JP3721618B2 - ターボチャージャーの潤滑装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ターボチャージャーの潤滑装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常のターボチャージャーは、エンジンに後付けできるように設計されており、ターボ付きとターボ無しといった異なる仕様でもエンジン部を共用する構成となっている。このため、ターボチャージャー廻りの設計自由度が少なくなり、特にターボチャージャー内で高速回転する軸の潤滑油路構成では、これらの後付け装置の配置に苦労していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
例えば、農用トラクターに備えるターボチャージャーの潤滑においては、ターボチャージャーの回転軸を潤滑した油を、エンジン側に戻す際、排油パイプの出口側をエンジンのシリンダーボディに通油口付きのボルトで取り付ける構成としていた。そして前記排油パイプでは、この端部を弾性体にて構成し、前記ボルトに直接接続する構成となっていた為、ボルトの締め付けに伴いパイプがねじれてしまい、短いパイプ長では内径がつぶれて排油性能が悪化したり、パイプをたるませるとエキゾーストマニホールドに同排油パイプが接触してパイプが劣化する等の不具合が生じている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この発明は、従来装置のこのような不具合を解消しようとするものであって、次のような技術的手段を講じた。即ち、周囲をボンネット19で覆い、上部に潤滑油注油口キャップ44を備えた農用トラクターのエンジンであって、該エンジン1上部のエキゾーストマニホールド29周りに、同エンジン1の排出ガスを受けて駆動される駆動ファン30及びこの駆動ファン30と前後方向の軸3を介して連結される従動ファン31を有するターボチャージャー2と、前記軸3上方に潤滑油を給油する給油パイプ4と、前記軸3下方に潤滑油をエンジン側へ戻す排油パイプ5とを取り付けるエンジンのターボチャージャーの潤滑装置において、
前記エンジン1のシリンダヘッド26の左右一側に、前記駆動ファン30へ排ガスを送り込むエギゾーストマニホールド29の一端部を接続し、同シリンダヘッド26の左右他側に、前記給油キャップ44上方に配置されたサージタンク32と接続され且つ前記従動ファン31から送られる外気を取り入れるインテークマニホールド28の一端部を接続すると共に、
前記排油パイプ5の中途部を弾性体9にて構成し、同パイプ5の下端部をエンジンボディ6側部の開口部7に対して着脱可能なワンタッチ式挿入具8にて構成し、
更に前記開口部7のエンジン内側には、上部を開放し下部に長手方向に沿って複数の穴46,46を開口した傾斜状の案内体45を備え、
前記排油パイプ5から戻される潤滑油を開口部7を通じてエンジン1内に取り入れる状態と、前記排油パイプ5を外して新たに潤滑油を前記開口部7を通じてエンジン1内に取り入れる状態に変更可能に構成としたことを特徴とするターボチャージャーの潤滑装置とした。
【0005】
【実施例】
図例は農用トラクター10であって、農用トラクター10のエンジン1部にこの発明のターボチャージャー2の潤滑装置を折り込んでいる。
農用トラクター10の機体前後には前後車輪11,12が配設されており、左右の前車輪11,11間上方にエンジン1が搭載されている。エンジン1の両側方には前フレーム13の後部が取り付けられ、前フレーム13は前方に向かって突出している。エンジン1の後部にはクラッチハウジング14の前端部が取り付けられ、クラッチハウジング14の後部に前後の伝動ケース15,16が夫々取り付けられて主フレームを構成している。前述の後車輪12は後伝動ケース16から左右両側方に突出するリヤーアクスル(図示せず。)に取り付けられており、エンジン1の駆動力により走行する。
【0006】
エンジン1の前方にはラジエター17が配設され、冷却ファン18でラジエター17に風を送り冷却している。エンジン1の上方はボンネット19で覆われ、左右両側方はサイドカバー20,20で覆われ、前方はフロントグリル21で覆われている。さらに、左右のサイドカバー20部には、電動モーター47で駆動回転する補助ファン22,22が取り付けられいる。23は前部防塵網、24は側部防塵網である。
【0007】
図1,図2で、要部のターボチャージャー2廻りを説明する。エンジン1はシリンダーボディ6下部にオイルパン25を取り付け、シリンダーボディ6上方にシリンダーヘッド26とヘッドカバー27を取り付けている。ヘッドカバー27上には、潤滑油を注入するための注油口を閉鎖するキヤップ44が取り付けられている。シリンダーヘッド26には、吸気用のインテークマニホールド28と排気用のエキゾーストマニホールド29が取り付けられ、エキゾーストマニホールド29上方にはターボチャージャー2の駆動ファン30が位置している。駆動ファン30は軸3を介して従動ファン31と連結されており、従動ファン31はインテークマニホールド28側にサージタンク32を介して連通している。駆動ファン30と従動ファン31は夫々ケース体で覆われており、エキゾーストマニホールド29内を通過する排出ガスの流れにより駆動ファン30が駆動されて軸3を回転し、従動ファン31が回転して外気を吸入しサージタンク32に押し込み、サージタンク32からインテークマニホールド28を介してエンジン1の燃焼室(図示せず。)に達する。34は外気吸入口、33はエアクリーナー、42はマフラー、43はテールパイプである。
【0008】
オイルパン25内には潤滑油があり、油ポンプ35により吸入した潤滑油をフィルター36を経てクランク軸37からカム軸38に圧送し、その一部を外装式の給油パイプ4を経て、軸3上方の取付座39に送っている。軸3下方にはボス40が設けられ、このボス40に外装式の排油パイプ5の一端を取り付けている。排油パイプ5の一部は弾性体9のパイプとしており、排油パイプ5の他端が首振り自在となっている。シリンダーボディ6下方に開口部7が設けられ、この開口部7に排油パイプ5他端に取り付けた挿入具8を挿入している。挿入具8にはOリング等のシール体41が取り付けられており、ワンタッチ着脱する挿入具8をシリンダーボディ6の開口部7に係止するだけであるから、従来のパイプ下端部を直接廻してネジ止めするものよりねじれが無いだけ短くできる。このように、高温になるエキゾーストマニホールド29廻りに配管する排油パイプ5を短くできるから、排油パイプ5がたるんで焼けることが少なくなる。
【0009】
ターボチャージャー2や潤滑油の給排油パイプ4,5や他の吸気配管等は図例のように、エンジン1のエキゾーストマニホールド29外上部廻りに後付けする形態であり、エンジン1への潤滑油注油口のキヤップ44が、各部材例えばサージタンク32等で使用できない場合が生じる。このような時、挿入具8をワンタッチで外せば、潤滑油の注油口に利用できる。
【0010】
排油パイプ5の下端部廻りを、図3、図4で説明する。シリンダーボディ6の開口部7から内部に戻ってきた潤滑油は、ボディに一体または後付けの油案内体45の一端部に流れ込む。油案内体45は、断面視上部を開放した凹形状とし、他端部(図4中右側)が下方に向かって傾斜しており、潤滑油は油案内体45下部に設けた複数個の穴46,46....から分散してオイルパン25に戻す構成としている。これにより、オイルパン25の一部に集中してターボチャージャー2からの高温の戻り潤滑油を落下させず、同潤滑油をオイルパン25内で極力分散させている。
【0011】
ターボチャージャー2は、前述の通りエキゾーストマニホールド29の排ガス通路に配置した駆動ファン30の毎分1万回転以上の高速回転を、軸3を介してインテークマニホールド28側に設けた従動ファン31に伝えて吸入空気を増加し、エンジン1の出力を増やそうとする単体部品としては従来公知の構成であり、軸3の潤滑が非常に重要なものである。
【0012】
次に、エンジン1の左右両側を覆うサイドカバー20,20部に設けた、補助ファン22の働きについて説明する。通常運転時には図5で示す補助ファン22は停止しており、エンジン1前方の冷却ファン18でエンジンルーム内を冷却している。ラジエター17内の冷却液温度は温度計等により監視され(図示せず。)ており、オーバーヒート傾向の時は、一方の電動モーター47により外気を矢印「イ」方向に吸引し、他方の電動モーター47を逆転して反矢印「イ」方向に内気を側部防塵網24側に排出して、他方側の側部防塵網24を一定時間掃除する。一定時間経過するとそれぞれ回転方向を反転して、一方の電動モーター47を逆転して反矢印「イ」方向に内気を側部防塵網24側に排出して一方側の側部防塵網24を掃除すると共に、他方側の電動モーター47を正転して外気を吸入する。左右の側部防塵網24,24の掃除がすむと、二つの補助ファン22,22を正転して冷却液温度下げる。補助ファン22はゴミの取り除きと、冷却能力の向上の両方の働きを行い、オーバーヒートに伴うエンジン1の耐久性低下や性能維持の不具合を解消する。
【0013】
【発明の作用効果】
この発明は、前述の構成により、次のような特有の技術的効果を奏する。即ち、エンジン1にターボチャージャー2を後付けできるように設計した場合、ターボチャージャー2からの排油パイプ5の中途部を弾性体9とすると共にシリンダーボディ6側の固定を、捩じ込み固定でなく差し込み固定としているから、排油パイプ5を極力短くすることが可能となり、これに伴い、排油パイプ5がたるまず材質劣化が少なくなり、組立て性が向上する。
また、前記排油パイプ5を差し込む開口部7のエンジン内側には、上部を開放し下部に長手方向に沿って複数の穴46,46を開口した傾斜状の案内体45を備えているので、前記排油パイプ5内からの潤滑油を取り入れる時には極力冷却してエンジン内に取り入れ、また新たに潤滑油を注入する時には円滑にエンジン内に取り入れることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】要部である、エンジン背面図である。
【図2】要部である、エンジン側面図である。
【図3】一部断面した、エンジン別要部の正面図である。
【図4】図3の側面図である。
【図5】要部である、エンジン平面図である。
【図6】一部断面した、トラクター全体側面図である。
【符号の説明】
1 エンジン
2 ターボチャージャー
3 軸
4 給油パイプ
5 排油パイプ
6 シリンダーボディ
7 開口部
8 挿入具
9 弾性体
18 ラジエター冷却ファン
19 ボンネット
26 シリンダヘッド
28 インテークマニホールド
29 エキゾーストマニホールド
30 2の駆動ファン
31 2の従動ファン
32 サージタンク
45 案内体
46 開口部
Claims (1)
- 周囲をボンネット19で覆い、上部に潤滑油注油口キャップ44を備えた農用トラクターのエンジンであって、該エンジン1上部のエキゾーストマニホールド29周りに、同エンジン1の排出ガスを受けて駆動される駆動ファン30及びこの駆動ファン30と前後方向の軸3を介して連結される従動ファン31を有するターボチャージャー2と、前記軸3上方に潤滑油を給油する給油パイプ4と、前記軸3下方に潤滑油をエンジン側へ戻す排油パイプ5とを取り付けるエンジンのターボチャージャーの潤滑装置において、
前記エンジン1のシリンダヘッド26の左右一側に、前記駆動ファン30へ排ガスを送り込むエギゾーストマニホールド29の一端部を接続し、同シリンダヘッド26の左右他側に、前記給油キャップ44上方に配置されたサージタンク32と接続され且つ前記従動ファン31から送られる外気を取り入れるインテークマニホールド28の一端部を接続すると共に、
前記排油パイプ5の中途部を弾性体9にて構成し、同パイプ5の下端部をエンジンボディ6側部の開口部7に対して着脱可能なワンタッチ式挿入具8にて構成し、
更に前記開口部7のエンジン内側には、上部を開放し下部に長手方向に沿って複数の穴46,46を開口した傾斜状の案内体45を備え、
前記排油パイプ5から戻される潤滑油を開口部7を通じてエンジン1内に取り入れる状態と、前記排油パイプ5を外して新たに潤滑油を前記開口部7を通じてエンジン1内に取り入れる状態に変更可能に構成としたことを特徴とするターボチャージャーの潤滑装置。
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