JP5804982B2 - 液晶形成用乳化剤、及び該乳化剤を含有する液晶形成乳化組成物 - Google Patents

液晶形成用乳化剤、及び該乳化剤を含有する液晶形成乳化組成物 Download PDF

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Description

本発明は、液晶形成用乳化剤、及び該乳化剤を含有する液晶形成乳化組成物に関する。前記液晶形成乳化組成物は皮膚表面に塗布した後も、長時間に亘って液晶構造を安定に保持することができる。
紫外線や乾燥等の過酷な外部環境からの肌保護、肌荒れや乾燥肌の予防或いは改善、及び、加齢による皮膚の老化防止等の目的で、水、油性成分、界面活性剤、及び所望の効果を有する添加剤(例えば、ヒアルロン酸、アミノ酸等の保湿剤や、ビタミンE等の血行改善剤等)を配合した水中油型(以下、O/W型)構造又は油中水型(以下、W/O型)構造を有する化粧料が広く使用されている。
前記化粧料は、油性成分と水を含む乳化層が皮膚表面において被膜を形成することで、外部刺激から皮膚を保護し、皮膚内部からの水分の蒸散を防ぎつつ皮膚に一定量の水分を与えることができ、それにより肌荒れや乾燥肌の予防・改善に寄与している。
しかし、水中油型(以下、O/W型)構造を有する化粧料の場合、皮膚に塗布した後、連続相である水が短時間で蒸発してしまい、保湿効果が十分に得られない。また、水分の蒸発によってミセルが破壊され、ミセル内部に包含する添加剤を皮膚内部へ浸透させることができず、所望の効果が得られにくい。更に、乳化剤の親水性が高いため、皮膚に塗布した場合、汗等で流れやすく、効果の持続性に乏しいという問題点があった。
一方、油中水型(以下、W/O型)構造を有する化粧料の場合は、皮膚表面に長くとどまり所望の効果を長く発現することはできるが、皮膚に塗布した際にべたべたした感触があるため使用感が悪いという問題点があった。
近年、これらの問題を解決する目的で角質細胞間脂質と類似の液晶構造を有する液晶形成乳化組成物が提案されている。前記液晶形成乳化組成物は、セラミドにより層状の液晶構造(ラメラ液晶構造)を形成し、該液晶構造内部に水及び所望の効果を有する添加剤を保持することで、さらっとした使用感と、皮膚表面での長時間の効果発現とを兼ね備えることを可能にした(特許文献1、非特許文献1、2)。
しかし、セラミドは非常に高価であり、その上、一般に化粧料に使用されている油性成分や溶剤に溶けにくいため、製剤化が困難である。しかも、経時的に製剤中で結晶化し易く、結晶化により品質が低下することが問題であった。そのため、親水性界面活性剤等を添加して乳化安定性を向上させることが行われているが、それにより皮膚刺激性が増大することが懸念された。
また、一般に液晶構造を利用してスキンケア効果を高める技術においては、製剤が皮膚に塗布された後、長時間に亘って、その液晶構造を安定に保持することが求められる。皮膚表面で液晶構造が消失すると、継続的な効果(例えば、保湿効果等)発現機能が失われるからである。
皮膚表面に塗布後、長時間に亘って液晶構造を安定に保つ技術としては、ステロール、ポリオキシエチレンステロール、レシチンを必須成分として含有する液晶形成用乳化剤及びそれを用いた液晶形成乳化組成物が開示されている(特許文献2)。しかしながら、近年、ポリオキシエチレンステロール等のポリオキシエチレン系界面活性剤には、安全性に懸念が存在する副生物が混入する可能性があること、即ち、経時的に活性成分が分解して失活し易く、それにより強い刺激性を有するホルムアルデヒドが副生するという問題から、ポリオキシエチレン系界面活性剤を用いない液晶形成乳化組成物が望まれている。
以上の通り、セラミド等の高価で且つ製剤化が困難な成分やポリオキシエチレン系界面活性剤等の安全性に問題のある成分を添加しなくても、水及び油性成分と混合することにより、皮膚に塗布された後も、角質細胞間脂質に類似の液晶構造を長時間に亘って保持することができる乳化組成物を簡便に製造することができる乳化剤は全く知られてないのが現状である。
特開平06−345633号 特開2008−115162号
The journal of investigative dermatology,vol.96(6),845−851(1991) International journal of cosmetic science,19,143−156(1997)
従って、本発明の目的は、水と油性成分と混合することにより、角質細胞間脂質に類似の液晶構造を形成し、且つ、皮膚に塗布された後も長時間に亘って安定な液晶構造を形成する乳化剤を提供することにある。
本発明の他の目的は、前記乳化剤を含有する液晶形成乳化組成物であって、角質細胞間脂質に類似の液晶構造を有し、且つ、皮膚に塗布された後も前記液晶構造を安定に保持することができる液晶形成乳化組成物を提供することにある。
本発明の更に他の目的は、前記液晶形成乳化組成物を含有し、皮膚に塗布後、長時間に亘って所望の効果を発揮し続けることができる化粧料を提供することにある。
本発明者等は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、アルコールとグリシジルエーテルとを反応させて得られる、2級ヒドロキシル基を有するグリセリンジアルキル又はアルケニルエーテルに、更にグリシドールを2当量以上反応させて得られる化合物は、2つの疎水基が短いスペーサーで結合し、更に水溶性の高いポリグリセリン部分を親水基として有するため、優れた界面活性能を有すること、前記ポリグリセリンジアルキル又はアルケニルエーテルを含有する液晶形成用乳化剤を含有する化粧料は、その液晶構造が非常に強固であるばかりでなく、温度変化に対する安定性が高く、従来に比べて飛躍的に広い条件の下で液晶を形成することができるので、液晶構造に悪影響を及ぼすような成分が存在しても、又は、一般的に液晶が形成しにくいとされる組成であっても、安定な液晶構造を形成することができ、皮膚に塗布した後も長時間にわたり該液晶構造を維持することができ、エマルション粒子界面膜に多量の水分を保持することで、優れたスキンケア効果や皮膚状態改善効果を長時間に亘って発揮し続けることを見出した。本発明はこれらの知見に基づき、さらに研究を重ねて完成したものである。
すなわち、本発明は、下記式(1)
Figure 0005804982
(式中、R1、R2は、同一又は異なって、ヒドロキシル基を有していてもよい直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は直鎖状若しくは分岐鎖状のアルケニル基である。nはグリセリン単位の数を示し、2以上の整数である)
で表される化合物を含むポリグリセリンジアルキル又はアルケニルエーテルを含有する液晶形成用乳化剤を提供する。
前記ポリグリセリンジアルキル又はアルケニルエーテルのHLB値は9以上であることが好ましい。
本発明は、また、前記液晶形成用乳化剤、油性成分、及び水を混合して得られる液晶形成乳化組成物であって、液晶形成乳化組成物全量に対して下記成分を下記割合で含有する液晶形成乳化組成物を提供する。
ポリグリセリンジアルキル又はアルケニルエーテル:0.1〜30重量%
油性成分:0.1〜99.8重量%
水:0.1〜99.8重量%
本発明の液晶形成乳化組成物は、ポリオキシエチレン型界面活性剤の含有量が液晶形成乳化組成物全量の5重量%以下であることが好ましい。
本発明は、更にまた、前記液晶形成乳化組成物を含有する化粧料を提供する。
本発明の液晶形成用乳化剤は、2分子のモノメリック型界面活性剤(一疎水基一親水基型界面活性剤)が短いスペーサーで結合した形状を有し、水相と油相の界面に密に吸着することができ、優れた界面活性能を発揮することができる特定のポリグリセリンジアルキル又はアルケニルエーテルを含有するため優れた乳化作用を有する。
そして、前記液晶形成用乳化剤、油性成分、及び水を混合して得られる本発明に係る液晶形成乳化組成物は、セラミド等の高価で且つ製剤化が困難な成分やポリオキシエチレン系界面活性剤等の安全性に問題のある成分を含有しなくても、角質細胞間脂質と類似の液晶構造が形成され、皮膚に塗布された後も、前記液晶構造を長時間に亘って保持することができ、皮膚表面において継続的な保湿効果、スキンケア効果、及び皮膚状態改善効果を発現し続けることができる。また、一般的には液晶形成しにくいとされる組成であっても安定な液晶構造を形成することができるので、バラエティー豊かな液晶形成乳化組成物、及び化粧料を提供できる。
尚、本発明において液晶とは、両親媒性分子の二分子膜と水とが交互に配向した分子配列の規則性を残しながら流動性を保った状態のものであり、光学異方性という特異な光学特性を示すことから、偏光板や偏光顕微鏡による観察により容易に確認することができる。また、樹脂泡埋超薄切法や凍結切片法による透過型電子顕微鏡(TEM)で液晶構造を確認することもできる。
[液晶形成用乳化剤]
本発明の液晶形成用乳化剤は、ポリグリセリンジアルキル又はアルケニルエーテルを少なくとも含有する。
(ポリグリセリンジアルキル又はアルケニルエーテル)
本発明のポリグリセリンジアルキル又はアルケニルエーテルは、下記式(1)で表される化合物を少なくとも含有する。
Figure 0005804982
式(1)中、R1、R2は、同一又は異なって、ヒドロキシル基を有していてもよい直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は直鎖状若しくは分岐鎖状のアルケニル基である。nはグリセリン単位の数を示し、2以上の整数である。
式(1)の括弧内のC362は、下記式(2)及び(3)で示される両方の構造を有する。
−CH2−CHOH−CH2O− (2)
−CH(CH2OH)CH2O− (3)
1、R2における直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基としては、例えば、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ラウリル(ドデシル)、n−トリデシル、n−ミリスチル(テトラデシル)、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−ステアリル、n−ノナデシル、n−エイコシル、n−ヘンエイコシル、n−ドコシル基等のC6-22直鎖状アルキル基;イソヘキシル、s−ヘキシル、t−ヘキシル、イソヘプチル、s−ヘプチル、t−ヘプチル、イソオクチル、s−オクチル、t−オクチル、イソノニル、s−ノニル、t−ノニル、イソデシル、s−デシル、t−デシル、イソウンデシル、s−ウンデシル、t−ウンデシル、イソラウリル、s−ラウリル、t−ラウリル、トリデシル、s−トリデシル、t−トリデシル、イソミリスチル、s−ミリスチル、t−ミリスチル、イソペンタデシル、s−ペンタデシル、t−ペンタデシル、ヘキシルデシル、イソヘキサデシル、s−ヘキサデシル、t−ヘキサデシル、イソヘプタデシル、s−ヘプタデシル、t−ヘプタデシル、イソステアリル、イソノナデシル、s−ノナデシル、t−ノナデシル、イソイコシル、s−イコシル、t−イコシル、イソエイコシル、s−エイコシル、t−エイコシル、イソヘンイコシル、s−ヘンイコシル、t−ヘンイコシル、イソドコシル、s−ドコシル、t−ドコシル等のC6-22分岐鎖状アルキル基等を挙げることができる。
1、R2におけるヒドロキシル基を有している直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基としては、例えば、前記C6-22直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基に1以上のヒドロキシル基を有するC6-22直鎖状若しくは分岐鎖状ヒドロキシアルキル基を挙げることができる。
1、R2における直鎖状若しくは分岐鎖状のアルケニル基としては、例えば、n−ヘキセニル、n−ヘプテニル、n−オクテニル、n−ノネニル、n−デセニル、n−ウンデセニル、n−ドデセニル、n−トリデセニル、n−テトラデセニル、n−ペンタデセニル、n−ヘキサデセニル、n−ヘプタデセニル、n−オレイル、n−ノナデセニル、n−エイコセニル、n−ヘンエイコセニル、n−ドコセニル基等のC6-22直鎖状アルケニル基;イソヘキセニル、s−ヘキセニル、t−ヘキセニル、イソヘプテニル、s−ヘプテニル、t−ヘプテニル、イソオクテニル、s−オクテニル、t−オクテニル、イソノネニル、s−ノネニル、t−ノネニル、イソデセニル、s−デセニル、t−デセニル、イソウンデセニル、s−ウンデセニル、t−ウンデセニル、イソドデセニル、s−ドデセニル、t−ドデセニル、イソトリデセニル、s−トリデセニル、t−トリデセニル、イソテトラデセニル、s−テトラデセニル、t−テトラデセニル、イソペンタデセニル、s−ペンタデセニル、t−ペンタデセニル、イソヘキサデセニル、s−ヘキサデセニル、t−ヘキサデセニル、イソヘプタデセニル、s−ヘプタデセニル、t−ヘプタデセニル、イソオレイル、イソノナデセニル、s−ノナデセニル、t−ノナデセニル、イソイコセニル、s−イコセニル、t−イコセニル、イソエイコセニル、s−エイコセニル、t−エイコセニル、イソヘンイコセニル、s−ヘンイコセニル、t−ヘンイコセニル、イソドコセニル、s−ドコセニル、t−ドコセニル等のC6-22分岐鎖状アルケニル基等を挙げることができる。
本発明におけるR1、R2としては、なかでも、界面上に強固な柵層(パリセード層)を形成することができ、それにより、液晶相を形成することができる点で、炭素数8〜20(更に好ましくは炭素数8〜18、特に好ましくは10〜18、最も好ましくは10〜16)の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基(特に好ましくは、直鎖状アルキル基)が好ましい。
nはグリセリン単位の数を示し、2以上の整数であり、例えば2〜25、好ましくは5〜15、より好ましくは8〜13である。nが上記範囲を下回ると、HLB値が低下(親水性が低下)し、水性成分への溶解性が低下し、乳化力が低下する傾向がある。一方、nが過剰であると、HLB値が大きくなり過ぎ(親油性が低下し)、油性成分への溶解性が低下し、やはり乳化力が低下する傾向がある。
本発明の式(1)で表される化合物としては、例えば、トリグリセリンジオクチルエーテル、トリグリセリンジデシルエーテル、トリグリセリンジラウリルエーテル、トリグリセリンジミリスチルエーテル、トリグリセリンジオレイルエーテル、トリグリセリンジステアリルエーテル、トリグリセリンジイソステアリルエーテル、テトラグリセリンジオクチルエーテル、テトラグリセリンジデシルエーテル、テトラグリセリンジラウリルエーテル、テトラグリセリンジミリスチルエーテル、テトラグリセリンジオレイルエーテル、テトラグリセリンジステアリルエーテル、テトラグリセリンジイソステアリルエーテル、ペンタグリセリンジデシルエーテル、ペンタグリセリンジラウリルエーテル、ペンタグリセリンジミリスチルエーテル、ペンタグリセリンジオレイルエーテル、ペンタグリセリンジステアリルエーテル、ペンタグリセリンジイソステアリルエーテル、ヘキサグリセリンジオクチルエーテル、ヘキサグリセリンジデシルエーテル、ヘキサグリセリンジラウリルエーテル、ヘキサグリセリンジミリスチルエーテル、ヘキサグリセリンジオレイルエーテル、ヘキサグリセリンジステアリルエーテル、ヘキサグリセリンジイソステアリルエーテル、ヘプタグリセリンジオクチルエーテル、ヘプタグリセリンジデシルエーテル、ヘプタグリセリンジラウリルエーテル、ヘプタグリセリンジミリスチルエーテル、ヘプタグリセリンジオレイルエーテル、ヘプタグリセリンジステアリルエーテル、ヘプタグリセリンジイソステアリルエーテル、オクタグリセリンジオクチルエーテル、オクタグリセリンジデシルエーテル、オクタグリセリンジラウリルエーテル、オクタグリセリンジミリスチルエーテル、オクタグリセリンジオレイルエーテル、オクタグリセリンジステアリルエーテル、オクタグリセリンジイソステアリルエーテル、ノナグリセリンジオクチルエーテル、ノナグリセリンジデシルエーテル、ノナグリセリンジラウリルエーテル、ノナグリセリンジミリスチルエーテル、ノナグリセリンジオレイルエーテル、ノナグリセリンジステアリルエーテル、ノナグリセリンジイソステアリルエーテル、デカグリセリンジオクチルエーテル、デカグリセリンジデシルエーテル、デカグリセリンジラウリルエーテル、デカグリセリンジミリスチルエーテル、デカグリセリンジオレイルエーテル、デカグリセリンジステアリルエーテル、デカグリセリンジイソステアリルエーテル、ウンデカグリセリンジオクチルエーテル、ウンデカグリセリンジデシルエーテル、ウンデカグリセリンジラウリルエーテル、ウンデカグリセリンジミリスチルエーテル、ウンデカグリセリンジオレイルエーテル、ウンデカグリセリンジステアリルエーテル、ウンデカグリセリンジイソステアリルエーテル等を挙げることができる。
本発明の式(1)で表される化合物としては、なかでも、ウンデカグリセリンジラウリルエーテル、ウンデカグリセリンジミリスチルエーテル等の、上記式(1)で表される化合物のうち、nが8〜13で、R1、R2が同一又は異なって、炭素数10〜16の直鎖状アルキル基である化合物が、水性成分への溶解性が高く、油性成分への親和性が高い点で特に好ましい。
本発明の式(1)で表される化合物は、2つの疎水基(R1、R2)が短いスペーサーで結合しているため反発すること無く界面に密に吸着することができ、それにより極めて優れた界面活性能を発揮することができる。そのため、使用量を従来の半分以下にまで低減することができ、環境負荷が少なく、また、皮膚等への刺激性も極めて小さく抑制することができる。また、ポリグリセリンジアルキル又はアルケニルエーテルは、親水基であるポリグリセリンの2級ヒドロキシル基が水と水素結合を形成することができるため水への溶解度が高く、クラフト点が低い(例えば10℃以下、好ましくは0〜5℃)。そのため、低温でも優れた溶解性、及び可溶化力を発揮することができる。
前記式(1)で表される化合物は、例えば、触媒の存在下、脂肪族アルコールにアルキル又はアルケニルグリシジルエーテルを反応させてグリセリンジアルキル又はアルケニルエーテルを得、得られたグリセリンジアルキル又はアルケニルエーテルにグリシドールを反応させる方法により製造することができる。
より具体的には、式(1)で表される化合物は、例えば、下記工程(1)及び工程(2)を経て製造することができる。尚、下記式中のR1、R2、nは前記に同じ。
工程(1):下記式(4)で表されるアルコールに下記式(5)で表されるグリシジルエーテルを反応させることにより下記式(6)で表される2級ヒドロキシル基を有するグリセリンジアルキルエーテルを得る
工程(2):工程(1)で得られた下記式(6)で表される2級ヒドロキシル基を有するグリセリンジアルキルエーテル1当量に対し、グリシドールをn当量反応させる
Figure 0005804982
式(4)で表されるアルコールにおけるR1は、上記式(1)で表される化合物におけるR1に対応し、ヒドロキシル基を有していてもよい直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は直鎖状若しくは分岐鎖状のアルケニル基であり、炭素数8〜20(更に好ましくは炭素数8〜18、特に好ましくは10〜18、最も好ましくは10〜16)の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基(特に好ましくは、直鎖状アルキル基)が好ましい。
式(4)で表されるアルコールとしては、例えば、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール等の飽和アルコール;オレイルアルコール、イソオレイルアルコール、リノリルアルコール、リノレニルアルコール等の不飽和アルコール等を挙げることができる。これらは単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
式(5)で表されるグリシジルエーテルにおけるR2は、上記式(1)で表される化合物におけるR2に対応し、ヒドロキシル基を有していてもよい直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は直鎖状若しくは分岐鎖状のアルケニル基であり、炭素数8〜20(更に好ましくは炭素数8〜18、特に好ましくは10〜18、最も好ましくは10〜16)の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基(特に好ましくは、直鎖状アルキル基)が好ましい。
式(5)で表されるグリシジルエーテルとしては、例えば、デシルグリシジルエーテル、ウンデシルグリシジルエーテル、ラウリルグリシジルエーテル、トリデシルグリシジルエーテル、ミリスチルグリシジルエーテル、ステアリルグリシジルエーテル、イソステアリルグリシジルエーテル等のR2が直鎖状又は分岐鎖状アルキル基であるグリシジルエーテル;オレイルグリシジルエーテル、イソオレイルグリシジルエーテル、リノリルグリシジルエーテル(=リノレニルグリシジルエーテル)等のR2が直鎖状又は分岐鎖状アルケニル基であるグリシジルエーテル等を挙げることができる。これらは単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
上記工程(1)の反応における式(5)で表されるグリシジルエーテルの使用量としては、式(4)で表されるアルコール 1当量に対して、例えば3〜10当量程度、好ましくは6〜8当量である。式(5)で表されるグリシジルエーテルの使用量が上記範囲を外れると、上記式(1)で表される化合物の収率が低下する傾向がある。
上記工程(1)の反応は、酸触媒の存在下で行うことが好ましい。酸触媒としては、プロトン酸、ルイス酸の何れも使用できる。プロトン酸としては、例えば、超強酸(SbF5、SbF5−HF、SbF5−FSO3H、SbF5−CF3SO3H等)、硫酸、塩酸、リン酸、フッ化ホウ素酸、p−トルエンスルホン酸、クロロ酢酸、ピクリン酸、ヘテロポリ酸等の有機酸及び無機酸を挙げることができる。また、ルイス酸としては、例えば、BF3、BF3O(C252、AlCl3、FeCl3、スズテトライソプロポキシド等のスズアルコキシド;四塩化スズ(=塩化スズ(IV))、四臭化スズ等のスズハライド等)等を挙げることができる。
前記酸触媒の使用量としては、式(4)で表されるアルコールに対して、例えば0.5〜6モル%程度、好ましくは1〜5モル%である。酸触媒の使用量が上記範囲を上回ると、副生成物の生成が促進されるため、上記式(1)で表される化合物の純度が低下する傾向がある。一方、酸触媒の使用量の使用量が上記範囲を下回ると、上記式(1)で表される化合物の収率が低下する傾向がある。
工程(1)の反応温度としては、例えば、50〜150℃程度、好ましくは60〜100℃である。反応時間は、例えば30分〜5時間程度、好ましくは30分〜2時間である。
工程(1)の反応の雰囲気は反応を阻害しない限り特に限定されず、例えば、空気雰囲気、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等の何れであってもよい。また、反応はバッチ式、セミバッチ式、連続式等の何れの方法で行うこともできる。
反応終了後、反応生成物は、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出等の分離手段や、これらを組み合わせた分離手段により分離精製できる。
工程(2)の反応は、塩基性触媒の存在下で行うことが好ましい。
前記塩基性触媒としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素セシウム等のアルカリ金属炭酸水素塩;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等のアルカリ土類金属水酸化物;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等のアルカリ土類金属炭酸塩;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド;酢酸ナトリウム等のアルカリ金属有機酸塩;トリエチルアミン、ピペリジン、N−メチルピペリジン、ピリジン等のアミン類(第3級アミン等)や含窒素複素環化合物等を挙げることができる。
塩基触媒としては、なかでも、製造コストを抑えることができる点で、ナトリウムメトキシド等のアルカリ金属アルコキシドを使用することが好ましい。
前記塩基性触媒の使用量としては、式(6)で表される2級ヒドロキシル基を有するグリセリンジアルキルエーテルに対して、例えば20〜100モル%程度、好ましくは90〜100モル%である。塩基性触媒の使用量が上記範囲を上回ると、副生成物であるポリグリセリンの生成を助長する傾向がある。一方、塩基性触媒の使用量の使用量が上記範囲を下回ると、式(6)で表される2級ヒドロキシル基を有するグリセリンジアルキルエーテルが未反応のまま残存する傾向がある。
工程(2)の反応の雰囲気は反応を阻害しない限り特に限定されず、例えば、空気雰囲気、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等の何れであってもよい。また、反応はバッチ式、セミバッチ式、連続式等の何れの方法で行うこともできる。
工程(2)の反応温度としては、例えば、50〜150℃程度、好ましくは60〜120℃である。反応時間は、例えば30分〜24時間程度、好ましくは5時間〜15時間、特に好ましくは7〜12時間である。工程(2)の反応は、例えば、リン酸水溶液、硫酸、塩酸、酢酸等を添加することにより停止することができる。
反応終了後、反応生成物は、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出等の分離手段や、これらを組み合わせた分離手段により分離精製できる。
本発明のポリグリセリンジアルキル又はアルケニルエーテル(100重量%)における式(1)で表される化合物の含有量としては、例えば50重量%以上、好ましくは70重量%以上である。
本発明のポリグリセリンジアルキル又はアルケニルエーテルのHLB(Hydrophile-Lipophile Balance;親水親油バランス)値は、例えば9以上であり、好ましくは11〜14である。ポリグリセリンジアルキル又はアルケニルエーテルのHLB値が上記範囲を下回ると、親水性が低下する傾向がある。HLB値は、例えば有機概念図を用い下記式により算出することができる。尚、化合物の物理化学的物性について、主にVan Der Waals力による物性の程度を「有機性」、主に電気的親和力による物性の程度を「無機性」と称する。「有機性値」及び「無機性値」は、化合物の構造等から、構造各部の合算値として算出することができる(「界面活性劑の合成と其應用」小田良平、寺村一広著(東京:槙書店,1957.3)参照)。また、HLB値の計算式は下記式に限ったものではない。
HLB値=(無機性値÷有機性値)×10
本発明の液晶形成用乳化剤におけるポリグリセリンジアルキル又はアルケニルエーテルの含有量(2種以上を含有する場合は総量)としては、特に限定されることなく適宜調整することができ、例えば、液晶形成乳化組成物全量(100重量%)の0.3重量%以上程度である。ポリグリセリンジアルキル又はアルケニルエーテルの含有量の下限は、好ましくは0.5重量%、特に好ましくは5重量%である。ポリグリセリンジアルキル又はアルケニルエーテルの含有量が上記範囲を下回ると、乳化力が低下する傾向がある。
本発明の液晶形成用乳化剤は、そのままの状態で使用してもよく、例えば高級アルコール、アルキルグリセリルエーテル、モノグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル等と融解混合して均一な混合物とし、それを撹拌しながら室温まで冷却することにより得られる固体状或いはペースト状の組成物として使用してもよい。さらに、使用時の操作性を考慮し、フレーク状又はペレット状に加工しても良い。
[液晶形成乳化組成物]
本発明の液晶形成乳化組成物は、上記液晶形成用乳化剤、油性成分、及び水を混合して得られる液晶形成乳化組成物であって、液晶形成乳化組成物全量に対して下記成分を下記割合で含有することを特徴とする。
ポリグリセリンジアルキル又はアルケニルエーテル:0.1〜30重量%
油性成分:0.1〜99.8重量%
水:0.1〜99.8重量%
(ポリグリセリンジアルキル又はアルケニルエーテル)
ポリグリセリンジアルキル又はアルケニルエーテルの含有量としては、液晶形成乳化組成物全量(100重量%)の、例えば0.1〜30重量%程度である。ポリグリセリンジアルキル又はアルケニルエーテルの含有量の下限は、好ましくは0.3重量%、特に好ましくは0.5重量%、最も好ましくは5重量%である。上限は、好ましくは25重量%、特に好ましくは20重量%、最も好ましくは15重量%である。ポリグリセリンジアルキル又はアルケニルエーテルを上記範囲で含有すると、ラメラ液晶やヘキサゴナル液晶等の液晶構造を安定的に形成することができる。
(油性成分)
油性成分としては通常、化粧品で利用できる油性成分であって、常温(15〜25℃)で液状及び/又はペースト状の油性成分を好適に使用することができる。また、固形状の油性成分であっても、液状を保持するに影響がない程度であれば配合することができる。本発明の油性成分としては、例えば、天然動植物油脂、半合成油脂、炭化水素、高級脂肪酸、エステル油、グリセライド油、シリコーン油、精油成分(動植物由来、又は合成)、脂溶性ビタミン等を単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
前記天然動植物油脂類、及び半合成油脂としては、例えば、アボガド油、アマニ油、アーモンド油、オリーブ油、小麦胚芽油、ゴマ油、米胚芽油、米糠油、サフラワー油、大豆油、月見草油、トウモロコシ油、菜種油、馬脂、牛脂、パーム油、パーム核油、ヒマシ油、ヒマワリ油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、ヤシ油、硬化ヤシ油、落花生油、ラノリン等を挙げることができる。これらは単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
前記炭化水素としては、例えば、スクワラン、スクワレン、流動パラフィン、ワセリン等を挙げることができる。これらは単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
前記高級脂肪酸としては、例えば、オレイン酸、トール油、イソステアリン酸等を挙げることができる。これらは単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
前記エステル油としては、例えば、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、イソステアリン酸イソステアリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、2−エチルヘキサン酸セチル、ジ−2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、イソオクタン酸セチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルラウリル、オレイン酸デシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、コハク酸−2−エチルヘキシル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、セバシン酸ジイソプロピル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸イソオクチル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸−2−ヘキシルデシル、パルミチン酸−2−ヘプチルウンデシル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、オレイン酸フィトステリル、リンゴ酸ジイソステアリル、パラメトキシケイ皮酸エステル、テトラロジン酸ペンタエリスリット等を挙げることができる。これらは単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
前記グリセライド油としては、例えば、トリイソオクタン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリテトラデカン酸グリセリル、ジパラメトキシケイ皮酸・モノイソオクチル酸グリセリル等を挙げることができる。これらは単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
前記シリコーン油としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、オクタメチルシクロペンタシロキサン、デカメチルシクロヘキサシロキサン、ステアロキシシリコーン等の高級アルコキシ変成シリコーン、アルキル変成シリコーン、高級脂肪族炭素基エステル変性シリコーン等を挙げることができる。これらは単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
前記脂溶性ビタミンとしては、例えば、トコフェロールやその誘導体、レチノールやその誘導体等を挙げることができる。これらは単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
油性成分の配合量としては、液晶形成乳化組成物全量(100重量%)の、例えば0.1〜99.8重量%程度である。油性成分の含有量の下限は、好ましくは5重量%、特に好ましくは10重量%である。上限は、好ましくは80重量%、特に好ましくは70重量%である。油性成分の含有量が上記範囲を外れると、乳化安定性が低下する傾向がある。
(水)
水としては、硬水、軟水の何れでもよく、例えば、工業用水、水道水、イオン交換水、蒸留水等を使用することができる。
水の配合量としては、例えば、液晶形成乳化組成物全量(100重量%)の0.1〜99.8重量%程度である。水の含有量の下限は、好ましくは5重量%、特に好ましくは10重量%である。上限は、好ましくは80重量%、特に好ましくは70重量%である。水の含有量が上記範囲を外れると、乳化安定性が低下する傾向がある。
(他の成分)
本発明の液晶形成乳化組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、上記成分以外にも一般に化粧品に使用される他の成分を配合してもよい。他の成分としては、例えば、上記以外の界面活性剤、高級アルコール、アルキルグリセリルエーテル、脂肪酸、活性成分、粘度調整剤、色素、香料等を挙げることができる。
前記界面活性剤としては、例えば、POEソルビタンモノオレート、POEソルビタンモノステアレート等のPOEソルビタン脂肪酸エステル類;POEソルビットモノラウレート、POEソルビットモノオレート等のPOEソルビット脂肪酸エステル類;POEグリセリンモノステアレート、POEグリセリンモノイソステアレート、POEグリセリントリイソステアレート等のPOEグリセリン脂肪酸エステル類;POEモノオレート、POEモノイソステアレート等のPOE脂肪酸エステル類;POEラウリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEイソステアリルエーテル、POEステアリルエーテル等のPOEアルキルエーテル類;POE・POPセチルエーテル、POE・POPデシルテトラデシルエーテル等のPOE・POPアルキルエーテル類;ショ糖脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル等のノニオン界面活性剤;ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等の脂肪酸セッケン類、ラウリル硫酸ナトリウム、POEラウリル硫酸ナトリウム等の硫酸エステル類;ラウロイルサルコシンナトリウム、ココイル−N−メチルタウリンナトリウム、ラウリルグルタミン酸ナトリウム等のアシル化アミノ酸塩類;モノラウリルリン酸ナトリウム等のリン酸エステル塩等のアニオン界面活性剤;第4級アンモニウム塩等のカチオン界面活性剤等を挙げることができる。
前記高級アルコールとしては、例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等を挙げることができる。
前記アルキルグリセリルエーテルとしては、例えば、バチルアルコール、キミルアルコール、セラキルアルコール及びそれらの脂肪酸エステル等を挙げることができる。
前記脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸等を挙げることができる。
前記活性成分としては、例えば、アスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、パルミチン酸アスコルビル、ステアリン酸アスコルビル、テトライソパルミチン酸アスコルビル、アスコルビン酸グルコシド、アルブチン、エラグ酸、ルシノール等の美白剤;水溶性コラーゲン、エラスチン、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、セラミド等の肌荒れ防止剤;レチノール、ビタミンA酸(レチノイン酸)等の抗老化剤;アミノ酸、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウム等の保湿成分;ミコナゾール硝酸塩等の抗菌剤;各種ビタミン類やその誘導体等を挙げることができる。
前記他の成分の配合量としては、例えば、液晶形成乳化組成物全量(100重量%)の10重量%以下である。本発明においては、なかでも、ポリオキシエチレン(POE)系界面活性剤の配合量は、液晶形成乳化組成物全量(100重量%)の5重量%以下(好ましくは2重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下、特に好ましくは0.1重量%以下、最も好ましくはゼロ)であることが、皮膚刺激性を最小にし、安全性を向上することができる点で望ましい。
液晶形成乳化組成物の調製は、パドルミキサー、ホモミキサー等の通常の乳化装置を使用して行うことができ、例えば、80℃以上の温度で油性成分、液晶形成用乳化剤、水、及び必要に応じて他の成分を加熱溶解混合し、その後、35℃以下になるまで撹拌しつつ冷却する方法;予め、油性成分、液晶形成用乳化剤、及び必要に応じて他の成分を、50〜120℃で融解混合しておき、乳化装置で撹拌下、50〜80℃の温水を投入する方法;予め、油性成分、液晶形成用乳化剤、及び必要に応じて他の成分を、50〜120℃で融解混合しておいたものを、乳化装置で撹拌下、50〜80℃の温水中に投入する方法等により行うことができる。
本発明の液晶形成乳化組成物は、経時的に安定な液晶構造を有することを特徴とする。液晶構造は、例えば、偏光顕微鏡を使用してマルターゼクロス像を観察することにより確認することができる。
また、本発明の液晶形成乳化組成物は、そのエマルション粒子界面膜中に多量の水分を保持していることを特徴とする。その水分の存在は、例えば、水溶性蛍光物質であるカルセインを配合して調製した液晶形成乳化組成物をゲルろ過クロマトグラフィで分離し、カルセイン溶解相を蛍光顕微鏡で観察することにより確認することができる。
本発明の液晶形成乳化組成物は、上記構成を有するため、安全性に優れ、且つ、皮膚に塗布された後、長時間に亘って継続的に所望の効果(例えば、保湿効果、美白効果、抗老化効果、抗菌効果、スキンケア効果等の皮膚状態改善効果)を発現することができる。本発明の液晶形成乳化組成物は化粧料や、皮膚治療薬(軟膏タイプ、クリームタイプ、ジェルタイプ、ローションタイプ)等に好適に使用できる。
[化粧料]
本発明の化粧料は、上記液晶形成乳化組成物を含有することを特徴とする。
本発明の化粧料は、例えば、保湿クリーム、エモリエントクリーム、マッサージクリーム、保湿美容液、保湿ローション、エモリエント乳液等のスキンケア化粧料等として好適に使用することができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
製造例1(ジラウリルグリセロールの製造)
下記ラウリルグリシジルエーテル1当量に対して8当量となる量のラウリルアルコール(和光純薬工業(株)製試薬、1490g)を仕込んだ後、窒素雰囲気下、1mol%塩化スズ(IV)(2g)を添加し、反応温度を80℃に維持しつつ、ラウリルグリシジルエーテル(四日市合成(株)製、242g)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間の熟成を行い、反応を停止するため水を加えた。
得られた反応粗液に、炭酸カリウム(和光純薬工業(株)製、2g)を加え、水分を除去した後に、ヘプタン(和光純薬工業(株)製、800g)にて希釈した。
ブフナー漏斗を使用して吸引ろ過し、少量のヘプタンで反応器のリンスを行い、ろ液を得た。
ろ液中のヘプタンをエバポレーターで留去後、150℃、減圧度2mmHgの減圧留去をすることにより未反応のラウリルグリシジルエーテル留去し、ジラウリルグリセロール 340gを得た。
製造例2(ジミリスチルグリセロールの製造)
ラウリルグリシジルエーテルに代えてミリスチルグリシジルエーテルを使用し、ラウリルアルコールに代えてミリスチルアルコールを使用した以外は製造例1と同様にして、ジミリスチルグリセロールを得た。
調製例1(ウンデカグリセリンジラウリルエーテルの製造)
製造例1で得られたジラウリルグリセロール 34gに対し、200℃、2mmHgでラウリルグリシジルエーテルを留去した後、28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液(4g)を加え、100℃、2mmHg、10時間、減圧留去することによりメタノールを留去した。
その後、上記ジラウリルグリセロール1当量に対して10当量となる量のグリシドール(74g)を、100℃を維持しつつ、10時間かけて滴下し、1時間の熟成を経て、85%リン酸水溶液 2gを加えて反応を停止した。
得られた反応粗液にメタノール 80gを加え希釈した。
その後、加圧ろ過にて粗液中のリン酸塩を除去した後、150℃、常圧にてメタノールを留去し、さらに2mmHgで他の低沸成分を留去することによりウンデカグリセリンジラウリルエーテル(HLB:13.1) 100gを得た。
調製例2(ウンデカグリセリンジミリスチルエーテルの製造)
製造例1で得られたジラウリルグリセロールに代えて、製造例2で得られたジミリスチルグリセロールを使用した以外は調製例1と同様にして、ウンデカグリセリンジミリスチルエーテル(HLB:12.3)を得た。
実施例1〜4、比較例1〜4
原料を、下記表に示される割合(重量%)で配合し、アンカーミキサーを使用して、80℃以上にて加熱溶解混合し、その後、35℃以下になるまで撹拌しつつ冷却して乳化組成物を得た。得られた乳化組成物について、下記の方法により評価した。
[乳化状態]
実施例及び比較例で得られた乳化組成物の外観性状を目視で観察し、下記基準に従って評価した。
評価基準
分離していない:○
一部分離が見られる:△
油水比率で分離が見られた:×
[液晶形成性]
実施例及び比較例で得られた乳化組成物を、偏光顕微鏡を使用して液晶の形成を確認し、下記基準に従って評価した。
評価基準:
液晶形成:○
液晶非形成:×
上記結果を下記表にまとめて示す。
Figure 0005804982
上記結果より、本発明の乳化組成物は、乳化性及び乳化安定性に優れ、且つ、ラメラ液晶を有することが分かった。

Claims (5)

  1. 下記式(1)
    Figure 0005804982
    (式中、R1、R2は、同一又は異なって、ヒドロキシル基を有していてもよい炭素数8〜20の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数8〜20の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルケニル基である。nはグリセリン単位の数を示し、2以上の整数である)
    で表される化合物を含むポリグリセリンジアルキル又はアルケニルエーテルを含有する液晶形成用乳化剤。
  2. ポリグリセリンジアルキル又はアルケニルエーテルのHLB値が9以上である請求項1に記載の液晶形成用乳化剤。
  3. 請求項1又は2に記載の液晶形成用乳化剤、油性成分、及び水を混合して得られる液晶形成乳化組成物であって、液晶形成乳化組成物全量に対して下記成分を下記割合で含有する液晶形成乳化組成物。
    ポリグリセリンジアルキル又はアルケニルエーテル:0.1〜30重量%
    油性成分:0.1〜99.8重量%
    水:0.1〜99.8重量%
  4. ポリオキシエチレン型界面活性剤の含有量が液晶形成乳化組成物全量の5重量%以下である請求項3に記載の液晶形成乳化組成物。
  5. 請求項3又は4に記載の液晶形成乳化組成物を含有する化粧料。
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