JP3725957B2 - 積層熱可塑性樹脂フィルムの製造方法 - Google Patents

積層熱可塑性樹脂フィルムの製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層構造の熱可塑性樹脂シート又はフィルムの製造方法に関し、得られたフィルム又はシートは食品、医薬品等の包装用に利用できる。
【0002】
【背景技術及び発明が解決しようとする課題】
図10に示すように、印刷された延伸フィルム51と、押出し成形された熱可塑性樹脂フィルム52とを直接積層して積層フィルム53を得る、押出しラミネーション技術がある。
即ち、押出機54のダイ55から溶融押出し成形された熱可塑性樹脂フィルム52は、フィルム52を冷却するように温度制御されたロール56の表面に密着されてこのロール56の回転と共に移動する。そして、印刷フィルム51が、この熱可塑性樹脂フィルム52上にシリコーンゴムロール57のガイドで重ね合わされて2層構造の積層フィルム53が製造される。なお、前記ロール56は、温度が例えば70℃、回転速度が例えば20m/min.とされている。
【0003】
このような従来の押出しラミネーション法によれば、積層フィルム53のフィルム51部分にしわが発生しやすいという問題がある。また、印刷フィルム51が延伸フィルムよりなる場合、収縮率が大きくなり、かつこの収縮率が一定の小さな範囲となるように制御することが困難である。このような問題は、特に印刷が等間隔のピッチ印刷の場合に顕著となる。更に、この押出しラミネーション法では、ラミネーション速度を上げた場合、延伸フィルム51と、熱可塑性樹脂フィルム52との間にエアを噛み込んだり、延伸フィルム51にしわが発生したりして良好な積層シート53が得られなくなる。
【0004】
このような問題点を解決するために、前記押出しラミネーション法の代わりに、供給ロールから繰り出されたフィルム同士を接着するドライラミネーション法を採用しているのが現状である。
しかし、このドライラミネーション法によれば、接着剤を使用するため、その接着剤の塗布及び溶剤乾燥のための機構が必要となって製造装置が大型化、複雑化し、かつ高価になるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、押出しラミネーションによって積層しても、積層された熱可塑性樹脂フィルム同士の接着強度が良好で、しかも積層時の収縮率を一定の小さな範囲に制御することができ、またしわの発生や印刷の乱れを防止できる積層熱可塑性樹脂フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1発明は、表面が弾性材で被覆された第1のロールと、第2のロールとの間に金属製エンドレスベルトが巻装され、前記金属製エンドレスベルトを介して第1のロールと接触する第3のロールが設けられた製造装置を使用した積層熱可塑性樹脂フィルムの製造方法であって、積層される複数の熱可塑性樹脂フィルムを、前記第1のロールと接触している前記金属製エンドレスベルトと、前記第3のロールとの間に導入し、前記第1と第3のロールの間の押圧力で前記弾性材を弾性変形させながら、前記第1と第3のロールとで前記複数の熱可塑性樹脂フィルムを面状に圧接して積層することを特徴とする。
【0007】
本発明において、金属製エンドレスベルト及びロールは、表面粗さが0.5S以下の鏡面であることが好ましい。
前記金属製エンドレスベルトの材質としては、ステンレス、炭素鋼、チタン合金等を使用できる。エンドレスベルトの厚さは任意であるが、強度的には0.3mm 以上が好ましい。
前記弾性材の材質としては、フッ素系ゴム、シリコーン系ゴム、EPDM、NBR等を使用できる。また、弾性材の厚さは、弾性変形して良好な面圧を得るため、3mm以上が好ましい。
【0008】
前記熱可塑性樹脂フィルムは、厚さのみが相対的に異なる熱可塑性樹脂シートであってもよい。
前記熱可塑性樹脂の種類は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ナイロン等任意である。
前記第1〜第3のロールには、冷却手段を設けておいてもよい。
【0009】
本発明では、前記弾性材の弾性変形を伴って複数の熱可塑性樹脂フィルムを面状に圧接して積層するため、積層された熱可塑性樹脂フィルム同士の接着強度が良好で、しかも積層時の収縮率を一定の小さな範囲に制御することができるようになる。また、しわの発生や印刷の乱れも防止できるようになる。
そして、本発明によれば、前記第1の熱可塑性樹脂フィルムが例えばピッチ印刷面を有する場合、ピッチ変動係数を2.5×10-3未満、かつピッチ変化率を1%未満に抑えることが可能になる。
【0010】
本発明の第2発明に係る積層熱可塑性樹脂フィルムの製造方法は、第1発明において、前記第3のロールが、前記金属製エンドレスベルトを抱き込むようにして設けられ、この金属製エンドレスベルトにより前記熱可塑性樹脂フィルムを前記第3のロールに面状圧接することを特徴とする。
本発明により、前記弾性材の弾性変形を伴った面状圧接に加えて、複数の熱可塑性樹脂フィルム同士の接着強度がより良好になる。
【0011】
本発明の第3発明に係る積層熱可塑性樹脂フィルムの製造方法は、第1又は第2発明において、冷却用のロールが、前記第1のロールと第2のロールに巻装された前記金属製エンドレスベルト内に設けられ、この冷却用のロールで前記第1のロールに向かう前記エンドレスベルトを冷却することを特徴とする。
本発明により、前記金属製エンドレスベルトの冷却効率を高めることができるようになる。
【0012】
本発明の第4発明は、表面が弾性材で被覆された第1のロールと第2のロールとの間に巻装された金属製エンドレスベルトと、第3のロールと第4のロールとの間に巻装された第2の金属製エンドレスベルトとが、積層される複数の熱可塑性樹脂フィルムを挟んで並走するように設けられた製造装置を使用した積層熱可塑性樹脂フィルムの製造方法であって、積層される複数の熱可塑性樹脂フィルムを、前記第1のロールと接触している前記第1の金属製エンドレスベルトと、前記第3のロールと接触している前記第2の金属製エンドレスベルトとの間に導入し、前記第1と第3のロールの間の押圧力で前記弾性材を弾性変形させながら、前記第1と第3のロールとで前記複数の熱可塑性樹脂フィルムを面状に圧接して積層することを特徴とする。
前記金属製エンドレスベルト、弾性材、ロール等についての条件は、第1発明の場合と同様である。
【0013】
本発明の第5発明に係る積層熱可塑性樹脂フィルムの製造方法は、第4発明において、前記第1と第2の金属製エンドレスベルトへの付圧手段が、これらの複数の熱可塑性樹脂フィルムを挟んで並走する区間において設けられ、前記付圧手段により前記複数の熱可塑性樹脂フィルムを面状に圧接することを特徴とする。前記付圧手段を設けることにより、前記弾性材の弾性変形を伴った面状圧接に加えて、複数の熱可塑性樹脂フィルム同士の接着強度がより良好になる。
【0014】
本発明の第6発明に係る積層熱可塑性樹脂フィルムの製造方法は、第5発明において、前記第1と第2の金属製エンドレスベルトへの付圧手段が、前記両金属製エンドレスベルトを挟んで配置された少なくとも一対のロールであることを特徴とする。
前記ロールの対の数は任意であり、第1と第2のロールの間の間隔に応じて決めればよい。
前記一対のロールは、両金属製エンドレスベルトを挟んで互いに対向するような位置に配置されていてもよく、又は両金属製エンドレスベルトを挟んで互いにずれた位置に配置されていてもよい。
【0015】
本発明の第7発明に係る積層熱可塑性樹脂フィルムの製造方法は、第5発明において、前記第1と第2の金属製エンドレスベルトへの付圧手段は、前記両金属製エンドレスベルトを前記第1と第2のロールの間又は前記第3と第4のロールの間に蛇行させるように配置されたロールであることを特徴とする。
前記両金属製エンドレスベルトを前記第1と第2のロールの間又は前記第3と第4のロールの間のいずれに蛇行させるように配置するかは任意であり、いずれの場合でも同じ付圧効果が得られる。
【0016】
本発明の第8発明に係る積層熱可塑性樹脂フィルムの製造方法は、第2〜第7発明のいずれかにおいて、前記弾性材の弾性変形を伴って前記積層熱可塑性樹脂フィルムを面状圧接する際の前記積層熱可塑性樹脂フィルムに対する面圧を0.1 〜20.0MPaとし、前記弾性材の弾性変形を伴わないで前記積層熱可塑性樹脂フィルムを面状圧接する際の前記積層熱可塑性樹脂フィルムに対する面圧を0.01〜 0.5MPaとすることを特徴とする。
【0017】
前記弾性材の弾性変形を伴った場合の面圧が0.1MPaより低い場合には、実質的に弾性変形の効果が見られなくなる。20.0MPaを超える場合には、破断等のベルト耐久性の問題や樹脂バンク発生の問題が生じやすくなり、加えて大きなベルト駆動力が必要となる。
前記弾性材の弾性変形を伴わない場合の面圧が0.01MPaより低い場合には、フィルムの蛇行を制御できなくなり、またロールとエンドレスベルト間の熱伝導性が不良となる。0.5MPaを超える場合には、破断等のベルト耐久性の問題が生じやすくなる。
【0018】
本発明の第9発明に係る積層熱可塑性樹脂フィルムの製造方法は、第1〜第8発明のいずれかにおいて、前記第1のロールの表面温度をT1(℃)、この第1のロールに接触する直前の前記金属製エンドレスベルトの温度をT2(℃)としたとき、T2≧T1−50とすることを特徴とする。
T2がT1−50℃より低い場合には、積極的な加熱プロセスとなって、熱効率上非常に不効率となる。
【0019】
本発明の第10発明に係る積層熱可塑性樹脂フィルムの製造方法は、第1〜第9発明のいずれかにおいて、前記弾性材は、その硬度(JIS K6301 A型に準拠)が95度以下であることを特徴とする。
前記硬度が95度より大きい場合には、弾性力が弱くなり、溶融押出しされた樹脂がロール又は金属製エンドレスベルトに接触する際に樹脂バンクが生じやすくなる。
一方、硬度が低すぎる場合には、ロールの変形が著しくなって、長期間使用する上では問題がある。好ましい下限は、例えば30度である。
【0020】
本発明の第11発明に係る積層熱可塑性樹脂フィルムの製造方法は、第10発明において、前記弾性材は、その硬度(JIS K6301 A型に準拠)が60度以下であることを特徴とする。
即ち、前記弾性材の硬度としては、60度以下が好ましい。
【0021】
本発明の第12発明に係る積層熱可塑性樹脂フィルムの製造方法は、第1〜第11発明のいずれかにおいて、前記積層される複数の熱可塑性樹脂フィルムが、第1と第2の熱可塑性樹脂フィルムよりなり、第1の熱可塑性樹脂フィルムは繰出し手段から供給された熱可塑性樹脂フィルムであり、第2の熱可塑性樹脂フィルムは溶融押出し手段から供給された熱可塑性樹脂フィルムであることを特徴とする。
【0022】
本発明は、押出しラミネーションによる製造方法である。
前記繰出し手段とは、成形された熱可塑性樹脂フィルムが巻装されているロール等を指す。
前記溶融押出し手段とは、溶融樹脂を押し出すダイを備えた押出機等である。
本発明によって、2層構造の積層熱可塑性樹脂フィルムが得られる。
【0023】
本発明の第13発明に係る積層熱可塑性樹脂フィルムの製造方法は、第1〜第12発明のいずれかにおいて、前記積層される複数の熱可塑性樹脂フィルムは、第1、第2及び第3の熱可塑性樹脂フィルムよりなり、第2と第3の熱可塑性樹脂フィルムは繰出し手段から供給された熱可塑性樹脂フィルムであり、第1の熱可塑性樹脂フィルムは前記第2と第3の熱可塑性樹脂フィルムに挟まれる、溶融押出し手段から供給された熱可塑性樹脂フィルムであることを特徴とする。
本発明によって、3層構造の積層熱可塑性樹脂フィルムが得られる。
【0024】
【発明の実施の形態】
〔第1実施形態〕
先ず、図1を参照して本実施形態に係る2層構造の積層熱可塑性樹脂フィルムの製造方法において使用する製造装置の構成を説明する。
【0025】
この製造装置は、第1の熱可塑性樹脂フィルム41を供給する押出機のTダイ12と、第1のロール13と第2のロール14との間に巻装された金属製エンドレスベルト15と、金属製エンドレスベルト15を介して第1のロール13と接触する第3のロール16と、第2のロール14の近傍に設けられた第4のロール17と、第2の熱可塑性樹脂フィルム42を供給する第1の供給ロール33とを備えて構成されている。
【0026】
前記第1のロール13は、その表面にフッ素ゴム等の弾性材18が被覆されている。この弾性材18は、その硬度(JIS K6301 A型に準拠)が95度以下、厚さが3mm以上のものである。
前記金属製エンドレスベルト15は、ステンレス等よりなり、表面粗さが0.5S以下の鏡面を有している。
第1と第2のロール13,14の少なくとも一方は、その回転軸19が回転駆動手段(図示せず)と連結されている。
【0027】
前記第3のロール16も、表面粗さが0.5S以下の鏡面を有している。そして、この第3のロール16は、その周面の一部に金属製エンドレスベルト15を抱き込むように、第1と第2のロール13,14間の金属製エンドレスベルト15が内側に窪む位置に配置されている。即ち、製造時において、金属製エンドレスベルト15とこのエンドレスベルト15上の積層された熱可塑性樹脂フィルム41,42は、第3のロール16の周面の一部に巻き付くようにして蛇行している。
【0028】
前記第4のロール17は、第1、第2の熱可塑性樹脂フィルム41,42がエンドレスベルト15を介して第2のロール14の外周面の一部に面状圧接されるように熱可塑性樹脂フィルム41,42をガイドするものである。
前記第1の供給ロール33は、この供給ロール33から繰り出された第2の熱可塑性樹脂フィルム42が金属製エンドレスベルト15と直接当接するように、第3のロール16に対して第1のロール13と同じ側に配置されている。
前記各ロール13,14,16には、表面の温度調整を可能とする水冷式等の温度調整手段(図示せず)が設けられている。
【0029】
次に、上記製造装置を使用した本実施形態の製造方法を説明する。
先ず、第1のロール13の表面温度をT1(℃)、この第1のロール13に接触する直前の金属製エンドレスベルト15の温度をT2(℃)としたとき、T2≧T1− 50となるように各ロール13,14,16の温度制御をしておく。
【0030】
そして、押出機のTダイ12より押し出された溶融状態の第1の熱可塑性樹脂フィルム41と第1の供給ロール33から繰り出された第2の熱可塑性樹脂フィルム42を、第1の熱可塑性樹脂フィルム41が第3のロール16側に当接し、第2の熱可塑性樹脂フィルム42が第1のロール13と接触しているエンドレスベルト15側に当接するようにして第1と第3のロール13,16の間に導入し、第1と第3のロール13,16とで両方の熱可塑性樹脂フィルム41,42を圧接して積層し、同時に冷却する。
【0031】
この際、弾性材18が第1と第3のロール13,16間の押圧力で圧縮されるようにして弾性変形し、弾性材18が弾性変形している両ロール13,16の中心からの角度θ1部分において熱可塑性樹脂フィルム41,42は、両ロール13,16による面状圧接状態となっている。この際の熱可塑性樹脂フィルム41,42に対する面圧は、0.1 〜20.0MPaである。
【0032】
引き続き、これらの積層された熱可塑性樹脂フィルム41,42を前記エンドレスベルト15で第3のロール16に対して圧接すると共に冷却する。エンドレスベルト15でこのロール16側に押圧された熱可塑性樹脂フィルム41,42は、ロール16の中心からの角度θ2でロール16に抱き込まれ、熱可塑性樹脂フィルム41,42は、この抱き角度θ2部分においてエンドレスベルト15と第3のロール16により面状に圧接されている。この際の熱可塑性樹脂フィルム41,42に対する面圧は、0.01MPa 〜0.5MPaである。
【0033】
次に、前記エンドレスベルト15上に積層された第1、第2の熱可塑性樹脂フィルム41,42をこのエンドレスベルト15の回動と共に第2のロール14に移動させる。ここで、これらの熱可塑性樹脂フィルム41,42をエンドレスベルト15を介して第2のロール14に対して圧接すると共に冷却して、本実施形態の2層構造の積層熱可塑性樹脂フィルム43を得る。
第4のロール17でガイドされてこのロール14側に押圧された熱可塑性樹脂フィルム41,42は、ロール14の中心からの角度θ3部分においてエンドレスベルト15に面状に圧接されている。この際の面圧は、0.01MPa〜0.5MPaである。
【0034】
本実施形態によれば、第1と第3のロール13,16の角度θ1部分において、弾性材18を弾性変形させながらロール13,16とエンドレスベルト15により熱可塑性樹脂フィルム41,42を面状圧接すると同時に冷却して、第1と第2の熱可塑性樹脂フィルム41,42を積層するため、積層された熱可塑性樹脂フィルム41,42同士の接着強度が良好となる。
また、押出機のTダイ12から溶融押出しされた第1の熱可塑性樹脂フィルム41は、鏡面を有する第3のロール16に対して圧接されるため、この熱可塑性樹脂フィルム41側の表面が平滑な積層熱可塑性樹脂フィルム43が得られる。
【0035】
更に、上記面状圧接と冷却に加えて、第3のロール16の抱き角度θ2部分におけるエンドレスベルト15とこのロール16による熱可塑性樹脂フィルム41,42の面状圧接と冷却、及び第2のロール14の抱き角度θ3部分におけるエンドレスベルト15とこのロール14による熱可塑性樹脂フィルム41,42の面状圧接と冷却も行うため、熱可塑性樹脂フィルム41,42同士の接着強度を更に良好にすることができる。
そして、本実施形態によれば、積層された熱可塑性樹脂フィルム41,42同士の接着強度が良好となって積層時の収縮率を一定の小さな範囲に制御できるため、しわの発生を防止できる。また、積層時の収縮率が小さいため、第2の熱可塑性樹脂フィルム42が印刷面を有する場合であっても印刷の乱れを防止できる。
【0036】
なお、本実施形態においては、図1に一点鎖線で示すように、前記金属製エンドレスベルト15内の第1のロール13の近傍に冷却用のロール32を設けておいてもよい。この冷却用のロール32により、第1のロール13に向かうエンドレスベルト15を予め冷却することができるため、エンドレスベルト15の冷却効率を高めることができる。
【0037】
また、図2に示すように、第1のロール13の近傍に第2の熱可塑性樹脂フィルム42をガイドするためのガイドロール34を設けておいてもよい。このガイドロール34は、エンドレスベルト15とで第2の熱可塑性樹脂フィルム42を挟むようにして設ける場合には、表面が弾性材18で被覆されたものを使用するのが好ましい。このガイドロール34により、第2の熱可塑性樹脂フィルム42のしわ取り効果が得られるため、しわのない積層熱可塑性樹脂フィルム43が得られる。
【0038】
更に、図3に示すように、本実施形態においては、前記実施形態に係る第4のロール17を設けないで製造装置を構成してもよい。
この製造装置を使用した積層熱可塑性樹脂フィルム43の製造方法は、第1と第3のロール13,16による角度θ1部分及び抱き角度θ2部分における熱可塑性樹脂フィルム41,42の面状圧接と冷却のみによって、第1と第2の熱可塑性樹脂フィルム41,42同士の充分な接着強度が得られる場合には適用できる。
【0039】
〔第2実施形態〕
図4を参照して本実施形態に係る2層構造の積層熱可塑性樹脂フィルムの製造方法において使用する製造装置の構成を説明する。
この製造装置は、前記第1実施形態の製造装置と比べて、第2の熱可塑性樹脂フィルム42を供給する第1の供給ロール33の配置場所が異なる。即ち、この第1の供給ロール33は、この供給ロール33から繰り出された第2の熱可塑性樹脂フィルム42が第3のロール16と直接当接するように、第1のロール13に対して第3のロール16と同じ側に配置されている。
【0040】
この製造装置を使用した本実施形態の製造方法おいては、エンドレスベルト15と第3のロール16に対する第1と第2の熱可塑性樹脂フィルム41,42の位置関係が上記第1実施形態の場合と逆になるだけであり、それ以外は第1実施形態と同様である。
本実施形態によっても、第1実施形態と同様に、接着強度の良好な積層熱可塑性樹脂フィルム43が得られる。
また、本実施形態の場合、溶融押出しされた第1の熱可塑性樹脂フィルム41は、鏡面を有する金属製エンドレスベルト15に対して圧接されて、この熱可塑性樹脂フィルム41側の表面が平滑な積層熱可塑性樹脂フィルム43が得られる。
【0041】
なお、本実施形態においても、前記金属製エンドレスベルト15内の第1のロール13の近傍に冷却用のロール32を介在させておいてもよい。
また、図5に示すように、第3のロール16の近傍に第2の熱可塑性樹脂フィルム42をガイドするためのガイドロール34を設けておいてもよい。
【0042】
〔第3実施形態〕
図6を参照して本実施形態に係る3層構造の積層熱可塑性樹脂フィルムの製造方法において使用する製造装置の構成を説明する。
この製造装置は、前記第1実施形態の製造装置に対して、第3の熱可塑性樹脂フィルム43を供給する第2の供給ロール35が加わったものである。この第2の供給ロール35は、第3の熱可塑性樹脂フィルム43が第1の熱可塑性樹脂フィルム41を挟んで第2の熱可塑性樹脂フィルム42の裏側に位置するように第3のロール16側に配置されている。
【0043】
この製造装置を使用した本実施形態の製造方法においては、Tダイ12より押し出された溶融状態の第1の熱可塑性樹脂フィルム41、第1の供給ロール33から繰り出された第2の熱可塑性樹脂フィルム42及び第2の供給ロール35から繰り出された第3の熱可塑性樹脂フィルム43を、第2の熱可塑性樹脂フィルム42が第1のロール13と接触しているエンドレスベルト15側に当接し、第3の熱可塑性樹脂フィルム43が第3のロール16側に当接し、第1の熱可塑性樹脂フィルム41がこれらの熱可塑性樹脂フィルム42,43の間に挟まれるようにして第1と第3のロール13,16の間に導入する。そして、第1と第3のロール13,16の角度θ1部分において、これらの熱可塑性樹脂フィルム41,42,43を面状に圧接して積層し、同時に冷却する。
【0044】
この後、第1実施形態と同様にして、抱き角度θ2部分におけるエンドレスベルト15と第3のロール16による熱可塑性樹脂フィルム41,42,43の面状圧接と冷却、及び抱き角度θ3 部分におけるエンドレスベルト15と第2のロール14による熱可塑性樹脂フィルム41,42,43の面状圧接と冷却を行って、本実施形態に係る3層構造の積層熱可塑性樹脂フィルム45を製造する。
本実施形態によれば、3層構造の積層熱可塑性樹脂フィルム45について、接着強度を良好にできる、等の第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0045】
〔第4実施形態〕
図7を参照して本実施形態に係る2層構造の積層熱可塑性樹脂フィルムの製造方法において使用する製造装置の構成を説明する。
この製造装置は、第1の熱可塑性樹脂フィルム41を供給する押出機のTダイ12と、第1のロール21と第2のロール22との間に巻装された第1の金属製エンドレスベルト23と、第3のロール24と第4のロール25との間に巻装された第2の金属製エンドレスベルト26と、エンドレスベルト23,26への付圧手段として設けられた2対のロール28,29と、第2の熱可塑性樹脂フィルム42を供給する第1の供給ロール33とを備えて構成されている。
【0046】
前記第1のロール21は、その表面にフッ素ゴム等の弾性材18が被覆されている。この弾性材18は、その硬度(JIS K6301 A型に準拠)が95度以下、厚さが3mm以上のものである。
前記第1と第2の金属製エンドレスベルト23,26は、第1と第2のロール21, 22間及び第3と第4のロール24,25間において、第1と第2の熱可塑性樹脂フィルム41,42を挟んで並走するように設けられている。これらのエンドレスベルト23,26は、それぞれステンレス等よりなり、表面粗さが0.5S以下の鏡面を有している。
【0047】
前記付圧手段となる2対のロール28,29は、第1と第2のロール21,22間及び第3と第4のロール24,25間の略中間において両エンドレスベルト23,26を挟んで対向するようにして設けられている。上下のロール28,29間には、多少間隔があいている。なお、対となっている各ロール28,29は、対向させないで互いにずらせて配置してもよい。
【0048】
前記第1の供給ロール33は、この供給ロール33から繰り出された第2の熱可塑性樹脂フィルム42が第2の金属製エンドレスベルト26と当接するように、第1のロール21に対して第3のロール24と同じ側に配置されている。なお、第1の供給ロール33を第1のロール21と同じ側に配置しても構成上同じである。
前記各ロール21,22,24,25には、表面の温度調整を可能とする水冷式等の温度調整手段(図示せず)が設けられている。
【0049】
次に、この製造装置を使用した本実施形態の製造方法を説明する。
先ず、第1と第3のロール21,24の表面温度をT1(℃)、これらのロール21, 24に接触する直前の金属製エンドレスベルト23,26の温度をT2(℃)としたとき、T2≧T1−50となるように各ロール21,22,24,25の温度制御をしておく。
【0050】
そして、押出機のTダイ12より押し出された溶融状態の第1の熱可塑性樹脂フィルム41と第1の供給ロール33から繰り出された第2の熱可塑性樹脂フィルム42を、第1の熱可塑性樹脂フィルム41が第1のロール21と接触しているエンドレスベルト23側に当接し、第2の熱可塑性樹脂フィルム42が第3のロール24と接触しているエンドレスベルト26側に当接するようにして第1と第3のロール21,24の間に導入し、第1と第3のロール21,24とで両方の熱可塑性樹脂フィルム41,42を圧接して積層し、同時に冷却する。
【0051】
この際、弾性材18が第1と第3のロール21,24間の押圧力で圧縮されるようにして弾性変形し、弾性材18が弾性変形している両ロール21,24の中心からの角度θ1部分において熱可塑性樹脂フィルム41,42は、両ロール21,24によって面状に圧接されている。この際の熱可塑性樹脂フィルム41,42に対する面圧は、0.1〜 20.0MPaである。
【0052】
引き続き、両エンドレスベルト23,26が並走する区間において、付圧手段となる2対のロール28,29で両エンドレスベルト23,26に挟まれた熱可塑性樹脂フィルム41,42を圧接すると共に冷却する。上下のロール28,29間における両エンドレスベルト23,26で挟まれた熱可塑性樹脂フィルム41,42は、対のロール28,29の押圧力によって面状に圧接されている。この際の熱可塑性樹脂フィルム41,42に対する面圧は、0.01MPa〜0.5MPaである。
【0053】
次に、前記積層された熱可塑性樹脂フィルム41,42を両エンドレスベルト23,26の回動と共に第2と第4のロール22,25の間に移動させ、これらのロール22,25 でエンドレスベルト23,26を介して積層された熱可塑性樹脂フィルム41,42を圧接すると共に冷却して本実施形態の2層構造の積層熱可塑性樹脂フィルム43を製造する。この際の熱可塑性樹脂フィルム41,42に対する面圧は、0.1〜20.0MPaである。
【0054】
本実施形態によれば、第1と第3のロール21,24の角度θ1部分において、弾性材18を弾性変形させながらロール21,24とエンドレスベルト23,26により熱可塑性樹脂フィルム41,42を面状圧接すると同時に冷却して、第1と第2の熱可塑性樹脂フィルム41,42を積層するため、積層された熱可塑性樹脂フィルム41,42同士の接着強度が良好となる。
また、上記面状圧接と冷却に加えて、両エンドレスベルト23,26が並走する区間において、付圧手段となる2対のロール28,29で積層された熱可塑性樹脂フィルム41,42を圧接すると共に冷却するため、熱可塑性樹脂フィルム41,42同士の接着強度を更に良好にすることができる。
【0055】
〔第5実施形態〕
図8を参照して本実施形態に係る2層構造の積層熱可塑性樹脂フィルムの製造方法において使用する製造装置の構成を説明する。
この製造装置は、第4実施形態と比べて、エンドレスベルト23,26への付圧手段及び第5のロール27が異なる。
【0056】
即ち、前記エンドレスベルト23,26への付圧手段は、ロール31を備え、第3と第4のロール24,25間の略中間においてこのロール31が両金属製エンドレスベルト23,26を第3と第4のロールロール24,25間側に蛇行させるように配置されている。このロール31も冷却機能を有している。
前記第5のロール27は、第4のロール25の近傍に、積層された熱可塑性樹脂フィルム41,42がこのロール27の外周面の一部に抱き込まれるようにして設けられている。
【0057】
この製造装置を使用した本実施形態の製造方法において、第1と第3のロール21,24による第1と第2の熱可塑性樹脂フィルム41,42の面状圧接と冷却は、第4実施形態と同様である。
そして、積層された熱可塑性樹脂フィルム41,42が第1と第3のロール21,24側から第2と第4のロール22,25側に移動する際、第2のエンドレスベルト26により前記ロール31側に押圧された熱可塑性樹脂フィルム41,42は、角度θ2でロール31に抱き込まれ、この抱き角度θ2部分においてエンドレスベルト23,26に挟まれた熱可塑性樹脂フィルム41,42は、ロール31側に面状に圧接される。この際の熱可塑性樹脂フィルム41,42に対する面圧は、0.01〜0.5MPaである。
【0058】
この後、第5のロール27で第4のロール25側に押圧された熱可塑性樹脂フィルム41,42は、ロール25の中心からの抱き角度θ3部分においてエンドレスベルト26を介した第4のロール25に面状に圧接されている。この際の面圧は、0.01MPa〜 0.5MPaである。
【0059】
本実施形態によれば、第4実施形態と同様の効果が得られることに加えて、抱き角度θ3部分においても熱可塑性樹脂フィルム41,42が面状に圧接されるため、熱可塑性樹脂フィルム41,42同士の接着強度を更に良好にすることができる。
【0060】
〔第6実施形態〕
図9を参照して本実施形態に係る3層構造の積層熱可塑性樹脂フィルムの製造方法において使用する製造装置の構成を説明する。
この製造装置は、前記第4実施形態の製造装置に対して、第3の熱可塑性樹脂フィルム43を供給する第2の供給ロール35が加わったものである。この第2の供給ロール35は、第3の熱可塑性樹脂フィルム43が第1の熱可塑性樹脂フィルム41を挟んで第2の熱可塑性樹脂フィルム42の裏側に位置するように第1のロール21側に配置されている。
また、第5のロール27が第5実施形態と同様に設けられている。
【0061】
この製造装置を使用した本実施形態の製造方法においては、Tダイ12より押し出された溶融状態の第1の熱可塑性樹脂フィルム41、第1の供給ロール33から繰り出された第2の熱可塑性樹脂フィルム42及び第2の供給ロール35から繰り出された第3の熱可塑性樹脂フィルム43を、第2の熱可塑性樹脂フィルム42が第3のロール24と接触しているエンドレスベルト26側に当接し、第3の熱可塑性樹脂フィルム43が第1のロール21と接触しているエンドレスベルト23側に当接し、第1の熱可塑性樹脂フィルム41がこれらの熱可塑性樹脂フィルム42,43の間に挟まれるようにして第1と第3のロール21,24の間に導入する。そして、第1と第3のロール13,16 の角度θ1部分において、これらの熱可塑性樹脂フィルム41,42,43を面状に圧接して積層し、同時に冷却する。
【0062】
この後、上記実施形態と同様にして、積層された熱可塑性樹脂フィルム41,42,43に対して2対のロール28,29で面状に圧接し、また抱き角度θ3 部分においても面状に圧接して本実施形態に係る3層構造の積層熱可塑性樹脂フィルム45を製造する。
本実施形態によれば、3層構造の積層熱可塑性樹脂フィルム45について、接着強度を良好にできる、等の第4実施形態と同様の効果が得られる。
【0063】
【実施例】
〔実施例1〕
上記第1実施形態において、製造装置及び製造方法の具体的条件を下記の通りとした。
第1〜第3のロールの直径…1000mm。
第1のロールの弾性材…シリコーンゴム、厚さ10mm、硬度40度。
第1のロールの表面温度…40℃。
第2のロールの表面温度…45℃。
第3のロールの表面温度…35℃。
金属製エンドレスベルト…厚さ1.0 、速度30m/min 。
第1のロールに接触する直前のエンドレスベルトの温度…50℃。
【0064】
抱き角度θ1部分における面圧…0.49MPa。
抱き角度θ2及びθ3部分における面圧…0.098MPa。
第1の熱可塑性樹脂フィルム…ポリスチレンフィルム〔出光石油化学株式会社製出光スチロールET63(HIPS)〕。
ダイから押し出された第1の熱可塑性樹脂フィルムの温度… 230℃。
第2の熱可塑性樹脂フィルム…ポリスチレンフィルム〔大倉工業株式会社製オークラセロマーS−2〕、厚さ30μm 、1mm方眼印刷品。
第2の熱可塑性樹脂フィルムの張力…49N/m幅。
積層熱可塑性樹脂フィルム…厚さ0.3mm 、幅1200mm。
【0065】
〔実施例2〕
実施例1の製造方法において、第1と第2の熱可塑性樹脂フィルムの原料のみを変えた。
即ち、使用した樹脂は、第1の熱可塑性樹脂フィルムがポリプロピレンフィルム〔出光石油化学株式会社製出光ポリプロF-205S〕、第2の熱可塑性樹脂フィルムがポリプロピレンフィルム〔出光石油化学株式会社製出光ラックス(登録商標)フィルムRS-512、無延伸フィルム、厚さ30μm 〕である。
【0066】
〔実施例3〕
実施例1の製造方法において、第1のロールの弾性材を下記の通りとし、第1と第2の熱可塑性樹脂フィルムとしては実施例2と同じものを使用した。
第1のロールの弾性材…NBR、厚さ20mm、硬度80度。
【0067】
〔実施例4〕
上記第4実施形態において、製造装置及び製造方法の具体的条件を実施例1と同様にした。
【0068】
〔比較例1〕
従来の製造装置(図10参照)を使用して積層熱可塑性樹脂フィルムを製造した。使用した樹脂の種類は、実施例1と同じである。
【0069】
前記実施例1〜4及び比較例1について、得られた積層熱可塑性樹脂フィルムの印刷面についてピッチ変動係数とピッチ変化率を求め、また接着強度と外観を評価した。それらの結果を下記の表1に示す。
【0070】
前記ピッチ変動係数は、積層熱可塑性樹脂フィルムのTD方向(幅方向)とMD方向(移動方向)の印刷ピッチ及び平均印刷ピッチを測定し、各方向の印刷ピッチの標準偏差Sを求め、各方向の値をそれぞれ下記式に当てはめて求めた。
【0071】
【数1】
Figure 0003725957
【0072】
前記ピッチ変化率は、第1の熱可塑性樹脂フィルムのTD方向及びMD方向の平均印刷ピッチと、積層熱可塑性樹脂フィルムのTD方向及びMD方向の平均印刷ピッチを測定し、各方向の値をそれぞれ下記式に当てはめて求めた。
【0073】
【数2】
Figure 0003725957
【0074】
前記積層熱可塑性樹脂フィルムの接着強度の評価は、積層熱可塑性樹脂フィルムの第1の熱可塑性樹脂フィルム側にカッターナイフで約5mm四方のます目状の切れ目を入れ、このます目状の切れ目に粘着テープを貼り、貼った方向とは逆方向に引っ張った際にます目状の切れ目が剥離するかどうかを観察することにより行った。
前記外観の評価は、目視でしわ、印刷ピッチのずれ、印刷の乱れ等があるかどうかを観察することにより行った。
【0075】
なお、表の接着強度の欄で、○は切れ目の剥離なし、×は切れ目の剥離あり、を意味する。
また、外観の欄で、○は、しわ、印刷ピッチのずれ、印刷の乱れ等の不良なし、×は、しわ、印刷ピッチのずれ、印刷の乱れ等の不良あり、を意味する。
【0076】
【表1】
Figure 0003725957
【0077】
表1より、実施例1〜4によれば、第1と第3のロール13,16、21,24の角度θ1 部分において、弾性材18を弾性変形させながらロール13,16、21,24とエンドレスベルト15、23,26により熱可塑性樹脂フィルム41,42を面状圧接すると同時に冷却して、第1と第2の熱可塑性樹脂フィルム41,42を積層するため、得られた積層熱可塑性樹脂フィルム43は、いずれもピッチ変動係数が2.5×10-3未満、かつピッチ変化率が1%未満であり、印刷ピッチのずれや印刷の乱れは殆ど生じていないことがわかる。
【0078】
また、接着強度に関して、いずれの実施例も切れ目の剥離が見られず、積層された第1、第2の熱可塑性樹脂フィルム41,42同士の接着強度が良好である。
また、外観に関して、いずれもしわ、印刷ピッチのずれ、印刷の乱れ等がなく、問題ないことがわかる。
【0079】
一方、比較例1によれば、弾性材の弾性変形を伴った第1と第2の熱可塑性樹脂フィルムの積層ではないため、接着強度に関しては問題がなくても、ピッチ変動係数とピッチ変化率が大きく、印刷ピッチのずれや印刷の乱れが生じている。また、外観的にも、印刷ピッチのずれや印刷の乱れが目立つことがわかる。
【0080】
【発明の効果】
本発明に係る積層熱可塑性樹脂フィルムの製造方法によれば、押出しラミネーションによって積層しても、積層された熱可塑性樹脂フィルム同士の接着強度が良好で、しかも積層時の収縮率を一定の小さな範囲に制御することができる。また、しわの発生や印刷の乱れを防止できる
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る積層熱可塑性樹脂フィルムの製造方法で使用する製造装置の概略図である。
【図2】第1実施形態に係る製造装置の他の形態を示す概略図である。
【図3】第1実施形態に係る製造装置の更に他の形態を示す概略図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る積層熱可塑性樹脂フィルムの製造方法で使用する製造装置の概略図である。
【図5】第2実施形態に係る製造装置の他の形態を示す概略図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る積層熱可塑性樹脂フィルムの製造方法で使用する製造装置の概略図である。
【図7】本発明の第4実施形態に係る積層熱可塑性樹脂フィルムの製造方法で使用する製造装置の概略図である。
【図8】本発明の第5実施形態に係る積層熱可塑性樹脂フィルムの製造方法で使用する製造装置の概略図である。
【図9】本発明の第6実施形態に係る積層熱可塑性樹脂フィルムの製造方法で使用する製造装置の概略図である。
【図10】従来の積層熱可塑性樹脂フィルムの製造方法で使用する製造装置の概略図である。
【符号の説明】
13,21 第1のロール
14,22 第2のロール
15 金属製エンドレスベルト
16,24 第3のロール
17,25 第4のロール
18 弾性材
23 第1の金属製エンドレスベルト
26 第2の金属製エンドレスベルト
28,29,31 付圧手段であるロール
41 第1の熱可塑性樹脂フィルム
42 第2の熱可塑性樹脂フィルム
43 2層構造の積層熱可塑性樹脂フィルム
44 第3の熱可塑性樹脂フィルム
45 3層構造の積層熱可塑性樹脂フィルム

Claims (13)

  1. 表面が弾性材で被覆された第1のロールと、第2のロールとの間に金属製エンドレスベルトが巻装され、前記金属製エンドレスベルトを介して第1のロールと接触する第3のロールが設けられた製造装置を使用した積層熱可塑性樹脂フィルムの製造方法であって、
    積層される複数の熱可塑性樹脂フィルムを、前記第1のロールと接触している前記金属製エンドレスベルトと、前記第3のロールとの間に導入し、
    前記第1と第3のロールの間の押圧力で前記弾性材を弾性変形させながら、前記第1と第3のロールとで前記複数の熱可塑性樹脂フィルムを面状に圧接して積層することを特徴とする積層熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
  2. 前記第3のロールは、前記金属製エンドレスベルトを抱き込むようにして設けられ、この金属製エンドレスベルトにより前記熱可塑性樹脂フィルムを前記第3のロールに面状圧接することを特徴とする請求項1に記載の積層熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
  3. 冷却用のロールが、前記第1のロールと第2のロールに巻装された前記金属製エンドレスベルト内に設けられ、この冷却用のロールで前記第1のロールに向かう前記エンドレスベルトを冷却することを特徴とする請求項1又は2に記載の積層熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
  4. 表面が弾性材で被覆された第1のロールと第2のロールとの間に巻装された金属製エンドレスベルトと、第3のロールと第4のロールとの間に巻装された第2の金属製エンドレスベルトとが、積層される複数の熱可塑性樹脂フィルムを挟んで並走するように設けられた製造装置を使用した積層熱可塑性樹脂フィルムの製造方法であって、
    積層される複数の熱可塑性樹脂フィルムを、前記第1のロールと接触している前記第1の金属製エンドレスベルトと、前記第3のロールと接触している前記第2の金属製エンドレスベルトとの間に導入し、
    前記第1と第3のロールの間の押圧力で前記弾性材を弾性変形させながら、前記第1と第3のロールとで前記複数の熱可塑性樹脂フィルムを面状に圧接して積層することを特徴とする積層熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
  5. 前記第1と第2の金属製エンドレスベルトへの付圧手段が、これらの複数の熱可塑性樹脂フィルムを挟んで並走する区間において設けられ、前記付圧手段により前記複数の熱可塑性樹脂フィルムを面状に圧接することを特徴とする請求項4に記載の積層熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
  6. 前記第1と第2の金属製エンドレスベルトへの付圧手段は、前記両金属製エンドレスベルトを挟んで配置された少なくとも一対のロールであることを特徴とする請求項5に記載の積層熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
  7. 前記第1と第2の金属製エンドレスベルトへの付圧手段は、前記両金属製エンドレスベルトを前記第1と第2のロールの間又は前記第3と第4のロールの間に蛇行させるように配置されたロールであることを特徴とする請求項5に記載の積層熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
  8. 前記弾性材の弾性変形を伴って前記積層熱可塑性樹脂フィルムを面状圧接する際の前記積層熱可塑性樹脂フィルムに対する面圧を0.1〜20.0 MPaとし、前記弾性材の弾性変形を伴わないで前記積層熱可塑性樹脂フィルムを面状圧接する際の前記積層熱可塑性樹脂フィルムに対する面圧を0.01〜0.5MPaとすることを特徴とする請求項2〜7のいずれかに記載の積層熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
  9. 前記第1のロールの表面温度をT1(℃)、この第1のロールに接触する直前の前記金属製エンドレスベルトの温度をT2(℃)としたとき、T2≧T1−50とすることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の積層熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
  10. 前記弾性材は、その硬度(JIS K6301 A型に準拠)が95度以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の積層熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
  11. 前記弾性材は、その硬度(JIS K6301 A型に準拠)が60度以下であることを特徴とする請求項10に記載の積層熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
  12. 前記積層される複数の熱可塑性樹脂フィルムは、第1と第2の熱可塑性樹脂フィルムよりなり、第1の熱可塑性樹脂フィルムは繰出し手段から供給された熱可塑性樹脂フィルムであり、第2の熱可塑性樹脂フィルムは溶融押出し手段から供給された熱可塑性樹脂フィルムであることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の積層熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
  13. 前記積層される複数の熱可塑性樹脂フィルムは、第1、第2及び第3の熱可塑性樹脂フィルムよりなり、第2と第3の熱可塑性樹脂フィルムは繰出し手段から供給された熱可塑性樹脂フィルムであり、第1の熱可塑性樹脂フィルムは前記第2と第3の熱可塑性樹脂フィルムに挟まれる、溶融押出し手段から供給された熱可塑性樹脂フィルムであることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の積層熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
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