JP3722234B2 - 車両の総合制御装置の故障処理方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、車両の総合制御装置の故障処理方法に関し、特に、スリップ制御用CPUをエアバッグ制御用CPUで監視し、両CPUの一方又は両方の故障時や両CPUに付属する外部デバイスの一方又は両方の故障時に、適切に処理できるようにしたものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両においては、スリップ制御装置として、アンチスキッドブレーキ装置やトラクション制御装置等が装備されることがある。アンチスキッドブレーキ装置は、車両のブレーキ油圧を制御して各車輪の制動力を調整することにより、制動時における車輪のロックないしスキッド状態の発生を防止するものである。一方、トラクション制御装置は、車両の発進時や加速時に駆動輪が過大な駆動力によりスリップして駆動ロスが生じ、加速性が低下するのを防止する為に、駆動輪のスリップを検出し、そのスリップ量が路面の摩擦係数に対応する目標スリップ量となるように、駆動輪のブレーキ液圧やエンジン出力を制御して駆動力を調整するものである。尚、アンチスキッドブレーキ装置やトラクション制御装置においては、車輪のスキッド状態ないしはスリップ量を求める為に、センサにより車輪速を検出するとともに、その変化率である車輪加減速度を算出するのが一般的である。また、前記アンチスキッドブレーキ装置は、標準仕様の装備品になることが多く、トラクション制御装置は、オプションの装備品になることが多いことから、アンチスキッドブレーキ装置用の制御部と、トラクション制御装置用の制御部とが、別個に設けられることが多い。
【0003】
一方、車両においては、衝突時における乗員の安全を確保する為に、エアバッグ装置が装備されることがある。エアバッグ装置は、通常、エアバッグとガス発生器と制御部とを有し、車両の衝突時にガス発生器が作動してエアバッグを車室内に向けて膨張展開させ、これにより、衝突時に先方へ移動しようとする乗員の頭部や胸部を拘束して保護するものであり、エアバッグ装置は、標準仕様の装備品になりつつある。このエアバッグ装置では、通常、車両の前後加速度を検出する加減速度センサと、車両の減速度が所定値を超えたときに切換え動作する減速度スイッチとを備え、加減速度センサで検出した車両の前後加減速度が所定値を超え、減速度スイッチが切換え動作したとき、エアバッグを展開させるように構成してある。
【0004】
ここで、特開平5−155309号公報には、エアバッグ装置のインフレータの電気ヒータをコンデンサからなる高圧電源と、バッテリから低圧電源とに選択的に接続可能に構成し、低圧電源に接続した状態で、各部の電圧を測定して、電気ヒータや通電回路の故障診断を行うようにしたエアバッグ装置起動装置が記載されている。また、特開昭59−130768号公報には、アンチスキッドブレーキ装置の誤動作防止の為、その制御部に2つの同一容量・同一機能のCPUを設けて、同一の演算処理を実行させ、両CPUの演算結果を比較して、CPUのフェールを判定するようにした制御装置が提案されているが、この装置では、2つの同一容量・同一機能のCPUを設ける必要があるので、製作コスト的に不利である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来では、スリップ制御装置の制御部は、その他の装置の制御部と接続することなく、単独の機能の制御部として装備されていたので、その制御部の故障時には、スリップ制御装置を機能停止状態に切換えるだけで済む。しかし、本願出願人は、スリップ制御装置のスリップ制御用CPUと、エアバッグ装置のエアバッグ制御用CPUとを相互に信号授受可能に接続し、スリップ制御用CPUをエアバッグ制御用CPUで監視するようにし、且つ、スリップ制御用の車輪速情報を、スリップ制御用CPUからエアバッグ制御用CPUに供給するようにした総合制御装置を実用化しつつある。
【0006】
この総合制御装置においては、スリップ制御用CPUが故障すると車輪速情報を供給不能になるため、エアバッグ装置が作動不能となり、また、エアバッグ制御用CPUが故障するとスリップ制御用CPUを監視不能となるため、スリップ制御装置の信頼性が低下するという問題がある。また、スリップ制御部におけるCPU以外の外部デバイスの故障時に、スリップ制御部の全体を機能停止状態にすると、前記スリップ制御用CPUの故障時と同様の問題が生じるし、また、エアバッグ制御部におけるCPU以外の外部デバイスの故障時に、エアバッグ制御部の全体を機能停止状態にすると、前記エアバッグ制御用CPUの故障時と同様の問題が生じる。つまり、この種々の総合制御装置においては、一方の制御部のCPUやそれに付属する外部デバイスの故障の際、その影響を最小限に止めるが非常に難しく、且つ重要な課題である。
【0007】
本発明の目的は、車両の総合制御装置におけるCPUや外部デバイスの故障処理に際して、その影響を最小限に止めること、誤動作を防止すること、信頼性の低下を防止すること、故障からの早期回復を図ること、等である。
【0008】
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の車両の総合制御装置の故障処理方法は、車両の過大なスリップを抑制するように駆動力又は制動力を制御するスリップ制御装置と、車両衝突時にエアバッグが展開して乗員を保護するエアバッグ装置とを制御する車両の総合制御装置の故障処理方法において、前記スリップ制御装置のスリップ制御部とエアバッグ装置のエアバッグ制御部とを相互に信号を授受可能に予め接続しておき、前記エアバッグ制御部は、スリップ制御部から従動輪速信号を受けてその従動輪速信号から車速を演算すると共に加速度センサからの検出信号を受け、上記演算された車速が所定の設定速度以下であり且つ加速度センサで検出された加速度の絶対値が衝突判定しきい値以上であるか否かを判定し、その条件を満たした際にエアバッグ装置作動信号を出力するものであり、前記エアバッグ制御部のCPUにスリップ制御部のCPUを監視させ、前記スリップ制御用CPUが故障したときには、スリップ制御部を機能停止状態にし、エアバッグ制御部を作動状態に維持し、このエアバッグ制御部は、前記従動輪速信号を使用せずに、加速度センサからの検出信号のみを衝突判定に用いるとともに、比較対象である衝突判定しきい値を、前記衝突判定しきい値よりも高い値に変更して変更後のしきい値を超えたことを条件にエアバッグ装置作動信号を出力するものである。
【0010】
【0011】
請求項2の車両の総合制御装置の故障処理方法は、請求項1の発明において、前記エアバッグ制御用CPUが故障したときには、スリップ制御用CPUとエアバッグ制御用CPUの両方を機能停止状態にするものである。
請求項3の車両の総合制御装置の故障処理方法は、請求項1の発明において、前記スリップ制御用CPUとエアバッグ制御用CPUの両方が故障したときには、エアバッグ制御用CPUをリセットし、このエアバッグ制御用CPUが正常に復帰したときには、エアバッグ制御部を作動状態にするものである。
請求項4の車両の総合制御装置の故障処理方法は、請求項1の発明において、前記エアバッグ制御用CPUが正常に復帰したときには、スリップ制御用CPUをリセットするものである。
【0012】
請求項5の車両の総合制御装置の故障処理方法は、請求項1の発明において、前記エアバッグ制御用CPUが故障したときには、スリップ制御部とエアバッグ制御部の両方を機能停止状態にするものである。
【0013】
【0014】
請求項6の車両の総合制御装置の故障処理方法は、請求項1の発明において、前記スリップ制御用CPUとエアバッグ制御用CPUの一方が故障したときには、スリップ制御部とエアバッグ制御部の両方を機能停止状態にするものである。
【0015】
【0016】
請求項7の車両の総合制御装置の故障処理方法は、車両の過大なスリップを抑制するように駆動力又は制動力を制御するスリップ制御装置と、車両衝突時にエアバッグが展開して乗員を保護するエアバッグ装置とを制御する車両の総合制御装置の故障処理方法において、前記スリップ制御装置のスリップ制御部とエアバッグ装置のエアバッグ制御部とを相互に信号を授受可能に予め接続しておき、前記エアバッグ制御部のCPUにスリップ制御部のCPUを監視させ、前記エアバッグ制御部のCPUに信号授受可能なエアバッグ制御用の外部デバイスが故障したときには、エアバッグ制御用CPUにスリップ制御用CPUの監視を継続させ、スリップ制御部を作動状態にするものである。
【0017】
請求項8の車両の総合制御装置の故障処理方法は、請求項7の発明において、前記スリップ制御部のCPUと信号授受可能なスリップ制御用の外部デバイスが故障したときには、スリップ制御部を機能停止状態にし、エアバッグ制御部を作動状態にするものである。 請求項9の車両の総合制御装置の故障処理方法は、車両の過大なスリップを抑制するように駆動力又は制動力を制御するスリップ制御装置と、車両衝突時にエアバッグが展開して乗員を保護するエアバッグ装置とを制御する車両の総合制御装置の故障処理方法において、前記スリップ制御装置のスリップ制御部とエアバッグ装置のエアバッグ制御部とを相互に信号を授受可能に予め接続しておき、前記エアバッグ制御部のCPUにスリップ制御部のCPUを監視させ、前記スリップ制御部のCPUと信号授受可能なスリップ制御用の外部デバイスが故障したときには、スリップ制御部を機能停止状態にし、エアバッグ制御部を作動状態にするものである。
【0018】
請求項10の車両の総合制御装置の故障処理方法は、車両の過大なスリップを抑制するように駆動力又は制動力を制御するスリップ制御装置と、車両衝突時にエアバッグが展開して乗員を保護するエアバッグ装置とを制御する車両の総合制御装置の故障処理方法において、前記スリップ制御装置のスリップ制御部とエアバッグ装置のエアバッグ制御部とを相互に信号を授受可能に予め接続しておき、前記エアバッグ制御部のCPUにスリップ制御部のCPUを監視させ、前記スリップ制御用CPUからエアバッグ制御用CPUに衝突判定に用いる為の車輪速情報を供給し、前記スリップ制御部のCPUと信号授受可能なスリップ制御用の外部デバイスが故障したときには、スリップ制御用CPUを作動させたままスリップ制御部を機能停止状態にし、エアバッグ制御部を作動状態にするものである。
【0019】
請求項11の車両の総合制御装置の故障処理方法は、請求項8の発明において、前記エアバッグ制御用の外部デバイスが故障したときには、エアバッグ制御部を機能停止状態にするものである。
請求項12の車両の総合制御装置の故障処理方法は、車両の過大なスリップを抑制するように駆動力又は制動力を制御するスリップ制御装置と、車両衝突時にエアバッグが展開して乗員を保護するエアバッグ装置とを制御する車両の総合制御装置の故障処理方法において、前記スリップ制御装置のスリップ制御部とエアバッグ装置のエアバッグ制御部とを相互に信号を授受可能に予め接続しておき、前記エアバッグ制御部のCPUにスリップ制御部のCPUを監視させ、前記スリップ制御部のCPUと信号授受可能なスリップ制御用の外部デバイスと、エアバッグ制御部のCPUと信号授受可能なエアバッグ制御用の外部デバイスとの両方が故障したときには、スリップ制御部とエアバッグ制御部の両方を機能停止状態にするものである。
【0020】
請求項13の車両の総合制御装置の故障処理方法は、車両の過大なスリップを抑制するように駆動力又は制動力を制御するスリップ制御装置と、車両衝突時にエアバッグが展開して乗員を保護するエアバッグ装置とを制御する車両の総合制御装置の故障処理方法において、前記スリップ制御装置のスリップ制御部とエアバッグ装置のエアバッグ制御部とを相互に信号を授受可能に予め接続しておき、前記エアバッグ制御部のCPUにスリップ制御部のCPUを監視させ、前記スリップ制御部のCPUと信号授受可能なスリップ制御用の外部デバイスと、エアバッグ制御部のCPUと信号授受可能なエアバッグ制御用の外部デバイスとの何れか一方が故障したときには、スリップ制御部とエアバッグ制御部の両方を機能停止状態にするものである。
【0021】
【発明の作用及び効果】
【0022】
請求項1の発明によれば、スリップ制御装置とエアバッグ装置とを制御する車両の総合制御装置における、スリップ制御装置のスリップ制御部とエアバッグ装置のエアバッグ制御部とを相互に信号を授受可能に予め接続しておき、エアバッグ制御部のCPUにスリップ制御部のCPUを監視させ、スリップ制御用CPUからエアバッグ制御用CPUに衝突判定に用いる従動輪速信号を供給し、スリップ制御用CPUが故障したときには、スリップ制御部を機能停止状態にし、エアバッグ制御部を作動状態に維持し、エアバッグ制御部は、前記従動輪速信号を使用せずに、加速度センサからの検出信号のみを用いて衝突を判定する。従って、エアバッグ制御用CPUを有効活用してスリップ制御用CPUを監視でき、スリップ制御装置の誤動作を防止でき、スリップ制御用CPUから従動輪速信号が供給されなくとも、エアバッグ装置の作動を確保できる。
【0023】
そして、加速度センサからの検出信号のみに基づいて衝突を判定する際には、衝突判定しきい値を、前記加速度センサで検出した加速度と従動輪速信号から求めた車速とに基づいて衝突判定する場合の衝突判定しきい値よりも高く変更するため、ノイズ等の影響でエアバッグ装置が誤作動するのを防止できる。
【0024】
請求項2の発明によれば、エアバッグ制御用CPUが故障したときには、スリップ制御用CPUとエアバッグ制御用CPUの両方を機能停止状態にする。従って、エアバッグ制御用CPUが故障しスリップ制御用CPUを監視不能の状態でスリップ制御装置を作動させるのを防止して、スリップ制御の信頼性低下を防止できる。
【0025】
請求項3の発明によれば、スリップ制御用CPUとエアバッグ制御用CPUの両方が故障したときには、エアバッグ制御用CPUをリセットし、このエアバッグ制御用CPUが正常に復帰したときには、エアバッグ制御部を作動状態にする。従って、エアバッグ制御用CPUの早期回復を図り、エアバッグ装置の早期回復を図ることができる。
【0026】
請求項4の発明によれば、エアバッグ制御用CPUが正常に復帰したときには、スリップ制御用CPUをリセットするので、スリップ制御用CPUの早期回復と、スリップ制御装置の早期回復を図ることができる。
【0027】
請求項5の発明によれば、エアバッグ制御用CPUが故障したときには、スリップ制御部とエアバッグ制御部の両方を機能停止状態にする。従って、エアバッグ制御用CPUを有効活用してスリップ制御用CPUを監視でき、エアバッグ制御用CPUの故障によりスリップ制御用CPUを監視できない状態でスリップ制御装置を作動させて誤動作させるのを防止できる。
【0028】
【0029】
請求項6の発明によれば、スリップ制御用CPUとエアバッグ制御用CPUの一方が故障したときには、スリップ制御部とエアバッグ制御部の両方を機能停止状態にする。従って、スリップ制御装置とエアバッグ装置の誤動作を確実に防止できる。
【0030】
【0031】
請求項7の発明によれば、スリップ制御装置とエアバッグ装置とを制御する総合制御装置における、スリップ制御装置のスリップ制御部とエアバッグ装置のエアバッグ制御部とを相互に信号を授受可能に予め接続しておき、エアバッグ制御部のCPUにスリップ制御部のCPUを監視させ、エアバッグ制御部のCPUと信号授受可能なエアバッグ制御用の外部デバイスが故障したときには、エアバッグ制御用CPUにスリップ制御用CPUの監視を継続させ、スリップ制御部を作動状態にする。従って、エアバッグ制御用CPUを有効活用してスリップ制御用CPUを監視でき、スリップ制御用CPUの監視を継続することで、スリップ制御装置の作動を確保でき、スリップ制御の信頼性低下を防止できる。
【0032】
請求項8の発明によれば、スリップ制御部のCPUと信号授受可能なスリップ制御用の外部デバイスが故障したときには、スリップ制御部を機能停止状態にし、エアバッグ制御部を作動状態にする。従って、エアバッグ装置の作動を極力確保できる。
【0033】
請求項9の発明によれば、スリップ制御装置とエアバッグ装置とを制御する総合制御装置における、スリップ制御装置のスリップ制御部とエアバッグ装置のエアバッグ制御部とを相互に信号を授受可能に予め接続しておき、エアバッグ制御部のCPUにスリップ制御部のCPUを監視させ、スリップ制御部のCPUと信号授受可能なスリップ制御用の外部デバイスが故障したときには、スリップ制御部を機能停止状態にし、エアバッグ制御部を作動状態にする。従って、エアバッグ制御用CPUを有効活用してスリップ制御用CPUを監視でき、エアバッグ装置の作動を極力確保できる。
【0034】
請求項10の発明によれば、スリップ制御装置とエアバッグ装置とを制御する総合制御装置における、スリップ制御装置のスリップ制御部とエアバッグ装置のエアバッグ制御部とを相互に信号を授受可能に予め接続しておき、エアバッグ制御部のCPUにスリップ制御部のCPUを監視させ、スリップ制御用CPUからエアバッグ制御用CPUに衝突判定に用いる為の車輪速情報を供給し、スリップ制御部のCPUと信号授受可能なスリップ制御用の外部デバイスが故障したときには、スリップ制御用CPUを作動させたままスリップ制御部を機能停止状態にし、エアバッグ制御部を作動状態にする。従って、エアバッグ制御用CPUを有効活用してスリップ制御用CPUを監視でき、スリップ制御用CPUからエアバッグ制御用CPUへの車輪速情報の供給が停止するのを防止して、エアバッグ装置の作動を確保でき、スリップ制御装置の誤動作を防止できる。
【0035】
請求項11の発明によれば、請求項8における前記エアバッグ制御用の外部デバイスが故障したときには、エアバッグ制御部を機能停止状態にする。従って、エアバッグ装置が誤動作するのを確実に防止できる。
【0036】
請求項12の発明によれば、スリップ制御装置とエアバッグ装置とを制御する総合制御装置における、スリップ制御装置のスリップ制御部とエアバッグ装置のエアバッグ制御部とを相互に信号を授受可能に予め接続しておき、エアバッグ制御部のCPUにスリップ制御部のCPUを監視させ、スリップ制御部のCPUと信号授受可能なスリップ制御用の外部デバイスと、エアバッグ制御部のCPUと信号授受可能なエアバッグ制御用の外部デバイスとの両方が故障したときには、スリップ制御部とエアバッグ制御部の両方を機能停止状態にする。従って、エアバッグ制御用CPUを有効活用してスリップ制御用CPUを監視でき、スリップ制御装置が誤動作するのを防止でき、エアバッグ装置が誤動作するのを防止できる。
【0037】
請求項13の発明によれば、スリップ制御装置とエアバッグ装置とを制御する総合制御装置における、スリップ制御装置のスリップ制御部とエアバッグ装置のエアバッグ制御部とを相互に信号を授受可能に予め接続しておき、エアバッグ制御部のCPUにスリップ制御部のCPUを監視させ、スリップ制御部のCPUと信号授受可能なスリップ制御用の外部デバイスと、エアバッグ制御部のCPUと信号授受可能なエアバッグ制御用の外部デバイスとの何れか一方が故障したときには、スリップ制御部とエアバッグ制御部の両方を機能停止状態にする。従って、エアバッグ制御用CPUを有効活用してスリップ制御用CPUを監視でき、スリップ制御装置が誤動作するのを防止でき、エアバッグ装置が誤動作するのを防止できる。
【0038】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面に基いて説明する。本実施例は、アンチスキッドブレーキ装置とエアバッグ装置とを備えた車両の総合制御装置の故障処理方法に本発明を適用した場合の一例である。最初に、この車両のアンチスキッドブレーキ装置について説明する。第1図に示すように、左右の前輪1,2が従動輪、左右の後輪3,4が駆動輪とされ、エンジン5の出力トルクが自動変速機6からプロペラシャフト7、差動装置8および左右の駆動軸9,10を介して左右の後輪3,4に伝達されるように構成してある。
【0039】
各車輪1〜4には、車輪と一体的に回転するディスク11a〜14aと、制動圧の供給を受けて、これらディスク11a〜14aの回転を制動するキャリパ11b〜14b等からなるブレーキ装置11〜14が夫々設けられ、これらのブレーキ装置11〜14を作動させる為の液圧系として、ブレーキペダル16の踏込力を増大させる倍力装置17と、この倍力装置17によって増大された踏込力に応じた制動圧を発生させるマスターシリング18と、このマスターシリング18に接続され且つブレーキ装置11〜14へ液圧を供給する液圧ユニット15が設けられ、この液圧ユニット15は、液圧ライン21〜24を介して、夫々キャリパ11b〜14bのホイールシリンダに接続されている。尚、マスターシリング18には、リザーバタンク18aも設けられている。
【0040】
次に、液圧ユニット15について説明する。図2に示すように、液圧ユニット15において、前輪1,2の液圧系に関して、マスターシリンダ18から延びる液圧ライン19から分岐した液圧ライン21には、増圧弁21aと、減圧弁21bとが図示のように接続され、また、同様に、液圧ライン19から分岐した液圧ライン22には、増圧弁22aと、減圧弁22bとが図示のように接続されている。後輪3,4の液圧系に関して、マスターシリンダ18から延びる液圧ライン20から分岐した液圧ライン23には、増圧弁23aと、減圧弁23bとが図示のように接続され、また、同様に、液圧ライン20から分岐した液圧ライン24には、増圧弁24aと、減圧弁24bとが図示のように接続されている。尚、前記増圧弁21a〜24a及び減圧弁21b〜24bは、夫々、デューティソレノイド弁からなる。
【0041】
液圧ライン19に液圧を発生させる為のポンプ26及びリザーバ27と、液圧ライン20に液圧を発生させるポンプ28及びリザーバ29とが設けられ、これらポンプ26,28は、共通のモータ25で駆動される。増圧弁21aを開作動させ、減圧弁21bを閉弁しておくと、キャリパ11bのホイールシリンダの制動圧が増圧され、また、増圧弁21aを閉弁しておき、減圧弁21bを開作動させると、制動圧がリリーフされて制動圧が低下する。このことは、その他の液圧ライン22〜24についても同様である。
【0042】
キャリパ11bのホイールシリンダの液圧を制御する第1チャンネル、キャリパ12bのホイールシリンダの液圧を制御する第2チャンネル、キャリパ13bのホイールシリンダの液圧を制御する第3チャンネル、キャリパ14bのホイールシリンダの液圧を制御する第4チャンネルの各々について、独立に且つ並行的に液圧が制御されるが、車両の制動時に、車輪1〜4の路面に対するスリップを抑制する為に、第1〜第4チャンネルの液圧を独立に制御してアンチスキッドブレーキ制御(ABS制御)を行うABS制御ユニット30が設けられている。
【0043】
図1に示すように、このABS制御ユニット30は、ブレーキペダル16のON/OFFを検出するブレーキスイッチ35からのブレーキ信号と、ハンドル舵角を検出する舵角センサ36からの舵角信号と、車輪1〜4の回転速度を夫々検出する車輪速センサ31〜34からの車輪速信号とを受けて、これらの信号に応じた制動圧制御信号を第1〜第4チャンネルの増圧弁21a〜24aのソレノイドコイルと減圧弁21b〜24bのソレノイドコイルに夫々出力することにより、前後輪1〜4のスリップを抑制するABS制御を、第1〜第4チャンネルに並行して行うようになっている。
【0044】
ABS制御ユニット30は、各車輪速センサ31〜34で検出される車輪速に基いて増圧弁21a〜24aと減圧弁21b〜24bとを夫々開閉制御することにより、スリップの状態に応じて制御された制動圧で前輪1,2と後輪3,4に制動力を付与するようになっている。尚、ABS非制御状態においては、ABS制御ユニット30からは制動圧制御信号が出力されず、減圧弁21b〜24bが閉保持され、且つ増圧弁21a〜24aが開保持される。これにより、ブレーキペダル16の踏込力に応じてマスターシリンダ18で発生した制動圧が、前輪用液圧ライン19及び後輪用液圧ライン20を介してブレーキ装置11〜14に供給され、これらの制動圧に応じた制動力が前輪1,2及び後輪3,4にダイレクトに付与される。
【0045】
一方、図1に示すように、アンチスキッドブレーキ装置とともに車両に装備されるエアバッグ装置は、ステアリングホイール又は車室の適宜個所に配設されるエアバッグユニット37と、そのエアバッグユニット37の作動を制御するエアバッグ制御ユニット40(A/B制御ユニット)とを備えている。前記エアバッグユニット37は、展開可能に折り畳まれたエアバッグ38とインフレータ39(ガス発生器)を有し、車両の衝突時にエアバッグ制御ユニット40からの制御信号に基づいてインフレータ39が作動してエアバッグ38を車室内に向けて膨張展開させ、これにより、衝突時に前方へ移動しよとする乗員の頭部及び胸部を拘束して保護するようになっている。
【0046】
次に、ABS制御ユニット30と、A/B制御ユニット40について説明する。図3に示すように、ABS制御ユニット30は、ABS制御を司る16ビットのCPU(これをABS CPU50とする)と、これに付随する種々の電子機器とで構成され、また、A/B制御ユニット40は、エアバッグユニット37の作動を制御する4ビットのCPU(これをA/B CPU70とする)と、これに付随する種々の電子機器とで構成され、ABS CPU50とA/B CPU70とは、相互に信号を授受可能に接続されている。
【0047】
これらABS CPU50とA/B CPU70は、共通の電源回路42から給電されるが、この電源回路42は、バッテリ43と、ダイオード44と、このダイオード44の出力端に並列の電解コンデンサー45、イグニションスイッチ46等を含む。電源回路42は、ゲート回路47の第1入力端子に接続され、A/B CPU70から供給される作動許可信号Viがゲート回路47の第2入力端子に入力され、このゲート回路47の出力端子は、ABS CPU50の電源端子に接続され、作動許可信号Viが「H」レベルのとき、ゲート回路47は閉成して電源回路42がABS CPU50に接続され、また、作動許可信号Viが「L」レベルのとき、ゲート回路47が開成される。
【0048】
前記ABS制御ユニット30について説明すると、ABS CPU50には、所定のアンチスキッドブレーキ制御の制御プログラムを格納したROMとRAMとを含むメモリ51と、バックアップ用のバッテリ52とが接続されている。前記車輪速センサ31〜34からの検出信号と、舵角センサ36からの検出信号は、入力I/F53を介してABS CPU50に供給される。尚、I/Fはインターフェースのことである。このABS CPU50のウォッチドッグ出力部54a(以下、W/D 出力部54aという)から出力されるウォッチドッグパルスは、ウォッチドッグパルスモニタ(以下、W/D モニタ54という)に入力され、W/D モニタ54の出力信号は、ANDゲート55の第1入力端子に入力され、また、ANDゲート55の第2入力端子には、A/B CPU70から出力許可信号Vr(但し、信号Vr=「H」のとき出力許可、「L」のとき出力不許可)が入力されている。
【0049】
前記ウォッチドッグパルスは、基本的には一定の周期でオン・オフを繰り返す矩形波信号であって、1周期中のオン時間Tonとオフ時間Toff とが一定値に設定されている。このウォッチドッグパルスは、W/D 出力部54aで発生させられるが、ABS CPU50がフェールしているときには、ウォッチドッグパルスが乱れ、オン時間Ton又はオフ時間Toff が大きくなり、又は小さくなる。そこで、W/D モニタ54は、オン時間Ton又はオフ時間Toff が所定の下限値と上限値との間に入っていないときには、ABS CPU50がフェールしていると判定する。W/D モニタ54は、ABS CPU50が正常であると判定したときには、「H」レベルのモニタ信号Vmを出力し、また、ABS CPU50がフェールしたと判定したときには、「L」レベルのモニタ信号Vmを出力する。
【0050】
前記増圧弁21a〜24aと減圧弁21b〜24bの為の駆動回路に関して、これらの弁のソレノイドコイルの一端は、フェールセーフ用のリレースイッチ56を介して電源回路42に接続されており、例えば、増圧弁21aのソレノイドコイル58の他端は、NPN形トランジスタ59を介して接地されている。リレースイッチ56のリレーコイル56aは、NPN形トランジスタ57を介して接地され、前記ANDゲート55の出力信号が、トランジスタ57のベースに入力されている。一方、ソレノイドコイル58とその他のソレノイドコイルを制御する制御信号Csは、ABS CPU50から出力I/F60へ出力され、その制御信号Csに対応する駆動信号がトランジスタ59のベースに入力される。その他のソレノイドコイルの各々は、ソレノイドコイル58と同様に、トランジスタを介して接地され、ABS CPU50からの制御信号Csで制御される。
【0051】
前記ポンプ26,28を駆動するモータ25の駆動回路に関して、モータ25の正極は、フェールセーフ用のリレースイッチ62を介して電源回路42に接続されており、このリレースイッチ62のリレーコイル62aは、NPN形トランジスタ63を介して接地され、ANDゲート55の出力信号が、トランジスタ63のベースに入力されている。また、モータ25の負極は、NPN形トランジスタ64を介して接地され、モータ25を制御する制御信号Cmは、ABS CPU50から出力I/F60へ出力され、その制御信号Cmに対応する駆動信号がトランジスタ64のベースに入力される。更に、ソレノイドコイルの断線をモニターする為、ソレノイドコイル58及びその他のソレノイドコイルの接地側端部は、モニターライン65で、ABS CPU50に接続されている。
【0052】
以上説明したABS制御ユニット30において、電源回路42が正常で、イグニションスイッチ46がオンで、作動許可信号Viが「H」レベルのとき、ABS CPU50は、作動し得る状態にある。そして、モニタ信号Vmが「H」レベルで、出力許可信号Vrが「H」レベルのときには、トランジスタ57,63が導通し、リレースイッチ56,62がONとなるため、制御信号Cs,Cmを出力し、ソレノイドコイル58及びその他のソレノイドコイルと、モータ25とを作動させることができる。但し、作動許可信号Viが「L」レベルのときには、ゲート回路47が開成され、ABS CPU50へ電力が供給されないため、ABS CPU50は機能停止状態になる。また、ABS CPU50へ電力が供給されている場合でも、出力許可信号Vrが「L」レベルのときには、ANDゲート55の出力が「L」レベルとなるため、リレースイッチ56,62が閉成されないから、制御信号Cs,Cmを出力しても無効となり、ABS制御ユニット30は機能停止状態になる。
【0053】
次に、A/B制御ユニット40について説明すると、A/B CPU70には、後述のようにエアバッグユニット37を作動させる為の制御等の制御プログラムとを格納したROMとRAMとを含むメモリ71が接続され、また、バックアップ用のバッテリ72が接続されるとともに、イグニションスイッチ46とゲート回路47の間の電源電圧Vdが、電源端子に入力されている。更に、A/B CPU70には、車体に作用する前後加減速度を検出するGセンサ41の検出信号が入力されるとともに、バーテリ電圧Vbがモニターライン73を介して入力され、故障診断装置74を接続する為の入力I/F75もA/B CPU70に接続されている。前記W/D モニタ54と同様の構成のW/D モニタ76に対して、W/D 出力部76aからウォッチドッグパルス信号が入力され、W/D モニタ76の出力端子は、ABS CPU50のリセットポートと、A/B CPU70のリセットポートに接続されており、このW/D モニタ76とは別に、A/B CPU70から、ABS CPU50のリセットポートにリセット信号Rsを出力できるようになっている。
【0054】
エアバッグユニット37のインフレータ39の電気ヒータ39aの駆動回路に関して、A/B CPU70から制御信号を受ける昇圧回路77には、電源電圧Vdが入力され、この昇圧回路77の出力端子は、PNP形トランジスタ78を介して、エアバッグユニット37のインフレータ39の電気ヒータ39aの一端に接続されるとともに、電気ヒータ39aの他端は、NPN形トランジスタ83を介して接地され、前記トランジスタ78のベースには、NPN形トランジスタ79のコレクタが接続されている。
【0055】
ANDゲート80の第1入力端子には、ABS CPU50から供給される作動許可信号Vaが入力されるとともに、ANDゲート80の第2入力端子には、A/B CPU70から制御信号Ciが入力され、ANDゲート80の出力端子は、出力I/F81を介してトランジスタ79のベースに接続されている。そして、作動許可信号Vaが「H」レベルのとき、A/B CPU70からANDゲート80を介して出力I/F81に制御信号Ciが出力されると、その制御信号Ciに対応する駆動信号が出力I/F81からトランジスタ79のベースに出力される。また、A/B CPU70から出力I/F82に制御信号Cjが出力されると、その制御信号Cjに対応する駆動信号が出力I/F82からトランジスタ83のベースに出力される。
【0056】
従って、作動許可信号Vaが「H」レベルのとき、「H」レベルの制御信号CiがANDゲート80に入力されると、トランジスタ79が導通して、トランジスタ78が導通する。また、「H」レベルの制御信号Cjが出力I/F82に出力されると、トランジスタ83が導通する。つまり、エアバッグユニット37を作動させるときには、「H」レベルの制御信号Ci,Cjが同時に出力され、トランジスタ78,79,83が全て導通して、昇圧回路77からの電力がヒータ39aに通電され、ヒータ39aが加熱することで、インフレータ39が作動し、エアバッグ38が膨張展開することになる。
【0057】
また、ABS CPU50が故障して作動許可信号Vaが出力されなくなった場合に、出力I/F81から「H」レベルの信号を出力可能にするために、A/B CPU70は、出力ライン88により出力I/F81に信号を出力可能に接続されている。尚、ヒータ39aの断線をモニターする為、ヒータ39aの両端は、モニターライン85,86で、A/B CPU70に接続されている。また、出力I/F60をモニターする為、出力I/F60の出力ラインが、モニターライン66を介してA/B CPU70に接続されている。また、A/B CPU70には、ワーニングランプ84も接続されている。
【0058】
次に、A/B CPU70により実行されるエアバッグ作動制御と、ABS CPU50において実行されるエアバッグ作動許可制御について説明する。尚、フローチャート中の符号Si(i=1,2,・・・)は各ステップを示す。
エアバッグ作動制御・・・・・図4参照
このエアバッグ作動制御は、車両の衝突時に、所定の条件下に、エアバッグ装置のエアバッグ38を展開作動させる制御であり、イグニションスイッチ46がオンであれば、A/B CPU70により常時実行される。
【0059】
制御が開始されると、最初にABS CPU50から前輪1,2の車輪速である従動輪速Vw1,Vw2が読み込まれ、その従動輪速Vw1,Vw2の平均値から車速Vcar と、この車速Vcar の時間微分値である前後加減速度Gwとが演算される(S1)。次に、Gセンサ41の検出信号を読込んで、車体に作用した前後加減速度Gsが演算され(S2)、次に、車速Vcar が20Km/H以下か否か判定し(S3)、その判定がYes のときには、前後加減速度Gwの絶対値が所定の衝突判定しきい値C1(例えば、C1=6.0 G)以上か否か判定し(S4)、その判定がYes のときには、S5において加減速度Gsの絶対値が所定の衝突判定しきい値C3(例えば、C3=12.0G)以上か否か判定し、その判定がYes のときには、S6において、車両の衝突が発生したものとして、エアバッグ装置を作動させる。この場合、「H」レベルの制御信号Ci,Cjが出力され、ヒータ39aに通電されてインフレータ39の火薬が点火され、エアバッグ38が膨張展開する。その後制御が終了する。尚、S3は、低車速域か否かを判定するステップであり、前記20Km/Hは一例である。
【0060】
一方、S3の判定がNoのときは、前後加減速度Gwの絶対値が所定の衝突判定しきい値C2(例えば、C2=10.0G、C2>C1)以上か否か判定し(S7)、その判定がYes のときには、S8において加減速度Gsの絶対値が所定の衝突判定しきい値C4(例えば、C4=20.0G、C4>C3)以上か否か判定し、その判定がYes のときには、S6へ移行して、エアバッグ装置を作動させ、その後制御が終了する。これに対して、S4又はS7の判定がNoのときには、S9において(Gw−Gs)の絶対値が所定値α以下か否か判定し、その判定がYes のときには、リターンするが、S9の判定が No の場合には、Gセンサ41が故障したとしてワーニングランプ84にワーニングが出力され(S10)、その後リターンする。尚、S5、S8の判定がNoのときにも、リターンする。
【0061】
以上のように、ABS制御で用いる従動輪速Vw1,Vw2から求めた車速Vcar 及び前後加減速度Gwと、Gセンサ41で検出した前後加減速度Gsとに基づいて、車両の衝突を判定し、エアバッグ装置を作動させるように構成したので、エアバッグ装置の為に通常設ける複数の減速度スイッチを省略して、信頼性を確保しつつも制御系を簡素化することができる。また、S9を介して、Gセンサ41の故障を判定するように構成したため、Gセンサ41の故障を簡単に常時判定して、エアバッグ装置の信頼性を確保できる。但し、図4のエアバッグ作動制御は、ABS CPU50もA/B CPU70も正常な場合の制御であり、後述するように、ABS CPU50が故障した場合には、従動輪速Vw1, Vw2を受信不能になり、また、作動許可信号Vaが出力されないため、A/B CPU70では、Gセンサ41より検出された加減速度Gsのみに基づいて衝突を判定し、衝突発生時には出力ライン88から信号を出力してエアバッグ装置を作動させることになる。
【0062】
エアバッグ作動許可制御・・・・・図5参照
前記A/B CPU70が、ノイズ等の影響で誤動作する可能性があることに鑑み、前記のようにABS CPU50からANDゲート80に作動許可信号Vaを出力するように構成してあり、このエアバッグ作動許可制御は、作動許可信号Vaを発生させる為に、ABS CPU50において常時実行される。制御が開始されると、車輪速センサ31〜34の検出信号が読み込まれ(S30)、次に前輪1,2の車輪速である従動輪速Vw1,Vw2が演算され、この従動輪速Vw1,Vw2の平均値である車速Vcar と、この車速Vcar の時間微分値である前後加減速度Gwが演算される(S31)。
【0063】
次に、S32において、車速Vcar が20Km/H以下か否か判定され、その判定がYes で低車速域のときには、S33において、前後加減速度Gwの絶対値が、所定の作動許可判定しきい値C5(例えば、C5=3.0 G)以上か否か判定されるが、このしきい値C5は、車両の走行では生じ得ない値に設定されている。そして、その判定がYes のときには、衝突が発生した可能性が高いので、S35においてエアバッグ装置の作動を許可する為に、作動許可信号Vaが「H」レベルに切換えられ,その後リターンする。これに対して、S33の判定がNoのときには、S36において、エアバッグ装置の作動を不許可とする為に、作動許可信号Vaが「L」レベルに切換えられ,その後リターンする。
【0064】
一方、S32の判定がNoのときには、前後加減速度Gwの絶対値が、所定の作動許可判定しきい値C6(例えば、C6=5.0 G、C6>C5)以上か否か判定されるが、この作動許可判定しきい値C6は、車両の走行では生じ得ない値に設定されている。そして、その判定がYes のときには、衝突が発生した可能性が高いので、S35へ移行して前記と同様にエアバッグ装置の作動が許可され、その後リターンする。これに対して、S34の判定が No のときには、S36へ移行して、エアバッグ装置の作動が不許可とされ、その後リターンする。従って、A/B CPU70が、ノイズ等の影響により誤動作した場合にも、この比較的簡単な制御ロジックからなるエアバッグ作動許可制御を介して、エアバッグ装置の誤制御による誤作動を確実に防止することができる。
【0065】
ABSCPUの故障判定制御・・・・・図6参照
このABS CPUの故障判定制御は、ABS CPU50がノイズ等の影響で故障したことを判定する制御であり、イグニションスイッチ46がオンのときには、A/B CPU70により常時実行される。尚、ABS CPU50に付属のメモリ51には、この制御における後述の関数計算に必要な制御プログラムが予め格納されている。この制御が開始されると、最初に、カウンタI,Jが夫々0にリセットされ(S40)、次に、S41において、ABS CPU50に対して、任意の所定値nと、所定の関数式f(x)=(A・x+B)/Cにより、f(n)を演算する指令が出力される。但し、A,B,Cは、所定の定数であり、ABS CPU50は、前記の指令に応じて、f(n)を求める演算を実行する。
【0066】
次に、A/B CPU70においては、前記関数式f(x)と同じ関数式g(x)によりg(n)が演算され(S42)、次にABS CPU50から、f(n)が読込まれ(S43)、次にf(n)=g(n)か否か判定される(S44)。S44の判定がYes のときには、カウンタJの値が(J−1)に変更され、カウンタIが(I+1)にインクリメントされ(S45)、また、S44の判定がNoのときには、カウンタJの値が(J+2)に変更され、カウンタIが(I+1)にインクリメントされる(S46)。
【0067】
次に、カウンタIの値が所定回数I0以上になったか否か判定し(S47)、その判定が No のうちはS41へ戻ってS41以降が繰り返され、カウンタIの値が所定回数I0になると、カウンタJの値が所定値J0以上になったか否か判定する(S48)。J<J0の場合には、ABS CPU50が正常作動しているとして、S40へ戻り、カウンタI,Jを0にリセットして、S40以降が繰り返し実行される。しかし、J≧J0の場合には、S49において、ABS CPU50が故障していると判定され、ワーニングランプ84にワーニングが出力され、次に、S50において、ABS CPU50を機能停止状態に切換える為に、「H」レベルのリセット信号RsがABS CPU50のリセットポートに出力され、出力許可信号Vrが「L」レベルに切換えられ、その後リターンし、この制御が繰り返し実行される。尚、種々のnに対するf(n)の値をマップとして、メモリ71に格納しておき、ABS CPU50から出力されたf(n)の値をマップのデータと照合することで、判定するように構成してもよい。
【0068】
このように、4ビットのA/B CPU70であって、演算処理負荷があまり高くないA/B CPU70を有効活用して、また、比較的簡単な制御ロジックにより、16ビットABS CPU50の故障を判定することができるので、ABS CPU50の故障対策として同一の同容量のABS CPU50を2つ装備する必要がなくなるから、ABS制御ユニット30のコスト低減を図ることができる。
【0069】
次に、以上のABS制御ユニット30とA/B制御ユニット40とを含む総合制御装置の故障処理方法について説明する。但し、以下に説明する種々の故障処理の為の種々の制御プログラムが、メモリ71のROMやメモリ51のROMに予め格納されているものとする。
〔1〕ABS CPU50の故障時の処理
A/BCPU70が正常に作動している限り、前記故障判定制御によりABS CPU50の故障を判定できるが、ABS CPU50がノイズやその他の原因で故障したと判定された場合には、ABS制御ユニット30の誤動作を防止する為に、出力許可信号Vrが「L」レベルに切換えられて、ABS制御ユニット30が機能停止状態に切換えられる。そして、リセット信号Rsが、所定短時間おきに、ABS CPU50のリセットポートに繰り返し出力され、これによりABS CPU50が繰り返しリセットされる。
【0070】
一方、ABS CPU50から従動輪速Vw1, Vw2と、作動許可信号Vaとが供給されなくなるため、前記エアバッグ作動制御に代わるエアバッグ作動制御によって、Gセンサ41で検出された車体前後加減速度Gsのみに基づいて、衝突判定がなされ、車両が衝突したと判定された場合には、出力ライン88から出力I/F81に制御信号が出力され、トランジスタ79,78が導通されるとともに、制御信号Cjが前記同様に出力されて、電気ヒータ39aに通電され、エアバッグ装置が作動する。尚、前後加減速度Gsのみに基づいて衝突を判定する場合は、エアバッグ装置の誤動作を防止する為に、衝突判定しきい値C3,C4が、所定の係数β(但し、β=1.2 〜1.4 )を乗算した値に変更される。
【0071】
ここで、ABS CPU50がノイズにより故障した場合等においては、リセット信号Rsにより数回リセットすることで正常に回復するので、回復した場合には、出力許可信号Vrが「H」レベルの信号に切換えられ、ABS制御ユニット30とA/B制御ユニット40とは、正常作動状態に移行する。しかし、ABS CPU50の故障後所定時間経過しても、ABS CPU50が正常に回復しない場合には、それ以降作動許可信号Viが「L」レベルに切換えられ、ABS制御ユニット30が機能停止状態に切換えられる。
【0072】
〔2〕A/B CPUの故障時の処理
A/BCPU70は、W/D モニタ76により常時監視されており、W/D モニタ76によりA/B CPU70が故障したと判定されると、W/D モニタ76は、ABS CPU50のリセットポートと、A/B CPU70のリセットポートとに、リセット信号を、繰り返し出力し続ける。このリセット信号が出力されている間、つまり、A/B CPU70が故障中の間は、ABS制御ユニット30も、A/B制御ユニット40も機能停止状態になる。A/B CPU70がノイズで故障した場合等には、数回のリセットによりA/B CPU70が正常に回復するが、この回復後には、ABS制御ユニット30と、A/B制御ユニット40とが、正常作動状態に復帰する。
【0073】
〔3〕ABS CPUとA/B CPUの両方の故障時の処理
ABSCPU50と、A/B CPU70の両方が故障した場合には、A/B CPU70が故障した場合と同様に、W/D モニタ76は、ABS CPU50のリセットポートと、A/B CPU70のリセットポートとに、リセット信号を、繰り返し出力し続ける。このリセット信号が出力されている間、つまり、A/B CPU70が故障中の間は、ABS制御ユニット30も、A/B制御ユニット40も機能停止状態になる。そして、A/B CPU70が正常に回復した場合には、A/B制御ユニット40が、〔1〕のABS CPUの故障時の処理の場合と同様の準正常作動状態に移行し、その後〔1〕のABS CPUの故障時の処理と同様の処理が実行される。
【0074】
〔4〕ABS制御ユニットの外部デバイスの故障時の処理
ABS制御ユニット30のABS CPU50以外の外部デバイス(車輪速センサ31〜34、入力I/F、出力I/F、リレースイッチ、ソレノイドコイルの通電ライン、モータの通電ライン、等々)の故障時の処理について説明する前に、これら外部デバイスの故障を検出する方法について簡単に説明する。
【0075】
車輪速センサ31〜34の故障判定について説明すると、図7に示すように、車輪速センサ31が正常のときには、分圧電圧V=Vc・R2/(R1+R2)となるが、車輪速センサ31の短絡時には、抵抗R2の値が著しく小さくなり、また、車輪速センサ31の断線時には、抵抗R2の値が著しく大きくなるので、分圧電圧Vをモニターし、分圧電圧Vが、所定の下限値≦分圧電圧V≦所定の上限値、のときには、車輪速センサ31が正常であり、それ以外のときには、車輪速センサ31が故障したと判定される。上記の判定方法以外に、前後輪1〜4の車輪速のうちの最高車輪速が10Km/Hに達したとき、車輪速が5Km/H以下を20s以上継続する車輪速は異常であるので、その車輪速センサを故障と判定することもできる。
【0076】
ポンプ駆動用モータ25の故障判定について説明すると、ABS制御終了毎に、モータ25をオフした際、モータ25の起電力を図示外のモニターラインを介してモニターし、起電力があれば正常、起電力が生じないときはモータロックと判定する。また、前記モニターラインを介して断線等も検出することができる。
【0077】
ソレノイドコイル58及びその他のソレノイドコイルの故障判定について説明すると、イグニションスイッチ46のオン時に、リレースイッチ56をオンし、モニターライン65に電位ある場合には、リレースイッチ56が正常と判定され、次に、リレースイッチ56をオンした状態で、増圧弁21aを一定時間作動させたときに、モニターライン65に電位が無いときにはソレノイドコイルが正常であると判定される。尚、その他の外部デバイスの故障判定については、一般的的な故障判定技術が適用されるが、それらについての説明は省略する。
【0078】
ABS制御ユニット30のABS CPU50以外の何れかの外部デバイスの故障が検出された場合には、出力許可信号Vrが「L」レベルに切換えられて、ABS制御ユニット30が機能停止状態に切換えられるが、ABS CPU50は、正常作動状態に維持され、従動輪速Vw1, Vw2は正常にA/B CPU70に供給され、また、エアバッグ作動許可制御が正常に実行され、A/B制御ユニット40は正常作動状態に維持される。
【0079】
〔5〕A/B制御ユニットの外部デバイスの故障時の処理
A/B制御ユニット40のA/B CPU70以外の外部デバイス(出力I/F、電気ヒータ、その通電ライン、等)の故障時の処理について説明する前に、これら外部デバイスの故障を検出する方法について簡単に説明する。インフレータ39の電気ヒータ39aとその通電ラインの故障判定について説明すると、イグニションスイッチ46のオン時、出力ライン88から制御信号を出力してトランジスタ79,78を導通させ、モニターライン85に電位があれば、電気ヒータ39aまでの通電ラインが正常と判定され、次に、昇圧回路77への制御信号を介して、インフレータ39が作動しない程度まで、昇圧回路77の出力電圧を下げた状態で、制御信号Cjを出力してトランジスタ86を導通させ、モニターライン85,86の電位を検出し、モニターライン85の電位>モニターライン86の電位、の条件成立のときは、電気ヒータ39aが正常であると判定される。尚、その他の外部デバイスの故障判定については、一般的的な故障判定技術が適用されるが、それらについての説明は省略する。
【0080】
A/B制御ユニットのA/B CPU70以外の何れかの外部デバイスが故障した場合には、A/B CPU70によりABS CPU50の監視が継続され、ABS制御ユニット30は正常作動状態に維持され、作動許可信号Vaを「L」レベルに切換えて、A/B制御ユニット40は機能停止状態に切換えられるが、ABS CPU50を監視する為に、A/B CPU70は正常作動状態に維持される。
【0081】
〔6〕両制御ユニットの外部デバイスの故障時の処理
ABS制御ユニット30の何れかの外部デバイスと、A/B制御ユニット40の何れかの外部デバイスとが両方共故障した場合には、A/B CPU70から「L」レベルの作動許可信号Viが出力され、ABS CPU50を含むABS制御ユニット30の全体が機能停止状態に切換えられる。その結果、作動許可信号Vaが「L」レベルになるため、A/B制御ユニット40も機能停止状態になる。
【0082】
以上の総合制御装置の故障処理方法によれば、次の作用・効果が得られる。ABS CPU50とA/B CPU70とを信号授受可能に接続しておき、A/B CPU70を有効活用してABS CPU50を監視するため、ABS CPU50を故障監視の為に2重に装備する必要がなくなるので有利である。ABS CPU50が故障した際には、出力許可信号Vrを介してABS制御ユニット30を機能停止状態に切換えるので、ABS制御ユニット30の誤動作を防止できるし、A/B CPU70からABS CPU50にリセット信号Rsを繰り返し出力してリセットを図るため、ABS CPU50の早期回復を図ることができる。
【0083】
また、ABS CPU50が回復しないときには、作用許可信号Viを介して、ゲート回路47を開き、ABS制御ユニット30への電源を遮断するため、無駄な電力消費を防止できる。そして、ABS CPU50の故障中は、A/B CPU70においてGセンサ41で検出した前後加減速度Gsのみに基づいて衝突判定するように切換えることで、A/B制御ユニット40を準正常作動状態に維持することができるし、そのとき、衝突判定しきい値を大きく変更するため、Gセンサ41の検出信号に入るノイズ等の影響でエアバッグ装置が誤動作するのを防止できる。
【0084】
A/B CPU70が故障した際には、ABS CPU50を監視できなくなることに鑑みて、W/D モニタ76を介してABS CPU50とA/B CPU70とをリセットするため、ABS制御ユニット30とA/B制御ユニット40とが誤動作するのを防止できる。前記リセットにより、A/B CPU70の早期回復を図り、ABS制御ユニット30とA/B制御ユニット40の早期回復を図ることができる。ABS CPU50とA/B CPU70の両方が故障した際にも、A/B CPU70が故障した場合と同様に、両CPUを繰り返しリセットし、A/B CPU70の早期回復を図り、A/B CPU70の回復後には、ABS CPU50が故障した場合の処理を行うので、前記と同様の作用・効果が得られる。
【0085】
ABS制御ユニット30におけるABS CPU50以外の外部デバイスが故障した際には、出力許可信号Vrを介してABS制御ユニット30を機能停止状態に切換える一方、ABS CPU50を正常作動させるため、ABS CPU50からA/B CPU70への従動輪速Vw1,Vw2の供給を継続して、A/B制御ユニット40を正常作動状態に維持できる。
【0086】
A/B制御ユニット40におけるA/B CPU70以外の外部デバイスが故障した際には、作動許可信号Vaを介してA/B制御ユニット40を機能停止状態に切換えるため、A/B制御ユニット40の誤動作を防止できるし、A/B CPU70を正常に作動させて、ABS CPU50の監視を継続させるため、アンチスキッドブレーキ装置を正常に作動させることができる。
【0087】
ABS制御ユニット30におけるABS CPU50以外の外部デバイスと、A/B制御ユニット40におけるA/B CPU70以外の外部デバイスとが共に故障した際には、作動許可信号Vi,Vaを介して、ABS制御ユニット30とA/B制御ユニット40との両方を機能停止状態にするため、ABS制御ユニット30とA/B制御ユニット40の誤動作を確実に防止することができる。
【0088】
前記実施例の故障処理方法を部分的に変更した変更態様について説明する。
1) ABSCPU50が故障すると、ABS CPU50からA/B CPU70へ従動輪速Vw1, Vw2を供給不能になるし、また、A/B CPU70が故障するとABS CPU50を監視できなくなることに鑑み、ABS CPU50とA/B CPU70の何れか一方が故障した場合には、ABS制御ユニット30とA/B制御ユニット40との両方を機能停止状態にするようにしてもよい。その場合、ABS制御ユニット30の誤動作と、A/B制御ユニット40の誤動作とを確実に防止できる。このようにする為には、A/B CPU70においてABS CPU50の故障を判定した場合に、出力許可信号Vrを「L」レベルに切換えるか、或いは、作動許可信号Viを「L」レベルに切換えるとともに、A/B CPU70から昇圧回路77へ出力する制御信号を介して昇圧回路77の出力を「L」レベルに切換えるように構成すればよい。
【0089】
2)ABS制御ユニット30におけるABS CPU50以外の外部デバイスと、A/B制御ユニット40におけるA/B CPU70以外の外部デバイスとの何れか一方が故障した場合には、ABS制御ユニット30とA/B制御ユニット40との両方を機能停止状態にするようにしてもよい。その場合、ABS制御ユニット30の誤動作と、A/B制御ユニット40の誤動作とを確実に防止できる。このようにする為には、A/B CPU70においてA/B制御ユニット40の外部デバイスの故障を判定したときには、出力許可信号Vrを「L」レベルに切換えるか、或いは、作動許可信号Viを「L」レベルに切換えるとともに、昇圧回路77へ出力する制御信号を介して昇圧回路77の出力を「L」レベルに切換えるように構成し、また、ABS制御ユニット30において外部デバイスの故障を判定したときには、作動許可信号Vaを「L」レベルに切換えるとともに、ABS CPU50からA/B CPU70に対して、出力許可信号Vrを「L」レベルに切換えるか、或いは、作動許可信号Viを「L」レベルに切換えるように指令するように構成すればよい。
【0090】
尚、A/B CPU70において昇圧回路77へ出力する制御信号を介して昇圧回路77の出力を「L」レベルに切換える代わりに、A/B CPU70からABS CPU50に対して、作動許可信号Vaを「L」レベルに切換えるように指令するように構成してもよい。
【0091】
尚、前記実施例では、スリップ制御装置として、アンチスキッドブレーキ装置を適用した場合を例として説明したが、スリップ制御装置として、アンチスキッドブレーキ装置とともに又はアンチスキッドブレーキ装置の代わりに、トラクション制御装置を適用した場合における車両の総合制御装置の故障処理方法にも、本発明を同様に適用できることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る車両のアンチスキッドブレーキ装置とエアバッグ装置の構成図である。
【図2】前記アンチスキッドブレーキ装置の液圧ユニットの回路図である。
【図3】ABS制御ユニットとエアバッグ制御ユニットの構成図である。
【図4】エアバッグ作動制御のルーチンのフローチャートである。
【図5】エアバッグ作動許可制御のルーチンのフローチャートである。
【図6】ABS CPUの故障判定制御のルーチンのフローチャートである。
【図7】車輪速センサの電気回路図である。
【符号の説明】
30 ABS制御ユニット(アンチスキッドブレーキ制御ユニット)
31〜34 車輪速センサ
40 A/B制御ユニット(エアバッグ制御ユニット)
41 Gセンサ
50 ABSCPU
51 メモリ
55 ANDゲート
70 A/BCPU
71 メモリ
80 ANDゲート
Claims (13)
- 車両の過大なスリップを抑制するように駆動力又は制動力を制御するスリップ制御装置と、車両衝突時にエアバッグが展開して乗員を保護するエアバッグ装置とを制御する車両の総合制御装置の故障処理方法において、
前記スリップ制御装置のスリップ制御部とエアバッグ装置のエアバッグ制御部とを相互に信号を授受可能に予め接続しておき、
前記エアバッグ制御部は、スリップ制御部から従動輪速信号を受けてその従動輪速信号から車速を演算すると共に加速度センサからの検出信号を受け、上記演算された車速が所定の設定速度以下であり且つ加速度センサで検出された加速度の絶対値が衝突判定しきい値以上であるか否かを判定し、その条件を満たした際にエアバッグ装置作動信号を出力するものであり、
前記エアバッグ制御部のCPUにスリップ制御部のCPUを監視させ、
前記スリップ制御用CPUが故障したときには、スリップ制御部を機能停止状態にし、エアバッグ制御部を作動状態に維持し、このエアバッグ制御部は、前記従動輪速信号を使用せずに、加速度センサからの検出信号のみを衝突判定に用いるとともに、比較対象である衝突判定しきい値を、前記衝突判定しきい値よりも高い値に変更して変更後のしきい値を超えたことを条件にエアバッグ装置作動信号を出力する
ことを特徴とする車両の総合制御装置の故障処理方法。 - 前記エアバッグ制御用CPUが故障したときには、スリップ制御用CPUとエアバッグ制御用CPUの両方を機能停止状態にすることを特徴とする請求項1に記載の車両の総合制御装置の故障処理方法。
- 前記スリップ制御用CPUとエアバッグ制御用CPUの両方が故障したときには、エアバッグ制御用CPUをリセットし、このエアバッグ制御用CPUが正常に復帰したときには、エアバッグ制御部を作動状態にすることを特徴とする請求項1に記載の車両の総合制御装置の故障処理方法。
- 前記エアバッグ制御用CPUが正常に復帰したときには、スリップ制御用CPUをリセットすることを特徴とする請求項1に記載の車両の総合制御装置の故障処理方法。
- 前記エアバッグ制御用CPUが故障したときには、スリップ制御部とエアバッグ制御部の両方を機能停止状態にすることを特徴とする請求項1に記載の車両の総合制御装置の故障処理方法。
- 前記スリップ制御用CPUとエアバッグ制御用CPUの一方が故障したときには、スリップ制御部とエアバッグ制御部の両方を機能停止状態にすることを特徴とする請求項1に記載の車両の総合制御装置の故障処理方法。
- 車両の過大なスリップを抑制するように駆動力又は制動力を制御するスリップ制御装置と、車両衝突時にエアバッグが展開して乗員を保護するエアバッグ装置とを制御する車両の総合制御装置の故障処理方法において、
前記スリップ制御装置のスリップ制御部とエアバッグ装置のエアバッグ制御部とを相互に信号を授受可能に予め接続しておき、
前記エアバッグ制御部のCPUにスリップ制御部のCPUを監視させ、
前記エアバッグ制御部のCPUと信号授受可能なエアバッグ制御用の外部デバイスが故障したときには、エアバッグ制御用CPUにスリップ制御用CPUの監視を継続させ、スリップ制御部を作動状態にすることを特徴とする車両の総合制御装置の故障処理方法。 - 前記スリップ制御部のCPUと信号授受可能なスリップ制御用の外部デバイスが故障したときには、スリップ制御部を機能停止状態にし、エアバッグ制御部を作動状態にすることを特徴とする請求項7に記載の車両の総合制御装置の故障処理方法。
- 車両の過大なスリップを抑制するように駆動力又は制動力を制御するスリップ制御装置と、車両衝突時にエアバッグが展開して乗員を保護するエアバッグ装置とを制御する車両の総合制御装置の故障処理方法において、
前記スリップ制御装置のスリップ制御部とエアバッグ装置のエアバッグ制御部とを相互に信号を授受可能に予め接続しておき、
前記エアバッグ制御部のCPUにスリップ制御部のCPUを監視させ、
前記スリップ制御部のCPUと信号授受可能なスリップ制御用の外部デバイスが故障したときには、スリップ制御部を機能停止状態にし、エアバッグ制御部を作動状態にすることを特徴とする車両の総合制御装置の故障処理方法。 - 車両の過大なスリップを抑制するように駆動力又は制動力を制御するスリップ制御装置と、車両衝突時にエアバッグが展開して乗員を保護するエアバッグ装置とを制御する車両の総合制御装置の故障処理方法において、
前記スリップ制御装置のスリップ制御部とエアバッグ装置のエアバッグ制御部とを相互に信号を授受可能に予め接続しておき、
前記エアバッグ制御部のCPUにスリップ制御部のCPUを監視させ、
前記スリップ制御用CPUからエアバッグ制御用CPUに衝突判定に用いる為の車輪速情報を供給し、
前記スリップ制御部のCPUと信号授受可能なスリップ制御用の外部デバイスが故障したときには、スリップ制御用CPUを作動させたままスリップ制御部を機能停止状態にし、エアバッグ制御部を作動状態にすることを特徴とする車両の総合制御装置の故障処理方法。 - 前記エアバッグ制御用の外部デバイスが故障したときには、エアバッグ制御部を機能停止状態にすることを特徴とする請求項8に記載の車両の総合制御装置の故障処理方法。
- 車両の過大なスリップを抑制するように駆動力又は制動力を制御するスリップ制御装置と、車両衝突時にエアバッグが展開して乗員を保護するエアバッグ装置とを制御する車両の総合制御装置の故障処理方法において、
前記スリップ制御装置のスリップ制御部とエアバッグ装置のエアバッグ制御部とを相互に信号を授受可能に予め接続しておき、
前記エアバッグ制御部のCPUにスリップ制御部のCPUを監視させ、
前記スリップ制御部のCPUと信号授受可能なスリップ制御用の外部デバイスと、エアバッグ制御部のCPUと信号授受可能なエアバッグ制御用の外部デバイスとの両方が故障したときには、スリップ制御部とエアバッグ制御部の両方を機能停止状態にすることを特徴とする車両の総合制御装置の故障処理方法。 - 車両の過大なスリップを抑制するように駆動力又は制動力を制御するスリップ制御装置と、車両衝突時にエアバッグが展開して乗員を保護するエアバッグ装置とを制御する車両の総合制御装置の故障処理方法において、
前記スリップ制御装置のスリップ制御部とエアバッグ装置のエアバッグ制御部とを相互に信号を授受可能に予め接続しておき、
前記エアバッグ制御部のCPUにスリップ制御部のCPUを監視させ、
前記スリップ制御部のCPUと信号授受可能なスリップ制御用の外部デバイスと、エアバッグ制御部のCPUと信号授受可能なエアバッグ制御用の外部デバイスとの何れか一方が故障したときには、スリップ制御部とエアバッグ制御部の両方を機能停止状態にすることを特徴とする車両の総合制御装置の故障処理方法。
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