JP3718760B2 - 蝶番 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、扉を本体に対し開閉自在に支持する着脱形(ピン挿入形)の蝶番に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えばスロットマシンの扉を開閉自在に支持する蝶番として、固定部材と可動部材とからなり、固定部材の取付板部の縁部に軸受部が設けられ、可動部材の巻付部にピンが下方に突出して固定され、そのピンを固定部材側の軸受孔に挿入して組み付ける構造の着脱形の蝶番が知られている。この蝶番は、通常、ゲーム機の形状が大きいこともあって、本体と前扉間の上部と下部の2箇所に取り付けられる。
【0003】
スロットマシンの扉の開閉を円滑にするためには、その本体と前扉間に装着される2個の蝶番の回転軸の軸心位置を正確に合わせて取り付ける必要がある。従って、上記のように2個の蝶番を本体と前扉間に取り付ける場合、本体側に2個の固定部材をその軸受部の軸心位置を合わせて固定すると共に、前扉側の対応位置に2個の可動部材をそのピンの軸心位置を正確に合わせて、固定しなければならず、蝶番の取付け作業が難しく煩雑で、多くの時間や工数を必要とする問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者らは、特開平10−201922号公報において、縦長の固定部材と可動部材とからなる蝶番であって、固定部材の取付板部における上部と下部の縁部に、各々軸受孔を持つ軸受部が軸心位置を1本の軸線上に一致させて設けられ、可動部材の取付板部における上部と下部の縁部に形成した巻付部に、各々ピンが軸心位置を1本の軸線上に一致させ且つ下方に突出して固定され、両ピンを固定部材の各軸受部に挿入して組み付けるようにした蝶番を提案した。
【0005】
しかし、この蝶番は、縦長の固定部材の上部と下部に軸受部となる軸受孔を同一軸線上に設け、同様の縦長の可動部材の上部と下部にピンを同一軸線上に取り付けて構成されるため、固定部材をスロットマシンの本体に固定し、可動部材をその前扉に固定した状態で、前扉を本体に装着する、つまり蝶番を組み付ける際には、前扉を持ち上げながら上下に離れた1対のピンを同時に各々の軸受孔に嵌入させるように作業を行なう。このため、重い前扉を持って、可動部材の上部と下部のピンを、本体側の固定部材の上部と下部の軸受孔に、各々同時に挿入するように、上下のピンそれに対応した軸受孔とを位置決めして組み付ける作業は、難しく手間がかかるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、固定側と可動側の上部と下部に位置する軸受部とピンを簡単に嵌め合わせて組み付けることができる蝶番を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の蝶番は、開閉可能な扉に取り付けられる縦長の可動部材と、本体に取り付けられる縦長の固定部材とからなる着脱形の蝶番において、可動部材の基枠体内の上部と下部に、各々軸受孔を持つ軸受部材が軸心位置を1本の軸線上に一致させて固定され、固定部材の取付板部における上部と下部の縁部に、各々巻付部にピンを挿入・固定した軸保持部が軸心位置を1本の軸線上に一致させて固定され、軸受部材の下方に、軸保持部の巻付部又はピンを、その軸線位置にガイドするガイド部材が設けられ、ガイド部材は、軸受部材の下方に設けた水平板部に前方広がりに開口するガイド凹部を設け、ガイド凹部の元部中央に軸線位置を合わせて形成されたことを特徴とする。
【0008】
ここで、上記蝶番においては、請求項2のように、上記記水平板部は前記軸受部材の一部を内側に曲折して形成され、前記固定部材の軸保持部の収納スペースを確保するために、該軸受部材に折り曲げ部を外側に突出して形成することができる。
【0010】
【作用】
蝶番の可動部材を扉に固定し、固定部材を本体に固定する。扉を持って可動側の軸受部材の軸受孔を、固定側の軸保持部のピンに合わせようとする際、軸受部材の下方に設けたガイド部材が、軸保持部の巻付部又はピンに対し、軸受部材をその軸線位置に合わせるようにガイドし、軸受孔の軸線とピンの軸線を一致させる。その状態で可動側の軸受部材の位置を少し下げるだけで、固定側の軸保持部のピンを可動側の軸受部材の軸受孔に容易に嵌入し、蝶番を組み付けることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は蝶番の可動部材1の平面図と正面図を示し、図2はその左側面図を、図3はその右側面図を示している。可動部材1は、帯状の鋼板を断面略コ字状に曲折してなる縦長の基枠体2を有し、その基枠体2の内側の上部と下部に、軸受部3a,4aを有する軸受部材3、4を、かしめ加工等により固定して構成される。
【0012】
基枠体2は、正面側を開口した断面略コ字状のチャンネル材状に形成されると共に、図2に示すように、その左側壁の上部と下部に幅広部が形成され、その上部と下部の幅広部の内側に軸受部材3、4が固定される。軸受部材3、4は、同じ形状を持った略箱形に形成されて基枠体2内に固定され、図6、図9に示すように、その上板部分に設けた軸受部3a,4aに軸受孔3b,4bが形成される。軸受孔3b,4bは基枠体2の左側壁に近い位置の軸受部3a,4a上に形成されるため、基枠体の左側壁には、図2に示すような矩形の開口部2aが形成され、そこに軸受部材3、4の一部である折り曲げ部3c,4cが外側に突出して設けられ、これによって、後述の固定部材側の軸保持部の収納スペースを確保している。
【0013】
横断面をコ字状に形成された基枠体2の右側壁は、この可動部材1をゲーム機の前扉21に取り付けて使用した場合、その本体20との間の隙間を塞ぐ作用をする隙間閉塞部2bとして形成される。基枠体2は、その左側面を固定ねじによりゲーム機の前扉21内に固定して取り付けられるが、前扉の縦寸法に対応した縦長に形成され、断面コ字状のチャンネル材に類似した形状に形成することにより、大きな曲げ強度を有し、前扉21を補強することができる。
【0014】
図3の左側面図、図6、7の断面図、図9の斜視図に示すように、軸受部材3、4は、略矩形の箱形で同様な形状に形成され、基枠体2内の上部と下部の所定箇所に固定される。軸受部材3、4には、その上板部分の軸受部3a,4aに軸受孔3b,4bが形成されるが、後述の固定部材11側のピン13b,14bをその軸受孔3b,4bに挿入し易くするために、その内部にガイド部材5、6が設けられる。このガイド部材5、6は、軸受部3a,4aの下方位置に設けられ、且つ、軸受部材3、4の一部を内側に曲折した水平板部5a,6aに、前方広がりに開口するガイド凹部5b,6bを設けて形成される。ガイド凹部5b,6bの元部中央は軸受孔3b,4bの軸線位置を合わせて形成され、後述のピン13b,14bの巻付部13a,14aを軸線位置にガイドする。
【0015】
さらに、軸受部材3の外側にはL形の弾性係止片7がピン13bの軸受孔3bからの抜けを阻止するために取り付けられる。固定部材11側のピン13bの先端付近の外周部には環状溝13cが形成されるが、ピン13bが軸受孔3bに嵌入した際、ピン13bの軸受孔3からの抜けを阻止するために、弾性係止片7が軸受部材3の左側壁から上壁にかけて固定される。この弾性係止片7は弾性板をL字形に曲げ、その下部を軸受部材3の左側壁にねじ止めして形成され、下側から挿入されるピン13bの頭部が弾性係止片7の先端係止部を押し上げて通過すると、弾性係止片7のもつばね弾性により元の状態に戻り、先端係止部がピンの環状溝13cに係止させる。
【0016】
図4、図5に示すように、固定部材11は、縦長で帯状の鋼板を取付板部12として有し、取付板部12の縁部が小幅で略直角に曲折された部分の上部と下部に、同じ形状の軸保持部13、14が突設され、取付板部12の適所に複数の取付孔12aが設けられる。軸保持部13、14は、図5に示すように、先端に巻付部13a,14aを前方に突出するように設け、その巻付部13a,14aにピン13b,14bを各々上向きに嵌挿・固定して構成される。
【0017】
巻付部13a,14aはコ字状に曲折した突設部分を筒状に成形し、内側に頭部付きのピン13b,14bを巻付部に圧入し或は締付けすることにより、ピン13b,14bを巻付部13a,14aにその先端を上方に突出した状態で固定する。上下のピン13b,14bは、その軸が取付板部12の長手方向に沿った1本の軸線上を通るように、軸心位置を合わせて取り付けられる。ピン13b,14bの先端(上端)は尖頭形状に形成され、上側のピン13bの尖頭部の下に環状溝13cが形成される。
【0018】
また、上下のピン13b,14bは、上記可動部材1の軸受部材3、4の軸受孔3b、4bに対応した位置つまり軸心位置を合わせた所定位置に取り付けられる。さらに、軸保持部13、14の少し上方位置に、取付板部12から正面側に突き出す形態で、係止部15、16が突設される。この係止部15、16は可動部材1を取り付けたゲーム機の前扉21が本体20に対し閉じられたとき、可動部材1側の軸受部材3、4の上部に当接して、前扉21の上方への移動を阻止し、前扉の脱着を防止する。
【0019】
このように構成された蝶番は、図9〜図11に示すように、その固定部材11がゲーム機の本体(キャビネット)20側に、取付板部12の取付孔12aに取付ねじを挿入して締め付けることにより固定され、その可動部材1がゲーム機の前扉21側の固定部材11と対応した位置に、その基枠体2を取付ねじにより締め付けて取り付けられる。図9に示すように、固定部材11は、本体20の開口部の縦辺の長さと略同じ長さに形成され、本体20の内側縦辺の略全体に渡って取り付けられる。また、可動部材1は前扉21の内側縦辺の長さと略同じ長さに形成され、前扉21の内側縦辺の縁部に取り付けられる。
【0020】
そして図8、図9に示す如く、前扉21を開いた状態で、蝶番の可動部材1の上下の軸受部3a、4aを固定部材11の上下のピン13b,14bに嵌合して、前扉21を本体20に対し装着する。この際、前扉21を持って先ず上下の軸受部材3、4を固定部材11側の軸保持部13、14に合わせ、図9のように、軸受部材3、4内のガイド部材5、6を、固定部材側の軸保持部13、14の巻付部13a,14aに当てるように、箱形の軸受部材3、4を軸保持部13、14に被せるごとく、前扉21を動かす。
【0021】
このとき、上下のガイド部材5、6が上下の巻付部13a,14aに当り、さらに前扉21を押し込むように動かすと、ガイド部材5、6の前方広がり状のガイド凹部5b,6bによって、巻付部13a,14aつまりピン13b,14bが軸受孔3b,4bの軸線位置にガイドされ、到達する。従って、この状態で、前扉21の位置を少し下げれば、自動的にピン13b,14bが軸受孔3b,4b内に進入する。このとき、上側のピン13bは、弾性係止片7の先端係止部を押し上げ、それを弾性変形させるようにして進入し、弾性係止片7の先端係止部が環状溝13cに達した時、その溝に係止される。これにより、上下の軸保持部13、14のピン13b,14bは、軸受部材3、4の軸受孔3b,4bに脱着を阻止した状態で嵌入し、蝶番の可動部材1と固定部材11の組付を完了する。
【0022】
このように、この蝶番の固定部材11と可動部材1の組み付け作業は、従来のように、上部と下部に別れた2個の蝶番をその軸心を合わせるように、両者の位置を目視しながら、可動部材の位置を動かしてピンと軸受孔の位置を合わせすることなく、ガイド部材5、6がピン13b,14bの巻付部13a,14aに作用してピンの軸線位置上に軸受孔の軸線位置を合わせるため、非常に簡単に且つ短時間でピン13b,14bを軸受孔3b,4bにはめ込むことができ、蝶番の組み付けを完了することができる。
【0023】
特に、巻付部13a,14aは、ピンと比べて外径が太く、ガイド部材5、6をそこに当て易いため、ピンを直接ガイドする場合より容易にガイドして軸線を合わせることができる。さらに、ピン13bは軸受孔3b内に嵌入すると、弾性係止片7の先端係止部がピンの環状溝13cに嵌り、ピンの抜けを阻止するから、前扉21の不正な行為による脱着を防止することができる。
【0024】
ゲーム機の前扉21の前面には装飾部材が取り付けられるが、扉21の開放時に、この装飾部材の縁部が本体20側に干渉しないようにするために、本体20と前扉21の間には、図10(a)のように多少の隙間が作られて、固定部材11と可動部材1が連結される。しかしながら、この固定部材11と可動部材1の隙間を内側から塞ぐように、可動部材1の基枠体2の隙間閉塞部2bが配置されるため、図10(b)のように、前扉21を閉鎖した際、本体20と前扉21との間に隙間が生じたとしても、その内側に隙間閉塞部2bが配置され、隙間から異物を挿入する等の不正行為を防止することができる。
【0025】
また、この蝶番を取り付けたゲーム機では、前扉21を閉鎖した時、固定部材11の軸保持部13、14の上方の係止部15、16が可動部材1側の軸受部材3、4上に進入するため、可動部材1の上下動、特に蝶番を外す方向の上移動が阻止され、扉21の閉鎖時に蝶番が不正に外される不具合を防止することができる。
【0026】
なお、本発明の蝶番は、上記実施形態に限定されるものではなく、以下のような態様でも実施することができる。
【0027】
▲1▼ 上記では可動部材1側に軸受孔3b,4bを有する軸受部材3、4を設け、固定部材11側にピン13b,14bを有する軸保持部13、14を設けたが、逆に、固定部材側に軸受孔を有する軸受部材を固定し、可動部材側にピンを有する軸保持部を固定してもよく、その場合、可動部材側のピンは下向きに取り付けられる。
【0028】
▲2▼ また、弾性係止片7は、板ばねの他にばね線を使用することもでき、さらに、上記では上側のピン13bに環状溝13cを設け、上側の軸受部材3に弾性係止片7を設けたが、下側のピンに環状溝を設け、下側の軸受部材4に弾性係止片を設けてもよく、また、上下のピンに環状溝を設け、上下の軸受部材に弾性係止片を設けるようにしてもよい。
【0029】
▲3▼また、上記実施例では、ガイド部材5、6を巻付部13a,14aに当てながら、可動部材の軸受孔の位置をピンの軸線位置に合わせるようにしたが、ピンの突き出し長さが長い場合には、ガイド部材をピンに当てながらガイドさせることもできる。
【0030】
【発明の効果】
以上のように、本発明の蝶番によれば、軸受部材の下方にガイド部材を設け、そのガイド部材によって、軸保持部のピン又は巻付部の位置を軸受孔の軸線位置に合わせるようにガイドするから、上部と下部に分かれてピンと軸受孔を設けた蝶番であって、重量の重い扉に可動部材が取り付けられる場合であっても、手間なく簡単な作業で蝶番の可動部材と固定部材を容易に組み付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の蝶番の一実施形態を示し、(a)は蝶番の可動部材1の平面図、(b)はその正面図である。
【図2】可動部材1の左側面図である。
【図3】可動部材の右側面図である。
【図4】(a)は蝶番の固定部材11の平面図、(b)はその正面図である。
【図5】固定部材11の左側面図である。
【図6】図3のVI-VI 拡大断面図である。
【図7】図3のVII-VII 拡大断面図である。
【図8】可動部材と固定部材の組み付け時の部分右側面図である。
【図9】可動部材と固定部材の組み付け時の拡大部分斜視図である。
【図10】ゲーム機に取り付けた状態の断面図を示し、(a)は前扉を開いた状態の断面図、(b)は前扉を閉じた状態の断面図である。
【図11】ゲーム機に取り付けた状態の左側面図である。
【符号の説明】
1−可動部材
2−基枠体
3、4−軸受部材
3a,4a−軸受部
3b,4b−軸受孔
5、6−ガイド部材
5b,6b−ガイド凹部
11−固定部材
12−取付板部
13、14−軸保持部
13a,14a−巻付部
13b,14b−ピン
Claims (2)
- 開閉可能な扉に取り付けられる縦長の可動部材と、本体に取り付けられる縦長の固定部材とからなる着脱形の蝶番において、
該可動部材の基枠体内の上部と下部に、各々軸受孔を持つ軸受部材が軸心位置を1本の軸線上に一致させて固定され、該固定部材の取付板部における上部と下部の縁部に、各々巻付部にピンを挿入・固定した軸保持部が軸心位置を1本の軸線上に一致させて固定され、該軸受部材の下方に、該軸保持部の該巻付部又は該ピンを、その軸線位置にガイドするガイド部材が設けられ、該ガイド部材は、該軸受部材の下方に設けた水平板部に前方広がりに開口するガイド凹部を設け、該ガイド凹部の元部中央に軸線位置を合わせて形成されたことを特徴とする蝶番。 - 前記水平板部は前記軸受部材の一部を内側に曲折して形成され、前記固定部材の軸保持部の収納スペースを確保するために該軸受部材に折り曲げ部が外側に突出して形成されていることを特徴とする請求項1記載の蝶番。
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