JP3720992B2 - 化粧料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は化粧料、特にメークアップ化粧品に用いられる化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
口紅やリップクリームなどの油性固形化粧料では、塗布の感触を変化させたり、塗布後の口唇上での光沢や、食器や衣服等への色移り性を制御するために粘土鉱物、シリカ、アルミナなどの無機粉体が用いられている。しかし、これら従来の油性固形化粧料は、有機色素の変色が起こりやすい。
無機粉体が有機色素の変色を誘発する要因としては、無機粉体表面の酸点やイオン交換点の存在が考えられている。そこで、油性固形化粧料の安定性を高めるために、例えば無機粉体表面を高分子で被覆したり、シリカやアルミナで被覆処理することが行われている。
しかしながら、これらの被覆処理により有機色素の変色を抑制するには、多量の被覆剤を用いる必要があり、その結果、油性固形化粧料の塗布時の感触が悪くなるという問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明は、塗布感触が良好で、かつ有機色素の変色を生じにくい化粧料を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明では、上記課題を解決するために特定の粒子径と形状、及び特定の細孔径を有する結晶性アルミノケイ酸塩を、アルミニウムイオン交換処理した粉体を配合することにより化粧料を構成する。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる結晶性アルミノケイ酸塩としては、Atlas of Zeolite Structure Types(Butterworth−Heinemann,London,1992)に記載されている各種ゼオライトが挙げられる。また、ケイ素、アルミニウム以外のヘテロ原子を骨格に取り込んだものや、硝酸イオン、炭酸イオン、硫酸イオン等を結晶中に含有したものも同様に用いることができる。
【0006】
本発明で使用する結晶性アルミノケイ酸塩の平均粒子径は0.1〜30μmであり、好ましくは0.3〜15μm、特に好ましくは1〜10μmである。平均粒子径が上記範囲を超えるものは、化粧料の塗布時にざらついた感触を生じ、また平均粒子径が上記範囲よりも小さいものは、化粧料中での凝集が生じやすいので好ましくない。本発明においては、結晶性アルミノケイ酸塩の平均粒子径は、コールターカウンター(例えば、コールター社製マルチライザーII)を使用して、細孔電気抵抗法により粉体粒子体積を計測し、同体積の球の直径として粒子径を求める。
アルミノケイ酸塩の結晶粒子は、その形状が球状や立方体状に近いものが、優れた塗布感触を与えるために好ましく、電子顕微鏡で観察したときの粒子の最も長い径(長径)と最も短い径(短径)の比率が2.5以下、好ましくは1.5以下のものを使用する。
また、アルミノケイ酸塩は結晶性のものが好ましく、粒子形状のはっきりしない不定形のアルミノケイ酸塩を使用した場合には、化粧料の塗布感触が劣る。
本発明の結晶性アルミノケイ酸塩は、0.1〜2.0nmの平均細孔径を有しており、特に0.2〜1.5nmの平均細孔径を有するものが好ましい。平均細孔径が上記範囲を超えるものは、化粧料中の有機色素や油剤の一部を吸着し、化粧料の性質を変化させることがある。また平均細孔径が上記範囲より小さいものは、アルミニウムイオン交換処理が効率的に行えない傾向がある。
本発明では、結晶性アルミノケイ酸塩の平均細孔径は、例えばカンタクロム社製オートソーブ1を使用し、粉体へのN2ガスの吸着・脱離等温線より求める。
【0007】
結晶性アルミノケイ酸塩は天然品及び合成品として種々のものが知られているが、そのまま化粧料中に添加すると化粧料中の有機色素の変色を起こしやすい。本発明においては、アルミニウムイオン交換処理が有機色素の変色を抑制するために有効であった。
結晶性アルミノケイ酸塩のアルミニウムイオン交換処理には、通常の無機イオン交換体へのアルミニウムイオン交換の手法を用いることができ、例えば、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、塩基性塩化アルミニウムなどのアルミニウム塩の水溶液中でアルミノケイ酸塩を撹拌することにより行われる。この際に、pHが高い方がアルミノケイ酸塩骨格の損傷が少ないことから、塩基性塩化アルミニウム水溶液による処理が好ましい。
アルミニウムイオン交換処理をする前の結晶性アルミノケイ酸塩を構成する陽イオンの種類には特に制限はなく、ナトリウム型、カルシウム型、カリウム型、プロトン型、アンモニウム型等いずれも良好に用いることができる。
【0008】
結晶性アルミノケイ酸塩と同様にイオン交換能を有する無機材料として、ベントナイト、モンモリロナイト、ハイドロタルサイトなどの膨潤性粘土鉱物が知られているが、これらは、平均細孔径の大きい結晶性アルミノケイ酸塩と同様に、化粧料中の有機色素や油剤の一部を吸着し、化粧料を変色させたり塗布感触を悪化させるので本発明には適さない。
【0009】
アルミニウムイオン交換処理をした結晶性アルミノケイ酸塩は、必要に応じて洗浄、焼成などを行った後に、化粧料に添加することができる。また、通常の化粧品原料に対して行われる表面処理、例えば金属石けん、高級脂肪酸、界面活性剤、シリカ、アルミナ、酸化チタン、ジルコニア、チッ化ケイ素、シロキサン、ポリシロキサン及びポリシロキサン誘導体、フッ素系高分子、アミノ酸誘導体、フィブロイン等の蛋白質、樹脂、アクリル系高分子等による処理を施すこともできる。
本発明の化粧料を構成する上記以外の成分に特に制限はなく、通常の化粧料に用いられるワックス、オイル、粉体、色材などを使用することができる。そして、常法に従って口紅、リップクリーム、アイシャドウ、アイライナー、頬紅、ファンデーション、白粉等の剤型に調製することができる。
【0010】
【実施例】
(製造例1:Alイオン交換処理ゼオライトXの製造)
NaタイプX型ゼオライト(東ソー製、平均細孔径1.3nm、平均粒子径7μm、長径/短径比1)を用い、以下のAlイオン交換処理をおこなった。
ゼオライトを1%塩基性塩化アルミニウム水溶液に分散させ、80℃に加熱しながら1時間撹拌した後、吸引濾過で水溶液を除去した。この操作を2回繰り返した後、水で充分洗浄し、100℃で乾燥させた。
【0011】
(製造例2:Alイオン交換処理ゼオライトAの製造)
NaタイプA型ゼオライト(東ソー製、平均細孔径0.5nm、平均粒子径5μm、長径/短径比1)を製造例1と同様の方法でAlイオン交換処理をおこなった。
【0012】
(製造例3:Alイオン交換処理ZSM−5の製造)
Gabelicaらの文献記載[Appl.Catal.A,162(1997)93.]の方法をもとに、Si/Al原子比10のZSM−5ゼオライトを調製した。得られた粒子の平均細孔径は1.0nm、平均粒子径は17μm、長径/短径比は3であった。
これを製造例1と同様の方法でAlイオン交換処理をおこなった。
【0013】
(製造例4:Alイオン交換処理ベントナイトの製造)
ベントナイト(クニミネ工業製、商品名「クニピア」、平均細孔径4.8nm)を製造例1と同様の方法でAlイオン交換処理をおこなった。
【0014】
(製造例5:Caイオン交換処理ゼオライトXの製造)
製造例1で用いたNaタイプX型ゼオライトを10%塩化カルシウム水溶液に分散させ、80℃に加熱しながら6時間撹拌した。充分な量の水で洗浄し、100℃で乾燥させた。
【0015】
(口紅基材の製造)
下記の基材原料を加熱溶解し、均一に混ぜることにより口紅基材を得た。
〈口紅基材処方〉
セレシン 10.0重量%
固型パラフィン 10.0重量%
リンゴ酸ジイソステアリル 30.0重量%
ミリスチン酸オクチルドデシル 40.0重量%
ラノリン 10.0重量%
【0016】
(実施例1〜3、及び比較例1〜7)
上記口紅基材に表1に示す色材及び上記製造例で得られた無機粉体をそれぞれ加え、ロールミルで加熱混練し均一に分散させた。脱泡した混合物を型に流し込み室温で冷却させることにより得られた口紅を下記の方法により評価した。結果を表1に示す。
【0017】
【表1】
【0018】
(変色評価)
各口紅を50℃、相対湿度95%の条件で1週間静置したときの口紅表面の色変化(△E)を測色計で測定した。
【0019】
(塗布感触評価)
10名の専門パネラーが、各口紅を塗布したときの感触を、無機粉体を含まない口紅(比較例1)の場合と比較することにより評価した結果を以下の基準により示す。
A:10名中8名以上が、無機粉体を含まない口紅に比べて滑らかに塗布できると評価した。
B:10名中3〜7名が、無機粉体を含まない口紅に比べて滑らかに塗布できると評価した。
C:無機粉体を含まない口紅に比べて滑らかに塗布できると評価したのは2名以下であった。
【0020】
(無機粉体の分散性評価)
各口紅をミリスチン酸オクチルドデシルで10倍に希釈し、これを80℃で加熱した後、室温で冷却した。無機粉体の分散状態を光学顕微鏡で観察、評価した結果を以下の基準により示す。
A:無機粉体が、1次粒子の状態、又は15μm未満の凝集状態で存在した。
B:無機粉体が、15μm以上で30μm未満の凝集状態で存在した。
C:無機粉体が、30μm以上の凝集状態で存在した。
【0021】
表1の評価結果から明らかなように、本発明の口紅は、比較例に比べて有機色素の経時的変色が少なく、口紅中での無機粉体の分散性に優れ、かつ使用時における塗布感触も良好である。
【0022】
【発明の効果】
本発明の化粧料は、上記の構成をとることによって塗布感触が良好で、かつ有機色素の変色を生じにくい。従って、色彩の安定性及び使用時における皮膚への良好な塗布感が要求されるメークアップに用いられる化粧料、特に口紅、リップクリーム、アイシャドウ、アイライナー、頬紅、ファンデーション、白粉等の油性固形化粧料として好適に用いられる。
Claims (3)
- 平均細孔径が0.1〜2.0nmで、平均粒子径が0.1〜30μmであり、かつ長径と短径の比率が2.5以下の結晶性アルミノケイ酸塩をアルミニウムイオン交換処理した粉体を含有する化粧料。
- 結晶性アルミノケイ酸塩がゼオライトである請求項1に記載の化粧料。
- 化粧料が油性固形化粧料である請求項1又は2に記載の化粧料。
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