JP3721210B2 - 哺乳類のl−アスパラギナーゼをコードするdna - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明はL−アスパラギナーゼをコードする新規なDNA、詳細には、哺乳類のL−アスパラギナーゼをコードするDNAに関する。
【0002】
【従来の技術】
L−アスパラギナーゼ(EC3.5.1.1)は、L−アスパラギンに作用してL−アスパラギン酸とアンモニアを遊離するアミドヒドロラ−ゼの一種である。L−アスパラギナーゼは動植物及び微生物におけるL−アスパラギン代謝の中心的役割を担う酵素であるが、ジェー・ジー・キッズが『ジャーナル・オブ・エキスペリメンタル・メディスン』、第98巻、第565乃至58頁(1953年)にリンパ腫に対する阻害作用を報告して以来、抗腫瘍剤としての実用化に向けて精力的な研究が続けられてきた。その結果、今では、大腸菌のL−アスパラギナーゼが白血病及びリンパ腫の治療剤として用いられるようになった。
【0003】
しかし、抗腫瘍作用に優れた大腸菌のL−アスパラギナーゼも、人体からみれば、所詮、異種蛋白質であり、これを配合使用する従来の治療剤は、患者に投与すると、アナフィラキシーショック及び蕁麻疹、浮腫、喘鳴、呼吸困難などの過敏反応を始めとする深刻な副作用を頻発させることとなった。斯くして、従来の治療剤は用量及び投与頻度を大幅に制限せざるを得ない状況にあり、そのため、斯かる副作用を軽減乃至解消するための提案が幾つかなされてきた。
【0004】
その第一は、特開昭54−119082号公報に見られるように、2−O−置換ポリエチレングリコール−4,6−ジクロロ−S−トリアジンにより大腸菌由来のL−アスパラギナーゼにおけるアミノ基の65%以上を封鎖し、L−アスパラギナーゼそのものを化学的に修飾しようというものである。第二は、特開平4−320684号公報に見られるように、ヒトの肺、胃又は胸部から採取した線維芽細胞を培養し、培養物からヒトのL−アスパラギナーゼを採取しようというものである。第一の提案には、大量入手容易な大腸菌のL−アスパラギナーゼを利用できる利点はあるものの、修飾反応の制御が困難なうえに、副作用を解消するまでには到らないという問題がある。第二の提案によるヒトのL−アスパラギナーゼは、大腸菌が産生するものと違って、患者に投与しても抗体を産生し難い利点はあるものの、特開平4−320684号公報に開示されたヒト細胞はL−アスパラギナーゼ産生能が充分高いとは言えず、L−アスパラギナーゼを量産しようとすると、細胞を大量に培養しなければならない問題がある。
【0005】
一方、昨今の組換えDNA技術の進歩には目覚しいものがある。今日では、全アミノ酸配列が解明されていないポリペプチドであっても、これをコードする遺伝子を単離し、その塩基配列を解明できれば、そのポリペプチドをコードするDNAを含む組換えDNAを作製し、これを微生物や動植物の細胞に導入して得られる形質転換体を培養することにより、所望量のポリペプチドが容易に取得できるようになった。
【0006】
斯かる状況に鑑み、斯界においては、一刻も早く哺乳類のL−アスパラギナーゼをコードする遺伝子、望ましくは、ヒトのL−アスパラギナーゼをコードする遺伝子が単離され、塩基配列の解明されるのが待ち望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
この発明の目的は、哺乳類のL−アスパラギナーゼをコードするDNAを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記課題を、配列表における配列番号1又は2に示すアミノ酸配列を含んでなる哺乳類のL−アスパラギナーゼをコードするDNAにより解決するものである。
【0009】
【作用】
この発明のDNAは、形質転換体とすることにより、特定のアミノ酸配列を含む哺乳類のL−アスパラギナーゼの産生を発現する。
【0010】
以下、実施例等を参照しながらこの発明を説明するに、この発明はモルモットのL−アスパラギナーゼをコードする新規なDNAの発見に基づくものである。モルモットの血清中にL−アスパラギナーゼの存在することは以前より知られていたものの、その性質・性状はほとんど解明されていなかった。
【0011】
本発明者は、カラムクロマトグラフィーを中心とする種々の精製方法を組合わせてモルモットの血清からL−アスパラギナーゼ活性を有する物質を単離し、その部分アミノ酸配列を決定した。そして、その部分アミノ酸配列に基づき化学合成したプライマーを用いて、モルモットの肝細胞から採取したmRNAを鋳型にRT−PCR反応させたところ、モルモットのL−アスパラギナーゼを部分コードするDNA断片が得られた。このDNA断片をプローブにして上記mRNAから別途作製したcDNAライブラリーを鋭意検索したところ、1,695塩基対からなる、配列表における配列番号5に示す塩基配列を含むDNA断片が得られた。この塩基配列を解読したところ、モルモットのL−アスパラギナーゼは565個のアミノ酸からなり、配列表における配列番号3に示すアミノ酸配列を有していることが判明した。
【0012】
この知見に基づき、本発明者がヒトの肝細胞から採取したmRNAを引続き検索したところ、ヒトのL−アスパラギナーゼをコードする遺伝子を単離することに成功した。この遺伝子は1,719塩基対からなる、配列表における配列番号6に示す塩基配列を含んでなり、解読したところ、573個のアミノ酸からなる、配列表における配列番号4に示すアミノ酸配列をコードしていることが判明した。
【0013】
配列表における配列番号3乃至6に示すアミノ酸配列及び塩基配列を解明するに到った一連の操作を要約すると、次のようになる。
(1) クロマトグラフィーを中心とする種々の精製方法を組合わせてモルモットの血清からL−アスパラギナーゼを単離し、高度に精製した。
(2) このL−アスパラギナーゼをトリプシン消化し、消化物から3種類のペプチド断片を単離し、アミノ酸配列を決定した。
(3) モルモットの肝細胞からmRNAを採取し、これを鋳型に上記アミノ酸配列に基づき化学合成したプライマーの存在下でRT−PCR反応させてDNA断片を調製する一方、それらアミノ酸配列に基づき別途化学合成したプローブを用いてそれらDNA断片を検索したところ、モルモットのL−アスパラギナーゼ活性を部分コードするDNA断片が得られた。
(4) このDNA断片を同位体標識した後、前記mRNAを鋳型に調製したcDNAライブラリーにハイブリダイズさせ、顕著な会合を示した形質転換体を採取した。
(5) 形質転換体からcDNAを採取し、塩基配列を決定し、解読するとともに、その解読したアミノ酸配列と前記部分アミノ酸配列を比較したところ、モルモットのL−アスパラギナーゼは配列表における配列番号3に示すアミノ酸配列を有し、配列表における配列番号5に示す塩基配列によりコードされていることが判明した。
(6) さらに、ヒトの肝細胞から採取したmRNAを鋳型にcDNAライブラリーを作製する一方、配列表における配列番号5に示す塩基配列のDNA断片を調製し、同位体標識後、上記cDNAライブラリーにハイブリダイズさせ、顕著な会合を示した形質転換体を採取した。
(7) 形質転換体からcDNAを採取し、塩基配列を決定し、解読したところ、ヒトのL−アスパラギナーゼは配列表における配列番号4に示すアミノ酸配列を有し、配列表における配列番号6に示す塩基配列によりコードされていることが判明した。
【0014】
配列表における配列番号3及び4に示すアミノ酸配列を比較すると、両者は、共通して、配列表における配列番号1又は2に示すアミノ酸配列を有している。すなわち、配列番号1に示すアミノ酸配列は、配列番号3及び4に示すアミノ酸配列における第16乃至19番目の配列に、一方、配列番号2に示すアミノ酸配列は、配列番号3及び4に示すアミノ酸配列における第114乃至118番目の配列に相当する。アミノ酸配列における斯かる共通性に基づき、この発明でいう哺乳類のL−アスパラキナーゼは、配列表における配列番号1又は2に示すアミノ酸配列を含んでなるものということになる。その代表例としては、例えば、配列表における配列番号3に示すアミノ酸配列を有するモルモットのL−アスパラギナーゼ、配列番号4に示すアミノ酸配列を有するヒトのL−アスパラギナーゼ、さらには、それらアミノ酸配列に相同的なアミノ酸配列を有する変異体が挙げられる。斯かる変異体は、配列表における配列番号1又は2に示すアミノ酸配列を保持しつつ、L−アスパラギナーゼ活性を実質的に失わない範囲で、配列表における配列番号3又は4に示すアミノ酸配列におけるそれ以外のアミノ酸の1個又は2個以上を他のアミノ酸で置換したもの、さらには、それら配列番号3及び4に示すアミノ酸配列のN末端及び/又はC末端にアミノ酸が1個又は2個以上付加したもの、及びそのN末端及び/又はC末端のアミノ酸が1個又は2個以上欠失したものを包含する。
【0015】
斯くして、この発明のDNAは、上記のごときアミノ酸配列をコードするものということになる。個々のDNAとしては、例えば、配列表における配列番号5乃至6及び10乃至11に示す塩基配列及びそれらに相同的な塩基配列並びにそれらに相補的な塩基配列のものを挙げることができる。斯かる塩基配列においては、遺伝子コードの縮重を利用して、コードするアミノ酸配列を変えることなく、それら塩基配列における塩基の1個又は2個以上を他の塩基で置換してもよい。また、この発明のDNAが、実際に、宿主内で哺乳類のL−アスパラギナーゼの産生を発現するために、この発明でいうL−アスパラギナーゼ又はその変異体をコードする塩基配列における塩基の1個又は2個以上を他の塩基で適宜置換し得ることは言うまでもない。
【0016】
この発明のDNAは、それが上述のごとき塩基配列を有するかぎり、それが天然に由来するものか人為的に合成されたものであるかは問わない。天然の給源としては、例えば、モルモット及びヒトの肝臓が挙げられ、その細胞からは、例えば、配列表における配列番号5又は6に示す塩基配列を含むDNAが得られる。一方、この発明のDNAを人為的に合成するには、例えば、配列表における配列番号5又は6に示す塩基配列に基づいて化学合成するか、配列表における配列番号3又は4に示すアミノ酸配列をコードするDNAを自律複製可能な適宜ベクターに挿入して組換えDNAとし、これを適宜宿主に導入して得られる形質転換体を培養し、培養物から菌体を分離し、その菌体から当該DNAを含むプラスミドを採取すればよい。
【0017】
斯くして得られるDNAは、斯界における慣用の方法により形質転換体とすることができる。斯かる形質転換体は、培養すると、細胞乃至菌体内外に哺乳類のL−アスパラギナーゼを産生する。哺乳類のL−アスパラギナーゼは、従来公知の大腸菌のものと違い、患者に反復投与してもアナフィラキシーショックや過敏反応などの副作用を惹起し難い特徴があるので、単独又は他の薬剤と併用して、急性白血病、急性リンパ性白血病及び悪性リンパ腫を含む哺乳類における悪性腫瘍一般の治療に有利に用いることができる。
【0018】
以下、実施例に基づきこの発明を説明するが、そこで用いられる手法は斯界において慣用のものであり、例えば、ティー・マニャティスら『モレキュラー・クローニング・ア・ラボラトリー・マニュアル』、1989年、コールド・スプリング・ハーバー発行や、松村正実『ラボマニュアル遺伝子工学』、1988年、丸善発行などにも詳述されている。
【0019】
【実施例1 モルモットのL−アスパラギナーゼの精製】
8乃至10週齢のモルモット100匹から採血し、血液を常法にしたがって処理して血清300mlを得た。血清に硫酸アンモニウムを50%飽和になるように加え、4℃で2時間静置し、約8,000rpmで30分間遠心分離した。沈澱部を採取し、10mM燐酸緩衝液(pH7.0)に溶解し、新鮮な同一緩衝液に対して4℃で18時間透析後、予め新鮮な同一緩衝液により平衡化しておいたファルマシア製ゲル濾過クロマトグラフィー用ゲル『セファクリルS−300』300mlのカラムに負荷し、カラムに新鮮な同一緩衝液を通液した。
【0020】
分子量約150,000ダルトンに相当する画分を採取し、予め20mM燐酸緩衝液(pH7.0)により平衡化しておいた東ソー製高速液体クロマトグラフィー用カラム『DEAE−5PW』に負荷し、カラムを新鮮な同一緩衝液で洗浄した後、0Mから1Mに上昇する塩化ナトリウムの濃度勾配下、20mM燐酸緩衝液(pH7.0)を13ml/分の流速で通液した。塩化ナトリウム濃度が0.25M付近で溶出した画分約120mlを採取し、蒸留水に対して4℃で4時間透析した後、予め50mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.4)により平衡化しておいたファルマシア製アフィニティークロマトグラフィー用ゲル『ブルーセファロースCL−6B』100mlのカラムに負荷し、カラムに新鮮な同一緩衝液を通液してモルモットのL−アスパラギナーゼを溶出させた。
【0021】
L−アスパラギナーゼを含む画分を採取し、濃縮後、予め10mM燐酸緩衝液(pH7.0)により平衡化しておいたファルマシア製ゲル濾過クロマトグラフィー用ゲル『ハイロードスーパーデックス200』のカラムに負荷し、カラムに新鮮な同一緩衝液を通液した。分子量約150,000ダルトンに相当する画分を採取し、濃縮したところ、比活性約10単位/mg蛋白質のモルモットのL−アスパラギナーゼがモルモット1匹当たり約400μgの収量で得られた。
【0022】
なお、この明細書を通じて、L−アスパラギナーゼの活性は、次のようにして測定した活性値(単位)で表示する。すなわち、96ウェルマイクロプレートに被検試料を160μl/ウェルずつ分注する一方、L−アスパラギンを濃度1.4mg/mlになるように50mM燐酸緩衝液(pH7.0)に溶解し、溶液を40μl/ウェルずつマイクロプレートに加える。この状態でマイクロプレートを37℃で10乃至30分間インキュベートした後、反応により遊離したL−アスパラギン酸をアミノ酸分析機により測定する。同時に、被検試料に代えて1.0、0.5又は0.25単位/mlに希釈した大腸菌のL−アスパラギナーゼ標品を用いる系を設け、上記と同様に処置した後、遊離したL−アスパラギン酸を同様に測定し、その測定値に基づき検量線を作成する。被検試料の系で測定されたL−アスパラギン酸の量をこの検量線に内挿し、被検試料の活性値を推定する。L−アスパラギナーゼの1単位とは、上記条件下で反応させたとき、1分間にL−アスパラギンからアンモニアを1μmol遊離するL−アスパラギナーゼ活性ポリペプチドの量と定義する。
【0023】
【実施例2 モルモットのL−アスパラギナーゼの部分アミノ酸配列】
実施例1で調製した精製L−アスパラギナーゼを含む水溶液の一部をとり、約50μlまで濃縮した。濃縮物に3%(w/v)SDS、60%(w/v)グリセロール及びジチオトレイトール60mg/mlからなる混液25μlを加え、50℃で30分間インキュベートした後、10%(w/v)ポリアクリルアミドゲル上に移し、常法にしたがって電気泳動した。ゲルを0.1%(w/v)クーマシーブリリアントブルーR250及び10%(v/v)酢酸を含む50%(v/v)水性メタノールに浸漬して発色させ、7%(v/v)酢酸を含む12%(v/v)水性メタノールにより繰返し濯いで脱色し、蒸留水に18時間浸漬して洗浄後、ゲルより染色部分を切出し、凍結乾燥した。
【0024】
乾燥ゲルをシグマ製トリプシン剤『TPCKトリプシン』2μg/mlを含む100mM炭酸水素ナトリウム、0.5mM塩化カルシウム及び0.02%(v/v)ツイーン20水溶液からなる混液0.6mlに浸漬し、37℃で18時間インキュベートしてL−アスパラギナーゼをトリプシン消化した。消化物を遠心分離して上清を採取する一方、沈澱部を0.001%(v/v)ツイーン20を含む1%(v/v)トリフルオロ酢酸水溶液1mlに浸漬し、室温下で4時間振盪した後、遠心分離して上清を採取した。新たに生じた沈澱を、先ず、0.001%(v/v)ツイーン20を含む70%(v/v)トリフルオロ酢酸水溶液で、次に、0.001%(v/v)ツイーン20及び50%(v/v)トリフルオロ酢酸を含むアセトニトリル溶液で、順次、上記と同様に処理し、得られた上清と上記で得られた上清をプールし、250μlまで濃縮後、遠心瀘過した。
【0025】
斯くして得られたペプチド断片を含む水溶液を、予め0.1%(v/v)トリフルオロ酢酸水溶液により平衡化しておいた東ソー製高速液体クロマトグラフィー用カラム『HPLC ODS−120T』に負荷し、カラムを0.1%(v/v)トリフルオロ酢酸水溶液で洗浄後、溶出液中のポリペプチド濃度を吸光光度計により214nm及び280nmの波長下でモニタしながら、0%(v/v)から70%(v/v)に上昇する水性アセトニトリルの濃度勾配下、カラムに0.1%(v/v)トリフルオロ酢酸水溶液を0.5ml/分の流速で通液した。そして、通液開始から約66分後、約69分後及び約72分後に溶出した画分(以下、それぞれ『ペプチド断片A』、『ペプチド断片B』、『ペプチド断片C』と言う。)を別々に採取した。このときの溶出パターンを図1に示す。
【0026】
パーキン・エルマー製プロテイン・シーケンサ『473A型』を使用し、常法にしたがってこれらペプチド断片A、B及びCのアミノ酸配列を調べたところ、それぞれ、配列表における配列番号7乃至9に示すアミノ酸配列を有していた。
【0027】
【実施例3 モルモットのL−アスパラギナーゼの全アミノ酸配列とそれをコードするDNAの塩基配列】
【0028】
【実施例3−1 全RNAの調製】
常法にしたがって調製したモルモットの肝細胞を湿重量で3gとり、10mMクエン酸ナトリウム(pH7.0)及び0.5%(w/v)SDSを含む6Mグアニジンイソチオシアネート水溶液20mlに浮遊させ、ホモジナイザにより破砕した。35ml容遠心管に5.7M塩化セシウムと0.1M EDTA(pH7.5)の混液25mlを注入し、その上に細胞破砕物を重層し、25,000rpm、20℃で20時間遠心分離した。遠心管からRNAを含む画分を採取し、15ml容遠心管に移し、等容量のクロロホルム/ブタノール混液(混合比4:1)を加え、5分間振盪した後、10,000g、4℃で10分間遠心分離し、水層部を採取し、2.5倍容のエタノールを加え、−20℃で2時間静置して全RNAを沈澱させた。沈澱部を75%(v/v)エタノールで洗浄し、乾燥したところ、全RNAが約4mg得られた。
【0029】
【実施例3−2 モルモットのL−アスパラギナーゼを部分コードするDNA断片の調製】
実施例3−1で調製した全RNA 1μgに25mM塩化マグネシウムを4μl、10×PCR緩衝液(100mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.3)、500mM塩化カリウム)を2μl、1mM dNTPミックスを8μl、1単位/μl RNase阻害剤を1μl、2.5単位/μl逆転写酵素を1μl及び2.5μMランダムヘキサマーを1μl加え、滅菌蒸留水で20μlとした。常法により、混合物を0.5ml容反応管中、25℃で10分間、42℃で30分間、99℃で5分間、5℃で5分間インキュベートして逆転写酵素反応させ、第一ストランドcDNAを含む水溶液を得た。
【0030】
第一ストランドcDNA水溶液20μlと25mM塩化マグネシウムを4μl、10×PCR緩衝液(100mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.3)、500mM塩化カリウム)を8μl、2.5単位/μlアンプリタックDNAポリメラーゼを0.5μl、さらに、センスプライマー又はアンチセンスプライマーとしてプライマー1及びプライマー2をそれぞれ1pmolずつ加え、滅菌蒸留水で100μlとした。常法により、混合物を94℃で1分間、42℃で2分間、72℃で3分間のサイクルで40回繰返し反応させ、第一ストランドcDNAを鋳型にモルモットのL−アスパラギナーゼを部分コードするDNA断片を増幅した。なお、プライマー1及びプライマー2は、配列表の配列番号8又は7におけるGly−Met−Gln−Ser−Lys又はTyr−Pro−Gly−Ile−Pro−Alaで表されるアミノ酸配列に基づき化学合成したオリゴヌクレオチドであり、それぞれ、5´−GGNATGCARWSNAAR−3´又は5´−GCNGGDATNCCNGGRTA−3´で表される塩基配列を有していた。
【0031】
斯くして得られたPCR産物の一部をとり、常法にしたがって2%(w/v)アガロースゲル上で電気泳動して分画後、0.4N水酸化ナトリウムにより加圧ブロットしてDNAをナイロン膜上に転写し、固定した。ナイロン膜を2×SSCで洗浄し、風乾後、5×SSPE、5×デンハルト液、0.5%(w/v)SDS及び100μg/ml変性サケ精子DNAを含むプレハイブリダイゼーション混液に浸漬し、65℃で3時間インキュベートした。別途、プローブ1として、配列表の配列番号9におけるPhe−Met−Leu−Glu−Asn−Leuで表されるアミノ酸配列に基づき5´−TTYATGYTNGARAAYYT−3´で表される塩基配のオリゴヌクレオチドを化学合成し、[γ−32P]ATPとT4ポリヌクレオチドキナーゼにより同位体標識した。そして、プローブ1を1pmol、5×SSPE、5×デンハルト液、0.5%(w/v)SDS及び100μg/ml変性サケ精子DNAを含む混液にナイロン膜を浸漬し、42℃で24時間インキュベートしてハイブリダイズさせ、室温下でナイロン膜を6×SSCにより洗浄した後、常法にしたがってオートラジオグラフィーしたところ、目的とするDNA断片がPCR産物に含まれていた。
【0032】
残りのPCR産物にノバジェン製プラスミドベクター『pT7ブルーT』50ngと適量のT4 DNAリガーゼを加え、さらに、100mM ATPを最終濃度1mMまで加えた後、16℃で18時間インキュベートしてプラスミドベクターにDNA断片を挿入した。得られた組換えDNAをコンピテントセル法によりノバジェン製大腸菌『NoVa Blue』株に導入して形質転換体とし、これを10g/lバクトトリプトン、5g/lバクトイーストエキストラクト、2.5g/l塩化ナトリウム、15g/lバクトアガー、100mg/lアンピシリン、40mg/l X−Gal及び23.8mg/lイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(以下、「IPTG」と略記する。)を含むプレート培地に接種し、37℃で24時間培養してコロニーを形成させた。常法にしたがってプレート培地にナイロン膜を載置し、約30秒間静置してコロニーを移取った後、ナイロン膜を剥離し、0.5M水酸化ナトリウム及び1.5M塩化ナトリウムを含む混液に7分間浸漬して溶菌した。その後、ナイロン膜を1.5M塩化ナトリウムを含む0.5Mトリス−塩酸緩衝液(pH7.2)に3分間浸漬し、2×SSCで洗浄後、0.4M水酸化ナトリウムに20分間浸漬し、5×SSC中で洗浄し、風乾後、5×SSPE、5×デンハルト液、0.5%(w/v)SDS及び100μg/ml変性サケ精子DNAを含むプレハイブリダイゼーション混液に浸漬し、42℃で24時間インキュベートした。その後、常法にしたがってナイロン膜にプローブ1をハイブリダイズさせ、6×SSCで洗浄後、前記と同様にオートラジオグラフィーし、プローブ1と顕著な会合を示した形質転換体をプレート培地から採取した。
【0033】
この形質転換体をアンピシリン100μg/mlを含むL−ブロス培地(pH7.2)に接種し、37℃で18時間培養し、培養物から菌体を採取し、通常のアリカリ−SDS法により組換えDNAを採取した。ジデオキシ法により調べたところ、この組換えDNAは配列表の配列番号5に示す塩基配列における第61乃至746番目に相当する塩基配列のDNA断片を含んでいた。
【0034】
【実施例3−3 mRNAの調製】
実施例3−1で調製した全RNAを500μg含む水溶液を0.05mlとり、これに1mM二ナトリウム−EDTAと0.1%(w/v)SDSを含む10mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)を0.5ml加えて全量を1mlとした。混合物に日本ロシュ製オリゴ(dT)30ラテックス『オリゴテックス−dT30スーパ−』を1ml加え、65℃で5分間加熱して変性させた後、直ちに氷浴中で3分間冷却した。5M塩化ナトリウムを0.2ml加え、37℃で10分間インキュベートし、25℃、10,000rpmで10分間遠心分離し、上清を除いて得られたペレット状の沈澱に滅菌蒸留水0.5mlを加えて懸濁させ、65℃で5分間インキュベートしてオリゴテックスからmRNAを溶出させた。回収したmRNAは約5μgであった。
【0035】
【実施例3−4 cDNAライブラリーの作製】
アマシャム製cDNAクローニングキット『cDNA合成システム・プラス』を使用し、実施例3−3で調製したmRNAからcDNAライブラリーを作製した。すなわち、1.5ml容反応管に第一ストランド合成用溶液4μl、ピロリン酸ナトリウム溶液1μl、ヒト胎盤リボヌクレアーゼインヒビター1μl、デオキシヌクレオチド三燐酸混合液2μl及びオリゴdTプライマー1μlを順次加え、実施例3−3で調製したmRNAを5μg加えた後、滅菌蒸留水で19μlとした。混合物に逆転写酵素20単位を含む溶液1μlを加え、42℃で40分間インキュベートして第一ストランドcDNAを含む反応物を得た。
【0036】
反応物に第二ストランドcDNA合成用溶液37.5μl、大腸菌リボヌクレアーゼHを0.8単位、DNAポリメラーゼIを23単位この順序で加え、滅菌蒸留水で100μlとした後、12℃で60分間、22℃で60分間インキュベートし、T4 DNAポリメラーゼを2単位を加え、37℃でさらに10分間インキュベートして第二ストランドcDNAを含む溶液を得た。反応物に0.25M EDTA(pH8.0)を4μl加えて反応を停止させた後、常法によりフェノール/クロロホルム抽出し、エタノール沈澱させてcDNAを採取した。
【0037】
このようにして得たcDNAにL/K緩衝液を2μl、さらにEco RIアダプターを250pmol、T4 DNAリガーゼを2.5単位この順序で加え、滅菌蒸留水で20μlとした後、15℃で16時間インキュベートしてcDNA両端にEco RIアダプターを連結した。反応物に0.25M EDTA(pH8.0)を2μl加えて酵素を失活させ、常法により分子篩クロマトグラフィーにより未反応のEco RIアダプターを除去し、L/K緩衝液を40μlとT4ポリヌクレオチドキナ−ゼを80単位加え、滅菌蒸留水で400μlとし、37℃で30分間インキュベートしてEco RIアダプターの5´末端を燐酸化した後、反応物をフェノール/クロロホルム抽出及びエタノール沈澱してDNAを採取した。DNAに適量のλgt10アームを含むL/K緩衝液を1.5μlとT4 DNAリガーゼを2.5単位加え、滅菌蒸留水で全量を15μlとし、15℃で16時間インキュベートした後、通常の生体外パッケージングを適用して組換えλDNAを含むファージを得た。
【0038】
【実施例3−5 組換えDNAのクローニング】
アマシャム製大腸菌NM514株に実施例3−4で調製したファージを常法により感染させた後、10g/lバクトトリプトン、5g/lバクトイーストエキストラクト、10g/l塩化ナトリウム及び15g/lバクトアガーを含む寒天倍地(pH7.0)に接種し、37℃で10時間培養してプラークを形成させた。寒天培地にナイロン膜を載置し、約30秒間静置してプラークを移取り、剥離した後、先ず、0.5M水酸化ナトリウムと1.5M塩化ナトリウムを含む水溶液に7分間、次に、1.5M塩化ナトリウムを含む0.5Mトリス−塩酸緩衝液(pH7.0)に3分間浸漬する操作を繰返した。ナイロン膜を2×SSCで濯ぎ、風乾し、0.4N水酸化ナトリウムに20分間浸漬し、5×SSCでさらに濯ぎ、風乾後、5×SSPE、5×デンハルト液、0.5%(w/v)SDS及びサケ精子DNAを100μg/ml含む混液に浸漬し、65℃で3時間インキュベートした。別途、実施例3−2で調製したDNA断片をアマシャム製DNA標識キット『レディ・プライムDNA標識システム』により32P標識してプローブ2とし、その適量と5×SSPE、5×デンハルト液、0.5%(w/v)SDS及びサケ精子DNAを100μg/ml含む混液中、65℃で20時間インキュベートしてハイブリダイズさせた。ナイロン膜を2×SSC中、65℃で20分間、0.2×SSC中、65℃で20分間濯いだ後、オートラジオグラフィーして、プローブ2に顕著な会合を示したファージDNAクローンを採取した。
【0039】
常法にしたがってこのクローンを大腸菌中で増幅し、菌体から組換えDNAを抽出した。組換えDNAを制限酵素Eco RIで切断する一方、プラスミドベクターpUC19(ATCC37254)を同じ制限酵素で切断し、得られたDNA断片とプラスミド断片を常法によりDNAリガーゼで連結して組換えDNAとした。そして、この組換えDNAを通常のコンピテントセル法により大腸菌JM109株(ATCC53323)に導入し、形質転換体を得た。
【0040】
【実施例3−6 DNAの塩基配列と蛋白質のアミノ酸配列の決定】
実施例3−5で調製した形質転換体をアンピシリン50μg/mlを含むL−ブロス培地(pH7.2)に接種し、37℃で18時間振盪培養した。培養物から形質転換体を採取し、通常のアルカリ−SDS法により処理してこの発明のDNAを含む組換えDNAを得た。蛍光光度計を使用する自動シーケンサにより分析したところ、この組換えDNAは配列表における配列番号10に示す塩基配列を含んでなり、解読したところ、同じく配列番号10に示すアミノ酸配列をコードしていることが示唆された。このアミノ酸配列においては、その第10乃至25番目又は第243乃至253番目に配列表における配列番号8及び7に示す部分アミノ酸配列が含まれており、このことは、配列番号3のアミノ酸配列を有するモルモットのL−アスパラギナーゼが配列番号5に示す塩基配列のDNAによりコードされていることを示している。
【0041】
次の実施例4では、配列表における配列番号5に示す塩基配列のDNA断片をプローブに使用し、ヒトの肝臓から採取したmRNAからヒトのL−アスパラギナーゼをコードするcDNAを採取する。そして、そのcDNAの塩基配列を決定し、解読して、ヒトのL−アスパラギナーゼの全アミノ酸配列を決定する。
【0042】
【実施例4 ヒトのL−アスパラギナーゼの全アミノ酸配列とそれをコードするDNAの塩基配列】
【0043】
【実施例4−1 cDNAライブラリーの作製】
アマシャム社製cDNAクローニングキット『cDNA合成システム・プラス』を使用し、クローンテック製ポリ(A)付加ヒト肝臓RNAからcDNAライブラリーを作製した。すなわち、1.5ml容反応管に第一ストランド合成用溶液10μl、1mMピロリン酸ナトリウム溶液2.5μl、1μg/μlヒト胎盤リボヌクレアーゼインヒビター2.5μl、1μg/μlデオキシヌクレオチド三燐酸混合液5μl及び1μg/μlオリゴdTプライマーを2.5μlとり、ポリ(A)付加ヒト肝臓RNAを5μg加え、滅菌蒸留水で45μlとした後、逆転写酵素100単位を含む溶液を5μl加え、42℃で40分間インキュベートして第一ストランドcDNAを含む反応物を得た。
【0044】
反応物に第二ストランドcDNA合成用溶液93.5μl、大腸菌リボヌクレアーゼHを4単位、DNAポリメラーゼIを115単位加え、滅菌蒸留水で250μlとし、12℃で60分間、22℃で60分間、70℃で10分間この順序でインキュベートした後、T4 DNAポリメラーゼを10単位加え、37℃でさらに10分間インキュベートした。0.25M EDTA(pH8.0)を10μl加えて反応を停止させた後、反応物を常法にしたがってフェノール/クロロホルム抽出し、抽出物をエタノール沈澱させて第二ストランドcDNAを得た。
【0045】
このようにして得た第二ストランドcDNAにL/K緩衝液(pH8.0)を2μl、Eco RIアダプターを250pmol、T4 DNAリガーゼを2.5単加え、滅菌蒸留水で20μlとし、15℃で16時間インキュベートしてcDNAの両端にEco RIアダプターを連結した後、0.25M EDTA(pH8.0)を2μlを加えて反応を停止させた。分子篩クロマトグラフィーにより反応物から未反応のEco RIアダプターを除去し、L/K緩衝液 (pH8.0)を40μlとT4ポリヌクレオチドキナ−ゼを80単位加え、滅菌蒸留水で400μlとし、37℃で30分間インキュベートしてEco RIアダプターの5´末端を燐酸化した後、フェノール/クロロホルム抽出し、抽出物をエタノール沈澱してcDNAを採取した。その後、cDNAに適量のλgt10アームを含むL/K緩衝液(pH8.0)を1.5μlとT4 DNAリガーゼを2.5単位加え、滅菌蒸留水で15μlとし、15℃で16時間インキュベートした後、通常の生体外パッケージングを適用して組換えλDNAを含むファージを得た。
【0046】
【実施例4−2 組換えDNAのクローニング】
常法により、大腸菌NM514株に実施例4−1で調製したファージを感染させた後、10g/lバクトトリプトン、5g/lバクトイーストエキストラクト、10g/l塩化ナトリウム及び15g/lバクトアガーを含む寒天倍地(pH7.0)に接種し、37℃で10時間培養してプラークを形成させた。寒天培地にナイロン膜を載置し、約30秒間静置してプラークを移取り、剥離した後、先ず、0.5M水酸化ナトリウム及び1.5M塩化ナトリウムを含む水溶液に7分間、次に、1.5M塩化ナトリウムを含む0.5Mトリス−塩酸緩衝液(pH7.0)に3分間浸漬する操作を繰返した。ナイロン膜を2×SSCで濯ぎ、風乾し、0.4N水酸化ナトリウムに20分間浸漬し、5×SSCでさらに濯ぎ、風乾後、5×SSPE、5×デンハルト液、0.5%(w/v)SDS及びサケ精子DNAを100μg/ml含む混液に浸漬し、65℃で3時間インキュベートした。
【0047】
組換えDNAをクローニングすべく、別途、アマシャム製DNA標識キット『レディ・プライムDNA標識システム』を使用し、配列表における配列番号5に示す塩基配列のDNA断片を同位体標識してプローブ3を調製した。すなわち、1.5ml容反応管に実施例3−5の方法により得たDNA断片を25ngとり、滅菌蒸留水で45μlとし、95℃で3分間加熱した後、反応管にとり、[α−32P]dCTP溶液を5μl加え、37℃で30分間インキュベートして同位体標識した。その後、同位体標識したDNA断片を含む反応物に通常の分子篩クロマトグラフィーを適用し、未反応の[α−32P]dCTPを除去してプローブ3を得た。
【0048】
次に、前記ナイロン膜をプローブ3の適量と5×SSPE、5×デンハルト液、0.5%(w/v)SDS及びサケ精子DNAを100μg/ml含む混液中、50℃で20時間インキュベートしてハイブリダイズさせた後、6×SSC中、室温下で20分間、2×SSC中、室温下でさらに20分間インキュベートし、洗浄し、オートラジオグラフィーして、プローブ3に顕著な会合を示したファージDNAクローンを採取した。常法によりこのクローンを大腸菌中で増幅し、菌体から組換えDNAを抽出した。組換えDNAを制限酵素Eco RIで切断する一方、プラスミドベクターpUC19(ATCC37254)を同じ制限酵素で切断し、得られたDNA断片とプラスミド断片を常法によりDNAリガーゼで連結して組換えDNAとした。そして、この組換えDNAを通常のコンピテントセル法により大腸菌JM109株(ATCC53323)に導入し、形質転換体を得た。
【0049】
【実施例4−3 ヒトのL−アスパラギナーゼをコードするDNAの塩基配列と全アミノ酸配列の決定】
実施例4−2で調製した形質転換体をアンピシリン50μg/mlを含むL−ブロス培地(pH7.2)に接種し、37℃で18時間振盪培養した。培養物から形質転換体を採取し、通常のアルカリ−SDS法により処理してこの発明のDNAを含む組換えDNAを得た。蛍光光度計を使用する自動シーケンサにより分析したところ、この組換えDNAは配列表における配列番号11に示す塩基配列を含んでいた。この塩基配列から推定されるアミノ酸配列は、その配列番号11に併記したとおりであり、このことは、配列表における配列番号4のアミノ酸配列を有するヒトのL−アスパラギナーゼが配列番号6に示す塩基配列のDNAによりコードされていることを示唆している。また、配列表における配列番号3及び4に示すアミノ酸配列を比較すると、約70%の相同性のあることが判明した。
【0050】
【発明の効果】
叙上のとおり、この発明は、哺乳類のL−アスパラギナーゼをコードする新規なDNAの発見に基づくものである。この発明のDNAに組換えDNA技術を適用することにより、従来、入手困難であったヒトを含む哺乳類のL−アスパラギナーゼの所望量を容易に入手できることとなる。
【0051】
斯くも顕著な作用効果を発揮するこの発明は、斯界に貢献すること誠に多大な、意義のある発明と言える。
【0052】
【配列表】
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【0053】
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【0054】
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【0055】
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【0056】
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【0057】
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【0058】
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【0059】
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【0060】
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【0061】
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【0062】
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【図面の簡単な説明】
【図1】モルモットのL−アスパラギナーゼのペプチドマップを示す図である。

Claims (3)

  1. 配列表における配列番号4に示すアミノ酸配列からなるL−アスパラギナーゼをコードするDNAか、あるいは、配列表における配列番号4に示すアミノ酸配列において、1個又は数個以内のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、L−アスパラギナーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。
  2. 配列表における配列番号6に示す塩基配列又はそれに相補的な塩基配列を含んでなる請求項1に記載のDNA。
  3. 配列表における配列番号11に示す塩基配列又はそれに相補的な塩基配列を含んでなる請求項1に記載のDNA。
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