JP3728423B2 - 射出成形機の金型監視装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、型開きした金型のキャビティ部位を撮像し、画像処理によりキャビティ部位の状態を判別する射出成形機の金型監視装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、金型に残留する成形品の有無等を監視するため、型開きした金型のキャビティ部位をイメージセンサにより撮像するとともに、画像処理によりキャビティ部位の状態を判別する射出成形機の金型監視装置(監視方法)は知られており、既に、本出願人も、この種の監視方法を特開昭63−126718号公報により提案した。
【0003】
同公報記載の監視方法は、従来より行われている方法、即ち、テレビカメラを用いて成形金型の状況を画像としてとらえ、予め記憶しておいた基準画像との輝度レベルの比較により金型内の成形品等の有無を検出する方法では、電灯のON−OFF,外光の影響等により成形機周辺の明るさ(輝度レベル)が変化した場合、正常状態であるのに異常と判別したり、異常状態であるにも拘わらず正常と判別するなどの誤動作を招くことに鑑み、その問題点を改善したものであり、成形金型の画像を画素単位に分割し、各画素単位毎の輝度レベルを検出するとともに、予め設定された2値化輝度レベルを基準に画像を白と黒に2値化し、予め記憶しておいた正常状態の2値化画像との比較を行うに際し、検出画像の全画像中の最暗輝度レベルを検出し、当該最暗輝度レベルが予め設定された許容最暗輝度レベルの範囲外の場合には、射出成形作業を中止し、検出画像の全画像中の最暗輝度レベルが予め設定された許容最暗輝度レベルの範囲内の場合には、予め記憶されている正常状態の画像の全画素中の最暗輝度レベルと、検出画像の最暗輝度レベルとを比較し、そのレベル差値が許容値以上であれば、予め設定された2値化輝度レベルをレベル差値に応じて上下補正して検出画像の2値化を行うようにしたものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した従来の監視方法(監視装置)は、次のような解決すべき課題が存在した。
【0005】
第一に、成形機周辺の明るさの変化の影響を原理的に回避することができないため、誤動作を完全に解消することはできず、信頼性及び安全性を高めるには限界がある。
【0006】
第二に、明るさの影響を画像処理時に補正するため、余分な処理を伴うとともに、処理精度の低下を招く虞れがある。
【0007】
本発明は、このような従来の技術に存在する課題を解決したものであり、成形機周辺の明るさの影響を原理的に排除し、誤動作を確実に防止して信頼性及び安全性を高めるとともに、画像処理の簡易化及び高精度化を図ることができる射出成形機の金型監視装置の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段及び実施の形態】
本発明は、型開きした金型Cのキャビティ部位Xcを撮像し、画像処理によりキャビティ部位Xcの状態を判別する射出成形機Mの金型監視装置1を構成するに際して、キャビティ部位Xcに可視光線以外の光線Lを斜めに投射する発光部2と、可視光線を遮断するフィルタ3を通してキャビティ部位Xcから反射する正反射光Lrをイメージセンサ4により撮像する撮像部5と、当該イメージセンサ4から得る画像信号Dvに基づき画素処理によりキャビティ部位Xcの状態を判別する画像処理部6を備えることを特徴とする。
【0009】
これにより、発光部2からは、キャビティ部位Xcに対して可視光線以外の光線Lが斜めに投射される。一方、キャビティ部位Xcから反射する正反射光Lrは、可視光線を遮断するフィルタ3を通して撮像部5におけるイメージセンサ4により撮像されるとともに、このイメージセンサ4から得る画像信号Dvは、画像処理部6に付与される。画像処理部6では画像信号Dvに基づく画素処理が行われ、成形品の全部又は一部が残留しているか否か等のキャビティ部位Xcの状態が判別される。よって、成形機周辺の明るさの影響、即ち、可視光線による影響は原理的に排除される。
【0010】
この場合、好適な実施の形態により、光線Lは赤外線Liを用いることが望ましい。また、発光部2は、キャビティ部位Xcの監視範囲Aに対応して選定した面内に多数の発光ダイオード7…を配列させて構成できる。さらに、発光部2は、型締装置Mcにおける固定盤11の一方の側面11pに取付け、かつ撮像部5は、固定盤11の他方の側面11qに取付けることができる。一方、撮像部5は、付属回路8を収容したケーシング部9を備えるとともに、このケーシング部9に対してイメージセンサ4を有するセンシング部10を所定の角度Rを設けて取付けることができる。
【0011】
【実施例】
次に、本発明に係る好適な実施例を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0012】
まず、本実施例に係る金型監視装置1の構成について、図1〜図6を参照して説明する。
【0013】
図1及び図4は、金型監視装置1を取付けた射出成形機Mの一部を示す。射出成形機Mは型締装置Mcを備え、この型締装置Mcは、固定盤11,この固定盤11と不図示の圧受盤間に架設した四本のタイバー12…,タイバー12…にスライド自在に装填した可動盤13を備える。そして、固定盤11には固定型Ccが、また、可動盤13には可動型Cmがそれぞれ取付けられ、この固定型Ccと可動型Cmにより金型Cを構成する。これにより、可動盤13は固定盤11に対し、不図示の駆動機構により進退移動し、金型Cの型閉,型締,型開を行うことができる。なお、Miは射出装置,Cf(図4等)は金型Cのキャビティをそれぞれ示す。
【0014】
一方、金型監視装置1は、キャビティ部位Xcに可視光線以外の光線Lとなる赤外線Liを投射する発光部2と、可視光線を遮断するフィルタ3(図3)を通してキャビティ部位Xcから反射する赤外線Li(正反射光Lr)をイメージセンサ4により撮像する撮像部5を備える。
【0015】
発光部2は、固定盤11の一方の側面11pに取付け、この取付高さは、図4に示すように、キャビティ部位Xcの高さに一致させる。発光部2は、図2に示すように、ブラケット22を備え、このブラケット22を複数のボルト21…を用いて側面11pに固定する。このブラケット22は、両側(上下側)に、直角に折曲した一対の支持片部22s,22sを有し、この支持片部22sと22s間に発光部本体23を支持する。即ち、発光部本体23の側面(上下面)を、各支持片部22s,22sを介して螺合した取付ねじ24,24により支持する。これにより、取付ねじ24,24の弛緩又は締付を行えば、発光部本体23の投射角度を設定(変更)できる。
【0016】
また、発光部本体23は、偏平直方体形に形成し、一面を開放したハウジング部25を備える。そして、このハウジング部25の内部に、赤外線Liを発光する多数の赤外線発光ダイオード7…を配列させた発光基板26を配設する。これにより、点発光となる各赤外線発光ダイオード7…が集積した面発光体Eが構成される。この面発光体Eの大きさ(形状)は、図4に示すように、キャビティ部位Xcに対する監視範囲Aに対応して選定し、特に、監視範囲Aに対して同一又はこれ以上の面積となるように考慮する。この場合、赤外線発光ダイオード7…は、図2に示すように、千鳥状に配列させることが望ましい。このような構成により、照度が高められることに加え、照度の均一性が高められる。さらに、ハウジング部25の内部には、発光に対する拡散板を配設し、金型Cにおける研磨パターンによる反射光の減衰を抑えるとともに、均一かつ安定した照射ができるように考慮する。なお、図5には、赤外線発光ダイオード7…(発光部2)から発光する赤外線Liの波長領域対光の強さの関係を可視光線と対比して示す。
【0017】
他方、撮像部5は、固定盤11の他方の側面11qに取付け、この取付高さは、図4に示すように、キャビティ部位Xcの高さに一致させる。撮像部5は、図3に示すように、側面11qに取付ける支持機構31を備える。この支持機構31は、複数のボルト32…により側面11qに固定する取付部31aと、撮像部本体33を支持するブラケット31bと、このブラケット31bと取付部31a間に介在する位置調整部31cを有する。これにより、調整ネジ34…と長孔35…の組合わせにより、ブラケット31bを取付部31aに対して前後方向に位置調整することができる。ブラケット31bは、両側(上下側)に、直角に折曲した一対の支持片部31s,31sを有し、この支持片部31sと31s間に撮像部本体33を支持する。即ち、撮像部本体33の側面(上下面)を、各支持片部31s,31sを介して螺合した取付ねじ37,37により支持する。これにより、取付ねじ37,37の弛緩又は締付を行えば、撮像部本体33の撮像角度を設定(変更)できる。
【0018】
このように、発光部2を、型締装置Mcにおける固定盤11の一方の側面11pに取付けるとともに、撮像部5を、固定盤11の他方の側面11qに取付ければ、撮像部5は、発光部2から発光される赤外線Liの正反射光Lr、即ち、軸線に対して発光部2から入射する入射角とこれに基づく反射角が同じ大きさとなる反射光を容易に得ることができる。
【0019】
また、撮像部本体33は、直方体形に形成し、かつ付属回路8を収容したケーシング部9を備えるとともに、このケーシング部9に対してイメージセンサ4を有するセンシング部10を所定の角度Rを設けて取付ける。この角度Rを設けることにより、撮像部5を設置することに伴う横側方への突出を少なくできる。さらに、センシング部10は、光学筒38を備え、この光学筒38には、前から、可視光線を遮断するフィルタ3,レンズ39を順次内蔵するとともに、この光学筒38の後方に、イメージセンサ4を内蔵する。イメージセンサ4としては、省電力化,小型化及び低コスト化の容易なCMOSイメージセンサを用いることが望ましい。
【0020】
一方、図6には、電気系の構成を示す。41はイメージセンサ4に接続した制御部、42はこの制御部41の入出力ポートを示し、制御部41と入出力ポート42は、上述した付属回路8として撮像部本体33のケーシング部9に内蔵する。そして、赤外線発光ダイオード7…は、入出力ポート42を介して制御部41に接続するとともに、射出成形機Mに内蔵する成形機コントローラ43は入出力ポート42を介して制御部41に接続する。また、制御部41は、USBケーブル44を介して汎用コンピュータ(パソコン)Pcに接続する。この汎用コンピュータPcは、イメージセンサ4から得る画像信号Dvに基づき画像処理によりキャビティ部位Xcの状態を判別する画像処理部6を構成する。
【0021】
次に、本実施例に係る金型監視装置1の使用方法及び動作について、図1〜図9を参照して説明する。
【0022】
最初に、発光部本体23と撮像部本体33の角度設定を行う。今、型開した可動型Cmの位置が図1に示す実線位置にあるものとする。この状態で発光部本体23から投射される赤外線Liの角度(投射角度)が、キャビティ部位Xc、即ち、図4に示す監視範囲Aの全体に当たるように設定する。この場合、投射角度は、取付ねじ24,24の弛緩又は締付により容易に設定できる。よって、赤外線Liは、キャビティ部位Xcに対して斜めに投射される。
【0023】
次に、撮像部本体33の撮像角度を設定する。この際、図1に示すように、キャビティ部位Xcから反射する赤外線Liの正反射光Lrを撮像できるように設定する。このような正反射光Lrを撮像することにより、反射率の差により検出できるため、S/N比を高くできるとともに、他の角度からの光の影響を低減できる。なお、撮像角度は、取付ねじ37,37の弛緩又は締付により容易に設定できる。また、型開した際における可動型Cmの位置が、図1に仮想線で示すCma,Cmbのように変更された場合であっても、同様の操作により容易に設定することができる。
【0024】
さらに、基準レベルの設定を行う。この場合、正規(良品)の成形品が付着したキャビティCfの状態を撮像し、第一基準レベルデータとして登録するとともに、成形品が付着していないキャビティCfのみの状態を撮像し、第二基準レベルデータとして登録する。登録に際しては、まず、赤外線発光ダイオード7…を点灯させる。これにより、赤外線Liはキャビティ部位Xcに対して投射され、キャビティ部位Xcで正反射する。反射した赤外線Li(正反射光Lr)は、撮像部本体33のセンシング部10に入光し、イメージセンサ4に結像する。この際、成形機周辺の可視光線はフィルタ3によりカットされ、反射した赤外線Li(正反射光Lr)のみがイメージセンサ4に結像する。そして、イメージセンサ4から得られる画像信号Dvは、制御部41を介して汎用コンピュータPcのメモリに登録される。
【0025】
次に、実際の成形工程における監視方法について説明する。射出成形機Mの稼働中においては、成形機コントローラ43から各種制御信号が入出力ポート42及び制御部41を介して汎用コンピュータPcに付与される。今、射出充填工程及び冷却工程を経て、金型Cの型開きが終了したものとする。汎用コンピュータPcには、型開きが終了したことに伴う型開終了信号が付与されるため、汎用コンピュータPcによる一次監視処理が行われる。この一次監視処理は、型開き後、エジェクタ動作前に行う監視処理であり、これにより、成形品に未充填部分が存在するか否かなどの成形不良の判別を行うことができる。
【0026】
図8には、この一次監視処理の処理手順をフローチャートで示す。まず、汎用コンピュータPcに型開終了信号が付与されれば、汎用コンピュータPcは、撮像開始指令を出力し、発光部2における赤外線発光ダイオード7…を点灯させるとともに、撮像部5を作動させて撮像を開始する(ステップS1)。これにより、発光部2からキャビティ部位Xcに対して赤外線Liが投射され、キャビティ部位Xcで正反射する。また、反射した赤外線Li(正反射光Lr)は、撮像部本体33のセンシング部10に入光し、イメージセンサ4に結像する。この際、成形機周辺の可視光線はフィルタ3によりカットされ、反射した赤外線Li(正反射光Lr)のみがイメージセンサ4に投射される。そして、イメージセンサ4から得られる画像信号Dvは制御部41を介して汎用コンピュータPcに付与される。なお、赤外線Liを用いるため、点灯時であっても可視光線とは異なり、オペレータに違和感や不快感を与えることはない。
【0027】
一方、汎用コンピュータPcでは、最初の画素(ピクセル)における画素レベルと前述した第一基準レベルを比較して両者の偏差を求める(ステップS2)。また、求めた偏差としきい値を比較する(ステップS3)。この際、正常に成形が行われていれば、[偏差≦しきい値]となるが、一部に充填不良等が存在すると、その部分は、[偏差>しきい値]となるため、特異点として計数(カウント)される(ステップS4)。以下、順次続く画素に対して同様の処理を繰り返し、最終の画素まで行う(ステップS5,S2…)。
【0028】
そして、一画面分の画像信号Dvが汎用コンピュータPcに取込まれたなら、汎用コンピュータPcは、撮像終了指令を出力し、発光部2における赤外線発光ダイオード7…を消灯させるとともに、撮像部5の作動を停止させ、撮像を終了させる(ステップS6)。このように、発光部2は、撮像するときのみ点灯させるため、消費電力の低減を図ることができる。また、汎用コンピュータPcは、得られた特異点の計数値(合計値)Ncと予めエラーを判別するために設定したエラーレベルNeを比較し、[Nc>Ne]の場合には、エラーが発生したものとして、射出成形機Mの動作を停止するとともに、エラー表示などのエラー処理を行う(ステップS7,S8)。一方、エラーが発生していない場合には、さらに、計数値Ncと予め設定したアラームレベルNaを比較し、[Nc>Na]の場合には、エラー直前の状態である旨の処理、即ち、射出成形機Mの動作を停止するとともに、予備警報としてのアラーム表示などのアラーム処理を行う(ステップS9,S10)。これに対して、一次監視処理の結果、正常の場合には、二次監視処理に移行させる(ステップS11)。なお、このような監視処理においては、偏差に対するしきい値による判別と、特異点の計数値に対する基準レベルによる判別の両方を行うため、判別精度が高められる。
【0029】
図9には、この二次監視処理の処理手順をフローチャートで示す。この二次監視処理は、エジェクタ動作後に行う監視処理であり、これにより、エジェクタが正常に行われたか否かを判別することができる。今、成形機コントローラ43からエジェクタ終了信号が汎用コンピュータPcに付与されれば、汎用コンピュータPcは、撮像開始指令を出力し、発光部2における赤外線発光ダイオード7…を点灯させるとともに、撮像部5を作動させて撮像を開始する(ステップS21)。これにより、発光部2からキャビティ部位Xcに対して赤外線Liが投射され、キャビティ部位Xcで正反射する。また、反射した赤外線Li(正反射光Lr)は、撮像部本体33のセンシング部10に入光し、イメージセンサ4に結像する。この際、成形機周辺の可視光線はフィルタ3によりカットされ、反射した赤外線Li(正反射光Lr)のみがイメージセンサ4に結像する。そして、イメージセンサ4から得られる画像信号Dvは制御部41を介して汎用コンピュータPcに付与される。
【0030】
一方、汎用コンピュータPcでは、最初の画素における画素レベルと前述した第二基準レベルを比較して両者の偏差を求める(ステップS22)。また、求めた偏差としきい値を比較する(ステップS23)。この際、正常に成形が行われていれば、[偏差≦しきい値]となるが、一部に充填不良等が存在すると、その部分は、[偏差>しきい値]となるため、特異点として計数(カウント)する(ステップS24)。以下、順次続く画素に対して同様の処理を繰り返し、最終の画素まで行う(ステップS25,S22…)。そして、一画面分の画像信号Dvが汎用コンピュータPcに取込まれたなら、汎用コンピュータPcは、撮像終了指令を出力し、発光部2における赤外線発光ダイオード7…を消灯させるとともに、撮像部5の作動を停止させて撮像を終了する(ステップS26)。
【0031】
また、汎用コンピュータPcは、得られた特異点の計数値(合計値)Ncと予めエラーを判別するために設定したエラーレベルNxを比較し、[Nc>Nx]の場合には、エラーが発生したものとして、射出成形機Mの動作を停止するとともに、エラー表示などのエラー処理を行う(ステップS27,S28)。一例として、図7(a)には、成形品の付着していないキャビティCfのみのキャビティ部位Xcを示し、また、図7(b)には、成形品の一部、即ち、成形品残存部Bがある状態を示すが、この場合には、成形品残存部Bが特異点として撮像される。したがって、この成形品残存部Bは、キャビティCfのみの状態とは異なる反射率となる。よって、図7(c)に示す偏差に係るデータDeは、全て特異点として計数されるため、[Nc>Nx]となり、上述した一次監視処理と同様のエラー処理が行われる。一方、正常であって、次のショットが行われる場合には、図8に示す処理手順に従って一次監視処理に移行させる(ステップS29,S30)。また、次のショットが無い場合には終了する(ステップS29)。
【0032】
このような本実施例に係る金型監視装置1によれば、発光部2からキャビティ部位Xcに対して赤外線Liが斜めに投射されるとともに、キャビティ部位Xcから反射した正反射光Lrは、可視光線を遮断するフィルタ3を通してイメージセンサ4により撮像されるため、成形機周辺の明るさの影響、即ち、可視光線による影響は原理的に排除されるとともに、成形品の色の影響が排除される。したがって、誤動作が確実に防止され、信頼性及び安全性が高められ、しかも、補正等の余分な処理は不要になるため、画像処理の簡易化及び高精度化が図られる。
【0033】
以上、実施例について詳細に説明したが、本発明はこのような実施例に限定されるものではなく、細部の構成,形状,数量等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で任意に変更,追加,削除することができる。例えば、実施例は、可視光線以外の光線として、赤外線を利用したが、必ずしも赤外線に限定されるものではなく、紫外線,遠赤外線等の他の光線を用いることもできる。また、発光部2には、多数の発光ダイオード7…を用いた場合を例示したが、他の発光手段の利用を排除するものではない。さらに、画像処理部6として汎用コンピュータ(パソコン)を利用した場合を示したが、ケーシング部9に内蔵させることができるマイクロコンピュータ等を利用してもよい。
【0034】
【発明の効果】
このように、本発明に係る射出成形機の金型監視装置は、キャビティ部位に可視光線以外の光線を斜めに投射する発光部と、可視光線を遮断するフィルタを通してキャビティ部位から反射する正反射光をイメージセンサにより撮像する撮像部と、当該イメージセンサから得る画像信号に基づき画素処理によりキャビティ部位の状態を判別する画像処理部を備えるため、次のような顕著な効果を奏する。
【0035】
(1) 成形機周辺の明るさや成形品の色の影響を原理的に排除できるため、誤動作を確実に防止して信頼性及び安全性を高めることができるとともに、画像処理の簡易化及び高精度化を図ることができる。
【0036】
(2) 発光部からキャビティ部位に対して光線を斜めに投射し、かつ撮像部によりキャビティ部位からの正反射光を撮像するようにしたため、反射率の差により検出が可能となり、S/N比を高くできるとともに、他の角度からの光の影響を低減できる。
【0037】
(3) 好適な実施の形態により、発光部を、キャビティ部位の監視範囲に対応して選定した面積を有する面内に多数の発光ダイオードを配列させて構成すれば、照度が高められることに加え、照度の均一性を高めることができる。
【0038】
(4) 好適な実施の形態により、発光部を型締装置における固定盤の一方の側面に取付け、かつ撮像部を固定盤の他方の側面に取付ければ、撮像部は、発光部から発光される赤外線の正反射光を容易に得ることができる。
【0039】
(5) 好適な実施の形態により、撮像部に、付属回路を収容したケーシング部を備えるとともに、このケーシング部に対してイメージセンサを有するセンシング部を所定の角度を設けて取付ければ、撮像部を設置することに伴う横側方への突出を少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な実施例に係る金型監視装置を射出成形機に取付けた状態の平面図、
【図2】同金型監視装置における発光部の正面図、
【図3】同金型監視装置における撮像部の平面図、
【図4】同金型監視装置を射出成形機に取付けた状態の正面図、
【図5】同金型監視装置における発光部から発光する赤外線の波長領域対光の強さの関係特性図、
【図6】同金型監視装置における電機系のブロック系統図、
【図7】同金型監視装置による画像処理説明図、
【図8】同金型監視装置による一次監視処理の処理手順を示すフローチャート、
【図9】同金型監視装置による二次監視処理の処理手順を示すフローチャート、
【符号の説明】
1 金型監視装置
2 発光部
3 フィルタ
4 イメージセンサ
5 撮像部
6 画像処理部
7… 発光ダイオード
8 付属回路
9 ケーシング部
10 センシング部
11 固定盤
11p 固定盤の一方の側面
11q 固定盤の他方の側面
C 金型
Xc キャビティ部位
M 射出成形機
Mc 型締装置
L 可視光線以外の光線
Li 赤外線
Dv 画像信号
A 監視範囲
Lr 正反射光
R 所定の角度

Claims (5)

  1. 型開きした金型のキャビティ部位を撮像し、画像処理によりキャビティ部位の状態を判別する射出成形機の金型監視装置において、前記キャビティ部位に可視光線以外の光線を斜めに投射する発光部と、可視光線を遮断するフィルタを通して前記キャビティ部位から反射する正反射光をイメージセンサにより撮像する撮像部と、当該イメージセンサから得る画像信号に基づき画素処理により前記キャビティ部位の状態を判別する画像処理部を備えることを特徴とする射出成形機の金型監視装置。
  2. 前記光線は赤外線であることを特徴とする請求項1記載の射出成形機の金型監視装置。
  3. 前記発光部は、前記キャビティ部位の監視範囲に対応して選定した面内に多数の発光ダイオードを配列させてなることを特徴とする請求項1記載の射出成形機の金型監視装置。
  4. 前記発光部は、型締装置における固定盤の一方の側面に取付けるとともに、前記撮像部は、前記固定盤の他方の側面に取付けることを特徴とする請求項1記載の射出成形機の金型監視装置。
  5. 前記撮像部は、付属回路を収容したケーシング部を備えるとともに、このケーシング部に対して前記イメージセンサを有するセンシング部を所定の角度を設けて取付けることを特徴とする請求項1記載の射出成形機の金型監視装置。
JP2002109355A 2002-04-11 2002-04-11 射出成形機の金型監視装置 Expired - Fee Related JP3728423B2 (ja)

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