JP4777523B2 - 美爪料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は美爪料に関し、さらに詳細には、比重の大きなラメ剤やパール剤等の光輝性粉体を配合しても安定性が良好であり、かつベースの透明感にも優れた美爪料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ベントナイト等の天然の膨潤性層状ケイ酸塩を第4級アンモニウム化合物でイオン交換した有機変性粘土鉱物は、油のゲル化剤、増粘剤及び分散安定剤として広く使用されている。そして、これらのゲル化剤等は、マニキュア、口紅、アイライナー、マスカラ等に良く配合されている。
【0003】
上記の有機変性粘土鉱物としては、前記膨潤性層状ケイ酸塩を、炭素数8〜20のアルキル基などをもつ第4級アンモニウム化合物や、炭素数1〜3のアルキル基またはヒドロキシアルキル基、炭素数10〜22のアルキル基、ベンジル基などをもつ第4級アンモニウム化合物で有機変性したものや、ポリオキシプロピレン基を有する第4級アンモニウム化合物で有機変性したものが用いられている。
【0004】
しかしながら、従来、美爪料に用いられてきた有機変性粘土鉱物は、膨潤性層状ケイ酸塩として天然に産出するモンモリロナイトを用いているが、モンモリロナイトはその産地やロットによりその性質に大きな差異があった。従って、有機変性粘土鉱物自体の物性も一定せず、その結果美爪料の品質を維持することができないという問題が生じていた。
【0005】
このような問題点を克服するため、特開平7−187958号公報には、合成した膨潤性層状ケイ酸塩をポリオキシプロピレンメチルジエチルアンモニウムクロライドで有機変性したものを用いることが開示されており、該技術により一応安定な品質の維持が可能とはなるようになった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、近年開発された非常に比重の大きなラメ剤やパール剤等の光輝性粉体を美爪料中に配合する場合は、この技術を用いても安定性が低下する場合があり、その解決が望まれていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意研究した結果、合成膨潤性層状ケイ酸塩の層間に特定の第4級アンモニウムイオンを導入した有機粘土複合体が、高いゲル化力を有することを知った。そしてこの有機粘土複合体を美爪料に配合することにより、極めて安定性に優れた美爪料を得ることができ、従来の技術では問題となった顔料やラメ剤、パール剤を配合しても沈降が起こらないことを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち本発明は、合成膨潤性層状ケイ酸塩の層間に、一般式(1)
【化3】
(式中、R1は炭素数1〜30のアルキル基又はベンジル基を示し、R2〜R4は炭素数1〜30のアルキル基を示す)
で示される第4級アンモニウムイオンを導入した有機粘土複合体を含有することを特徴とする美爪料に関するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明で使用される有機粘土複合体は、合成膨潤性層状ケイ酸塩を原料とし、その層間の陽イオンを上記第4級アンモニウムイオン(1)でイオン交換させたものである。
【0010】
この有機粘土複合体の原料として使用する合成膨潤性層状ケイ酸塩は、陽イオン交換能を有し、さらに層間に水を取り込んで膨潤する特異な性質を示す合成層状ケイ酸塩で、例えば合成スメクタイトや合成膨潤性雲母等などが挙げられる。
【0011】
合成スメクタイトとしては、ラポナイトXLG(英国、ラポート社製合成ヘクトライト)、ラポナイトRD(英国、ラポート社製合成ヘクトライト)、サーマビス(独国、ヘンケル社製合成ヘクトライト)、スメクトンSA−1(クニミネ工業(株)製合成サポナイト)、ルーセンタイト(SWN,SWF、コープケミカル(株)製の合成スメクタイト)等が挙げられる。
【0012】
また、合成膨潤性雲母としては、ダイモナイト(トピー工業(株)製の合成膨潤性雲母)、ソマシフ(ME−100、コープケミカル(株)製の合成膨潤性雲母)等が挙げられる。
【0013】
本発明で使用する合成スメクタイトは、例えば次の方法で製造される。 すなわち、ケイ酸塩とマグネシウム塩の均質混合液にアルカリ溶液を反応させてケイ素・マグネシウム複合体を合成し、副生した電解質を除去した後、該複合体にリチウムイオンと必要に応じてナトリウムイオン及び/又はフッ素イオンを添加して、100℃ないし350℃で水熱反応させ、次いで乾燥して、一般式(2)の合成スメクタイトが得られる。
【0014】
【化4】
(式中、Xは層間イオンで、Liイオン及び/またはNaイオンを、Zは水酸基及び/またはフルオロ基を、aは0.1〜1.0、bは2.4〜2.9、cは0.1〜0.6、dは3.5〜4.5、eは9.5〜10.5、fは1.5〜2.5である)
【0015】
より詳細に説明すると、まず、ケイ酸塩溶液とマグネシウム塩溶液の均質混合溶液を製造する。ケイ酸塩とマグネシウム塩の混合割合は、一般式(2)の化学量論的割合であることが好ましい。ケイ酸塩溶液は、ケイ酸ナトリウムと鉱酸を混合し、この混合液を酸性にすることにより得られる。ケイ酸ナトリウムは一般に市販されている1号ないし4号水ガラスならびにメタケイ酸ナトリウムのいずれかを使用してもかまわない。鉱酸としては硝酸、塩酸、硫酸等が使用できる。ケイ酸塩と鉱酸を混合する場合、鉱酸の量が少ないとゲル化する場合が多いので、液のpHが5以下、好ましくは1〜3になるように鉱酸を添加する必要がある。得られた均質混合溶液に、常温でアルカリ溶液を混合して均質沈殿を得る。アルカリ溶液としては、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム及びこれらの混合物の溶液が好ましい。アルカリ溶液の添加量は、混合後のpHが10以上になるようにする。次いで生成した沈澱を濾過、水洗を繰り返して副生した電解質を充分に除去する。生成した均質沈殿物に、リチウムイオンと、上記アルカリ溶液として水酸化ナトリウム以外のものを用いた場合は、ナトリウムイオンを、さらに必要に応じてフッ素イオンを添加し、オートクレーブ等の加圧反応器に仕込んで100〜350℃で反応させる。反応時間は、一般に反応温度が高いほど反応速度は大となり、反応時間が長いほど結晶化は良好になるので、常圧100℃の条件では少なくとも6時間以上、望ましくは24時間以上反応させる。41kg/cm2、250℃の条件下では、1〜3時間の反応時間で十分である。 添加するリチウムイオン、ナトリウムイオン及びフッ素イオンとしては、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、ふっ化水素酸、フッ化ナトリウム等から選ぶことができる。フッ素イオンは特に添加しなくても、反応は容易に達成される。反応終了後、反応器内容物を乾燥し、粉砕することにより、合成スメクタイトが得られる。
【0016】
本発明で使用する膨潤性雲母は、例えば特開平2−149415号公報に記載された方法により、ケイフッ化ナトリウムもしくはケイフッ化リチウムとタルクの混合物、又はケイフッ化ナトリウムもしくはケイフッ化リチウムとフッ化ナトリウムもしくはフッ化リチウムとタルクの混合物を、700〜1,000℃で加熱処理することにより得られる。
【0017】
これらの合成膨潤性層状ケイ酸塩のカチオン交換容量は、100gあたり70ミリ当量以上であることが好ましく、85〜130ミリ当量であることがより好ましい。
【0018】
本発明の美爪料に使用される有機粘土複合体は、上記方法により合成膨潤性層状ケイ酸塩の層間に、下記式(1)で表される第4級アンモニウムイオンを導入することにより調製される。
【0019】
【化5】
(式中、R1は炭素数1〜30のアルキル基又はベンジル基を示し、R2〜R4は炭素数1〜30のアルキル基を示す)
【0020】
上記第4級アンモニウムイオン(1)中のアルキル基は、炭素数が1〜30程度のものであり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、アミル基、ヘキシル基、ヘプチルオクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。
【0021】
この第4級アンモニウムイオン(1)を合成膨潤性層状ケイ酸塩に導入する場合には、そのイオンを含む第4級アンモニウム塩が用いられる。そのような塩としては、例えばCl−、Br−、NO3 −、OH−、CH3COO− 等の陰イオンとの塩を挙げることができる。また、上記第4級アンモニウム塩の具体例としては、ジメチル・ジオクタデシル・アンモニウム塩、ジメチル・ベンジル・オクタデシル・アンモニウム塩、トリオクチル・メチル・アンモニウム塩等を挙げることができる。
【0022】
合成膨潤性層状ケイ酸塩に上記の第4級アンモニウムイオン(1)を導入するには、粘土鉱物の層間における公知の陽イオン交換法を用いることができ、具体的には、例えば以下の方法が挙げられる。
【0023】
まず、第1段階として、合成膨潤性層状ケイ酸塩を水中に分散させる。ここで、その固体分散濃度は、膨潤性層状ケイ酸塩が充分分散可能な範囲ならば自由に設定することが可能であるが、好ましくは1〜15質量%(以下、単に「%」という)の範囲である。
【0024】
次に、この膨潤性層状ケイ酸塩懸濁液に、前記の第4級アンモニウム塩溶液を添加するか、または、逆に、前述の第4級アンモニウム塩溶液に膨潤性層状ケイ酸塩懸濁液を添加する。ここで第4級アンモニウム塩の添加量は、第4級アンモニウムイオンとして、膨潤性層状ケイ酸塩の陽イオン交換容量と当量用いることが好ましいが、これより少ない量でも差し支えない。また、陽イオン交換容量に対して過剰量添加しても差し支えはなく、その量は、該粘土の陽イオン交換量の0.5〜1.5倍量(ミリ当量)であればよく、特に0.8〜1.4倍量であることが好ましい。
【0025】
この反応は室温で充分進行するが、必要により加温して反応を進行させても良い。加温する場合の最高温度は、使用する第4級アンモニウム塩の耐熱性に支配され、その分解点以下であれば問題はない。
【0026】
上記の第4級アンモニウム導入反応が終了した後、固液を分離し、生成物を水洗浄し、副生する電解質を充分に除去し、これを乾燥し、必要に応じて粉砕することにより、最終製品である有機粘土複合体が得られる。
【0027】
本発明の美爪料は、上記有機粘土複合体を通常の美爪料配合成分と組合せ、製剤化することにより調製される。この際の有機粘土複合体の配合量は、特に限定されないが、美爪料全体の0.1〜10%が好ましい。この範囲であれば透明性、使用性に優れた美爪料が得られる。
【0028】
本発明の美爪料の調製は、上記有機粘土複合体を、そのまま他の美爪料成分に添加し、デスパーズミルやホモミキサー等で均一に攪拌混合してもよいが、有機粘土複合体と、例えば、可塑剤、被膜形成剤等の他の配合成分からなる混合物を加熱圧縮混練してチップ組成物とし、これをを有機溶剤に溶解して美爪料を調製してもよい。
【0029】
本発明の美爪料の調製にあたって使用される他の配合成分としては、一般的に、被膜形成剤、溶剤、光輝性粉体等が挙げられる。
【0030】
このうち、被膜形成剤の例としては、トルエンスルホンアミド系樹脂、ニトロセルロース、アルキッド系樹脂、アクリル酸系樹脂、シリコーン系樹脂、安息香酸ショ糖エステル、ポリエステル系樹脂等の合成樹脂、あるいはロジン、シェラック等の天然樹脂などが挙げられる。この被膜形成剤の配合量は、美爪料全体に対して3〜15%程度が好ましい。
【0031】
これらの被膜形成剤のうち、トルエンスルホンアミド系エポキシ樹脂は、塗膜のつやの効果を発揮するのに非常に優れた樹脂であり、本発明の有機粘土複合体と併用することで、さらに塗膜の透明感及びつや感を出すことができる。このスルホンアミド系エポキシ樹脂の市販品としては、NAGELLITE3050(Telechemische社製)等が挙げられる。
【0032】
一方、ニトロセルロースも安定で耐水性があり、さらにはアルコール類を含んだ化粧水や頭髪製品等の化粧料に対しても耐久性を持つという優れた被膜形成剤であり、本発明美爪料において有利に使用される。このニトロセルロースは、通常用いられる周知のものを使用でき、例えば、イソプロパノールで希釈したものとして、硝化綿HIG1/2、同1/4、同1/8(全て旭化成工業(株)製)等が挙げられる。
【0033】
また、溶剤としては、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸セロソルブ等のエステル系、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール系、トルエン等の芳香族系等の溶剤が挙げられる。その中でも酢酸ブチル、酢酸エチル等の酢酸エステル系溶媒は、本発明の有機粘土複合体の膨潤性、粘性発現性を高めるため特に好ましい。この溶剤の配合量は、美爪料全体に対して40〜85%程度が好ましい。
【0034】
更に、本発明の美爪料には光輝性粉体を配合してもよい。光輝性粉体は一般的に化粧料に用いられるものならば何でもよく、例えば二酸化チタン被覆雲母、二酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄雲母チタン、紺青処理雲母チタン、カルミン処理雲母チタン、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔、ポリエチレン・テレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ガラス末等が挙げられる。これら光輝性粉体は、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、金属石鹸、レシチン、水素添加レシチン、コラーゲン、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、ワックス、ロウ、界面活性剤等の1種又は2種以上を用いて表面処理を施してあってもよい。
この光輝性粉体の配合量は、美爪料全体に対して、0.1〜20%が好ましい。
【0035】
さらに、本発明の美爪料には、上記成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、通常美爪料に使用される可塑剤、粉体、希釈剤、粘度調整剤、油剤、水性成分、界面活性剤、紫外線吸収剤、褪色防止剤、酸化防止剤、消泡剤、保湿剤、薬剤、香料、無機酸、有機酸等を適量配合することができる。
【0036】
上記成分のうち 可塑剤としては、例えばジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等のフタル酸エステル、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリブチル等のクエン酸エステル、カンフル等が挙げられる。この可塑剤の配合量は、美爪料全体に対し2〜10%程度が好ましい。
【0037】
また、本発明の美爪料において使用される粉体は、球状、板状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、有機粉体類、色素粉体類、金属粉体類、複合粉体類等が挙げられる。この粉体を具体的に例示すれば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、硫酸バリウム等の白色無機顔料、酸化鉄、カーボンブラック、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青等の有色無機顔料、タルク、白雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、合成雲母、絹雲母(セリサイト)、合成セリサイト、カオリン、炭化珪素、ベントナイト、スメクタイト、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、珪ソウ土、ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素等の白色体質粉体、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合樹脂等のコポリマー樹脂、ポリプロピレン系樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等の有機高分子樹脂粉体、ステアリン酸亜鉛、N−アシルリジン等の有機低分子性粉体、澱粉、シルク粉末、セルロース粉末等の天然有機粉体、赤色201号、赤色202号、赤色205号、赤色226号、赤色228号、橙色203号、橙色204号、青色404号、黄色401号等の有機顔料粉体、赤色3号、赤色104号、赤色106号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号等のジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料粉体あるいは更にアルミニウム粉、金粉、銀粉等の金属粉体、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素等の複合粉体等が挙げられ、これら粉体はその1種又は2種以上を用いることができ、更に複合化したものを用いてもよい。なお、これら粉体は、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、金属石鹸、レシチン、水素添加レシチン、コラーゲン、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、ワックス、ロウ、界面活性剤等の1種又は2種以上を用いて表面処理を施してあってもよい。
【0038】
その他、水性成分としては、水及び水に可溶な成分であれば何れでもよく、水の他に、例えば、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液が挙げられる。
【0039】
界面活性剤としては、非イオン界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系、PABA系、ケイ皮酸系、サリチル酸系、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、オキソベンゾン等があげられる。
【0040】
酸化防止剤としては、例えばα−トコフェロール、アススコルビン酸等が挙げられ、また保湿剤としては、例えばタンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等が挙げられる。
【0041】
美容成分としては、例えばビタミン類、消炎剤、生薬等が挙げられ、また防腐剤としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール等、有機酸としては、クエン酸、リンゴ酸等が挙げられる。
【0042】
かくして得られた本発明の美爪料は、例えば、マニキュア、マニュキュアベース、トップコート等として使用することができる。
【0043】
【作用】
本発明で使用する膨潤性層状ケイ酸塩は、合成のものであるためそのカチオン交換当量が一定であり、これから導かれる有機粘土複合体の物性も、変動が極めて少なく、かつ、高いゲル化力を有するものである。また、有機粘土複合体自体の粒子径も、平均で約25nmと小さくすることができ、有機溶媒中に分散、膨潤させると光の透過率の高い膨潤物となる。本発明の美爪料は、有機粘土複合体のこれらの特性を活かしたものであり、美爪料中に光輝性粉体を配合した場合であっても安定性が高く、しかも光輝性粉体に立体感を与え、非常にきれいな輝きを付与するものである。
【0044】
【実施例】
次に実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はそれらによって何ら制約されるものではない。
【0045】
参 考 例 1
合成スメクタイトの合成:
10Lのビーカーに水4Lを入れ、3号水ガラス(SiO2 28%、Na2O 9%、モル比3.22)860g を溶解し、95%硫酸162gを撹拌しながら一度に加えてケイ酸塩溶液を得る。次に水1LにMgCl2・6H2O一級試薬(純度98%)560gを溶解し、これを前記ケイ酸溶液に加えて均質混合溶液を調製した。これを2N−NaOH溶液3.6L中に撹拌しながら5分間で滴下した。得られた反応沈澱物を、直ちに日本ガイシ(株)製のクロスフロー方式による濾過システム〔クロスフロー濾過器(セラミック膜フィルター:孔径2μm、チューブラータイプ、濾過面積400cm2)、加圧:2kg/cm2、濾布:テトロン1310〕で濾過及び充分に水洗した後、水200mlとLi(OH)・H2O 14.5gとよりなる溶液を加えてスラリー状とした。これをオートクレーブに移し、41kg/cm2、250℃で3時間、水熱反応させた。冷却後反応物を取出し、80℃で乾燥し、粉砕して下記式(3)の合成スメクタイトを得た。この合成スメクタイトは、X線回析で測定した底面間隔が、空気中で12.5Å、陽イオン交換容量が110ミリ当量/100g であった。
【0046】
【化6】
【0047】
参 考 例 2
有機粘土複合体の合成:
参考例1で得られた合成スメクタイト10gを水道水500mlに分散させて懸濁液とした。その後、ジメチルベンジルオクタデシルアンモニウムクロライド17.7gを溶解させた水溶液300mlを、前記合成スメクタイト懸濁液に添加し、撹拌しながら室温で2時間反応させた。生成物を固液分離、洗浄して副生塩類を除去した後、乾燥して 有機粘土複合体を得た。
【0048】
実 施 例 1
マニキュア:
表1に示す処方及び下記の製法により、本発明品1〜7及び比較品1、2のマニキュアを調製した。得られたマニキュアについて、下記に示す評価方法により、その透明性、光沢性および安定性を評価した。なお透明性の評価は、表1中、成分(1)〜(13)のみを使用して得られたマニキュアベースで行った。これらの結果を表2および表3に示す。
【0049】
( 処 方 )
【表1】
【0050】
( 製 造 方 法 )
A. 成分(1)〜(10)および成分(11)〜(13)を均一に溶解してマニキュアベースを得た。
B.A.で得たマニキュアベースに、成分(14)〜(17)を加え、十分に混合してマニキュアを得た。
【0051】
( 評 価 方 法 )
イ.透明性の測定:
表1の成分(1)〜(13)を用いて調製したマニキュアベースの透過率を分光光度計(島津分校高度計 UV−2500(PC)S、島津製作所社製)にて測定し、透明性を評価した。測定方法はマニキュアベース状態の各サンプルを酢酸ブチルにて50%希釈し、酢酸ブチルの透過率を100%として、各希釈液の透過率を測定することにより行った。
【0052】
ロ.光沢の評価:
10名の官能検査パネルにより、製造されたマニキュアの使用時のつやを、下記7段階(0〜6)の<7段階絶対評価>を行い、その平均点をさらに下記の<4段階評価>にて評価することにより行った。
【0053】
<7段階絶対評価>
評 価 評 点
非常につやがある : 6 点
つやがある : 5 点
ややつやがある : 4 点
普 通 : 3 点
ややつやがない : 2 点
つやがない : 1 点
全くつやがない : 0 点
【0054】
<4段階評価>
◎ : 5点以上
○ : 3点を超えて5点未満
△ : 2点以上3点以下
× : 2点未満
【0055】
ハ.安定性の評価:
製造されたマニキュアを50℃で2週間放置した後、室温保存品と比較して、沈降、分離等の状態を観察、評価した。
【0056】
(評価基準)
評 価 内 容
◎ : 全く変化無し
○ : ほとんど変化無いが、わずかに沈降や分離の傾向が見られる
△ : やや沈降や分離がある
× : 沈降や分離あり
【0057】
( 結 果 )
1. 透明性
【表2】
【0058】
表2に示したように、本発明品のマニキュアベースの透明性は、比較品より優れたものであった。
【0059】
2.光沢および安定性
【表3】
【0060】
表3に示したように、本発明の美爪料は光沢および安定性が優れたものであった。これに対し、比較品は、光沢および安定性の両方を満足するものはなかった。
【0061】
実 施 例 2
マニキュア:
下記の処方による成分(1)〜(14)を混合溶解して、マニキュアベースを得た。さらに成分(15)及び(16)を加え、充分に混合してマニキュアを製造した。
【0062】
【0063】
得られたマニキュアベース及びマニキュアについて、実施例1と同様に透明性、光沢および安定性を評価したところ、透明性評価は0.4、光沢の評価は○、安定性の評価は◎であった。
【0064】
実 施 例 3
マニキュア:
下記の処方による成分(1)〜(11)を混合溶解して、マニキュアベースを得た。さらに成分(12)及び(13)を加え、充分に混合してマニキュアを製造した。
【0065】
【0066】
得られたマニキュアベース及びマニキュアについて、実施例1と同様に透明性、光沢および安定性を評価したところ、透明性は7.2、光沢の評価は◎、安定性の評価は○であった。
【0067】
実 施 例 4
トップコート:
下記の処方による成分(1)〜(11)を混合溶解して、トップコートを製造した。
【0068】
【0069】
得られたトップコートは、光沢、経時安定性、塗膜強度に優れるものであった。
【0070】
【発明の効果】
以上のように、本発明の美爪料は、合成膨潤性層状ケイ酸塩に特定の第4級アンモニウム化合物を導入した有機粘土複合体を配合するものであるため、非常に比重の大きなラメ剤やパール剤等の光輝性粉体を配合した場合であっても安定性が良好であり、かつベースの透明感に優れたものである。
【0071】
従って、本発明の美爪料は、例えば、マニキュア、マニキュアベース、トップコート等として有利に使用されるものである。
以 上
Claims (4)
- 合成スメクタイトの層間に、一般式(1)
で表されるものであることを特徴とする美爪料。 - さらにニトロセルロースを配合する請求項第1項に記載の美爪料。
- 有機粘土複合体の含有量が0.1〜10質量%である請求項第1項又は第2項のいずれかに記載の美爪料。
- さらにトルエンスルホンアミドエポキシ樹脂を配合する請求項第1項乃至第3項のいずれかに記載の美爪料。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2001034143A JP4777523B2 (ja) | 2001-02-09 | 2001-02-09 | 美爪料 |
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
JP2001034143A JP4777523B2 (ja) | 2001-02-09 | 2001-02-09 | 美爪料 |
Publications (2)
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