画像を形成する技術も開発されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2011−123487号公報
しかしながら、前記従来の画像形成装置においては、クリアトナーやセキュリティトナーを使用した場合でも、媒体の非画像形成部分、すなわち、白地部分に微量のトナーが転写されて白地部分が汚れてしまう現象であるカブリが発生してしまうことがある、という問題があった。
本発明は、前記従来の問題点を解決して、顔料分散剤を使用することなく、酢酸エチルに5.0〜20〔%〕溶解する蛍光体を使用し、溶解懸濁法によってトナーを製造することにより、紫外線光を照射すると発光し、カブリが発生することを抑制することができ、良好な画像を形成することができるトナー製造方法、トナー、現像装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
そのために、本発明のトナー製造方法においては、溶解懸濁法によってトナーを製造するトナー製造方法であって、顔料分散剤を使用することなく、酢酸エチルに5.0〜20〔%〕溶解する蛍光体を使用する。
本発明によれば、顔料分散剤を使用することなく、酢酸エチルに5.0〜20〔%〕溶解する蛍光体を使用し、溶解懸濁法によってトナーを製造する。これにより、紫外線光を照射すると発光し、カブリが発生することを抑制することができ、良好な画像を形成することができる。
本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の概略構成図である。 本発明の第1の実施の形態における現像装置及び定着器の概略構成図である。 本発明の第1の実施の形態における実施例の評価方法を説明する図である。 本発明の第1の実施の形態における実施例の分散相の配合を示す図である。 本発明の第1の実施の形態における実施例のCa元素量と評価結果とを示す図である。 本発明の第1の実施の形態における実施例の蛍光体の溶解度と析出及びトナー着色の相関を示す図である。 本発明の第2の実施の形態における実施例の分散相の配合を示す図である。 本発明の第2の実施の形態における実施例のCa元素量と評価結果とを示す図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の概略構成図である。
図において、10は画像形成装置であり、例えば、電子写真方式のプリンタ、ファクシミリ機、複写機、プリンタ、ファクシミリ機及び複写機の機能を併せ持つ複合機(MFP:Multi Function Printer)等であるが、いかなる種類の画像形成装置であってもよい。なお、本実施の形態においては、前記画像形成装置10がいわゆるタンデム方式のカラー電子写真式プリンタである場合について説明する。
そして、画像形成装置10内には、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンダ(M)及びシアン(C)の4色に各々対応する現像装置11が媒体13の搬送路に沿って、搬送方向(図における左方向)に順次並ぶように配列されている。なお、各現像装置11の構成は同一であり、現像剤として収納されている後述されるトナー40の色が異なる。また、各現像装置11は、着脱可能な独立したユニットとして画像形成装置10内に装着され、搬送路に沿って搬送される媒体13上に画像を形成する、すなわち、印刷するようになっている。
12は画像形成装置10本体の下部に装着された媒体収容部としての用紙カセットであり、記録用紙等の媒体13を堆(たい)積した状態で収納する。そして、媒体13は、媒体繰り出し部材としてのホッピングローラ14によって1枚ずつ用紙カセット12から繰り出され、搬送ローラ16及びピンチローラ15aによって搬送され、媒体13の斜行を修正するレジストローラ17及びピンチローラ15bに送られ、停止させられた状態のレジストローラ17及びピンチローラ15bによって搬送が一旦(たん)停止させられる。レジストローラ17及びピンチローラ15bは、媒体13の進行方向先端を検知し、一旦、前記媒体13を停止させた後、現像装置11の画像形成タイミングに合わせて前記媒体13を送り出す。前記ホッピングローラ14、搬送ローラ16及びレジストローラ17は、図示されない駆動源から、ギア等を経由して伝達された動力によって回転する。
各現像装置11の静電潜像担持体としての感光ドラム20に対向する位置には、転写ユニットが配設されている。該転写ユニットは、ドライブローラ21a及び21b、転写ベルト22並びに転写ローラ23を備える。該転写ローラ23には、感光ドラム20上に付着されたトナーによるトナー像を媒体13に転写する転写時に、感光ドラム20の表面電位と、前記転写ローラ23の表面電位とに電位差を持たせるための電圧が印加されている。また、前記ドライブローラ21a及び21bは、図示されない駆動源からギア等を経由して伝達された動力によって回転して、転写ベルト22を回転させる。
そして、前記レジストローラ17及びピンチローラ15bによって転写ベルト22に送られた媒体13は、転写ベルト22によって搬送される。その間に、各現像装置11では、感光ドラム20の表面に後述されるLED(Light Emitting Diode)ヘッド41によって形成された静電潜像が後述される現像ローラ35によって現像され、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンのトナー像が形成される。これらブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンのトナー像が、転写ローラ23の静電気力によって感光ドラム20の表面から媒体13に転写され、カラーのトナー像が形成される。
なお、33は補正センサユニットであり、色ズレ検出センサ及び濃度検出センサを備える。前記補正センサユニット33は、画像形成装置10の起動時に色ズレ補正及び濃度補正を行う。
また、24は媒体13に転写されたトナー像を熱及び圧力によって媒体13に定着するための定着器であり、ヒートローラ25、定着ベルト26、バックアップローラ27、並びに、前記ヒートローラ25及びバックアップローラ27内に配設されたハロゲンランプ28a及び28bを備える。そして、定着器24を通過してトナー像が定着された媒体13、すなわち、印刷が行われた媒体13は、媒体排出部としての排出ローラ30a及び30b並びにピンチローラ31a及び31bによって挟持されて搬送され、画像形成装置10本体の上部に形成されたスタッカ32上に排出される。前記ヒートローラ25並びに排出ローラ30a及び30bは、図示されない駆動源から、ギア等を経由して伝達された動力によって回転する。
次に、前記現像装置11及び定着器24の構成について詳細に説明する。
図2は本発明の第1の実施の形態における現像装置及び定着器の概略構成図である。
図における右側には、画像形成装置10において電子写真方式の現像・転写工程を行う部分の構成が示され、左側には、画像形成装置10において定着工程を行う部分の構成が示されている。
図に示されるように、現像装置11は、表面に静電潜像が形成される感光ドラム20と、該感光ドラム20の表面を帯電させる帯電ローラ42と、前記感光ドラム20の表面にに静電潜像を形成するための露光を行う露光装置としてのLEDヘッド41と、前記感光ドラム20の表面にトナー40を供給する現像剤担持体としての現像ローラ35と、該現像ローラ35にトナー40を供給する現像剤供給部材としてのスポンジローラ34と、前記現像ローラ35の表面にトナー40の薄層を形成するトナー層形成手段としての現像ブレード36と、前記感光ドラム20の表面に残留したトナー40を掻(か)き取るクリーニングブレード43と、内部に現像剤としてのトナー40を収納し、該トナー40を前記スポンジローラ34に供給するトナーカートリッジ44とを備える。なお、前記感光ドラム20と、前記帯電ローラ42、現像ローラ35及びクリーニングブレード43とは接触し、前記現像ローラ35と、前記スポンジローラ34及び現像ブレード36とは接触している。
また、図に示されるように、定着器24は、アルミニウム製の素管の表面をPFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)やPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)でコートした円管状のヒートローラ25と、弾性体ローラとしてのバックアップローラ27と、ポリイミド等の樹脂から成る無限軌道状の定着ベルト26と、前記ヒートローラ25及びバックアップローラ27の内部に配設された熱源としてのハロゲンランプ28a及び28bとを備える。なお、前記ヒートローラ25とバックアップローラ27とは圧接している。
図に示されていないが、前記現像装置11及び定着器24が備えるローラであってバックアップローラ27を除く各ローラとドラムとには、動力を伝達するためのギアが、圧入その他の方法によって、それぞれ、固定されている。ここでは、感光ドラム20に固定されたギアをドラムギア、現像ローラ35に固定されたギアを現像ギア、スポンジローラ34に固定されたギアをスポンジギア、帯電ローラ42に固定されたギアをチャージギア、転写ユニットのドライブローラ21a及び21bに固定されたギアをドライブギア、転写ローラ23に固定されたギアを転写ギア、現像ギアとスポンジギアとの間に設置されたギアをアイドルギア、並びに、ヒートローラ25に固定されたギアをヒートローラギアと、それぞれ、呼ぶこととする。
また、前記現像装置11が備える各ローラ及びLEDヘッド41、並びに、前記定着器24が備えるハロゲンランプ28a及び28bには、画像形成装置10本体に配設された図示されない電源から、バイアス電荷が印加されるようになっている。前記電源は、一般的な電子写真方式のプリンタの高圧電源として用いられるものであって、画像形成装置10が備える図示されない制御部によって制御されている。
該制御部から印刷指令がかかると、画像形成装置10本体に配設された図示されない駆動源としてのモータが回転し、図示されない複数のギアを通してドラムギアに動力が伝達され、感光ドラム20が回転する。また、ドラムギアから現像ギアに動力が伝達されることによって現像ローラ35が回転する。さらに、現像ギアから、アイドルギアを経て、スポンジギアへ動力が伝達されることによってスポンジローラ34が回転する。一方、ドラムギアからチャージギアヘ動力が伝達されることによって帯電ローラ42が回転し、また、ドラムギアから転写ギアへ動力が伝達されることによって転写ローラ23が回転する。さらに、前記モータの回転は、別系統の複数のギアを通してヒートローラギアに伝達され、ヒートローラ25が回転する。そして、定着ベルト26及びバックアップローラ27は、ヒートローラ25の回転に伴い連れ回りで回転する。なお、各ローラ及びドラムの回転方向は、図において、矢印で示されている。
また、前記モータが回転を開始するのとほぼ同時に、前記現像装置11が備える各ローラ及びLEDヘッド41、並びに、前記定着器24が備えるハロゲンランプ28a及び28bに電源から所定のバイアス電圧が印加される。そして、帯電ローラ42に印加された電圧とその回転によって、感光ドラム20の表面は一様に帯電される。続いて、感光ドラム20が回転して、該感光ドラム20の表面の帯電された部分がLEDヘッド41の下方に到達すると、該LEDヘッド41は、前記制御部に送信された形成すべき画像に従って発光を行い、感光ドラム20の表面に静電潜像を形成する。続いて、感光ドラム20が回転して、該感光ドラム20の表面の静電潜像が形成された部分が現像ローラ35にまで到達すると、感光ドラム20の表面に形成された静電潜像と現像ローラ35との電位差により、現像ブレード36によって薄層化された現像ローラ35上にあるトナー40が感光ドラム20の表面に移動する。これにより、前記静電潜像が現像され、感光ドラム20の表面にトナー像が形成される。
続いて、感光ドラム20が回転して、該感光ドラム20の表面のトナー像が形成された部分が転写ローラ23にまで到達すると、感光ドラム20の表面と転写ローラ23との電位差によって、前記トナー像は、感光ドラム20の表面から、転写ベルト22によって搬送される媒体13上に転写される。なお、転写されずに感光ドラム20上に残留した一部のトナー40は、クリーニングブレード43によって掻き取られ、画像形成終了後に、図示されない廃トナーチューブを経て、図示されない廃トナーボックスに回収される。
そして、トナー像が転写された媒体13は、搬送路において現像装置11の下流に位置する定着器24に送られ、回転するヒートローラ25と定着ベルト26及びバックアップローラ27との間を通過する。この際、媒体13のトナー像は、ハロゲンランプ28a及び28bによって加熱されたヒートローラ25及びバックアップローラ27からの熱と、ヒートローラ25と定着ベルト26との間の圧力とによって、媒体13に定着される。
また、画像形成装置10の電源が起動(ON)すると、特定の色ズレパターン及び濃度検出パターンのトナー40が転写ベルト22上に転写される。そして、補正センサユニット33の色ズレ検出センサ及び濃度検出センサが転写ベルト22上の色ズレパターン及び濃度検出パターンを読み取ることによって、色ズレ補正及び濃度補正が行われる。
次に、前記トナー40について詳細に説明する。
本実施の形態において、トナー40を得るための結着樹脂としては、ビニール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等の熱可塑性樹脂を使用することができる。
そして、溶解懸濁法において前記結着樹脂を溶解させる有機溶媒として使用される溶剤としては、酢酸エチル、キシレン、ヘキサン等の炭化水素系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル等のエステル系溶剤、ジエチルエフテル等のエーテル系溶剤、及び、アセトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサン等のケトン系溶剤を使用することができる。
また、離型剤としては、高級脂肪酸及びその金属塩、脂肪酸アミド、エステルワックス、パラフィン・ポリオレフィン系ワックス及びその変性物に挙げられる脂肪族炭化水素系ワックス等を使用することができるが、溶解懸濁法におけるワックス分散液の作製のしやすさやトナー40中への取り込まれやすさを考慮すると、脂肪族炭化水素系ワックスやエステルワックスを使用することが好ましい。
さらに、無機粉体としては、亜鉛、アルミニウム、セリウム、コバルト、鉄、ジルコニウム、クロム、マンガン、ストロンチウム、錫(すず)、アンチモン等の金属酸化物、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ストロンチウム等の複合金属酸化物、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸アルミニウム等の金属塩、カオリン等の粘土鉱物、アパタイト等のリン酸化合物、シリカ、炭化ケイ素、窒化ケイ素等のケイ素化合物、及び、カーボンブラック、グラファイト等の炭素粉末を使用することができる。
さらに、溶解懸濁法において使用される懸濁安定剤としては、分散後に粒子表面上に付着した状態でトナー粒子が造粒されるので、溶媒と親和性がない酸によって除去することができるものが好ましく、例えば、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、炭化水素ナトリウム、炭化水素カリウム、ヒドロキシアパタイト、リン酸カルシウム等を使用することができる。
次に、本実施の形態におけるトナー製造方法を実施して製造したトナー40の実施例、及び、その評価結果について説明する。
図3は本発明の第1の実施の形態における実施例の評価方法を説明する図、図4は本発明の第1の実施の形態における実施例の分散相の配合を示す図、図5は本発明の第1の実施の形態における実施例のCa元素量と評価結果とを示す図、図6は本発明の第1の実施の形態における実施例の蛍光体の溶解度と析出及びトナー着色の相関を示す図である。
本発明の発明者は、以下に説明するように、トナー40の実施例1−1〜1−8を製造するとともに、トナー40の比較例1−1及び1−2を製造し、前記実施例1−1〜1−8並びに比較例1−1及び1−2の評価を行った。
まず、実施例1−1について説明する。
結着樹脂材料としては、酸価が2.9〔mgKOH/g〕、重量平均分子量(スチレン換算)が220000前後のポリエステル樹脂であるOCR−7(花王株式会社製)を使用した。さらに、離型剤としては、エステノレワックスであるWEP−4(日油株式会社製)を使用し、蛍光体としては、EXL−A830F(シンロイヒ株式会社製、酢酸エチルに対する溶解度:10〔%〕以上、発光時の色:青色)を使用し、帯電制御樹脂(CCR)としては、アクリベースFCA−726(藤倉化成株式会社製)を使用し、溶剤としては、酢酸エチルを使用した。
離型剤である前記WEP−4の物性値は、融点:71〔℃〕、粘度(90〔℃〕)10〔mPa・s〕、重合平均分子量(スチレン換算):1650前後である。そして、離型剤の重量平均分子量は、島津GPCシステム(株式会社島津製作所製)を使用し、カラムには「TSKgel GMHXL(内径:7.8〔mm〕、長さ:30〔cm〕)」(東ソー株式会社製)を2本、及び、「TSKgel G2500HXL(内径:7.8〔mm〕、長さ30〔cm〕)」(東ソー株式会社製)を1本使用し、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を使用して、測定した。なお、測定条件は、試料濃度1〔%〕、流速1.0〔ml/min.〕、カラム温度40〔℃〕、サンプル注入量200〔μl〕であり、IR検出器を使用した。
そして、蛍光体としては、溶剤である酢酸エチルに可溶なものを選定した。その理由は、通常の4色の顔料において使用される顔料分散剤は、それ自体着色するものが多くて使用することができないため、及び、蛍光体に酢酸エチルに不溶な成分が含まれていると、製造されたトナーを使用して印刷した際に、透明性を確保することができずに着色するためである。また、通常の4色のトナーにおいては、結着樹脂に対して5〜10〔%〕程度添加される。したがって、(酢酸エチル:結着樹脂の割合が100:25での配合のとき)酢酸エチルに対して2.5〔%〕以上溶解する蛍光体であれば、結着樹脂に対して蛍光体を10〔%〕以上添加することが可能である。しかしながら、酢酸エチルに対する溶解度がギリギリのラインを狙(ねら)うと、溶解懸濁法おける酢酸エチルの除去工程において、蛍光体の析出が起こってしまい、蛍光体の分散及び印刷時の透明性の確保が困難となることが予想される。このことから、溶解度の余力を考慮して、酢酸エチルに対して5.0〔%〕以上溶解する蛍光体を選定することが望ましい。
ここで、酢酸エチルに対して5.0〔%〕溶解するとは、厳密には、温度23〔℃〕、湿度50〔%〕の温湿度環境下で、60〔℃〕の酢酸エチル10〔g〕に蛍光体を添加していって飽和した蛍光体の量が0.5〔g〕であったときの、酢酸エチルに対する蛍光体の割合((0.5/10)×100〔%〕)を意味する。
なお、酢酸エチルに対して蛍光体が溶解しやすくなり過ぎると、製造されたトナーの透明度が低下し、製造されたトナーが着色してしまうことが考えられる。そこで、酢酸エチルに対して20〔%〕以下溶解する蛍光体を選定することが望ましい。つまり、酢酸エチルに対して5.0〜20〔%〕溶解する蛍光体を選定することが望ましい。さらに、トナー製造時の環境依存性を考慮すると、酢酸エチルに対して5.0〜10〔%〕溶解する蛍光体を選定することがより望ましい。
本発明の発明者は、酢酸エチルに添加して飽和したときの溶解度が異なる複数の蛍光体を選択し、各蛍光体について、析出及びトナー着色の評価を行った。図6にはその評価結果が示されている。なお、図6の析出の欄において、(△)は析出が起こり得ることを示し、(◎)は析出が起こらないことを示している。また、トナー着色の欄において、(△)はトナー着色が発生し得ることを示し、(○)はトナー着色が発生しても目視では問題がないことを示し、(◎)はトナー着色が発生しないことを示している。
図6に示されるように、酢酸エチルに対して2.5〔%〕溶解する蛍光体では、トナー精製環境によっては、析出が起こる場合があった。また、酢酸エチルに対して20.0〔%〕溶解する蛍光体では、トナー着色が発生しても、目視では問題ない程度のものであった。さらに、酢酸エチルに対して25.0〔%〕溶解する蛍光体では、トナー精製環境によっては、トナー着色が発生する場合があった。このような評価結果は上記の説明を裏付けるものである。
これらの混合液(以下、分散相と呼ぶ)の配合は、OCR−7が145重量部、WEP−4が7.8重量部、EXL−A830Fが0.6重量部、FCA−726が0.22重量部、及び、酢酸エチルが600重量部である。
なお、その他の材料、例えば、帯電制御剤、無機粉体等をトナー粒子が着色しない程度に、必要に応じて、添加してもよい。
そして、前記分散相を50〔℃〕に加熱して攪拌(かくはん)し、固形物がなくなるまで調製した。図4には、最終的な分散相の配合が示されている(図4における〔割合〕とはポリエステルの量に対する蛍光体の量の割合である)。
一方、連続相の配合は、水が3000重量部、及び、リン酸三ナトリウム・12水和物が102重量部である。
そして、前記連続相を混合し60〔℃〕に加熱して溶解させた後、pH調整用の希硝酸を添加した。続いて、純水500重量部に無水塩化カルシウム49.2重量部を溶解させて60〔℃〕に加熱した塩化カルシウム水溶液を添加し、ネオミクサー(プライミクス株式会社製)によって回転数10000〔rpm〕で5分間高速攪拌することにより、リン酸カルシウムを含む水系媒体(懸濁安定剤液)を得た。そして、前記連続相に前記分散相を投入し、さらに、ネオミクサーによって回転数8000〔rpm〕で30秒間高速攪拌して造粒した。
その後、減圧蒸留によって酢酸エチルを除去した。そして、スラリーを冷却し、懸濁安定剤の除去のために酸洗浄及び脱水を行い、水洗浄を行った後、脱水・乾燥を行って、ベーストナーAを得た。
なお、酸洗浄及び水洗浄において、蛍光体の脱離・溶出は確認されなかった。
そして、100重量部のべーストナーAに、1.0重量部の疎水性シリカR−8200(日本アエロジル社製、平均一次粒子径:12〔nm〕)を加えてヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)によって混合し、外添トナーを作成した。
続いて、実施例1−1の元素分析を行った。具体的には、上述のようにして得られたべーストナーAの粒子中のカルシウム元素量を、エネルギー分散型蛍光X線分析装置EDX−800HS2(株式会社島津製作所製)を用いて、He雰囲気において測定した。X線電圧は15〔kV〕であった。また、元素の含有率は、測定強度から検出された元素の合計を100〔%〕として算出する方法で求めた。
このようにして元素分析を行ったところ、べーストナーAのカルシウム元素の含有量は、図5に示されるように、0.029〔%〕であった。
続いて、実施例1−1の印刷評価を行った。具体的には、上述のようにして得られたトナー粒子をトナー40として現像装置11に入れ、画像形成装置10によって媒体13に印刷を行って、その印刷品質を評価した。
媒体13としては、蛍光顔料を含まない印刷用紙、例えば、OKIエクセレントグロス(A4サイズ、128〔g/m〕)を使用し、A4縦送りで24枚/分の速度で搬送して、図3に示されるように、所定面積のベタ印刷を行った。具体的には、図3に示される印刷部分13aに、印刷全面ベタを100〔%〕としたときの14〔%〕の面積のベタ印刷(紙面上トナー付着量:0.40〔mg/cm2 〕)を行った。前記印刷部分13aは、媒体13の搬送方向先端の近傍部分、すなわち、印刷先頭部分に位置し、媒体13の印刷範囲全体の14〔%〕に相当する面積を有する。
そして、ベタ印刷が行われた前記印刷部分13aに紫外線光を照射して、発光具合の判定、すなわち、発光判定を行った。発光判定の結果は、図5に示されるように、(◎)、(○)又は(×)によって表される。ここで、(◎)は目視で簡単に発光を確認することができたこと、(○)は発光がぼんやりとしているが目視で確認することができたこと、(×)は発光を目視で確認することができなかったことを意味する。
また、前記印刷部分13a以外の部分、すなわち、媒体13の白地部分のカブリ判定を行った。カブリ判定の結果は、図5に示されるように、(◎)、(○)又は(×)によって表される。ここで、(◎)はカブリが全くなかったこと、(○)は少々のカブリがあったがほとんど気にならなかったこと、(×)はカブリを目視で確認することができたことを意味する。
なお、発光判定及びカブリ判定において、(○)は許容されるものとする。
図5に示されるように、実施例1−1の印刷評価は、発光判定が(○)であり、カブリ判定が(◎)であり、総合して(○)であった。すなわち、問題のない印刷であった。
次に、実施例1−2について説明する。実施例1−1では蛍光体としてのEXL−A830Fの量が0.6重量部であったのに対し、実施例1−2では、EXL−A830Fの量を6.0重量部に変更してベーストナーBを得た。なお、その他の点については、実施例1−1と同様である。
続いて、実施例1−2の元素分析を行った。実施例1−1と同様にして元素分析を行ったところ、べーストナーBのカルシウム元素の含有量は、図5に示されるように、0.013〔%〕であった。
続いて、実施例1−2の印刷評価を行った。実施例1−1と同様にして印刷評価を行ったところ、図5に示されるように、実施例1−2の印刷評価は、発光判定が(◎)であり、カブリ判定が(◎)であり、総合して(◎)であった。すなわち、良好な印刷であった。
次に、実施例1−3について説明する。実施例1−1では蛍光体としてのEXL−A830Fの量が0.6重量部であったのに対し、実施例1−3では、EXL−A830Fの量を9.0重量部に変更してベーストナーCを得た。なお、その他の点については、実施例1−1と同様である。
続いて、実施例1−3の元素分析を行った。実施例1−1と同様にして元素分析を行ったところ、べーストナーCのカルシウム元素の含有量は、図5に示されるように、0.030〔%〕であった。
続いて、実施例1−3の印刷評価を行った。実施例1−1と同様にして印刷評価を行ったところ、図5に示されるように、実施例1−3の印刷評価は、発光判定が(◎)であり、カブリ判定が(◎)であり、総合して(◎)であった。すなわち、良好な印刷であった。
次に、実施例1−4について説明する。実施例1−1では蛍光体としてEXL−A830Fを使用したのに対し、実施例1−4では蛍光体をEXL−A831F(シンロイヒ株式会社製、酢酸エチルに対する溶解度:10〔%〕以上、発光時の色:緑色)に変更してベーストナーDを得た。なお、その他の点については、実施例1−1と同様である。
続いて、実施例1−4の元素分析を行った。実施例1−1と同様にして元素分析を行ったところ、べーストナーDのカルシウム元素の含有量は、図5に示されるように、0.020〔%〕であった。
続いて、実施例1−4の印刷評価を行った。実施例1−1と同様にして印刷評価を行ったところ、図5に示されるように、実施例1−4の印刷評価は、発光判定が(○)であり、カブリ判定が(◎)であり、総合して(○)であった。すなわち、問題のない印刷であった。
次に、実施例1−5について説明する。実施例1−4では蛍光体としてのEXL−A831Fの量が0.6重量部であったのに対し、実施例1−5では、EXL−A831Fの量を6.0重量部に変更してベーストナーEを得た。なお、その他の点については、実施例1−4と同様である。
続いて、実施例1−5の元素分析を行った。実施例1−1と同様にして元素分析を行ったところ、べーストナーEのカルシウム元素の含有量は、図5に示されるように、0.017〔%〕であった。
続いて、実施例1−5の印刷評価を行った。実施例1−1と同様にして印刷評価を行ったところ、図5に示されるように、実施例1−5の印刷評価は、発光判定が(◎)であり、カブリ判定が(◎)であり、総合して(◎)であった。すなわち、良好な印刷であった。
次に、実施例1−6について説明する。実施例1−4では蛍光体としてのEXL−A831Fの量が0.6重量部であったのに対し、実施例1−6では、EXL−A831Fの量を12.0重量部に変更してベーストナーFを得た。なお、その他の点については、実施例1−4と同様である。
続いて、実施例1−6の元素分析を行った。実施例1−1と同様にして元素分析を行ったところ、べーストナーFのカルシウム元素の含有量は、図5に示されるように、0.025〔%〕であった。
続いて、実施例1−6の印刷評価を行った。実施例1−1と同様にして印刷評価を行ったところ、図5に示されるように、実施例1−6の印刷評価は、発光判定が(◎)であり、カブリ判定が(◎)であり、総合して(◎)であった。すなわち、良好な印刷であった。
次に、実施例1−7について説明する。実施例1−1では蛍光体としてEXL−A830Fを使用したのに対し、実施例1−7では蛍光体をSOM−5−0114(オリヱント工業株式会社製、酢酸エチルに対する溶解度:10〔%〕以上、発光時の色:赤色)に変更してベーストナーGを得た。なお、その他の点については、実施例1−1と同様である。
続いて、実施例1−7の元素分析を行った。実施例1−1と同様にして元素分析を行ったところ、べーストナーGのカルシウム元素の含有量は、図5に示されるように、0.033〔%〕であった。
続いて、実施例1−7の印刷評価を行った。実施例1−1と同様にして印刷評価を行ったところ、図5に示されるように、実施例1−7の印刷評価は、発光判定が(○)であり、カブリ判定が(◎)であり、総合して(○)であった。すなわち、問題のない印刷であった。
次に、実施例1−8について説明する。実施例1−7では蛍光体としてのSOM−5−0114の量が0.6重量部であったのに対し、実施例1−8では、SOM−5−0114の量を3.0重量部に変更してベーストナーHを得た。なお、その他の点については、実施例1−7と同様である。
続いて、実施例1−8の元素分析を行った。実施例1−1と同様にして元素分析を行ったところ、べーストナーHのカルシウム元素の含有量は、図5に示されるように、0.039〔%〕であった。
続いて、実施例1−8の印刷評価を行った。実施例1−1と同様にして印刷評価を行ったところ、図5に示されるように、実施例1−8の印刷評価は、発光判定が(◎)であり、カブリ判定が(○)であり、総合して(○)であった。すなわち、問題のない印刷であった。
次に、比較例1−1について説明する。実施例1−7では蛍光体としてのSOM−5−0114の量が0.6重量部であったのに対し、比較例1−1では、SOM−5−0114の量を4.5重量部に変更してベーストナーIを得た。なお、その他の点については、実施例1−7と同様である。
続いて、比較例1−1の元素分析を行った。実施例1−1と同様にして元素分析を行ったところ、べーストナーIのカルシウム元素の含有量は、図5に示されるように、0.053〔%〕であった。
続いて、比較例1−1の印刷評価を行った。実施例1−1と同様にして印刷評価を行ったところ、図5に示されるように、比較例1−1の印刷評価は、発光判定が(◎)であり、カブリ判定が(×)であり、総合して(×)であった。すなわち、カブリが思わしくない印刷であった。
次に、比較例1−2について説明する。実施例1−7では蛍光体としてのSOM−5−0114の量が0.6重量部であったのに対し、比較例1−2では、SOM−5−0114の量を6.0重量部に変更してベーストナーJを得た。なお、その他の点については、実施例1−7と同様である。
続いて、比較例1−2の元素分析を行った。実施例1−1と同様にして元素分析を行ったところ、べーストナーJのカルシウム元素の含有量は、図5に示されるように、0.057〔%〕であった。
続いて、比較例1−2の印刷評価を行った。実施例1−1と同様にして印刷評価を行ったところ、図5に示されるように、比較例1−2の印刷評価は、発光判定が(◎)であり、カブリ判定が(×)であり、総合して(×)であった。すなわち、カブリが思わしくない印刷であった。
図4及び5に示される結果から、トナー40のカルシウム元素の含有量が0.050〔%〕を超えると、トナー40中に取り込まれた懸濁安定剤がトナー40の帯電を阻害するので、カブリが発生することが分かる。
つまり、印刷評価の結果から、カルシウム元素の含有量が0.050〔%〕以下であれば、発光判定の結果が良好で、かつ、カブリ判定の結果が許容されることが分かるので、トナー40中のカルシウム元素の含有量は0.050〔%〕以下であることが望ましい、と言える。さらに、トナー40中のカルシウム元素の含有量は0.039〔%〕以下であることがより望ましい、と言える。
また、蛍光体としては、酢酸エチルに対して5.0〔%〕以上溶解するものを選定することが望ましいが、蛍光体の量が酢酸エチルに対して2.0〔%〕を超えると、実際に溶解させた後に行われる酢酸エチルの除去工程の最中に蛍光体が析出してしまい、印刷時の透明性の確保が困難となる場合がある。そのため、蛍光体の量は、酢酸エチルに対して2.0〔%〕以下、すなわち、ポリエステルに対して8.28〔%〕以下であることが望ましい。逆に、蛍光体の量が0.10〔%〕を下回ると発光を目視で確認することが困難となるため、蛍光体の量は、酢酸エチルに対して0.10〔%〕以上、すなわち、ポリエステルに対して0.41〔%〕以上であることが望ましい。
実施例1−1〜1−3の場合、蛍光体の量がポリエステルに対して4.14〜6.21〔%〕の範囲では、印刷した際の発光強度に大きな差は見られなかった。このことから、、これ以上蛍光体の量を増加させても発光強度の増加は見込めないと判断し、これ以上の実験を行わなかった。
実施例1−4〜1−6の場合、蛍光体の量がポリエステルに対して4.14〜8.28〔%〕の範囲で、印刷した際の発光強度に差が見られた。しかしながら、これ以上蛍光体の量を増加すると蛍光体が析出してしまうことが予想されたので、これ以上の実験を行わなかった。
実施例1−7及び1−8、並びに、比較例1−1及び1−2の場合、蛍光体の量を増やしていくとカルシウム元素の含有量が増加する傾向にある。これは、蛍光体であるSOM−5−0114にユウロピウム錯体が含まれており、ユウロピウム錯体が懸濁安定剤を引き込みやすくなっているからではないかと考えられる。したがって、ユウロピウム錯体を含む蛍光体を使用する際は、懸濁安定剤を多く取り込まないように注意しながら蛍光体を添加することが望ましい。
このように、本実施の形態においては、少なくとも離型剤を含む分散相を使用し、溶解懸濁法によってトナー40を製造した。さらに、酢酸エチルに5.0〔%〕以上溶解する蛍光体を使用し、顔料分散剤を使用することなく酢酸エチルに対して0.10〜2.00〔%〕、すなわち、ポリエステルに対して0.41〜8.28〔%〕の量の蛍光体を使用した。これにより、製造されたトナー40のカルシウム元素量を0.050〔%〕以下にすることができ、可視光を照射すると透明であり、紫外線光を照射すると発光し、かつ、カブリの問題が発生しないトナー40を得ることができる。
なお、発光強度を良好にし、かつ、カブリをより低減するには、蛍光体としてEXL−A830Fを使用する場合には、ポリエステルに対する蛍光体の割合を4.14〜6.21〔%〕とし、蛍光体としてEXL−A831Fを使用する場合には、ポリエステルに対する蛍光体の割合を4.14〜8.28〔%〕とすることが望ましい。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構成を有するものについては、同じ符号を付与することによって、その説明を省略する。また、前記第1の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
図7は本発明の第2の実施の形態における実施例の分散相の配合を示す図、図8は本発明の第2の実施の形態における実施例のCa元素量と評価結果とを示す図である。
本実施の形態において、本発明の発明者は、以下に説明するように、トナー40の実施例2を製造し、前記第1の実施の形態で説明した実施例1−8と比較して、実施例2の評価を行った。
実施例2では、蛍光体として、実施例1−8と同様に、ユウロピウム錯体を含有するSOM−5−0114を使用した。そして、発光具合を確保しつつ、カブリの発生を更に抑制するように帯電制御樹脂(CCR)の量を変更した。CCRを増やせば増やすほど、トナー40の帯電性が向上してカブリが低減する傾向にあるが、製造の際に、分散相の粘度が上昇して懸濁安定剤を取り込むリスクがある。そのため、CCRを増加する場合には、元素分析によって検出されるカルシウム元素量に注意しながらトナー40を製造する必要がある。
具体的には、実施例1−8ではCCRの量が0.22重量部であったのに対し、実施例2では、CCRの量を1.10重量部に変更してベーストナーKを得た。なお、その他の点については、実施例1−8と同様である。
続いて、実施例2の元素分析を行った。実施例1−1と同様にして元素分析を行ったところ、べーストナーKのカルシウム元素の含有量は、図8に示されるように、0.042〔%〕であった。
続いて、実施例2の印刷評価を行った。実施例1−1と同様にして印刷評価を行ったところ、図8に示されるように、実施例2の印刷評価は、発光判定が(◎)であり、カブリ判定が(◎)であった。すなわち、良好な印刷であった。
図7及び8に示される結果から、実施例2では、実施例1−8と比較して、蛍光体であるSOM−5−0114の量を同量に維持しつつ、CCRの量を増やしたところ、カルシウム元素の含有量があまり変化しなかったことが分かる。そして、CCRの効果によって、トナー40の帯電性が向上してカブリが低減したと考えられる。
このように、本実施の形態においては、酢酸エチルに5.0〔%〕以上溶解する蛍光体としてSOM−5−0114を使用し、顔料分散剤を使用することなく酢酸エチルに対して0.10〜0.75〔%〕、すなわち、ポリエステルに対して0.41〜2.07〔%〕の量の蛍光体を使用した。また、ポリエステルに対して0.15〜0.76〔%〕の量のCCRを使用した。これにより、製造されたトナー40のカルシウム元素量を0.050〔%〕以下にすることができ、可視光を照射すると透明であり、紫外線光を照射すると発光し、かつ、カブリの問題が発生しないトナー40を得ることができる。
特に、ポリエステルに対して2.07〔%〕の量の蛍光体を使用し、かつ、ポリエステルに対して0.76〔%〕の量のCCRを使用することによって、発光強度が良好で、かつ、カブリがより低減されることが分かる。
なお、前記第1及び第2の実施の形態においては、画像形成装置10がプリンタである例について説明したが、本発明は、MFP、ファクシミリ機及び複写機にも適用することができる。
また、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
10 画像形成装置
11 現像装置
40 トナー

Claims (12)

  1. 溶解懸濁法によってトナーを製造するトナー製造方法であって、
    顔料分散剤を使用することなく、酢酸エチルに5.0〜20〔%〕溶解する蛍光体を使用する、
    ことを特徴とするトナー製造方法。
  2. 製造されたトナーのカルシウム元素の含有量が0.050〔%〕以下である、請求項1に記載のトナー製造方法。
  3. 前記蛍光体は発光時の色が青色である、請求項2に記載のトナー製造方法。
  4. 前記蛍光体の量は、結着樹脂に対して0.41〜6.21〔%〕であって、より望ましくは、4.14〜6.21〔%〕である、請求項3に記載のトナー製造方法。
  5. 前記蛍光体は発光時の色が緑色である、請求項2に記載のトナー製造方法。
  6. 前記蛍光体の量は、結着樹脂に対して0.41〜8.28〔%〕であって、より望ましくは、4.14〜8.28〔%〕である、請求項5に記載のトナー製造方法。
  7. 前記蛍光体は、ユウロピウム錯体を含有し、発光時の色が赤色である、請求項2に記載のトナー製造方法。
  8. 前記蛍光体の量は、結着樹脂に対して0.41〜2.07〔%〕であって、より望ましくは、2.07〔%〕である、請求項7に記載のトナー製造方法。
  9. 前記結着樹脂に対して0.15〜0.76〔%〕であって、より望ましくは、0.76〔%〕の量の帯電制御樹脂を使用する、請求項8に記載のトナー製造方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載のトナー製造方法によって製造されることを特徴とするトナー。
  11. 請求項10に記載のトナーを使用することを特徴とする現像装置。
  12. 請求項11に記載の現像装置を有することを特徴とする画像形成装置。
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