JP4245135B2 - 薄膜太陽電池製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はフレキシブル性あるいは軽量性あるいは耐熱性が弱い基板を用いる薄膜太陽電池の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に薄膜太陽電池は、(1)ガラス基板等の透光性絶縁基板上にSnO2やITO、ZnO等の透明導電膜が形成され、その上にアモルファスシリコンなどの非晶質半導体あるいは結晶シリコン薄膜半導体のp層、(i層)、n層がこの順に積層されて光電変換層が形成され、その上に金属薄膜裏面電極が積層されてなる構造と、(2)金属基板電極の上に非晶質半導体あるいは結晶シリコン薄膜半導体のn層、(i層)、p層がこの順に積層されて光電変換層が形成され、その上に透明導電膜が積層されてなる構造とがある。
【0003】
これらのうち(1)のp-i-n層の順に積層する方法は、透光性絶縁基板が太陽電池表面側のカバーガラスを兼ねることができること、また、SnO2等の耐プラズマ性に優れた透明導電膜が開発されて、この上に半導体光電変換層をプラズマCVD法で積層することが可能となったこと等の理由から多用され、現在の薄膜太陽電池の主流となっている。
この薄膜太陽電池の裏面電極膜としては、Ag、Alなど反射率の高い材料が使用される。また、光電変換層と裏面電極膜との間に透明電極層を挟むことで太陽電池の変換効率を向上させる方法も合わせて用いられる。この透明電極層にはZnO、ITO膜などが使用される。
【0004】
従来、このような太陽電池の製造方法として、ガラス等からなる支持基板の表面に金属膜を真空蒸着したものを準備し、この金属膜上にアモルファスシリコン(a−Si:H)からなる薄膜太陽電池を形成し、さらに透明電極を形成した後、上記支持基板と金属膜とを剥離する手法が提案されている(たとえば特許文献1参照)。
【0005】
また、ガラス等からなる支持基板の表面に透明ポリイミド膜を形成し、この上にアモルファスシリコンからなる薄膜太陽電池を形成した後、上記支持基板から透明ポリイミド膜を剥離する手法が提案されている(たとえば特許文献2参照)。
【0006】
さらに類似した内容として、支持基板上に剥離性のよい鉛金属層を形成し、さらにこの上にアモルファスシリコンからなる薄膜太陽電池を形成した後、上記支持基板と鉛金属層を剥離する手法が提案されている(たとえば特許文献3参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開昭61−85752号公報
【特許文献2】
特開平1−105581号公報
【特許文献3】
特開平4−299873号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1(特開昭61−85752号公報)の方法では、製造工程上、金属膜、アモルファスシリコン膜を形成した後に透明電極を形成しなければならない。
この場合、アモルファスシリコン膜に加熱によるダメージを与えないようにするため、低温条件下で透明電極を形成しなければならない。しかし、透明電極を低温条件下で形成すると高透過率でかつ低抵抗の透明導電膜を形成するのが困難である。もし、太陽電池の表面側電極にこのような膜を用いると変換効率を向上させることが困難である。
また、変換効率を向上させるには透明電極に微細な凹凸を形成することにより光を乱反射させて光電変換層内に光を閉じ込めることが必要であるが、そのための凹凸透明電極膜の形成方法として一般的に用いられるSnO2の形成温度は、600℃程度であるため、高温すぎて適用できない。
【0009】
特許文献2(特開平1−105581号公報)の方法では、300℃程度の耐熱性を有するポリイミド樹脂を用いているため、透明電極として低抵抗膜を形成することは可能であるが、微細な凹凸を持つSnO2膜を形成することは困難である。
また、ポリイミド樹脂膜はガラスのように透過率が高くないため、光の吸収損失が大きいためどうしても変換効率が低下するという問題点がある。
【0010】
特許文献3(特開平4−299873号公報)の方法では、特許文献1の場合と同様に金属層を剥離層として用いている。この方法は小面積の太陽電池には適用可能であるが、面積が大きくなるほどきれいに剥離させることが困難であり、また、剥離したのちに集電極を形成する必要があるため、ある程度の温度に耐えるフレキシブル基板に限定される。
また、機械的に剥離するため膜に力がかかり、膜に亀裂が生じるという問題がある。
【0011】
本発明は上記のような問題点に鑑み、フレキシブル性を有する基板、あるいは樹脂等の軽量基板、あるいは耐熱性のない基板を使用でき、しかも、薄膜太陽電池の変換効率向上に必要不可欠な微細な凹凸を形成することができる太陽電池の製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためになされた本発明の薄膜太陽電池製造方法は、(a)凹凸表面を有するエッチング保護層が形成された仮基板上に、エッチングにより選択的に除去可能な選択除去層を形成する工程と、(b)選択除去層の一部に露出領域を残し、残りの領域の上に透明電極層、光電変換層、裏面電極層をこの順で積層することにより太陽電池本体を形成する工程と、(c)裏面電極層と電気的に接続される外部接続端子を形成する工程と、(d)太陽電池本体を覆う樹脂層を形成するとともに太陽電池本体の裏面電極層側に少なくともフレキシブル性、軽量性、非耐熱性のいずれかの性質を有する支持基板を接着する工程と、(e)エッチングにより選択除去層を除去することで仮基板側と太陽電池本体側とを分離する工程とからなる。
【0013】
これによれば、仮基板上に形成されたエッチング保護膜上に、選択的に除去可能な選択除去層を形成し、さらにその上に透明電極層、光電変換層、裏面電極が順次積層された太陽電池本体、外部接続端子、樹脂層、支持基板を適宜形成し、その後にエッチングにより(エッチング保護膜に対してはエッチングが行われず)選択除去層だけを選択的に除去することにより、エッチング保護層を形成した仮基板と太陽電池本体部分とを分離することができる。
このようにして形成した薄膜太陽電池は、支持基板が有するフレキシブル性、軽量性、非耐熱性などの性質を備えた薄膜太陽電池となる。
【0014】
従来技術ではガラス基板上に何らかの剥離層を設け、その界面に対して物理的な力を加えて剥離させていたが、本発明によれば選択除去層(剥離層)を設け、この層を選択エッチングで除去することにより、仮基板や薄膜太陽電池に物理的な力をかけることなく分離(剥離)させることができる。
【0015】
薄膜太陽電池が分離された仮基板は、最初の状態と同じ状態に戻っているので再びこの仮基板を用いて太陽電池を製造することもできる。
また、この製造方法では有機材料を用いないことから、吸着ガスによる光電変換層への不純物混入の影響を避けることができる。
【0016】
また、仮基板上に凹凸表面を有するエッチング保護層を設けてあり、この凹凸形状を薄膜太陽電池本体の透明電極層に転写するようにして透明電極層に凹凸形状を形成する。
これにより、太陽電池本体の光電変換層に入射した光を凹凸面で乱反射するようにして光電変換層内に閉じ込めることができ、太陽電池性能を向上させることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の第一の実施形態である太陽電池製造方法は、上述したように(a)凹凸表面を有するエッチング保護層が形成された仮基板上に、エッチングにより選択的に除去可能な選択除去層を形成する工程と、(b)選択除去層の一部に露出領域を残し、残りの領域の上に透明電極層、光電変換層、裏面電極層をこの順で積層することにより太陽電池本体を形成する工程と、(c)裏面電極と電気的に接続される外部接続端子を形成する工程と、(d)太陽電池本体を覆う樹脂層を形成するとともに太陽電池本体の裏面電極側に少なくともフレキシブル性、軽量性、非耐熱性のいずれかの性質を有する支持基板を接着する工程と、(e)エッチングにより選択除去層を除去することで仮基板側と太陽電池本体側とを分離する工程とからなる。
【0018】
(a)工程で用いる仮基板は、(e)工程でのエッチングに対するエッチング耐性を有する材料であればよいが、基板コストや入手しやすさの点からガラス基板が好適である。
【0019】
また、凹凸表面を有するエッチング保護層の材料としては、透明導電膜が好ましく、そのなかでも特に凹凸表面を容易に形成することができるSnO2膜が好適である。なお、透明導電膜付ガラス基板は、種々の用途に用いられ市販されているのでそれを購入して用いることもできるし、公知の方法(蒸着、スパッタ、塗布など)によりガラス基板に形成してもよい。
【0020】
また、選択除去層に用いる材料としては、上述したエッチング保護層よりもエッチング耐性が弱く、(e)工程で行われるエッチングにおいて簡単に除去される(選択的にエッチングされる)材料が用いられる。
具体的には、エッチング保護層としてたとえばSnO2膜を用いた場合、選択除去層としてはZnO膜、ITO膜、a-Si:H膜、微結晶Si膜などを用いることができる。ZnO膜、ITO膜、a-Si:H膜、微結晶Si膜などの材料は、薄膜太陽電池の製造工程で一般的に用いられている材料であり、これら材料を用いれば、光電変換層に対する不純物混入の影響を抑えることが可能である。
【0021】
このうちZnO膜、ITO膜のような透明導電膜を選択除去層として用いるようにすれば、通常の薄膜太陽電池とほぼ同様のプロセスで大面積の薄膜太陽電池モジュールが形成できることになる。
【0022】
特に、ZnO膜を選択除去層として用いた場合、酸あるいはアルカリ液でエッチングすればエッチング速度を速くすることができるのでこの点でも効果的である。具体的には、選択除去層がZnO膜の場合、(e)工程におけるエッチング液として、少なくとも酢酸、硝酸、硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのいずれかを含むようにするのが好ましい。
【0023】
また、選択除去層の上に形成される太陽電池本体の透明電極層は、選択除去層に対してエッチング耐性が強い透明導電膜が用いられる。具体的には選択除去層にZnO膜を用いた場合、ITO膜、SnO2膜を用いるのが好ましい。
【0024】
比抵抗の低いITO膜は薄膜化することができ、また成膜コストが比較的安価にできる点からも太陽電池本体の透明電極層用の材料として望ましい。ただし光電変換層にITO膜中のInが拡散すると太陽電池特性をやや低下させるため、SnO2膜またはZnO膜を拡散ブロック層として介在させたITO/ZnO積層膜、ITO/SnO2積層膜を透明電極層とするのが特に好ましい。
【0025】
また、選択除去層にITO膜を用いた場合には、太陽電池本体の透明電極層用材料にはSnO2膜を用いるのが好ましい。この場合の(e)工程におけるエッチング液には塩酸を用いるのが好ましい。
【0026】
また、選択除去層にa-Si:Hまたは微結晶Siを母体とする材料を用いた場合には、太陽電池本体の透明電極層にはITO膜、SnO2膜、ITO/ZnO積層膜、ITO/SnO2積層膜のいずれかを用いるのが好ましい。この場合の(e)工程におけるエッチング液としては、水酸化ナトリウムを用いるのが好ましい。
【0027】
なお、エッチング保護層の凹凸形状が透明電極層に転写できるようにするためには、エッチング保護層の凹凸サイズに応じて選択除去層の厚さを設定する必要がある。一般には、選択除去層の厚さを500Å〜5000Åにするのが好ましい。
【0028】
太陽電池本体を形成する(b)工程では、選択除去層の一部に露出領域を残す。これは、(e)工程でのエッチングの際に露出領域からエッチングが進行できるようにするためである。選択除去層が形成された領域のうち周辺の一部だけを露出領域として残し、中央領域は太陽電池本体を積層するのが好ましい。
この露出領域は、太陽電池本体を形成するときに露出領域となる部分にマスクを取り付けておくことにより形成することができる。
【0029】
太陽電池本体の光電変換層には、プラズマCVD法によるアモルファスシリコン層を形成したものが薄膜太陽電池用の光電変換層として好ましいが、微結晶Siなどの結晶性の光電変換層、合金性の光電変換層であってもよい。また、III−V族などの化合物半導体層を用いてもよい。
裏面電極層には、蒸着法によるAgなどの金属電極を形成するのが好ましい。なお、金属電極形成前にZnO、ITO膜を形成してもよい。
【0030】
裏面電極と電気的に接続される外部接続端子を形成する(c)工程では、次の(d)工程で裏面電極層を樹脂層で覆ってしまうので、その前に裏面電極層と電気的に接続するための端子を形成する。具体的には金属配線など導通性を有する外部接続端子を、樹脂層で覆わない位置まで引き伸ばす。あるいは、裏面電極形成の際に外部接続端子をパターン形成するようにしてもよい。
【0031】
(d)工程で太陽電池本体を覆うための樹脂層としては、太陽電池を保護できる材料であればよいが、製造の容易さからEVA(エチレン酢酸ビニル)をラミネートするのが好ましい。
また、EVAは接着層として用いることができるので、支持基板を接着するための接着層として利用できる。
裏面電極側に接着する支持基板の性質により、太陽電池にフレキシブル性を持たせることも、軽量性を持たせることもできる。また、支持基板が成膜に必要な加熱工程に晒されることがないので、非耐熱性の支持基板を利用することもできる。
【0032】
仮基板側と太陽電池本体側とを分離する(e)工程では、上述したように選択除去層、エッチング保護層、透明電極層の材料に応じて適当なエッチング液を用いる。
【0033】
本発明の第二実施形態である太陽電池製造方法は、(a)凹凸表面を有するエッチング保護層が形成された仮基板上に、エッチングにより選択的に除去可能な選択除去層を形成する工程と、(b1)選択除去層の上に透明電極層、光電変換層、裏面電極層をこの順で積層することにより太陽電池本体を形成する工程と、(b2)形成した太陽電池本体の一部に選択除去層が露出する開口を形成する工程と、(c)裏面電極に電気的に接続される外部接続端子を形成する工程と、(d)太陽電池本体を覆う樹脂層を形成するとともに、太陽電池本体の裏面電極側に少なくともフレキシブル性、軽量性、非耐熱性のいずれかの性質を有する支持基板を接着する工程と、(e)エッチングにより選択除去層を除去することで仮基板側と太陽電池本体側とを分離する工程とからなる。
【0034】
この方法によれば、第一実施形態の(b)工程に代えて、(b1)工程で選択除去層の上に太陽電池本体を形成し(このとき露出領域を形成する必要はない)、その後、(b2)工程で形成した太陽電池本体の一部に選択除去層が露出する開口を形成するようにして、開口部分から選択除去層のエッチングが進行できるようにする。これにより、太陽電池本体形成後に選択除去層をエッチングして仮基板と太陽電池本体とを分離する。
ここで、開口の形成はどのような方法によってもよいが、レーザ加工により開口を形成するのが好ましい。
【0035】
第一実施形態、第二実施形態のいずれの方法で薄膜太陽電池を製造する場合であっても、エッチング保護層が形成された仮基板は、(a)〜(e)工程を終えると元の状態に戻るので仮基板を再生利用して太陽電池を製造してもよい。
【0036】
また、第一、第二実施形態での(a)〜(e)工程の後に、(f)工程として、透明電極層側に透明性材料を用いた表面保護層を形成するようにして、透明電極層側の保護も図るようにしてもよい。表面保護層としては、保護機能を発揮できる材料であればよい。たとえば強化ガラスを接着してもよいし、耐湿性に優れているフッ素系フィルムを接着してもよい。
【0037】
また、(a)〜(e)工程により分離した薄膜太陽電池を複数用意し、(g)工程として、これらを1枚のモジュール用基板上に搭載してモジュール化するようにしてもよい。
【0038】
実施例1
以下、本発明について実施例を用いて説明する。図1は本発明の一実施例である薄膜太陽電池の製造方法を説明する製造工程図であり、図2はこの薄膜太陽電池の製造途中の断面構成を説明する概略図である。
【0039】
仮基板Aとしてガラス基板1を用いる。ガラス基板1には、エッチング保護膜Bとして透明導電膜が形成されている。この透明導電膜の材料には微細な凹凸が形成されたSnO2膜2を用いる(図1(a))。SnO2膜はスパッタリング法で形成するが、スパッタリング法以外の薄膜形成方法、たとえば蒸着法、MOCVD法などで形成してもよい。
この上にエッチング保護膜Bに対して選択的に除去可能な選択除去膜Cを形成する。この選択除去膜C用の材料にはスパッタリング法で形成するZnO膜3を用いる(図1(b))。ZnO膜3についても蒸着法、MOCVD法などで形成してもよい。
【0040】
その後、透明電極層D、光電変換層E、裏面電極層Fを順次積層して薄膜太陽電池本体を形成する(図1(c))。薄膜太陽電池本体は、選択除去膜Cの一部が後工程でのエッチングの際に露出できるように、選択除去膜Cの一部をマスクで覆うようにして形成する。
太陽電池本体の形成は、まず、透明電極層DとなるITO膜4をスパッタリング法で形成する。ITO膜についても蒸着法、MOCVD法などで形成してもよい。なお、透明電極層DであるITO膜4上には、Inの拡散を防止するために、図示しないSnO2やZnO膜を拡散ブロック層として形成するようにしてもよい。
また、形成する太陽電池本体の面積が、1cm2程度の小面積であれば集電極を設ける必要はないが、面積が大きくなると透明電極層D(ITO膜4)形成前に金属等の材料であらかじめ集電極を形成しておくことが必要である。あるいは、集電極を用いないのであれば集積化構造にすることが必要である。
【0041】
その後、プラズマCVD法でアモルファスシリコン5(a−Si:H)を主材料とするp層、i層、n層(光電変換層E)を順次積層する。この光電変換層Eとして、アモルファスシリコン5を用いれば製造コストなどの点から好ましいが、これに限定されるわけではなく、微結晶Siなど結晶性の光電変換層Eを用いてもかまわないし、シリコン以外の膜や化合物半導体を用いてもよい。
【0042】
その後、裏面電極層Fとして、図示を省略したZnO膜、ITO膜を形成し、さらにその上にAg電極6を形成する。さらにその後、裏面電極層Fから外部に接続する図示しない端子を形成する。
【0043】
続いて、接着および保護のための樹脂層G(接着層としても機能する)としてEVA7をラミネートする。さらに裏面電極層F側の支持基板Hとしてフレキシブル性を有するPETフィルム8を用い、ラミネートにより接着する(図1(d))。
【0044】
その後、濃度3%の酢酸水溶液に3分間浸漬することにより選択除去膜C(ZnO膜3)をエッチングで除去して、太陽電池本体を仮基板Aから分離する(図1(e))。
エッチング液は選択的除去層Cを選択的にエッチングできるものであればどのようなものでもよく、たとえば、酢酸以外に硝酸や水酸化ナトリウムなども使用可能である。
なお、この時ZnO膜3は、結晶性の膜であるため、エッチングされやすい面方位が存在する。これは成膜条件に依存するため、最適な成膜条件を選択する必要がある。
【0045】
次に透明電極層D側(表面側)に図示しないフッ素系フィルム9を、EVAを用いてラミネートにより接着する(図1(f))。このフッ素系フィルム9に複数の太陽電池本体を接着するようにしてモジュール化用基板Iとして用いてもよい。これによりフレキシブル性を有する薄膜太陽電池モジュールが形成できる。
フッ素系フィルムは耐湿性に優れており、これを取り付けることにより薄膜太陽電池を有効に保護することができる。
【0046】
上記実施例では図2で示した断面構造を用いたが、これに代えて、以下に示す図3〜図10の各構造を用いても同様なプロセスによる製造が可能である。
図3では、図2のITO膜4(透明電極層D)とアモルファスシリコン層5(光電変換層E)との間にZnO膜3を挿入して(すなわち透明電極層DをITO/ZnO積層膜とする)Inの拡散を防止することにより変換効率向上を図っている。
【0047】
同様に図4ではInの拡散防止をSnO2膜2で行った場合の構造である。また、図5は透明電極層DとしてSnO2膜のみを用いる構造である。図2〜5では選択除去膜CにZnO膜3を用いているが、図6はこれをITO膜4に置換したものである。
また、図7〜図10のものは、図2〜図5に示した構造において選択除去層Cをアモルファスシリコン膜5(a−Si:H)に置換した構造である。
いずれも図2と同様に扱うことができるが、選択除去層CがITO膜4の場合はエッチング液には塩酸を用い、a−Si膜5の場合にはNaOHを使用する。
【0048】
実施例2
本実施例では、実施例1の図2のときと同様のプロセスで太陽電池本体まで形成し、その後樹脂層G(および接着層)としてEVA7を用い、裏面電極層側にポリカーボネート基板をラミネートにより接着する。
そして、実施例1と同様に濃度3%の酢酸水溶液に3分間浸漬することにより選択除去膜C(ZnO膜3)をエッチングで除去して、太陽電池本体を仮基板Aから分離する。その後、透明電極層D(図2ではITO膜4)の前面側にフッ素系フィルム9をラミネートにより接着する。
これによりガラス基板では困難であった軽量構造の太陽電池あるいは太陽電池モジュールが形成できる。
【0049】
実施例3
実施例1の図2のときと同様のプロセスで裏面電極側にPETフィルム8をラミネートにより接着し、エッチングにより太陽電池本体を仮基板Aから分離した後、透明電極層D側に強化ガラスをEVAでラミネートする。
これまでフロートガラス(厚さ4mm)を用いていたが、強化ガラスを用いることが可能になったため、3.2mmに軽量化することができた。
これまで用いていたフロートガラスは表面が鏡面であるため、光の反射率が高く眩しかったが、強化ガラスを用いることにより、表面の反射を抑制することが可能となる。
また、高価なSnO2膜付(フロート)ガラス基板を、消耗材料として用いていないため、コストダウンが可能となる。
【0050】
実施例4
本実施例でも、実施例1の図2のときと同様のプロセスで太陽電池本体を形成する。ただし、実施例1のときは選択除去膜Cの一部をマスクで覆うようにして形成するが、この実施例では、太陽電池本体の成膜後に太陽電池本体の周囲部分をレーザで加工して開口部を設けるようにする。その後、裏面電極から端子を取り出し、樹脂層(接着層)としてEVAを用いて、裏面電極層側にポリカーボネート基板をラミネートにより接着する。以降、実施例1などと同様のプロセスにより太陽電池を作成し、透明電極層側(表面側)に耐湿性に優れたフッ素系フィルムをラミネートしてモジュール化する。この方法によってもガラス基板では困難であった軽量モジュールが形成できる。
【0051】
【発明の効果】
本発明によれば、様々な性質を有する基材に薄膜太陽電池を転写することが可能となるので、支持基板の性質により薄膜太陽電池の応用範囲を広げることが可能である。たとえば、支持基板にフレキシブル性を持たすことができたり、樹脂基板などを用いて軽量化を図ることができたり、非耐熱基板を用いたりすることができる。
【0052】
また、これまで太陽電池の大きさは基板サイズに限定されていたが、本発明によれば複数のガラス基板から太陽電池を1つの基材に転写することができるため、大型のモジュールが形成可能である。
【0053】
また、一般に薄膜太陽電池製造の前半工程(裏面電極形成まで)における材料費で最も高価なものは、透明電極付ガラス基板であり、材料費の6割程度を占める。本発明によれば、種々の基板に薄膜太陽電池を転写できるというメリットだけではなく、高価な透明電極付ガラス基板を直接材料として用いず、複数回使用することができるので大幅にコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である薄膜太陽電池の製造方法を説明する図。
【図2】本発明の一実施例である薄膜太陽電池の製造途中での構造を説明する図。
【図3】本発明の他の一実施例である薄膜太陽電池の製造途中での構造を説明する図。
【図4】本発明の他の一実施例である薄膜太陽電池の製造途中での構造を説明する図。
【図5】本発明の他の一実施例である薄膜太陽電池の製造途中での構造を説明する図。
【図6】本発明の他の一実施例である薄膜太陽電池の製造途中での構造を説明する図。
【図7】本発明の他の一実施例である薄膜太陽電池の製造途中での構造を説明する図。
【図8】本発明の他の一実施例である薄膜太陽電池の製造途中での構造を説明する図。
【図9】本発明の他の一実施例である薄膜太陽電池の製造途中での構造を説明する図。
【図10】本発明の他の一実施例である薄膜太陽電池の製造途中での構造を説明する図。
【符号の説明】
1:ガラス基板
2:SnO2膜
3:ZnO膜
4:ITO膜
5:アモルファスシリコン(a−Si:H)膜
6:Ag電極
7:EVA
8:PETフィルム
9:フッ素系フィルム
A:仮基板
B:エッチング保護膜
C:選択除去膜
D:透明電極層
E:光電変換層
F:裏面電極層
G:樹脂層(接着層)
H:支持基板
I:表面保護層
Claims (14)
- (a)凹凸表面を有するエッチング保護層が形成された仮基板上に、エッチングにより選択的に除去可能な選択除去層を形成する工程と、
(b)選択除去層の一部に露出領域を残し、残りの領域の上に透明電極層、光電変換層、裏面電極層をこの順で積層することにより太陽電池本体を形成する工程と、
(c)裏面電極層と電気的に接続される外部接続端子を形成する工程と、
(d)太陽電池本体を覆う樹脂層を形成するとともに太陽電池本体の裏面電極層側に少なくともフレキシブル性、軽量性、非耐熱性のいずれかの性質を有する支持基板を接着する工程と、
(e)エッチングにより選択除去層を除去することで仮基板側と太陽電池本体側とを分離する工程とからなることを特徴とする薄膜太陽電池製造方法。 - エッチング保護層がSnO2膜からなることを特徴とする請求項1に記載の薄膜太陽電池製造方法。
- 選択除去層がZnO膜からなり、かつ、太陽電池本体の透明電極層がITO膜、SnO2膜、ITO/ZnO積層膜、ITO/SnO2積層膜のいずれかからなることを特徴とする請求項2に記載の薄膜太陽電池製造方法。
- (e)工程で用いるエッチング液に少なくとも酢酸、硝酸、硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのいずれかが含まれることを特徴とする請求項3に記載の薄膜太陽電池製造方法。
- 選択除去層がITO膜からなり、かつ、太陽電池本体の透明電極層がSnO2膜からなることを特徴とする請求項2に記載の薄膜太陽電池製造方法。
- (e)工程で用いるエッチング液に塩酸が含まれることを特徴とする請求項5に記載の薄膜太陽電池製造方法。
- 選択除去層がa-Si:Hまたは微結晶Siを母体とする材料からなり、かつ、太陽電池本体の透明電極層がITO膜、SnO2膜、ITO/ZnO積層膜、ITO/SnO2積層膜のいずれかからなることを特徴とする請求項2に記載の薄膜太陽電池製造方法。
- (e)工程で用いるエッチング液に水酸化ナトリウムが含まれることを特徴とする請求項7に記載の薄膜太陽電池の製造方法。
- (d)工程において太陽電池本体を覆う樹脂層を形成する際に、選択除去層の露出領域の少なくとも一部を覆わないようにして樹脂層を形成することを特徴とする請求項1に記載の薄膜太陽電池製造方法。
- (a)凹凸表面を有するエッチング保護層が形成された仮基板上に、エッチングにより選択的に除去可能な選択除去層を形成する工程と、
(b1)選択除去層の上に透明電極層、光電変換層、裏面電極層をこの順で積層することにより太陽電池本体を形成する工程と、
(b2)形成した太陽電池本体の一部に選択除去層が露出する開口を形成する工程と、
(c)裏面電極に電気的に接続される外部接続端子を形成する工程と、
(d)太陽電池本体を覆う樹脂層を形成するとともに、太陽電池本体の裏面電極側に少なくともフレキシブル性、軽量性、非耐熱性のいずれかの性質を有する支持基板を接着する工程と、
(e)エッチングにより選択除去層を除去することで仮基板側と太陽電池本体側とを分離する工程とからなることを特徴とする薄膜太陽電池製造方法。 - (b2)工程でレーザ加工により開口を形成することを特徴とする請求項10に記載の薄膜太陽電池製造方法。
- (e)工程で分離した仮基板を用いて、再び(a)〜(e)工程を繰り返すことを特徴とする請求項1または請求項10のいずれかに記載の薄膜太陽電池製造方法。
- 前記(a)〜(e)工程の後に、(f)工程として透明電極層側に透明性材料を用いた表面保護層を形成する工程をさらに備えたことを特徴とする請求項1または請求項10のいずれかに記載の薄膜太陽電池製造方法。
- (g)工程として、前記(a)〜(e)工程により分離した複数の太陽電池本体を1枚のモジュール用基板上に接着してモジュール化する工程をさらに備えたことを特徴とする請求項1または請求項10のいずれかに記載の薄膜太陽電池製造方法。
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