JP3717378B2 - 薄膜太陽電池の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、薄膜太陽電池の製造方法およびその方法で作られた薄膜太陽電池に関し、詳しくは、特に薄型のガラス基板を備える薄膜太陽電池の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の一般的な薄膜太陽電池の製造方法とその構成を図4に示す。ここで、(a)は斜視図、(b)は断面図であり、絶縁基板以外の部分の厚みを拡大して示している。
図4(a)および(b)に示すように、t1が約2mm程度の厚さを有するガラスなどの絶縁基板1上に、モリブデンなどの裏面電極層2を形成し、パターニング(図示せず)などを施した後に、光電変換を行うセレン化銅インジウム(CuInSe2 )(以下、この明細書中において「CIS」という)や表面電極層となる酸化亜鉛(ZnO)などで構成された光電変換層3を形成する。
光電変換層3にも同様にパターニング(図示せず)などを施し、光電変換層3内部でパターニング数に比例した直列数を有する集積型の薄膜太陽電池を形成する。
【0003】
その後、図4(c)に示すように、裏面電極層2の両端にはんだコーティングを施した銅リボンなどからなる金属材料5をはんだ付けで取り付ける。この金属材料5がそれぞれ正極及び負極の電極となり、図示しないリード線に連結されることにより薄膜太陽電池から電力が取り出される。
その後、薄膜太陽電池を密閉、保護するために、光電変換層3上にガラスなどの透明材料からなるカバー材料6をシール材7によって接着して薄膜太陽電池を完成させる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
昨今、薄膜太陽電池を用いた様々な製品が供給されているが、これらの製品のなかでも宇宙用や携帯端末用として用いられる製品にはより一層の小型軽量化が求められている。
このような要求に対応するため、従来よりも軽量化と薄型化が図られた薄膜太陽電池が必要とされている。
【0005】
薄膜太陽電池を軽量化および薄型化する手法としては、薄膜太陽電池の絶縁基板としてより薄い絶縁基板を用いる手法を挙げることができる。
従来の薄膜太陽電池、例えばCIS系の薄膜太陽電池では絶縁基板として厚さ約2mmのガラス基板が使われていた。このような絶縁基板の厚さを薄くすれば、薄膜太陽電池の軽量化と薄型化を達成できることになる。
【0006】
しかし、絶縁基板の厚さを薄くすると製造工程中に基板が破損および変形してしまう可能性が高まり、薄膜太陽電池の歩留り率が低下する。
つまり、薄膜太陽電池の製造工程では、室温から500℃程度の範囲内で温度上昇と温度低下が繰り返され、更に洗浄などの工程が必須となる。
このため薄い絶縁基板を用いた場合、絶縁基板上に成膜した膜の応力や熱によって絶縁基板が反り易くなり、絶縁基板搬送時のトラブルなどプロセス上の問題を引き起こしやすくなるのである。
【0007】
従って、安易に絶縁基板の厚さを薄くすることはできず、仮に、薄い絶縁基板を使用して軽量・薄型化を図るとすると、製造設備の改善や製造設備に別途の機能の追加が必要となってコスト高になるという別の問題点が生じてくる。
【0008】
また、従来の薄膜太陽電池において電力取り出し用電極を形成する際に用いられていたはんだは軽量化にふさわしくなく、また、はんだ付けによる盛り上がりは携帯端末などに要求される薄型化に適さないので前記電極の形成は別の手法、例えば金属片や金属箔を溶接するなどの手法に替えていく必要がある。
【0009】
この発明は以上のような事情を考慮してなされたものであり、コスト高を招くことなく製造方法が容易で、基板の軽量化および薄型化を図ることができる薄膜太陽電池の製造方法とその方法で製造された薄膜太陽電池を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明は、ガラス基板表面に裏面電極層、光電変換層、表面電極層を積層し、裏面電極層の端部に金属層を介して電力取り出し用電極を接合する薄膜太陽電池の製造方法において、ガラス基板の表面に裏面電極層、光電変換層、表面電極層を積層して表面電極層を保護マスクで覆ってから、ガラス基板の裏面を処理して前記基板を薄く加工する加工工程と、前記金属層を裏面電極の端部に積層する積層工程とを備え、前記保護マスクは加工工程と積層工程で表面電極層を保護するために両工程で兼用されることを特徴とする薄膜太陽電池の製造方法を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
この発明による薄膜太陽電池の製造方法は、ガラス基板表面に裏面電極層、光電変換層および表面電極層の各層を形成してからガラス基板の裏面を処理してガラス基板を薄く加工する。
つまり、薄膜太陽電池の製造工程において、熱や応力がガラス基板に加わる裏面電極層、光電変換層および表面電極層など各層の形成工程では、十分な厚みと強度を有するガラス基板を使用する。
そして、ガラス基板表面に薄膜太陽電池を構成する各層が形成されて、熱や応力が加わらなくなった段階で、ガラス基板の裏面を処理してガラス基板を薄く加工するのである。
【0012】
これにより、歩留まり率を低下させることなく薄型化および軽量化の図られた薄膜太陽電池を製造することができる。
なお、ガラス基板の裏面を処理してガラス基板を薄く加工する際には光電変換層や表面電極層を傷つけないようにするため、表面電極層を覆う保護マスクが必要となる。
【0013】
また、電力取り出し用電極は、裏面電極層の端部に直接接合されるのではなく金属層を介して接合される。これは以下のような理由による。
従来の薄膜太陽電池ではモリブデンなどからなる裏面電極層上にはんだコーティングが施された銅リボンなどをはんだ付けすることにより電力取り出し用の電極が設けられていた。
しかし、これは上述のようにはんだの盛り上がりなどが生じるため、薄膜太陽電池の軽量化および薄型化を図っていく上で望ましくない。
【0014】
電極部分の軽量化および薄型化を図っていくためには、電力取り出し用の電極となる金属片や金属箔(以下、この明細書中において「インターコネクタ」という)などを裏面電極層上に溶接で接合することが望まれる。
【0015】
つまり、電力取り出し用の電極としてインターコネクタを溶接で接合すれば、従来のようにはんだ付けによる膨らみや盛り上がりをなくすことができるので、電極部分の厚みは銀箔などのインターコネクタの厚み、例えば約30μmを考慮するだけですむようになる。
しかし、単にモリブデン一層の上では、通常使用されている例えば銀製のインターコネクタは溶接が極めて困難である。
【0016】
発明者は、インターコネクタの接合方法について種々検討した結果、生産上問題なく溶接を行うためには、モリブデンなどからなる裏面電極層のインターコネクタ接合部上に、例えばチタン−パラジウム−銀(Ti−Pd−Ag)の3層からなる金属層を真空蒸着等の方法によって厚さ約3μm以上積層する必要があることを発見した。
【0017】
しかし、このような金属層が薄膜太陽電池の表面、すなわち表面電極層の表面に付着することは望ましくないため、表面電極層を何らかの方法で保護する必要が生じてくる。
そこで、この発明では表面電極層を保護マスクで覆ってから金属層の積層工程を実施するのである。
【0018】
なお、ガラス基板の裏面を処理してガラス基板を薄く加工する加工工程と、金属層を裏面電極層の端部に積層する積層工程では、同じ保護マスクを兼用することができる。つまり薄膜太陽電池の製造工程において、表面電極層を保護マスクで覆うのは1回だけである。
【0019】
このような製造方法によれば、薄膜太陽電池の歩留り率を低下させることなく軽量化および薄型化が図られた薄膜太陽電池を作製することができ、さらには工程数の削減と工程の短縮を図ることもできる。
従って、軽量化および薄型化の図られた薄膜太陽電池を容易に低コストで作製できるようになる。
【0020】
この発明による薄膜太陽電池の製造方法は、金属層を積層する積層工程が、ガラス基板の裏面を処理してガラス基板を薄く加工する加工工程の後で行われてもよい。
また、金属層を積層する積層工程が、ガラス基板の裏面を処理してガラス基板を薄く加工する加工工程の前に行われてもよい。
つまり、ガラス基板の裏面を処理してガラス基板を薄く加工する加工工程と、金属層を積層する積層工程は、どちらが先でも後でも構わない。
【0021】
また、この発明による薄膜太陽電池の製造方法は、ガラス基板の裏面を処理してガラス基板を薄く加工する加工工程が、ガラス基板の裏面を機械的に研磨する工程であってもよい。
【0022】
ガラス基板の裏面を機械的に研磨する場合には、保護マスクとしてカバーガラス、剥離可能なテープを貼り付けたカバーガラス、耐酸性のワックスを塗布したカバーガラスなどを用いることができる。
その他の保護マスクとしては、粘着力の弱いブルーテープ、UVテープなどの剥離可能なテープのみを保護マスクとして用いることもできる。
【0023】
また、この発明による薄膜太陽電池の製造方法は、ガラス基板の裏面を処理してガラス基板を薄く加工する加工工程が、ガラス基板の裏面を化学的に処理する工程であってもよい。
【0024】
また、ガラス基板の裏面を化学的に処理する場合には、保護マスクとして剥離可能なテープを貼り付けたカバーガラス、または耐酸性のワックスを塗布したカバーガラスを用いることができる。
【0025】
ガラス基板の裏面を化学的に処理する場合、フッ酸を主成分とするエッチング液を用いたウェットエッチング法によって処理することができる。
なお、フッ酸の代わりにCF4ガスなどを用いたドライエッチング法でガラス基板の裏面を処理してもよい。
【0026】
また、この発明による薄膜太陽電池の製造方法で作られた薄膜太陽電池は、絶縁基板がガラス基板であり、裏面電極層がモリブデンからなり、光電変換層がセレン化銅インジウムからなり、表面電極層が酸化亜鉛からなっていてもよい。
【0027】
また、この発明による薄膜太陽電池の製造方法で作られた薄膜太陽電池は、絶縁基板がガラス基板であり、金属層が銀を含み、ガラス基板は裏面が薄く加工されることによって厚さ約0.2mm以下に加工され、金属層は約3μm以上の厚さを有していてもよい。
【0028】
例えば、従来の薄膜太陽電池において一般的に用いられていた約2mm厚のガラス基板を厚さ約0.2mm程度まで薄く加工すれば、ガラス基板以外の各層は数μm程度と薄く、それらの重さはほぼ無視できるので、太陽電池全体として従来の単位重さ当たりの出力約22mW/g(太陽光スペクトルAM0において変換効率10%)を220mW/g程度まで高めることができる。
【0029】
【実施例】
以下に図面に示す実施例に基づいてこの発明を詳述する。なお、この実施例によってこの発明が限定されるものではない。
【0030】
実施例1
この発明の実施例1について図1に基づいて説明する。図1は薄膜太陽電池の製造工程を示す工程図である。なお、図1中(a)のみが斜視図であり、図1(b)は図1(a)に対応する断面図である。図1(c)〜(g)は、図1(a)および(b)以降の工程を示す断面図である。
【0031】
図1(a)および(b)に示すように、例えばt1が約2mm程度の厚さを有するガラスからなる絶縁基板1の表面に、約1μm程度の厚さを有するモリブデンなどの裏面電極層2を形成してパターニング(図示しない)を施す。その後、裏面電極層2の上にCIS(光電変換層)やZnO(表面電極層)からなる光電変換層3(実施例では光電変換層と表面電極層とを併せて「光電変換層」とよぶ)をさらに形成する。
その後、光電変換層3にもパターニング(図示しない)を施し、光電変換層3の内部でパターニング数に比例した直列数を有する集積型の薄膜太陽電池とする。光電変換層3の厚みは合計で約3〜5μmである。
【0032】
次に、図1(c)に示すように、光電変換層3に保護マスク4として粘性の小さいブルーテープ、例えば、大和化成株式会社製の「プロタックテープ」(品番:P−50EB)を貼り付ける。ブルーテープの代わりにUVテープ、例えば、リンテック株式会社製の「Adwill」(Eシリーズ)を用いても良い。
【0033】
次に、図1(d)に示すように、絶縁基板1の裏面を処理して絶縁基板1を薄く加工する(加工工程)。
具体的には、サンドペーパーや研磨材を用いる研磨機を使用し、冷却剤を散布しながら研磨して絶縁基板1を薄く加工する(機械的処理)。
この加工により、絶縁基板1の厚さt2は約0.2mmとなった。
【0034】
なお、ダイヤモンド砥石などを用いたカップ型ホイールを装備した研削機を使用して研削する方法でも良い。
もちろん、1回の研磨、研削で完了させるのではなく、2回以上に分けて行うこともできる。例えば、最初は研削によって粗削りを行い、最後に研磨により仕上げを行っても良い。
【0035】
実施例1では上述のように機械的処理で絶縁基板1の裏面を処理し、絶縁基板1を薄く加工したが、絶縁基板1の処理方法としてはこれに限られるものではなく、例えば、化学的な処理方法も用いることもできる。
【0036】
化学的な処理方法を用いる場合は、例えば、化学的処理に耐え得る耐酸性のワックス、例えば、日化精工株式会社製の「プロテクトワックス」(品番:KPW−A)を塗布したカバーガラス、又は化学的処理に耐え得る容易に剥離可能なテープ、例えば、東レ・デュポン株式会社製、「カプトン」(品番:100H)を貼り付けたカバーガラスを光電変換層3上にシール材によって接着する。
その後フッ酸(HF)を主成分としたウェットエッチング法によって絶縁基板1の裏面を処理し、絶縁基板1を薄く加工するとよい。
また、フッ酸の代わりにCF4 ガスなどを用いたドライエッチング法で絶縁基板1の裏面を処理してもよい。
【0037】
次に、図1(e)に示すように、薄型化した絶縁基板1を洗浄し、乾燥させた後、真空蒸着装置(図示せず)に持ち込み、Ti−Pd−Agの3層からなる金属層5を裏面電極層2の両端に蒸着する(積層工程)。
【0038】
なお、上述のように、実施例1では絶縁基板1の裏面を処理して絶縁基板1を薄く加工してから、金属層5を裏面電極層2の両端に蒸着した。
しかし、これとは逆の順序、つまり、金属層5の蒸着を行った後、絶縁基板1の裏面を処理して絶縁基板1を薄く加工してもよい。
但し、金属層5の蒸着を行った後で絶縁基板1を薄く加工する場合は、金属層5の材料とエッチング液とが反応しないように配慮する必要がある。
【0039】
次に、図1(f)に示すように保護マスク4を除去する。
次に、図1(g)に示すように、厚さ約0.1mmのカバーガラス6をシール材7によって接着すると共に、金属層5にインターコネクタ8を溶接により接合して薄膜太陽電池をモジュール化する。
【0040】
図示は行わないが、その後、モジュール化された薄膜太陽電池どうしを並べ、インターコネクタ8を隣の薄膜太陽電池の金属層上に溶接によって接合し、モジュール化された薄膜太陽電池どうしを接続する。
【0041】
以上のように、実施例1の製造方法によれば、工程初期段階から薄い絶縁基板を使用するのではなく、光電変換層形成工程など、物理的または熱的衝撃を与える工程が完了した後で絶縁基板1の裏面を処理して絶縁基板1を薄く加工する。また、金属層積層工程および絶縁基板の薄型化工程で必要となる表面電極層上の保護マスクを、両工程で兼用する。
従って、薄膜太陽電池の歩留り率を低下させることなく軽量化および薄型化が図られた薄膜太陽電池を容易に製造できる。
【0042】
実施例2
この発明の実施例2について図2に基づいて説明する。図2は薄膜太陽電池の製造工程を示す工程図である。なお、図2中(a)のみが斜視図であり、図2(b)は図2(a)に対応する断面図である。図2(c)〜(f)は、図2(a)および(b)以降の工程を示す断面図である。
なお、実施例1と同じ名称の部材は同じ符号を付して説明する。また、特に説明をしない部材の材料および寸法は実施例1と同じものとする。
【0043】
図2(a)および(b)に示すように、実施例1と同様にガラスからなる絶縁基板1上に裏面電極層2と光電変換層3を形成する。
【0044】
次に、図2(c)に示すように、カバーガラス6をシール材7によって接着する。このカバーガラス6は光電変換層3の保護マスクとしても利用される。
次に、図2(d)に示すように、絶縁基板1の裏面を処理して絶縁基板1を薄く加工する。加工方法は、実施例1と同様に機械的な研削および研磨で行う。
【0045】
次に、図2(e)に示すように、実施例1と同様にTi−Pd−Agの3層からなる金属層5を絶縁基板1の両端に蒸着する。
なお、金属層5を絶縁基板1の両端に蒸着する際には、カバーガラス6上に金属層5の材料が付着するのを防止するために通常の蒸着装置で用いられる簡易なメタルマスクを使用する(図示しない)。
【0046】
次に、図2(f)に示すように、金属層5にインターコネクタ8を溶接により接合して薄膜太陽電池をモジュール化する。
図示しないが、その後、モジュール化された薄膜太陽電池どうしを並べ、インターコネクタ8を隣の薄膜太陽電池の金属層上に溶接によって接合し、モジュール化された薄膜太陽電池どうしを接続する。
【0047】
以上のように、実施例2の製造方法によれば、絶縁基板1とカバーガラス6とをシール材7によって接着した後に絶縁基板1の薄型化工程を実施するので、カバーガラス6接着後の製造工程で受ける外力に対する全体強度が実施例1よりも高まる。また、カバーガラス6が保護マスクとしての役割を兼ねているので、実施例1のように保護マスク(テープ)を後で除去する必要がなくなり、製造工程がより一層簡略化される。
【0048】
実施例3
この発明の実施例3について図3に基づいて説明する。図3は薄膜太陽電池の製造工程を示す工程図である。なお、図3中(a)のみが斜視図であり、図3(b)は図3(a)に対応する断面図である。図3(c)〜(f)は、図3(a)および(b)以降の工程を示す断面図である。
なお、実施例1と同じ名称の部材は同じ符号を付して説明する。また、特に説明をしない部材の材料および寸法は実施例1と同じものとする。
【0049】
図3(a)および(b)に示すように、実施例1と同様にガラスからなる絶縁基板1上に裏面電極層2と光電変換層3を形成する。
次に、図3(c)に示すように、化学的処理に耐え得る容易に剥離可能なテープを保護マスク4として貼り付けたカバーガラス6を、シール材7によって光電変換層3に接着する。なお、実施例3において用いる保護マスク4は化学的処理に耐え得る耐酸性ワックスでもよい。
【0050】
次に、図3(d)に示すように、フッ酸(HF)をエッチング液として用いたウェットエッチング法によって絶縁基板1の裏面を処理して絶縁基板1を薄く加工する。なお、このような化学的処理でなく、実施例1と同様に機械的に研削および研磨して絶縁基板1を薄く加工してもよい。
【0051】
次に、図3(e)に示すように、実施例1と同様にTi−Pd−Agの3層からなる金属層5を絶縁基板1の両端に蒸着する。
次に、図3(f)に示すように保護マスク4を除去すると共に、金属層5にインターコネクタ8を溶接により接合して薄膜太陽電池をモジュール化する。
図示しないが、その後、モジュール化された薄膜太陽電池どうしを並べ、インターコネクタ8を隣の薄膜太陽電池の金属層上に溶接によって接合し、モジュール化された薄膜太陽電池どうしを接続する。
【0052】
以上のように、実施例3の製造方法によれば、実施例2と同様に絶縁基板1とカバーガラス6とをシール材7によって接着した後に絶縁基板1の薄型化工程を実施するので、カバーガラス6接着後の製造工程で受ける外力に対する全体強度が高まる。さらには、カバーガラス6を保護マスク4でさらに保護しつつ製造するので、完成した薄膜太陽電池の品質がより一層向上する。
【0053】
【発明の効果】
この発明によれば、表面電極層を保護マスクで覆ってから、ガラス基板の裏面を処理してガラス基板を薄く加工する加工工程と、金属層を裏面電極層の端部に積層する積層工程とを実施するので、物理的または熱的衝撃を受ける製造工程初期では十分な強度と厚みを有するガラス基板を使用することができ、さらには、ガラス基板を薄く加工する加工工程と金属層を積層する積層工程とで同じ保護マスクを兼用することができ、結果として、歩留まり率を低下させることなく、軽量化および薄型化が図られた薄膜太陽電池を容易に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1に係る薄膜太陽電池の製造方法を示す工程図である。
【図2】実施例2に係る薄膜太陽電池の製造方法を示す工程図である。
【図3】実施例3に係る薄膜太陽電池の製造方法を示す工程図である。
【図4】従来の薄膜太陽電池の製造方法を示す工程図である。
【符号の説明】
1・・・絶縁基板
2・・・裏面電極層
3・・・光電変換層
4・・・保護マスク
5・・・金属層
6・・・カバーガラス
7・・・シール材
8・・・インターコネクタ

Claims (8)

  1. ガラス基板表面に裏面電極層、光電変換層、表面電極層を積層し、裏面電極層の端部に金属層を介して電力取り出し用電極を接合する薄膜太陽電池の製造方法において、ガラス基板の表面に裏面電極層、光電変換層、表面電極層を積層して表面電極層を保護マスクで覆ってから、ガラス基板の裏面を処理して前記基板を薄く加工する加工工程と、前記金属層を裏面電極の端部に積層する積層工程とを備え、前記保護マスクは加工工程と積層工程で表面電極層を保護するために両工程で兼用されることを特徴とする薄膜太陽電池の製造方法。
  2. 金属層を積層する積層工程が、ガラス基板の裏面を処理して前記基板を薄く加工する加工工程の後で行われることを特徴とする請求項1に記載の薄膜太陽電池の製造方法。
  3. 金属層を積層する積層工程が、ガラス基板の裏面を処理して前記基板を薄く加工する加工工程の前で行われることを特徴とする請求項1に記載の薄膜太陽電池の製造方法。
  4. ガラス基板の裏面を処理して前記基板を薄く加工する加工工程が、ガラス基板の裏面を機械的に研磨する工程であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の薄膜太陽電池の製造方法。
  5. ガラス基板の裏面を処理して前記基板を薄く加工する加工工程が、ガラス基板の裏面を化学的に処理する工程であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の薄膜太陽電池の製造方法。
  6. 学的な処理をフッ酸を主成分とするエッチング液を用いて行うことを特徴とする請求項5に記載の薄膜太陽電池の製造方法。
  7. 保護マスクがカバーガラスであることを特徴とする請求項4に記載の薄膜太陽電池の製造方法。
  8. 保護マスクが剥離可能なテープを貼り付けたカバーガラスまたは耐酸性のワックスを塗布したカバーガラスであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の薄膜太陽電池の製造方法。
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