JPH0885417A - 車両の総合制御装置 - Google Patents

車両の総合制御装置

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JPH0885417A
JPH0885417A JP6251216A JP25121694A JPH0885417A JP H0885417 A JPH0885417 A JP H0885417A JP 6251216 A JP6251216 A JP 6251216A JP 25121694 A JP25121694 A JP 25121694A JP H0885417 A JPH0885417 A JP H0885417A
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JP
Japan
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control device
airbag
vehicle
acceleration
deceleration
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JP6251216A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Seni
浩史 仙井
Ryuzo Tsuruhara
隆三 鶴原
Takeshi Murai
健 村井
Kouji Hebihara
幸治 蛇原
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Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 アンチスキッドブレーキ装置がエアバッグ装
置と同時に作動するのを制限してエアバッグ装置の作動
確実性を確保する。 【構成】 ABS CPU50からA/B CPU70に車輪速デー
タを供給し、A/B CPU70により、Gセンサ41で検出し
た加減速度Gsと車輪速から得た加減速度とに基づいて
エアバッグ装置を作動させる。電源回路42内に断線発
生時、電圧Vbが低いとき、加減速度Gsが所定値以上
のとき、加減速度Gsの変化率が大きいとき、等の場合
にはゲート回路47をオフし、車両許可信号Vrを介し
てANDゲート55の出力を「L」レベルにして、AB
S制御ユニット30を機能停止状態に切換えることで、
衝突時にエアバッグ装置に確実に給電可能にした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両の総合制御装置に
関し、特に、エアバッグ装置の作動確実性を確保する為
に、スリップ制御装置とエアバッグ装置の同時作動を制
限するようにしたものに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、車両においては、スリップ制御装
置として、アンチスキッドブレーキ装置やトラクション
制御装置等が装備されることがある。アンチスキッドブ
レーキ装置は、車両のブレーキ油圧を制御して各車輪の
制動力を調整することにより、制動時における車輪のロ
ックないしスキッド状態の発生を防止するものである。
一方、トラクション制御装置は、車両の発進時や加速時
に駆動輪が過大な駆動力によりスリップして駆動ロスが
生じ、加速性が低下するのを防止する為に、駆動輪のス
リップを検出し、そのスリップ量が路面の摩擦係数に対
応する目標スリップ量となるように、駆動輪のブレーキ
液圧やエンジン出力を制御して駆動力を調整するもので
ある。尚、アンチスキッドブレーキ装置やトラクション
制御装置においては、車輪のスキッド状態ないしはスリ
ップ量を求める為に、センサにより車輪速を検出すると
ともに、その変化率である車輪加減速度を算出するのが
一般的である。また、前記アンチスキッドブレーキ装置
は、標準仕様の装備品になることが多く、トラクション
制御装置は、オプションの装備品になることが多いこと
から、アンチスキッドブレーキ装置用の制御部と、トラ
クション制御装置用の制御部とが、別個に設けられるこ
とが多い。
【0003】一方、車両においては、衝突時における乗
員の安全を確保する為に、エアバッグ装置が装備される
ことがある。エアバッグ装置は、通常、エアバッグとガ
ス発生器と制御部とを有し、車両の衝突時にガス発生器
が作動してエアバッグを車室内に向けて膨張展開させ、
これにより、衝突時に先方へ移動しようとする乗員の頭
部や胸部を拘束して保護するものであり、エアバッグ装
置は、標準仕様の装備品になりつつある。このエアバッ
グ装置では、通常、車両の前後加速度を検出する加減速
度センサと、車両の減速度が所定値を超えたときに切換
え動作する減速度スイッチとを備え、加減速度センサで
検出した車両の前後加減速度が所定値を超え、減速度ス
イッチが切換え動作したとき、エアバッグを展開させる
ように構成してある。
【0004】ところで、アンチスキッドブレーキ装置と
エアバッグ装置とを装備する場合、これらは、電源バッ
テリを含む共通の電源回路に接続されることが多いが、
アンチスキッドブレーキ装置は、油圧ポンプ駆動モータ
や複数のソレノイドバルブ等を含むため、かなりの電力
を消費する。このことは、トラクション制御装置のうち
の制動力を制御する方式のブレーキトラクション制御装
置においても同様である。これに対して、エアバッグ装
置は、ガス発生器の小型の電気ヒータを所定短時間の間
作動させて爆薬に点火する構成のため、その消費電力は
僅かである。
【0005】ここで、特開平4−166457号公報に
は、アンチスキッドブレーキ装置とエアバッグ装置とを
装備した車両において、エアバッグ装置の誤動作を防止
する為に、車体速度が所定値以上の状態でのアンチスキ
ッド制御中に、車体減速度が所定値以上になったとき
に、エアバッグを展開させるようにしたエアバッグ点火
装置が記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】車両の衝突時には、通
常、過度の制動状態になるためアンチスキッド制御が作
動するが、前記のように、アンチスキッドブレーキ装置
とエアバッグ装置とが共通の電源回路に接続されている
場合、電源回路の電圧が低下した状態において、アンチ
スキッドブレーキ装置が作動すると、電源電圧が低下し
て、エアバッグ装置の確実作動性が低下するという問題
がある。しかも、エアバッグ装置は、衝突時により電源
回路が断線してから300ms の間は、正常に作動する構成
であることが必要なので、一般に電源回路に蓄電用のコ
ンデンサーが設けられている。しかし、車両の衝突時、
電源回路に断線が発生した状態で、アンチスキッドブレ
ーキ装置とエアバッグ装置とが同時に作動すると、アン
チスキッドブレーキ装置の電力消費で、コンデンサーが
放電すると、エアバッグ装置が作動しなくなるという問
題がある。
【0007】本発明の目的は、アンチスキッドブレーキ
装置のエアバッグ装置との同時作動を制限して、エアバ
ッグ装置の作動確実性を確保すること、スリップ制御装
置における制御情報をエアバッグ装置において有効活用
すること、スリップ制御装置の制御部の故障を簡単に判
定できるようにすること、等を達成可能な車両の総合制
御装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1の車両の総合制
御装置は、車両の過大なスリップを抑制するように駆動
力又は制動力を制御するスリップ制御装置と、車両衝突
時にエアバッグが展開して乗員を保護するエアバッグ装
置とを装備した車両において、スリップ制御装置のスリ
ップ制御部と、エアバッグ装置のエアバッグ制御部と
は、相互に信号を授受可能に接続され、スリップ制御装
置とエアバッグ装置とが同時に作動しないように、スリ
ップ制御装置の作動を制限する制限手段を設けたもので
ある。
【0009】請求項2の車両の総合制御装置は、請求項
1の発明において、前記スリップ制御部とエアバッグ制
御部とは、共通の電源回路に接続された構成のものであ
る。請求項3の車両の総合制御装置は、請求項2の発明
において、前記電源回路は、蓄電用のコンデンサを備え
たものである。
【0010】請求項4の車両の総合制御装置は、請求項
3の発明において、車体の前後加減速度を検出してエア
バッグ制御部に出力する加減速度センサを備え、前記エ
アバッグ制御部は、加減速度センサで検出された加減速
度に基いてエアバッグ装置を制御するように構成された
ものである。
【0011】請求項5の車両の総合制御装置は、請求項
4の発明において、前記電源回路に断線が発生したこと
を検知する断線検知手段を設け、その断線検知手段によ
り断線が検知されたときに、制限手段は、スリップ制御
装置を機能停止状態に切換えるように構成されたもので
ある。
【0012】請求項6の車両の総合制御装置は、請求項
4の発明において、前記制限手段は、加減速度センサで
検出した加減速度が、エアバッグ制御部がエアバッグ装
置の作動を判定するエアバッグ作動判定しきい値よりも
低い停止判定しきい値以上になったときに、スリップ制
御装置を機能停止状態に切換えるように構成されたもの
である。請求項7の車両の総合制御装置は、請求項4の
発明において、前記制限手段は、加減速度センサで検出
した加減速度の変化率が所定値以上のときに、スリップ
制御装置を機能停止状態に切換えるように構成されたも
のである。
【0013】請求項8の車両の総合制御装置は、請求項
4〜請求項7の何れか1つの発明において、4輪の車輪
速を検出してスリップ制御部へ出力する車輪速センサを
備え、前記エアバッグ制御部は、スリップ制御部から受
けた従動輪速から求めた加減速度と、加減速度センサで
検出された加減速度とに基づいて、エアバッグ装置の作
動を判定するように構成されたものである。
【0014】請求項9の車両の総合制御装置は、請求項
4〜請求項7の何れか1つの発明において、4輪の車輪
速を検出してスリップ制御部へ出力する車輪速センサを
備え、スリップ制御部は、従動輪速から求めた加減速度
が所定値以上のときに、エアバッグ装置に作動許可信号
を出力するように構成されたものである。
【0015】請求項10の車両の総合制御装置は、請求
項1の発明において、前記エアバッグ制御部に、スリッ
プ制御部が故障したか否か監視する故障判断部を設けた
ものである。請求項11の車両の総合制御装置は、請求
項5〜請求項7の何れか1つの発明において、前記スリ
ップ制御装置の機能停止状態は、スリップ制御部のスリ
ーピング状態、スリップ制御部への通電カット状態、ス
リップ制御部の出力カット状態、のうちの少なくとも1
つの状態であることを特徴とするものである。
【0016】請求項12の車両の総合制御装置は、請求
項5〜請求項7の何れか1つの発明において、前記制限
手段は、エアバッグ装置が不作動で、かつ、電源回路が
正常で、かつ、車速が正であることを条件として、スリ
ップ制御装置の機能停止状態を解除するように構成され
たものである。請求項13の車両の総合制御装置は、請
求項5〜請求項7の何れか1つの発明において、前記制
限手段は、イグニションスイッチが、OFF からONに切換
えられたときに、スリップ制御装置の機能停止状態を解
除するように構成されたものである。
【0017】
【発明の作用及び効果】請求項1の車両の総合制御装置
においては、スリップ制御装置とエアバッグ装置とを備
えた車両において、スリップ制御装置のスリップ制御部
と、エアバッグ装置のエアバッグ制御部とは、相互に信
号を授受可能に接続されており、制限手段は、スリップ
制御装置とエアバッグ装置とが同時に作動しないよう
に、スリップ制御装置の作動を制限する。従って、スリ
ップ制御装置とエアバッグ装置とが共通の電源回路に接
続してある場合に、電源電圧低下状態のとき、又は、電
源回路内に断線が発生したとき、スリップ制御装置の作
動により電力が消費されて、エアバッグ装置の作動性が
低下したり、作動しなくなったりするのを確実に防止
し、エアバッグ装置の作動確実性を確保することができ
る。特に、スリップ制御装置がアンチスキッドブレーキ
装置である場合には、車両の衝突の際、アンチスキッド
ブレーキ装置も作動することから、スリップ制御装置が
エアバッグ装置と同時作動しないように制限することが
必要である。
【0018】請求項2の車両の総合制御装置において
は、スリップ制御部とエアバッグ制御部とは、共通の電
源回路に接続されているが、請求項1において説明した
ように、エアバッグ装置の作動確実性を確保することが
できる。請求項3の車両の総合制御装置においては、請
求項2の発明において、前記電源回路は、蓄電用のコン
デンサを備えているため、車両の衝突時、電源回路の断
線の際には、コンデンサからスリップ制御部とエアバッ
グ制御部とに給電できるが、スリップ制御装置とエアバ
ッグ装置とが同時作動しないように、制限手段がスリッ
プ制御装置の作動を制限するため、コンデンサーからエ
アバッグ装置へ確実に給電することができる。
【0019】請求項4の車両の総合制御装置において
は、請求項3の発明において、車体の前後加減速度を検
出してエアバッグ制御部に出力する加減速度センサを備
え、エアバッグ制御部は、主として、加減速度センサで
検出された加減速度に基いてエアバッグ装置を制御する
ので、加減速度センサで検出された加減速度に基づいて
車両の衝突を判定し、エアバッグ装置を作動させること
ができる。
【0020】請求項5の車両の総合制御装置において
は、請求項4の発明において、断線検知手段により、電
源回路に断線が発生したことが検知されると、制限手段
は、スリップ制御装置を機能停止状態に切換える。これ
により、電源回路のコンデンサーからスリップ制御装置
へ給電するのを確実に防止して、コンデンサーからエア
バッグ装置へ給電し、エアバッグ装置を作動可能状態に
維持することができる。
【0021】請求項6の車両の総合制御装置において
は、請求項4の発明において、制限手段は、加減速度セ
ンサで検出した加減速度が、エアバッグ制御部がエアバ
ッグ装置の作動を判定するエアバッグ作動判定しきい値
よりも低い停止判定しきい値以上になったときに、スリ
ップ制御装置を機能停止状態に切換える。従って、車両
の衝突時、加減速度が、エアバッグ作動判定しきい値よ
りも低い停止判定しきい値以上になると、スリップ制御
装置が機能停止状態に切換えられ、加減速度がエアバッ
グ作動判定しきい値以上になると、エアバッグ制御部が
エアバッグ装置を作動させることになる。こうして、ス
リップ制御装置がエアバッグ装置と同時作動するのを確
実に防止できる。
【0022】請求項7の車両の総合制御装置において
は、請求項4の発明において、制限手段は、加減速度セ
ンサで検出した加減速度の変化率が所定値以上のとき
に、スリップ制御装置を機能停止状態に切換える。即
ち、車両の衝突時には、車両が急減速されるため、加減
速度の変化率が所定値以上になることに鑑み、その場合
には、スリップ制御装置を機能停止状態に切換えること
で、衝突時におけるスリップ制御装置による電力消費を
防止し、エアバッグ装置の作動確実性を確保できる。
【0023】請求項8の車両の総合制御装置において
は、請求項4〜請求項7の何れか1つの発明において、
車輪速センサは、4輪の車輪速を検出してスリップ制御
部へ出力する。エアバッグ制御部は、スリップ制御部か
ら受けた従動輪速から求めた加減速度と、加減速度セン
サで検出された加減速度とに基づいて、エアバッグ装置
の作動を判定する。このように、スリップ制御用に検出
された車輪速の情報を、エアバッグ装置の作動判定に有
効活用することにより、1又は複数の減速度スイッチを
省略して制御系の簡素化を図ることができる。
【0024】請求項9の車両の総合制御装置において
は、請求項4〜請求項7の何れか1つの発明において、
車輪速センサは、4輪の車輪速を検出してスリップ制御
部へ出力する。スリップ制御部は、従動輪速から求めた
加減速度が所定値以上のときに、エアバッグ装置に作動
許可信号を出力する。従って、エアバッグ制御部がノイ
ズの影響等で誤動作してエアバッグ装置を誤作動させる
のを防止することができる。
【0025】請求項10の車両の総合制御装置において
は、請求項1の発明において、エアバッグ制御部に、ス
リップ制御部が故障したか否か監視する故障判断部を設
けたので、エアバッグ制御部を有効活用して故障判断部
を設け、スリップ制御部を監視するため、スリップ制御
部の故障対策としてCPUを2重に装備する必要がなく
なり、スリップ制御部の構成を簡素化し、コスト低減を
図ることができる。
【0026】請求項11の車両の総合制御装置において
は、請求項5〜請求項7の何れか1つの発明において、
スリップ制御装置の機能停止状態は、スリップ制御部の
スリーピング状態、スリップ制御部への通電カット状
態、スリップ制御部の出力カット状態、のうちの少なく
とも1つの状態であるので、比較的簡単な制御を介し
て、スリップ制御装置を機能停止状態に切換えることが
できる。
【0027】請求項12の車両の総合制御装置において
は、請求項5〜請求項7の何れか1つの発明において、
制限手段は、エアバッグ装置が不作動で、かつ、電源回
路が正常で、かつ、車速が正であることを条件として、
スリップ制御装置の機能停止状態を解除するため、機能
停止状態を解除しても、エアバッグ装置の作動性が損な
われることもないし、また、スリップ制御装置を不必要
に長く機能停止状態に置くのを防止できる。請求項13
の車両の総合制御装置においては、請求項5〜請求項7
の何れか1つの発明において、制限手段は、イグニショ
ンスイッチが、OFF からONに切換えられたときに、スリ
ップ制御装置の機能停止状態を解除するため、イグニシ
ョンスイッチを一旦OFF してからONに切換えるだけで、
スリップ制御装置の機能停止状態を確実に解除すること
ができる。
【0028】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面に基いて
説明する。本実施例は、アンチスキッドブレーキ装置と
エアバッグ装置とを備えた車両の総合制御装置に本発明
を適用した場合の一例である。最初に、この車両のアン
チスキッドブレーキ装置について説明する。第1図に示
すように、左右の前輪1,2が従動輪、左右の後輪3,
4が駆動輪とされ、エンジン5の出力トルクが自動変速
機6からプロペラシャフト7、差動装置8および左右の
駆動軸9,10を介して左右の後輪3,4に伝達される
ように構成してある。
【0029】各車輪1〜4には、車輪と一体的に回転す
るディスク11a〜14aと、制動圧の供給を受けて、
これらディスク11a〜14aの回転を制動するキャリ
パ11b〜14b等からなるブレーキ装置11〜14が
夫々設けられ、これらのブレーキ装置11〜14を作動
させる為の液圧系として、ブレーキペダル16の踏込力
を増大させる倍力装置17と、この倍力装置17によっ
て増大された踏込力に応じた制動圧を発生させるマスタ
ーシリング18と、このマスターシリング18に接続さ
れ且つブレーキ装置11〜14へ液圧を供給する液圧ユ
ニット15が設けられ、この液圧ユニット15は、液圧
ライン21〜24を介して、夫々キャリパ11b〜14
bのホイールシリンダに接続されている。尚、マスター
シリング18には、リザーバタンク18aも設けられて
いる。
【0030】次に、液圧ユニット15について説明す
る。図2に示すように、液圧ユニット15において、前
輪1,2の液圧系に関して、マスターシリンダ18から
延びる液圧ライン19から分岐した液圧ライン21に
は、増圧弁21aと、減圧弁21bとが図示のように接
続され、また、同様に、液圧ライン19から分岐した液
圧ライン22には、増圧弁22aと、減圧弁22bとが
図示のように接続されている。後輪3,4の液圧系に関
して、マスターシリンダ18から延びる液圧ライン20
から分岐した液圧ライン23には、増圧弁23aと、減
圧弁23bとが図示のように接続され、また、同様に、
液圧ライン20から分岐した液圧ライン24には、増圧
弁24aと、減圧弁24bとが図示のように接続されて
いる。尚、前記増圧弁21a〜24a及び減圧弁21b
〜24bは、夫々、デューティソレノイド弁からなる。
【0031】液圧ライン19に液圧を発生させる為のポ
ンプ26及びリザーバ27と、液圧ライン20に液圧を
発生させるポンプ28及びリザーバ29とが設けられ、
これらポンプ26,28は、共通のモータ25で駆動さ
れる。増圧弁21aを開作動させ、減圧弁21bを閉弁
しておくと、キャリパ11bのホイールシリンダの制動
圧が増圧され、また、増圧弁21aを閉弁しておき、減
圧弁21bを開作動させると、制動圧がリリーフされて
制動圧が低下する。このことは、その他の液圧ライン2
2〜24についても同様である。
【0032】キャリパ11bのホイールシリンダの液圧
を制御する第1チャンネル、キャリパ12bのホイール
シリンダの液圧を制御する第2チャンネル、キャリパ1
3bのホイールシリンダの液圧を制御する第3チャンネ
ル、キャリパ14bのホイールシリンダの液圧を制御す
る第4チャンネルの各々について、独立に且つ並行的に
液圧が制御されるが、車両の制動時に、車輪1〜4の路
面に対するスリップを抑制する為に、第1〜第4チャン
ネルの液圧を独立に制御してアンチスキッドブレーキ制
御(ABS制御)を行うABS制御ユニット30が設け
られている。
【0033】図1に示すように、このABS制御ユニッ
ト30は、ブレーキペダル16のON/OFFを検出す
るブレーキスイッチ35からのブレーキ信号と、ハンド
ル舵角を検出する舵角センサ36からの舵角信号と、車
輪1〜4の回転速度を夫々検出する車輪速センサ31〜
34からの車輪速信号とを受けて、これらの信号に応じ
た制動圧制御信号を第1〜第4チャンネルの増圧弁21
a〜24aのソレノイドコイルと減圧弁21b〜24b
のソレノイドコイルに夫々出力することにより、前後輪
1〜4のスリップを抑制するABS制御を、第1〜第4
チャンネルに並行して行うようになっている。
【0034】ABS制御ユニット30は、各車輪速セン
サ31〜34で検出される車輪速に基いて増圧弁20a
〜24aと減圧弁20b〜24bとを夫々開閉制御する
ことにより、スリップの状態に応じて制御された制動圧
で前輪1,2と後輪3,4に制動力を付与するようにな
っている。尚、ABS非制御状態においては、ABS制
御ユニット30からは制動圧制御信号が出力されず、減
圧弁20b〜24bが閉保持され、且つ増圧弁20a〜
24aが開保持される。これにより、ブレーキペダル1
6の踏込力に応じてマスターシリンダ18で発生した制
動圧が、前輪用液圧ライン19及び後輪用液圧ライン2
0を介してブレーキ装置11〜14に供給され、これら
の制動圧に応じた制動力が前輪1,2及び後輪3,4に
ダイレクトに付与される。
【0035】一方、図1に示すように、アンチスキッド
ブレーキ装置とともに車両に装備されるエアバッグ装置
は、ステアリングホイール又は車室の適宜個所に配設さ
れるエアバッグユニット37と、そのエアバッグユニッ
ト37の作動を制御するエアバッグ制御ユニット40
(A/B制御ユニット)とを備えている。前記エアバッ
グユニット37は、展開可能に折り畳まれたエアバッグ
38とインフレータ39(ガス発生器)を有し、車両の
衝突時にエアバッグ制御ユニット40からの制御信号に
基づいてインフレータ39が作動してエアバッグ38を
車室内に向けて膨張展開させ、これにより、衝突時に前
方へ移動しよとする乗員の頭部及び胸部を拘束して保護
するようになっている。
【0036】次に、ABS制御ユニット30と、A/B
制御ユニット40について説明する。図3に示すよう
に、ABS制御ユニット30は、ABS制御を司る16
ビットのCPU(これをABS CPU50とする)と、こ
れに付随する種々の電子機器とで構成され、また、A/
B制御ユニット40は、エアバッグユニット37の作動
を制御する4ビットのCPU(これをA/B CPU70と
する)と、これに付随する種々の電子機器とで構成さ
れ、ABS CPU50とA/B CPU70とは、相互に信号
を授受可能に接続されている。
【0037】これらABS CPU50とA/B CPU70
は、共通の電源回路42から給電されるが、この電源回
路42は、バッテリ43と、ダイオード44と、このダ
イオード44の出力端に並列の電解コンデンサー45、
イグニションスイッチ46等を含む。電源回路42は、
ゲート回路47の第1入力端子に接続され、A/B CPU
70から供給される作動許可信号Viがゲート回路47
の第2入力端子に入力され、このゲート回路47の出力
端子は、ABS CPU50の電源端子に接続され、作動許
可信号Viが「H」レベルのとき、ゲート回路47は閉
成して電源回路42がABS CPU50に接続され、ま
た、作動許可信号Viが「L」レベルのとき、ゲート回
路47が開成される。
【0038】前記ABS制御ユニット30について説明
すると、ABS CPU50には、所定のアンチスキッドブ
レーキ制御の制御プログラムを格納したROMとRAM
とを含むメモリ51とバックアップ用のバッテリ52と
が接続されている。前記車輪速センサ31〜34からの
検出信号と、舵角センサ36からの検出信号は、入力I
/F53を介してABS CPU50に供給される。尚、I
/Fはインターフェースのことである。このABS CPU
50のウォッチドッグ出力部54a(以下、W/D 出力部
54aという)から出力されるウォッチドッグパルス
は、ウォッチドッグパルスモニタ(以下、W/D モニタ5
4という)に入力され、W/D モニタ54の出力信号は、
ANDゲート55の第1入力端子に入力され、また、A
NDゲート55の第2入力端子には、A/B CPU70か
ら出力許可信号Vr(但し、信号Vr=「H」のとき出
力許可、「L」のとき出力不許可)が入力されている。
【0039】前記ウォッチドッグパルスは、基本的には
一定の周期でオン・オフを繰り返す矩形波信号であっ
て、1周期中のオン時間Tonとオフ時間Toff とが一定
値に設定されている。このウォッチドッグパルスは、W/
D 出力部54aで発生させられるが、ABS CPU50が
フェールしているときには、ウォッチドッグパルスが乱
れ、オン時間Ton又はオフ時間Toff が大きくなり、又
は小さくなる。そこで、W/D モニタ54は、オン時間T
on又はオフ時間Toff が所定の下限値と上限値との間に
入っていないときには、ABS CPU50がフェールして
いると判定する。W/D モニタ54は、ABS CPU50が
正常であると判定したときには、「H」レベルのモニタ
信号Vmを出力し、また、ABS CPU50がフェールし
たと判定したときには、「L」レベルのモニタ信号Vm
を出力する。
【0040】前記増圧弁21a〜24aと減圧弁21b
〜24bの為の駆動回路に関して、これらの弁のソレノ
イドコイルの一端は、フェールセーフ用のリレースイッ
チ56を介して電源回路42に接続されており、例え
ば、増圧弁21aのソレノイドコイル58の他端は、N
PN形トランジスタ59を介して接地されている。リレ
ースイッチ56のリレーコイル56aは、NPN形トラ
ンジスタ57を介して接地され、前記ANDゲート55
の出力信号が、トランジスタ57のベースに入力されて
いる。一方、ソレノイドコイル58とその他のソレノイ
ドコイルを制御する制御信号Csは、ABS CPU50か
ら出力I/F60へ出力され、その制御信号Csに対応
する駆動信号がトランジスタ59のベースに入力され
る。その他のソレノイドコイルの各々は、ソレノイドコ
イル58と同様に、トランジスタを介して接地され、AB
S CPU50からの制御信号Csで制御される。
【0041】前記ポンプ26,28を駆動するモータ2
5の駆動回路に関して、モータ25の正極は、フェール
セーフ用のリレースイッチ62を介して電源回路42に
接続されており、このリレースイッチ62のリレーコイ
ル62aは、NPN形トランジスタ63を介して接地さ
れ、ANDゲート55の出力信号が、トランジスタ63
のベースに入力されている。また、モータ25の負極
は、NPN形トランジスタ64を介して接地され、モー
タ25を制御する制御信号Cmは、ABS CPU50から
出力I/F60へ出力され、その制御信号Cmに対応す
る駆動信号がトランジスタ64のベースに入力される。
更に、ソレノイドコイルの断線をモニターする為、ソレ
ノイドコイル58及びその他のソレノイドコイルの接地
側端部は、モニターライン65で、ABS CPU50に接
続されている。
【0042】以上説明したABS制御ユニット30にお
いて、電源回路42が正常で、イグニションスイッチ4
6がオンで、作動許可信号Viが「H」レベルのとき、
ABSCPU50は、作動し得る状態にある。そして、モ
ニタ信号Vmが「H」レベルで、出力許可信号Vrが
「H」レベルのときには、トランジスタ57,63が導
通し、リレースイッチ56,62がONとなるため、制
御信号Cs,Cmを出力し、ソレノイドコイル58及び
その他のソレノイドコイルと、モータ25とを作動させ
ることができる。但し、作動許可信号Viが「L」レベ
ルのときには、ゲート回路47が開成され、ABS CPU
50へ電力が供給されないため、ABS CPU50は機能
停止状態になる。また、ABS CPU50へ電力が供給さ
れている場合でも、出力許可信号Vrが「L」レベルの
ときには、ANDゲート55の出力が「L」レベルとな
るため、リレースイッチ56,62が閉成されないか
ら、制御信号Cs,Cmを出力しても無効となり、AB
S制御ユニット30は機能停止状態になる。
【0043】次に、A/B制御ユニット40について説
明すると、A/B CPU70には、後述のようにエアバッ
グユニット37を作動させる為の制御とABS制御ユニ
ット30の作動を制限する制御の制御プログラムとを格
納したROMとRAMとを含むメモリ71が接続され、
また、バックアップ用のバッテリ72が接続されるとと
もに、イグニションスイッチ46とゲート回路47の間
の電源電圧Vdが、電源端子に入力されている。更に、
A/B CPU70には、車体に作用する前後加減速度を検
出するGセンサ41の検出信号が入力されるとともに、
バーテリ電圧Vbがモニターライン73を介して入力さ
れ、故障診断装置74を接続する為の入力I/F75も
A/B CPU70に接続されている。前記W/D モニタ54
と同様の構成のW/D モニタ76に対して、W/D 出力部7
6aからウォッチドッグパルス信号が入力され、W/D モ
ニタ76の出力端子は、ABS CPU50のリセットポー
トと、A/B CPU70のリセットポートに接続されてい
る。
【0044】エアバッグユニット37のインフレータ3
9の電気ヒータ39aの駆動回路に関して、A/B CPU
70から制御信号を受ける昇圧回路77には、電源電圧
Vdが入力され、この昇圧回路77の出力端子は、PN
P形トランジスタ78を介して、エアバッグユニット3
7のインフレータ39の電気ヒータ39aの一端に接続
されるとともに、電気ヒータ39aの他端は、NPN形
トランジスタ83を介して接地され、前記トランジスタ
78のベースには、NPN形トランジスタ79のコレク
タが接続されている。
【0045】ANDゲート80の第1入力端子には、AB
S CPU50から供給される作動許可信号Vaが入力さ
れるとともに、ANDゲート80の第2入力端子には、
A/BCPU70から制御信号Ciが入力され、ANDゲ
ート80の出力端子は、出力I/F81を介してトラン
ジスタ79のベースに接続されている。そして、作動許
可信号Vaが「H」レベルのとき、A/B CPU70から
ANDゲート80を介して出力I/F81に制御信号C
iが出力されると、その制御信号Ciに対応する駆動信
号が出力I/F81からトランジスタ79のベースに出
力される。また、A/B CPU70から出力I/F82に
制御信号Cjが出力されると、その制御信号Cjに対応
する駆動信号が出力I/F82からトランジスタ83の
ベースに出力される。
【0046】従って、作動許可信号Vaが「H」レベル
のとき、「H」レベルの制御信号CiがANDゲート8
0に入力されると、トランジスタ79が導通して、トラ
ンジスタ78が導通する。また、「H」レベルの制御信
号Cjが出力I/F82に出力されると、トランジスタ
83が導通する。つまり、エアバッグユニット37を作
動させるときには、「H」レベルの制御信号Ci,Cj
が同時に出力され、トランジスタ78,79,83が全
て導通して、昇圧回路77からの電力がヒータ39aに
通電され、ヒータ39aが加熱することで、インフレー
タ39が作動し、エアバッグ38が膨張展開することに
なる。また、ヒータ39aの断線をモニターする為、ヒ
ータ39aの両端は、モニターライン85,86で、A/
B CPU70に接続されている。また、出力I/F60
をモニターする為、出力I/F60の出力ラインが、モ
ニターライン66を介してA/B CPU70に接続されて
いる。また、A/B CPU70には、ワーニングランプ8
4も接続されている。
【0047】次に、ABS CPU50又はA/B CPU70
において実行される種々の制御についてフローチャート
を参照しつつ説明する。尚、フローチャート中の符号S
i(i=1,2,・・・)は各ステップを示す。 エアバッグ作動制御・・・・・図4参照 このエアバッグ作動制御は、車両の衝突時に、所定の条
件下に、エアバッグ装置のエアバッグ38を展開作動さ
せる制御であり、イグニションスイッチ46がオンであ
れば、A/B CPU70により常時実行される。
【0048】制御が開始されると、最初にABS CPU5
0から従動輪である前輪1,2の車輪速Vw1,Vw2
が読み込まれ、その車輪速Vw1,Vw2の時間微分値
から前後加減速度Gwが演算される(S1)。次に、G
センサ41の検出信号を読込んで、車体に作用した前後
加減速度Gsが演算され(S2)、次に、前後加減速度
Gwの絶対値が所定値C1(例えば、C1=18.0G)以
上か否か判定し(S3)、その判定がYes のときには、
S4において加減速度Gsの絶対値が所定値C2(例え
ば、C2=20.0G)以上か否か判定し、その判定がYes
のときには、S5において、車両の衝突が発生したもの
として、エアバッグ装置を作動させる。この場合、
「H」レベルの制御信号Ci,Cjが出力され、ヒータ
39aに通電されてインフレータ39の火薬が点火さ
れ、エアバッグ38が膨張展開する。その次のS6で
は、エアバッグ38が一旦展開したことを示すフラグF
abが1にセットされて、制御が終了する。
【0049】一方、S3の判定が No の場合には、S7
において、(Gw−Gs)の絶対値が所定値α以下か否
か判定し、その判定がYes のときにはリターンする。ま
た、S4の判定が No のときには、衝突が発生した可能
性が低いので、エアバッグ装置を作動させることなくリ
ターンする。しかし、S7の判定が No の場合には、G
センサ41が故障したとしてワーニングランプ84にワ
ーニングが出力され(S8)、その後リターンする。以
上のように、ABS制御で用いる車輪速Vw1,Vw2
から求めた前後加減速度Gwと、Gセンサ41で検出し
た前後加減速度Gsとに基づいて、車両の衝突を判定
し、エアバッグ装置を作動させるように構成したので、
エアバッグ装置の為に通常設ける複数の減速度センサを
省略して、信頼性を確保しつつも制御系を簡素化するこ
とができる。また、S7を介して、Gセンサ41の故障
を判定するように構成したため、簡単にGセンサ41の
故障を常時判定して、エアバッグ装置の信頼性を確保で
きる。
【0050】ABS同時作動制限制御・・・・・図5参
照 車両の衝突の際、通常、急減速状態となり、ブレーキペ
ダル16が踏まれてブレーキスイッチ35もオンするた
め、アンチスキッドブレーキ装置が作動し、これと同時
にエアバッグ装置が作動することになる。しかし、アン
チスキッドブレーキ装置には、ソレノイドコイル58を
含む複数のソレノイドコイル及びモータ25が設けられ
ていて、アンチスキッドブレーキ装置における電力消費
量は少なくないので、アンチスキッドブレーキ装置とエ
アバッグ装置とが同時に作動すると、エアバッグ装置が
正常に作動できなくなることがある。
【0051】例えば、電源回路42のバッテリー43の
電圧が低下している場合、衝突により電源回路42内に
断線が生じた場合、等には、エアバッグ装置の作動確実
性を確保できなくなる虞があるが、断線のため電源回路
42からヒータ39aに給電できない場合にも、断線発
生から300msの間は、確実に給電する為に電解コン
デンサー45が設けられている。しかし、アンチスキッ
ドブレーキ装置がエアバッグ装置と同時に作動すると、
コンデンサー45からアンチスキッドブレーキ装置の方
へ多くの電流が流れて、エアバッグ装置の作動確実性が
阻害される虞があることから、本発明では、アンチスキ
ッドブレーキ装置が、エアバッグ装置と同時作動するの
を制限する制限手段として、以下に説明するABS同時
作動制限制御が、A/B CPU70により、常時実行され
る。
【0052】図5において、制御の開始後、以下のルー
チンに必要な各種信号が読み込まれ(S10)、次に、
イグニションスイッチ46がオフからオンに切換えられ
たか否か判定し(S11)、その判定が No のときに
は、イグニションスイッチ46がオンか否か判定し(S
12)、その判定が No のときには、衝突等による電源
回路42内における断線を検出する為に、S13におい
てバッテリー電圧Vbが0か否か判定し、その判定がYe
s のときにはS17へ移行し、後述のように、ABS制
御ユニット30を機能停止状態に切換える処理が実行さ
れる。尚、S13の判定が No のときには、リターンす
る。一方、S12の次のS14では、バッテリー電圧V
bが所定値Vm(例えば、Vm=11.0ボルト)以下か否
か判定し、その判定がYes のときには、ABS制御ユニ
ット30の作動を許可するのは好ましくないため、S1
7へ移行するが、S14の判定が No のときは、S15
へ移行する。
【0053】S15では、Gセンサ41の検出信号から
求めた加減速度Gsの絶対値が、前記所定値C2よりも
小さな所定値C3(例えば、C3=10.0G)以上か否か
判定し、その判定がYes のときには、衝突が発生した可
能性が高いため、S17へ移行して、ABS制御ユニッ
ト30を機能停止状態に切換える処理が実行される。S
15の判定が No のときは、衝突が発生した可能性が低
いため、S16へ移行する。S16では、加減速度Gs
の絶対値の変化率が所定値C4以上か否か判定し、その
判定がYes のときには、やはり衝突が発生した可能性が
高いので、S17へ移行し、ABS制御ユニット30を
機能停止状態に切換える処理が実行される。S16の判
定が No のときはS20へ移行する。
【0054】S17においては、ABS制御ユニット3
0を機能停止状態に切換えたことを示すフラグFstが1
にセットされ、作動許可信号Viが「L」レベルに切換
えられ、信号許可信号Vrが「L」レベルに切換えられ
る。その結果、ゲート回路47が開いて、ABS CPU5
0へは通電されなくなり、また、ANDゲート55の出
力信号が「L」レベルとなって、リレースイッチ56,
62がオフとなるため、仮に、制御信号Cs,Cmが出
力されても、ソレノイドコイル58を含む複数のソレノ
イドコイル及びモータ25が作動しなくなるから、AB
S制御ユニット30において電力を消費することがな
い。
【0055】次に、ABS制御ユニット30を機能停止
状態を解除する為のルーチンについて説明する。S11
の判定により、イグニションスイッチ46が、オフから
オンに切換えられた場合には、S18において、フラグ
Fstが1か否か判定し、その判定が Noのときはリター
ンするが、その判定がYes のときには、S19におい
て、機能停止状態を解除する為、フラグFstが0にリセ
ットされ、作動許可信号Viが「H」レベルに切換えら
れ、出力許可信号Vrが「H」レベルに切換えられ、そ
の後リターンする。
【0056】また、S20においてフラグFstが1か否
か判定し、フラグFstが1であって、ABS制御ユニッ
ト30が機能停止状態にある場合には、S21〜S23
の条件が全て充足された場合に、S24において機能停
止状態が解除される。即ち、S21ではフラグFabが0
であって、エアバッグ装置が作動しなかったか否か判定
し、S22では、バッテリー電圧Vbが所定値Vmより
も高いか否か判定し、S23では、従動輪の車輪速Vw
1,Vw2から求められた車速Vcar>0か否か判定す
る。そして、フラグFabが0で、バッテリー電圧Vbが
所定値Vmよりも高く、車速Vcar >0である場合に
は、S24において、機能停止状態を解除する為、フラ
グFstが0にリセットされ、作動許可信号Viが「H」
レベルに切換えられ、出力許可信号Vrが「H」レベル
に切換えられられる。S20〜S23の何れかの判定が
No のときには、機能停止状態を解除することなく、リ
ターンする。尚、エアバッグ装置が一旦作動して、フラ
グFabが1にセットされた場合には、車両及びエアバッ
グ装置の修理完了後に、故障診断装置74を介して、フ
ラグFabが0にリセットされるものとする。
【0057】エアバッグ作動許可制御・・・・・図6参
照 前記A/B CPU70が、ノイズ等の影響で誤動作する可
能性があることに鑑み、前記のようにABS CPU50か
らANDゲート80に作動許可信号Vaを出力するよう
に構成してあり、このエアバッグ作動許可制御は、作動
許可信号Vaを発生させる為に、ABS CPU50におい
て常時実行される。制御が開始されると、車輪速センサ
31〜34の検出信号が読み込まれ(S30)、次に従
動輪である前輪1,2の車輪速Vw1,Vw2が演算さ
れ、前後加減速度Gwが演算される(S31)。
【0058】次に、S32において、前後加減速度Gw
の絶対値が、所定値C5(例えば、C5=3.0 G)以上
か否か判定されるが、この所定値C5は、車両の走行に
よっては絶対に生じ得ないような例えば2.0 G以上の値
に設定されている。そして、その判定がYes のときに
は、衝突が発生した可能性か高いので、S33において
エアバッグ装置の作動を許可する為に、作動許可信号V
aが「H」レベルに切換えられ,その後リターンする。
これに対して、S32の判定が No のときには、エアバ
ッグ装置の作動を不許可とする為に、作動許可信号Va
が「L」レベルに切換えられ,その後リターンする。
尚、前記のABS同時作動制限制御により、ABS CPU
50が機能停止状態に切換えられた状態においても、バ
ックアップバッテリー52からの給電によりエアバッグ
作動許可制御が常時実行される。従って、A/B CPU7
0が、ノイズ等の影響により誤動作した場合にも、この
比較てき簡単な制御ロジックからなるエアバッグ作動許
可制御を介して、エアバッグ装置の誤制御による誤作動
を確実に防止することができる。
【0059】ABS CPUの故障判定制御・・・・・図7
参照 このABS CPUの故障判定制御は、ABS CPU50がノ
イズ等の影響で故障したことを判定する制御であり、イ
グニションスイッチ46がオンのときには、A/B CPU
70により常時実行される。尚、ABS CPU50に付属
のメモリ51には、この制御における後述の関数計算に
必要な制御プログラムが予め格納されている。この制御
が開始されると、最初に、カウンタI,Jが夫々0にリ
セットされ(S40)、次に、S41において、ABS C
PU50に対して、任意の所定値nと、所定の関数式f
(x)=(A・x+B)/Cにより、f(n)を演算す
る指令が出力される。但し、A,B,Cは、所定の定数
であり、ABS CPU50は、前記の指令に応じて、f
(n)を求める演算を実行する。
【0060】次に、A/B CPU70においては、前記関
数式f(x)と同じ関数式g(x)によりg(n)が演
算され(S42)、次にABS CPU50から、f(n)
が読込まれ(S43)、次にf(n)=g(n)か否か
判定される(S44)。S44の判定がYes のときに
は、カウンタJの値が(J−1)に変更され、カウンタ
Iが(I+1)にインクリメントされ(S45)、ま
た、S44の判定がNo のときには、カウンタJの値が
(J+2)に変更され、カウンタIが(I+1)にイン
クリメントされる(S46)。
【0061】次に、カウンタIの値が所定回数I0以上
になったか否か判定し(S47)、その判定が No のう
ちはS41へ戻ってS41以降が繰り返され、カウンタ
Iの値が所定回数I0になると、カウンタJの値が所定
値J0以上になったか否か判定する(S48)。J<J
0の場合には、ABS CPU50が正常作動しているとし
て、S40へ戻り、カウンタI,Jを0にリセットし
て、S40以降が繰り返し実行される。しかし、J≧J
0の場合には、S49において、ABS CPU50が故障
していると判定され、ワーニングランプ84にワーニン
グが出力され、次に、S50において、ABS CPU50
を機能停止状態に切換える為に、フラグFstが1にセッ
トされ、作動許可信号Viが「L」レベルに切換えら
れ、出力許可信号Vrが「L」レベルに切換えられ、そ
の後リターンし、この制御が繰り返し実行される。尚、
種々のnに対するf(n)の値をマップとして、メモリ
71に格納しておき、ABS CPU50から出力されたf
(n)の値をマップのデータと照合することで、判定す
るように構成してもよい。
【0062】このように、4ビットのA/B CPU70で
あって、演算処理負荷があまり高くないA/B CPU70
を有効活用して、また、比較的簡単な制御ロジックによ
り、16ビットABS CPU50の故障を判定することが
できるので、ABS CPU50の故障対策として同一の同
容量のABS CPU50を2つ装備する必要がなくなるか
ら、ABS制御ユニット30のコスト低減を図ることが
できる。
【0063】以上説明した車両の総合制御装置の作用・
効果について説明する。図4のエアバッグ作動制御にお
いて説明したように、ABS CPU50とA/B CPU70
との間で相互に信号授受可能に構成し、ABS制御の為
に検出した従動輪の車輪速Vw1,Vw2から前後加減
速度Gwと、Gセンサ41で検出した前後加減速度Gs
とに基づいて、エアバッグ装置の作動を判定するように
構成したので、エアバッグ装置の作動判定の為に、減速
度スイッチを設ける必要がなく、制御系が簡単化し、コ
スト低減を図ることができる。また、S7のステップを
介して、Gセンサ41の故障を簡単に判定することもで
きる。
【0064】ABS制御ユニット30とエアバッグ制御
ユニット40とは、共通の電源回路42に接続されてい
るが、図5に示すABS同時作動制限制御(制限手段)
を設け、アンチスキッドブレーキ装置が、エアバッグ装
置と同時作動しないように、、同時作動の可能性のある
ときには、ABS制御ユニット30を機能停止状態に切
換えるように構成したので、電源電圧が低下している場
合や、衝突により電源回路42内に断線が発生した場合
に、前記同時作動により、エアバッグ装置の作動確実性
が損なわれることがなく、衝突時には、確実にエアバッ
グ装置を作動させることができる。また、一旦機能停止
状態に切換えた場合には、S21〜S23の条件が成立
したときに、機能停止状態を解除するため、その解除に
よってエアバッグ装置の作動確実性が損なわれることも
ないし、また、イグニションスイッチ46がオフからオ
ンに切換えられたときには、機能停止状態を解除するた
め、簡単な操作を介して機能停止状態を解除することが
できる。
【0065】図6のエアバッグ作動許可制御において説
明したように、ABS制御ユニット30において、車両
が衝突した可能性を判定して、その可能性が高いときだ
け、エアバッグ制御ユニット40に「H」レベルの作動
許可信号Vaを出力して作動を許可するように構成した
ので、ノイズ等の影響でエアバッグ制御ユニット40が
誤動作してエアバッグ装置を誤作動させるのを確実に防
止することができる。
【0066】図7のABS CPUの故障判定制御を介し
て、A/B CPU70によりABS CPU50の故障を判定
するように構成したので、ABS CPU50の故障対策と
して、ABS CPU50を2重に装備する必要がなくな
り、かなりのコスト低減を図ることができる。尚、前記
W/D モニタ76は、A/B CPU70の異常ないし故障を判
定したときには、ABS CPU50に対してリセット信号
を出力して、ABS CPU50をリセットさせるととも
に、A/B CPU70に対してリセット信号を出力して、
A/B CPU70をリセットさせる。即ち、ノイズ等の影
響によりA/B CPU70が故障した場合には、前記リセ
ットを介して復旧させることができる。
【0067】尚、前記実施例では、ABS制御ユニット
30を機能停止状態に切換える場合に、ゲート回路47
を介して通電カット状態にし、かつ、出力許可信号Vr
を介して出力カット状態にするように構成したが、これ
らに代えて又はこれらとともに、ABS CPU50を最小
限のルーチンのみ実行するスリーピング状態に切換える
ように構成してもよい。また、前記実施例では、スリッ
プ制御装置として、アンチスキッドブレーキ装置を適用
した場合を例として説明したが、スリップ制御装置とし
て、アンチスキッドブレーキ装置とともに又はアンチス
キッドブレーキ装置の代わりに、トラクション制御装置
を適用した場合における車両の総合制御装置にも、本発
明を同様に適用できることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る車両のアンチスキッドブ
レーキ装置とエアバッグ装置の構成図である。
【図2】前記アンチスキッドブレーキ装置の液圧ユニッ
トの回路図である。
【図3】ABS制御ユニットとエアバッグ制御ユニット
の構成図である。
【図4】エアバッグ作動制御のルーチンのフローチャー
トである。
【図5】ABS同時作動制限制御のルーチンのフローチ
ャートである。
【図6】エアバッグ作動許可制御のルーチンのフローチ
ャートである。
【図7】ABS CPUの故障判定制御のルーチンのフロー
チャートである。
【符号の説明】
30 ABS制御ユニット 31〜34 車輪速センサ 40 エアバッグ制御ユニット 41 Gセンサ 42 電源回路 45 電解コンデンサー 46 イグニションスイッチ 47 ゲート回路 50 ABS CPU 55 ANDゲート 70 A/B CPU 80 ANDゲート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 蛇原 幸治 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の過大なスリップを抑制するように
    駆動力又は制動力を制御するスリップ制御装置と、車両
    衝突時にエアバッグが展開して乗員を保護するエアバッ
    グ装置とを装備した車両において、 前記スリップ制御装置のスリップ制御部と、エアバッグ
    装置のエアバッグ制御部とは、相互に信号を授受可能に
    接続され、 前記スリップ制御装置とエアバッグ装置とが同時に作動
    しないように、スリップ制御装置の作動を制限する制限
    手段を設けたことを特徴とする車両の総合制御装置。
  2. 【請求項2】 前記スリップ制御部とエアバッグ制御部
    とは、共通の電源回路に接続されたことを特徴とする請
    求項1に記載の車両の総合制御装置。
  3. 【請求項3】 前記電源回路は、蓄電用のコンデンサを
    備えたことを特徴とする請求項2に記載の車両の総合制
    御装置。
  4. 【請求項4】 車体の前後加減速度を検出してエアバッ
    グ制御部に出力する加減速度センサを備え、前記エアバ
    ッグ制御部は、加減速度センサで検出された加減速度に
    基いてエアバッグ装置を制御するように構成されたこと
    を特徴とする請求項3に記載の車両の総合制御装置。
  5. 【請求項5】 前記電源回路に断線が発生したことを検
    知する断線検知手段を設け、その断線検知手段により断
    線が検知されたときに、制限手段は、スリップ制御装置
    を機能停止状態に切換えるように構成されたことを特徴
    とする請求項4に記載の車両の総合制御装置。
  6. 【請求項6】 前記制限手段は、加減速度センサで検出
    した加減速度が、エアバッグ制御部がエアバッグ装置の
    作動を判定するエアバッグ作動判定しきい値よりも低い
    停止判定しきい値以上になったときに、スリップ制御装
    置を機能停止状態に切換えるように構成されたことを特
    徴とする請求項4に記載の車両の総合制御装置。
  7. 【請求項7】 前記制限手段は、加減速度センサで検出
    した加減速度の変化率が所定値以上のときに、スリップ
    制御装置を機能停止状態に切換えるように構成されたこ
    とを特徴とする請求項4に記載の車両の総合制御装置。
  8. 【請求項8】 4輪の車輪速を検出してスリップ制御部
    へ出力する車輪速センサを備え、前記エアバッグ制御部
    は、スリップ制御部から受けた従動輪速から求めた加減
    速度と、加減速度センサで検出された加減速度とに基づ
    いて、エアバッグ装置の作動を判定するように構成され
    たことを特徴とする請求項4〜請求項7の何れか1つに
    記載の車両の総合制御装置。
  9. 【請求項9】 4輪の車輪速を検出してスリップ制御部
    へ出力する車輪速センサを備え、スリップ制御部は、従
    動輪速から求めた加減速度が所定値以上のときに、エア
    バッグ装置に作動許可信号を出力するように構成された
    ことを特徴とする請求項4〜請求項7の何れか1つに記
    載の車両の総合制御装置。
  10. 【請求項10】 前記エアバッグ制御部に、スリップ制
    御部が故障したか否か監視する故障判断部を設けたこと
    を特徴とする請求項1に記載の車両の総合制御装置。
  11. 【請求項11】 前記スリップ制御装置の機能停止状態
    は、スリップ制御部のスリーピング状態、スリップ制御
    部への通電カット状態、スリップ制御部の出力カット状
    態、のうちの少なくとも1つの状態であることを特徴と
    する請求項5〜請求項7の何れか1つに記載の車両の総
    合制御装置。
  12. 【請求項12】 前記制限手段は、エアバッグ装置が不
    作動で、かつ、電源回路が正常で、かつ、車速が正であ
    ることを条件として、スリップ制御装置の機能停止状態
    を解除するように構成されたことを特徴とする請求項5
    〜請求項7の何れか1つに記載の車両の総合制御装置。
  13. 【請求項13】 前記制限手段は、イグニションスイッ
    チが、OFF からONに切換えられたときに、スリップ制御
    装置の機能停止状態を解除するように構成されたことを
    特徴とする請求項5〜請求項7の何れか1つに記載の車
    両の総合制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009056914A (ja) * 2007-08-31 2009-03-19 Toyota Motor Corp 車両の制御装置
US7890232B2 (en) 2005-08-23 2011-02-15 Fujitsu Ten Limited Airbag system
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