JP3723704B2 - ポリグリセリンアルキルエーテルおよびその組成物 - Google Patents

ポリグリセリンアルキルエーテルおよびその組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は分子中の全ての水酸基が1、2−ジオールおよび/または1、3−ジオールであるポリグリセリンアルキルエーテルおよびその組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
非イオン性界面活性剤は乳化、可溶化、浸透、分散、洗浄等を目的に幅広い分野で利用されている。非イオン性界面活性剤として汎用されているものにはグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油誘導体等がある。これらは親油基部分と親水基部分の結合様式によりエステル型、エーテル型およびエステルエーテル型に分けられ、中でもエーテル型は加水分解に対する安定性に優れているため好適に利用されている。このエーテル型界面活性剤の親水基として一般にポリオキシエチレンが用いられる。このポリオキシエチレンは鎖長の調製が容易であるという利点がある反面、合成時に有害なジオキサンが生成する、酸化によりホルマリンが発生し、さらに液性が酸性に変化していくといった問題がある。
これに対し安全性の高いポリグリセリンを親水基としたエーテル型非イオン型界面活性剤も開発されている。例えば特開昭62−210049にはジ、トリ、テトラグリセリンと高級アルコールのエーテルが、特開平9−188755にはポリグリセリンアルキルエーテルの製造法が開示されている。しかし、ここで用いられているものを含めて従来のポリグリセリンは直鎖状の構造を有するものであり、しかも重合度の異なるポリグリセリンの混合物であって、分枝構造を有するポリグリセリンアルキルエーテルは知られていなかった。
【0003】
すなわち、従来知られていたポリグリセリンはテトラ、ヘキサおよびデカグリセリンなど直鎖構造を有するポリグリセリンであってしかも、これらの重合度はヒドロキシル価をもとに算出されたものであるため、その名の示すグリセリン4、6および10量体が主成分として含まれているわけではなく、いずれもグリセリン単量体から10量体以上までの混合物である。これを原料にアルキルエーテルを合成した場合、得られたものは多種のアルキルエーテルの混合物となってしまう。また、ポリグリセリンアルキルエーテルの他の合成法として脂肪族アルコールにグリシドールやエピクロルヒドリンを縮合させる方法も知られているが、ポリグリセリンの縮合度は付加させるグリシドールやエピクロルヒドリンの量で調整されており、単一の縮合度のものは得られない。結局、これらの方法で得られたポリグリセリンアルキルエーテルはグリセリン鎖長の異なる成分の混合物となり、ポリグリセリンアルキルエーテルが本来有しているはずの機能が発揮されず、目的達成のために多量のポリグリセリンアルキルエーテルを必要とすることになる。また、一般に親水性界面活性剤の親水部の形状はその性能に大きな影響をおよぼす。界面活性剤が効果を発揮するためには界面に吸着しこれを覆い尽くさなければならない。先の構造式で示される従来のポリグリセリンを親水基とするポリグリセリンアルキルエーテルでは、エーテルの構造も直鎖状となり、これが界面に吸着した場合、吸着部分の占める面積はエステルの断面積に近い、小さな値となってしまう。界面活性能を十分に発現させるためには界面を完全に覆う必要があるが、分子の断面積が小さな従来のエーテルでは多量の界面活性剤を使用することとなる。これら、乳化剤の過剰使用は洗浄用途では環境への負荷増大、化粧品用途では肌荒れの原因となっていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は界面活性能に優れたポリグリセリンアルキルエーテルを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記現状を鑑み鋭意研究した結果、分子中の全ての水酸基が1、2−ジオールおよび/または1、3−ジオールであるポリグリセリンアルキルエーテルが、従来にない優れた乳化力、可溶化力、分散力、洗浄力および起泡力等の界面活性能を有することを見いだし、本発明に至った。すなわち本発明は特定の構造を有するポリグリセリンアルキルエーテル、その製造法およびその組成物に関するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明でいうポリグリセリンとは、グリセリン分子が脱水して重合したとみなされる化合物、すなわち連続した3個の炭素原子がいずれも1個の水酸基またはエーテル結合を形成する酸素原子と結合した化合物を1単位とし、これが2単位以上連なった化合物をいい、組成式C3n6n+22n+1(nは2以上の整数)で表される。
本発明のポリグリセリンアルキルエーテルが有する1、2−ジオール構造とは水酸基を1個ずつ有している炭素原子2個が直接結合している構造であり、1、3−ジオール構造とは水酸基を1個ずつ有している炭素原子2個が間に水酸基を持たない炭素原子1個を介して結合している構造である。また本発明のポリグリセリンアルキルエーテルの水酸基は1、2−ジオールおよび/または1、3−ジオール構造である。これは、これらの構造を有する化合物に特有の反応により確認できる。例えば1、2−ジオールの場合は本化合物を一定量の過ヨウ素酸と反応させた後ヨウ化カリウムを加え、生成するヨウ素をチオ硫酸ナトリウム液で滴定することにより消費された過ヨウ素酸を求める。これを理論値と比較することにより確認することができる。また、1、2−ジオールおよび1、3−ジオールの部分構造に特有の反応として本発明のポリグリセリンアルキルエーテルを触媒存在下アセトンと反応させ、得られたポリグリセリンアルキルエーテルのアセトナイドの赤外吸収スペクトルを測定するとき、水酸基の吸収を認めない。更にこのアセトナイドを高分解能質量分析装置に付し、得られた組成式を理論組成式と比較することにより本発明のポリグリセリンアルキルエーテルであることを確認することができる。
なお、従来のポリグリセリンアルキルエーテルは本発明の構造を有しないものをいう。
本発明のポリグリセリンアルキルエーテルのとりうる構造を例示すると次のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0007】
【化1】
Figure 0003723704
【0008】
本発明のポリグリセリンアルキルエーテルの合成法は特に問わない。例えばグリセリンやジグリセリンといった低分子のアルキルエーテルの水酸基にハロゲン化アリルを縮合させ、次いでアリル基を2個の水酸基に変換することにより合成できる。また、この反応を繰り返すことにより、さらに分子量の大きなアルキルエーテルを合成することも可能である。このような方法で得られたポリグリセリンアルキルエーテルは単一の重合度の揃ったものが得られる。また、原料となる低分子アルキルエーテルの調製法は特に問ず、市販の天然由来または合成品が利用できる。アルキル鎖の鎖長は特に限定するものではなく目的に応じて適宜選択すればよい。例えば炭素数6〜30の直鎖状または分岐状のものが利用できる。本発明のポリグリセリンアルキルエーテルのHLBは特に限定するものではなく目的に応じたものを利用すればよいが、水への分散性からHLB5以上、好ましくはHLB8以上、さらに好ましくはHLB10以上のエステルが推奨される。このHLBはHLB既知の親油性界面活性剤と油脂を用いて実測できるほか、エーテルの親水基部分の分子量(MW)および親油基部分(MO)の分子量から次式により算出できる。
HLB=7+11.7 log(MW/MO)
【0009】
本発明のポリグリセリンアルキルエーテルは単独で用いられる他、目的に応じて他の物質を添加・混合した組成物としても利用できる。例えば他の界面活性剤と混合して界面活性剤製剤とすることができ、この目的で利用できる他の界面活性剤としてはレシチン、サポニン、タンパク質、多糖類といった天然由来のものおよびこれに酵素等を作用させて改質したものおよび化学的に合成されたものが含まれる。化学的に合成された界面活性剤は、イオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤に大別できる。イオン性界面活性剤はさらにアニオン性界面活性剤、カチオン政界面活性剤および両性界面活性剤に分類される。具体的には、アニオン性界面活性剤として脂肪族モノカルボン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、N−アシルサルコシン塩、N−アシルグルタミン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルカンスルホン酸塩、アルファオレフィンスルホン酸塩、直鎖または分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物、アルキルナフタレンスルホン酸塩、N−メチル−N−アシルタウリン塩、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、油脂硫酸エステル塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸塩、カチオン性界面活性剤としてアルキルアミン塩類、塩化、臭化またはヨウ化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化、臭化またはヨウ化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化アルキルベンザルコニウム、両性界面活性剤としてアルキルベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、アルキルまたはジアルキルジエチレントリアミノ酢酸、アルキルアミンオキシド、非イオン界面活性剤としてグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、脂肪酸ポリエチレングリコール、脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン、脂肪酸アルカノールアミドなどが例示できるが、これらに限定されるものではない。また、本発明のポリグリセリンアルキルエーテルに他の成分を加えて取り扱いを容易にすることもできる。例えば製品の粘度を低下させるために水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、液糖、油脂等の1種もしくは2種以上を添加してもよい。または乳糖、デキストリンなどの多糖類やカゼイネート等タンパク質を添加して粉末化してもよい。また本発明のポリグリセリンアルキルエーテルに最終製品を構成する他の成分を加えて中間製品としてもよい。例えば本発明のポリグリセリンアルキルエーテルとビタミンE等の油溶性ビタミン、βカロチン等の油溶性色素、高度不飽和脂肪酸等の油溶性生理活性物質、油溶性の香料等と混合してそれぞれ水分散性の油溶性ビタミン、水分散性の油溶性色素、水分散性の油溶性生理活性物質、水分散性の油溶性の香料といった製品化も可能である。
【0010】
本発明のポリグリセリンアルキルエーテルまたはポリグリセリンアルキルエーテル組成物の使用方法は特に限定しないが、乳化、可溶化、分散、洗浄、起泡、消泡、浸透、抗菌等の目的で食品、化粧品、医薬品および工業用途で利用できる。例えば樹脂に対する充填剤や顔料、塗料の分散、防曇、食品工業では機器の洗浄剤、加工助剤、野菜・果物の洗浄剤等があるがこれらに限定するものではない。
次に実施例をあげて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0011】
【実施例】
実施例1
撹拌装置、窒素導入管および温度計を備えた3リットルの四つ口フラスコにグリセリン760gおよび水酸化ナトリウム4gを加え、減圧下120℃で1時間脱水した。これを常圧にもどし、窒素気流下160℃でグリシジルドデシルエーテル400gを2時間かけて滴下後8時間撹拌した。得られた反応物を分子蒸留にて精製しジグリセリンドデシルエーテル212gを得た。撹拌装置、窒素導入管および温度計を備えた1リットルの四つ口フラスコにジグリセリンドデシルエーテル200g、水酸化ナトリウム84gおよび塩化アリル230gを加え、窒素気流下40℃で10時間撹拌した。生成物に水を加えて撹拌後静置して水層を除去後減圧下加熱濃縮し残渣196gを得た。別途3リットルのフラスコにギ酸900ミリリットルと35%過酸化水素水450ミリリットルを加え、ここへ先の反応物を徐々に添加、45℃で8時間反応させた。次いで減圧下加熱してギ酸と水を留去後、残渣に10%水酸化ナトリウム水溶液500mlを加え、40℃で5時間撹拌した。反応液を10%塩酸で中和後減圧下加熱脱水し、残渣に水を加えて陽イオン交換樹脂および陰イオン交換樹脂に通じて脱塩し、減圧下脱水してペンタグリセリンドデシルエーテル216gを得た。
本化合物の一部を質量分析装置にて分析したところ、分子量556、組成式C275611を得、これはペンタグリセリンドデシルエーテルの理論値と完全に一致した。また、撹拌装置、還流管および温度計を備えた100mlの四つ口フラスコに得られたペンタグリセリンドデシルエーテル1g、乾燥アセトン40mlおよび塩化第二鉄0.4gを加え、40℃で8時間撹拌した。減圧下アセトンを除去後残渣にジエチルエーテル50mlを加えて水洗、ジエチルエーテル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後減圧下で溶媒を除去し、残渣1.3gを得た。この化合物の赤外吸収スペクトルを測定したところ、水酸基の吸収は認められなかった。また、このアセトナイド化合物を質量分析装置にて分析し、分子量676、組成式C366811を得、これは理論値と完全に一致した。これらの結果よりこのテトラグリセリンは構造中に1、2−ジオールの部分構造を3個有していることが確認できた。なおペンタグリセリンドデシルエーテルのHLBは10.7である。
【0012】
実施例2
撹拌装置、窒素導入管および温度計を備えた3リットルの四つ口フラスコにグリセリン600gおよび水酸化ナトリウム3gを加え、減圧下120℃で1時間脱水した。これを常圧にもどし、窒素気流下160℃でグリシジルオクタデカノイルエーテル400gを2時間かけて滴下後8時間撹拌した。得られた反応物を分子蒸留にて精製しジグリセリンオクタデカノイルエーテル192gを得た。撹拌装置、窒素導入管および温度計を備えた1リットルの四つ口フラスコにジグリセリンオクダデカノイルエーテル180g、水酸化ナトリウム60gおよび塩化アリル165gを加え、窒素気流下40℃で10時間撹拌した。生成物に水を加えて撹拌後静置して水層を除去後減圧下加熱濃縮し残渣208gを得た。別途3リットルのフラスコにギ酸900ミリリットルと35%過酸化水素水450ミリリットルを加え、ここへ先の反応物を徐々に添加、45℃で8時間反応させた。次いで減圧下加熱してギ酸と水を留去後、残渣に10%水酸化ナトリウム水溶液500mlを加え、40℃で5時間撹拌した。反応液を10%塩酸で中和後減圧下加熱脱水し、残渣に水を加えて陽イオン交換樹脂および陰イオン交換樹脂に通じて脱塩し、減圧下脱水してペンタグリセリンオクタデカノイルエーテル220gを得た。本化合物の一部を質量分析装置にて分析したところ、分子量640、組成式C336811を得、これはペンタグリセリンオクタデカノイルエーテルの理論値と完全に一致した。また、撹拌装置、還流管および温度計を備えた100mlの四つ口フラスコに得られたペンタグリセリンオクタデカノイルエーテル1g、乾燥アセトン40mlおよび塩化第二鉄0.4gを加え、40℃で8時間撹拌した。減圧下アセトンを除去後残渣にジエチルエーテル50mlを加えて水洗、ジエチルエーテル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後減圧下で溶媒を除去し、残渣1.2gを得た。この化合物の赤外吸収スペクトルを測定したところ、水酸基の吸収は認められなかった。このアセトナイド化合物を質量分析装置にて分析し、分子量760、組成式C428011を得、これは理論値と完全に一致した。これらの結果よりこのテトラグリセリンは構造中に1、2−ジオールの部分構造を3個有していることが確認できた。なおペンタグリセリンオクタデカノイルエーテルのHLBは8.8である。
【0013】
実施例3
撹拌装置、窒素導入管および温度計を備えた1リットルの四つ口フラスコにグリセリンドデシルエーテル200g、水酸化ナトリウム77gおよび塩化アリル294gを加え、窒素気流下40℃で10時間撹拌した。生成物に水を加えて撹拌後静置して水層を除去後減圧下加熱濃縮し残渣235gを得た。別途3リットルのフラスコにギ酸1リットルと35%過酸化水素水500ミリリットルを加え、ここへ先の反応物を徐々に添加、45℃で8時間反応させた。次いで減圧下加熱してギ酸と水を留去後、残渣に10%水酸化ナトリウム水溶液500mlを加え、40℃で5時間撹拌した。反応液を10%塩酸で中和後減圧下加熱脱水し、残渣に水を加えて陽イオン交換樹脂および陰イオン交換樹脂に通じて脱塩し、減圧下脱水してトリグリセリンドデシルエーテル251gを得た。撹拌装置、窒素導入管および温度計を備えた1リットルの四つ口フラスコに得られたトリグリセリンドデシルエーテル200g、水酸化ナトリウム88gおよび塩化アリル300gを加え、窒素気流下40℃で10時間撹拌した。生成物に水を加えて撹拌後静置して水層を除去後減圧下加熱濃縮し残渣248gを得た。別途3リットルのフラスコにギ酸1リットルと35%過酸化水素水500ミリリットルを加え、ここへ先の反応物を徐々に添加、45℃で8時間反応させた。次いで減圧下加熱してギ酸と水を留去後、残渣に10%水酸化ナトリウム水溶液500mlを加え、40℃で5時間撹拌した。反応液を10%塩酸で中和後減圧下加熱脱水し、残渣に水を加えて陽イオン交換樹脂および陰イオン交換樹脂に通じて脱塩し、減圧下脱水してヘプタグリセリンドデシルエーテル261gを得た。本化合物の一部を質量分析装置にて分析したところ、分子量705、組成式C336915を得、これはヘプタグリセリンドデシルエーテルの理論値と完全に一致した。また、撹拌装置、還流管および温度計を備えた100mlの四つ口フラスコに得られたヘプタグリセリンドデシルエーテル1g、乾燥アセトン40mlおよび塩化第二鉄0.4gを加え、40℃で8時間撹拌した。減圧下アセトンを除去後残渣にジエチルエーテル50mlを加えて水洗、ジエチルエーテル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後減圧下で溶媒を除去し、残渣1.3gを得た。この化合物の赤外吸収スペクトルを測定したところ、水酸基の吸収は認められなかった。また、このアセトナイド化合物を質量分析装置にて分析し、分子量865、組成式C458515を得、これは理論値と完全に一致した。これらの結果よりこのヘプタグリセリンドデシルエーテルは構造中に1、2−ジオールの部分構造を4個有していることが確認できた。なおヘプタグリセリンドデシルエーテルのHLBは12.4である。
【0014】
比較例1
撹拌装置、窒素導入管および温度計を備えた1リットルの四つ口フラスコにドデシルアルコール186gと水酸化ナトリウム9gを加え、減圧下120℃まで加熱して脱水、次いで120℃でグリシドール370g(ドデシルアルコールに対し5倍モル)を1時間で滴下、さらに2時間撹拌した。生成物に水を加えて陽イオン交換樹脂および陰イオン交換樹脂に通じて脱塩し、減圧下脱水してペンタグリセリンドデシルエーテル523gを得た。この1gをとり、実施例1と同様にアセトナイド化し生成物の赤外吸収スペクトルを測定したところ水酸基の吸収が認められた。よってこのペンタグリセリンドデシルエーテルは1、2−ジオールまたは1、3−ジオール構造以外の水酸基を有することが確認された。
【0015】
比較例2
オクタデカノイルアルコール270g、グリシドール370g(オクタデカノイルアルコールに対し5倍モル)および水酸化ナトリウム9gを比較例1と同様の方法で反応、精製しペンタグリセリンオクタデカノイルエーテル598gを得た。この1gをとり、実施例1と同様にアセトナイド化し生成物の赤外吸収スペクトルを測定したところ水酸基の吸収が認められた。よってこのペンタグリセリンドデシルエーテルは1、2−ジオールまたは1、3−ジオール構造以外の水酸基を有することが確認された。
【0016】
比較例3
ドデシルアルコール186g、グリシドール518g(ドデシルアルコールに対し7倍モル)および水酸化ナトリウム9gを比較例1と同様の方法で反応、精製しヘプタグリセリンドデシルエーテル633gを得た。この1gをとり、実施例1と同様にアセトナイド化し生成物の赤外吸収スペクトルを測定したところ水酸基の吸収が認められた。よってこのペンタグリセリンドデシルエーテルは1、2−ジオールまたは1、3−ジオール構造以外の水酸基を有することが確認された。
【0017】
試験例1
実施例1で得られた本発明のペンタグリセリンドデシルエーテル、比較例1で得られた従来ペンタグリセリンドデシルエーテルを用いて、合成洗剤試験法(日本規格協会発行、JIS K3362、平成2年2月1日改正)に基づき、リーナツ洗浄力試験装置を用いて洗浄力を測定した。なお、各界面活性剤の濃度は0.03%、温度25℃で試験を行った。結果はモデル油脂汚れの除去率で表し、表1に示す。
【0018】
【表1】
Figure 0003723704
【0019】
この結果より、本発明のペンタグリセリンドデシルエーテルは優れた洗浄力を有することは明らかである。
【0020】
試験例2
実施例2で得られた本発明のペンタグリセリンオクタデカノイルエーテル、比較例2で得られた従来ペンタグリセリンオクタデカノイルエーテルを用い、次の操作手順に従い乳化力を測定した。すなわち水250gに各界面活性剤2.5gを加えて60℃まで加熱、ホモミキサーで3000rpmで撹拌しながら別に60℃に加熱したナタネ油250gを徐々に加えた後10000rpmで3分間撹拌し乳化物を得た。この乳化物を60℃で保存して24時間後の乳化状態を比較した。その結果、本発明のペンタグリセリンオクタデカノイルエーテルを用いたものは分離水は認められなかったが従来ペンタグリセリンオクタデカノイルエーテルを用いたものでは23%の分離水が認められた。以上の結果より本発明のペンタグリセリンオクタデカノイルエーテルは従来ペンタグリセリンオクタデカノイルエーテルに比べて乳化安定性に優れていることは明らかである。
【0021】
試験例3
10本の試験管にdl−α−トコフェロールを0〜50mgの範囲で量を変えてとり、ここへ実施例3で得た本発明のヘプタグリセリンドデシルエーテルの1%溶液10ミリリットルを加え、ヒスコトロンで10秒撹拌後650nmの透過率を測定した。結果を横軸にトコフェロール量、縦軸に透過率をとったグラフにプロットし、グラフから透過率が90%となるトコフェロール量を求めた。同様に比較例3で得た従来ペンタグリセリンオクタデカノイルエーテルを用いて試験した。結果を比較したところ、透過率が90%に低下するまでに本発明のペンタグリセリンオクタデカノイルエーテルは45mg可溶化できたのに比べ従来ペンタグリセリンオクタデカノイルエーテルは5mg以下であり、本発明のペンタグリセリンオクタデカノイルエーテルが可溶化力に優れていることが確認された。
【0022】
試験例4
表2の処方に基づき、本発明品Aおよび比較品Bのクレンジングクリームを調製した。
【0023】
【表2】
Figure 0003723704
【0024】
60℃において各界面活性剤、グリセリン、1、3−ブチレングリコールおよび精製水を混合しながら流動パラフィンを滴下した。得られた組成物を60℃で10日間保存したところ、Aでは性状に変化はなかったがBでは2層に分離した。これより本発明のペンタグリセリンドデシルエーテルの性能が優れていることは明らかである。
【0025】
本発明の実施の様態ならびに目的生成物をあげれば以下の通りである。
(1)分子中の水酸基が全て1、2−ジオールであるポリグリセリンアルキルエーテル。
(2)分子中の水酸基が全て1、2−ジオールおよび/または1、3−ジオールであり、かつHLBが8以上であるポリグリセリンアルキルエーテル。
(3)前記(1)〜(2)いずれか記載のポリグリセリンアルキルエーテルを含有する化粧品。
【0026】
【発明の効果】
上記実施例で証明したように本発明によるポリグリセリンアルキルエーテルにより安定な組成物、化粧品が製造可能となることは明白である。

Claims (2)

  1. 化1で示される構造のいずれか1種の構造を有するポリグリセリンアルキルエーテル。(ここで式中R=炭素数6〜30の直鎖または分枝状のアルキル基である。)
    Figure 0003723704
  2. 請求項1記載のポリグリセリンアルキルエーテルを含有する界面活性剤組成物。
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