JP3726533B2 - リチウム2次電池とその電解液及び電気機器 - Google Patents

リチウム2次電池とその電解液及び電気機器 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はリチウムイオンを可動イオンとする非水電解液とそれを用いたリチウム2次電池とその電解液及び電気機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
非水電解液を用いたリチウム2次電池は、高電圧・高エネルギー密度を有し、且つ、貯蔵性能や低温動作性に優れ、広く携帯用民生電気製品に利用されている。また、この電池を大型化し、電気自動車用や家庭用の夜間電力貯蔵装置として活用していくための研究・開発が盛んに行われている。
【0003】
しかし、これらに利用される溶媒の多くは引火点が低く、燃焼性が高いため、過充電や加熱等により発火,爆発等の危険性がある。そこで、最近ではこの電池の安全性を確保するための提案が増加してきている。例えば、特開平7−192762 号公報では燃焼抑制効果が期待できるハロゲン化ギ酸エステルを環状炭酸エステルに混合することにより、燃焼性を低減することが開示されている。また、特開平8−45544号公報にはハロゲン化されたエステルを混合することが開示されているが、ハロゲン化ギ酸エステルやハロゲン化エステル類は、ハロゲン化していない環状カーボネートよりも引火点が低い場合もあり、十分な難燃化が実現されたとは考え難い。この他の手段として、特開平4−184370 号公報や特開平8−88023号公報では、自己消火作用が期待されるリン酸エステルを電解液に含有することが記されているが、サイクル特性が若干劣る傾向がある。
【0004】
以上は自己消火性が高い溶媒や、消火作用のある溶媒を非水電解液に用いる例であるが、それ自体が不燃性であるフッ素化合物を非水電解液溶媒とすることはリチウム2次電池を不燃化する究極の手段である。フッ素化合物の利用に関しては、特開平9−293533 号公報ではフッ素化アルカンを溶媒に0.5〜30 重量%までの範囲で混合して難燃化することが開示されている。この例におけるフッ素化アルカンの作用は、これら低沸点のフッ素化合物による混合気体の窒息による消火作用であり、混合する割合から考えても不燃性溶媒を用いた電解液とは言い難い。また、特開平9−293533 号公報には、25℃以下の沸点を有するフッ素化合物を電池内に内在させ、電池が高温に曝されたりした場合にフッ素化合物が可燃性溶媒よりも先に気化し、その蒸気で可燃性溶媒の燃焼を窒息させることによって難燃化しようとする方法が開示されている。この例は、不燃性溶媒を電解液とは分離した形態で用いたものであり、不燃性溶媒を電解液として利用しようとするものではない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前述の如く、リチウム2次電池の安全性を確立するために電解液の不燃化が重要である。しかしながら、不燃性液体の代表的存在である不燃性溶媒の特性は、一般に双極子モーメントが小さく、誘電率が低いためにリチウム塩の溶解性が非常に乏しい。また、リチウム塩の解離性の良好な双極子モーメントの大きな非水溶媒との相溶性も低く、これらと不燃性溶媒とは混合できず、2層に分離してしまう。この様に、不燃性溶媒は、電解液に要求される物性を全く示さないものである。しかし、リチウム2次電池の唯一の欠点である電解液の燃焼性の問題を解決することが、この電池を大型化し電気自動車や家庭用途へと普及させるために不可欠である。
【0006】
本発明の目的は、高温,加熱,過充電,内部短絡等による爆発,発火,発煙等の危険性を解消したリチウム2次電池とその電解液及び電気機器を提供するにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、導電率が0.05ms/cm以上、好ましくは0.1〜3ms/cm、より好ましくは0.2〜2.5ms/cmであり、JIS−K2265試験で引火点を有しない非水電解液を有することを特徴とするリチウム2次電池にある。
【0008】
本発明は、リチウムを吸蔵・放出可能な負極と、リチウムを吸蔵・放出可能な正極と、セパレーター及びリチウム塩を含む非水電解液を有するリチウム2次電池において、前記非水電解液が、非イオン導電性溶媒、好ましくはきわめて難燃性を有する不燃性である溶媒と、リチウムイオン導電性溶媒との混合溶液を含み、前記電解液はJIS−K2265試験で引火点を有しないことを特徴とする。本発明における非イオン導電性溶媒とイオン導電性溶媒との割合は後者の量を10〜40容量%とすることにより前述の引火点を有しないものが得られる。
【0009】
本発明は、リチウム2次電池において、非水電解液が20容量%以上が非イオン導電性溶媒とリチウムイオン導電性溶媒とを含むことを特徴とする。
【0010】
本発明は、非水電解液が、非イオン導電性溶媒と、リチウムイオン導電性溶媒との混合溶液を含み、前記電解液の導電率が0.1〜3ms/cm であることを特徴とするリチウム2次電池にある。
【0011】
本発明は、非水電解液が、非イオン導電性溶媒と、リチウムイオン導電性溶媒との混合溶液を含み、前記リチウムイオン導電性溶媒の双極子モーメントが3デバイ以下であることを特徴とするリチウム2次電池にある。
【0012】
本発明は、非水電解液が、非イオン導電性溶媒と、リチウムイオン導電性溶媒との混合溶液を含み、前記リチウムイオン導電性溶媒は双極子モーメントが3デバイ未満のものと3デバイ以上のものを含むことを特徴とするリチウム2次電池にある。
【0013】
本発明は、非水電解液が、非イオン導電性溶媒及びリチウムイオン導電性溶媒を含み、前記リチウム塩は有機リチウム塩と無機リチウム塩とを有することを特徴とするリチウム2次電池にある。
【0014】
本発明は、非イオン導電性溶媒及びリチウムイオン導電性溶媒を含み、導電率が0.1ms/cm 以上であり、JIS−K2265試験で引火点を有しないものであることを特徴とするリチウム2次電池用非水電解液にある。
【0015】
ここで、本発明に係る非イオン導電性溶媒は不燃性溶媒と略して以後説明する。不燃性溶媒はリチウム塩を溶解しないが、不燃性溶媒の物性に応じたある限界値までは低双極子モーメントの非水溶媒で構成されるリチウム塩を溶解・解離したイオン導電性のある溶液を相溶または分散させる形で混合させることができ、この混合液は電解液として機能するものであることを見出した。
【0016】
また本発明に係る電解液についても不燃性電解液と称して以後説明する。
【0017】
本発明の不燃性電解液は、フッ素化性溶媒中に、リチウム塩を溶解・解離した双極子モーメントの値が3デバイ以下の非水溶媒が相溶または分散した状態の溶液である。これを電解液として用いることによりきわめて高い安全性を有するリチウム2次電池が得られるものであるフッ素化溶媒の一具体例としては、化1
【0018】
【化3】
Figure 0003726533
【0019】
(式中、mは2〜8の整数を表わし、nは1〜5の整数を表わし、mとnの関係は、m≧((6n+1)/4)である。)で表わされるフッ素化エーテルを用いることができる。これらの溶媒は、分子軌道計算から得られる双極子モーメントの値が2デバイ程度であり、相溶性を高める観点から混合する非水溶媒の双極子モーメントの値も2デバイに近いか又はこれ以下のものが望ましく、非水溶媒の双極子モーメントは大きくとも3デバイまでが好適である。
【0020】
本発明の不燃性電解液の中のフッ素化溶媒を以後不燃性フッ素化溶媒と称して説明する。不燃性フッ素化溶媒には、例えば、パーフロロブチルメチルエーテル,パーフロロブチルエチルエーテル,パーフロロペンチルメチルエーテル,パーフロロペンチルエチルエーテル,パーフロロヘプチルメチルエーテル,パーフロロヘプチルエチルエーテル等から選ばれる1つ乃至は複数の溶媒が用いられる。特に、前記2者のものが好ましい。また、イオン導電性溶媒である非水溶媒としては、例えば、ジメチルカーボネート,エチルメチルカーボネート,ジエチルカーボネート,メチルプロピルカーボネート,エチルプロピルカーボネート,ジプロピルカーボネート,ビス(トリフロロエチル)カーボネート,ビス(ペンタフロロプロピル)カーボネート,トリフロロエチルメチルカーボネート,ペンタフロロエチルメチルカーボネート,ヘプタフロロプロピルメチルカーボネート,パーフロロブチルメチルカーボネート,トリフロロエチルエチルカーボネート,ペンタフロロエチルエチルカーボネート,ヘプタフロロプロピルエチルカーボネート,パーフロロブチルエチルカーボネート等または化2
【0021】
【化4】
Figure 0003726533
【0022】
(式中、pは2〜10の整数、R1は水素または炭素数1〜3のアルキル基、R2は炭素数1〜3のアルキル基)で表わされるフッ素化オリゴマーの中から選ばれる1乃至複数の非水溶媒が用いられ、双極子モーメントの値が3デバイ以下が好ましい。フッ素化溶媒とイオン導電性非水溶媒とは相溶状態を形成する。
【0023】
有機リチウム塩としては、例えば、LiCF3SO2,LiN(CF3SO2)2,LiN(CF3SO2)(CF3CF2CF2CF2SO2),LiN(CF3CF2SO2)2,LiC(CF3SO2)2,LiC(CF3CF2SO2)2,Li〔PF4(CF(CF3)2)〕の1つ又は複数を用いることができる。
【0024】
無機リチウム塩としては、LiPF6,LiBF4,LiF,LiBr,LiI,LiCl,LiBr,LiClO4 等の中から選ばれる1乃至複数のものが用いられる。先の不燃性溶媒と非水溶媒の混合溶媒にこれらのリチウム塩を溶解するとリチウム塩は非水溶媒によって溶解・解離されて、溶媒和した非水溶媒によってリチウムイオンとカウンターアニオンは取り囲まれ、フッ素化溶媒中に相溶した状態が実現する。更に、混合するリチウム塩の濃度が増加すると、非水溶媒がリチウムイオンやカウンターアニオンと十分な溶媒和圏を形成できなくなり、リチウムイオンまたはカウンターアニオンと接する不燃性溶媒ができてしまい溶媒系のエネルギーが不安定化するので、幾つかの溶媒和が寄り集まりより大きな溶媒和圏を形成し、不燃性溶媒分子が直接イオンに接しない状態を形成する。マクロ的にはイオンを含む非水溶媒分子がフッ素溶媒中でミセル模様のものを形成し、導電性溶液が非導電性溶媒(不燃性溶媒)中に分散した状態を形成する。
【0025】
以上の様な相溶状態または分散状態で不燃性溶媒分子とリチウム塩を溶解・解離した非水溶媒分子が混合された溶液が不燃性電解液として利用し得る。しかし、リチウム塩の濃度が不燃性溶媒分子と非水溶媒分子の相溶性や、非水溶媒とリチウム塩の溶解性等で決まるある限界値を超えると、混合溶液は不燃性溶媒分子からリチウム塩を溶解した非水溶媒溶液が分離してしまい電解液でなくなってしまう。不燃性溶媒としては、フッ素化溶媒であるパーフロロブチルメチルエーテルまたはパーフロロブチルエチルエーテルが好ましい。
【0026】
負極には難黒鉛性炭素,天然又は人造の黒鉛炭素、或いは、錫酸化物,珪素またはゲルマニウム化合物、或いは、リチウム金属またはリチウム合金等が負極活物質として挙げられる。また、正極にはコバルト,ニッケル,マンガン等遷移金属のリチウム複合酸化物、或いは、これらリチウム複合酸化物のリチウムサイトまたは遷移金属サイトの一部をコバルト,ニッケル,マンガン,アルミニウム,ホウ素,マグネシウム,鉄,銅等で置換された化合物、或いは、フェロシアンブルー,ベルリングリーン等の鉄錯体化合物等が好適な正極材料として挙げられる。
【0027】
セパレーターには微多孔性の高分子フィルムを用いる。例えば、ナイロン,セルロース,ニトロセルロース,ポリスルホン,ポリアクリロニトリル,ポリフッ化ビニリデン,ポリプロピレン,ポリエチレン,ポリブテン等が挙げられる。
【0028】
電池形状は特定の形に限定されるものではない。例えば、円筒型,コイン型,角形電池等の形状の電池とすることができる。また、電池容量に関しても特別の制限はなく、民生用の数Whのものから家庭用電力貯蔵用や電気自動車用の数百Whのものまで適応可能である。
【0029】
本発明は、電解液を引火点を有しないものとし、その負荷特性の向上を目的にリチウム塩を含む非水電解液組成を鋭意検討した結果、以下の電解液を用いたものである。
【0030】
(a)フッ素化溶媒を40〜95容量%、
(b)半経験的分子軌道計算から得られる双極子モーメントが3デバイ未満の低双極子モーメント溶媒を5〜60容量%、及び、
(c)半経験的分子軌道計算から得られる双極子モーメントが3デバイ以上の高双極子モーメント溶媒を0.1〜10容量%を含み、
(d)有機リチウム塩を0.2〜1.2モル/リッター及び
(e)無機リチウム塩を0.005〜0.5モル/リッターの(d)及び(e)の一方又は両方を有し、特に電解液としてJIS2265の引火点試験において引火点のない組成とするものである。フッ素化溶媒としては(化5)に示すnが4〜12で表わされるメチルパーフロロアルキルエーテルを用いることができる。
【0031】
【化5】
Figure 0003726533
【0032】
また、3デバイ未満の鎖状の低双極子モーメント溶媒には、ジメチルカーボネート(DMC),エチルメチルカーボネート(EMC),ジエチルカーボネート(DEC),メチルプロピルカーボネート(MPC),メチルトリフロロエチルカーボネート(MTFEC),ジメトキシエタン(DME),トリグライム (TGM)の中から選ばれる溶媒を1つまたは混合して用いることができる。3デバイ以上の高双極子モーメント溶媒としては、エチレンカーボネート(EC),プロピレンカーボネート(PC),トリフロロプロピレンカーボネート(TFPC),クロロエチレンカーボネート(ClEC),ビニレンカーボネート(VC),ブチレンカーボネート(BC),ジメチルビニレンカーボネート(DMVC),γ−ブチロラクトン(GBL)の中から選ばれる溶媒を1つまたは複数混合して用いることができる。有機リチウム塩としては、前述のものが用いられる。無機リチウム塩には、前述のものが用いられる。
【0033】
本発明は、フッ素化溶媒としてメチルパーフロロブチルエーテルを65容量%以上含み、低双極子モーメントの溶媒としてジメチルカーボネート,エチルメチルカーボネート,ジエチルカーボネート,ジメトキシエタン,トリグライムの1つまたは複数を25容量%未満で含み、高双極子モーメントの溶媒として前述の化合物の1つまたは複数を0.1 〜10容量パーセントの範囲で含み、有機リチウム塩としてLiN(SO2CF2CF3)2を0.2〜1.2モル/リッターの濃度で含み、無機リチウム塩としてLiPF6 を0.005〜0.5モル/リッターの範囲で含み、好ましくは、JIS2265の引火点試験において引火点のない組成の不燃性電解液を用いたリチウム2次電池にある。
【0034】
電解液に用いるフッ素化溶媒の満たすべき要件は、引火点のない不燃性溶媒であること、低双極子モーメントの溶媒または高双極子モーメントの溶媒との相溶性があることである。本発明において、フッ素化溶媒には一般の電解液溶媒に求められるリチウム塩の溶解性は特に必要としない。従って、多くの鎖状フッ素化溶媒を不燃性溶媒として用いることが可能であり、パーフロロアルカン,セミフロロアルカンまたはこれらに塩素や臭素を導入した誘導体等も利用できる。しかし、環境影響性や毒性を考えると良好な材料とは言い難い。フロン洗浄剤の環境対応の代替洗浄剤として導入されたハイドロフロロエーテルは、これらの問題がなく、且つ、電解液溶媒に比べて高価なこともなく、不燃性電解液の不燃化溶媒として好適である。即ち、フッ素化溶媒としては前述の式(5)(式中、nは4〜12の整数を表わす。)で表わされるメチルパーフロロアルキルエーテルを用いるのが好適である。これらの溶媒としては、メチルパーフロロブチルエーテル,メチルパーフロロペンチルエーテル,メチルパーフロロヘキシルエーテル,メチルパーフロロヘプチルエーテル,メチルパーフロロオクチルエーテル,メチルパーフロロノニルエーテル,メチルパーフロロデシルエーテル,メチルパーフロロウンデシルエーテル,メチルパーフロロドデシルエーテルを挙げることができる。
【0035】
一般にフッ素化した溶媒は双極子モーメントが小さいので、それらに混合する第一の溶媒としては鎖状の低双極子モーメントの溶媒の方が相溶性が良い。この様な溶媒としては、前述の通りである。
【0036】
これらハイドロフロロエーテルと低双極子モーメントの溶媒との混合溶媒は、有機リチウム塩を、混合溶媒の種類と混合割合にも依存するが、フッ素化溶媒が80容量%以上の領域においても、1.2M 程度まで溶解することができる。これら可溶な有機リチウム塩としては、前述の通りである。これらのうち、 LiN(SO2CF2CF3)2,LiC(SO2CF2CF3)3,LiC(SO2CF3)3,Li〔PF4(CF(CF3)2)〕 が正極集電体にアルミを用いる現状の電池では、高電位においてアルミとの反応性が小さく好適である。
【0037】
以上の構成材料を用いることによって不燃性電解液を実現できるが、更に負荷特性を向上するためには、充放電時の活物質界面でのリチウムイオンの挿脱入抵抗を低減するための皮膜が必要である。SEI(Surface Electrode Interface)と称されている(例えば、J. Electrochemical Soc.,p.2882,vol.142 (1995)等)溶媒の電極近傍での反応生成物は、電解液中に存在する反応性の高い化合物の種類及びそれらの化合物が反応する場となる混合された溶媒の種類及び混合の割合等によりその性質が左右される。上記の構成材料の電解液では、負荷特性を維持するのに十分なSEIが得られていないと考えられる。そこで、SEIのプレカーサーとしてリチウムイオンとの配位性の高い、高双極性モーメントを有する溶媒を混合した。高双極子モーメントの溶媒の添加量が多くなると、電解液が相分離を起こし使用できなくなるので、0.1 〜10容量パーセントの範囲での添加が好適である。更に、この組成に、単独ではフッ素化溶媒やフッ素化溶媒混合物への溶解性の極めて低い無機リチウム塩を添加することにより、負荷特性は更に安定したものになる。添加する無機リチウム塩としては、前述の化合物を用いることができるが、特に、正極にアルミ集電体を使用する場合にはアルミ表面に電気化学的に安定な皮膜を形成できるフッ素を有する化合物 LiPF6,LiBF4およびLiFが好適である。これら無機リチウム塩は溶解度が高くないので、0.005〜0.5モル/リッターの範囲での添加が好適である。
【0038】
本発明は、リチウム2次電池を電源に用いた電気機器において、前記2次電池の過充電及び過放電に対する保護手段は前記電池の温度及び圧力検出がフリーであり、前記電池の電圧又は電流検出手段及び該検出値に基づいて前記電源を開閉する制御手段を有することを特徴とする。
【0039】
【発明の実施の形態】
[実施例1〜9,比較例1]
不燃性フッ素溶媒として住友スリーエム(株)製ノナフロロブチルメチルエーテル(商標:HFE7100),半経験的分子軌道計算(MOPAC)から求めた双極子モーメントは2.37 デバイである。非水溶媒としてエチルメチルカーボネート(EMC)を用い、同様にして得た双極子モーメントは0.887 デバイである。また、リチウム塩にはビストリフロロメチルスルホニルイミド(LiTFMSI)を用いた。
【0040】
【表1】
Figure 0003726533
【0041】
表1に示す溶媒混合割合の実施例1〜9の電解液と比較例1の電解液のリチウム塩濃度と溶解・混合性、及び、各濃度における導電率を評価した。
【0042】
図1はリチウム塩濃度と導電率変化との関係を示す線図である。図示した様に、導電率はEMCの混合割合の増加と共に向上する事が分かった。また、EMCの混合割合が50容量%以上ではリチウム塩濃度が1M(モル/リッター)を超えても導電率の低下が見られず、更に多くのLiTFSIを溶解できることが分かった。尚、これらの実施例及び比較例では、評価したリチウム塩濃度領域において、非水電解液のフッ素溶媒中での分散やフッ素溶媒からの分離は認められなかった。即ち、HFE7100とEMCから成る電解液はほぼすべての混合比で相溶状態の電解液を調製でき、不燃性が高く好ましい混合領域であるHFE7100 が40容量%以上の混合割合でも、十分な導電率(0.95Mのリチウム塩濃度において、EMC単独非水溶媒を用いた比較例1の電解液の約3分の1の導電率)を有していることが分かった。
【0043】
[実施例10〜14,比較例2〜5]
不燃性フッ素化溶媒HFE7100の混合割合を80容量%,非水溶媒の混合割合を20容量%と一定として、非水溶媒の種類を変えた結果を表2に示す。
【0044】
【表2】
Figure 0003726533
【0045】
表2に示す様に実施例10〜14と比較例2〜5の溶媒間の相溶性,電解液の混合状態と導電率を評価した。ここで、DMCはジメチルカーボネート、DECはジエチルカーボネート、TFEMCはトリフロロエチルメチルカーボネート、BTFPCはビストリフロロプロピルカーボネート、DOLは1,3−ジオキソラン、PCはプロピレンカーボネート、ECはエチレンカーボネート、GBLはγ−ブチロラクトン、BCはブチレンカーボネートを表わす。
【0046】
この表から分かる様に、双極子モーメントが3デバイよりも大きな比較例2〜5の溶媒、即ちPC,EC,GBL,BCは不燃性溶媒HFE7100と相溶しない。このことから、溶媒の極性の差が相溶性に大きく作用していると考えられる。更に、双極子モーメントが3デバイよりも小さな溶媒であってもDOL (1.256デバイ)の様な環状の分子は、不燃性溶媒との混合状態が分散となる。また、鎖状の溶媒であってもBTFPC(2.719 デバイ)の様に双極子モーメントが大きくなるとリチウム塩の溶解性が低下してくる。以上のことから、フッ素系不燃性溶媒に対する混合溶媒には、双極子モーメントが3デバイ以下のものが好適である。
【0047】
[実施例15〜18]
図2は、HFE7100 80容量%とEMC 20容量%の混合溶媒に対する各種リチウム塩の溶解性に関係する濃度依存性とそれら電解液の導電率との関係を示す線図である。リチウム塩として、実施例15は住友スリーエム(株)製のビスペンタフロロエチルスルホニルイオミド(LiBETI)、実施例16はセントラルガラス社製のパーフロロブチルメチルスルホニルイミド(LiFBMSI)、実施例17はヘキサフロロリン酸リチウム(LiPF6 )、実施例18はテトラフロロホウ酸リチウム(LiBF4 )を用いたものである。尚、図中で途中でプロットがなくなっているものは、不燃性溶媒と非水溶媒電解液が分離し測定できなくなったものである。
【0048】
図示した様に、この混合溶媒系ではLiPF6やLiBF4等の無機塩よりもフッ素鎖を有するLiTFSI,LiBETI,LiFBMSI等の有機塩の方が溶解・解離性が高く、導電率も良好な値になることが分かった。これは、これら無機塩はその解離アニオンが対象性が高く、双極子モーメントが殆んどゼロ(計算値では、PF6 -は0.001、BF4 -は0.001デバイである)であり、また、分子半径が小さいため帯電性が高く、誘電率の低い不燃性フッ素溶媒との親和性が低下するためと考えられる。
【0049】
これに対して、有機塩の解離アニオンは双極子モーメントを有し(計算値では、TFSI- は1.23 、BETI- は1.103 、FBMSI- は8.468 デバイである)、分子半径も大きく、且つ、ここに示した有機アニオンはフッ素鎖を持っているので不燃性フッ素溶媒との親和性が良いことが溶解性の高さに寄与しているものと考えられる。即ち、有機リチウム塩の方が不燃性電解液の電解質として好適な材料である。なかでもフッ素鎖長の短いLiTFSIはカウンターアニオンの拡散性が良く、不燃性電解液用の電解質として優れている。
【0050】
[実施例19〜23,比較例6]
【0051】
【表3】
Figure 0003726533
【0052】
表3は種々の組成の不燃性電解液を用いた実施例19〜23の電池と従来の電解液を用いた比較例7の電池を作製し、電池特性と安全性を評価した結果を示すものである。尚、HFE7200は3M社製の不燃性溶媒,ノナフロロブチルエチルエーテルを表わす。
【0053】
図3は本実施例における外形直径18mm,高さ65mmの円筒型電池の断面図である負極活物質9には人造黒鉛,正極活物質10にはコバルト酸リチウム、セパレーター11には25ミクロンのポリエチレン微多孔質フィルムを用いたものである。電池は、電解液をグローブボックス中で真空含浸によって注液後、圧力限界が5気圧の内圧開放弁12を2個設けた電池正極蓋13を取り付け、電池缶
14とこの蓋をレーザー溶接15して密閉して作製した。
【0054】
正極10は正極活物質としてLiCoO2 、導電剤としてアセチレンブラックを7wt%,結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を5wt%添加して、これにN−メチル−2−ピロリドンを加え混合して正極合剤のスラリーを調製した。
【0055】
同様に負極活物質として菱面体晶が1〜20重量%、残部が六方晶である平均粒径8μmの黒鉛粉末、結着剤としてPVDFを10wt%添加して、これにN−メチル−2−ピロリドンを加え混合して負極合剤のスラリーを調整した。
【0056】
正極合剤を厚み20μmのアルミニウム箔の両面に塗布し、その後120℃で1時間真空乾燥した。真空乾燥後、ローラープレスによって電極を加圧成型して厚みを195μmとした。単位面積当りの合剤塗布量は55mg/cm2 であった。黒鉛粉末の菱面体晶の割合は900℃以上の温度で加熱処理することにより調整することができ、少ない方が好ましい。
【0057】
一方、負極合剤は厚み10μmの銅箔の両面に塗布し、その後120℃で1時間真空乾燥した。真空乾燥後、ローラープレスによって電極を加圧成型して厚みを175μmとした。単位面積当りの合剤塗布量は25mg/cm2 であった。
【0058】
前述によって得られた正極10,セパレーター11,負極9及びセパレーター11の順に積層したものを巻回して電池缶14に収納したものである。16は絶縁板、17は負極リード、18は正極リードである。
【0059】
電池缶14及び電池正極蓋13には、JIS規格のSUS304又は316のオーステナイト系ステンレス鋼を用いた。
【0060】
比較例6の初回容量が1300mAhであったので、この容量を基準に0.5C(650mA)で各電池の充放電サイクル試験を300サイクルまで実施した。また、安全性試験としては満充電した状態の電池を横置きしてその中央部をガスバーナーの直火で加熱する安全試験1、及び、電池中央部に直径5mmの釘を電池直径の半分まで差し込む安全試験2を実施した。表3に示す様に、本発明の不燃性電解液を用いた電池、実施例19〜23は、電池特性的には初回容量1200mAh以上,容量維持率90%以上の従来電解液を用いた比較例6の電池とまったく遜色なく、そして発火の生じない安全性が極めて向上していることが実証された。
【0061】
[実施例24〜28,比較例7]
【0062】
【表4】
Figure 0003726533
【0063】
表4は種々の組成の不燃性電解液を用いた実施例24〜28の電池及び比較例7の電解液を用い、正極にマンガン酸リチウム、負極に非晶質黒鉛、セパレーターに40ミクロンのポリエチレンフイルムを用い、図4に示す構造の直径80mm,高さ240mmの円筒型の実施例24〜28及び比較例7の大容量電池を作製し、上記と同様の電池特性と安全性を評価した結果を示すものである。尚、この電池も負極9,正極10,電池缶14及び電池正極蓋13には前述の実施例と同様の材料を用いた。電池正極蓋13には耐圧5気圧の内圧開放弁12を設け、電池缶14と電池正極蓋とはレーザで溶接(レーザ溶接部15)して作製した。
【0064】
電池の初回容量は本発明に係る実施例24〜28では26〜27Ahであり、比較例7では、27Ahであった。電池特性は電流値10Aで300サイクルの充放電試験を実施した結果、容量維持率は97%以上であった。尚、この大型電池では約100mlの電解液を内包しているが、安全試験2では電池内部の短絡により一時的に電池温度が急上昇し、従来電解液では発煙が起こるのに対して不燃性電解液ではその主成分であるフッ素系溶媒(毒性は殆どなく、地球温暖化係数も低い)が蒸発して逸散したと考えられるが、濃厚な発煙は見られなかった。即ち、本発明の不燃性電解液を用いることにより、大容量の電池でも従来の電解液を用いた電池と同等の電池特性が得られ、大型電池では特に重要となる安全性が飛躍的に向上できた。
【0065】
以上に記載の通り、導電率が低くても電池容量,負荷特性ともに従来の非水電解液と比較して特性低下は見られなかった。これは、即ち、フッ素系の不燃性溶媒が混合しているイオン導電性の非水溶媒の形成するイオン伝導経路を阻害していないことを示唆するものである。換言すれば、従来の非水電解液もセパレーターの狭い空孔を通してイオンが伝導していたわけで、不燃性溶媒もこれと同様な作用体、いわば液体のセパレーターのような存在になっているにすぎないのではないかと考えることができる。更に推定するに、イオン伝導経路におけるイオン濃度は従来の非水電解液に比べ高くなっており、従来の系に比べ非常に高率の電解液系が実現されていると考えることもできる。
【0066】
[実施例29]
図5は前述の実施例で示した各種イオン導電性溶媒の含有量とJIS−K2265試験による引火点の関係を示す線図である。不燃性溶媒はHFE7100である。図に示す如く、溶媒の種類によって引火点なしの含有量が変わる。b.p.は弗点である。EMC,DMCは30容量%未満、DMEは20容量%未満とするのが好ましい。TGM及びDECは30容量%以下で好ましい。
【0067】
[実施例30]
図6は本発明の非水電解液を用いた直径18mm,高さ65mmの円筒型電池の部分断面図である。負極活物質とした黒鉛炭素材料90重量部を、結着剤であるポリフッ化ビニリデンフロライド(PVDF)10重量部と共にNーメチルピロリドンに溶解・混練して負極材料のペーストを調製した。この負極材料ペーストを厚さ10μmの銅箔集電体1の両面に塗布し、加熱乾燥したのち、加圧・加熱処理して負極2を作製した。次に、この電極の一端にニッケル箔を溶接して負極端子3を取り付けた。次に、正極活物質としたLiCoO2 を85重量部、導電助剤であるアセチレンブラックを8重量部、PVDFを7重量部、N−メチルピロリドンに溶解・混練して正極材料のペーストを調製した。この正極材料ペーストを厚さ20μmのアルミ集電体4の両面に塗布し、加熱乾燥したのち、加圧・加熱処理して正極5を作製した。次に、この電極の一端にニッケル箔を溶接して正極端子6を取り付けた。これらの電極をポリプロピレン製の多孔質セパレーター7を間に挟んで、捲回して電極群を形成した。この電極群を缶底に負極インシュレータ8を挟んで、電池缶19に挿入し、缶底に負極2を溶接し、正極蓋20に正極インシュレータを挟んで正極端子6を溶接した。
【0068】
フッ素化溶媒としてメチルパーフロロブチルエーテル77.4容量% とEMC19容量%を混合したものに、リチウム塩としてLiN(SO2CF2CF3)2
0.8モル/リッター溶解した。更に、この溶液にECを3.6重量%溶解し、続いて、無機リチウム塩であるLiPF6を0.1モル/リッター溶解し、電解液Aを調製した。この電解液は、JIS2265のクリープランド開放式引火点試験において、引火点がないことを確認した。
【0069】
最後に、電解液Aを先に用意した電池に真空含浸によって注液し、正極蓋20と電池缶19とをカシメて密閉した。
【0070】
[比較例8]
電解液として、ECを34容量%、DMCを66容量%混合した溶媒にLiPF6 を1.0M 溶解した溶液(電解液R1)を用いた電池R1を作製した。尚、この電解液の同試験による引火点は約35℃であった。
【0071】
[比較例9]
電解液として、フッ素化溶媒としてメチルパーフロロブチルエーテル90容量%とEMC10容量%を混合したものに、リチウム塩としてLiN(SO2CF2CF3)2 を0.8 モル/リッター溶解し、電解液Bを調製し、これを注液して比較例2の電池R2を作製した。この電解液Bは電解液AからECとLiPF6 を除去した組成である。この電解液Bも同引火点試験で引火点はなかった。
【0072】
(負荷特性の評価)
以上の様に作製した電池を、140mAを0.1C(10時間率)として140mAから順次140mAずつ電流値を増加して1400mA(1C)までの負荷特性を評価した。充電条件は定電流−定電圧(CC−CV)で、定電流の電流値は上記の通り140mAから順次140mAずつ1400mAまで増加し、定電圧充電の電圧は4.1V とし、終止条件は15時間または10mA以下とした。この試験の結果を図7に示した。従来電解液R1を用いた電池R1の負荷特性に対して、不燃性の電解液Bを用いた電池R2は0.3C(420mA)以上の電流での放電容量の低下が著しい。これに対して、ECとLiPF6 を添加した不燃性の電解液Aを用いた電池は電池R1より若干劣るものの電池R2に対して特性が飛躍的に向上していることが分かった。これら電解液の導電率は電解液Aが0.7mS/cm、電解液R1が12mS/cm、また、電解液R2が0.45mS/cmであることを考えると驚異的な変化である。そこで、これらの0.5C における放電曲線を図8に比較した。これから分かるように、本実施例では電池R2に比べて、放電末期の電位低下が少なくなっている。即ち、この電圧降下を抑制することがECとLiPF6 を添加した効果であり、電解液Aの負荷特性の向上の要因である。この電圧降下は、電極界面での溶媒分子の吸着やアニオンやリチウムイオンの拡散性の低下によって起こるものと考えられるが、ECやLiPF6 を添加することによってこれら障害が緩和されるのではないかと推察する。
【0073】
(高双極子モーメント溶媒の効果)
高双極子モーメント溶媒の種類を変えて、添加効果を評価した。実施例29と同じ正極材料,負極材料を用いて直径15mmの片面塗布電極,円形負極22と円形正極23を作製し、同じく直径18mmに形成した円形セパレーター24を用いて、図9に示す試験電池を作製し、電池特性を評価した。
【0074】
[実施例31]
電解液として電解液BにPC(プロピレンカーボネート)を0.05グラム/ミリリッター(重量比はメチルパーフロロブチルエーテル77容量%,EMC21容量%,PC2容量%)を混合したものに添加した電解液Cを用いて試験電池
C1を作製した。
【0075】
[実施例32]
PCの変わりにBC(ブチレンカーボネート)を同量添加した(重量比はメチルパーフロロブチルエーテル77容量%,EMC21容量%,BC2容量%)電解液Dを用いて試験電池C2を作製した。
【0076】
[実施例33]
PCの変わりにTFPC(トリフロロメチルプロピレンカーボネート)を同量添加した(重量比はメチルパーフロロブチルエーテル77容量%,EMC21容量%,TFPC2容量%)電解液Fを用いて試験電池C4を作製した。
【0077】
[比較例10]
電解液Bを用いて試験電池RC1を作製した。
【0078】
以上作製した電池を、0.05mAから順次0.05mAずつ電流値を増加して5mAまで、定電流−定電圧(4.1V)、終止電流設定5μAの設定で充電し、定電流で放電して放電容量を比較した。この結果を図10に示す。高双極子モーメントの溶媒の添加は、何れの材料においても負荷特性の改善があることが分かった。これは、高双極子モーメントの溶媒がリチウムイオンに優先的に配位し易いことを考えると、高双極子モーメントの溶媒がリチウムイオンに配位した状態で活物質表面で電気化学的反応を起こし、その反応生成物が活物質表面に良好なSEI皮膜を形成していると推察される。従って、負荷特性改良のために添加する溶媒の満たすべき要件はリチウムイオンへの高い配位性であり、分子の特性的には高い双極子モ−メントを持つことであることが分かった。
【0079】
次に、無機リチウム塩の添加量に関して負荷特性の向上効果を評価した。電池は図8に示す試験電池を用いた。
【0080】
[実施例34]
電解液Aを用い試験電池C6を作製した。
【0081】
[実施例35]
電解液AのLiPF6添加量を0.05モル/リッターとした電解液Hを用い試験電池C7を作製した。
【0082】
[実施例36]
電解液AのLiPF6添加量を0.2モル/リッターとした電解液Iを用い試験電池C8を作製した。
【0083】
[比較例11]
電解液AのLiPF6 添加量を0モル/リッターとした電解液Jを用いて試験電池CR2を作製した。
【0084】
これらの電池の負荷特性を上記と同じ条件で評価し、LiPF6 添加量に対して放電容量の変化を図11に示した。この様に、高双極子モーメント溶媒に更に無機リチウム塩LiPF6 を加えることによって負荷特性がさらに向上する。但し、無機リチウム塩LiPF6 の添加量には最適値が存在し、電解液A系の場合は0.1モル/リッターが最適添加量であった。
【0085】
(安全性試験)
実施例の電池1と比較例の電池R1を用いて、(1)釘刺し試験、(2)過充電に関し、安全性試験を実施した。
【0086】
釘刺し試験は、(1−1)室温,30mm/sec,(1−2)室温,5mm/sec,(1−3)室温,1mm/sec,(1−4)60℃,1mm/secの4条件で比較した。
【0087】
【表5】
Figure 0003726533
【0088】
その結果を表5に示す。本発明の不燃性電解液Aを用いた電池1は、従来の電解液R1を用いた比較例の電池R1が低速や高温の条件で発火・破裂に至ったのに対し、どの試験条件においても発火や破裂等は起こらず安全性が極めて向上していることが確認された。
【0089】
過充電試験は、0.2C−4.1V条件で電池を満充電した後、(2−1)0.5C,(2−2)1.0C,(2−3)2.0Cの電流条件で実施した。その結果を表6に示す。本発明の不燃性電解液では、その導電率が低いためデンドライドシ
【0090】
【表6】
Figure 0003726533
【0091】
ョートが発生し易く、過充電試験では導電率の高い従来電解液よりも劣ることが危惧されたが、結果としては、過充電試験においても従来電解液と同等またはそれ以上の安全性を維持していることが確認された。
【0092】
以上の様に、フッ素化溶媒を多量に含む不燃性電解液系において、これら高双極子モーメント溶媒及び無機リチウム塩のごく少量の添加による負荷特性の改善は本発明において始めて分かったことであり、これらの材料の添加なくして本質的にリチウムイオンの媒体となり得る非フッ素化溶媒(従来溶媒)が極端に少ない本発明の様な不燃性電解液の負荷特性の飛躍的な向上は困難と考える。
【0093】
[実施例37〜39]
不燃溶媒と非水溶媒混合時の気液相図を測定した。
【0094】
[実施例37]
図12は不燃溶媒HFE7100と非水溶媒EMCの混合溶媒に関する気液相図である。この混合溶媒の場合、EMC混合割合が20容量%までは引火点がないことはすでに示したが、この混合割合では図12からこの混合溶媒の蒸気は93容積%以上が不燃溶媒HFE7100で占められており、蒸気の引火性が極めて低くなっていることが分かる。
【0095】
[実施例38]
図13はHFE7100とDMCの混合溶媒に関する気液相図である。この系の場合はDMCの蒸気圧がEMCよりも高く、また、沸点の差ΔT(B.P.)が30℃(DMCの沸点が90℃、HFE7100の沸点が60℃)でありHFE7100−EMC系のΔT(B.P.)約50℃よりも狭いためにDMCの混合割合が低い領域でのHFE7100の蒸気相中の容積%が低くなっている。このため、HFE7100−DMC系では引火点のない範囲がHFE7100−EMC系よりもせまくなっている。
【0096】
[実施例39]
図14はHFE7200とEMCの混合溶媒に関する気液相図である。この系の場合も、ΔT(B.P.)が約30℃で狭いために、EMCが多い範囲でのHFE7200の蒸気相中の容積%が低くなっている。さらに、HFE7200は分子中のF/H比が1.8 でHFE7100のF/H比が3よりも低いために、消火作用が低く、この系はEMCが20容量%と低い混合割合においても引火する。
【0097】
以上のことから、不燃性フッ素溶媒と可燃性溶媒との混合溶媒の不燃化は、フッ素溶媒の高い蒸気による窒息作用が寄与していると考えられる。そのため、フッ素溶媒との沸点の差ΔT(B.P.)が広いものほど引火点のなくなる範囲が広くなる。
【0098】
[実施例40〜43]
表7に示す組成の溶媒としてHFE7100にTGM(トリグライム)を混合した溶媒のリチウム塩、LiBETIの濃度に対する導電率の変化を調べた。
【0099】
これらの結果を、図15に示した。図示した様に、TGMの混合割合により導電率の極大点は高塩濃度側へ移行し、更に、それらの絶対値もTGMの混合割合にしたがって大きくなった。
【0100】
【表7】
Figure 0003726533
【0101】
[実施例44〜47]
表8に示す組成の溶媒としてHFE7100にDME(ジメトキシエタン)を混合した溶媒のリチウム塩,LiBETIの濃度に対する導電率の変化を調べた。
【0102】
これらの結果を、図16に示した。図示した様に、この系の場合もDMEの混合割合により導電率の極大点は高塩濃度側へ移行し、更に、それらの絶対値もDMEの混合割合にしたがって大きくなった。
【0103】
【表8】
Figure 0003726533
【0104】
[実施例48〜53]
表7に示す組成の溶媒としてHFE7100にDMEを20容量%混合した溶媒に実施例48:PC(プロピレンカーボネート),実施例49:CIEC(クロロエチレンカーボネート),実施例50:DMVC(4,5−ジメチルビニレンカーボネート),実施例51:EC(エチレンカーボネート),実施例52:BC(ブチレンカーボネート)及び実施例53:TFPC(トリフロロプロピレンカーボネート)を0.5 モル/リッター添加した溶液に、リチウム塩としてLiBETIを溶解した電解液のリチウム塩濃度に対する導電率の変化を調べた。
【0105】
この結果を図17に示す。図から分かる様に、これらの高誘電率の溶媒を HFE7100−DME系電解液に添加すると導電率の絶対値はやや低下するが、リチウム塩濃度に対する極大点は0.4M(モル/リッター)と高誘電率溶媒を添加しないHFE7100−DME系の極大値0.6Mに比べ低くなっている。即ち、高誘電率溶媒を添加することにより、高価なリチウム塩の必要量を低く抑えることができる。
【0106】
[実施例54〜56]
溶媒としてHFE7100に非水溶媒としてDMEを10容量%(実施例54),15容量%(実施例55),DMC10容量%とDME10容量%(実施例56)混合した際の電解液のリチウム塩(LiBETI)濃度に対する導電率の変化を調べた。この結果を図18に示す。
【0107】
HFE7100:DME=90:10の混合溶液では、リチウム塩が0.6Mまでしか溶解しなかったが、導電率は0.4Mで極大値0.55mS/cmを示した。これにDMCを混合し3溶媒系とすることによりDMCの混合割合とともに導電率が増加した。また、混合割合が10容量%(HFE7100:DMC:DME=80:10:10)の場合には導電率の極大値は0.8Mまでシフトし、1.15mS/cmを示した。
【0108】
[実施例57,58]
HFE7100に対して以下の混合割合で2種の非水溶媒を混合した電解液を作製し、リチウム塩濃度依存性を調べた。
【0109】
(実施例57):非水溶媒としてEMC15容量%,DME5容量%。
【0110】
(実施例58):非水溶媒としてEMC10容量%,DME10容量%。
【0111】
EMCを混合した場合も、DMCを混合した場合同様に、EMCの混合割合と共に導電率は増加した。しかし、EMCの場合には、HFE7100:EMC:DME=80:10:10容量%の組成において0.6M の塩濃度において導電率の極大値0.9mS/cmを与えた。
【0112】
[実施例59〜62]
HFE7100に1,3−ジオキソラン(DOL)を混合した系に関して同じ評価を行った。この結果を図19に示す。
【0113】
(実施例59):非水溶媒としてDMC10容量%,DOL10容量%。
【0114】
(実施例60):非水溶媒としてDME10容量%,DOL10容量%。
【0115】
DOLとDMCの混合では極大点が0.6Mで0.72mS/cmを示した。また、DOLとDMEの混合では極大点が0.8Mで0.68mS/cmを示した。
【0116】
(実施例61):HFE7100:DMC=80:20,(実施例62):
HFE7100:DEC=80:20にリチウム塩(LiBETI)の濃度を増加させた場合の導電率変化の極大点は0.8M で同じであった。いずれも容量比である。
【0117】
[実施例63〜66]
HFE7100−DEC系に関してDMEの混合効果を調べた。この結果を図20に示す。
【0118】
(実施例63):HFE7100:DEC=80:20,(実施例64):
HFE7100:DEC:DME=80:10:10,(実施例65):HFE7100:DEC:DME=80:15:5,(実施例66):HFE7100:DEC:DME=70:20:10の混合溶媒系に関してリチウム塩濃度に対する変化を調べた。いずれも容量比である。
【0119】
実施例64のDMEを10容量%混合した電解液では、導電率の極大点が0.6Mにシフトした。これまでのことから、DMEを10容量%程度他の非水電解液に混合すると導電率の極大点を低濃度にシフトする効果があることが分かった。
【0120】
[実施例67〜69]
HFE7100とDGM(ジグライム)の混合系に関して導電率を調べた。この結果を図21に示す。
【0121】
(実施例67):HFE7100:GDM=80:20,(実施例68):
HFE7100:GDM=70:30,(実施例69):HFE7100:GDM=60:40の混合溶媒系に関してリチウム塩濃度に対する導電率の変化を調べた。いずれも容量比である。
【0122】
DGMの場合は、20,30容量%の2成分混合系ではリチウム塩(LiBETI)は0.2Mまでしか溶解しなかった。また、40容量%でも0.4Mまでが溶解限界であった。但し、実施例69では2.7mS/cm と高い導電率を示した。
【0123】
[実施例70〜73]
HFE7100−DGMに第3の非水溶媒を混合した混合溶媒系に関してリチウム塩濃度に対する導電率変化を調べた。いずれも容量比である。
【0124】
(実施例70):HFE7100:GDM:DMC=80:10:10。
【0125】
(実施例71):HFE7100:GDM:DME=80:10:10。
【0126】
DMCやDME等の非水溶媒を混合することによって、DGMが10容量%と低い混合割合においても1M以上のリチウム塩溶解能力を得ることが分かった。
(実施例72):HFE7100:GDM:DMC=80:15:5。
【0127】
(実施例73):HFE7100:GDM:DME=80:15:5。
【0128】
実施例71,72で見られた効果は、DMCやDMEが5容量%では得られないことが分かった。これらのことから、DGMはリチウムイオンの解離性を促進する役割の溶媒として好適であることが分かる。
【0129】
[実施例74〜76]
HFE7100にTGM(トリグライム)を混合した混合溶媒系に関してリチウム塩濃度に対する導電率を調べた。この結果を図22に示す。いずれも容量比である。
【0130】
(実施例74):HFE7100:TGM=80:20。
【0131】
(実施例75):HFE7100:TGM=70:30。
【0132】
(実施例76):HFE7100:TGM=60:40。
【0133】
TGMの場合は2成分混合溶媒系でも、リチウム塩LiBETIは0.6M 以上溶解した。しかし、TGMの混合割合が40容量%に高くなると、やはり溶解の限界が存在することが分かった。
【0134】
[実施例77〜84]
HFE7100−TGM系に第3の非水溶媒を混合した場合の導電率を調べた。この結果を図23に示す。いずれも容量比である。
【0135】
(実施例77):HFE7100:TGM:DMC=80:15:5。
【0136】
(実施例78):HFE7100:TGM:DMC=80:10:10。
【0137】
TGMとDMCを混合した場合は、DMCの混合量に対して導電率は低下する傾向があることが分かった。また、HFE7100−TGM−DMC系では0.4Mから1.0M までのリチウム塩濃度に対する導電率の変化が平坦になり電池の特性上安定した特性が期待される。
【0138】
(実施例79):HFE7100:TGM:DME=80:15:5。
【0139】
(実施例80):HFE7100:TGM:DME=80:10:10。
【0140】
TGMとDMEを混合した場合には、0.6M のリチウム塩濃度において導電率の極大値を示した。また、これらの極大値はDMEの混合割合に関係なく1.7mS/cm程度で同じであった。更に、この数値はHFE7100:TGM=80:20の系の極大値1.35mS/cm よりもかなり高くなっており、DMEを混合することによってHFE7100−TGM系の導電率は高くすることができることが分かる。
【0141】
(実施例81):HFE7100:TGM:DGM=80:10:10。
【0142】
TGMとDGMを混合した場合には、リチウム塩は0.8M までしか溶解しなかった。但し、0.6M における導電率の極大値は1.55mS/cmでHFE7100:TGM=80:20の系の極大値1.35mS/cm よりも高くなっており、DGMを混合することによってもHFE7100−TGM系の導電率を高くすることができることが分かった。
【0143】
(実施例82)
電解液としてHFE7100:TGM:ClEC=80:15:5とした溶媒にリチウム塩を0.8M 溶解した溶液を用い、コバルト酸リチウムを正極材料に、黒鉛炭素を負極に用いた18650型の捲回電極−円筒型電池を作製した。
【0144】
(実施例83)
電解液としてHFE7100:TGM:PC=80:15:5とした溶媒にリチウム塩を0.8M 溶解した溶液を用い、上記と同じ電池を作製した。
【0145】
この電池の2回目の放電曲線を図24に示した。
【0146】
(実施例84)
電解液としてHFE7100:DME=90:10とした溶媒にリチウム塩を0.6M 溶解した溶液を用い、正極にマンガン酸リチウム、負極に非晶質炭素を用い、前述の実験セルを作製した。このセルの充放電サイクル試験結果を図25に示す。50サイクル後の容量低下率は最大初期容量の20%以内であった。
【0147】
[実施例85]
図26は実施例1〜84に記載のリチウム2次電池を用いた電気自動車の駆動システム構成を示す図である。
【0148】
通常のガソリン車と同じようにキースイッチを投入し、アクセルを踏むとアクセル踏み角度に応じて、電動機のトルクまたは回転を制御するようにしている。アクセルを戻したときには、エンジンブレーキに相当する回生ブレーキを動作させ、ブレーキ踏み込み時には回生ブレーキ力をさらに増加させている。シフトレバー信号では車の前進・後進切換えを行い、変速比は常に一定としている。制御方式としては、誘導電動機を用いたIGBTベクトル制御インバータ方式を採用し、電源電圧はIGBT耐電圧から336Vとした、本実施例では、出力を自動車としての動力性能(加速・登坂性能)から最大出力45kW,最大トルク176N・mとし、最高速度仕様から定格出力を30kWとした。主要制御項目としては、車の前進・後進制御,回生制御のほかに、フェイルセイフ制御を行うようにしている。
【0149】
電動機の小型・軽量化によって熱密度が大きくなるので、効率の良い冷却構造とすることが重要になる。一般的な空冷式では電動機の温度上昇が高くなるので、一般のエンジンと同しように水冷式にした。冷却水路は電動機本体を覆うアルミニウム製フレーム内に設け、温度上昇シミュレーションによって最適な形状とした。冷却水はフレームの水路の給水口から流入し、電動機本体の熱を吸収したのち排出され、循環経路中のラジエータによって冷却される。このような水冷構造とすることにより、冷却性能を空冷に対し3倍程度向上することができた。
【0150】
インバータは、パワー素子にはIGBTが使用されており、最高出力時は最大数キロワット程度の発熱がある。このほかにもサージ吸収用の抵抗,フィルタコンデンサなどからも発熱があり、これらの部品を許容温度以下に抑え、効率よく冷却することが必要である。特にIGBTの冷却が問題であり、冷却方式としては、空冷,水冷,油冷などが考えられる。ここでは、取り扱いが容易で効率の良い冷却ができる強制水冷方式とした。
【0151】
本実施例における電源としてリチウム2次電池においては図に示す保護回路が形成される。保護回路は過充電,過放電から電池を保護するものである。その保護回路は図27に示す様に各電池のセル電圧を調整するバランス補償回路からなるもので、各電池に設けられるものである。このバランス補償回路はマイクロコンピュータによってコントロールされる。従来のリチウム2次電池においては電解液が可燃性を有するので、サーミスタを各電池に設けて温度又は圧力検出し、それによって監視していたが、本実施例においては火点を電解液に接近させても炎がその液体に燃え移らない引火点を持たない不燃性のものであるので、特別な温度又は圧力の監視を要しないものにしたものである。それによって保護回路として安全機構を少なくすることができたものである。図26に示す様に過放電が検出されれば電源が自動的に開閉できるようになっている。
【0152】
本実施例は誘導電動機を用いた例を示したものであるが、図28に示す様に他に永久磁石型同期電動機及び直流分巻電動機を用いた電気自動車に対しても同様に用いることができるものである。図中、INV(Inverter:インバータ),IM(Induction Motor:誘導電動機),E(Encoder:エンコーダ),SM (Synchronus Motor:同期電動機),PS(Position Sensor:位置検出器),PWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調),DCM(DCMotor:直流電動機),CH(Chopper:チョッパ),N* :速度指令,T* :トルク指令。図において、各段落は制御方式,システム構成及び主要制御パラメータを示している。
[実施例86]
図5は実施例1〜84に記載のリチウム2次電池を用いた夜間電力の電力貯蔵システムを示す構成図である。本電力貯蔵システム例は2000kW×4h,セル容量1000Whとし、電池360個直列接続、24列並列接続の例を示したものである。本実施例においても実施例85と同様に過充電及び過放電から電池を保護する必要があり、図27に示す保護回路が監視・バランス補償回路を有するものである。
【0153】
本実施例においても前述と同様に電池が保護されるものである。
【0154】
本実施例は大容量の電力貯蔵を目的としたものであるが、家庭用のエアコンデショナー,電気温水器等においても有効である。
【0155】
【発明の効果】
本発明によれば、民生用途のリチウム2次電池から電力貯蔵用途や電気自動車用途の大容量リチウム2次電池を本質的に不燃化でき、抜本的に安全性の向上した信頼性の高い各種用途に応じたリチウム2次電池を提供できる。更に、従来この電池の安全性確保のためや更なる軽量化,小型化が期待できる。備えられている電池内の保護機構や外部の保護回路等を軽減ないし、ないものが得られる顕著な効果が達成できる。また、電解液が不燃性であることにより、製造現場に貯蔵できる電解液の量的な規制も緩和されるので、現在よりも多量の電解液を製造用にストックすることができ、製造の調整や在庫の調整等にも波及するメリットがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る不燃性電解液のリチウム塩濃度及び溶媒組成と導電率との関係を示す図である。
【図2】本発明の一実施例に係る不燃性電解液のリチウム塩の種類とそれらの塩濃度と導電率との関係を示す図である。
【図3】実施例19〜23に係る円筒型電池の縦断面図である。
【図4】実施例24〜28に係る円筒型大容量電池の縦断面図である。
【図5】引火点と可燃溶媒との関係を示す線図である。
【図6】実施例31に係る円筒型電池の縦断面図である。
【図7】実施例31の円筒型電池での負荷特性を示す図である。
【図8】実施例31の円筒型電池の高電流値放電における放電電圧曲線の比較を示す図である。
【図9】試験電池の縦断面図である。
【図10】実施例33〜36の各種添加溶媒の負荷特性の向上効果を示す図である。
【図11】本発明に係るLiPF6 無機リチウム塩添加量の負荷特性の向上効果を示す図である。
【図12】温度とEMC混合割合との関係を示す線図である。
【図13】温度とDMC混合割合との関係を示す線図である。
【図14】温度とEMC混合割合との関係を示す線図である。
【図15】導電質とLiBETI塩濃度との関係を示す線図である。
【図16】導電質とLiBETI塩濃度との関係を示す線図である。
【図17】導電質とLiBETI塩濃度との関係を示す線図である。
【図18】導電質とLiBETI塩濃度との関係を示す線図である。
【図19】導電質とLiBETI塩濃度との関係を示す線図である。
【図20】導電質とLiBETI塩濃度との関係を示す線図である。
【図21】導電質とLiBETI塩濃度との関係を示す線図である。
【図22】導電質とLiBETI塩濃度との関係を示す線図である。
【図23】導電質とLiBETI塩濃度との関係を示す線図である。
【図24】電池電圧と放電容量との関係を示す線図である。
【図25】電池容量とサイクル数との関係を示す線図である。
【図26】本発明に係る電気自動車の駆動システム構成図である。
【図27】本発明に係る保護回路図である。
【図28】本発明に係る電気自動車の制御システム図である。
【図29】本発明に係る電力貯蔵システム図である。
【符号の説明】
1…銅箔集電体、2…負極、3…負極端子、4…アルミ集電体、5…正極、6…正極端子、7,11…セパレーター、8…負極インシュレータ、9…負極及び負極活物質、10…正極及び正極活物質、12…内圧開放弁、13…電池正極蓋、14,19…電池缶、15…レーザ溶接部、16…絶縁板、17…負極リード、18…正極リード、20…正極蓋、21…正極インシュレータ、22…円形負極、23…円形正極、24…円形セパレーター、25…負極端子、26…正極端子、27…テフロン製締め付けネジ。

Claims (4)

  1. フッ素化溶媒としてメチルパーフロロブチルエーテルを65容量%以上含み、低双極子モーメントの溶媒としてジメチルカーボネート,エチルメチルカーボネート,ジエチルカーボネートの1つまたは複数を25容量%未満で含み、高双極子モーメントの溶媒としてエチレンカーボネート,プロピレンカーボネート,トリフロロプロピレンカーボネート,クロロエチレンカーボネート,ビニレンカーボネート,ブチレンカーボネート,ジメチルビニレンカーボネートの1つまたは複数を0.1〜10容量%で含み、有機リチウム塩としてLiN(SO2CF2CF3)2 を0.2〜1.2モル/リッター及び、無機リチウム塩としてLiPF6を0.005〜0.5モル/リッターを非水電解液に含むことを特徴とするリチウム2次電池。
  2. フッ素化溶媒としてメチルパーフロロブチルエーテルを65容量%以上含み、低双極子モーメントの溶媒としてジメチルカーボネート,エチルメチルカーボネート,ジエチルカーボネートの1つまたは複数を25容量%未満で含み、高双極子モーメントの溶媒としてエチレンカーボネート,プロピレンカーボネート,トリフロロプロピレンカーボネート,クロロエチレンカーボネート,ビニレンカーボネート,ブチレンカーボネート,ジメチルビニレンカーボネートの1つまたは複数を0.1 〜10容量%で含み、有機リチウム塩としてLiN(SO2CF2CF3)2を0.2〜1.2モル/リッター及び、無機リチウム塩としてLiPF6を0.005〜0.5 モル/リッターを含むことを特徴とするリチウム2次電池用非水電解液。
  3. 請求項に記載のリチウム2次電池を電源に用いた電気機器。
  4. 請求項において、電気自動車又は電力貯蔵装置に用いられることを特徴とする電気機器。
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