JP2001358351A - 光起電力素子の製造方法、その製造装置、及び太陽電池モジュール - Google Patents

光起電力素子の製造方法、その製造装置、及び太陽電池モジュール

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JP2001358351A
JP2001358351A JP2000176444A JP2000176444A JP2001358351A JP 2001358351 A JP2001358351 A JP 2001358351A JP 2000176444 A JP2000176444 A JP 2000176444A JP 2000176444 A JP2000176444 A JP 2000176444A JP 2001358351 A JP2001358351 A JP 2001358351A
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明治 高林
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    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy

Abstract

(57)【要約】 【課題】 可撓性に優れ、軽量、且つ、安価な可撓性を
有する合成樹脂基板上に形成された光起電力素子の製造
方法、製造装置及び太陽電池モジュールを提供する。 【解決手段】 薄膜堆積基板101上に被溶解層102
及び光電変換層103を順次積層する薄膜堆積工程、光
電変換層103中に内在する空隙、空孔または構造10
6の界面を経由して被溶解層102側に溶液を浸透さ
せ、被溶解層102の少なくとも一部を溶解する溶解工
程、薄膜堆積基板101から光電変換層103を剥離す
る剥離工程、及び、可撓性の合成樹脂基板104上に、
剥離した光電変換層103を配置する配置工程とを含む
ことを特徴とする光起電力素子の製造方法及びその製造
装置。更に、前記方法によって得られた光起電力素子を
被覆材で被覆し、出力端子を設けた太陽電池モジュー
ル。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光電変換層を基板
から剥離すると共に他の基板上へ配置することにより、
製造コストの低減、及び可撓性の向上を図った光起電力
素子の製造方法、及びその製造装置に関する。また、そ
の光起電力素子を用いた太陽電池モジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、環境問題に対する意識の高まり
が、世界的な広がりを見せている。中でも、CO2排出
に伴う地球の温暖化現象に対する危惧感は深刻で、クリ
ーンエネルギーへの希求はますます強まってきている。
このような環境の中で、光起電力素子を用いた太陽電池
モジュールはその安全性と扱いやすさから、クリーンエ
ネルギー源として大きく期待されている。
【0003】光起電力素子は光を電気に変換する光電変
換層を内部に有し、代表的な材料としては、単結晶シリ
コン半導体、多結晶シリコン半導体、非晶質シリコン系
半導体、III−V族化合物半導体、II−VI族化合
物半導体、I−III−VI 2族化合物半導体、等が挙
げられる。
【0004】一方、これらの光起電力素子の軽量化、低
廉化、または曲面形状への応用等を目的として、可撓性
を有する光起電力素子が提案されている。可撓性を有す
る光起電力素子の製造方法としては、可撓性の基板上に
直接光起電力素子を形成する方法、及び、剛性を有する
支持基板上に形成した半導体層を剥離して光起電力素子
を得る方法、の概略二つの方法に分類することができ
る。
【0005】前者の例としては、可撓性の金属基板、ま
たは、合成樹脂基板に直接光起電力素子を形成する方法
が提案されている。例えば、特開昭59−124175
号には、可撓性の金属基板上に形成した非晶質シリコン
の光起電力素子について記載されている。また、特開昭
54−149489号、同55−4994号、同56−
169371号、同56−169372号、同62−8
4568号、及び特開平1−198081号には、可撓
性の合成樹脂フィルム基板上に形成した非晶質シリコン
系光起電力素子について記載されている。また、特開平
5−259494号には、可撓性の合成樹脂フィルム基
板上に形成したCuInSe2系光起電力素子について
記載されている。
【0006】一方後者の例として、特開平1−1055
81号、同5−315630号及び同7−79002号
には、剛直な支持基板上に可撓性の合成樹脂フィルムを
配置し、該合成樹脂フィルム上に非晶質シリコンを形成
した後に合成樹脂フィルムを支持基板から剥離し、可撓
性の光起電力素子を得る方法が記載されている。また、
結晶系光起電力素子に於いても、半導体基板上に形成し
た結晶性薄膜を基板から剥離し、薄膜光起電力素子を得
る方法が提案されている。例えば、特開平5−2837
22号、同7−226528号、同8−213645
号、同10−79524号、及び同10−270361
号には、単結晶シリコン基板上に多孔質層等の剥離層を
形成し、その表面に結晶性シリコン層を形成した後に剥
離し、光起電力素子を得る方法が記載されている。
【0007】これら従来提案されている可撓性を有する
光起電力素子の製造方法は、以下のような特徴を有して
いる。
【0008】まず、可撓性の金属基板上に直接形成する
光起電力素子の製造方法に於いては、金属材料が合成樹
脂材料に比較して耐熱性に優れることから、素子形成時
の基板温度の制約が少なく、また、基板からのガス放出
による光起電力素子の性能低下への影響も少ない。例え
ば、非晶質シリコンを作製する時の基板温度は一般的に
は、200℃〜300℃であるが、基板としてステンレ
ス鋼を用いれば、この温度範囲で受ける制約はほとんど
ないと言える。従って、基板に対する影響を気にするこ
となく、光起電力素子の形成条件の最適化を図ることが
でき、高い変換効率を有する光起電力素子を得ることが
できる。一方、合成樹脂基板に比べると、可撓性に劣
り、また、同一基板上で光起電力素子の直列化を行うた
めには、金属基板表面に絶縁層及び裏面電極層を設ける
ことが必要となってくる。
【0009】また、可撓性の合成樹脂基板に直接形成す
る光起電力素子の製造方法に於いては、作製された光起
電力素子は金属基板に比べると可撓性に優れ、また、基
板が電気絶縁性であるために、同一基板上での直列化も
容易である。一方金属基板に比べると、合成樹脂材料が
金属材料に比較して耐熱性に劣ることから、素子形成時
の基板温度の制約を受けやすく、また、基板からのガス
放出による光起電力素子の性能低下への影響も比較的大
きい。また、これらの特徴は、剛直な支持基板上に可撓
性の合成樹脂フィルムを配置し、該合成樹脂フィルム上
に非晶質シリコンを形成した後に合成樹脂フィルムを支
持基板から剥離し、可撓性を得る光起電力素子について
も同様である。
【0010】更に、半導体基板上に形成した結晶性薄膜
を基板から剥離して形成する光起電力素子の製造方法に
於いては、結晶性であるが故に高効率の光起電力素子を
形成することができ、また、基板としては例えば単結晶
シリコンウェーハを用いているため、薄膜形成時の基板
温度の制約もほとんどない。一方、半導体基板を用いて
いるために、作製される光起電力素子の大きさは半導体
基板の大きさ以内に制限されてしまう。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な状況に鑑み、特に可撓性を有する合成樹脂基板上に形
成された光起電力素子に着目し、合成樹脂基板に於ける
従来技術の特長を生かしたまま、基板材料からくる制約
を改善できるような光起電力素子の製造方法、製造装置
及び太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、以下のような知見
を得た。
【0013】薄膜型の光起電力素子を形成する光電変換
層の作製方法としては、プラズマCVD法、熱CVD
法、光CVD法、めっき法等の化学的方法、抵抗加熱ま
たは電子ビーム加熱等による熱蒸発法、スパッタ法、イ
オンプレーティング法、クラターイオンビーム法等の物
理的方法、及び、スプレイ法、スクリーン印刷法等のそ
の他の方法が従来から知られている。これらの方法によ
り形成される半導体薄膜は、基板として単結晶基板を使
用しない限り、非晶質相、微結晶相、多結晶相、または
それらの混相となるのが通常である。また、従来からの
知見として、これらの半導体薄膜中には、空隙、空孔ま
たは、構造の界面等が存在する(例えば、“薄膜作製ハ
ンドブック”、応用物理学会/薄膜・表面物理分科会
編、共立出版(株)、p.70)。これらの空隙、空孔
または、構造の界面等は、従来から光起電力素子の特性
低下の原因の一つと考えられており、素子特性の向上を
図る上でもこれら欠陥を極力抑える事が従来からの課題
でもあった。その一方で、これらの欠陥を皆無にするこ
とは極めて困難でもあった。
【0014】本発明者は、上記の皆無とはできずに残っ
てしまう半導体薄膜中に内在する空隙、空孔または、構
造の界面を、可撓性光起電力素子を製造する上で積極的
に利用することを検討した。その結果、これらの空隙、
空孔または、構造の界面は半導体薄膜の一方の面から他
方の面へ連通しており、この連通経路を経由して液体を
浸透させることができる、という第一の知見を得た。更
に、溶液に溶解し易い材料を被溶解層として基板上に形
成し、その上に半導体薄膜を成長させる。このような構
成に於いては、連通経路を経由して半導体薄膜と被溶解
層との界面まで溶液を浸透させることができ、被溶解層
を部分的に溶解することができる。これにより半導体薄
膜に何ら機械的歪みを与えることなく、基板から剥離で
きる、という第二の知見を得た。更に、本発明者は、上
記の半導体薄膜として光電変換層への応用を検討し、上
記の方法を用いることにより光電変換層を光電変換機能
を保った状態で剥離することができる、という第三の知
見を得るに至った。
【0015】一方、特開平11−211675号には、
ステンレス鋼基板上に形成された非晶質シリコン光起電
力素子に於いて、曲げ加工等による歪みで発生したクラ
ックを検出する方法について記載されている。また、こ
のクラックから溶解液を浸透させ、積層体の基板側の下
層を溶解する方法が記載されている。上記に説明した本
発明者が得た知見は、半導体薄膜に液体の連通経路があ
ること、この連通経路を経由して溶液を浸透させ裏面側
の被溶解層を溶解することにより半導体薄膜の剥離が可
能であること、及び、半導体薄膜として光電変換層へ応
用した場合には光電変換機能を保った状態で剥離が可能
であること、である。従って、まず、特開平11−21
1675号に記載されているクラックが半導体薄膜に内
在するものではなく、薄膜成形後の外部応力によって形
成されたものであると言う点で本発明と本質的に異な
り、また、特開平11−211675号の目的はあくま
でもクラックの検出であると言う点に於いても本発明と
異なる。更に、半導体薄膜を剥離して光起電力素子を得
る事の記載も示唆もないことを付記しておく。
【0016】本発明者は、以上のような知見より本発明
の基本概念を想起するに至ったものである。
【0017】本発明は第1に、可撓性の合成樹脂基板上
に形成された光起電力素子の製造方法に於いて、薄膜堆
積基板上に被溶解層及び光電変換層を順次積層する薄膜
堆積工程、該光電変換層中に内在する空隙、空孔または
構造の界面を経由して該被溶解層側に溶液を浸透させ、
該被溶解層の少なくとも一部を溶解する溶解工程、該薄
膜堆積基板から該光電変換層を剥離する剥離工程、及
び、可撓性の合成樹脂基板上に、剥離した該光電変換層
を配置する配置工程とを含むことを特徴とする。
【0018】上記本発明の第1の製造方法では、可撓性
の合成樹脂基板を用いるので可撓性に優れる光起電力素
子を得ることができる。また、光電変換層を堆積する基
板としては可撓性の合成樹脂基板とは異なる基板を用い
る。合成樹脂基板に直接形成する光起電力素子に於いて
は、素子形成時の基板温度が基板材料による制約を受け
やすく、また、基板からのガス放出による素子の特性低
下への影響が懸念されていたが、本発明の第1の製造方
法を用いることにより、素子形成時の基板温度の制約が
少なくなり、また、基板からのガス放出による素子の特
性低下への影響も低減することができる。
【0019】上記本発明の第1の製造方法では、前記薄
膜堆積工程に於いて、前記被溶解層を堆積した後に、そ
の表面に透明電極層を積層することが好ましく、これに
より、剥離した光電変換層を透明電極層が積層された構
成とすることができる。この場合、前記合成樹脂基板
が、合成樹脂からなる基材及びその表面に配された導電
性粘着層または導電性接着層から構成されていることが
好ましく、これにより、剥離した積層体の合成樹脂基板
への配置及び固定が容易になると共に、合成樹脂基板側
への集電及び出力端子の取出しが容易となる。また、前
記配置工程の後に、前記光電変換層の前記合成樹脂基板
と反対側の表面に、グリッド電極を形成することが好ま
しく、これにより、合成樹脂基板と反対側の表面を受光
面側とすることができ、また、効率よく集電することが
できる。
【0020】また、上記本発明の第1の製造方法では、
前記薄膜堆積工程に於いて、前記光電変換層を堆積した
後に、その表面に透明電極層を積層することも好まし
く、これにより、剥離した光電変換層を透明電極層が積
層された構成とすることができる。この場合、前記合成
樹脂基板が、合成樹脂からなる基材及びその表面に配さ
れた粘着層または接着層から構成されていることが好ま
しく、これにより、剥離した積層体の合成樹脂基板への
配置及び固定が容易となる。また、前記合成樹脂基板
が、合成樹脂からなる基材及びその表面に配された導電
性粘着層または導電性接着層から構成されていることも
好ましく、これにより、剥離した積層体の合成樹脂基板
への配置及び固定が容易になると共に、合成樹脂基板側
への集電及び出力端子の取出しが容易となる。また、前
記合成樹脂基板が、合成樹脂からなる基材及びその表面
に配されたグリッド電極から構成されていることも好ま
しく、これにより、合成樹脂基板側への集電が容易とな
る。また、前記配置工程の後に、前記光電変換層の前記
合成樹脂基板と反対側の表面に、導電性粘着層または導
電性接着層、及び金属電極層を配置することも好まし
く、これにより、合成樹脂基板と反対側の表面からの集
電が容易となる。
【0021】本発明は第2に、可撓性の合成樹脂基板上
に形成された光起電力素子の製造方法に於いて、薄膜堆
積基板上に被溶解層、光電変換層及び透明電極層を順次
積層する薄膜堆積工程、該透明電極層の一部を除去する
ことにより該光電変換層を複数の素子領域に分割する分
割工程、該透明電極層中及び該光電変換層中に内在する
空隙、空孔または構造の界面を経由して該被溶解層側に
溶液を浸透させ、該被溶解層の少なくとも一部を溶解す
る溶解工程、該薄膜堆積基板から該光電変換層及び該透
明電極層の積層体を剥離する剥離工程、グリッド電極が
配された可撓性の合成樹脂基板上に、該透明電極層が該
グリッド電極に接触するように該積層体を配置する配置
工程、及び、該積層体の該合成樹脂基板と反対側の表面
に裏面電極層を形成する裏面電極層形成工程とを含み、
該裏面電極は該分割工程により分割された複数の素子領
域を直列接続するように配置されることを特徴とする。
【0022】上記本発明の第2の製造方法では、可撓性
の合成樹脂基板を用いるので可撓性に優れる光起電力素
子を得ることができる。また、光電変換層を堆積する基
板としては可撓性の合成樹脂基板とは異なる基板を用い
る。合成樹脂基板に直接形成する光起電力素子に於いて
は、素子形成時の基板温度が基板材料による制約を受け
やすく、また、基板からのガス放出による素子の特性低
下への影響が懸念されていたが、本発明の第2の製造方
法を用いることにより、素子形成時の基板温度の制約が
少なくなり、また、基板からのガス放出による素子の特
性低下への影響も低減することができる。
【0023】上記本発明の第2の製造方法では、前記裏
面電極は、導電性粘着層または導電性接着層、及び金属
電極層から構成されていても良く、これにより、合成樹
脂基板と反対側の表面からの集電が容易となる。また、
前記合成樹脂基板は、合成樹脂からなる基材及びその表
面に配されたグリッド電極及び粘着層または接着層から
構成されていても良く、これにより、剥離した積層体の
合成樹脂基板への配置及び固定が容易となる。また、前
記合成樹脂基板が、合成樹脂からなる基材及びその表面
に配されたグリッド電極及び導電性粘着層または導電性
接着層から構成されていても良く、これにより、剥離し
た積層体の合成樹脂基板への配置及び固定が容易になる
と共に、合成樹脂基板側への集電及び出力端子の取出し
が容易となる。
【0024】以上説明した本発明の第1及び第2の製造
方法では、前記溶液に対する前記被溶解層の溶解度が、
前記光電変換層の溶解度よりも高いことが好ましく、こ
れにより、光電変換層を溶解することなく被溶解層を優
先的に溶解することができる。また、酸化亜鉛は酸性水
溶液に対して非常に溶解しやすく、このため、前記被溶
解層は酸化亜鉛であって、前記溶液が酸性水溶液である
ことがより好ましい。
【0025】また、前記合成樹脂基板は、透光性であっ
ても良い。透光性にすることにより、合成樹脂基板を受
光面側とすることができる。
【0026】また、前記薄膜堆積基板は、ステンレス
鋼、またはガラスの何れかであることが好ましい。これ
らの基板を用いることにより、光電変換層を形成すると
きの基板温度の制約を受け難く、また、基板からのガス
放出による光起電力素子の性能低下も少ない。
【0027】また、前記光電変換層は、PN接合、PI
N接合、ヘテロ接合またはショットキー障壁の何れかを
含むことが好ましい。
【0028】また、前記光電変換層は、非晶質シリコン
系半導体、微結晶シリコン系半導体、多結晶シリコン系
半導体、多結晶化合物半導体、の何れかを含むことが好
ましい。
【0029】また、前記剥離工程後の前記薄膜堆積基板
は、再度前記薄膜堆積工程の薄膜堆積基板として利用し
ても良い。光電変換層を剥離した後の基板を再利用する
ことにより、光起電力素子の製造コストの更なる低減を
図ることができる。
【0030】本発明の第3は、可撓性の合成樹脂基板上
に形成された光起電力素子の製造装置に於いて、薄膜堆
積基板上に被溶解層及び光電変換層を順次積層する薄膜
堆積手段、該光電変換層中に内在する空隙、空孔または
構造の界面を経由して該被溶解層側に溶液を浸透させ、
該被溶解層の少なくとも一部を溶解する溶解手段、該薄
膜堆積基板から該光電変換層を剥離する剥離手段、及
び、可撓性の合成樹脂基板上に、剥離した該光電変換層
を配置する配置手段とを含むことを特徴とする。
【0031】本発明の光起電力素子の製造装置では、可
撓性の合成樹脂基板を用いるので可撓性に優れる光起電
力素子を得ることができる。また、光電変換層を堆積す
る基板としては可撓性の合成樹脂基板とは異なる基板を
用いる。合成樹脂基板に直接形成する光起電力素子に於
いては、素子形成時の基板温度が基板材料による制約を
受けやすく、また、基板からのガス放出による素子の特
性低下への影響が懸念されていたが、本発明の製造装置
を用いることにより、素子形成時の基板温度の制約がな
くなり、また、基板からのガス放出による素子の特性低
下への影響も低減することができる。
【0032】上記本発明の光起電力素子の製造装置にお
いては、前記薄膜堆積手段は、前記薄膜堆積基板上に被
溶解層、光電変換層及び透明電極層を順次積層する手段
であり、前記剥離手段は、前記薄膜堆積基板から該光電
変換層及び該透明電極層の積層体を剥離する手段であ
り、前記配置手段は、可撓性の合成樹脂基板上に、剥離
した該積層体を配置する手段であることも好ましい。
【0033】本発明の第4は、本発明の第1又は第2の
光起電力素子の製造方法により得た光起電力素子の少な
くとも一部を被覆材により被覆し、出力端子を設けたこ
とを特徴とする太陽電池モジュールである。本発明の太
陽電池モジュールは、可撓性の合成樹脂基板を用いた光
起電力素子を利用していることから様々なモジュール構
造とすることができる。例えば可撓性の太陽電池モジュ
ールの場合には、可撓性に優れ且つ軽量なものを廉価に
製造することが可能である。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、本発明の光起電力素子の製
造方法、その製造装置及び太陽電池モジュールについ
て、必要に応じて図面を参照しながら説明する。尚、本
発明は、以下の説明及び図面に限定されるわけではな
く、本発明の主旨の範囲内で、適宜変形、組合せできる
ことは言うまでもない。
【0035】本発明の第1の光起電力素子の製造方法の
実施態様例を、図1に示される模式的断面図を用いて説
明する。
【0036】まず、薄膜堆積基板101を準備する(図
1(a))。
【0037】第一の工程は、図1(b)乃至(c)に示
す薄膜堆積工程である。この工程では、薄膜を堆積する
基板101上に、被溶解層102及び光電変換層103
を順次積層する。尚、光電変換層103の代わりに光電
変換層及び透明電極層からなる層を順次積層してもよ
い。この時、光電変換層(光電変換層及び透明電極層)
103には、空隙、空孔または構造の界面106が薄膜
堆積工程の結果として内在する。
【0038】第二の工程は、図1(d)に示す溶解工程
である。この工程では、光電変換層103の被溶解層1
02とは反対側の表面から溶液(不図示)を浸透させ、
被溶解層102の一部を溶解し、被溶解層の溶解部10
7を形成する。この時、光電変換層103に内在する空
隙、空孔または構造の界面106の貫通経路を通じて溶
液(不図示)が浸透する。
【0039】第三の工程は、図1(e)に示す剥離工程
である。前工程である溶解工程により、被溶解層102
の光電変換層103側の界面が溶解した結果、光電変換
層103と被溶解層102との密着性は著しく低下して
いる。従って容易に剥離することができる。
【0040】第四の工程は図1(f)に示す配置工程で
ある。この工程では、可撓性の合成樹脂基板104上
に、剥離した光電変換層103を配置し、光起電力素子
105を得る。
【0041】次に、本発明の第2の光起電力素子の製造
方法の実施態様例を、同様に図1に示される模式的断面
図を用いて説明する。
【0042】まず、薄膜堆積基板101を準備する(図
1(a))。
【0043】第一の工程は、図1(b)乃至(c)に示
す薄膜堆積工程である。この工程では、薄膜を堆積する
基板101上に、被溶解層102及び光電変換層及び透
明電極層からなる層103を順次積層する。この時、光
電変換層及び透明電極層からなる層103には、空隙、
空孔または構造の界面106が薄膜堆積工程の結果とし
て内在する。
【0044】第二の工程は分割工程(不図示)である。
この工程では、透明電極層の一部を除去することにより
該光電変換層を複数の素子領域に分割する。
【0045】第三の工程は図1(d)に示す溶解工程で
ある。この工程では、光電変換層及び透明電極層からな
る層103の被溶解層102とは反対側の表面から溶液
(不図示)を浸透させ、被溶解層102の一部を溶解
し、被溶解層の溶解部107を形成する。この時、光電
変換層及び透明電極層からなる層103に内在する空
隙、空孔または構造の界面106の貫通経路を通じて溶
液(不図示)が浸透する。
【0046】第四の工程は図1(e)に示す剥離工程で
ある。前工程である溶解工程により、被溶解層102の
光電変換層及び透明電極層からなる層103側の界面が
溶解した結果、光電変換層及び透明電極層からなる層1
03と被溶解層102との密着性は著しく低下してい
る。従って容易に剥離することができる。
【0047】第五の工程は図1(f)に示す配置工程で
ある。この工程では、グリッド電極を表面に有する可撓
性の合成樹脂基板104上に、剥離した光電変換層及び
透明電極層からなる層103を配置する。
【0048】第六の工程は裏面電極形成工程(不図示)
である。この工程では光電変換層の合成樹脂基板と反対
側の表面に裏面電極層を形成する。裏面電極は前記分割
工程により分割された複数の素子領域を直列接続するよ
うに配置され、これにより光起電力素子(不図示)を得
る。
【0049】図2は、上記本発明の第2の光起電力素子
の製造方法の工程を纏めた工程図であり、同図に示され
るように、(a)薄膜堆積工程、(b)分割工程、
(c)溶解工程、(d)剥離工程、(e)配置工程、
(f)裏面電極形成工程、を有している。
【0050】また、本発明の第3の光起電力素子の製造
装置の実施態様例を、図3の模式図に示す。本発明の製
造装置は同図に示されるように(a)乃至(d)の手段
を有する。第一の手段は、薄膜堆積手段(図3(a))
であって、薄膜を堆積する基板上に、被溶解層及び光電
変換層を順次積層する手段を有する。この時、光電変換
層には、空隙、空孔または構造の界面が薄膜堆積手段の
結果として内在する。第二の手段は、溶解手段(図3
(b))であって、光電変換層の被溶解層とは反対側の
表面から溶液を浸透させ、被溶解層の一部を溶解する手
段を有する。この時、光電変換層に内在する空隙、空孔
または構造の界面の貫通経路を通じて溶液が浸透する。
第三の手段(図3(c))は、剥離手段であって、光電
変換層を薄膜堆積基板から剥離する手段を有する。この
時、前工程の溶解手段により被溶解層の光電変換層側の
界面が既に溶解しており、光電変換層と被溶解層との密
着性は著しく低下しているため、容易に剥離することが
できる。第四の手段(図3(d))は、配置手段であっ
て、可撓性の合成樹脂基板上に、剥離した光電変換層を
配置する手段を有する。
【0051】尚、上記本発明の第3の製造装置は、前述
の本発明の第1の製造方法における各工程に対応する手
段を有しているものであり、図3中の各手段を工程と置
き換えることにより、図3は本発明の第1の製造方法に
おける工程図となる。
【0052】更に、本発明の第4の太陽電池モジュール
の実施態様例を、図4の斜視図に示す。同図に示されて
いるように、本発明の太陽電池モジュール301は、上
記の本発明の光起電力素子の製造方法により得た可撓性
の合成樹脂基板上に形成された光起電力素子302の少
なくとも一部を被覆材303により被覆し、電力を取出
すための出力端子304を設けたものである。同図に於
いて、光起電力素子302の光電変換層(不図示)は、
可撓性の合成樹脂基板及び被覆材303の間に配置され
ている。
【0053】以下、本発明の光起電力素子の製造方法、
その製造装置及び太陽電池モジュールに於ける各構成要
素の詳細を説明する。
【0054】(薄膜堆積基板)本発明に於ける薄膜堆積
基板は、薄膜堆積工程に於ける薄膜堆積の支持基板とし
て用いられる。また、薄膜堆積のみを目的とし、その後
の剥離工程により光電変換層は剥離されてしまうので、
光起電力素子の構成要素とはならない。
【0055】材料として特に制限はないが、薄膜堆積工
程に於ける薄膜堆積温度に於いても軟化、変形、収縮、
放出ガスの発生等の少ないものが望ましい。
【0056】また、溶解工程に於ける溶液に対して、溶
解が少ない材料であることが望ましい。具体的な材料と
しては、アルミニウム、銅、鉄、クロム、ニッケル等の
金属材料、鋼、ステンレス鋼、真鍮等の合金材料、石英
ガラス、シリカガラス、ほうけい酸ガラス、低アルカリ
ガラス、並板ガラス等のガラス材料、アルミナ等のセラ
ミックス材料を挙げることができる。この中でも、ステ
ンレス鋼及びガラスは、比較的安価で、且つ、上記条件
を十分満たす材料として特に好適である。
【0057】また、薄膜堆積基板は、剥離工程後に再
度、薄膜堆積基板として用いることもできる。
【0058】(被溶解層)被溶解層は、その表面に光電
変換層が堆積された後に、光電変換層を剥離するために
溶解されることを目的としている。従ってその材料とし
ては、アルミニウム等の金属、ZnO、In23、Sn
2、ITO(In23、及びSnO2、の合金)等の金
属酸化物等が挙げられる。この中でも特にZnOは、溶
解度が高く、水に対する溶解度も0.42mg/100
g(@18℃)あり、特に酸性水溶液には良く溶解する
ことから好適に用いることができる。
【0059】また、被溶解層の形成には、めっき法、抵
抗加熱または電子ビーム加熱等による熱蒸発法、スパッ
タ法、イオンプレーティング法、クラスターイオンビー
ム法等の従来の方法及び装置を好適に用いることができ
る。
【0060】(光電変換層)光電変換層は、光起電力素
子に入射する光を電気に変換する機能を有する要素であ
り、また、本発明で定義するところの光電変換層は、受
光面側の透明電極層及びグリッド電極、及び非受光面側
の電極は含んでいない。本発明で用いる光電変換層は、
半導体薄膜から構成されており、且つ、半導体薄膜中に
空隙、空孔または構造の界面が残留しているものであれ
ば何でも良い。
【0061】光電変換層の材料としては、多結晶半導体
では、Si、C、Ge等のIV族元素、SiGe、Si
C等のIV族元素合金、GaAs、InSb、GaP、
GaSb、InP、InAs等のIII−V族化合物、
ZnSe、CdTe、ZnS、CdS、CdSe、Cd
Te等のII−VI族化合物、CuInSe2、CuI
nS2、Cu(In,Ga)Se2等のI−III−VI
2族化合物が挙げられる。また、非晶質半導体として
は、a−Si:H、a−SiGe:H、a−SiC:H
等を挙げることができる。また、微結晶半導体として
は、μx−Si:H、μx−SiGe:H、μx−Si
C:H等を挙げることができる。これらの中でも、a−
Si:H、a−SiGe:H、a−SiC:H等の非晶
質シリコン系半導体、μx−Si:H、μx−SiG
e:H、μx−SiC:H等の微結晶シリコン系半導
体、Si、SiGe、SiC等の多結晶シリコン系半導
体、及び、III−V族化合物、II−VI族化合物、
I−III−VI2族化合物等の多結晶化合物半導体
は、本発明の光電変換層として好適に用いることができ
る。
【0062】また、光電変換層は、少なくとも一組のP
N接合、PIN接合、ヘテロ接合あるいはショットキー
障壁を含む。
【0063】また、本発明で用いられる光電変換層の好
適な形成方法としては、プラズマCVD法、熱CVD
法、光CVD法、めっき法等の化学的方法、抵抗加熱ま
たは電子ビーム加熱等による熱蒸発法、スパッタ法、イ
オンプレーティング法、クラスターイオンビーム法等の
物理的方法、及び、スプレイ法、スクリーン印刷法等の
その他の方法が挙げられる。これらの方法で光電変換層
を形成することにより、本発明の製造方法に必要な光電
変換層中の空隙、空孔または構造の界面が形成される。
【0064】(薄膜堆積工程及び手段)本発明の薄膜堆
積工程及び手段は、前記の薄膜堆積基板上に、少なくと
も被溶解層及び光電変換層を堆積する工程から構成され
る。
【0065】被溶解層及び光電変換層の堆積手段として
は、上記にて説明した各層を形成する従来からの形成方
法及び製造装置が用いられる。各層を形成するために、
それぞれ独立の製造装置であっても、また、二つの層を
一つの製造装置で連続的に形成しても良い。
【0066】また、薄膜堆積工程には、被溶解層または
光電変換層を形成した直後に、透明電極層の形成工程及
び手段を含めることがより好ましい。形成方法にも依る
が、透明電極層の形成時には基板温度を200℃以上と
することが多い。このため、基板温度に対する制限の少
ない薄膜堆積基板を用いた工程の中で、透明電極層も同
時に形成する方がより好ましい。透明電極層は、受光面
側の電極であると共に、その膜厚を最適化することによ
って反射防止膜としての役割も果たす。透明電極層は、
光電変換層の吸収可能な波長領域において高い透過率を
有することと、抵抗率が低いことが要求される。具体的
には、波長600nmの光に対する透過率が90%以上
であることが好ましい。また、抵抗率は好ましくは、5
×10-3Ωcm以下、より好ましくは、1×10-3Ωc
m以下である。その材料としては、In2O、SnO2
ITO(In23+SnO2)、ZnO等の導電性酸化
物あるいはこれらを混合したものが好適に用いられる。
また、これらの化合物に、導電率を変化させる元素(ド
ーパント)を添加しても良い。導電率を変化させる元素
としては、例えば透明電極層がZnOの場合には、A
l、In、B、Ga、Si、F等が、また、In23
の場合には、Sn、F、Te、Ti、Sb、Pb等が、
またSnO2の場合には、F、Sb、P、As、In、
Ti、Te、W、Cl、Br、I等が好適に用いられ
る。透明電極層の形成方法としては、スパッタ法、スプ
レイ法等が好適に用いられる。
【0067】(分割工程)分割工程に於いては、集積形
光起電力素子を形成するために、光起電力素子を複数の
素子領域に分割する。これは、透明電極層に対して各素
子領域を分割する線を形成することにより達成される。
具体的な方法としては、例えば、透明電極層のエッチン
グ剤(FeCl3、HCl)含有ぺーストを分割線のパ
ターンにスクリーン印刷したあと加熱、洗浄することに
よりぺーストが印刷された部分の透明電極層が除去さ
れ、隣接する素子領域間の電気的な分離ができる。
【0068】(空隙、空孔または構造の界面)本発明で
用いる光電変換層及び透明電極層は、その内部に空隙、
空孔または構造の界面を有していることが必須である。
更に、この空隙、空孔または、構造の界面は、これらの
層の一方の面から他方の面へ連通しており、この連通経
路を経由して溶液を浸透させる必要がある。従来の半導
体薄膜形成方法である、プラズマCVD法、熱CVD
法、光CVD法、めっき法等の化学的方法、抵抗加熱ま
たは電子ビーム加熱等による熱蒸発法、スパッタ法、イ
オンプレーティング法、クラスターイオンビーム法等の
物理的方法、及び、スプレイ法、スクリーン印刷法等の
その他の方法で作製された薄膜に於いては、寧ろ、この
空隙、空孔または、構造の界面を皆無にすることの方が
困難であり、積極的に形成しようとせずとも、この空
隙、空孔または、構造の界面がこれらの層内に形成され
る。
【0069】(溶液)本発明の溶解工程において好適に
用いる溶液は、被溶解層を優先的に溶解し、その一方
で、薄膜堆積基板、光電変換層、及び、透明電極層は、
ほとんど溶解しない必要がある。この様な条件を満たす
溶液としては、アルコール系及びフェノール系等の非水
有機溶媒、または水を溶媒として、以下の溶質を溶解し
たものを用いるのが望ましい。以下、溶質の具体例を例
示するが本発明の溶液として使用し得る溶質は以下に示
す材料のみに何等限定されるものではない。
【0070】まず、無機酸としては、例えば塩酸、硝
酸、フッ酸、硫酸等が挙げられる。有機酸としては、例
えば酢酸、蟻酸、シュウ酸、酒石酸、安息香酸等が挙げ
られる。無機塩基としては、例えば水酸化カリウム、水
酸化ナトリウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。
有機塩基としては、エチレンジアミン、アニリン等のア
ミンやピリジン等が挙げられる。金属塩としては、例え
ばLiCl、KCl、NaCl、CaCl2、MgC
2、Li2SO4、KF、KBr、KI、K2SO4、K2
CO3、K3PO4、NaBr、NaI、Na2SO4、N
3PO4、CaSO4、MgSO4、BaCl2、CeC
3、Ce2(SO43、AlCl3、Al2(SO43
YCl3、Y2(SO43、ScCl3、Sc2(S
43、及び、FeCl3等が挙げられる。
【0071】溶液は被溶解層を優先的に溶解し、且つ、
薄膜堆積基板、光電変換層、及び、透明電極層は、ほと
んど溶解しない条件で用いることが望ましい。溶解速度
は溶液の酸性度またはアルカリ度が高い程起り易いが、
光電変換層、透明電極層、及び薄膜堆積基板が容易に溶
解されるようであってはならない。溶液を選択する場合
には光電変換層、透明電極層、及び薄膜堆積基板に対し
て、容易に溶解しない溶液を選択するか、または溶解速
度の低い濃度及び温度に溶液を調製することが望まし
い。
【0072】また、溶液の温度は溶液が蒸発したり、凝
固したりしない温度に選ぶことが望ましい。例えば溶液
が水溶液の場合には−10℃以上で100℃以下、好ま
しくは0℃以上で90℃以下とする。溶液の温度は使用
する溶媒の種類、溶液と光電変換層、透明電極層、及び
薄膜堆積基板との溶解度の温度依存性に応じて適宜定め
ればよい。
【0073】被溶解層として、ZnOを用いた場合に
は、特に、酸性溶液が好ましい。ZnOは、溶解度が高
く、特に酸性溶液には良く溶解する。
【0074】(溶解工程及び手段)溶解工程及び手段
は、光電変換層及び透明電極層の空隙、空孔または、構
造の界面を経由して溶液を浸透させ、被溶解層を部分的
に溶解し、光電変換層及び透明電極層が剥離しやすい状
態にすることを目的とする。溶解工程及び手段に於いて
は、被溶解層は溶解しやすく、一方、薄膜堆積基板及び
光電変換層及び透明電極層は溶解し難い条件で処理する
必要がある。このためには、上記のような適切な溶液の
選択が必要であり、また、溶解工程に於ける溶液の温度
及び溶解にかける時間が重要な管理項目となる。具体的
な手段としては、溶液を入れた容器に薄膜堆積工程(も
しくは分割工程)まで完了した基板を、浸漬する、また
は、同基板上に溶液を霧状にして吹きつける、等の手段
が挙げられる。
【0075】(剥離工程及び手段)剥離工程及び手段
は、薄膜堆積基板から光電変換層及び透明電極層を剥離
することを目的とする。剥離する手段としては、例え
ば、粘着剤または接着剤を光電変換層に密着させた後
に、また、接着剤の場合には必要に応じて硬化した後
に、粘着剤または接着剤を薄膜堆積基板から強制的に剥
離することにより、光電変換層及び透明電極層も同時に
剥離する。この時、粘着層または接着層が積層されてい
る可撓性の合成樹脂基板を用いることにより、光電変換
層及び透明電極層の剥離と同時に可撓性の合成樹脂基板
上への配置も行うことが最も好適である。
【0076】(可撓性の合成樹脂基板)剥離工程に於い
て薄膜堆積基板より剥離した光電変換層及び透明電極層
は、配置工程にて可撓性の合成樹脂基板上に配置され
る。光電変換層及び透明電極層のみでは、機械的な強度
が十分でないため、可撓性の合成樹脂基板により光電変
換層及び透明電極層を支持することを目的とする。更
に、本発明の目的の一つでもある、可撓性に優れた光電
変換素子を提供するために、可撓性の合成樹脂基板は可
撓性に優れた材料である必要がある。更に、可撓性の合
成樹脂基板は、基材及び必要に応じてその表面に配され
たグリッド電極や粘着層または接着層等から構成され
る。
【0077】この目的のために利用される基材として
は、合成樹脂であれば特に制限はなく、具体的には、フ
ッ素系樹脂、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、
ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンカーボネー
ト、アクリル樹脂等が挙げられる。フッ素系樹脂として
より具体的には、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリフッ
化ビニル樹脂、四フッ化エチレン−エチレン共重合体、
四フッ化エチレン−酢酸ビニル共重合体、四フッ化エチ
レン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、
四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体等を挙
げることができる。また、これらの材料を可撓性の合成
樹脂基板として用いるためには、フィルム状であること
が好ましく、特に200μm以下の厚みのものが好まし
い。
【0078】また、基材の表面に設けられる粘着層とし
ては、ゴム系粘着剤、シリコン系粘着剤、アクリル系粘
着剤、ビニルエーテル系粘着剤などが挙げられる。この
中でも、シリコン系、アクリル系粘着剤は耐熱、耐侯
性、電気絶縁性にも優れるため特に望ましい。また、こ
れらの粘着剤に紫外線吸収剤などの添加剤を添加しても
よい。
【0079】(配置工程及び手段)配置工程及び手段
は、薄膜堆積基板から剥離された光電変換層を可撓性の
合成樹脂基板に配置及び固定することを目的とする。具
体的には、基材上に粘着層または接着層の設けられた可
撓性の合成樹脂基板を用い、粘着層または接着層により
光電変換素子を配置及び固定する方法が最も好適に用い
られる。
【0080】(裏面電極形成工程)裏面電極形成工程
は、集積形光起電力素子の非受光面側の電極を形成する
ことを目的とする。裏面電極としては、導電性粘着層ま
たは導電性接着層、及び金属電極層から構成されている
ことが好ましく、この場合、光電変換層の表面に導電性
粘着層または接着層側が密着固定される。また、裏面電
極を密着することにより、分割工程により分割された複
数の素子領域が直列接続するように配置する。
【0081】(光起電力素子)光起電力素子は、少なく
とも光電変換層、及び可撓性の合成樹脂基板を含み、太
陽電池モジュール、その他の光起電力素子を用いた装置
を形成する為の素子として利用される。光起電力素子に
は、その受光面側に透明電極層、及びその非受光面側に
裏面電極を含んでいても良い。本発明の光起電力素子
は、可撓性を有することがその最大の特長である。
【0082】(被覆材)太陽電池モジュールは、その使
用環境から受ける熱、水分、光、機械的応力等のストレ
スから光起電力素子及びその周辺回路を保護するために
被覆材により被覆される。被覆の構造及び材料は、屋
内、屋外、機器内への組み込み等の使用環境に応じて好
適なものが選択される。また、その使用環境に応じて、
光起電力素子の受光面側または非受光面側の何れか片面
のみを被覆したり、また、受光面側及び非受光面側の両
方を被覆しても良い。また、本発明の構成要素である可
撓性の合成樹脂基板が被覆材を兼ねていても良い。
【0083】可撓性の太陽電池モジュールを構成する場
合の受光面側の被覆材としては、透光性の合成樹脂を接
着剤または粘着材にて接着する構成が好適に用いられ
る。具体的な材料としては、フッ素系樹脂、アクリル樹
脂、ポリエステル、ポリカーボネートなどがある。より
具体的には、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)樹脂、
ポリフッ化ビニル(PVF)樹脂あるいは四フッ化エチ
レン−エチレン共重合体(ETFE)樹脂などがある。
耐侯性の観点ではポリフッ化ビニリデン樹脂が優れてい
るが、耐侯性および機械的強度の両立と透明性では四フ
ッ化エチレン−エチレン共重合体樹脂が優れている。受
光面側の透明被覆材の厚さは機械的強度の確保のために
ある程度厚くなければならず、またコストの観点からは
あまり厚すぎるのも問題がある。具体的には、15μm
乃至200μmが好ましく、より好適には30μm乃至
100μmである。
【0084】剛性を有する太陽電池モジュールを構成す
る場合の受光面側の被覆材としては、白板ガラス、青板
ガラス等の無機ガラス部材、ポリカーボネート樹脂、ア
クリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂等か
らなる部材が好適に用いられる。硬質透明被覆材の厚み
は、素材の特性によって異なるが、概ね0.5mm以上
が好ましい。
【0085】非受光面側の被覆材としては特に制限はな
いが、例えば、上記の受光面側用の材料として挙げたも
のの他、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PE
T)、ポリフッ化ビニル(PVF)等の合成樹脂や、ガ
ラス、金属板等を挙げることができる。
【0086】また、被覆材の一部として接着剤を用いる
場合には、EVA、ポリビニルブチラール等のホットメ
ルト材、両面テープ、エポキシ樹脂等を使用する。更
に、被覆材の一部として粘着材を用いる場合には、ゴム
系粘着剤、シリコン系粘着剤、アクリル系粘着剤、ビニ
ルエーテル系粘着剤などが挙げられる。この中でも、シ
リコン系、アクリル系粘着剤は耐熱、耐侯性、電気絶縁
性にも優れるため特に望ましい。また、これらの粘着剤
に紫外線吸収剤などの添加剤を添加してもよい。
【0087】(出力端子)出力端子は、太陽電池モジュ
ールにて発生した電力を外部に取出すための電気的な端
子である。光起電力素子の出力は直流なので、太陽電池
モジュールの出力端子としては、正極及び負極の少なく
とも二つの端子を設けることが必要である。また、光起
電力素子を複数有する太陽電池モジュールの場合には、
正極または負極の出力端子を複数個設けても良い。
【0088】出力端子の構造として、図4の例に示した
ようなタブ形状とする場合には、タブ材料として銅を好
適に用いることができ、この場合には、表面に錫、半
田、ニッケル等のめっきを施しても良い。また、タブ形
状の他にも、ケーブル、電線等を出力端子として用いて
も良く、また、これらの端部にコネクタを設けて容易に
電気接続ができるような構造にしても良い。一方、JI
SC8918及びJISC8939に規定される従来構
造のねじ止め方式、リード線方式、またはコネクタ方式
としても良いことは言うまでもない。
【0089】(太陽電池モジュール)本発明の太陽電池
モジュールは、少なくとも可撓性の合成樹脂基板上に形
成された光起電力素子、被覆材、及び出力端子から構成
される。
【0090】太陽電池モジュール内の電気的構成に特に
制限はないが、用途に応じて、単数または複数の光起電
力素子から構成する。複数の光起電力素子から構成する
場合には、各光起電力素子が直列または並列接続され、
太陽電池モジュールの用途に好適な電圧値及び電流値に
なるように設計されることが好ましい。また、直並列接
続する場合に、各々分断された集積形の光起電力素子を
用いても良く、また、同一の可撓性の合成樹脂基板上に
於いて複数の光起電力素子を直列または並列接続しても
良い。更に、光起電力素子が影になった場合等に素子回
路を迂回するためのバイパスダイオード等の迂回回路を
太陽電池モジュール内に設けても良い。
【0091】また、太陽電池モジュールの構造として
は、本発明の光起電力素子の特徴である可撓性を生かし
た図4に示したような可撓性太陽電池モジュールとする
他、JISC8918及びJISC8939に規定され
る従来形構造の充てん形、スーパーストレート形、また
は、サブストレート形へ適用しても良いことは言うまで
もない。この場合、太陽電池モジュールにアルミニウム
材等のフレームを付加して強度を補強する場合と、フレ
ームを付加せずに平板状とする場合があり、用途に応じ
た使い分けをすることができる。更に、建築材料と一体
化させた建材一体型モジュールヘ適用しても良い。建材
一体型モジュールとしては、例えば、屋根材一体型、壁
材一体型、または、屋根材であるルーフィング材部分に
用いる太陽電池モジュールヘ適用することもできる。
【0092】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるもの
ではない。
【0093】(実施例1)本発明の第一の実施例とし
て、図5(e)に示す光起電力素子405を作製する手
順を図5(a)乃至(e)に示す手順に沿って説明す
る。
【0094】本実施例に於いては、薄膜堆積基板として
ステンレス鋼基板401、被溶解層としてZnO層40
2、非晶質シリコンからなる光電変換層403、透明電
極層としてITO層408を形成した後に、アクリル系
粘着層416及びグリッド電極409を設けた可撓性の
合成樹脂基板404へ光電変換層403を配置し、更に
裏面電極410を設けて、可撓性の光起電力素子405
を得る。
【0095】まず、薄膜堆積工程の前に、薄膜堆積基板
であるステンレス鋼基板401の洗浄を行う。ステンレ
ス鋼基板401としては、厚さ1.0mm、50mm×
50mmのSUS304を用いる。アセトンとイソプロ
パノールで超音波洗浄し、温風乾燥する。
【0096】次に、薄膜堆積工程の第一のステップ(図
5(a))として被溶解層の堆積をおこなう。DCマグ
ネトロンスパッタ法による不図示のスパッタ装置を用
い、ZnOをターゲットとして基板温度200℃にて、
1μmの厚さのZnO層402をステンレス鋼基板40
1の片側表面の全面に堆積する。
【0097】薄膜堆積工程の第二のステップ(図5
(a))として、ZnO層402上に光電変換層403
の堆積を行う。光電変換層403もステンレス鋼基板4
01の片側表面の全面に対して堆積する。光電変換層4
03は、ZnO層402側から、N型非晶質シリコン層
412、I型非晶質シリコン層413、及び、P型非晶
質シリコン層414から構成される。不図示のプラズマ
CVD装置を用い、SiH 4、とPH3とH2の混合ガス
からN型非晶質シリコン層412を20nmの膜厚に堆
積し、SiH4とH2の混合ガスからI型非晶質シリコン
層413を400nmの膜厚に堆積し、更に、SiH4
とBF3とH2の混合ガスからP型非晶質シリコン層41
4を10nmの膜厚に堆積し、光電変換層403を得
る。
【0098】薄膜堆積工程の第三のステップ(図5
(a))として、光電変換層403上に透明導電層とし
てのITO層(インジウム錫酸化物)408の堆積を行
う。ITO層408は、ステンレス鋼基板401の端部
で光起電力素子が短絡するのを防ぐために、基板周縁部
の1mmの幅はマスクで覆い、ITO層が堆積しないよ
うにする。ITO層408は、不図示のスパッタ装置を
用い、ターゲットにITO(In23+SnO2:10
%)を使用し、スパッタ用ガスとしてArを30SCC
M導入し、DC電源より200Wの電力を投入し、基板
を200℃に加熱しながら層厚70nmのITO層40
8を得る。
【0099】次に、図5(b)に示す溶解工程による処
理を行う。ステンレス鋼製の容器に、溶液として3%酢
酸水溶液を用意する。ヒータにて溶液温度を40℃と
し、薄膜堆積工程まで終えた薄膜堆積基板を10分間浸
漬する。更に、薄膜堆積基板を溶液から取出し、純水に
よる洗浄及び室温での乾燥を行う。この時、光電変換層
の基板に対する密着性は著しく低下しているので、光電
変換層を剥離しないように注意して洗浄及び乾燥する必
要がある。
【0100】次に、図5(c)乃至(d)に示す剥離工
程及び配置工程による処理を行う。光電変換層403
は、可撓性の合成樹脂基板404上へ剥離及び配置す
る。可撓性の合成樹脂基板404は、アクリル樹脂基材
415上にアクリル系粘着層416及びグリッド電極4
09が配されている。グリッド電極は、ワイヤー状の銅
線(100μmΦ)の周囲に導電性のカーボンペースト
が塗布されている。この状態で可撓性の合成樹脂基板4
04のアクリル系粘着層416側をITO層408表面
に貼り付ける。その後、可撓性の合成樹脂基板404を
薄膜堆積基板401から引き剥がすことにより、光電変
換層403及びITO層408が可撓性の合成樹脂基板
404上に配される。
【0101】更に最後の工程として、導電性粘着層41
1をその表面に配した厚さ30μmの銅箔からなる裏面
電極410を、光電変換層403の表面に貼り付けるこ
とにより、可撓性に優れ、且つ、変換効率の高い光起電
力素子405を得る。
【0102】(実施例2)本発明の第二の実施例として
は、実施例1にて作製された図5(e)に示す光起電力
素子405を用いて、図6に示す太陽電池モジュール5
01を作製する。図6に於いて、503は被覆材、50
4は正極端子、また、505は負極端子である。
【0103】実施例1で得られた光起電力素子405に
対して、出力端子を設けた状態を図7(a)に示す。光
起電力素子405は、可撓性の合成樹脂基板415上に
形成された光電変換層403からなり、更に、集電のた
めに、グリッド電極409及び裏面電極410が実施例
1で説明したように形成されている。
【0104】この光起電力素子405に対して、まず、
正極側となるグリッド電極409から出力端子を取出す
ために、錫めっき銅のバスバー電極601を貼り付け、
グリッド電極409との電気的接触をとる。更に、錫め
っき銅の正極端子504をバスバー電極601に半田付
けする。更に、負極端子505を裏面電極410に半田
付けする。最後に、図7(b)に示した被覆材503を
図7(a)の光起電力素子405に貼り合せて、図6に
示した太陽電池モジュール501を完成する。被覆材5
03は、その表面にアクリル系粘着層を設けたアクリル
樹脂を基材としている。
【0105】このようにして製造した太陽電池モジュー
ル501は、軽薄且つ可撓性に優れ、また、変換効率も
高い。
【0106】(実施例3)本発明の第三の実施例として
は、光電変換層としてII−VI族化合物半導体である
CdS/CdTeを用いた光起電力素子を作製する。薄
膜堆積基板としては、石英ガラス基板を用いる。
【0107】まず、薄膜堆積工程の前に、薄膜堆積基板
である石英ガラス基板の洗浄を行う。石英ガラス基板と
しては、厚さ0.8mm、50mm×50mmのものを
用いる。アセトンとイソプロパノールで超音波洗浄し、
温風乾燥する。
【0108】次に、薄膜堆積工程の第一のステップとし
て被溶解層の堆積をおこなう。DCマグネトロンスパッ
タ法による不図示のスパッタ装置を用い、ZnOをター
ゲットとして基板温度250℃にて、0.5μmの厚さ
のZnO層を石英ガラス基板の片側表面の全面に堆積す
る。
【0109】薄膜堆積工程の第二のステップとして、Z
nO層上に光電変換層の堆積を行う。光電変換層も石英
ガラス基板の片側表面の全面に対して堆積する。光電変
換層は、ZnO層側から、CdTe(1μm)/CdS
(0.1μm)の層構成とし、近接昇華法により作製す
る。
【0110】薄膜堆積工程の第三のステップとして、光
電変換層上に透明導電層としてのSnO2層の堆積を行
う。SnO2層は、石英ガラス基板の端部で光起電力素
子が短絡するのを防ぐために、基板周縁部の1mmの幅
はマスクで覆い、SnO2層が堆積しないようにする。
SnO2層は、不図示のスパッタ装置を用い、ターゲッ
トにSnを使用し、雰囲気ガスとしてAr及びO2を導
入し、DC電圧を印加し放電させ、基板を200℃に加
熱しながら層厚70nmのSnO2層を得る。
【0111】次に、溶解工程による処理を行う。ステン
レス鋼製の容器に、溶液としてNaCl水溶液を用意す
る。ヒータにて溶液温度を45℃とし、薄膜堆積工程ま
で終えた薄膜堆積基板を20分間浸漬する。更に、薄膜
堆積基板を溶液から取出し、純水による洗浄及び乾燥を
行う。この時、光電変換層の基板に対する密着性は著し
く低下しているので、光電変換層を剥離しないように注
意して洗浄及び乾燥する必要がある。
【0112】次に、剥離工程及び配置工程による処理を
行う。光電変換層は、可撓性の合成樹脂基板上へ剥離及
び配置する。可撓性の合成樹脂基板は、ETFE樹脂よ
りなる基材上にシリコン系粘着層及びグリッド電極が配
されている。グリッド電極は、ワイヤ状の銅線(100
μmΦ)の周囲に導電性のITOぺーストが塗布されて
いる。この状態で可撓性の合成樹脂基板のシリコン系粘
着層側をSnO2層面に貼り付ける。その後、可撓性の
合成樹脂基板を薄膜堆積基板から引き剥がすことによ
り、光電変換層及びSnO2層が可撓性の合成樹脂基板
上に配される。
【0113】更に最後の工程として、その表面に導電性
接着層が配された厚さ50μmのアルミニウム箔からな
る裏面電極を、光電変換層の表面に貼り付けることによ
り、高効率で可撓性に富んだ光起電力素子を得る。
【0114】(実施例4)本発明の第四の実施例として
は、実施例3にて作製されたCdS/CdTe光起電力
素子を用いて、可撓性太陽電池モジュールを作製する。
【0115】実施例3で得られた光起電力素子に対し
て、実施例2と同様な手順及び構成で、正及び負の出力
端子を設け、最後に、シリコン系粘着層を表面に配した
PET樹脂フィルムを被覆材として貼り付け、可撓性太
陽電池モジュールを得る。
【0116】(実施例5)本発明の第五の実施例とし
て、図8(e)に示す集積形光起電力素子705を作製
する手順を図8(a)乃至(e)に示す手順に沿って説
明する。
【0117】本実施例に於いては、薄膜堆積基板として
ステンレス鋼基板701、被溶解層としてZnO層70
2、非晶質シリコンからなる光電変換層703、透明電
極層としてITO層708を形成した後に、アクリル系
粘着層716及びグリッド電極709を設けた可撓性の
合成樹脂基板704へ光電変換層703を配置し、更に
裏面電極710を設けて、可撓性の光起電力素子705
を得る。
【0118】まず、薄膜堆積工程の前に、薄膜堆積基板
であるステンレス鋼基板701の洗浄を行う。ステンレ
ス鋼基板701としては、厚さ1.0mm、50mm×
50mmのSUS304を用いる。アセトンとイソプロ
パノールで超音波洗浄し、温風乾燥する。
【0119】次に、薄膜堆積工程の第一のステップ(図
8(a))として被溶解層の堆積をおこなう。DCマグ
ネトロンスパッタ法による不図示のスパッタ装置を用
い、ZnOをターゲットとして基板温度200℃にて、
1μmの厚さのZnO層702をステンレス鋼基板70
1の片側表面の全面に堆積する。
【0120】薄膜堆積工程の第二のステップ(図8
(a))として、ZnO層702上に光電変換層703
の堆積を行う。光電変換層703もステンレス鋼基板7
01の片側表面の全面に対して堆積する。光電変換層7
03は、ZnO層702側から、N型非晶質シリコン層
712、I型非晶質シリコン層713、及び、P型非晶
質シリコン層714から構成される。不図示のプラズマ
CVD装置を用い、SiH 4、とPH3とH2の混合ガス
からN型非晶質シリコン層712を20nmの膜厚に堆
積し、SiH4とH2の混合ガスからI型非晶質シリコン
層713を400nmの膜厚に堆積し、更に、SiH4
とBF3とH2の混合ガスからP型非晶質シリコン層71
4を10nmの膜厚に堆積し、光電変換層703を得
る。
【0121】薄膜堆積工程の第三のステップ(図8
(a))として、光電変換層403上に透明導電層とし
てのITO層(インジウム錫酸化物)708の堆積を行
う。ITO層708は、ステンレス鋼基板701の端部
で光起電力素子が短絡するのを防ぐために、基板周縁部
の1mmの幅はマスクで覆い、ITO層が堆積しないよ
うにする。ITO層708は、不図示のスパッタ装置を
用い、ターゲットにITO(In23+SnO2:10
%)を使用し、スパッタ用ガスとしてArを30SCC
M導入し、DC電源より200Wの電力を投入し、基板
を200℃に加熱しながら層厚70nmのITO層70
8を得る。
【0122】次に、図8(a)に示す透明電極層分割部
717を分割工程にて形成する。エッチング剤としてF
eCl2及びHClを含有するぺーストを用意し、分割
線のパターンにスクリーン印刷した後加熱、洗浄し、透
明電極分割部417を得る。
【0123】次に、図8(b)に示す溶解工程による処
理を行う。ステンレス鋼製の容器に、溶液として3%酢
酸水溶液を用意する。ヒータにて溶液温度を40℃と
し、分割工程まで終えた薄膜堆積基板を10分間浸漬す
る。更に、薄膜堆積基板を溶液から取出し、純水による
洗浄及び室温での乾燥を行う。この時、光電変換層の基
板に対する密着性は著しく低下しているので、光電変換
層を剥離しないように注意して洗浄及び乾燥する必要が
ある。
【0124】次に、図8(c)乃至(d)に示す剥離工
程及び配置工程による処理を行う。光電変換層703
は、可撓性の合成樹脂基板704上へ剥離及び配置す
る。可撓性の合成樹脂基板704は、アクリル樹脂基材
715上にアクリル系粘着層716及びグリッド電極7
09が配されている。グリッド電極は、ワイヤー状の銅
線(100μmΦ)の周囲に導電性のカーボンペースト
が塗布されている。この状態で可撓性の合成樹脂基板7
04のアクリル系粘着層716側をITO層708表面
に貼り付ける。その後、可撓性の合成樹脂基板704を
薄膜堆積基板701から引き剥がすことにより、光電変
換層703及びITO層708が可撓性の合成樹脂基板
704上に配される。
【0125】更に最後の工程として、導電性粘着層71
1をその表面に配した厚さ30μmの銅箔からなる裏面
電極710を、光電変換層703の表面に貼り付ける。
この時、裏面電極層は分割工程により分割された素子領
域ごとに裏面電極層分割部718を有し、これにより、
各素子領域が電気的に分割されている。
【0126】図9(a)には、本実施例の集積形光起電
力素子の直列配線の構造を示す。同図に於いて、集積形
光起電力素子705は、可撓性の合成樹脂基板715上
に形成された光電変換層703からなり、更に、グリッ
ド電極709及び裏面電極層710がそれぞれの素子領
域に形成されている。素子領域間を直列接続するため
に、一方の素子領域の裏面電極層710をもう一方の素
子領域のバスバー電極801に接続する。これにより、
可撓性に優れ、且つ、変換効率の高い集積形光起電力素
子705を得る。
【0127】(実施例6)本発明の第六の実施例として
は、実施例5にて作製された図8(e)に示す光起電力
素子705を用いて、図10に示す太陽電池モジュール
901を作製する。図10に於いて、803は被覆材、
804は正極端子、805は負極端子である。
【0128】実施例5で得られた光起電力素子705に
対して、出力端子を設けた状態を図9(a)に示す。光
起電力素子705は、可撓性の合成樹脂基板715上に
形成された光電変換層703からなり、更に、集電のた
めに、グリッド電極709及び裏面電極710が実施例
5で説明したように形成されている。
【0129】この光起電力素子705に対して、まず、
正極側となるグリッド電極709から出力端子を取出す
ために、錫めっき銅のバスバー電極801を貼り付け、
グリッド電極709との電気的接触をとる。更に、錫め
っき銅の正極端子804をバスバー電極801に半田付
けする。更に、負極端子805を裏面電極710に半田
付けする。最後に、図9(b)に示した被覆材803を
図7(a)の光起電力素子705に貼り合せて、図10
に示した太陽電池モジュール901を完成する。被覆材
803は、その表面にアクリル系粘着層を設けたアクリ
ル樹脂を基材としている。
【0130】このようにして製造した太陽電池モジュー
ル901は、軽薄且つ可撓性に優れ、また、変換効率も
高い。
【0131】(実施例7)本発明の第七の実施例として
は、光電変換層としてII−VI族化合物半導体である
CdS/CdTeを用いた集積形光起電力素子を作製す
る。薄膜堆積基板としては、石英ガラス基板を用いる。
【0132】まず、薄膜堆積工程の前に、薄膜堆積基板
である石英ガラス基板の洗浄を行う。石英ガラス基板と
しては、厚さ0.8mm、50mm×50mmのものを
用いる。アセトンとイソプロパノールで超音波洗浄し、
温風乾燥する。
【0133】次に、薄膜堆積工程の第一のステップとし
て被溶解層の堆積をおこなう。DCマグネトロンスパッ
タ法による不図示のスパッタ装置を用い、ZnOをター
ゲットとして基板温度250℃にて、0.5μmの厚さ
のZnO層を石英ガラス基板の片側表面の全面に堆積す
る。
【0134】薄膜堆積工程の第二のステップとして、Z
nO層上に光電変換層の堆積を行う。光電変換層も石英
ガラス基板の片側表面の全面に対して堆積する。光電変
換層は、ZnO層側から、CdTe(1μm)/CdS
(0.1μm)の層構成とし、近接昇華法により作製す
る。
【0135】薄膜堆積工程の第三のステップとして、光
電変換層上に透明導電層としてのSnO2層の堆積を行
う。SnO2層は、石英ガラス基板の端部で光起電力素
子が短絡するのを防ぐために、基板周縁部の1mmの幅
はマスクで覆い、SnO2層が堆積しないようにする。
SnO2層は、不図示のスパッタ装置を用い、ターゲッ
トにSnを使用し、雰囲気ガスとしてAr及びO2を導
入し、DC電圧を印加し放電させ、基板を200℃に加
熱しながら層厚70nmのSnO2層を得る。
【0136】次に、実施例5と同様に分割工程を行う。
【0137】次に、溶解工程による処理を行う。ステン
レス鋼製の容器に、溶液としてNaCl水溶液を用意す
る。ヒータにて溶液温度を45℃とし、分割工程まで終
えた薄膜堆積基板を20分間浸漬する。更に、薄膜堆積
基板を溶液から取出し、純水による洗浄及び乾燥を行
う。この時、光電変換層の基板に対する密着性は著しく
低下しているので、光電変換層を剥離しないように注意
して洗浄及び乾燥する必要がある。
【0138】次に、剥離工程及び配置工程による処理を
行う。光電変換層は、可撓性の合成樹脂基板上へ剥離及
び配置する。可撓性の合成樹脂基板は、ETFE樹脂よ
りなる基材上にシリコン系粘着層及びグリッド電極が配
されている。グリッド電極は、ワイヤ状の銅線(100
μmΦ)の周囲に導電性のITOぺーストが塗布されて
いる。この状態で可撓性の合成樹脂基板のシリコン系粘
着層側をSnO2層面に貼り付ける。その後、可撓性の
合成樹脂基板を薄膜堆積基板から引き剥がすことによ
り、光電変換層及びSnO2層が可撓性の合成樹脂基板
上に配される。
【0139】更に最後の工程として、その表面に導電性
接着層が配された厚さ50μmのアルミニウム箔からな
る裏面電極を、実施例6と同様の構成で光電変換層の表
面に貼り付けることにより、高効率で可撓性に富んだ集
積形光起電力素子を得る。
【0140】(実施例8)本発明の第八の実施例として
は、実施例7にて作製されたCdS/CdTe集積形光
起電力素子を用いて、可撓性太陽電池モジュールを作製
する。
【0141】実施例7で得られた光起電力素子に対し
て、実施例6と同様な手順及び構成で、正及び負の出力
端子を設け、最後に、シリコン系粘着層を表面に配した
PET樹脂フィルムを被覆材として貼り付け、可撓性太
陽電池モジュールを得る。
【0142】
【発明の効果】本発明の光起電力素子の製造方法、その
製造装置及び太陽電池モジュールによれば、次のような
効果が得られる。 (1)本発明の光起電力素子の製造方法及び製造装置に
於いては、光起電力素子の支持基板とは別の薄膜堆積基
板を光電変換層の形成に用いる。これによって、光起電
力素子の支持基板として高価な耐熱性樹脂を用いる必要
がなく、安価な可撓性光起電力素子を提供することがで
きる。 (2)また、上記の理由で、薄膜堆積条件に最も適する
薄膜堆積基板を選択することができ、基板からのガス放
出、または、基板温度の上昇による基板材料の軟化、変
形、収縮等を気にすることなく、光電変換層の成膜条件
の最適化ができ、変換効率の高い光起電力素子を得るこ
とができる。 (3)更に、薄膜堆積基板を再利用することにより、光
起電力素子及び太陽電池モジュールの製造コストを著し
く低減することができる。 (4)また、光電変換層の剥離工程に於いては、光起電
力素子として必要な光電変換層のみを剥離し、機能的に
不必要な材料をなくすることができるため、非常に薄型
の光起電力素子を提供することができる。 (5)更に、本発明により、可撓性に富み、安価で、軽
量な太陽電池モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による光起電力素子の製造方法の実施態
様例を示す図である。
【図2】本発明による光起電力素子の製造方法の実施態
様例を示す工程図である。
【図3】本発明による光起電力素子の製造方法及び製造
装置の実施態様例を示す図である。
【図4】本発明による太陽電池モジュールの実施態様例
を示す図である。
【図5】実施例1における光起電力素子の製造方法を示
す図である。
【図6】実施例2における太陽電池モジュールを示す図
である。
【図7】実施例2における太陽電池モジュールを説明す
る図である。
【図8】実施例5における光起電力素子の製造方法を示
す図である。
【図9】実施例6における太陽電池モジュールを説明す
る図である。
【図10】実施例6における太陽電池モジュールを示す
図である。
【符号の説明】
101 薄膜堆積基板 102 被溶解層 103 光電変換層 104 可撓性の合成樹脂基板 105 光起動電力素子 106 空隙、空孔または構造の界面 107 被溶解層の溶解部 301 太陽電池モジュール 302 光起動電力素子 303 被覆材 304 出力端子 401、701 ステンレス基板 402、702 ZnO層 403、703 光電変換層 404、704 可撓性の合成樹脂基板 405、705 光起動電力素子 406、706 空隙、空孔または構造の界面 407、707 ZnO層の溶解部 408、708 ITO層 409、709 グリッド電極 410、710 裏面電極 411、711 導電性粘着層 412、712 N型非晶質シリコン 413、713 I型非晶質シリコン 414、714 P型非晶質シリコン 415、715 アクリル樹脂剤 416、716 アクリル系粘着層 501、901 太陽電池モジュール 503、803 被覆材 504、804 正極端子 505、805 負極端子 601、801 バスバー電極

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可撓性の合成樹脂基板上に形成された光
    起電力素子の製造方法に於いて、 薄膜堆積基板上に被溶解層及び光電変換層を順次積層す
    る薄膜堆積工程、 該光電変換層中に内在する空隙、空孔または構造の界面
    を経由して該被溶解層側に溶液を浸透させ、該被溶解層
    の少なくとも一部を溶解する溶解工程、 該薄膜堆積基板から該光電変換層を剥離する剥離工程、
    及び、 可撓性の合成樹脂基板上に、剥離した該光電変換層を配
    置する配置工程とを含むことを特徴とする光起電力素子
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記薄膜堆積工程に於いて、前記被溶解
    層を堆積した後に、その表面に透明電極層を積層するこ
    とを特徴とする請求項1に記載の光起電力素子の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 前記合成樹脂基板が、合成樹脂からなる
    基材及びその表面に配された導電性粘着層または導電性
    接着層から構成されていることを特徴とする請求項2に
    記載の光起電力素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記配置工程の後に、前記光電変換層の
    前記合成樹脂基板と反対側の表面に、グリッド電極を形
    成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記
    載の光起電力素子の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記薄膜堆積工程に於いて、前記光電変
    換層を堆積した後に、その表面に透明電極層を積層する
    ことを特徴とする請求項1に記載の光起電力素子の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 前記合成樹脂基板が、合成樹脂からなる
    基材及びその表面に配された粘着層または接着層から構
    成されていることを特徴とする請求項5に記載の光起電
    力素子の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記合成樹脂基板が、合成樹脂からなる
    基材及びその表面に配された導電性粘着層または導電性
    接着層から構成されていることを特徴とする請求項5に
    記載の光起電力素子の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記合成樹脂基板が、合成樹脂からなる
    基材及びその表面に配されたグリッド電極から構成され
    ていることを特徴とする請求項5に記載の光起電力素子
    の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記配置工程の後に、前記光電変換層の
    前記合成樹脂基板と反対側の表面に、導電性粘着層また
    は導電性接着層、及び金属電極層を配置することを特徴
    とする請求項5乃至8のいずれかに記載の光起電力素子
    の製造方法。
  10. 【請求項10】 可撓性の合成樹脂基板上に形成された
    光起電力素子の製造方法に於いて、 薄膜堆積基板上に被溶解層、光電変換層及び透明電極層
    を順次積層する薄膜堆積工程、 該透明電極層の一部を除去することにより該光電変換層
    を複数の素子領域に分割する分割工程、 該透明電極層中及び該光電変換層中に内在する空隙、空
    孔または構造の界面を経由して該被溶解層側に溶液を浸
    透させ、該被溶解層の少なくとも一部を溶解する溶解工
    程、 該薄膜堆積基板から該光電変換層及び該透明電極層の積
    層体を剥離する剥離工程、 グリッド電極が配された可撓性の合成樹脂基板上に、該
    透明電極層が該グリッド電極に接触するように該積層体
    を配置する配置工程、及び、 該積層体の該合成樹脂基板と反対側の表面に裏面電極層
    を形成する裏面電極層形成工程とを含み、 該裏面電極は該分割工程により分割された複数の素子領
    域を直列接続するように配置されることを特徴とする光
    起電力素子の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記裏面電極層が、導電性粘着層また
    は導電性接着層、及び金属電極層から構成されているこ
    とを特徴とする請求項10に記載の光起電力素子の製造
    方法。
  12. 【請求項12】 前記合成樹脂基板が、合成樹脂からな
    る基材及びその表面に配された前記グリッド電極及び粘
    着層または接着層から構成されていることを特徴とする
    請求項10又は11に記載の光起電力素子の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記合成樹脂基板が、合成樹脂からな
    る基材及びその表面に配された前記グリッド電極及び導
    電性粘着層または導電性接着層から構成されていること
    を特徴とする請求項10又は11に記載の光起電力素子
    の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記溶液に対する前記被溶解層の溶解
    度が、前記光電変換層の溶解度よりも高いことを特徴と
    する請求項1乃至13のいずれかに記載の光起電力素子
    の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記被溶解層が酸化亜鉛であって、前
    記溶液が酸性水溶液であることを特徴とする請求項14
    に記載の光起電力素子の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記合成樹脂基板が、透光性であるこ
    とを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の光
    起電力素子の製造方法。
  17. 【請求項17】 前記薄膜堆積基板が、ステンレス鋼ま
    たはガラスであることを特徴とする請求項1乃至16の
    いずれかに記載の光起電力素子の製造方法。
  18. 【請求項18】 前記光電変換層が、PN接合、PIN
    接合、ヘテロ接合、ショットキー障壁、の何れかを含む
    ことを特徴とする請求項1乃至17のいずれかに記載の
    光起電力素子の製造方法。
  19. 【請求項19】 前記光電変換層が、非晶質シリコン系
    半導体、微結晶シリコン系半導体、多結晶シリコン系半
    導体、多結晶化合物半導体、の何れかを含むことを特徴
    とする請求項1乃至18のいずれかに記載の光起電力素
    子の製造方法。
  20. 【請求項20】 前記剥離工程後の前記薄膜堆積基板
    が、再度前記薄膜堆積工程の薄膜堆積基板として利用さ
    れることを特徴とする請求項1乃至19のいずれかに記
    載の光起電力素子の製造方法。
  21. 【請求項21】 可撓性の合成樹脂基板上に形成された
    光起電力素子の製造装置に於いて、薄膜堆積基板上に被
    溶解層及び光電変換層を順次積層する薄膜堆積手段、該
    光電変換層中に内在する空隙、空孔または構造の界面を
    経由して該被溶解層側に溶液を浸透させ、該被溶解層の
    少なくとも一部を溶解する溶解手段、該薄膜堆積基板か
    ら該光電変換層を剥離する剥離手段、及び、可撓性の合
    成樹脂基板上に、剥離した該光電変換層を配置する配置
    手段とを含むことを特徴とする光起電力素子の製造装
    置。
  22. 【請求項22】 前記薄膜堆積手段は、前記薄膜堆積基
    板上に被溶解層、光電変換層及び透明電極層を順次積層
    する手段であり、前記剥離手段は、前記薄膜堆積基板か
    ら該光電変換層及び該透明電極層の積層体を剥離する手
    段であり、前記配置手段は、可撓性の合成樹脂基板上
    に、剥離した該積層体を配置する手段であることを特徴
    とする請求項21に記載の光起電力素子の製造装置。
  23. 【請求項23】 請求項1乃至20のいずれかに記載の
    光起電力素子の製造方法により得た光起電力素子の少な
    くとも一部を被覆材により被覆し、出力端子を設けたこ
    とを特徴とする太陽電池モジュール。
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