JP3728070B2 - シート扉付きのシャッター装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、煙または異常温度の検知に基づく巻き戻しに伴って、シャッター本体の下部側の座板を床面に着床させて、建屋通路などの空間を区画するように構成したシャッター装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
上記のシャッター装置として、金属製のスラットを相互に連結したシャッター本体の最下部のスラットに、金属製の座板を連結したものや、耐火シート製のシャッター本体の下部側に、金属製の座板を吊り下げ保持させたものがある。
【0003】
これらのシャッター装置において、火災発生の検知に基づいて、シャッター本体巻き取り手段のブレーキ装置を開放させ、自重降下に伴ってシャッター本体を天井のまぐさ部から巻き戻し、座板を床面に着床させるようにしたタイプのものや、火災発生の検知に基づいて、シャッター本体巻き取り手段を巻き戻し方向に駆動させて、座板を床面に着床させるようにしたタイプのものがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、火災の発生が検知された際には、火災発生の検知と同時に避難警報が発せられて、シャッター装置が建屋通路などの空間を区画するのが一般的であって、避難が遅れて火災の発生現場側の空間に取り残された場合は、手動の操作でシャッター本体を少し巻き上げて、床面と座板との間の隙間を通して避難し、この後、シャッター本体を巻き戻していたのである。
【0005】
しかし、上記の避難動作には時間がかゝる上に、何よりも避難することが先決であることから、気が動転してシャッター本体を巻き戻すことを失念し易く、シャッター装置による空間区画の機能を逸失してしまうことがあったのである。
【0006】
上記の構成とは別に、建屋通路などの空間の幅方向の一部に非難用の扉を常設し、残りの空間部に上記いずれかのシャッター装置を設け、かつ、非難扉とシャッター装置との間に竪枠材いわゆる中柱を設けたものもある。
【0007】
かゝる構成のシャッター装置においては、非難扉の開放によって迅速に非難が可能である上に、非難扉が自動閉鎖装置を備えているので、扉の閉じ忘れは一切ないのであるが、非難のための扉設備が全体のコストアップに繋がるだけでなく、これが常設であることから実際の空間幅が狭くなり、更に、非難扉ならびにシャッター本体が開放された通常の状態で中柱が残ることから、これが歩行の障害となる問題があった。
【0008】
本発明は、かゝる実情に鑑みて成されたものであって、シャッター本体が耐火シート製であるか或いは金属製であるかを問わずに、このシャッター本体を空間区画の状態にしたままで、即ち、シャッター本体を巻き上げることなく根直ちに避難できる上に、空間区画の機能を逸失する虞れが全くなく、しかも、通常時には、空間幅を狭くしたり歩行障害になったりすることのないシャッター装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、煙または異常温度の検知に基づく巻き戻しに伴って、シャッター本体の下部側の座板を床面に着床させて、建屋通路などの空間を区画するように構成したシャッター装置において、空間区画状態でシャッター本体を通過するための避難用開口をシャッター本体に形成し、この開口の下部側の縁部に沿わせて、前方斜め上方に回動可能に金属製の保持部材を設ける一方、前記シャッター本体とは別に巻き取られて前記開口を閉じる耐火シート製のシート扉を、それの下部側を前記保持部材に連結し、かつ、このシート扉の周部をシャッター本体に磁気吸着させるマグネットを備えて成る点に特徴がある。
【0010】
上記の構成にかゝるシート扉付きのシャッター装置によれば、通常時においては、建屋通路などの空間にはシャッター装置の何物も存しないので、歩行障害を伴うことは一切なく、かつ、空間幅を狭くすることもない。
【0011】
そして、火災発生の検知に基づくシャッター本体の空間区画の状態において、シート扉下部側の保持部材を前方斜め上方に回動させるように、シート扉を開放することで、時間をかけずに簡単に避難することができる。
【0012】
しかも、避難のために開放させたシート扉を手放せば、このシート扉は、保持部材の自重によって自動的に閉じられるので、シート扉を閉じ忘れることは一切なく、シャッター装置による空間区画の機能を逸失する虞れは全くない。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による実施の形態を図面に基づいて説明する。図1及び図2は、火災発生の検知に基づいて建屋の通路や階段室などの空間Pを区画するためのシート扉付きのシャッター装置を示している。
【0014】
図中の符号1は、左右の側壁に埋設されたガイドレール2に沿って巻き戻されるシャッター本体で、金属製(この実施の形態ではスチール製である。)のスラット3を相互に連結すると共に、最下位のスラット3に金属製の座板4を吊り下げ保持させて成る。
【0015】
5はシャッター本体1の巻き取り手段で、スラット巻き取りドラム6に、ブレーキ装置7を介して駆動回転手段8を連結して成り、煙または異常温度検知センサー9からの情報に基づいてブレーキ装置7を開放し、シャッター本体1を自重降下に伴って天井10のまぐさ部11から巻き戻させ、吊り下げ保持した座板4を床面12に着床させて、建屋通路などの空間Pを区画するように構成されている。
【0016】
13はシャッター本体1による空間区画状態で、そのシャッター本体1を通過するための避難用開口で、シャッター本体1のスラット3を一部切り欠いて矩形状に形成されており、かつ、スラット3の切り欠き端縁には、シャッター本体1の巻き取りを可能にするように、縁材(図4を参照)14を設けている。
【0017】
15は避難用開口13の下側縁部に沿わせて配置された金属製の保持部材で、図3にも示すように、この保持部材15は、枢支軸aを傾斜させたヒンジ16を介して、最下位の座板4に前方斜め上方に回動可能に設けられている。
【0018】
17,17は一対のスロープ部材で、保持部材15の前方斜め上方への回動を許容するように、避難用開口13の下部側に相対峙させて座板4に設けられており、車椅子に乗ったままで避難用開口13を通過できるように考慮したものである。
【0019】
18は避難用開口13を閉じる可撓性のシート扉で、例えば硅素や硅酸系合成繊維などの耐熱性繊維のシートの片面または両面に、防煙性を高めるようにシリコン樹脂、フッ素樹脂、酢酸ビニルなどの耐火性物質をコーティングして成り、このシート扉18は、図1及び図5(A)に示すように、シャッター本体1の巻き取り手段5とは別の巻き取り手段19によって巻き取られ、かつ、下部側が保持部材15に連結されていて、シャッター本体1に同伴して巻き戻されるようになっている。
【0020】
20はシート扉18の周部に設けたマグネットで、スチール製のシャッター本体1の避難用開口13まわりにシート扉18の周部を磁気吸着させるものであり、シャッター本体1を例えばアルミニュームなどの金属製にする場合は、シャッター本体1側にもマグネットを設けて、互いにマグネットを磁気吸着させるようにする。
【0021】
上記の構成にかゝるシート扉付きのシャッター装置によれば、検知センサー9が煙または異常温度を検知すると、この検知センサー9からの火災発生の検知情報に基づいて避難警報が発せられ、シャッター本体巻き取り手段5のブレーキ装置7が開放されて、シャッター本体1が自重によって巻き戻し降下し、かつ、これに同伴してシート扉18も巻き戻され、座板4が床面12に着床することで、図5(A)に示すように、建屋通路などの空間Pが座板4とシャッター本体1およびシート扉18によって区画される。
【0022】
ここで、避難が遅れて火災の発生現場側の空間の取り残された場合は、図5(B)に示すように、シート扉18の下部側を連結した保持部材15を前方斜め上方に回動させて、シャッター本体1に対するシート扉18のマグネット20による磁気吸着を剥がしつつ、シート扉18を開放することで、時間をかけないで簡単に避難することができる。
【0023】
避難後においては、開放させたシート扉18から手を放すことで、このシート扉18は、保持部材15の自重によって自動的に閉じられるので、シート扉18の閉じ忘れは一切生じず、シャッター装置による空間区画の機能を逸失する虞れは全くない。
また、シート扉18の閉じ姿勢では、そのシート扉18の周部が避難用開口13まわりに磁気吸着されるので、避難用開口13まわりの空間区画の機能も確実に確保される。
【0024】
尚、上記の実施の形態では、検知センサー9からの火災発生の検知情報に基づいて、シャッター本体巻き取り手段5のブレーキ装置7を開放させるようにしているが、火災発生の検知に基づいてシャッター本体巻き取り手段5をシャッター本体巻き戻し方向に駆動させ、かつ、座板4の着床後にシート1の巻き戻し駆動を停止させるように構成してもよい。
【0025】
また、本発明の実施の対象として、金属製のシャッター装置を例示したが、上記のシート扉18と同様の繊維材料から成る耐火シート製のシャッター本体を備えたシャッター装置を対象にして、これに避難用開口を形成したものを本発明の実施対象にすることが可能であり、この際、耐火シート製のシャッター本体の避難用開口まわりとシート扉の周部とに、それぞれマグネットを設けて、シート扉の周部を耐火シート製のシャッター本体の避難用開口まわりに磁気吸着させるようにする。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によるシート扉付きのシャッター装置によれば、通常時においては、建屋通路などの空間にはシャッター装置の何物も存しないので、歩行障害を伴うことは一切なく、かつ、空間幅を狭くすることもない。
【0027】
そして、火災発生の検知に基づいて、シャッター本体が建屋通路などの空間を区画した状態において、避難が遅れた場合であっても、シャッター本体を巻き上げる手間を一切必要としないで、即ち、時間をかけずに簡単に避難することができる。
【0028】
しかも、避難のために開放させたシート扉を手放せば、このシート扉は、保持部材の自重によって自動的に閉じられるので、シート扉を閉じ忘れることは一切なく、加えて、シート扉の周部をシャッター本体に磁気吸着させて、避難用開口まわりの空間区画の機能を確実に確保させているので、シャッター装置による空間区画の機能を逸失する虞れは全くない。
【図面の簡単な説明】
【図1】シート扉付きシャッター装置の概略縦断側面図である。
【図2】シャッター本体による空間区画の状態を示す斜視図である。
【図3】シート扉付きシャッター装置の下部側の断面図である。
【図4】避難用開口とシート扉との横断平面図である。
【図5】(A)はシャッター本体による空間区画の状態を示す説明図、(B)はシート扉の開放状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1…シャッター本体、4…座板、13…避難用開口、15…保持部材、18…シート扉、20…マグネット、P…建屋通路などの空間。
Claims (1)
- 煙または異常温度の検知に基づく巻き戻しに伴って、シャッター本体の下部側の座板を床面に着床させて、建屋通路などの空間を区画するように構成したシャッター装置において、空間区画状態でシャッター本体を通過するための避難用開口をシャッター本体に形成し、この開口の下部側の縁部に沿わせて、前方斜め上方に回動可能に金属製の保持部材を設ける一方、前記シャッター本体とは別に巻き取られて前記開口を閉じる耐火シート製のシート扉を、それの下部側を前記保持部材に連結し、かつ、このシート扉の周部をシャッター本体に磁気吸着させるマグネットを備えて成ることを特徴とするシート扉付きのシャッター装置。
Priority Applications (1)
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JP24987797A JP3728070B2 (ja) | 1997-08-30 | 1997-08-30 | シート扉付きのシャッター装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP24987797A JP3728070B2 (ja) | 1997-08-30 | 1997-08-30 | シート扉付きのシャッター装置 |
Publications (2)
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JPH1176439A JPH1176439A (ja) | 1999-03-23 |
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Family Applications (1)
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JP24987797A Expired - Lifetime JP3728070B2 (ja) | 1997-08-30 | 1997-08-30 | シート扉付きのシャッター装置 |
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1997
- 1997-08-30 JP JP24987797A patent/JP3728070B2/ja not_active Expired - Lifetime
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