JP3719186B2 - 横幅拡張可能な乗物用シート - Google Patents

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  • Special Chairs (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、横幅拡張可能な乗物用シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
着座する乗員の人数に応じて横幅を変化させることのできる乗物用シートとしては、例えば、特開平11−99862号公報や、特開平11−334699号公報で知られているようなものがある。
【0003】
前者は、最大着座人数分のプレートがスライド部材で連結され、このスライド部材のシート横幅方向のラップ代が変化することで、シートの横幅を可変としている。クッション部材は各プレートだけに配置されている。
【0004】
後者は、並進シャフトと並進要素のラップ代が変化することでシートの横幅を可変としている。クッション部材は横幅方向中央の一部が取外自在になっており、その一部の着脱により、シートの横幅を変動させることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前者のものは、クッション部材が各プレートだけに配置され、スライド部材には配置されていないため、乗員は、シートの横幅を拡張した時に、スライド部材に対応する部位で違和感を感じ、快適な着座感が阻害される。また、後者ものは、シートの横幅を変化させる時に、クッション部材の一部を付けたり外したりする必要があるため、シートの横幅を変える操作が面倒である。
【0006】
この発明は、このような従来の技術に着目してなされたものであり、シートの横幅を変える操作が容易で、横幅拡張時でも快適な着座感が得られる横幅拡張可能な乗物用シートを提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、それぞれ横幅方向に延びる第1フレームと第2フレームを、シートバックからシートクッションにかけて交互に配置して、着座面を形成するシート本体を構成し、第2フレームを第1フレームに対して横幅方向にスライド移動させることによりシート本体の横幅を拡張可能で、シート本体の横幅拡張時に横幅方向両端部に位置する第1又は第2フレームの端部にサイドフレームを取付け、前記第1及び第2フレームの着座面側にそれぞれクッション部材を配置してなり、前記クッション部材は、基材と一体で表皮材により覆われ、該基材が第1及び第2フレームに固定されてなり、前記第2フレームのスライド移動により、各クッション部材の互いに擦れ合う面に配置された表皮材は、スライド方向の摩擦係数がスライド方向に直角な方向での摩擦係数よりも小さくなるように配されていることを特徴とする
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、第2フレームを横幅方向にスライドさせるだけで、シートの横幅を変化させることができるため、シートの横幅を変える操作が容易である。また、クッション部材は両フレームの着座面側に配置されており、移動側の第2フレームにあっても、クッション部材が第2フレームと共に移動自在であるため、シートの横幅拡張時でも、快適な着座感を得ることができる。
更に、第1及び第2フレームの間にクッション部材を介在させると、第2フレームをスライド移動させる際に、クッション部材同士が圧接してスライド操作力が極端に重くなるおそれがあるが、本発明では、クッション部材が両フレームの着座面側に配置されているだけなので、第2フレームのスライド操作をスムーズに行うことができる。また、クッション部材が基材と一体で表皮材により覆われることにより、クッション部材と基材とが強固に連結される。経年変化などにより、クッション部材にヘタリが発生した時も、表皮材で覆われることにより、形状が保持されやすく、シートの横幅を変化させる時にクッション部材同士が強干渉してスライド操作力が増大するのを抑制できる。また、基材が両フレームに固定されているため、クッション部材が両フレームに対してしっかりと固定される。更に、第2フレームのスライド移動により擦れ合う面に配置された表皮材同士の摩擦係数を低くできるため、第2フレームのスライド操作力が増大するのを抑制できる
【0013】
請求項2に記載の発明は、クッション部材の基材は第1及び第2フレームの裏面側から締結部材により固定され、締結部材の先端が基材の表面から突出しないことを特徴とする
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、基材を両フレームの裏面側から締結部材で固定し、その締結部材の先端が基材の表面から突出しないため、乗員に異物感を与えるおそれがない。また、基材の厚みを増すと締結剛性が向上するため、締結部材による基材の締結箇所を減らすことができる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、スライド移動する側のサイドフレームにおけるシートバック及びシートクッションに対応する部位にそれぞれ取手部を設けたことを特徴とする
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、サイドフレームに設けられた取手部を持つことにより、第2フレームのスライド操作をスムーズに行うことができる。また、取手部がサイドフレームにおけるシートバック及びシートクッションの両方に設けられ、シートバック及びシートクッションに均等なスライド操作力を及ぼすことができるため、第2フレームがスライドの途中でこじれて停止するようなことがない。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1〜図3は、この発明の第1実施形態を示す図である。この実施形態は、自動車のワゴン車に設置されるサードシート1に関するもので、通常時は一人掛け用で、横幅拡張時に二人掛け用となる。サードシート1は、基本的に、シート本体2と、シート本体2の横幅方向両端部に取付けられたサイドフレーム3、4とから形成されている。シート本体2は、それぞれ横幅方向に延びる第1フレーム5と、第2フレーム6とを、一体化されたシートバック2aからシートクッション2bにかけて交互に配置することにより構成している。尚、シートバック2aの上端部と、シートクッション2bの前端部には、それぞれ端末処理用のフレーム7、8が配置されている。第1フレーム5は固定式で、フロアに固定されたベース部9がシートクッション2bからシートバック2aの裏側まで延びており、第1フレーム5間の間隔を正確に保持している。
【0019】
第2フレーム6は、第1フレーム5の間に位置しており、車両進行方向左側(図1の右側)へスライド移動できるようになっている。第1フレーム5及び第2フレーム6は、シートバック2aとシートクッション2bとの境界に位置する断面台形状のフレーム10を除き、図3に示すように、後側が開口した断面コ字形の樹脂部材で形成され、シートバック2aでは上側、シートクッション2bでは後側の面に、半円状の溝部11が形成され、また、それぞれ反対側の面に溝部11に相応する形状のリブ12が形成されている。この溝部11とリブ12との係合により、第2フレーム6が第1フレーム5に沿って横幅方向へスライド移動できる。
【0020】
第2フレーム6が第1フレーム5に対して横幅方向にスライドすることにより、シート本体2の横幅を拡張することができ、このシート本体2の横幅拡張時に横幅方向両端部に位置する第1フレーム5及び第2フレーム6の端部に、それぞれ前述のサイドフレーム3、4が取付けられている。すなわち、固定された第1フレーム5の車両進行方向右端に一方のサイドフレーム3が固定され、可動する第2フレーム6の車両進行方向左端に他方のサイドフレーム4が取付けられている。この他方のサイドフレーム4には、シートバック2aに相当する部分と、シートクッション2bに相当する部分に、それぞれ取手部13が設けられている。取手部13は、グリップ可能な棒形状で、周囲を凹ませてグリップ操作しやすくなっている。
【0021】
そして、第1フレーム5及び第2フレーム6の着座面側には、それぞれにクッション部材14が固定されている。クッション部材14は、硬質の基材15と一緒に表皮材16により包まれ、第1及び第2フレーム5、6の裏側から挿入したスクリュー(締結部材)17を基材15にネジ込むことにより固定している。スクリュー17の先端は、基材15の表面から突出せず、基材15の内部に位置している。このように、基材15を第1及び第2フレーム5、6の裏面側からスクリュー17で固定し、そのスクリュー17の先端が基材15の表面から突出しないため、乗員に異物感を与えるおそれがない。また、基材15の厚みを増すと締結剛性が向上するため、スクリュー17による基材15の締結箇所を減らすことができる。尚、シートバック2aとシートクッション2bとの境界のフレーム10にも、対応する形状のクッション部材18が固定されている。
【0022】
クッション部材14を覆う表皮材16は、摩擦係数において方向性を有しており、一定方向での摩擦係数は小さいが、その直角方向では大きい性質を有している。そのため、この実施形態では、各クッション部材14の表皮材16において摩擦係数が小さくなる方向を、スライド方向である横幅方向に合わせている。
【0023】
また、各サイドフレーム3、4の上端には、上部が互いに向かい合う方向に曲折したステー19が固定され、そのステー19にそれぞれヘッドレスト20が設けられている。このヘッドレスト20は、ステー19に対して横幅方向でスライド自在で、内蔵した図示せぬスプリングにより互いに当接する方向へ付勢されている。
【0024】
従って、第2フレーム6を横幅方向へスライドさせずに、第1フレーム5の間に位置させている状態では、シート本体2は1人用の横幅で、1人の乗員だけが着座できる。この時、左右のステー19にそれぞれ設けられた2つのヘッドレスト20は互いに当接して一体化し、1人の乗員の頭部を支持することができる。
【0025】
そして、左側のサイドフレーム4に設けられた2つの取手部13をそれぞれ手で持って横幅方向に引くと、第2フレーム6が第1フレーム5に対して横幅方向にスライド移動して、シート本体2の横幅が2人用の幅になる。第1フレーム5と第2フレーム6の間には、図示せぬストッパ機構が設けられており、第2フレーム6は所定のスライド量だけ引き出したら、それ以上、移動できないようになっている。
【0026】
第2フレーム6をスライドさせる際、サイドフレーム4に設けられた取手部13を持つことにより、第2フレーム6のスライド操作をスムーズに行うことができる。特に、取手部13がサイドフレーム4におけるシートバック2a及びシートクッション2bの両方に設けられ、シートバック2a及びシートクッション2bに均等なスライド操作力を及ぼすことができるため、第2フレーム6がスライドの途中でこじれて停止するようなことがない。
【0027】
更に、クッション部材14の表皮材16を、スライド時に摩擦係数が小さくなる方向に合わせているため、第2フレーム6のスライド移動により擦れ合う面に配置された表皮材16同士の摩擦係数を低くなり、第2フレーム6のスライド操作力が増大するのを抑制できる。
【0028】
また、クッション部材14は、基材15と一体で表皮材16により覆われることにより、クッション部材14と基材15とが強固に連結された状態になり、経年変化などにより、クッション部材14にヘタリが発生した時も、表皮材16で覆われることにより、形状が保持されやすく、シート本体2の横幅を変化させる時にクッション部材14同士が強干渉してスライド操作力が増大するのを抑制できる。また、基材15が第1及び第2フレーム5、6に固定されているため、クッション部材14にスライド操作力が作用しても、クッション部材14が第1及び第2フレーム5、6に対してしっかりと固定された状態は保たれる。
【0029】
そして、第2フレーム6をスライドさせて2人掛け用にした場合に、左右のヘッドレスト20は互いに離反するが、ヘッドレスト20がそれぞれ当接する方向へ付勢されているため、各ヘッドレスト20はステー19に対して所定の寸法だけ内側に変位する。従って、ヘッドレスト20が、横幅を拡張したシート本体2に着座する2人の乗員の頭部を支持するのに最適な位置になる。
【0030】
以上説明したように、この実施形態によれば、第2フレーム6を横幅方向にスライドさせるだけで、サードシート1の横幅を変化させることができるため、横幅を変える操作が容易である。また、クッション部材14は第1及び第2フレーム5、6の着座面側に配置されており、移動側の第2フレーム6にあっては、第2フレーム6と共にクッション部材14も移動自在であるため、サードシート1の横幅拡張時でも、快適な着座感を得ることができる。更に、第1及び第2フレーム5、6の間にクッション部材14を介在させると、第2フレーム6をスライド移動させる際に、クッション部材14同士が圧接してスライド操作力が極端に重くなるおそれがあるが、本発明では、クッション部材14が第1及び第2フレーム5、6の着座面側に配置されているだけなので、第2フレーム6のスライド操作をスムーズに行うことができる。
【0031】
図4は、この発明の第2実施形態を示す図である。この第2実施形態に係るサードシート21では、1人掛け可能な横幅を有する第1フレーム22の間に、左右に分割された第2フレーム23を配設してシート本体24を構成し、第2フレーム23を左右両側へスライド移動させることにより、シート本体24の横幅を拡張して、3人掛け用にすることができる。第1フレーム22はベース部25よりフロアに固定され、左右にスライドする第2フレーム23の端部にサイドフレーム3、4がぞれ取付けられている。
【0032】
第1フレーム22の上端には中央のヘッドレスト26がステー27により固定され、中央のヘッドレスト26の左右両側に、先の実施形態と同様のヘッドレスト20が位置している。従って、これらのヘッドレスト20、26は、3人掛けにした場合に、中央のヘッドレスト26はそのまま中央の乗員の頭部に対応し、左右のヘッドレスト20は図示せぬスプリングにより内側に変位して、左右の乗員の頭部に対応する。サードシート21を1人掛けに戻した場合は、左右のヘッドレスト20が中央のヘッドレスト26に当接して一体化し、1人の乗員の頭部を支持できるようになる。その他の構成及び作用効果は先の実施形態と同様につき、重複説明を省略する。
【0033】
尚、以上の実施形態では、第1フレーム5、22と第2フレーム6、23との間にストッパ機構を設けて、第2フレーム6、23が必要以上に引き出されないようにしたが、第1フレーム5、22と第2フレーム6、23の間に、横幅方向で他段階にロック可能なロック機構を設けて、シートの横幅を任意に調整できるようにしても良い。
【0034】
また、第1フレーム5、22と第2フレーム6、23に形成したリブ12と溝部13との係合により、第2フレーム6、23を第1フレーム5、22に対して横幅方向にスライド移動可能にしたが、フロアに横幅方向に延びる固定レールを固定し、第2フレーム6、23の下部に前記固定レールにスライド自在に係合する可動レールを固定し、両レールの係合により、第2フレーム6、23を横幅方向にスライドさせるようにしても良い。その際も、固定レールに対して可動レールを他段階でロック可能にして、シートの横幅を任意に調整できるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施形態に係るシートの通常状態を示す斜視図。
【図2】図1のシートの横幅拡張状態を示す斜視図。
【図3】図2中矢示SA−SA線に沿う断面図。
【図4】この発明の第2実施形態に係るシートの横幅拡張状態を示す斜視図。
【符号の説明】
1、21 サードシート
2、24 シート本体
2a シートバック
2b シートクッション
3、4 サイドフレーム
5、22 第1フレーム
6、23 第2フレーム
13 取手部
14 クッション部材
15 基材
16 表皮材
17 スクリュー(締結部材)

Claims (3)

  1. それぞれ横幅方向に延びる第1フレームと第2フレームとを、シートバックからシートクッションにかけて交互に配置して、着座面を形成するシート本体を構成し、
    前記第2フレームを前記第1フレームに対して横幅方向にスライド移動させることによりシート本体の横幅を拡張可能で、
    前記シート本体の横幅拡張時に横幅方向両端部に位置する第1又は第2フレームの端部にサイドフレームを取付け、
    前記第1及び第2フレームの着座面側にそれぞれクッション部材を配置してなり、
    前記クッション部材は、基材と一体で表皮材により覆われ、該基材が第1及び第2フレームに固定されてなり、
    前記第2フレームのスライド移動により、各クッション部材の互いに擦れ合う面に配置された表皮材は、スライド方向の摩擦係数がスライド方向に直角な方向での摩擦係数よりも小さくなるように配されていることを特徴とする横幅拡張可能な乗物用シート。
  2. 請求項1に記載の横幅拡張可能な乗物用シートであって、
    前記クッション部材の基材は、第1及び第2フレームの裏面側から締結部材により固定され、該締結部材の先端が基材の表面から突出しないことを特徴とする横幅拡張可能な乗物用シート。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の横幅拡張可能な乗物用シートであって、
    スライド移動する側のサイドフレームにおけるシートバック及びシートクッションに対応する部位に、それぞれ取手部を設けたことを特徴とする横幅拡張可能な乗物用シート。
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