JP3719225B2 - 車両用変速装置の制御方法 - Google Patents

車両用変速装置の制御方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動変速機と有段変速機とを直列に接続した車両用変速装置の制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
かかる車両用変速装置の制御方法として、例えば特開2000-346169号公報に記載されているものがある。これは、駆動力源の出力側に有段変速機と無段変速機とを直列に配置した変速機構において、有段変速機の変速時に入出力変速比の変化量を極力小さくするように無段変速機の変速比を制御し、それによって変速ショックの抑制と発進・燃費性向上とを両立させようとするものである。
【0003】
この変速機構においては、有段変速機側で変速動作を行う際、入出力変速比の変化量が可及的に小さくなるように無段変速機側の変速比を制御する。すなわち、有段変速機をロー(減速側)からハイ(増速側)へ変速する際には無段変速機の変速比を大きく(減速側)するように制御し、一方、有段変速機をハイからローへ変速する際には無段変速機側の変速比を小さく(増速側)するように制御する。それによって変速ショックの抑制を図っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この変速機構における有段変速機の変速動作は、有段変速機が具えるクラッチをアクチュエータであるソレノイドバルブの制御により締結・開放することで行っている。
【0005】
ここで、有段変速機を減速側から増速側へ変速する際、アクチュエータに何らかの異常が発生し、変速動作が行われなくなった場合を考える。この時、無段変速機側では、有段変速機側の状態の如何に関わらず、本来の減速側への変速動作を継続してしまう。
【0006】
その結果、駆動力の変動が大きくなって変速ショックの増大を招くこととなり、また車両の運転状態によってはエンジンのオーバーレブ、すなわちエンジン回転数が過度に上昇してしまう可能性もあった。
【0007】
本発明の目的は、上記の問題に鑑み、有段変速機の変速動作中に有段変速機のアクチュエータに何らかの異常が発生して正しく変速動作が行われなくなった場合でも変速ショックやオーバーレブを抑制することのできる、自動変速装置の制御方法を提案することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この目的のため本発明は、請求項1に記載のごとく、
主変速機である自動変速機と、副変速機である、締結機構と、この締結機構を動作させるアクチュエータと、遊星歯車機構とを具える有段変速機とを直列に接続した車両用変速装置において、
前記副変速機が変速動作中または増速側の状態であって、かつ、前記主変速機がシフトダウン動作中に前記副変速機のアクチュエータに異常が発生した場合に、前記主変速機のシフトダウン動作を中止してシフトアップ動作を行い、前記主変速機のシフトアップした状態を維持することを特徴とするものである。
【0009】
【発明の効果】
かかる本発明による車両用変速装置の制御方法においては、副変速機である有段変速機の変速動作中または増速側の状態であって、この動作に合わせて自動変速機側でシフトダウン動作、すなわち減速側への変速動作を行っている時に、有段変速機の締結機構(クラッチ)を動作させるアクチュエータに異常が発生し、正しい変速動作が行われなくなった場合には、自動変速機における変速動作を中止して逆にシフトアップ動作を行い、かつ、このシフトアップした状態を維持することとしている。
【0010】
つまり、有段変速機で正しく変速動作が行われなくなった場合には自動変速機でのシフトダウン動作を行わず、逆に主変速機の増速側への変速動作を行い、その後増速した状態を維持することとなるため、シフトダウン動作に伴うエンジン回転数およびトルクの急激な増加を防ぐことができ、変速ショックやオーバーレブを抑制することが可能となる。
【0011】
本発明による車両用変速装置の制御方法においては、請求項2に記載のごとく、副変速機である有段変速機の変速動作中または増速側の状態であって、この動作に合わせて自動変速機側でシフトダウン動作、すなわち減速側への変速動作を行っている時に、有段変速機の締結機構(クラッチ)を動作させるアクチュエータに異常が発生し、正しい変速動作が行われなくなった場合には、主変速機である自動変速機のシフトダウン動作を中止した後、主変速機における変速比を異常発生時の変速比に固定し、その状態を維持することとしても良い。
【0012】
それによって、副変速機である有段変速機の変速動作に異常が発生した場合に、主変速機の変速比を有段変速機での異常発生時の値に固定することにより、エンジン回転数およびトルクの急激な増加を抑制することができ、変速ショックやオーバーレブを抑制することが可能となる。
【0013】
本発明による車両用変速装置の制御方法においては、請求項3に記載のごとく、副変速機である有段変速機の変速動作中または増速側の状態であって、この動作に合わせて自動変速機側でシフトダウン動作、すなわち減速側への変速動作を行っている時に、有段変速機の締結機構(クラッチ)を動作させるアクチュエータに異常が発生し、正しい変速動作が行われなくなった場合には、主変速機のシフトダウン動作を中止し、その後前記副変速機のアクチュエータが正常な状態に復帰しても、前記変速機コントローラの制御がリセットされるまで前記変速機のアクチュエータを動作させないこととしても良い。
【0014】
このようにすることによっても、エンジン回転数およびトルクの急激な増加を抑制することができ、変速ショックやオーバーレブを抑制することが可能となる。
【0015】
本発明による車両用変速装置の制御方法においては、請求項4に記載のごとく、主変速機である自動変速機がシフトスケジュール、すなわち各変速比に応じたエンジン入力回転数と車速との関係として、副変速機で正しく変速動作が行われている場合のものと、アクチュエータの異常により正しく変速動作が行われなくなった場合のものの双方を具えるものとし、副変速機のアクチュエータに異常が発生した時には、シフトスケジュールを異常発生時のものに切り換え、このシフトスケジュールに基づいて変速動作を行うことが好適である。
【0016】
この場合、副変速機の変速動作の状態に応じた最適なシフトスケジュールに基づいて主変速機の変速動作を行うことが可能となり、本発明による作用効果をより一層顕著なものとすることができる。
【0017】
また本発明による車両用変速装置の制御方法においては、請求項5に記載のごとく、請求項1の構成で、主変速機が無段変速機であり、車両の加速中に副変速機の増速側への切り換えと同期して主変速機を一時的に減速側に切り換える際、この切り換え動作中に副変速機側に異常が発生した時、主変速機の減速側への切り換えを中止して、逆に増速側へ切り換えることとするのが良い。
【0018】
つまり、車両の加速中に副変速機を増速側へ変速する際に、変速ショックを軽減して変速比の変化を滑らかなものとするために、この変速動作と同期して主変速機を一時的に減速側へシフトする際に、副変速機側に異常が発生した時、主変速機を増速側へシフトするものである。それによって、エンジン回転数およびトルクの急激な増加を抑制することができ、本発明による作用効果をより一層顕著なものとすることができる。
【0019】
さらに本発明による車両用変速装置の制御方法においては、請求項6記載のごとく、変速装置が、自動変速機の前段に、前記原動機からの回転を減速して自動変速機に入力する低速段および原動機からの回転をそのまま自動変速機に入力する直結段を有する副変速機を具え、副変速機に単純遊星歯車組を設け、該単純遊星歯車組のキャリアを変速機の入力軸に接続し、サンギヤおよびリングギヤの一方に前記原動機からの回転を伝達するよう接続し、リングギヤおよびサンギヤの他方をワンウェイクラッチにより原動機と逆方向に回転不能にすることで前記低速段選択状態となって前記トルク増大作用と同様の作用が得られるように構成し、単純遊星歯車組の前記3要素のうち任意の2要素を高速段選択クラッチにより相互に結合すると共にリングギヤおよびサンギヤの前記他方を前記ワンウェイクラッチの解放により原動機と同方向に回転可能にすることで前記直結段選択状態が得られるよう構成することが好適である。
【0020】
本発明による方法を上述した構成を有する変速装置に適用することにより、かかる変速装置におけるシフトダウン動作に伴うエンジン回転数およびトルクの急激な増加を防ぐことができ、変速ショックやオーバーレブを抑制することが可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。
【0022】
図1は本発明の一実施形態に係る車両用変速装置の構成を示す断面図である。先ず本装置における伝動経路の概略を説明するに、エンジン(原動機)1からの回転は、後に詳細に説明する副変速機20および変速機入力軸3を経て、前後進切り換え機構4に伝達される。
【0023】
この前後進切り換え機構4は、Dレンジでの前進走行時においては前進クラッチ4aを締結されてトルクコンバータ2からのエンジン回転をそのまま伝達し、Rレンジでの後進走行時においては後進ブレーキ4bを締結されてトルクコンバータ2からのエンジン回転を減速、逆転下に伝達し、P,Nレンジでの駐停車時においては前進クラッチ4aおよび後進ブレーキ4bの双方を解放されてトルクコンバータ2からのエンジン回転を後段に伝達しなくする。
【0024】
前後進切り換え機構4の後段には、2個のトロイダル伝動ユニット(フロント側トロイダル伝動ユニット5およびリヤ側トロイダル伝動ユニット6)を、後述するように同軸背中合わせに配置して設ける。これらトロイダル伝動ユニット5,6はそれぞれ、入力ディスク7と、これに同軸に対向配置した出力ディスク8と、対応する入出力ディスク7,8間に介在させた一対ずつのパワーローラ9とを具えた同様な構成とする。なお、図示の変速装置では、前後進切り換え機構4とトロイダル伝動ユニット5,6とで主変速機を構成するものとする。
【0025】
両トロイダル伝動ユニット5,6は、それぞれの出力ディスク8が背中合わせになるよう同軸に配置し、この配置に当たっては、それぞれの入力ディスク7を主軸10に回転係合させて前後進切り換え機構4からの回転が共通に入力されるようになし、それぞれの出力ディスク8を主軸10上に回転自在に支持する。また両出力ディスク8は中空出力軸11を介して相互に一体結合し、この中空出力軸11上に出力歯車12を固設する。
【0026】
出力歯車12は、カウンターシャフト13の前端におけるカウンターギヤ14に噛合させ、カウンターギヤ14の後端を出力歯車組15を経て、主軸10の後方へ同軸配置した変速機出力軸16に駆動結合させる。
【0027】
前後進切り換え機構4からの回転は両入力ディスク7へ共通に伝達され、入力ディスク7の回転は対応するパワーローラ9を介して出力ディスク8に達し、この回転が共通な出力歯車12から、これに噛合するカウンターギヤ14およびカウンターシャフト13、並びに出力歯車組15を順次経て変速機出力軸16から取り出される。
【0028】
変速に際しては、パワーローラ9を自己の回転軸線が入出力ディスク7,8の回転軸線と交差する中立位置から同期して同位相で(同じ変速方向に)オフセットさせると、パワーローラ9が回転時の分力によりパワーローラ回転軸線と直交する首振り軸線周りに同期して同位相で傾転され、これにより入出力ディスク7,8に対するパワーローラ9の接触軌跡円弧径が連続的に変化して所定の無段変速を行うことができる。なお変速比が指令変速比になったところで、パワーローラ9を上記オフセットが0の初期ストローク位置に戻すことで、パワーローラ9の自己傾転は行われなくなり指令変速比を保つことができる。
【0029】
さて、図示の変速装置は、従来のトロイダル型無段変速機におけるトルクコンバータを副変速機20に置換したものとなっている。この副変速機20は、図2に実態構成を示すが、ハウジング21を具え、このハウジング21をドライブプレート22を介してエンジン1のクランクシャフトに結着し、このハウジング21内に以下の部品を組み込んで副変速機20を構成している。
【0030】
つまり、トロイダル伝動ユニット5,6とで主変速機を構成する前後進切り換え機構4の入力軸(主変速機の入力軸)3をハウジング21内に挿入し、図2に示すごとく入力軸3の挿入端部上に単純遊星歯車組23を装着する。単純遊星歯車組23はサンギヤ23sと、リングギヤ23rと、これら両ギヤに噛合する複数のピニオン23pと、該ピニオン23pをピニオンシャフト23tを介して回転自在に支持するキャリア23cとから成る通常のものとする。
【0031】
単純遊星歯車組23のキャリア23cを入力軸3に駆動結合すると共に、高速段選択クラッチ24のクラッチハブ24hにも駆動結合する。単純遊星歯車組23のリングギヤ23rは、ワンウェイクラッチ25を介し中空の固定軸26上に乗せてエンジン1の回転と逆方向に回転し得ないようにする。そしてワンウェイクラッチ25は、図2に明示するごとくワンウェイクラッチ25のインナレース25iを中空固定軸26(変速機ケース)に固定すると共にアウタレース23oをリングギヤ23rに接続して、中空固定軸26およびリングギヤ23r間に介在させる。
【0032】
高速段選択クラッチ24は上記したクラッチハブ24hのほかに、ハウジング21内に回転自在に収納したクラッチドラム24dを具え、このクラッチドラム24dを高速段用ダンパー27を介してハウジング21に駆動結合する。クラッチドラム24dは更に、低速段用ダンパー28を介して単純遊星歯車組23のサンギヤ23sに駆動結合する。
【0033】
高速段選択クラッチ24には更に、図2に示すごとくクラッチドラム24d内に軸線方向摺動可能に嵌合したクラッチピストン24pを具え、このピストン24pを油圧αで図2の左方へストロークさせる時、高速段選択クラッチ24は図3に示すごとき締結によりクラッチドラム24dおよびクラッチハブ24h間を結合し、この時高速段用ダンパー27からの回転が低速段用ダンパー28を経由することなくキャリア23cを経て入力軸3にそのまま(高速:直結段選択状態で)伝達される(本発明における「増速側」の状態)。
【0034】
しかし、ピストン24pへの油圧αがなくて高速段選択クラッチ24が図1に示すごとく解放されている時は、高速段用ダンパー27からの回転が低速段用ダンパー28を経由して単純遊星歯車組23のサンギヤ23sに達する。ここでサンギヤ23sは、高速段選択クラッチ24が解放されているため、またワンウェイクラッチ25がリングギヤ23rのエンジン1と逆方向の回転を阻止しているため、キャリア23cを減速下に同方向へ回転駆動し、動力は低速段選択状態で入力軸3に伝達される(本発明における「減速側」の状態)。
【0035】
なお高速段用ダンパー27のダンパー特性は上記の高速段選択状態(直結段選択状態)で要求される特性に設定し、低速段用ダンパー28は上記の低速段選択状態で要求される特性に設定しておく。
【0036】
ここで図2に示す前後進切り換え機構4の実態構成を補足説明するに、前後進切り換え機構4は前記した前進クラッチ4aおよび後進ブレーキ4bの他に、単純遊星歯車組4cを具える。
【0037】
そして前進クラッチ4aを油圧βにより締結する時は、単純遊星歯車組4cのサンギヤ4dおよびリングギヤ4e間が結合されて単純遊星歯車組4cを全ての回転メンバが一体的に回転されるインターロック状態となし、入力軸3からの回転をそのまま後段のトロイダル伝動ユニット5,6(図1参照)へ伝達することによりDレンジでの前進走行を可能にする。また後進ブレーキ4bを図2の油圧γにより締結する時は、単純遊星歯車組4cのキャリア4fが固定されて入力軸3からの回転を減速、逆転下にサンギヤ4dより後段のトロイダル伝動ユニット5,6へ伝達することによりRレンジでの後進走行を可能にする。
【0038】
しかして、P,Nレンジでの駐停車時においては前進クラッチ4aおよび後進ブレーキ4bの双方を解放させて入力軸3からの回転を後段のトロイダル伝動ユニット5,6へ伝達させないことで駐停車を可能にする。
【0039】
次に図4は、前述した本発明に係る車両用変速装置の制御方法の一実施形態を示すものであり、かかる変速装置における、副変速機のアクチュエータに異常が発生した際の制御処理手順を示すフローチャートである。以下、その手順について説明する。なお、このフローチャートで示されるプログラムは、図1〜図3では示されていない変速機コントローラ(ATCU)に組み込まれている制御プログラムのサブルーチンの一つとして実行されるものである。
【0040】
まずステップS11において、副変速機20の高速段選択クラッチ24を動作させるアクチュエータ(図示せず)に異常が発生しているか否かをチェックし、異常が発生していればステップS12へ進み、異常が発生していなければステップS16へ進む。
【0041】
続くステップS12では副変速機20が2速状態にあるか、あるいは変速動作中であるか否かをチェックする。ここで、副変速機20が2速状態または変速動作中のいずれかの状態であると判断した場合にはステップS13へ進む。一方、副変速機20が前記のいずれの状態にはないと判断した場合にはステップS16へ進む。
【0042】
ステップS13以降では、副変速機20のアクチュエータの異常発生に対処するための処理を行う。まずステップS13において、主変速機(無段変速機)のシフトダウン動作、すなわち減速側への変速動作を中止する。
【0043】
前述したように、本発明に係る変速装置においても副変速機(有段変速機)で増速側への変速動作を行う場合には、主変速機(無段変速機)では減速側への変速動作を行い、それによって変速ショックの緩和を図っている。
【0044】
ところが、副変速機のアクチュエータに異常が発生し、正しい変速動作が行われなくなった場合には、主変速機側でシフトダウン動作を継続すると、前述したような不具合が生じるおそれがある。そこで、本ステップ13で主変速機側でのシフトダウンを中止することとしている。
【0045】
その後ステップS14においては、一旦シフトダウン動作を中止した主変速機を増速側にシフト(シフトアップ)するか、あるいは主変速機の変速比を、副変速機のアクチュエータの異常発生を検知した時点における変速比に固定する。
【0046】
無段変速機の増速側へのシフトは、シフトスケジュールを異常発生時のものに切り換えることにより行う。ここでシフトスケジュールとは、図5に概略を例示するような、無段変速機の変速パターンを示す変速マップにおける、特定の変速比に対する変速線である。なお、図5ではシフトスケジュールを示す直線(変速線)の傾きが大きい程減速側のシフトスケジュールを示し、傾きが小さくなる程増速側のシフトスケジュールを示している。
【0047】
さて、主変速機において図5に実線で示す通常のシフトスケジュールに基づいて変速動作を行っている際に副変速機のアクチュエータに異常が発生した場合、本ステップS14ではシフトスケジュールを図の破線で示すものに切り換える処理を行う。すなわち、それまでのシフトスケジュールをより増速側のものに切り換え、主変速機の変速比を、この切り換え後のシフトスケジュールに対応した変速比に変更することを意味する。
【0048】
そしてステップS15では、主変速機を増速側へシフトした場合には、副変速機のアクチュエータが正常な状態に復帰した後も、このアクチュエータに対する制御がリセットされ、改めて制御が行われてアクチュエータが正常に動作するようになるまで、前のステップS14でのシフトスケジュール切り換え後の変速比を維持し、また主変速機の変速比をアクチュエータに異常が発生した時点での値に維持している場合には、同様にその変速比を維持するように主変速機の制御を行い、その後処理を終了してメインプログラムへ復帰する。
【0049】
一方、副変速機のアクチュエータに異常が発生していないと判断した場合(ステップS11)および、異常が発生しても副変速機が2速状態および変速動作中のいずれでもない場合(ステップS12)には、ステップS16へ進み、通常のシフトスケジュールに従って変速動作、すなわち減速側への変速動作を継続し、その後処理を終了してメインプログラムへ復帰する。
【0050】
図6は本発明に係る車両用変速装置の制御方法の他の実施形態を示すフローチャートであり、特にフューエルカットからリカバーする際の変速制御の処理手順を示すものである。なお、このフローチャートで示されるプログラムもまた、変速機コントローラ(ATCU)に組み込まれている制御プログラムのサブルーチンの一つとして実行されるものである。
【0051】
自動変速機を搭載した車両においては、燃費向上や排気中の有害成分の低減等を目的として減速時にフューエルカット(F/C)制御が従来より行われている。フューエルカットを行った場合、それに伴ってエンジン回転数も急激に低下することとなるが、回転数が極端に低下してエンジンストール(エンスト)が生じる事を防ぐ必要がある。
【0052】
そこで、エンジンストールが生じるエンジン回転数の限界値を、フューエルカット可能なエンジン回転数の下限値とし、この回転数に達した場合には燃料供給を再開している(F/Cリカバリー回転数)。
【0053】
実際には、フューエルカットを行ってからリカバリーを行う際には、図7のタイムチャートに示すように、エンジン回転数がF/Cリカバリー回転数に達する前に、制御装置(ECU)からF/Cリカバリー開始指令が出される。ところが、図示のようにF/Cリカバー開始指令から実際にF/Cリカバリーが行われるまでにはタイムラグが存在するため、F/Cリカバリーが行われる前にエンジン回転数がF/Cリカバリー回転数を下回ってしまい、エンストが発生してしまうことがある。
【0054】
図6のフローチャートは、こうした場合にエンストの発生を防ぐための処理を行うものである。以下、その手順について説明する。
【0055】
まずステップS21では、ATCUで各種の制御パラメータを読み込む。ここで読み込む制御パラメータは、エンジン回転数、ABS信号、急減速信号、出力軸回転数、入力軸回転数などである。これらの信号の内の幾つかは、例えば図8に示すようにATCU以外の制御ユニットからATCUへ送信されるものである。例えばATCU31に対し、エンジン回転数は電子制御ユニット(ECU)32から、駆動輪速やABS信号はABS制御ユニット(ABS C/U)33からそれぞれ送信される。
【0056】
続くステップS22では、前のステップS21で読み込んだ各種制御パラメータに基づき、車両が急減速状態にあるか否かを判断する。この時車両が急減速状態にあると判断した場合はステップS22へ進み、急減速状態にないと判断した場合はステップS26へ進む。
【0057】
ステップS23では、車両の急減速状態に対処するための処理を行う。すなわち有段変速機(副変速機)もしくは無段変速機(主変速機)を減速側へシフト(ダウンシフト)を行う。具体的には、例えばシフトスケジュールの切り換えを行うことにより、減速側への変速動作を行う。
【0058】
図9は、このときのシフトスケジュールの切り換えを、先に説明した図5と同様の変速マップ上で示すものである。図9では、実線で示す通常シフトスケジュールの最Hi線に沿う変速動作から、車両が急減速状態にあると判断した時に、急減速状態の時にシフトスケジュールへ切り換える場合を示している。この場合、図より明らかなように、シフトスケジュールを示す直線(変速線)の傾きが大きくなる、すなわち減速側への切り換えが行われることとなる。
【0059】
このシフトスケジュール切り換えは、ECUからのF/Cリカバリー開始指令に対応して行うものである。ここで再度図7を参照すると、シフトスケジュールを減速側へ切り換えることにより、図に実線で示すように、F/Cリカバー開始指令が出されるとエンジン回転数が急激に上昇し、その後低下するが、実際にF/Cリカバーが開始される時点において、エンジン回転数はF/Cリカバリー回転数を上回っている。その結果、エンストの発生が避けられることとなる。
【0060】
ステップS23での処理が終了した後、ステップS24で車両の急減速状態が終了したか否かを判断する。この時、急減速状態が終了していればステップS25へ進み、終了していなければステップS23へ戻って減速側への変速動作を再度行う。
【0061】
その後ステップS25で通常のシフトスケジュールに戻り、通常の変速動作に移行し、変速動作が終了した後メインプログラムへ復帰する。
【0062】
一方、ステップS22で車両が急減速状態にないと判断した場合には、ステップS26へ進み、通常のシフトスケジュールに沿った変速動作を継続し、変速動作の終了後メインプログラムへ復帰する。
【0063】
以上説明したように、本発明に係る車両用変速装置の制御方法によれば、有段変速機で正しく変速動作が行われなくなった場合には自動変速機でのシフトダウン動作を行わないこととなるため、シフトダウン動作に伴うエンジン回転数およびトルクの急激な増加を防ぐことができ、変速ショックやオーバーレブを抑制することが可能となる。
【0064】
なお、上述した実施形態においては、主変速機がトロイダル型無段変速機である場合について説明したが、本発明による制御方法は、主変速機が他の形式の無段変速機の場合にも適用することができ、前述した実施形態と同様の作用効果を奏し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る制御方法を適用する車両用変速装置の構成を示す模式図である。
【図2】 図1の装置における副変速機の実態構成を、前後進切り換え機構と共に示す半部縦断側面図である。
【図3】 同副変速機を高速段選択状態で示すと共に同前後進切り換え機構を前進回転伝動状態で示す模式的側面図である。
【図4】 本発明による車両用変速装置の制御方法の一実施形態に係る、副変速機のアクチュエータに異常が発生した際の制御処理手順を示すフローチャートである。
【図5】 本発明に係る方法により制御される車両用変速装置のシフトスケジュールであり、図4に示す処理によりシフトスケジュールの切り換えを行う状態を示すものである。
【図6】 本発明による車両用変速装置の制御方法の他の実施形態に係る、フューエルカットからリカバーする際の変速制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】 図6に示す制御によりフューエルカットリカバーを行う際のエンジン回転数の変化を示すタイムチャートである。
【図8】 本発明による車両用変速装置の制御方法の他の実施形態に係る制御システムの構成を概略示すブロック図である。
【図9】 本発明に係る方法により制御される車両用変速装置のシフトスケジュールであり、図7に示す処理によりシフトスケジュールの切り換えを行う状態を示すものである。
【符号の説明】
1 エンジン(原動機)
3 自動変速機の入力軸
4 前後進切り換え機構
5 フロント側トロイダル伝動ユニット
6 リヤ側トロイダル伝動ユニット
7 入力ディスク
8 出力ディスク
9 パワーローラ
10 主軸
11 中空出力軸
12 出力歯車
13 カウンターシャフト
14 カウンターギヤ
15 出力歯車組
16 変速機出力軸
20 副変速機
21 ハウジング
22 ドライブプレート
23 単純遊星歯車組
23c キャリア
23r リングギヤ
23s サンギヤ
24 高速段選択クラッチ
24h クラッチハブ
24d クラッチドラム
24p クラッチピストン
25 ワンウェイクラッチ
26 中空固定軸
27 高速段用ダンパー
28 低速段用ダンパー
31 自動変速機制御ユニット(ATCU)
32 電子制御ユニット(ECU)
33 ABS制御ユニット(ABS C/U)

Claims (6)

  1. 主変速機である自動変速機と、副変速機である、締結機構と、この締結機構を動作させるアクチュエータと、遊星歯車機構とを具える有段変速機とを直列に接続した車両用変速装置において、
    前記副変速機が変速動作中または増速側の状態であって、かつ、前記主変速機がシフトダウン動作中に前記副変速機のアクチュエータに異常が発生した場合に、前記主変速機のシフトダウン動作を中止してシフトアップ動作を行い、前記主変速機のシフトアップした状態を維持することを特徴とする車両用変速装置の制御方法。
  2. 主変速機である自動変速機と、副変速機である、締結機構と、この締結機構を動作させるアクチュエータと、遊星歯車機構とを具える有段変速機とを直列に接続した車両用変速装置において、
    前記副変速機が変速動作中または増速側の状態であって、かつ、前記主変速機がシフトダウン動作中に前記副変速機のアクチュエータに異常が発生した場合に、前記主変速機のシフトダウン動作を中止して前記主変速機における変速比を前記アクチュエータに異常が発生した時の変速比に固定し、当該主変速機の変速比を固定した状態を維持することを特徴とする車両用変速装置の制御方法。
  3. 主変速機である自動変速機と、副変速機である、締結機構と、この締結機構を動作させるアクチュエータと、遊星歯車機構とを具える有段変速機とを直列に接続し、変速機コントローラによって制御される車両用変速装置において、
    前記副変速機が変速動作中または増速側の状態であって、かつ、前記主変速機がシフトダウン動作中に前記副変速機のアクチュエータに異常が発生した場合に、前記主変速機のシフトダウン動作を中止し、その後前記副変速機のアクチュエータが正常な状態に復帰しても、前記変速機コントローラの制御がリセットされるまで前記変速機のアクチュエータを動作させないことを特徴とする車両用変速装置の制御方法。
  4. 請求項1記載の方法において、
    前記主変速機が、前記アクチュエータ正常動作時におけるシフトスケジュールおよび前記アクチュエータ異常動作時におけるシフトスケジュールを具え、前記アクチュエータ異常動作時における前記主変速機のシフトアップ動作を、前記アクチュエータ異常動作時におけるシフトスケジュールに基づいて行うことを特徴とする変速装置の制御方法。
  5. 前記主変速機が無段変速機であり、
    車両の加速中に前記副変速機を増速側に切り換える際に、該切り換え動作と同期して前記主変速機を一時的に減速側に切り換える、請求項1記載の方法において、
    前記切り換え動作中に前記副変速機のアクチュエータに異常が発生した場合に前記主変速機の減速側への切り換え動作を中止して増速側への切り換え動作を行うことを特徴とする車両用変速装置の制御方法。
  6. 請求項1〜3のいずれか 1 項記載の方法において、
    該変速装置が、自動変速機の前段に、前記原動機からの回転を減速して自動変速機に入力する低速段および原動機からの回転をそのまま自動変速機に入力する直結段を有する副変速機を具え、
    該副変速機に単純遊星歯車組を設け、該単純遊星歯車組のキャリアを変速機の入力軸に接続し、サンギヤおよびリングギヤの一方に前記原動機からの回転を伝達するよう接続し、リングギヤおよびサンギヤの他方をワンウェイクラッチにより原動機と逆方向に回転不能にすることで前記低速段選択状態となって前記トルク増大作用と同様の作用が得られるように構成し、
    単純遊星歯車組の前記3要素のうち任意の2要素を高速段選択クラッチにより相互に結合すると共にリングギヤおよびサンギヤの前記他方を前記ワンウェイクラッチの解放により原動機と同方向に回転可能にすることで前記直結段選択状態が得られるよう構成したことを特徴とする車両用変速装置の制御方法。
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