JP3725007B2 - 対数変換型画素構造およびそれを用いた固体撮像装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高感度な対数変換型画素構造およびそれを用いた固体撮像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、各画素毎に信号増幅機能を持たせて、増幅させた光電流を走査回路によって読み出す増幅型の固体撮像装置が提案されている。特に、画素および周辺の駆動回路や信号処理回路をCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)とした、CMOS型イメージセンサが知られている。
【0003】
CMOS型の固体撮像装置では、1画素内に光電変換部、増幅部、画素選択部等を形成する必要があるため、通常、フォトダイオード(PD)からなる光電変換部の他に、数個のMOSトランジスタ(T)が用いられる。
【0004】
図9に、PD+3T方式の固体撮像装置における1画素の構成を示す(馬渕他、「1/4インチVGA対応33万画素CMOSイメージセンサ」、映像情報メディア学会技術報告、IPU97−13,1997年3月)。ここで、1はフォトダイオード、8はリセット部(MOSトランジスタ)、3は増幅部(MOSトランジスタ)、4は画素選択部(MOSトランジスタ)、5は信号線Vsig、φRSTはリセットクロック、φSELは画素選択クロック、VDは電源電位を表す。
【0005】
この固体撮像装置においては、まず、リセット部8のMOSトランジスタがリセット動作によりフォトダイオード1を電源電位VDにリセットした後、入射光hνによって発生した信号電荷が蓄積される。電荷の蓄積に伴って、リセット部(MOSトランジスタ)8のソース電位VSがVDから低下し、その低下量は入射光強度と蓄積期間に比例する。従って、蓄積期間が一定の場合には、VSの変化量は入射光強度に比例し、その値を増幅部3のMOSトランジスタで増幅した後、画素選択部4のMOSトランジスタで選択して信号線5に読み出す。
【0006】
以上の動作から明らかなように、この構成では信号が入射光強度に比例するために充分強い光量が入射すると飽和してしまい、ダイナミックレンジを広く取ることができないという問題があった。
【0007】
そこで、入射光のダイナミックレンジを広く取るために、光電流を対数圧縮して読み出す方法が提案されている(特表平7−506932号公報、特開平9−298386号公報等)。
【0008】
図10に、この例を1画素の回路構成で示す。なお、以下ではnチャンネル型の場合について説明するが、pチャンネル型の場合についても極性を逆にすることにより同様に実現することができる。ここで、1はフォトダイオード、3は増幅部(MOSトランジスタ)、4は画素選択部(MOSトランジスタ)、5は信号線Vsig、φSELは画素選択クロック、VDは電源電位を表す。図9に示した構成と大きく異なる点は、フォトダイオード1の光電流IPを対数変換するためのMOSトランジスタ2が設けられていることである。この構成では、常に光電流に応じたVS電位に自動的にシフトされ、蓄積動作は行われないので、リセット動作は不要である。
【0009】
上記MOSトランジスタ2の動作について、以下に詳述する。図11はMOSトランジスタ2のポテンシャル関係を説明するための図である。図10に示したように、MOSトランジスタ2のゲート電位VGは電源電位VDに固定されているため、MOSトランジスタ2のチャンネル部のポテンシャルは一定値φG(H)となる。MOSトランジスタ2のソース電位VSがφG(H)よりも深くなると、MOSトランジスタ2は弱反転動作、すなわちサブスレッショルド領域の動作となる。このときの電流IDは、ゲート下のチャンネル部におけるソース端電荷濃度からドレイン端電荷濃度への拡散電流Idifとなる。ソース端電荷濃度およびドレイン端電荷濃度は、ゲートとソースのポテンシャル差VS−φGおよびゲートとドレインのポテンシャル差VD−φGに依存し、下記式(1)で表される(例えばC.Mead,”Analog VLSI and Neural Systems”,Addison−Wesley,1989))。なお、以下の説明では、基板電位を基準電位(GND)としている。
【0010】
Figure 0003725007
ここで、I0は定数、qは電子電荷、kはボルツマン定数、Tは絶対温度である。また、αは定義からゲート絶縁膜の厚みとチャンネルの不純物濃度に依存するが、一般的に1よりもやや小さい値である。
【0011】
上記式(1)において、q(VD−VS)/kT≫1であるので、最後の()内(1−exp[−q(αVD−VS)/kT])は1と近似することができる。よって、
log(ID)=[−q(αVG−VS)/kT]+const.・・・(2)
と近似することができる。
【0012】
図10において、MOSトランジスタ2のゲート電位VGは一定値VDであるので、上記式(2)からVSとlog(ID)は比例関係となる。
【0013】
また、以下の理由によって、MOSトランジスタ2のソース電位VSはIDが光電流IPに等しくなるように変化する。すなわち、IP>IDの場合には、VSの電位が下がり、MOSトランジスタ2のVG−VSが大きくなってIDが増大する。一方、IP<IDの場合には、VSの電位が上がり、MOSトランジスタ2のVG−VSが大きくなってIDが減少する。その結果、IP=IDにおいて安定することになり、VSはlog(IP)に比例することになり、言い換えると、光電流を対数変換した値になる。この関係を図12に示す。
【0014】
図12において、横軸にαVG−VSを取り、縦軸にlog(ID)を取ると、MOSトランジスタ2が弱反転動作状態では、上記式(1)および上記式(2)から、αVG−VS<αVth(閾値電位)の範囲でlog(ID)と比例関係が得られる。
【0015】
すなわち、対数変換可能な光電流の上限Imaxは、αVG−VS=αVthのときに得られる。一方、対数変換可能な光電流の下限Iminは、フォトダイオードの暗電流で制約される(例えばY.P.Tsividis,”Operationand Modeling of the MOSTransistor”,McGraw−Hill,1988)。ここで、Imaxはほぼ一定値となるので、対数変換可能な光電流の範囲(ダイナミックレンジ)は、フォトダイオードの暗電流により制限されることになる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記図10に示した構造では、以下のような問題がある。フォトダイオードの暗電流は、接合界面の電界強度に強く依存し、電界が高くなるに従って急激に増大する。この接合界面の電界強度は、接合面の濃度勾配と接合部にかかるバイアス電圧とに依存する。また、図10に示した構造の場合、フォトダイオードのバイアス電圧VJはVSとなる。
【0017】
図13に、フォトダイオードのバイアス電圧VJと暗電流Idarkとの関係を示す。図10の構造の場合には、バイアス電圧VJが図11に示すようにゲート下のチャンネル部のポテンシャルφG(H)よりも深い領域であるVS(H)となるので、そのときの暗電流Idark(H)は図13に示すように高い値になってしまう。
【0018】
さらに、nチャンネル型の場合を例にとると、通常のCMOSプロセスでは、画素構造は図14に示すように、P型低濃度基板10内の比較的高濃度なウェル11内に高濃度のN+層12、13を形成する。ここで、12はフォトダイオードのN型領域であり、13はMOSトランジスタのソース領域またはドレイン領域であり、通常は同じ層に形成される。なお、14は素子分離用の酸化膜である。
【0019】
すなわち、通常の形成方法ではフォトダイオードの接合界面の濃度勾配が高くなる。このため、フォトダイオードの接合界面の電界強度が高くなって、暗電流は一層大きくなる。
【0020】
本発明は、このような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、フォトダイオードの暗電流を大幅に低下させて対数変換可能な光電流の下限を拡大することにより、感度の向上とダイナミックレンジの拡大を図ることができる対数変換型画素構造およびそれを用いた固体撮像装置を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明の対数変換型画素構造は、フォトダイオードからなる光電変換部と、該フォトダイオードにソースが接続され、電源にドレインが接続された第一MOSトランジスタからなり、該フォトダイオードの光電流を対数変換するための対数変換部と、該フォトダイオードおよび該第一MOSトランジスタのソースにゲートが接続されていると共に、該第一MOSトランジスタのドレインにドレインが接続された第二MOSトランジスタを含み、該フォトダイオードの光電流を該第一MOSトランジスタで変換した信号を読み出す読み出し手段とを備えた対数変換型画素構造において、該第一MOSトランジスタのゲートが、電源電位と接地電位との間の電位に固定されており、そのことにより上記目的が達成される。
【0022】
前記第一MOSトランジスタのゲート電位は、ソース接地における閾値電位よりも高く、かつ、電源電位よりも充分低い値であるのが好ましい。
【0023】
前記第二MOSトランジスタはデプレッション型であるのが好ましい。
【0024】
前記フォトダイオードを構成する拡散領域の少なくとも一部領域が低不純物濃度領域内に形成されているのが好ましい。
【0025】
本発明の固体撮像装置は、本発明の対数変換型画素構造からなる複数の画素を備え、前記読み出し手段は画素を選択するためのスイッチ素子を備え、該スイッチ素子を介して前記第二MOSトランジスタのドレインが信号線と接続されており、そのことにより上記目的が達成される。
【0026】
以下、本発明の作用について説明する。
【0027】
本発明にあっては、フォトダイオードの光電流を対数変換するための第一MOSトランジスタのゲートが、電源電位と接地電位との間の電位に固定されているので、フォトダイオードのバイアス電圧が従来構造よりも低い値に設定される。上述の図13に示したように、暗電流はフォトダイオードのバイアス電圧に依存するので、暗電流を低減して対数変換可能な光電流の下限を拡大することが可能となる。
【0028】
特に、ゲート電位を電源電位よりも充分低くして、後述する実施形態1において図2に示すように、ソース接地における閾値電位よりもわずかに高い値にした場合、フォトダイオードのバイアス電圧が基準電位である接地電位GNDよりもわずかに高い値になる。よって、暗電流を大幅に低減して対数変換可能な光電流の下限を拡大することが可能となる。
【0029】
この場合、第一MOSトランジスタで対数変換された出力信号の電圧レベルが低下し、第二MOSトランジスタの動作範囲から外れるおそれがある。よって、後述する実施形態2に示すように、第二MOSトランジスタをデプレッション型にすることにより、入力範囲を低電圧側にシフトすることができるため、動作範囲を維持することができる。
【0030】
さらに、後述する実施形態3に示すように、フォトダイオードを構成する拡散領域の少なくとも一部領域を、低不純物濃度領域内に形成することにより、接合界面の濃度勾配を低減することができる。これにより、フォトダイオードの電界強度を低くする効果が増え、暗電流を一層低減することが可能となる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、ここでもnチャンネル型の場合について説明するが、pチャンネル型の場合についても極性を逆にすることにより同様に実現することができる。
【0032】
(実施形態1)
図1は、実施形態1の対数変換型画素構造について、1画素の構成を示す回路ブロック図である。ここで、1はフォトダイオード、2はフォトダイオード1の光電流IPを対数変換するための第一MOSトランジスタ、3は増幅用の第二MOSトランジスタ、4は画素選択用の第三MOSトランジスタ、5は信号線Vsig、φSELは画素選択クロック、VDは電源電位を表す。この構成において、読み出し手段は第二MOSトランジスタ3、第三MOSトランジスタ4、画素選択クロックで構成される。
【0033】
これらは図10に示した従来の画素構造と同じであるが、本実施形態の画素構造では、第一MOSトランジスタ2のゲート電位VGが電源電位VDではなく、VDを抵抗r1とr2で分圧した、
G=VD・r2/(r1+r2) ・・・(3)
となっている。
【0034】
このVGの値は、第一MOSトランジスタ2のソース接地における閾値電位(VTH)と同等ないしそれよりもやや高い値(例えば閾値電位よりも0.5V程度まで高い値)に設定するのが望ましい。
【0035】
その理由について、以下に説明する。図2は第一MOSトランジスタ2のポテンシャル関係を説明するための図である。図1に示したように、第一MOSトランジスタ2のゲート電位VGは電源電位VDよりも充分低い値に固定されているため、第一MOSトランジスタ2のチャンネル部のポテンシャルは一定値φG(L)となる。第一MOSトランジスタ2のソース電位VSがφG(L)よりも深くなると、第一MOSトランジスタ2は弱反転動作、すなわちサブスレッショルド領域の動作となる。このときの電流IDは、ゲート下のチャンネル部におけるソース端電荷濃度からドレイン端電荷濃度への拡散電流Idifとなり、上記式(1)で表される。そして、VSとlog(ID)との関係は、上記式(2)に表すように比例関係となる。
【0036】
ここで、図2は上記図11と同様であるが、図2ではソース電位VSの基準電位である接地電位GND(基板電位)からの差が図11に比べて非常に小さくなっている。この関係を図3に示す。図3において、横軸はゲート電圧VGを表し、縦軸はそのポテンシャルφGを表す。φG=0となるVGはソース接地時の閾値(VTH)である。
【0037】
図11の場合にはVG=VD=VG(H)であるのでVS(H)>φG(H)となり、フォトダイオード1の接合部にかかるバイアス電位VJ=VSが高い値となる。これに対して、図2の場合にはVG=VTH+Δ=VG(L)(但し、Δは小さい電圧値)であるのでVS(L)>φG(L)となり、フォトダイオード1の接合部にかかるバイアス電位VJ=VSが低い値となる。
【0038】
フォトダイオード1の暗電流は、図13に示したように、バイアス電位VJ=ソース電圧VSに強く依存する。本実施形態では、ソース電圧VSをVS(H)からVS(L)に大きく低減することができるので、暗電流IdarkをIdark(H)からIdark(L)に大きく低下させることができる。
【0039】
このようなフォトダイオード1の暗電流の低減に伴って、図12に示したように、対数変換可能な光電流の下限がImin1からImin2に大幅に拡大し、感度が向上する。さらに、対数変換可能な光電流の範囲としてのダイナミックレンジがD2からD1に拡大する。
【0040】
なお、本実施形態ではスイッチ素子として第三MOSトランジスタを設けたが、PチャネルMOSトランジスタとNチャネルMOSトランジスタとを相補的に形成したCMOSスイッチ素子を用いることも可能である。このことは以下の実施形態についても同様である。
【0041】
(実施形態2)
図4は、実施形態2の対数変換型画素構造について、1画素の構成を示す回路ブロック図である。
【0042】
図1に示した実施形態1の画素構造との違いは、第二MOSトランジスタを通常のエンハンスメント型トランジスタ3からデプレッション型トランジスタ6に変更している点である。なお、図4では、動作説明を容易にするために、信号線5と接地部との間に負荷用MOSトランジスタ7を接続しているが、この負荷用MOSトランジスタ7は図1の構成でも同様に設けられるものである。
【0043】
図4において、画素選択用の第三MOSトランジスタ4がオン状態になると、増幅用の第二MOSトランジスタ6と負荷用MOSトランジスタ7との間でソースフォロワ回路が構成される。その入出力特性を図5に示す。
【0044】
図5において、(A)は第二MOSトランジスタがエンハンスメント型3の場合を示し、(B)は第二MOSトランジスタがデプレッション型6の場合を示す。
【0045】
実施形態1に示したように、第一MOSトランジスタのソース電圧VSがVS(H)からVS(L)に大きく低下する場合、第二MOSトランジスタが従来のようにエンハンスメント型(A)のままでは正常な動作範囲から逸脱してしまう。そこで、第二MOSトランジスタをデプレッション型(B)に変更することにより、ソース電圧VSがVS(L)に低下しても正常な動作範囲に入ることになる。
【0046】
(実施形態3)
図6は、実施形態3の対数変換型画素構造について、1画素の構成を示す回路ブロック図である。
【0047】
図14に示した一般的な画素構造との違いは、フォトダイオードのN型領域(拡散領域)12を比較的高濃度なウェル11内ではなく、P型低濃度基板10内に形成した点である。なお、MOSトランジスタのソース領域またはドレイン領域13は、図14と同様に比較的高濃度なウェル11内に形成されている。
【0048】
以下に、図6に示した本実施形態の対数変換型画素構造の作製方法について、図14に示した画素構造と比較しながら説明する。なお、図7の(a−1)〜(c−1)は本実施形態の画素構造の作製工程について示し、図7の(a−2)〜(c−2)は一般的な画素構造の作製工程について示す。
【0049】
まず、図7の(a−1)および(a−2)に示すように、P型基板10にP型の高濃度なウェル11を形成するためのP型イオン注入を行う。このとき、本実施形態では、フォトダイオード形成部をレジスト20で覆ってイオン注入を行う。これにより、点線で示す領域にイオンが注入される。次に、図7の(b−1)および(b−2)に示すように、フォトダイオードのN型領域12およびMOSトランジスタのソース領域およびドレイン領域13を形成するためのN+イオン注入を行う。これにより、図7の(c−1)および(c−2)に示したような構造が得られる。なお、ここではフィールド酸化膜14を形成後にウェル11形成用のイオン注入を行っているが、ウェル形成用のイオン注入後にフィールド酸化膜14を形成後にウェル11形成用のイオン注入を行ってもよい。
【0050】
この構造によれば、フォトダイオードの接合界面での濃度勾配を大部分の領域で低くすることができる。その結果、フォトダイオードの電界強度をさらに低減して、暗電流を一層小さくすることが可能となる。なお、上記図6では、フォトダイオードの全領域で接合界面での濃度勾配が低くなっている。しかし、ウェル形成用のP型イオン注入領域がその後の熱処理工程で横方向(図の左右方向)に拡散すると、フォトダイオードの周辺領域がP型のウェルで覆われ、ウェルに覆われていないのが一部領域になる。このような場合には、フォトダイオードの接合界面での濃度勾配が低い領域が図6よりも少なくなることがある。
【0051】
(実施形態4)
図8は、本発明の対数変換画素構造を複数設けた固体撮像装置の構成例を示す図である。この固体撮像装置は、マトリクス配列された各画素に共通のVG発生回路を有しており、21はr1とr2によりVDを分圧した電圧VGインピーダンス変換(ゲイン1)するボルテージフォロワ用アンプを示す。なお、ここでは第二MOSトランジスタとして実施形態1に示したようなエンハンスメント型トランジスタ3を設けているが、実施形態2に示したようなディプレッション型トランジスタ6を設けてもよい。
【0052】
この固体撮像装置は、φSELによって横方向の画素列1行単位で、スイッチ素子である第三MOSトランジスタ4が同時にON状態になり、信号線Vsig5に接続される。このスイッチ動作は垂直方向に順次移動していく。
【0053】
この固体撮像装置によれば、本発明の対数変換型画素構造を有する画素を用いているので、上記実施形態1〜実施形態3で説明したように、高感度で広ダイナミックレンジの固体撮像装置を実現することができる。
【0054】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、フォトダイオードのバイアス電圧が低い値、例えば基準電位である接地電位GNDよりもわずかに高い値になるので、暗電流が大幅に低減され、対数変換可能な光電流の下限が拡大される。よって、感度が向上すると共に、低照度側のダイナミックレンジの拡大を図ることができる。
【0055】
この場合、対数変換された出力の電圧レベルが低下し、第二MOSトランジスタの動作範囲から外れるおそれがあるので、第二MOSトランジスタをデプレッション型にするのが好ましい。この場合、第二MOSトランジスタの入力範囲を低電圧側にシフトすることができるため、動作範囲を維持することができる。
【0056】
さらに、フォトダイオードを構成する拡散領域の少なくとも一部を、低不純物濃度領域内に形成することにより、接合界面の濃度勾配を低減することができ、フォトダイオードの電界強度を低くする効果が増える。よって、暗電流を一層低減することが可能となる。
【0057】
従って、本発明によれば、極めて高感度で広ダイナミックレンジの固体撮像装置を実現することが可能となり、本発明の実用上の効果は絶大なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1の対数変換型画素構造について、1画素の構成を示す回路ブロック図である。
【図2】実施形態1の対数変換型画素構造における第一MOSトランジスタのポテンシャル関係を説明するための図である。
【図3】実施形態1の対数変換型画素構造におけるゲート電圧VGとそのポテンシャルφGとの関係を示す図である。
【図4】実施形態2の対数変換型画素構造について、1画素の構成を示す回路ブロック図である。
【図5】実施形態1および実施形態2の対数変換型画素構造について、第二MOSトランジスタの入出力特性を示す図である。
【図6】実施形態3の対数変換型画素構造について、1画素の構成を示す断面図である。
【図7】(a−1)〜(c−1)は実施形態3の対数変換型画素構造の作製工程を説明するための断面図であり、(a−2)〜(c−2)は従来の対数変換型画素構造の作製工程を説明するための断面図である。
【図8】実施形態4の固体撮像装置の構成を示す回路ブロック図である。
【図9】従来の線形変換型画素構造について、1画素の構成を示す回路ブロック図である。
【図10】従来の対数変換型画素構造について、1画素の構成を示す回路ブロック図である。
【図11】従来の対数変換型画素構造におけるMOSトランジスタのポテンシャル関係を説明するための図である。
【図12】対数変換型画素構造における対数変換特性を説明するための図である。
【図13】フォトダイオードの暗電流特性とバイアス電圧との関係を説明するための図である。
【図14】一般的な対数変換型画素構造について、1画素の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 フォトダイオード
2 対数変換部(第一MOSトランジスタ)
3 増幅部(エンハンスメント型の第二MOSトランジスタ)
4 画素選択部(第三MOSトランジスタ)、
5 信号線Vsig
6 増幅部(デプレッション型の第二MOSトランジスタ)
7 負荷用MOSトランジスタ
8 リセット部(MOSトランジスタ)
10 P型低濃度基板
11 高濃度なウェル
12 フォトダイオードのN型領域
13 MOSトランジスタのソース領域またはドレイン領域
14 素子分離用の酸化膜
20 レジスト
21 ボルテージフォロワ用アンプ
φRST リセットクロック
φSEL 画素選択クロック
D 電源電位

Claims (5)

  1. フォトダイオードからなる光電変換部と、
    該フォトダイオードにソースが接続され、電源にドレインが接続された第一MOSトランジスタからなり、該フォトダイオードの光電流を対数変換するための対数変換部と、
    該フォトダイオードおよび該第一MOSトランジスタのソースにゲートが接続されていると共に、該第一MOSトランジスタのドレインにドレインが接続された第二MOSトランジスタを含み、該フォトダイオードの光電流を該第一MOSトランジスタで変換した信号を読み出す読み出し手段と
    を備えた対数変換型画素構造において、
    該第一MOSトランジスタのゲートが、電源電位と接地電位との間の電位に固定されている対数変換型画素構造。
  2. 前記第一MOSトランジスタのゲート電位は、ソース接地における閾値電位よりも高く、かつ、電源電位よりも充分低い値である請求項1に記載の対数変換型画素構造。
  3. 前記第二MOSトランジスタはデプレッション型である請求項1または請求項2に記載の対数変換型画素構造。
  4. 前記フォトダイオードを構成する拡散領域の少なくとも一部領域が低不純物濃度領域内に形成されている請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の対数変換型画素構造。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の対数変換型画素構造からなる複数の画素を備え、前記読み出し手段は画素を選択するためのスイッチ素子を備え、該スイッチ素子を介して前記第二MOSトランジスタのソースが信号線と接続されている固体撮像装置。
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