JP3720694B2 - 半導体素子収納用パッケージ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信やマイクロ波通信,ミリ波通信等の高い周波数で作動する各種半導体素子を収納する半導体素子収納用パッケージに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の光通信やマイクロ波通信またはミリ波通信等の高い周波数で作動する各種半導体素子を収納する半導体素子収納用パッケージ(以下、半導体パッケージという)のうち、光通信分野に用いられる光半導体パッケージを図3に示す。
【0003】
同図に示すように、光半導体パッケージは、一般に上面にLD(半導体レーザ),PD(フォトダイオード)等の光半導体素子107が載置用基台108を介して載置される載置部101aを有する鉄(Fe)−ニッケル(Ni)−コバルト(Co)合金や銅(Cu)−タングステン(W)合金等の金属材料から成る基体101を有する。また、載置部101aを囲繞するようにして基体101の上面に銀ロウ等のロウ材を介して接合されるとともに、一側面に光半導体素子107と外部電気回路(図示せず)とを電気的に接続する同軸コネクタ103(ガラスビーズ端子ともいう)の嵌着用の貫通孔102aが形成され、対向する側面に光半導体素子107と光結合するための光伝送路である貫通孔102bが形成された、Fe−Ni−Co合金等の金属材料から成る枠体102を有する。
【0004】
この枠体102の光伝送路である貫通孔102bの外側周辺部には、枠体102の熱膨張係数に近似するFe−Ni−Co合金,Fe−Ni合金等の金属材料から成り、戻り光防止用の光アイソレータ111と光ファイバ113とが樹脂接着剤で接着された金属ホルダ112と、非晶質ガラス等から成り集光レンズとして機能するとともに半導体パッケージ内部を塞ぐ機能を有する透光性部材105とを固定する筒状の固定部材104が銀ロウ等のロウ材で接合される。
【0005】
なお、この固定部材104と金属ホルダ112とは、各々の端面同士がYAGレーザ溶接等により固定され、一方、固定部材104と透光性部材105とは、固定部材104内周面に形成されたメッキ層と透光性部材105外周面の一部に形成されたメッキ層とを、金(Au)−錫(Sn)合金半田等の低融点ロウ材でロウ付けすることにより固定される。
【0006】
また、同軸コネクタ103は、Fe−Ni−Co合金等の金属材料から成り貫通孔102a内周面にAu−Sn合金半田等の低融点ロウ材によりロウ付けされる筒状のホルダー(外周導体)103aと、このホルダー103a内部に充填されたホウケイ酸ガラス等の絶縁体から成るガラス103bと、このガラス103bの中心軸部分に装着され光半導体パッケージ内外を導通させる金属端子(中心導体)103cとから成る。そして、同軸コネクタ103は、外部電気回路と光半導体素子107とを電気的に接続する機能を有するとともに半導体パッケージ内部を塞ぐ機能を有する。
【0007】
また、この同軸コネクタ103は、高周波信号が伝送される金属端子103cと、その外周部、即ち金属材料から成るホルダー103a、および貫通孔102a内周部とが、高周波信号伝送時のインピーダンスの整合が可能な同軸構造を成している。
【0008】
なお、この同軸コネクタ103と光半導体素子107との電気的接続は、金属端子103cの枠体102内側に突出された一端と、回路基板109上面に形成され、金属端子103cの貫通孔102a内部のインピーダンスと同じになるように形成されたマイクロストリップ線路であるメタライズ金属層109aとを、錫−鉛(Pb)半田等の低融点ロウ材を介して接合するとともに、このメタライズ金属層109aと光半導体素子107とをボンディングワイヤ110で接続することにより成される。
【0009】
このような光半導体パッケージは、それに光半導体素子107やインピーダンス整合用等の回路基板109を搭載した載置用基台108を樹脂接着剤,ロウ材等の接着剤を介して載置固定した後、同軸コネクタ103の金属端子103cの一端を回路基板109上面のメタライズ金属層109aに低融点ロウ材で接合するとともに、光半導体素子107とメタライズ金属層109aとをボンディングワイヤ110で電気的に接続し、その後、光アイソレータ111,光ファイバ113が固定された金属ホルダ112を固定部材104に溶接し、枠体102上面に蓋体106をシーム溶接やロウ付け等により接合することにより、製品としての光半導体装置となる。
【0010】
このような光半導体装置は、例えば外部から供給される高周波信号により光半導体素子107を光励起させ、励起したレーザ光等の光を透光性部材105を通して光ファイバ113に授受させ光ファイバ113内を伝送させることにより、大容量の情報を高速に伝送できる光電変換装置として機能し、光通信分野等に多く用いられる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の半導体パッケージにおいて、同軸コネクタ103の金属端子103cの枠体102内側に突出した部位は同軸構造となっていないため、伝送される高周波信号の周波数が高くなると、その部位に発生するインピーダンスが非常に大きくなる。従って、金属端子103cの枠体102内側に突出していない部位とメタライズ金属層109aとの間のインピーダンスのギャップが非常に大きくなり、その結果、高周波信号の入出力時における反射損失が大きくなり、光半導体素子107の作動性が損なわれるという問題点を有していた。
【0012】
従って、本発明は上記問題点に鑑み完成されたもので、その目的は、高周波信号の入出力時における反射損失を非常に小さいものとすることにより、光半導体素子107の作動性を良好なものとすることにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の半導体パッケージは、上面に半導体素子およびメタライズ金属層が形成された回路基板が載置用基台を介して載置される載置部を有する基体と、該基体上面に前記載置部を囲繞するように取着されるとともに側部に貫通孔が形成された枠体と、筒状の外周導体およびその中心軸に設置された中心導体ならびにそれらの間に介在された絶縁体から成るとともに前記貫通孔に嵌着されて前記回路基板に電気的に接続される同軸コネクタとを具備した半導体素子収納用パッケージにおいて、前記同軸コネクタは、前記中心導体が前記絶縁体より突出しかつ前記枠体の内側に突出しないように設けられるとともに、前記中心導体と前記回路基板の前記メタライズ金属層とが板状の金属片を介して接続されており、該金属片は、その幅が平面視して前記中心導体の直径以下であり、且つ側断面形状がメタライズ金属層に向かって先細り状のテーパー状とされていることを特徴とする。
【0014】
本発明は、このような構成により、中心導体の枠体内側に突出していない部位と、回路基板のメタライズ金属層との間のインピーダンスのギャップを小さくでき、高周波信号の入出力時における反射損失を非常に小さくできる。即ち、高周波信号の伝送時にメタライズ金属層で発生する電界の大きさは、中心導体が枠体内側に突出している場合のその部位に発生する電界の大きさよりも、金属片で発生する電界の大きさにより近いため、枠体内側の空間で金属片により接続することにより、メタライズ金属層との間の電界の変化を緩やかなものとする。その結果、インピーダンスの急激な変化を抑えることができ、インピーダンスの変化により発生する反射損失をきわめて小さくできる。
【0015】
より具体的に説明すると、図3の従来の構成においては、外周導体および貫通孔の内周面に覆われた部位の中心導体、およびマイクロストリップ線路であるメタライズ金属層109aの伝搬モードはTEMモードであるのに対し、枠体内部に露出しメタライズ金属層109aに接続された部位以外の部位の伝搬モードはTEモードである。従って、高周波信号は、TEMモード、TEモード、TEMモードと伝搬モードが変化するため、伝搬モード変化部でインピーダンスがステップ状に変化するため、高周波信号の反射損失が大きくなる。
【0016】
一方、本発明の構成においては、中心導体と板状の金属片との接合部ではTEMモードとTEモードが混在したものとなるが、金属片での伝搬モードはTEMモードであり、伝搬モードの変化は非常に小さなものとなり、その結果インピーダンスの変化がきわめて緩やかなものとなり、高周波信号の反射損失を非常に小さなものとできる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の半導体パッケージの1種である光半導体パッケージについて、以下に詳細に説明する。図1は、本発明の光半導体パッケージの一実施形態を示す断面図,図2は図1の同軸コネクタ周辺部の要部拡大断面図である。
【0018】
これらの図において、1は容器本体の底面を構成する基体、2は容器本体の側壁用の枠体、3は高周波信号の入出力端子である同軸コネクタ、4は透光性部材5や金属ホルダ12を設置固定するための筒状の固定部材、5は透光性部材、6は蓋体、7はLD,PD等の光半導体素子である。これら基体1、枠体2、同軸コネクタ3、固定部材4、透光性部材5および蓋体6とで、内部に光半導体素子7を収容するための容器が構成される。
【0019】
また、従来技術と同様に、固定部材4の外部側の端面には、光アイソレータ11と光ファイバ13とが樹脂接着剤で接着された金属ホルダ12が、YAGレーザ溶接等により固定される。
【0020】
本発明の基体1は、光半導体素子7を支持するための支持部材ならびに光半導体素子7から発せられる熱を放散するための放熱板として機能し、その上面の略中央部に光半導体素子7が載置用基台8を介して載置される載置部1aを有している。この載置部1aに、載置用基台8がSn−Pb半田等の低融点ロウ材を介して接着固定されるとともに、この低融点ロウ材を介して光半導体素子7から発せられた熱が伝えられ、外部に効率良く放散され、光半導体素子7の作動性を良好なものとする。
【0021】
この基体1は、Fe−Ni−Co合金やCu−W合金等の金属材料から成り、そのインゴットに圧延加工や打ち抜き加工等の従来周知の金属加工法を施すことによって所定の形状に製作される。また、その表面に耐蝕性に優れかつロウ材との濡れ性に優れる金属、具体的には厚さ0.5〜9μmのNi層と厚さ0.5〜9μmのAu層を順次メッキ法により被着させておくと、基体1が酸化腐食するのを有効に防止することができるとともに、基体1上面に載置用基台8を介して光半導体素子7を強固に接着固定させることができる。従って、所定の形状に製作された基体1の表面に0.5〜9μmのNi層や0.5〜9μmのAu層等の金属層をメッキ法により被着させておくことが好ましい。
【0022】
また、この載置用基台8はシリコン(Si)やCu−W合金等の熱伝導性の高い金属から成り、光半導体素子7から基体1へ熱を伝えるための媒体として機能するとともに、その高さを適宜設定することにより透光性部材5と光半導体素子7との光軸が合うようにする機能を有する。また、その上面には、上面に伝送線路としてのメタライズ金属層9aが形成された、アルミナ(Al23)セラミックス等のセラミックスから成るインピーダンス整合等用の回路基板9が接合される。
【0023】
このメタライズ金属層9aは、同軸コネクタ3の中心導体3cのインピーダンスと同じになるように形成されたマイクロストリップ線路であり、光半導体素子7にボンディングワイヤ10を介して、また、中心導体3cに金属片3c'を介して接合され、中心導体3cと光半導体素子7とを電気的に接続する機能を有する。
【0024】
また、このメタライズ金属層9aは、モリブデン(Mo),マンガン(Mn),タングステン(W)等の粉末に有機溶剤、溶媒を添加混合して得た金属ペーストを、回路基板9となるセラミックグリーンシートに予め従来周知のスクリーン印刷法により所定パターンに印刷塗布し焼結することにより形成される。
【0025】
同軸コネクタ3は、枠体2の貫通孔2a内周面にAu−Sn合金半田等の低融点ロウ材によりロウ付けされるホルダー(外周導体)3aと、このホルダー3aに形成された貫通孔に充填されたホウケイ酸ガラス等の絶縁体から成るガラス3bと、このガラス3bの中心軸部分に装着され光半導体パッケージ内外を導通させるとともに、枠体2内側の一端が枠体2内周面と面一または枠体2内周面よりも貫通孔2a内部側にある中心導体3cとから成る。即ち、中心導体3cは、端部がガラス3bから突出しかつ枠体2内側に突出しないように設けられる。そして、同軸コネクタ3は、外部電気回路と光半導体素子7とを電気的に接続する機能を有するとともに光半導体パッケージ内部を塞ぐ機能を有する。
【0026】
また、この同軸コネクタ3は、高周波信号が伝送される中心導体3cと、その外周部、即ち金属材料から成るホルダー3aおよび貫通孔2aの内周面とが、高周波信号伝送時のインピーダンスの整合が可能な同軸構造を成している。
【0027】
同軸コネクタ3は、このような構造であることから、伝送される高周波信号の周波数が高くなっても中心導体3cにインピーダンスの整合が困難になる部位が出現することはない。
【0028】
さらに、中心導体3cの半導体パッケージ内部側の先端とメタライズ金属層9aとは、板状の金属片3c'を介して電気的に接続されている。即ち、高周波信号の伝送時にメタライズ金属層9aに発生する電界の大きさが、従来の中心導体103c(図3)の枠体2内側に突出した部位で発生する電界の大きさよりも近い金属片3c'を用いることにより、メタライズ金属層9aと中心導体3cとの間の電界の変化を緩やかなものとし、インピーダンスの急激な変化を抑えることができ、インピーダンスの変化により発生する反射損失をより小さくできる。
【0029】
この金属片3c’は、その側断面形状がメタライズ金属層9aに向かって先細り状とされたテーパー状を有しており、その厚さは10μm〜100μmの範囲であれば良く、10μm未満の場合製造上困難となり、100μmを超える場合反射損失が非常に大きくなる。
【0030】
また、金属片3c’は、その平面形状が長方形状またはメタライズ金属層9aに向かって先細り状とされたテーパー状を有しており、その最も狭い部位の幅が、メタライズ金属層9aにSn−Pb半田等の低融点ロウ材で強固に接合できる程度の幅であれば良く、一方、最も広い部位の幅が、中心導体3cの直径以下であれば良く、最も広い部位の幅が中心導体3cの直径を超える場合、反射損失が非常に大きくなる。
【0031】
また、金属片3c'は、その主面とメタライズ金属層9aの表面の延長面との成す角の角度θが0°〜90°の範囲であれば良く、その範囲を外れる場合、反射損失が非常に大きくなる。
【0032】
また、金属片3c'は金属材料から成り、メタライズ金属層9aや中心導体3cとの接合時における熱歪みを有効に防止するために、それらに熱膨張係数の近似するFe−Ni−Co合金やFe−Ni合金等を用いるのが好ましい。
【0033】
このような金属片3c'が接続される同軸コネクタ3が嵌着される枠体2は、載置部1aを囲繞するようにして基体1の上面に銀ロウ等のロウ材を介して接合され、一方の側面に同軸コネクタ3の嵌着用の貫通孔2aとともに、片方の側面に光半導体素子7と光結合するための光伝送路である貫通孔2bが形成される。
【0034】
また、枠体2は基体1との接合における熱歪みを小さくし接合を強固なものとするとともに、光半導体パッケージ外部との電磁的遮蔽を行うために、基体1の熱膨張係数に近似するFe−Ni−Co合金やFe−Ni合金等の金属材料を用いるのがよい。
【0035】
また、この枠体2は、基体1と同様にその材料のインゴットに圧延加工や打ち抜き加工等の従来周知の金属加工法を施すことにより所定の形状に製作され、その表面に耐蝕性に優れかつロウ材との濡れ性に優れる金属、具体的には厚さ0.5〜9μmのNi層と厚さ0.5〜9μmのAu層を順次メッキ法により被着させておくと、枠体2が酸化腐食するのを有効に防止できるとともに、貫通孔2a、2bにそれぞれ同軸コネクタ3、透光性部材5を強固に接合できる。従って、所定の形状に製作された枠体2の表面に0.5〜9μmのNi層や0.5〜9μmのAu層等の金属層をメッキ法により被着させておくことが好ましい。
【0036】
この枠体2の貫通孔2bの外側周辺部には、枠体2の熱膨張係数に近似するFe−Ni−Co合金,Fe−Ni合金等の金属材料から成り、戻り光防止用の光アイソレータ11と光ファイバ13とが樹脂接着剤で接着された金属ホルダ12と、非晶質ガラス等から成り集光レンズとして機能するとともに光半導体パッケージ内部を塞ぐ機能を有する透光性部材5とを固定する筒状の固定部材4が銀ロウ等のロウ材で接合される。
【0037】
この固定部材4の内周面には、集光レンズとして機能するとともに光半導体パッケージ内部を塞ぐ非晶質ガラス等から成る透光性部材5が、その接合部の表面に形成されたメタライズ層を介して、200〜400℃の融点を有するAu−Sn合金半田等の低融点ロウ材で接合される。
【0038】
この透光性部材5は、熱膨張係数が4×10-6〜12×10-6/℃(室温〜400℃)のサファイア(単結晶アルミナ)や非晶質ガラス等から成り、球状,半球状,凸レンズ状,ロッドレンズ状等とされ、外部のレーザ光等の光を光ファイバ13により伝送させて光半導体素子7に入力させる、または光半導体素子7で出力したレーザ光等の光を光ファイバ13に入力させるための集光用部材として用いられる。透光性部材5が、例えば結晶軸の存在しない非晶質ガラスの場合、SiO2,酸化鉛(PbO)を主成分とする鉛系、またはホウ酸やケイ砂を主成分とするホウケイ酸系のものを用いる。
【0039】
また、この透光性部材5は、その熱膨張係数が枠体2のそれと異なっていても固定部材4が熱膨張差による応力を吸収し緩和するので、結晶軸が応力のためにある方向に揃うことによって光の屈折率の変化を起こすようなことは発生しにくい。従って、このような透光性部材5を用いることにより光半導体素子7と光ファイバ13との間の光の結合効率を高くできる。
【0040】
また蓋体6は、Fe−Ni−Co合金等の金属材料やアルミナセラミックス等のセラミックスから成るとともに、枠体2上面にAu−Sn合金半田等の低融点ロウ材を介して接合されたり、YAGレーザ溶接等の溶接法により接合され、光半導体素子7を光半導体パッケージ内に封止する。
【0041】
このように、本発明の半導体パッケージの1種である光半導体パッケージは、上面にメタライズ金属層9aが形成された回路基板9が接合された載置用基台8を介して光半導体素子7を上面に載置する載置部1aを有するとともに金属材料から成る基体1と、この基体1上面に載置部1aを囲繞するようにロウ材を介して接合され、側部に同軸コネクタ3を嵌着するための貫通孔2aが、また対向する側部に光伝送路である貫通孔2bが形成された金属材料から成る枠体2とを具備しており、この同軸コネクタ3の中心導体3cの回路基板9に接続される一端が枠体2内面と面一または枠体2内面よりも貫通孔2a内周面側にあり、回路基板9と中心導体3cとは板状の金属片3c'を介して電気的に接続される構造を有している。
【0042】
このように、中心導体3cの一端が、枠体2内面と面一または枠体2内面よりも貫通孔2a内周面側にあるとともに、この中心導体3cの一端とメタライズ金属層9aとの電気的接続を金属片3c’を介して行うため、伝送される高周波信号の周波数が高くなってもインピーダンスの急激な変化を抑えることが可能となる。即ち、インピーダンスの変化により発生する高周波信号の反射損失を非常に小さくでき伝送特性の向上を可能とする。
【0043】
本発明の半導体パッケージは、光半導体パッケージの場合には光半導体素子7を、無線通信用の半導体パッケージの場合には高周波用の半導体素子を、それぞれ収納して、外部電気回路と各種半導体素子が高周波信号の入出力を行う半導体パッケージ等として構成されるものである。光半導体パッケージの場合、光半導体素子7や回路基板9を搭載した載置用基台8を樹脂接着剤,ロウ材等の接着剤を介して載置固定した後、同軸コネクタ3の中心導体3bの一端を回路基板9上面のメタライズ金属層9aに低融点ロウ材で接合するとともに光半導体素子7とメタライズ金属層9aとをボンディングワイヤ10で電気的に接続し、その後、光アイソレータ11,光ファイバ13が固定されている金属ホルダ12を固定部材4に溶接し、枠体2上面に蓋体6をシーム溶接やロウ付け等により接合することにより製品としての光半導体装置となる。
【0044】
かくして、本発明は、伝送される高周波信号の周波数が高くなってもインピーダンスの急激な変化を抑えることが可能となる。即ちインピーダンスの変化により発生する反射損失を非常に小さくでき高周波伝送特性の向上を可能とする。その結果、従来の同軸コネクタ3を用いた場合に比し、中心導体3cの枠体2内側に突出していない部位とメタライズ金属層9aとの間のインピーダンスのギャップを小さくでき、高周波信号の入出力時における反射損失を非常に小さくできる。従って、光半導体素子7と外部電気回路との高周波伝送特性を良好なものとでき、光半導体素子7の作動性を良好なものとできる。
【0045】
本発明において、高周波信号の周波数は1〜100GHz程度であり、特に30GHz以上の周波数において従来インピーダンスの変化が急激であったのを、本発明では緩やかなものとすることができる。
【0046】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を行うことは何等支障ない。例えば、基体1と枠体2とが一体的に形成された所謂メタル・インジェクション・モールド(MIM)であっても良い。
【0047】
【発明の効果】
本発明は、上面に半導体素子およびメタライズ金属層が形成された回路基板が載置用基台を介して載置される載置部を有する基体と、基体上面に載置部を囲繞するように取着されるとともに側部に貫通孔が形成された枠体と、筒状の外周導体およびその中心軸に設置された中心導体ならびにそれらの間に介在された絶縁体から成るとともに貫通孔に嵌着されて回路基板に電気的に接続される同軸コネクタとを具備し、同軸コネクタは、中心導体が絶縁体より突出しかつ枠体の内側に突出しないように設けられるとともに、中心導体と回路基板のメタライズ金属層とが板状の金属片を介して接続されており、この金属片は、その幅が平面視して中心導体の直径以下であり、且つ側断面形状がメタライズ金属層に向かって先細り状のテーパー状とされていることにより、中心導体の枠体内側に突出していない部位とメタライズ金属層との間のインピーダンスのギャップを小さくでき、高周波信号の入出力時における反射損失を非常に小さくできる。即ち、高周波信号の伝送時にメタライズ金属層で発生する電界の大きさは、中心導体が枠体内側に突出している部位に発生する電界の大きさよりも、板状の金属片で発生する電界の大きさにより近いため、金属片を用いることでメタライズ金属層との間の電界の変化を緩やかなものとし、インピーダンスの急激な変化を抑えることができ、インピーダンスの変化により発生する反射損失をより小さくできる。その結果、光半導体素子と外部電気回路との高周波伝送特性を非常に良好なものとできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体パッケージの一実施形態を示す断面図である。
【図2】図1の同軸コネクタ周辺部の要部拡大断面図である。
【図3】従来の半導体パッケージの断面図である。
【符号の説明】
1:基体
1a:載置部
2:枠体
2a:貫通孔
3:同軸コネクタ
3c:中心導体
3c’:金属片
7:半導体素子
8:載置用基台
9:回路基板

Claims (1)

  1. 上面に半導体素子およびメタライズ金属層が形成された回路基板が載置用基台を介して載置される載置部を有する基体と、該基体上面に前記載置部を囲繞するように取着されるとともに側部に貫通孔が形成された枠体と、筒状の外周導体およびその中心軸に設置された中心導体ならびにそれらの間に介在された絶縁体から成るとともに前記貫通孔に嵌着されて前記回路基板に電気的に接続される同軸コネクタとを具備した半導体素子収納用パッケージにおいて、前記同軸コネクタは、前記中心導体が前記絶縁体より突出しかつ前記枠体の内側に突出しないように設けられるとともに、前記中心導体と前記回路基板の前記メタライズ金属層とが板状の金属片を介して接続されており、該金属片は、その幅が平面視して前記中心導体の直径以下であり、且つ側断面形状がメタライズ金属層に向かって先細り状のテーパー状とされていることを特徴とする半導体素子収納用パッケージ。
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