JP3724872B2 - ハンドルロック装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はハンドルロック装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ハンドルロック装置としては、特開平4−260885号公報「車両のステアリングロツク装置」が知られている。
この技術は、同公報図1に示される通り、鍵穴22及びタンブラ−24を備えたシリンダ20と、このシリンダ20と一体的に回動しロックバ−52を出し入れするためのクランク部34を備えた作動軸33とをハウジング12に収納し、これらシリンダ20と作動軸33との間に回転自在な回転子57を設けて、シリンダ20にドリルで孔が開けられた場合に、ドリルが回転子57に当って空転し、それ以上の切削作業を不可能にするものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来技術では、鍵穴22にはさみやドライバーを挿入し、無理に回したりシリンダ20の軸方向に大きな力で衝撃を加えると、ダンブラー24が破損し、シリンダ20と一体に作動軸33が回動し、ロックバー52が移動してハンドルロックが解除する虞れがある。
本発明の目的は、シリンダを無理に回そうとしたり、シリンダ軸方向にたたき込んでも、ロックを解除することが困難なハンドルロック装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の請求項1は、クランク軸を、キー挿入孔を備えるシリンダ部と、このシリンダ部と回転方向の結合・非結合可能なクランク部との2部品から構成し、シリンダ部に、クリックボールが入る球形凹部と、この球形凹部のクランク軸端面側に設けた周溝と、球形凹部と周溝とをつなぐガイド溝とを有し、クランク部に、クリ ックボールを保持するセット部と、クランク軸に対してシリンダ部をクランク軸端面側に付勢するばねとを有し、通常はシリンダ部とクランク部とが結合し、クランク軸が大きな力で押込まれたときにシリンダ部とクリックボールとの当接部位が、球形凹部からガイド溝を介して周溝に移動し、シリンダ部とクランク部との結合が解除される。
【0005】
シリンダ部が軸方向にたたき込まれたときに、クリックボールが球形凹部からガイド溝を介して周溝に移動することにより、シリンダ部とクランク部との結合が解除され、シリンダ部を回しても回転はクランク部に伝わらない。また、シリンダ部とクランク部とは、クリックボールが球形凹部へ収まることにより、再度結合することができる。
【0006】
請求項2は、請求項1のシリンダ部に大きな力で回されたときに破断するヒューズ溝を外周に備えた。
【0007】
シリンダ部が大きな力で回されたときにヒューズ溝が破断し、クランク部を回動することができなくなる。また、シリンダ部が軸方向にたたき込まれたときにシリンダ部とクランク部との結合がクリックボールの周溝への移動によって解除され、シリンダ部を回しても回転はクランク部に伝わらない。また、シリンダ部とクランク部とはクリックボールが球形凹部に収まることにより再度結合することができる。
【0008】
請求項3は、シリンダ部とクランク部とを再結合させる工具を挿入するために、錠外筒に工具挿入窓を設け、クランク部に工具挿入穴を設けた。
錠外筒の工具挿入窓及びクランク部の工具挿入穴に工具を挿入することで、工具でシリンダ部をクランク部に対して移動させることができ、シリンダ部とクリックボールとの当接部位を、周溝からガイド溝を介して球形凹部に移動せることができて、シリンダ部とクランク部とを再結合させることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係るハンドルロック装置を備えた自動二輪車のフロント部分の斜視図であり、自動二輪車1は、図示せぬフレームの前部に取付けたステアリングヘッド2と、このステアリングヘッド2に図示せぬハンドルポストを介して揺動可能に取付けたフロントフォーク3と、このフロントフォーク3端部に取付けたホイール付きフロントタイヤ4と、このフロントタイヤ4上部を覆うフロントフェンダ5と、フロントフォーク3を一体的に揺動するハンドル6と、このハンドル6左右に取付けたクラッチレバー7、フロントブレーキレバー(不図示)並びにバックミラー11,11(右側は省略)と、ハンドル6左右端に取付けたグリップ12,12とを備える。
【0010】
そして、自動二輪車1は、ステアリングヘッド2前部に取付けた、前から後に順に風防13、スピードメータ14及びタコメータ15、ハンドルロック装置16(図3参照)付きメインスイッチ17と、ステアリングヘッド2後部のフレーム上部に取付けた燃料タンク18と、この燃料タンク18下方のフレームに取付けたエンジン19と、このエンジン19前部から取出したエキゾーストパイプ19aとを備える。
【0011】
図2は本発明に係るハンドルロック装置付きメインスイッチの平面図であり、メインスイッチ17は、上面にキー孔23aと、キーの回動位置を示すOFF、ON、PUSH及びLOCKの表示を有する。
【0012】
キーがOFF位置にあるときは、エンジン19(図1参照)は停止状態、ハンドル6(図1参照)はアンロック状態にある。この位置でキーを差込むことができる。
キーをON位置にすると、エンジン19は始動可能になる。ここで、スタータスイッチをオンにしてエンジン19を始動する。ハンドル6はもちろんアンロック状態にある。
【0013】
ハンドル6をロックする場合は、まず、図1において、ハンドル6を左又は右一杯に切り、この状態でメインスイッチ17のキーをOFF位置で押込み、図2において、反時計回りにLOCK位置まで回す。このLOCK位置でキーは下方からの付勢力で上方の元の高さ位置に戻り、ハンドルロックが完了する。このLOCK位置では、キーを引き抜くことができる。
【0014】
図3は図2の3−3線断面図であり、キーがLOCK位置にある状態を示す。
メインスイッチ17は、上部のハンドルロック装置16と、図示せぬ下部のイグニッションスイッチ部とからなる。
ハンドルロック装置16は、車体に取付けた錠外筒21と、この錠外筒21の中間部に上下動可能に収納したシリンダリング22と、錠外筒21上部に回動並びに上下動可能に収納したキーガイド23と、シリンダリング22の上部に配置してキーガイド23を上方に付勢するコイルばね24と、キーガイド23の下方のシリンダリング22に回動並びに上下動可能に取付けたクランク軸30と、このクランク軸30によりロック又はアンロック状態となるロックピン25とからなる。
【0015】
錠外筒21は、内径部にスプライン穴部21aを有する。
シリンダリング22は、スプライン軸であり、錠外筒21のスプライン穴部21aに上下動可能に嵌合する。
キーガイド23は、キーを挿入するためのキー孔23aを有する。
【0016】
クランク軸30は、キーガイド23下部内径部に上部を嵌合するシリンダ部31と、このシリンダ部31と回転方向の結合・非結合可能なクランク部32とからなる。
【0017】
シリンダ部31は、キー挿入孔31aにキーを挿入することにより引き込まれてシリンダリング22との上下動・回動の係合を解除するタンブラ31b…(…は複数個を示す。以下同様。)と、タンブラ31b上方の外周面に形成したヒューズ溝31cと、球形凹部31e…と、球形凹部31eの上方に形成した周溝31fと、各球形凹部31e…と周溝31fとをつなぐガイド溝31g…と、工具挿入穴31hとを有する。
【0018】
クランク部32は、シリンダ部31の球形凹部31e…に入るクリックボール32a…と、シリンダ部31とでクリックボール32a…を把持するセットスプリング32bと、このセットスプリング32b下部に一体的に取付けロックピン24を出し入れするためのクランク32cと、シリンダ部31を上方に付勢するコイルばね32dとからなる。
【0019】
図4は本発明に係るクランク軸の分解斜視図であり、クランク軸30は、シリンダ部31と、クランク部32とからなり、クランク部32は、クリックボール32a…と、セットスプリング32bと、クランク32cと、コイルばね32dとからなる。
ここで、ブレーカ機構40を、図に示すシリンダ部31下部と、クリックボール32a…と、コイルばね32dと、セットスプリング32bとから構成する。
【0020】
シリンダ部31は、下部外周面にクリックボール32a…が入る球形凹部31e…と、この球形凹部31e…の上方に形成した周溝31fと、これら球形凹部31e…及び周溝31fの間に形成したテーパ部31iに、球形凹部31e…と周溝31fとをつないでクリックボール32aが当接するシリンダ部31が容易に上下動するためのガイド溝31g…と、後述する工具挿入穴31hとを有する。
【0021】
セットスプリング32bは、底部32eを有し上方を開口する円筒に複数の切欠きを設けて形成した起立部32f…を備え、この起立部32f…の内周面にそれぞれ球形凹部32g…(2カ所は省略)を有する。この起立部32f…は径方向に弾性作用を有する。
クリックボール32aは、通常は、シリンダ部31の球形凹部31e…とセットスプリング32bの球形凹部32g…とに保持され、且つセットスプリング32bの弾性力によってシリンダ部31側に押圧されて、シリンダ部31とクランク部32とを回動方向に結合する。
【0022】
以上に述べたハンドルロック装置の作用を次に説明する。
図5(a),(b)は本発明に係るシリンダ軸上部の作用を説明する斜視図であり、(a)はシリンダ部の回動前の状態、(b)はシリンダ部を無理廻しした状態を示す。
(a)において、ハンドル6(図1参照)をロックした場合には、シリンダ部31からタンブラ31b…が突出し、シリンダリング22(図3参照)と係合してクランク軸30の回動を阻止する。
【0023】
(b)において、シリンダ部のキー挿入孔31aにキー以外のはさみやドライバー等の異形物D(図6参照)を挿入し、大きな力(トルク=T1)で無理に廻した場合に、このトルクT1が最も低強度のヒューズ溝31cの破断トルクを越えると、ヒューズ溝31c部分で破断する。
【0024】
図6(a),(b)は本発明に係るクランク軸の作用を説明する断面図であり、(a)はクランク軸を押込む前の状態、(b)はクランク軸を異形物でたたいて押し込んだ状態を示す。
(a)において、シリンダ部31とクランク部32とはクリックボール32a…によって結合し、この状態でキーガイド23のキー孔23aからキーをシリンダ部31のキー挿入孔31aに差込んで、この図に示すLOCK位置から図2に示したOFF位置に廻せば、クランク部32はシリンダ部31と一体に回動し、クランク32cが図の左方に移動しロックピン25が同様に左方に移動してハンドルロックが解除する。
【0025】
(b)において、キー孔23aからキー以外のはさみやドライバー等の異形物Dを挿入し、大きな力でたたき込んだ場合には、まず、キーガイド23が沈み込み、キーガイド23がシリンダ部31に当接した後、シリンダ部31及びシリンダリング22が沈み込み、シリンダ部31は、セットスプリング32b内に押込まれ、これに伴って、シリンダ部31とセットスプリング32bの球形凹部32g…に保持されたクリックボール32a…との当接部位は、球形凹部31e…からガイド溝31g…、周溝31fに移動する。即ち、シリンダ部31とクランク部32との結合が解除される。
従って、たたき込んだ後にシリンダ部31を廻しても、クランク部32は廻らずハンドルロックを解除することはできない。
【0026】
図7(a),(b)は本発明に係るクランク軸の再結合の作用を説明する側面図であり、(a)は図6(b)に示したクランク軸が非結合の状態、(b)はクランク軸が再結合した状態を示す。
(a)において、ハンドルロック装置16は、錠外筒21の側面にクランク軸30の再結合のための工具挿入窓21bを有する。
クランク軸30が非結合の状態では、工具挿入窓21bの下部にシリンダ部31に開けた工具挿入穴31hが臨める。
【0027】
(b)において、(a)の状態からクランク軸30を結合状態にするには、工具挿入窓21bから図示せぬ専用工具を工具挿入穴31hに挿入し、上方にシリンダ部31を固定されるまで持ち上げる。これで、クリックボール32a…の当接位置がシリンダ部31の周溝31f、ガイド溝31g…と移行して最後に球形凹部31e…に収まり、図6(a)に示したようにクランク軸30のシリンダ部31とクランク部32は再結合する。
【0028】
尚、本発明のハンドルロック装置は、実施例の自動二輪車に限るものではなく、自動三・四輪車、電動車、作業車等に採用できる。
【0029】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1のハンドルロック装置は、クランク軸を、キー挿入孔を備えるシリンダ部と、このシリンダ部と回転方向の結合・非結合可能なクランク部との2部品から構成し、シリンダ部に、クリックボールが入る球形凹部と、この球形凹部のクランク軸端面側に設けた周溝と、球形凹部と周溝とをつなぐガイド溝とを有し、クランク部に、クリックボールを保持するセット部と、クランク軸に対してシリンダ部をクランク軸端面側に付勢するばねとを有し、通常はシリンダ部とクランク部とが結合し、クランク軸が大きな力で押込まれたときにシリンダ部とクリックボールとの当接部位が、球形凹部からガイド溝を介して周溝に移動し、シリンダ部とクランク部との結合が解除されるので、シリンダ部が軸方向にたたき込まれたときにシリンダ部とクランク部との結合が、クリックボールが球形凹部からガイド溝を介して周溝に移動することにより、解除され、シリンダ部を回しても回転はクランク部に伝わらない。また、シリンダ部とクランク部とは、クリックボールが球形凹部へ収まることにより、再度結合することができる。
【0030】
請求項2のハンドルロック装置は、シリンダ部に大きな力で回されたときに破断するヒューズ溝を外周に備えたので、シリンダ部が大きな力で回されたときにヒューズ溝が破断し、クランク部を回動することができなくなる。また、シリンダ部が軸方向にたたき込まれたときにシリンダ部とクランク部との結合がブレーカ機構によって解除され、シリンダ部を回しても回転はクランク部に伝わらない。また、シリンダ部とクランク部とはブレーカ機構によって再度結合することができる。
【0031】
請求項3のハンドルロック装置は、シリンダ部とクランク部とを再結合させる工具を挿入するために、錠外筒に工具挿入窓を設け、クランク部に工具挿入穴を設けたので、錠外筒の工具挿入窓及びクランク部の工具挿入穴に工具を挿入することで、工具でシリンダ部をクランク部に対して移動させることができ、シリンダ部とクリックボールとの当接部位を、周溝からガイド溝を介して球形凹部に移動せることができて、シリンダ部とクランク部とを再結合させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るハンドルロック装置を備えた自動二輪車のフロント部分の斜視図
【図2】 本発明に係るハンドルロック装置付きメインスイッチの平面図
【図3】 図2の3−3線断面図
【図4】 本発明に係るクランク軸の分解斜視図
【図5】 本発明に係るシリンダ軸上部の作用を説明する斜視図
【図6】 本発明に係るクランク軸の作用を説明する断面図
【図7】 本発明に係るクランク軸の再結合を説明する側面図
【符号の説明】
1…自動二輪車、16…ハンドルロック装置、21…錠外筒、21b…工具挿入窓、25…ロックピン、30…クランク軸、31…シリンダ部、31a…キー挿入孔、31b…タンブラ、31c…ヒューズ溝、31e…球形凹部、31f…周溝、31g…ガイド溝、31h…工具挿入穴、32…クランク部、32a…クリックボール、32b…セット部(セットスプリング)、32d…ばね(コイルばね)、40…ブレーカ機構。
Claims (3)
- 車体に取付けられる錠外筒に、ロックピンを出し入れするためのクランク軸を収納し、クランク軸にタンブラを備え、クランク軸の端面にキー挿入孔を備え、キーをキー挿入孔に挿入することによりタンブラをアンロック状態にしてクランク軸の回動を可能にする形式のハンドルロック装置において、
前記クランク軸は、前記キー挿入孔を備えるシリンダ部と、このシリンダ部と回転方向の結合・非結合可能なクランク部との2部品からなり、
前記シリンダ部は、クリックボールが入る球形凹部と、この球形凹部の前記クランク軸端面側に設けた周溝と、前記球形凹部と前記周溝とをつなぐガイド溝とを有し、
前記クランク部は、前記クリックボールを保持するセット部と、クランク軸に対して前記シリンダ部を前記クランク軸端面側に付勢するばねとを有し、
通常は前記シリンダ部と前記クランク部とが結合し、前記クランク軸が大きな力で押込まれたときに前記シリンダ部と前記クリックボールとの当接部位は、前記球形凹部から前記ガイド溝を介して前記周溝に移動し、前記シリンダ部と前記クランク部との結合が解除されることを特徴とするハンドルロック装置。 - 前記シリンダ部は大きな力で回されたときに破断するヒューズ溝を外周に備えたことを特徴とする請求項1記載のハンドルロック装置。
- 前記シリンダ部と前記クランク部とを再結合させる工具を挿入するために、前記錠外筒に工具挿入窓を設け、前記クランク部に工具挿入穴を設けたことを特徴とする請求項1記載のハンドルロック装置。
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JP07055596A JP3724872B2 (ja) | 1996-03-26 | 1996-03-26 | ハンドルロック装置 |
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JPH09256708A JPH09256708A (ja) | 1997-09-30 |
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Family Applications (1)
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1996
- 1996-03-26 JP JP07055596A patent/JP3724872B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH09256708A (ja) | 1997-09-30 |
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